JP2009209623A - 構造物居住区の免振方法及び装置 - Google Patents

構造物居住区の免振方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 マスダンパ方式の制振装置を用いずに居住区の揺れを低減できるようにする。
【解決手段】 塔状構造物本体2に昇降駆動可能に取り付けた支持フレーム4上に、居住区3を水平面内の任意の方向に変位可能に支持させて、塔状構造物1を形成する。支持フレーム4と居住区3との間にはアクチュエータ5a,5bを介在させて設ける。支持フレーム4の揺れを検出するための加速度センサ6からの入力信号を基にアクチュエータ5a,5bへ制御指令を与える制御器7を備える。塔状構造物本体2と一緒に支持フレーム4に揺れが生じるときは、制御器7により制御されるアクチュエータ5a,5bにより、居住区3を、支持フレーム4の揺れによる絶対変位に対し同等振幅、逆位相で支持フレーム4上にて相対変位させることで、居住区3の絶対空間における変位の応答を小さくさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、塔状の構造物における居住区の風外力等の外力による揺れを低減できるようにするために用いる構造物居住区の免振方法及び装置に関するものである。
一般に、塔状の構造物は、減衰が小さい柔軟構造物であるため、風外力により揺れが生じ易く、このような塔状構造物の揺れが生じると、該塔状構造物の居住区(キャビン)内の人が酔ってしまうことがある。しかも、構造物は、高さが高くなると、地震荷重よりも風荷重による揺れの方が問題となり易い。そのため、塔状構造物では居住区の風揺れを低減することが重要な技術課題となっている。
従来、塔状構造物のような高さの高い構造物に生じる揺れを低減するための対策としては、制振対象となる構造物の上部等に、水平方向に移動可能な可動マスを具備してなるマスダンパ方式の制振装置を設置することが提案されてきている。
上記マスダンパ方式の制振装置は、可動マスを駆動するアクチュエータの有無によりアクティブ方式とパッシブ方式に分類されている。このうち、パッシブ方式の制振装置は、水平方向に移動可能な可動マスにばね要素及びダンパ要素を取り付けて振動系を構成し、この振動系の固有振動数を、制振対象となる構造物の固有振動数と等しくなるように設定したものである。かかる構成としてあるパッシブ方式の制振装置によれば、構造物が揺れると、その揺れに伴われて可動マスが自然に動くことで、該構造物の揺れを低減できるようにしてある。
一方、アクティブ方式の制振装置は、制振対象構造物の揺れをセンサで検出し、その検出信号に基いて、アクチュエータを用いて可動マスを積極的に駆動させることで、構造物の揺れを低減させるようにしてある(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
上記アクティブ方式、パッシブ方式のいずれのマスダンパ方式の制振装置においても、通常、可動マスの質量は、制振対象となる構造物の一般化質量の0.5%〜1%程度で済み、可動マスがコンパクトであるため、多くの構造物に適用されるようになってきている。
特開平4−262146号公報 特開平4−266642号公報
ところが、上記のようなマスダンパ方式の制振装置の実際の適用に際しては、制振対象となる構造物の揺れに応じて可動マスを水平方向に往復移動させるときのストローク分を見込んだ設置スペースが必要であり、特に構造物の高さが増加するにつれて、必要とされる可動マスのストロークが大きくなることから、内部がエレベータ等の機械設備によって占有されているような狭隘な塔状構造物では、設置スペースを確保することが難しいというのが実状である。
又、風揺れの低減を目的とする場合、構造物の下部よりも上部の方が作用する風外力が大きくて風揺れが大きくなることに鑑みて、上記マスダンパ方式の制振装置は、構造物の上部に設置することが望ましいが、制約上、構造物の中間部や下部に設置する必要が生じる場合は、可動マスの質量を大きくする必要が生じるか、又は、性能の低下を招いてしまう。
そこで、本発明は、マスダンパ方式の制振装置によることなく塔状の構造物の居住区に生じる揺れを低減でき、しかも、居住区が塔状の構造物の上部、中間部、下部のいずれに位置する場合であっても、該居住区の揺れを抑えることが可能な構造物居住区の免振装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、構造物本体に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにする構造物居住区の免振方法とする。
又、請求項2に対応して、構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにする構造物居住区の免振方法とする。
