JP2010115843A - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うこと。
【解決手段】着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、を備える印刷装置
【選択図】図9
【解決手段】着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、を備える印刷装置
【選択図】図9
Description
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
複数色のインクを媒体に吐出して、媒体上に画像を形成するインクジェット式のプリンタが知られている。このようなインクジェット式のプリンタにおいて、これまで使用されてきたインクでは、媒体に吐出される単位面積あたりのインク総重量(吐出デューティ)を高くすると凝集という現象を生じてしまうため、高い吐出デューティで使用することができなかった。このような理由から、高い吐出デューティでインクを吐出しないようにしているため、媒体においてインクが滲むほどのインク密度となることは少なかった。
特許文献1には、カラー間のにじみを少なくする一つの方法として画素エッチングを行うことが示されている。
特開平10−100453号公報
高発色の印刷を行うためには媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高める必要がある。しかしながら、単位面積あたりのインク重量を高めた場合には、インクの滲み及び凝集現象を生ずることがあり、美しい印刷を行うことが難しいという問題があった。つまり、高発色の印刷を行うために単位面積あたりの液体重量を高めつつ凝集及び滲みのない印刷を行うことが難しいという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことを目的とする。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、
を備える印刷装置である。
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、
を備える印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、
を備える印刷装置。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、
を備える印刷装置。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
かかる印刷装置であって、前記アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含むことが望ましい。また、前記難水溶性のアルカンジオールが、炭素数7以上のアルカンジオールであることが望ましい。また、前記水溶性の1,2−アルカンジオールが、炭素数6以下のアルカンジオールであることが望ましい。また、前記着色剤が、顔料および該顔料をインク中に分散させることが可能な分散剤を含むことが望ましい。
また、前記制御部は、前記媒体に前記画像を形成する際に、前記画像にエッジフィルタを適用したフィルタ適用後画像を求め、前記フィルタ適用後画像について二値化処理を行ってエッジ画素を求め、前記エッジ画素に対応する前記処理対象の画像の画素を無色に設定したデータを用いることにより、前記エッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御することが望ましい。また、前記媒体が、合成樹脂を主原料とする合成紙または印刷本紙であることが望ましい。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
画像におけるエッジ画素を求めることと、
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを前記エッジ画素には吐出しないようにして媒体に前記画像を形成することと、
を含む印刷方法。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを前記エッジ画素には吐出しないようにして媒体に前記画像を形成することと、
を含む印刷方法。
このようにすることで、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うことができる。
===実施形態===
図1は、印刷システムの全体構成のブロック図である。この印刷システム100は、プリンタ1、コンピュータ110、表示装置120、及び入力装置130を備えている。第1実施形態において、プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷するインク吐出型のラインプリンタである。
図1は、印刷システムの全体構成のブロック図である。この印刷システム100は、プリンタ1、コンピュータ110、表示装置120、及び入力装置130を備えている。第1実施形態において、プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷するインク吐出型のラインプリンタである。
コンピュータ110は、CPU113、メモリ114、インタフェース112、及び記録再生装置140を備えている。CPU113は、プリンタドライバなどの様々なプログラムを実行し、例えば後述するプリンタ1に印刷させる画像について画像処理を行う。メモリ114は、プリンタドライバなどのプログラムやデータを記憶する。インタフェース112は、USBやパラレルインタフェースなどのプリンタ1に接続するためのインタフェースである。記録再生装置140は、CD−ROMドライブやハードディスクドライブであって、プログラムやデータを記憶するための装置である。
コンピュータ110は、インタフェース112を介してプリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。
コンピュータ110には、プリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。
コンピュータ110は、インタフェース112を介してプリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。
コンピュータ110には、プリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。
<プリンタの構成について>
図2Aは、プリンタ1の断面図である。また、図2Bは、プリンタ1の用紙Sの搬送処理を説明するための斜視図である。以下に、図1も参照しつつ、ラインプリンタの基本的な構成について説明する。
図2Aは、プリンタ1の断面図である。また、図2Bは、プリンタ1の用紙Sの搬送処理を説明するための斜視図である。以下に、図1も参照しつつ、ラインプリンタの基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、用紙搬送機構20、ヘッドユニット40、検出器群50、ASIC60、及び駆動信号生成回路70を有する。プリンタ1は、コンピュータ110から印刷データを受信する。そして、受信したデータに基づいてプリンタ1のASIC60がプリンタ1の各部(用紙搬送機構20、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路70)を制御し、用紙Sに画像を印刷する。
プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されている。検出器群50は、検出結果をASIC60に出力する。そして、ASIC60は、この検出結果に基づいて、各部を制御する。
プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されている。検出器群50は、検出結果をASIC60に出力する。そして、ASIC60は、この検出結果に基づいて、各部を制御する。
用紙搬送機構20は、媒体(例えば、用紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ(不図示)と、上流側の搬送ローラ23A及び下流側の搬送ローラ23Bと、ベルト24とを有する。給紙ローラ21は、用紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。下流側の搬送ローラ23Bには不図示の搬送モータが接続されている。搬送モータが回転すると、下流側の搬送ローラ23Bが回転する。そうすると、ベルト24がこれにあわせて回転し、また上流側の搬送ローラ23Aも回転する。不図示の搬送モータの回転はASIC60により制御される。上流側の搬送ローラ23Aには、ばね29が取り付けられている。そして、上流側の搬送ローラ23Aは水平方向に微小変位を可能とし、ベルト24のたわみが生じないようにしている。
給紙ローラ21によって給紙された用紙Sは、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト24が用紙Sを搬送することによって、用紙Sがヘッドユニット40に対して搬送方向に移動する。印刷可能な領域を通過した用紙Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。尚、搬送中の用紙Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインク滴を吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、搬送中の用紙Sに対してインク滴を吐出することによって、用紙Sにドットを形成し、画像を用紙Sに印刷する。このプリンタ1はラインプリンタであり、ヘッドユニット40は後述するように第1ヘッド410〜第4ヘッド440の4つのヘッドを有している。このヘッドユニット40の構成については、後に詳述する。
検出器群50には、ロータリー式エンコーダ(不図示)等が含まれる。ロータリー式エンコーダは、上流側搬送ローラ23Aや下流側搬送ローラ23Bの回転量を検出する。ロータリー式エンコーダの検出結果に基づいて、ASIC60は、用紙Sの搬送量を検出することができる。そして、用紙Sの所定量の搬送を制御することができるようになっている。
ASIC60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。ASIC60は、プリンタ1内のインタフェース部61に接続され、コンピュータ110と通信可能になっている。ASIC60は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理を行う機能を有する。また、プログラム及びデータを記憶するメモリを含んでいる。そして、メモリに格納されているプログラムに従って、各機構を制御する。
駆動信号生成回路70は、インク滴をノズルから吐出させるために、ヘッド内のピエゾ素子417に印加される駆動信号を生成する回路である。駆動信号生成回路70は、ASIC60から出力された波形データに基づいて、駆動信号をヘッドユニット40に出力する。駆動信号とは、所定の周期Tの間に複数の駆動パルスを含む信号である。駆動パルスは、選択的にピエゾ素子417に印加されインク滴を吐出させるためのパルスである。駆動信号は駆動信号生成回路70から繰り返し生成され出力される。
<ヘッドユニットの構成について>
再度図1を参照すると、ヘッドユニット40の各ヘッドにはヘッド制御部HCが含まれている。そして、ヘッド制御部HCの制御により各ノズルのピエゾ素子417に印加される駆動パルスが選択されるようになっている。そして、駆動パルスがピエゾ素子417に印加されることにより、個々のノズルからインク滴が吐出されるようになっている。ヘッド制御部HCは、ASIC60によって制御される。そうすることで、ASIC60によってノズルごとの吐出タイミングを変化させることができるようになっている。
再度図1を参照すると、ヘッドユニット40の各ヘッドにはヘッド制御部HCが含まれている。そして、ヘッド制御部HCの制御により各ノズルのピエゾ素子417に印加される駆動パルスが選択されるようになっている。そして、駆動パルスがピエゾ素子417に印加されることにより、個々のノズルからインク滴が吐出されるようになっている。ヘッド制御部HCは、ASIC60によって制御される。そうすることで、ASIC60によってノズルごとの吐出タイミングを変化させることができるようになっている。
図3はヘッドユニット40の4つのヘッドの詳細な配置を説明するための図である。図において、第1ヘッド410〜第4ヘッド440をプリンタ1の上部から見た図となっている。プリンタ1の上部から見た場合、これらのノズルは他の要素に阻まれて見ることができない。しかし、ここでは、第1ヘッド410〜第4ヘッド440のノズルの関係が理解しやすいように、ノズルの位置が実線で描かれている。
ヘッドユニット40には、第1ヘッド410〜第4ヘッド440の4つのヘッドが含まれている。これらのヘッドは、ノズル列方向の垂直方向が用紙の搬送方向になるように配置されている。そして、それぞれのヘッドには、4色のインク滴を吐出できるように4列のノズル列が含まれている。各ノズル列におけるノズル間の距離(ノズルピッチP)は、1/720インチである。また、各色について720個のノズルと、このノズルからインク滴を吐出させるためのピエゾ素子417が含まれている。ピエゾ素子417は、一つ一つノズルに独立したものが取り付けられている。尚、印刷する解像度をより高めるために、ノズルピッチのより小さいヘッドを採用することもできる。また、ヘッドユニット40の下流側に同様のヘッドユニットをP/2だけノズル列方向にずらして配置することとして、より高い解像度の印刷を行えるようにしてもよい。
また、第1ヘッド410のノズル#720と第2ヘッド420のノズル#1との間隔はノズルピッチP(1/720インチ)となるように配置される。第2ヘッド420〜第4ヘッド440のそれぞれも同様の間隔で配置される。
<凝集について>
図4は、凝集について説明するための図である。凝集とは、インクを吐出して印刷を行った際、局所的に生ずる同系色の濃度斑である。凝集が生ずると、濃度斑のためにザラツキ感、すなわち、粒状感のある印刷となってしまう。よって、高品質の印刷を行うためには、このような凝集を低減させることが必要である。
