JP2009209340A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などの吸水性の低い記録媒体においても、印刷斑のない高品質な記録物を得ることができるインクジェット記録用インク組成物に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで銀塩写真やオフセット印刷によってのみ実現されてきた高精細印刷の分野にまでインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、銀塩写真やオフセット印刷の分野で用いられてきた印画紙やアート紙等に匹敵する高光沢性の記録媒体、いわゆる専用紙をインクジェット記録に使用して、銀塩写真並の光沢感を有する画像を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。また、普通紙を用いた場合であっても、銀塩写真並の画質を実現できるインクジェット記録用のインクが開発されている。
アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなるものである。
本明細書において、アルカンジオールおよびアルカントリオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
本発明によるインクジェット記録用インク組成物に用いられるアルコール溶剤は、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの少なくとも三種類の有機溶剤を含む。これら三種類のアルコール溶剤を必須成分として含むことにより、印刷本紙、とりわけインク吸収能力の比較的高い、アート紙、POD用途紙(例えば、リコー株式会社製のリコービジネスコートグロス100等)、レーザープリンタ専用紙(例えば、セイコーエプソン株式会社製、LPCCTA4等)において、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。なお、本明細書中、凝集とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色(インクの色数のことではない)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、白筋とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色で印刷した際)に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、記録ヘッドの駆動方向に、記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が筋上に残る現象を意味する。また、ザラツキ感または埋まり不良とは、上記と同様に面として印刷した際に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、かつ記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が残存し、記録媒体の表面がざらざらとした粒状感がある現象を意味する。
本発明によるインクジェット記録用インク組成物に用いられる着色材としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、耐光性や耐水性の観点から顔料を好適に使用できる。
本発明によるインク組成物は、着色材を分散させるための分散剤として、スチレン−アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂を含んでなることが好ましい。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
シクロヘキサン、5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチル(CAS No.4098−71−9)
エタノール、2,2‘−[9H−フルオレン−9−イリデンビス(4,1−フェニレンオキシ)]ビス(CAS No.117344−32−8)
プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチル(CAS No.4767−03−7)
エタンアミン、N,N−ジエチル−(CAS No.121−44−8)
本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、必須成分として界面活性剤を含む。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリード)を防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
本発明によるインクジェット記録用インク組成物は、上記した特定のアルコール溶剤および界面活性剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本発明によるインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本発明による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えばLPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)としては、例えばものが挙げられる。
下記表1の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表中のスチレン−アクリル酸系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。ウレタン系樹脂は、分子量6000、酸価50の共重合体である。また、フルオレン樹脂は、CAS No.117344−32−8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50重量%含有する、分子量3300の樹脂である。さらに、用いた界面活性剤は、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
実施例1〜12の1,2−ヘキサンジオールを、4−メチル1,2−ペンタンジオールに代えた以外は同様にして、インクセット49〜60を調製した。
また、実施例1〜12の1,2−ヘキサンジオールを、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオールに代えた以外は同様にして、インクセット61〜72を調製した。
また、上記の実施例1〜72のインクセットおよび比較例1〜6のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット73〜144および比較例のインクセット7〜12を調製した。
また、上記の実施例1〜72のインクセットおよび比較例1〜6のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット145〜216および比較例のインクセット13〜18を調製した。
また、上記の実施例1〜72のインクセットおよび比較例1〜6のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット217〜288および比較例のインクセット19〜24を調製した。
また、上記の実施例1〜72のインクセットおよび比較例1〜6のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット289〜360および比較例のインクセット25〜30を調製した。
インクの初期粘度の評価
上記のようにして得られた各インクについて、インク粘度の評価を行った。振動型粘度計(MV100型番、ヤマイチエレクトロニクス社製)を用い、インク調製後1時間経過後のインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。なお、測定温度は20℃とした。
S:粘度が4mPa・s以下である。
AA:粘度が4mPa・sを超え、5mPa・s以下である。
A:粘度が5mPa・sを超え、6mPa・s以下である。
B:粘度が6mPa・sを超え、7mPa・s以下である。
C:粘度が7mPa・sを超え、8mPa・s以下である。
D:粘度が8mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記にようにして調製したインクを、70℃の環境下で3日間放置した後、上記と同様にしてインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。
A:初期粘度との差が0.5mPa・s以下である。
B:初期粘度との差が0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下である。
C:初期粘度との差が1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下である。