請求項3に対応して、構造物本体に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有する構造物居住区の免振装置とする。
又、請求項4に対応して、構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有する構造物居住区の免振装置とする。
上記各免振装置の構成において、支持フレーム上に支持してなる居住区の外周と上側を覆うフレームを設けて、上記居住区に風外力が直接作用しないようにした構成とする。
本発明の構造物居住区の免振方法及び装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)構造物本体に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにする構造物居住区の免振方法、及び、構造物本体に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有する構造物居住区の免振装置としてあるので、構造物本体より居住区を振動絶縁することができて、構造物本体にいかなる揺れが生じようとも、居住区の揺れを抑えることができるため、該居住区内の人を揺れから保護することが可能になる。更に、上記居住区の揺れの低減は、構造物自体の揺れの低減に依存するものではないため、構造物自体に風外力等により生じる揺れを速やかに減衰させるためのマスダンパ方式の制振装置は不要なものとすることができる。
(2)構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにする構造物居住区の免振方法、及び、構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有する構造物居住区の免振装置とすると、上記(1)と同様の効果に加えて、居住区が支持フレームと共に構造物本体のいかなる高さ位置に配された状態であっても、装置構成の変更や調整を要することなく該居住区の揺れを確実に抑えることが可能となる。
(3)支持フレーム上に支持してなる居住区の外周と上側を覆うフレームを設けて、上記居住区に風外力が直接作用しないようにした構成とすることにより、制御器による各アクチュエータの制御則をより単純なものとする点で有利な構成とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は本発明の構造物居住区の免振装置の実施の一形態として、上下方向に延びる塔状の構造物本体2の外周に、環状の居住区(キャビン)3を昇降可能に備えてなる形式の展望タワーのような塔状構造物1に適用する場合を示すもので、概説すると、上記塔状構造物本体2の外周に、環状の支持フレーム4を配置して、該支持フレーム4を、上記塔状構造物本体2に昇降駆動可能に取り付ける。更に、上記支持フレーム4の上側に、上記環状の居住区3を、水平面内の全方位に変位可能に支持させると共に、上記支持フレーム2と居住区3との間にアクチュエータ5を介在させるように設けて、該アクチュエータ5の駆動により、上記支持フレーム2上にて上記居住区3を水平面内の全方位へ相対移動させることができるようにする。更に、上記塔状構造物本体2の揺れに伴われて一緒に揺れる上記支持フレーム4の揺れを検出するためのセンサ6と、該センサ6からの入力信号に応じて上記アクチュエータ5へ制御指令を与える制御器7を備えてなる構成とする。
以下、詳述する。
上記支持フレーム4は、環状としてある上記居住区3の平面形状より内周側及び外周側にそれぞれ所要寸法ずつ張り出す形状、具体的には、上記塔状構造物本体2の揺れに伴われて一緒に揺れることとなる上記支持フレーム4に想定される最大振幅に応じた寸法ずつ上記居住区3の平面形状より内径側及び外径側にそれぞれ張り出すリング形状としてある。
上記支持フレーム4の内周端部には、該支持フレーム4の上側に支持させる上記居住区3の上端部よりもやや高い位置まで上下方向に延びる筒状の内周フレーム4aが設けてあり、該内周フレームの4aの内周面の所要個所、たとえば、周方向等間隔の4個所における上下両端部にそれぞれ設置したガイドブロック8を、上記塔状構造物本体2の外周面の周方向等間隔の4個所に設けた上下方向のガイドレール9にそれぞれスライド可能に取り付けた構成としてある。
更に、上記支持フレーム4の昇降駆動機構10として、たとえば、上記支持フレーム4の内周フレーム4aの上端部に取り付けてある各ガイドブロック8に一端部を接続し、他端部を上記塔状構造物本体2の内側に昇降可能に配したカウンターウェイト11に接続したワイヤロープ12を、上記塔状構造物本体2の頂部に設けて図示しない駆動装置により正逆転駆動できるようにしてある駆動滑車13に掛け回した構成を有する昇降駆動機構10を設けて、上記図示しない駆動装置により上記駆動滑車13を正逆転駆動させることで、上記ワイヤロープ12を介して上記支持フレーム4を、上記塔状構造物本体2の外面に沿わせて昇降させることができるようにしてある。