このようなインクの凝集は、インクドットの表面張力が高く、印刷本紙表面とインク滴との接触角が高いために、印刷本紙がインクをはじいてしまうことにより生ずると考えられる。よって、後述するように印刷本紙表面に付着したインクの表面張力を低減させると、インクの凝集は低減されると考えられる。
また、このようなインクの凝集は、特に、インクの吐出量が多い箇所に生じる傾向にある。そして、従来のインクでは上述のような凝集が発生するため、単位面積あたりの吐出量を多くできず、高発色の印刷を行えないという問題があった。よって、本実施形態では後述する組成のインクを使用することによって、単位面積あたりのインク重量を高めつつ凝集を低減した印刷を行うこととしている。
図4は、凝集について説明するための図である。凝集とは、インクを吐出して印刷を行った際、局所的に生ずる同系色の濃度斑である。凝集が生ずると、濃度斑のためにザラツキ感、すなわち、粒状感のある印刷となってしまう。よって、高品質の印刷を行うためには、このような凝集を低減させることが必要である。
このようなインクの凝集は、インクドットの表面張力が高く、印刷本紙表面とインク滴との接触角が高いために、印刷本紙がインクをはじいてしまうことにより生ずると考えられる。よって、後述するように印刷本紙表面に付着したインクの表面張力を低減させると、インクの凝集は低減されると考えられる。
また、このようなインクの凝集は、特に、インクの吐出量が多い箇所に生じる傾向にある。そして、従来のインクでは上述のような凝集が発生するため、単位面積あたりの吐出量を多くできず、高発色の印刷を行えないという問題があった。よって、本実施形態では後述する組成のインクを使用することによって、単位面積あたりのインク重量を高めつつ凝集を低減した印刷を行うこととしている。
<ブリーディングについて>
ところで、このように凝集が生じにくいインクを用いて高発色の印刷を行うべく単位面積あたりの総インク量を増加させていくと、異なる色同士が滲むというブリーディングを生ずる。
ところで、このように凝集が生じにくいインクを用いて高発色の印刷を行うべく単位面積あたりの総インク量を増加させていくと、異なる色同士が滲むというブリーディングを生ずる。
図5は、ブリーディングを生じないときの媒体におけるインクを示す図である。図には、マゼンタインクMのインク滴とシアンインクCのインク滴が示されている。ここでは、説明の容易のために単色のインク色のインク滴が示されている。図に示すようにドットサイズが小さい場合は勿論のこと、ドットサイズが大きい場合であっても両者のインク同士が離れているため、両者が混ざり合ってブリーディングを生ずることはない。ここでも、説明を簡単にするために単色のインク色のインク滴を示して説明しているが、図に示されている1つのインク滴が複数色のインク色からなる合成色であった場合であっても、インク滴同士が離れていればブリーディングを生じないということは同様である。また、図に示すとおり、インク滴が用紙Sにしみこんだ場合であっても、用紙Sの内部でインク同士は離れているため、両者が混ざり合うことはない。
図6は、ブリーディングを生ずるときの媒体におけるインクを示す図である。図に示すように、ドットサイズが大きい場合であってもドットサイズが小さい場合であっても、単位面積あたりの総インク量が多い場合には用紙Sに着弾したインクが用紙上で重なり合うことになる。つまり、両者は用紙上で混ざり合い、ブリーディングを生ずることとなる。
また、図に示されている1つのインク滴が複数色のインク色からなる合成色であった場合であっても、異なる合成色同士が用紙上で混ざり合うことになればブリーディングを生じ、本来の色とは異なった色が形成されてしまうことになる。合成色が所望のインク色同士の合成によって生じる場合には、それによって形成される画像も所望のものとなる。しかしながら、本来予定しないインク同士が混ざり合ってブリーディングを生ずることとなると、画質が悪化する。
ところで、ブリーディングのうち、徐々に色が変化するようなグラデーションにおいて生ずるブリーディングであれば視覚的に大きな影響を与えないと考えられる。一方、色が急激に変化する箇所において異なる色同士のブリーディングが生ずることとなると画像のエッジ部分が明瞭でなくなり、画質の悪化が目立つことになる。
よって、以下に示す実施形態では、色が急激に変化するエッジ画素について意図的に無色を設定する(以下、画素エッチングという)こととする。そして、その後のインクの吐出においてエッジ画素に対応する場所にはインクを吐出しないこととする。このようにすることで、エッジ画素において急激に変化する色同士が混ざり合うブリーディングを防止して良好な画像を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、以下に示すインクを使用しつつ、さらに以下に示すようなブリーディングが生じにくい手法によって印刷を行うことにより、媒体に吐出される単位面積あたりのインク重量を高めつつインクの凝集及び滲みを改善した印刷を行うこととしている。
<印刷データ生成処理について>
図7は、印刷データ生成処理を説明するためのフローチャートである。図に示すように、印刷データ生成処理では、サイズ変換処理(S102)、色変換処理(S104)、画素エッチング処理(S106)、ハーフトーン処理(S108)、及び、ラスタライズ処理(S110)が行われる。
図7は、印刷データ生成処理を説明するためのフローチャートである。図に示すように、印刷データ生成処理では、サイズ変換処理(S102)、色変換処理(S104)、画素エッチング処理(S106)、ハーフトーン処理(S108)、及び、ラスタライズ処理(S110)が行われる。
サイズ変換処理(S102)からラスタライズ処理(S110)までの処理は、コンピュータ110のプリンタドライバにおいて行われる。そして、ラスタライズ処理後の印刷データがプリンタに送られることになる。但し、これらの処理をプリンタ1のASIC60において行うこととしてもよい。
サイズ変換処理(S102)は、画像データを用紙Sに画像を印刷する際の解像度に変換する処理である。ここでは、後述する画素エッチング処理において行われる解像度変換処理と区別するためにサイズ変換処理と呼ぶことにしている。
色変換処理(S104)は、RGB画像データの各RGB画素データを、YMCK色空間により表される多段階の階調値を有するデータに変換する処理である。この色変換処理は、RGBの輝度値とYMCKの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブル)を参照することによって行われる。
色変換処理が完了すると、次に、画素エッチング処理(S106)が行われる。画素エッチング処理については、後に詳述する。
サイズ変換処理(S102)は、画像データを用紙Sに画像を印刷する際の解像度に変換する処理である。ここでは、後述する画素エッチング処理において行われる解像度変換処理と区別するためにサイズ変換処理と呼ぶことにしている。
色変換処理(S104)は、RGB画像データの各RGB画素データを、YMCK色空間により表される多段階の階調値を有するデータに変換する処理である。この色変換処理は、RGBの輝度値とYMCKの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブル)を参照することによって行われる。