D:初期粘度との差が2.0mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンター(PX−G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、約128g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)およびLPCCT(セイコーエプソン株式会社製)に、720×720dpiのベタ画像を記録した。記録は、双方向と単方向とで実施し、常温、常湿度環境下において実施した。インク付着量は概ね3.6mg/inch平米であった。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:双方向印刷においても、凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
B:双方向印刷においても凝集斑はないが、埋まり不良による白筋がある。
C:双方向印刷においては凝集斑があり、単方向印刷において凝集斑はないが、埋まり不良による白筋が発生する。
D:単方向印刷において、凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
結果は下記の表2に示される通りであった。
上記のインクカートリッジおよびインクジェットプリンターを用い、インク交換ボタンを押してからコンセントを抜いた。このように、ヘッドキャップが外れた状態にしてから、プリンタを40℃15%RHの環境に3日間放置した。
A:クリーニング操作を3回繰り返して目詰まりが回復する。
B:クリーニング操作を6回繰り返して目詰まりが回復する。
C:クリーニング操作を12回繰り返して目詰まりが回復する。
D:クリーニング操作を12回繰り返しても目詰まりが回復しない。
結果は下記の表2に示される通りであった。
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンター(PX−G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、約128g/平米のミラーコートプラチナ(王子製紙株式会社製)に、720×720dpiのベタ画像を記録した。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:双方向印刷においても、凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
B:双方向印刷においても凝集斑はないが、埋まり不良による白筋がある。
C:双方向印刷においては凝集斑があり、単方向印刷において凝集斑はないが、埋まり不良による白筋が発生する。
D:単方向印刷において、凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
結果は下記の表2に示される通りであった。
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンター(PX−G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、常温、常湿度環境下において、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、720×720dpiでベタ画像を記録した場合のインク付着料が概ね3.6mg/inch平米であった。この条件で、約128g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)に、フォント8とフォント12の「薔薇」という漢字を単方向で印刷した。
得られた文字について、下記の基準により評価を行った。
A:フォント8の「薔薇」という漢字が、容易に認識できる。
B:フォント12の「薔薇」という漢字が、容易に認識できるが、フォント8の「薔薇」という漢字が、容易に認識できない。
C:フォント12の「薔薇」という漢字が、容易に認識できない。
結果は下記の表2に示される通りであった。
Claims (26)
- 着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、
アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなる、インクジェット記録用インク組成物。 - 前記難水溶性のアルカンジオールが、炭素数7以上のアルカンジオールである、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性アルカンジオールが、炭素数6以下のアルカンジオールである、請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性のアルカントリオールが、主鎖の炭素数が5以上のアルカントリオールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性アルカンジオールとの含有量比が、1:1〜1:6である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性アルカントリオールとの含有量比が、1:1〜1:6である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性アルカンジオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、9重量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性アルカントリオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、21重量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 難水溶性のアルカンジオールが、インク組成物に対し、1〜3重量%含まれてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性のアルカンジオールが、インク組成物に対し、1〜6重量%含まれてなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性アルカントリオールが、インク組成物に対し、3〜18重量%含まれてなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記難水溶性のアルカンジオールが、1,2−オクタンジオールである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性アルカンジオールが、1,2−ヘキサンジオール、4−メチル1,2−ペンタンジオール、および3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオールからなる群より選択される一種または2種以上である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性アルカントリオールが、1,2,6−ヘキサントリオール、および3−メチルペンタン−1,3,5―トリオールからなる群より選択される一種または二種である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記界面活性剤が、インク組成物に対し、0.01〜1.0重量%含まれてなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記界面活性剤が、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤である、請求項15に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記着色材が、顔料およびその顔料をインク中に分散させることが可能な分散剤を含んでなる、請求項1〜20のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記分散剤が、スチレン−アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂を含んでなる、請求項21に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記分散剤が、インク組成物に対し、1.0〜6.0重量%含まれてなる、請求項22に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、請求項1〜23のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物を用いる、インクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、合成樹脂を主原料とする合成紙または印刷本紙である、請求項24に記載の方法。
- 請求項24または25に記載のインクジェット記録方法によって記録が行われた、記録物。
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