上記支持フレーム4の上面には、所要個所、たとえば、図4(イ)に示すような周方向の4個所に、リニアガイド14aを、水平面内で直交する2方向(xy方向)のうちの一方の方向(図4(イ)の左右方向、以下x方向と云う)に沿わせてそれぞれ設置すると共に、該各リニアガイド14aのスライダ15上に、上記居住区3の底面形状と同様のリング形状としてある中間プレート16を載置して取り付ける。更に、該中間プレート16の上面における所要個所、たとえば、図4(ロ)に示すような周方向の4個所に、リニアガイド14bを、水平面内で直交する2方向(xy方向)のうちの他方の方向(図4(ロ)の上下方向、以下y方向と云う)に沿わせてそれぞれ設置すると共に、該各リニアガイド14bのスライダ15上に、上記居住区3を載置して取り付ける。これにより、上記支持フレーム4上における各リニアガイド14aを介した上記中間プレート16のx方向へのスライドと、該中間プレート16上における各リニアガイド14bを介した上記居住区3のy方向へのスライドとを組み合わせることで、該支持フレーム11上にて居住区3を任意のxy方向、すなわち、水平面内の全方位へ変位可能としてある。
又、上記支持フレーム4の上面における所要個所、たとえば、図4(イ)に示すような周方向に180度対向する2個所には、アクチュエータ5aとして、駆動モータ17と、その出力軸に連結したねじ軸18と、該ねじ軸18に螺号させたナット19を具備して、上記駆動モータ17による上記ねじ軸18の正逆転駆動により上記ナット19を上記ねじ軸の軸心方向へ移動させることができるようにしてあるボールねじ形式のアクチュエータ5aを、それぞれx方向に沿わせて設けておき、該各アクチュエータ5aのナット19を、上記中間プレート16の下面の対応する位置にそれぞれ取り付ける。且つ該中間プレート16の上面における所要個所、たとえば、図4(ロ)に示すような周方向に180度対向する2個所に、上記アクチュエータ5aと同様の構成としてあるボールねじ形式のアクチュエータ5bを、それぞれy方向に沿わせて設けて、該各アクチュエータ5bのナット19を、上記居住区3の下面の対応する位置にそれぞれ取り付ける。これにより、上記アクチュエータ5aによる上記中間プレート16の上記支持フレーム4上でのx方向に沿う方向への駆動と、上記アクチュエータ5bによる上記居住区3の上記中間プレート16上でのy方向に沿う方向への駆動とを組み合わせることで、上記居住区3に対し、上記支持フレーム4に対して任意のxy方向、すなわち、水平面内の任意の方向へ制御力を印加できるようにしてある。
更に、上記支持フレーム4上に設けてある居住区3に対して風が直接当たることを防止して、風外力の直接の作用による居住区3の運動(挙動)を無視できるようにするために、図1に示す如く、上記支持フレーム4の外周端部に、上記居住区3の外周側を覆って該居住区3の上端部よりもやや高い位置まで上下方向に延びる筒状の外周フレーム20の下端部を取り付けると共に、上記外周フレーム20と上記内周フレーム4aの上端部同士の間に、上記居住区の上方を覆うリング形状の天井フレーム21を取り付けた構成としてある。
なお、図2、図3、図4(イ)(ロ)における上記各リニアガイド14a,14b及び各アクチュエータ5a,5bの長さ寸法(ストローク)、居住区3及び中間プレート16の内周端部と支持フレーム4の内周フレーム4aの間隔、居住区3及び中間プレート16の外周端部と外周フレーム20の間隔は、いずれも図示するための便宜上のものであり、実際の寸法を反映したものではない。
上記支持フレーム4の揺れを検出するためのセンサ6としては、該支持フレーム4の所要個所に加速度センサ6を設置するようにしてある。
上記制御器7は、上記加速度センサ6より上記支持フレーム4の加速度の検出信号が入力されると、上記居住区3の揺れを低減させるべく、以下のような制御理論に基いて上記各アクチュエータ5a,5bへ制御指令を与えるようにしてある。なお、上記制御器7は、支持フレーム4上における居住区3の相対変位の方向や、変位量、変位速度については、各アクチュエータ5a,5bの駆動モータ17の回転数、すなわち、ねじ軸18の回転数に基くナット19の位置、移動方向、移動速度から検出できるようにしてあるものとする。
すなわち、上記塔状構造物本体2及び支持フレーム4と、居住区3を、図5に示す如く、居住区3の質量をm、塔状構造物本体2及び支持フレーム4の質量をmとした二自由度系の構成のモデルとし、上記各アクチュエータ5a,5bは両質点の間に挿入され、制御力をfcとする。なお、図5では、アクチュエータ5a,5bと並列にばね要素k1と減衰要素c1を組み合わせているが、アクチュエータ5a,5bのみでもよい。
風外力fが塔状構造物本体2及び支持フレーム4の質量をmに作用する場合、上記居住区3の揺れをアクティブ制御によって低減させる場合を考える。
上記図5のモデルの運動方程式は次式で与えられる。