色変換処理が完了すると、次に、画素エッチング処理(S106)が行われる。画素エッチング処理については、後に詳述する。
画素エッチング処理が完了すると、ハーフトーン処理(S108)が行われる。ハーフトーン処理は、多段階の階調値を有するYMCK画素データから、プリンタで表現可能な少段階の階調データに変換する処理である。このハーフトーン処理により、例えば、256段階の階調値を示すYMCK画素データから、4段階の階調値を示す2ビットのドット形成データが得られる。すなわち、ドット無しを示す[00]、小ドットを示す[01]、中ドットを示す[10]、大ドットを示す[11]の2ビットのドット形成データのいずれかが各画素に設定されることになる。
本実施形態におけるハーフトーン処理は、例えばディザ処理などが用いられる。一方、本実施形態におけるハーフトーン処理では、誤差拡散法など本来ドットの存在しない位置にドットを生じさせてしまうような手法は用いられない。これは、後述する画素エッチングによってエッジ画素を無色に設定したにもかかわらず、誤差拡散法を用いることでエッジ画素に対応する位置にドットを形成するようなことになれば画素エッチング処理が無駄となってしまうためである。
尚、画素エッチング処理をハーフトーン処理(S108)の前に行うこととしたが、ハーフトーン処理の後に行うこととしてもよい。
尚、画素エッチング処理をハーフトーン処理(S108)の前に行うこととしたが、ハーフトーン処理の後に行うこととしてもよい。
ラスタライズ処理(S110)は、ハーフトーン処理で得られたドット形成データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたドット形成データは、コマンドデータなどとともに、印刷データとしてプリンタ1に送られる。プリンタ1は、印刷データを受信し、ラスタライズ処理後のドット形成データをヘッド制御部HCに送る。ヘッド制御部HCは、各画素におけるドット形成データに従って用紙Sに印刷を行う。このようにすることによって、所望の画像の印刷が行われる。
<画素エッチング処理について>
図8は、画素エッチング処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、色の境界において1画素分の画素エッチングを行う方法について説明を行う。また、画像のデータがYMCK色空間における各画素の階調値として与えられるものとして説明する。
尚、画素エッチング処理後の画像を印刷するようにして、プリンタ1は画像のエッジ画素にインクを吐出しないように制御される。画素エッチング処理がコンピュータ110におけるプリンタドライバによって行われる場合、コンピュータ110とプリンタ1のASIC60が印刷装置の制御部に相当する。但し、プリンタ1のASIC60において画素エッチング処理が行われる場合には、このASIC60が印刷装置の制御部に相当することになる。
まず、画素エッチング処理を行う対象となる画像が入力される(S202)。ここで入力される画素エッチング処理の対象となる画像を説明の便宜上「オリジナル画像P」と呼ぶ。
図8は、画素エッチング処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、色の境界において1画素分の画素エッチングを行う方法について説明を行う。また、画像のデータがYMCK色空間における各画素の階調値として与えられるものとして説明する。
尚、画素エッチング処理後の画像を印刷するようにして、プリンタ1は画像のエッジ画素にインクを吐出しないように制御される。画素エッチング処理がコンピュータ110におけるプリンタドライバによって行われる場合、コンピュータ110とプリンタ1のASIC60が印刷装置の制御部に相当する。但し、プリンタ1のASIC60において画素エッチング処理が行われる場合には、このASIC60が印刷装置の制御部に相当することになる。
まず、画素エッチング処理を行う対象となる画像が入力される(S202)。ここで入力される画素エッチング処理の対象となる画像を説明の便宜上「オリジナル画像P」と呼ぶ。
図9は、オリジナル画像Pにおける各画素を説明するための図である。図には、オリジナル画像Pにおける一部の画素が示されている。そして、各画素の階調値pが配列として示されている。
オリジナル画像Pが入力されると、第1解像度変換処理(S204)が行われる。第1解像度変換処理は、後の処理において画像の解像度を整数倍に変換することになるため、これを考慮して予め画像の解像度を下げて画像のサイズを下げるための処理である。
本実施形態では、バイキュービック法によりオリジナル画像Pの解像度を1/3の解像度に下げる。例えば、オリジナル画像Pの解像度が720dpiであった場合、240dpiへと解像度を下げる。第1解像度変換処理が行われた後の画像を説明の便宜上、「第1解像度変換後画像P’」と呼ぶ。このような処理は、YMCKプレーンの各プレーンについて行われる。
オリジナル画像Pが入力されると、第1解像度変換処理(S204)が行われる。第1解像度変換処理は、後の処理において画像の解像度を整数倍に変換することになるため、これを考慮して予め画像の解像度を下げて画像のサイズを下げるための処理である。
本実施形態では、バイキュービック法によりオリジナル画像Pの解像度を1/3の解像度に下げる。例えば、オリジナル画像Pの解像度が720dpiであった場合、240dpiへと解像度を下げる。第1解像度変換処理が行われた後の画像を説明の便宜上、「第1解像度変換後画像P’」と呼ぶ。このような処理は、YMCKプレーンの各プレーンについて行われる。
図10は、第1解像度変換後画像P’における各画素を説明するための図である。図には、第1解像度変換後画像P’における一部の画素が示されている。そして、第1解像度変換後画像P’の各画素の階調値p’が配列として示されている。
ここでは解像度が1/3になるように解像度の変換が行われた。よって、図9において太線で囲われた複数の画素が図10において1つの画素に対応するように変換される。例えば、p(1,1)〜p(3,3)を含む太線で囲われた領域の画素が、図10における画素p’(1,1)に対応するように変換される。
ここでは解像度が1/3になるように解像度の変換が行われた。よって、図9において太線で囲われた複数の画素が図10において1つの画素に対応するように変換される。例えば、p(1,1)〜p(3,3)を含む太線で囲われた領域の画素が、図10における画素p’(1,1)に対応するように変換される。
次に、第2解像度変換処理が行われる(S206)。第2解像度変換処理では、後に適用されるエッジ検出フィルタ(エッジフィルタ)の行列数以上の値の倍率で第1解像度変換後画像P’の解像度が変換される。本実施形態では、エッジ検出フィルタの行列数は3であるため、第2解像度変換処理における解像度変換の倍率として3以上(3,4,5,・・・)の値を用いることができるが、ここでは、第1解像度変換後画像P’の解像度を6倍するように画像の変換が行われる。ここで、第1解像度変換後画像P’の解像度を変換した後の画像を説明の便宜上、「第2解像度変換後画像P’’」と呼ぶ。
このようにすると、第2解像度変換後画像P’’の解像度は1440dpiとなる。すなわち、オリジナル画像Pと比較して、解像度変換後画像P’’の解像度は2倍となっていることによる。