Figure 2009209623
Figure 2009209623
上記式(1)及び式(2)で、状態変数X及び制御入力uを、それぞれ、
Figure 2009209623
Figure 2009209623
と定義し、状態空間表示すると次式となる。
Figure 2009209623
よって、上記式(3)に対して制御系を設計する。制御系には、たとえば、LQ制御理論を適用する。LQ制御理論によれば、重み関数J、
Figure 2009209623
を最小にする制御入力uは、次式の状態フィードバックで与えられる。
Figure 2009209623
ここで、Q及びrは、状態変数にかかる重み行列、制御入力に係る重み係数である。又、Pはリカッチ方程式の解である。
図6に計算結果を示す。mとmの質量比を1.0にとり、mに正弦波f=Fsin(ωt)の強制力を入力したときの時刻歴応答波形を示したもので、線aは塔状構造物本体2と一緒に揺れる支持フレーム4の絶対変位を、又、線bは居住区3の支持フレーム4に対する相対変位を、線cは居住区3の絶対変位を、それぞれ示している。
上記図6から明らかなように、上記居住区3の支持フレーム4に対する相対変位を、塔状構造物本体2と一緒に揺れる支持フレーム4の絶対変位に対して同等振幅、逆位相にすることで、上記居住区3の絶対空間上での変位、すなわち、居住区3の揺れを小さくできていることが分かる。
したがって、上記制御器7では、上記塔状構造物本体2の揺れに伴われて一緒に揺れる支持フレーム4の揺れが上記加速度センサ6により検出されて入力されると、上記各アクチュエータ5a,5bに対し、上記居住区3を、支持フレーム4に対して、該支持フレーム4の絶対変位と同等振幅、逆位相で相対変位させるように制御指令を与えるようにしてある。
以上の構成としてある構造物居住区の免振装置によれば、塔状構造物本体2が風外力等の外力を受けて揺れ始めると、該塔状構造物本体2と一緒に揺れる支持フレーム4に設けた加速度センサ6より制御器7へ入力される信号に基いて、該制御器7より上記各アクチュエータ5a,5bに対し制御指令が与えられて、該各アクチュエータ5a,5bにより、上記支持フレーム4上にて、上記居住区3が、支持フレーム4の絶対変位と同等振幅、逆位相で相対変位させられるようになることから、該居住区3の絶対変位が抑えられる。したがって、上記塔状構造物本体2の揺れにかかわらず、上記居住区3の揺れは大幅に低減されるようになる。
このように、本発明の構造物居住区の免振方法及び装置によれば、塔状構造物本体2より居住区3を振動絶縁することで、塔状構造物本体2にいかなる揺れが生じようとも、居住区3の揺れを抑えることができて、該居住区3内の人を揺れから保護することが可能になる。
しかも、居住区3が、支持フレーム4と共に塔状構造物本体2に沿って昇降させられることで、該居住区3が上記塔状構造物本体2の上部、中間部、下部のいずれに配された状態であっても、居住区3と一緒に上記塔状構造物本体2の上部、中間部、下部に配される支持フレーム4が塔状構造物本体2の上部、中間部、下部の揺れに応じて揺れるときの該支持フレーム4の絶対変位を相殺するように、居住区3を該支持フレーム4上で相対変位させることができるため、上記居住区3が上記塔状構造物本体2のいかなる高さ位置に配されていても、装置構成の変更や調整を要することなく該居住区3の揺れを確実に抑えることが可能となる。
更に、塔状構造物1自体の揺れを低減させるためのマスダンパ方式の制振装置は不要なものとすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、居住区3に対する風外力の直接の影響を阻止して、制御器7による各アクチュエータ5a,5bの制御則をより単純なものとする観点からすると、居住区3の外周側を覆う外周フレーム20及び居住区3の上方を覆う天井フレーム21を設けることが好ましいが、図7に示すように、上記外周フレーム20と天井フレーム21とを省略した構成としてもよい。この場合は、上記風外力が居住区3に直接作用することで該居住区3に対して作用する力を考慮した上で、該居住区3の絶対空間における変位の応答が小さくなるように、制御器7による各アクチュエータ5a,5bの制御則を導くようにすればよい。
又、上記のように、外周フレーム20と天井フレーム21を省略する場合、支持フレーム4は、居住区3を全方位へ変位可能に支持でき且つ居住区3との間に介在させるためのアクチュエータ5a,5bと、加速度センサ6とを設置できるようにしてあれば、該支持フレーム4の外周側端部は、必ずしも居住区3の外周側へはみ出させる必要はない。したがって、上記支持フレーム4の外周側端部の形状は、適宜変更してもよい。更に、この場合は、上記支持フレーム4の内周端部に取り付ける内周フレーム4aは、その上端部が居住区3の上端部より低くなっていてもよい。