このようにすると、第2解像度変換後画像P’’の解像度は1440dpiとなる。すなわち、オリジナル画像Pと比較して、解像度変換後画像P’’の解像度は2倍となっていることによる。
第2解像度変換処理で用いられる変換方法は、ニアレストネイバー法(最近傍法)などの補間が入らない手法にて行われる。ここで補間が入らない手法が適用されるのは、オリジナル画像Pには存在しないグラデーションが解像度変換後画像P’’に発生してしまうことを回避するためである。
また、第2解像度変換処理において、エッジ検出フィルタのマトリックスのサイズに応じた値(例えば、3×3のエッジ検出フィルタであれば3以上の整数)となるように画像の変換が行われるのは、3×3のエッジ検出フィルタを適用した場合に少なくともエッジ画素を得るためには、同じ色の画素が少なくとも連続して3画素並ぶようにしておく必要があるためである。
また、第2解像度変換処理において、エッジ検出フィルタのマトリックスのサイズに応じた値(例えば、3×3のエッジ検出フィルタであれば3以上の整数)となるように画像の変換が行われるのは、3×3のエッジ検出フィルタを適用した場合に少なくともエッジ画素を得るためには、同じ色の画素が少なくとも連続して3画素並ぶようにしておく必要があるためである。
図11は、第2解像度変換後画像P’’における各画素を説明するための図である。図には、第2解像度変換後画像P’’における一部の画素が示されている。そして、変換後の各画素の階調値p’’が配列として示されている。
ここでは、解像度が6倍になるように画像の変換処理が行われた。よって、図10において太線で囲われた1つの画素が、図11において太線で囲われた6×6の画素に対応するように変換される。例えば、図10におけるp’(1,1)の画素が、図11における画素p’’(1,1)〜p’’(6,6)に対応するように変換される。このような処理は、YMCKプレーンの各プレーンについて行われる。
ここでは、解像度が6倍になるように画像の変換処理が行われた。よって、図10において太線で囲われた1つの画素が、図11において太線で囲われた6×6の画素に対応するように変換される。例えば、図10におけるp’(1,1)の画素が、図11における画素p’’(1,1)〜p’’(6,6)に対応するように変換される。このような処理は、YMCKプレーンの各プレーンについて行われる。
次に、エッジ検出処理が行われる(S208)。エッジ検出処理では、エッジ検出フィルタが第2解像度変換後画像P’’に適用される。
図12は、本実施形態において適用されるエッジ検出フィルタである。本実施形態では、図に示す通り3×3のエッジ検出フィルタを用いる。エッジフィルタを画像に適用すると、エッジが強い画素において大きな値が得られる。一方、エッジが強くない画素において小さな値が得られる。すなわち、色の変化が大きい場合には大きな値が設定され、色の変化が少ない場合には小さな値が設定されることとなる。尚、ここで適用されるエッジ検出フィルタは、図12に示すものに限られない。
エッジ検出フィルタの適用は、YMCKの各プレーンについて行われる。そして、各プレーンについてエッジ検出フィルタが適用されたフィルタ適用後画像Fが得られる。
図12は、本実施形態において適用されるエッジ検出フィルタである。本実施形態では、図に示す通り3×3のエッジ検出フィルタを用いる。エッジフィルタを画像に適用すると、エッジが強い画素において大きな値が得られる。一方、エッジが強くない画素において小さな値が得られる。すなわち、色の変化が大きい場合には大きな値が設定され、色の変化が少ない場合には小さな値が設定されることとなる。尚、ここで適用されるエッジ検出フィルタは、図12に示すものに限られない。
エッジ検出フィルタの適用は、YMCKの各プレーンについて行われる。そして、各プレーンについてエッジ検出フィルタが適用されたフィルタ適用後画像Fが得られる。
次に、各プレーンのフィルタ適用後画像を合成する処理が行われる(S210)。
図13は、各プレーンのフィルタ適用後画像Fの合成について説明するための図である。各プレーンのフィルタ適用後画像の合成は、各プレーンにおけるフィルタ適用後画像Fの同じ位置の画素に設定された値の平均値を求めることにより行われる。すなわち、各プレーンにおけるフィルタ適用後画像Fの同じ配列番号の画素に設定された値の平均値を求めることにより行われる。図には、各プレーンのフィルタ適用後画像が示されている(各プレーンを示すものとして、フィルタ適用後画像Fの添え字にYMCKのいずれかの文字が付されている)。このようにして、4枚のフィルタ適用後画像のプレーンは1つの合成後フィルタ適用後画像Fに変換される。
図13は、各プレーンのフィルタ適用後画像Fの合成について説明するための図である。各プレーンのフィルタ適用後画像の合成は、各プレーンにおけるフィルタ適用後画像Fの同じ位置の画素に設定された値の平均値を求めることにより行われる。すなわち、各プレーンにおけるフィルタ適用後画像Fの同じ配列番号の画素に設定された値の平均値を求めることにより行われる。図には、各プレーンのフィルタ適用後画像が示されている(各プレーンを示すものとして、フィルタ適用後画像Fの添え字にYMCKのいずれかの文字が付されている)。このようにして、4枚のフィルタ適用後画像のプレーンは1つの合成後フィルタ適用後画像Fに変換される。
次に、エッジ二値化処理(S212)が行われる。エッジ二値化処理では、合成後フィルタ適用後画像の各画素の値について、所定の閾値を基準として2つの数値のうちのいずれかの値に変換する。本実施形態において、所定の閾値は128であり、2つの数値は0又は255である。そして、合成後フィルタ適用後画像において、閾値である128以上の値を有する画素に0を設定する。すなわち、エッジが強い画素には値0が設定されることになる。一方、128未満の値を有する画素に255を設定する。すなわち、エッジが弱い画素には値255が設定されることになる。このようにして得られた画像を、説明の便宜上、二値化適用後画像Eとする。
図14は、二値化適用後画像Eにおける各画素を説明するための図である。図には、二値化適用後画像Eにおける一部の画素が示されている。そして、各画素の値eが配列として示されている。
この時点では、二値化適用後画像Eの解像度は、1440dpiになっているが、ここでは、再度、解像度を下げる処理を行う。本実施形態では、二値化適用後画像Eの解像度をニアレストネイバー法を用いて1/2の解像度である720dpiに変換する。そして、解像度変換後の二値化適用後画像Eを新たな二値化適用後画像E’とする。
この時点では、二値化適用後画像Eの解像度は、1440dpiになっているが、ここでは、再度、解像度を下げる処理を行う。本実施形態では、二値化適用後画像Eの解像度をニアレストネイバー法を用いて1/2の解像度である720dpiに変換する。そして、解像度変換後の二値化適用後画像Eを新たな二値化適用後画像E’とする。
図15は、二値化適用後画像E’の各画素を説明するための図である。図には、二値化適用後画像E’における一部の画素が示されている。そして、各画素の値e’が配列として示されている。前述のように、ここでは、解像度を1/2とするような変換処理が行われた。よって、図14において太線で囲われた2×2の画素が図15における1つの画素に対応するように変換されることとなる。例えば、図14において太線で囲われたe(1,1)〜e(2,2)の画素は、図15におけるe’(1,1)の画素に対応するように変換される。
次に、二値化画像重ね合わせ処理(S214)が行われる。二値化画像重ね合わせ処理では、同じ位置における画素について、二値化適用後画像E’の画素の値とオリジナル画像Pの画素の階調値との値とを比較して、小さい方の数値をその画素の階調値として採用し、画素エッチング処理後画像Cを得る。
次に、二値化画像重ね合わせ処理(S214)が行われる。二値化画像重ね合わせ処理では、同じ位置における画素について、二値化適用後画像E’の画素の値とオリジナル画像Pの画素の階調値との値とを比較して、小さい方の数値をその画素の階調値として採用し、画素エッチング処理後画像Cを得る。
図16は、画素エッチング処理後画像Cにおける各画素を説明するための図である。図には、画素エッチング処理後画像Cにおける一部の画素が示されている。そして、各画素の値cが配列として示されている。関数minを、いずれか小さい方の値を選択する関数とすると、オリジナル画像Pの画素p(x、y)と二値化適用後画像E’の画素e’を用いて、画素エッチング処理後画像Cの各画素c(x、y)の階調値は、
c(x,y)=min(p(x,y),e’(x,y))
となる。尚、この処理は、オリジナル画像PのYMCKプレーンの各プレーンについて適用される。
c(x,y)=min(p(x,y),e’(x,y))
となる。尚、この処理は、オリジナル画像PのYMCKプレーンの各プレーンについて適用される。
二値化適用後画像E’の各画素には、0か255の値が設定されている。そして、エッジが強い画素には0が設定され、エッジが弱い画素には255が設定されている。また、オリジナル画像Pの各画素には階調値として0〜255のいずれかの値が設定されている。ここでは、YMCK色空間を用いており、YMCK色空間では減法混色を採用するため、階調値が0に近いほど明るい色となり、階調値が255に近いほど暗い色となる。上述の式に従って、いずれか小さい方の値を選択した場合、二値化適用後画像E’において0が設定されている画素については、階調値として0が設定されることになる。一方、二値化適用後画像E’において255が設定されている画素については、階調値としてオリジナル画像Pの画素における階調値が設定されることとなる。
このようにすることで、画素エッチング処理後画像Cには、オリジナル画像Pのエッジが強い画素については白色となるような階調値に設定されることとなる。後に、このように階調値が設定された画素のデータに基づいて印刷を行う場合、白色の画素についてはインクを吐出しないこととなる。すなわち、エッジが強く色の変化が激しい箇所にはインクを吐出しない設定とすることができるようになる。このようにすることで、その箇所におけるインクのブリーディングを防止することができる画像を得ることができるようになる。
図17は、画素エッチング前の画素を説明するための図である。図には、2種類の異なる色が各画素に設定されている様子が示されている。ここでは、説明の容易のために色は2種類のみとして示されている。尚、ここでは説明の便宜上、斜線で塗りつぶした円を第1色とし、白色で塗りつぶした円を第2色とする。
図18は、画素エッチング処理後画像の画素を説明するための図である。図には、画素エッチング処理後画像において、第1色の画素と第2色の画素とが隣り合う位置にある画素のうちのいずれかの1画素分の色が無色に設定されている様子が示されている。
上述の画素エッチングを施すことにより、図に示すように、異なる2つの色の境界の画素の色を容易に無色に設定することができる。そして、その後、このように設定された階調値を有する画素のデータに基づいてインク滴を吐出するための印刷データを生成する。そして、この印刷データに基づいて印刷を行った場合、無色の画素にはインク滴を吐出しないこととなるため、異なる色の境界にインク滴が吐出されることはない。このようにして、異なる色の境界にインク滴を吐出しない領域が設定されるため、異なる色同士によるブリーディングを防止することができる。
尚、第1解像度変換処理(S204)における縮小率を大きくすると欠落する情報量が増加してしまうことが考えられる。よって、上述のようにエッジフィルタの行列数が3の場合において、第1解像度変換処理(S204)では解像度を1/2倍にする変換を行い、第2解像度変換処理(S206)では解像度を4倍にする変換を行い、エッジ2値化処理では解像度を1/2倍にする変換を行うこととしてもよい。このようにすることで、オリジナル画像からの情報の欠落量をできるだけ少なくなるようにして、画素エッチング処理を行うことができる。
上述の実施形態以外のときにおける各解像度変換時の倍率の設定は、次のようにして一般化された方法に基づいて行うこともできる。例えば、エッジフィルタの行列数をiとしたとき、第2解像度変換処理(S206)における解像度変換の倍率jはi以上(例えば、i=3のとき、j=3,4,5,・・・)とすることができる。これにあわせて、エッジ2値化処理(S212)における解像度変換時の倍率を(1/(j−1))倍とすることができる。そして、最終的に得られる画像の解像度がオリジナル画像Pの解像度と同じになるようにするために、第1解像度変換処理(S204)における解像度変換の倍率を((j−1)/j)倍となるように設定することができる。
<インクについて>
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなるものである。以下、各成分について説明する。
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、着色材と、水と、アルコール溶剤と、界面活性剤とを少なくとも含んでなるインクジェット記録用インク組成物であって、アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含んでなるものである。以下、各成分について説明する。
<定義>
本明細書において、アルカンジオール、ジアルキレングリコール、およびアルカントリオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、水溶性とは、20℃での、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0g以上であることを意味し、難水溶性とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。
本明細書において、アルカンジオール、ジアルキレングリコール、およびアルカントリオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、水溶性とは、20℃での、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0g以上であることを意味し、難水溶性とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。
<アルコール溶剤>