又、上記実施の形態では、塔状構造物本体2に、居住区3が昇降可能に取り付けてある形式の塔状構造物1に適用したものについて示したが、図8に示す如く、塔状構造物本体2の所要高さ位置に、図1乃至図6の実施の形態と同様の支持フレーム4を固定し、該支持フレーム4の上側に、図1乃至図6の実施の形態と同様に、居住区3を、水平面内の全方位に変位可能に支持させると共に、上記支持フレーム2と居住区3との間にアクチュエータ5を介在させるように設けて、該アクチュエータ5の駆動により、上記支持フレーム2上にて上記居住区3を水平面内の全方位へ相対移動させることができるようにし、更に、上記支持フレーム4の揺れを検出するための加速度センサ6と、該センサ6からの入力信号に応じて上記アクチュエータ5へ制御指令を与える制御器7を備えてなる構成としてもよい。
制御器7による各アクチュエータ5a,5bを制御するための制御則は、居住区3の絶対空間における変位の応答を小さくすることができるようにしてあれば、LQ制御理論以外の制御理論に基いて導出してもよい。
支持フレーム4の揺れを検出するためのセンサとしては加速度センサ6を示し、又、支持フレーム4上における居住区3の相対変位の方向や、変位量、変位速度については、各アクチュエータ5a,5bの駆動モータ17の回転数から検出するものとして示したが、支持フレームの揺れと、支持フレーム4上における居住区3の相対変位の方向、変位量、変位速度をそれぞれ検出できるようにしてあれば、任意のセンサを採用してよい。
図1乃至図4の実施の形態における支持フレーム4の昇降駆動機構10は、ラック、ピニオン形式やその他、図示した以外のいかなる形式の昇降駆動機構を採用してもよい。
塔状構造物本体2に、該塔状構造物本体2に発生する揺れを速やかに低減させるためのマスダンパ方式やその他、任意の方式の制振装置を設けてもよい。又、塔状構造物本体2に高次モードの振動が生じる場合は、モードの腹となる塔状構造物本体2の高さ方向の中央部に、マスダンパ方式やその他、任意の方式の制振装置を設けるようにしてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の構造物居住区の免振装置の実施の一形態を示す概要図である。 図1の装置における支持フレームと居住区の部分を拡大して示す概略切断正面図である。 図1の装置における支持フレームと居住区の部分を拡大して示す概略切断側面図である。 (イ)は図2のA−A方向矢視図、(ロ)は図2のB−B方向矢視図である。 図1の装置における居住区と、塔状構造物本体及び支持フレームとを二自由度系のモデルに示した図である。 図5のモデルを用いて算出した塔状構造物本体と一緒に揺れる支持フレームの絶対変位と、居住区の支持フレームに対する相対変位と、居住区の絶対変位の時刻歴応答波形を示す図である。 本発明の実施の他の形態を示す図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す図である。
符号の説明
2 塔状構造物本体(構造物本体)
3 居住区
4 支持フレーム
5a,5b アクチュエータ
6 加速度センサ(センサ)
7 制御器
20 外周フレーム(フレーム)
21 天井フレーム(フレーム)

Claims (5)

  1. 構造物本体に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにすることを特徴とする構造物居住区の免振方法。
  2. 構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに水平方向に変位可能に居住区を支持させて、構造物本体と一体に上記支持フレームに揺れによる水平方向の変位が生じるときに、上記支持フレームと居住区との間に介在させたアクチュエータにより、上記支持フレームの揺れの絶対変位と同等振幅、逆位相で支持フレームに対し上記居住区を相対変位させることで、上記居住区の絶対空間における変位を小さくするようにすることを特徴とする構造物居住区の免振方法。
  3. 構造物本体に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有することを特徴とする構造物居住区の免振装置。
  4. 構造物本体に昇降駆動可能に取り付けた支持フレームに、居住区を水平方向に変位可能に支持させると共に、上記支持フレームと居住区との間に、アクチュエータを介在させて設け、更に、上記構造物本体と一緒に揺れる上記支持フレームの揺れを検出するセンサと、該センサからの入力信号を基に上記アクチュエータへ上記居住区の絶対空間における変位を小さくするように制御指令を与える制御器を備えてなる構成を有することを特徴とする構造物居住区の免振装置。
  5. 支持フレーム上に支持してなる居住区の外周と上側を覆うフレームを設けて、上記居住区に風外力が直接作用しないようにした請求項3又は4記載の構造物居住区の免振装置。
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