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物に用いられるアルコール溶剤は、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの少なくとも四種類の有機溶剤を含む。これら四種類のアルコール溶剤を必須成分として含むことにより、印刷本紙、とりわけインク吸収能力の比較的高い、アート紙、POD用途紙(例えば、リコー株式会社製のリコービジネスコートグロス100等)、レーザープリンタ専用紙(例えば、セイコーエプソン株式会社製、LPCCTA4等)において、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現でき、吐出安定性にも優れたインク組成物を実現できる。なお、本明細書中、凝集とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色(インクの色数のことではない)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、白筋とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色で印刷した際)に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、記録ヘッドの駆動方向に、記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が筋上に残る現象を意味する。また、ザラツキ感または埋まり不良とは、上記と同様に面として印刷した際に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、かつ記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が残存し、記録媒体の表面がざらざらとした粒状感がある現象を意味する。
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物に用いられるアルコール溶剤は、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの少なくとも四種類の有機溶剤を含む。これら四種類のアルコール溶剤を必須成分として含むことにより、印刷本紙、とりわけインク吸収能力の比較的高い、アート紙、POD用途紙(例えば、リコー株式会社製のリコービジネスコートグロス100等)、レーザープリンタ専用紙(例えば、セイコーエプソン株式会社製、LPCCTA4等)において、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現でき、吐出安定性にも優れたインク組成物を実現できる。なお、本明細書中、凝集とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色(インクの色数のことではない)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、白筋とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色で印刷した際)に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、記録ヘッドの駆動方向に、記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が筋上に残る現象を意味する。また、ザラツキ感または埋まり不良とは、上記と同様に面として印刷した際に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、かつ記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が残存し、記録媒体の表面がざらざらとした粒状感がある現象を意味する。
また、本実施形態においては、上記のような記録媒体において、目付が73.3〜 104.7g/m2の薄い印刷本紙等を用いた場合であっても、印字面が内側に反り返る、いわゆるカールの発生を抑制できる。
上記のように、難水溶性のアルカンジオールと水溶性の1,2− アルカンジオールとに加え、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを必須成分として添加することにより、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
印刷本紙に記録する場合に発生するインクの凝集は、インクドットの表面張力が高く、印刷本紙表面とインク滴との接触角が高いために、印刷本紙がインクを弾いてしまうことが原因であると考えられる。低解像度記録した場合に白筋や埋まり不良が発生するような場合であっても、印刷本紙表面に付着したインクの表面張力を低減させると、インクの凝集は抑制される。
また、低解像度記録における白筋や埋まり不良は、印刷本紙表面に付着したインクドットが隣接するインクドットと接触して、互いに濡れ広がり、相互に未乾燥のインクが流動することが原因であると考えられる。この相互のインク流動は、隣接するインクドット同士の付着時間差や付着時の液滴の大きさなどによって、インクドットの乾燥時間が異なることによるものと考えられる。したがって、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現するためには、表面張力が低く、かつ流動性の低いインクを、印刷本紙に付着させることが好ましいと考えられる。
ところが、インクの流動性を低減させるために浸透性湿潤剤を用いないと、印刷本紙表面に付着したインクドットの乾燥が速まり、また、インクの吸収も速まるため、付着したインクドット同士が濡れ広がる時間が失われ、その結果、低解像度記録において白筋や埋まり不良が発生するものと考えられる。
本実施形態において使用する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールは、グリセリンのような粘調性を示す物質である。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールはグリセリンよりも低い表面張力を示す浸透性湿潤剤である。例えば、10%水溶液とした場合の3− メチル-1,3,5− ペンタントリオールの表面張力は47.5mN/mであり、また、10%水溶液とした場合の3− メチル− 1,3−ブタンジオールの表面張力は52.6mN/mである。
このような性質を有する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールを、上記した難水溶性のアルカンジオールおよび水溶性の1,2− アルカンジオールと組み合わせて使用することにより、吐出安定性も改善される。吐出安定性は、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールのアルキル鎖長が短いほど、良好である。
また、難水溶性のアルカンジオールと水溶性の1,2− アルカンジオールとに加え、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよびアルカントリオールおよび水溶性のアルカントリオールを必須成分として添加することにより、薄手の印刷本紙等に印刷した場合のカールの発生が抑制できる理由は、定かではないが以下のように考えられる。
水溶性の1,2− アルカンジオールは、極性溶媒であり、樹脂の成膜助剤である。この効果を阻害することにより、樹脂の成膜収縮を防止していると考えられる。この効果を阻害するには、弱極性溶媒であることが好ましい。無極性溶媒では、樹脂との親和性が弱すぎて、阻害効果が得られないと考えられる。弱極性溶媒としては、同じ炭素に+I効果のアルキル基と− I効果の水酸基を同時に有することが好ましいと考えられる。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールが、水溶性の1,2− アルカンジオールの成膜収縮を阻害し、この条件において、水溶性のアルカントリオールの乾燥遅延効果により、カールの発生が抑制されると考えられる。
本実施形態においては、難水溶性のアルカンジオールとしては、炭素数7以上のアルカンジオールが好ましく、より好ましくは炭素数7〜 10のアルカンジオールであり、例えば、1,2− ヘプタンジオール、1,2− オクタンジオール、5− メチル− 1,2− ヘキサンジオール、4− メチル− 1,2− ヘキサンジオール、4,4− ジメチル− 1,2− ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,2− オクタンジオールはより好ましい。
また、水溶性1,2− アルカンジオールとしては、炭素数6以下のアルカンジオールが好ましく、例えば、1,2− ヘキサンジオール、1,2− ペンタンジオール、1,2− ブタンジオール、4− メチル− 1,2− ペンタンジオール、3,3− ジメチル− 1,2− ブタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、15%水溶液とした場合の表面張力が28mN/m以下の水溶性アルカンジオールがより好ましく、1,2− ヘキサンジオール(表面張力:26.7mN/m)、4− メチル1,2− ペンタンジオール(表面張力:25.4mN/m)、3,3− ジメチル− 1,2− ブタンジオール(表面張力:26.1mN/m)が特に好ましい。印刷中の臭気の観点からは、1,2− ヘキサンジオールが好ましい。
また、本実施形態において使用する水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールは、3− メチル− 1,3− ブタンジオールが挙げられる。
さらに、本実施形態において、水溶性のアルカントリオールとしては、例えば、1,2,6− ヘキサントリオール、3− メチル− 1,3,5− ペンタントリオールが挙げられる。
また、難水溶性のアルカンジオールの溶解助剤として、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとを組み合わせて用いることができる。
上記した四種類のアルコール溶剤において、難水溶性のアルカンジオールと水溶性1,2− アルカンジオールとの含有量比は、6:1〜 1:3であることが好ましく、より好ましくは6:1〜 1:1である。この範囲とすることにより、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させることができ、ひいては吐出安定性が向上する。一方、水溶性1,2− アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度の低減と凝集斑低減の両立が困難になる。また、水溶性1,2− アルカンジオールの割合が上記範囲よりも少なくなると、難水溶性のアルカンジオールをインク中に安定的に溶解させることが困難となり、経過時の粘度変化を抑制したり保存安定性を維持したりすることが困難となる。
また、難水溶性のアルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量との含有量比は、1:1〜 1:18であることが好ましく、より好ましくは1:1〜 1:6である。この範囲とすることにより、インクの初期粘度を低下させることができ、かつ良好な目詰まり回復性を実現できる。一方、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
また、水溶性1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量との含有量比は、1:1〜 1:36であることが好ましく、1:1〜 1:18であることがより好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感をより抑制することができる。一方、水溶性1,2− アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールおよび水溶性のアルカントリオールの合計量の割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
さらに、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの含有量比は、3:1〜 1:3であることが好ましく、2:1〜 1:2であることがより好ましい。この範囲とすることにより、よりカールの発生を抑制することができる。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、初期粘度が、より低くなるので、インクの飛行速度が速められるため、着滴精度が向上し、より好ましい。また、難水溶性の1.2− アルカンジオールを安定溶解できる観点から、より好ましい。一方、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも少なくなると、水溶性の1,2− アルカンジオールの成膜収縮を阻害する効果が乏しくなるので、カールの発生の抑制効果が得られ難くなる。
また、水溶性1,2− アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールとの含有量比は、1:1〜 1:12であることが好ましく、1:1〜 1:6であることがより好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感をより抑制することができる。一方、水溶性1,2− アルカンジオールの割合が上記範囲よりも多くなると、インク初期粘度が高くなり、乾燥性が低下する。また、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールの割合が上記範囲よりも少ないと、目詰まり回復性が悪化し、乾燥性が高まるためインクの濡れ広がる時間を確保できなくなるため、記録媒体をインクが被覆できなくなり、白筋が発生しやすくなる。
さらに、本実施形態において、難水溶性のアルカンジオールと前記水溶性の1,2− アルカンジオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、6重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において凝集班を生じることなく、また吐出安定性にも優れる。
また、本実施形態において、難水溶性のアルカンジオールと、前記水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、前記水溶性のアルカントリオールとの含有量の和が、インク組成物に対し、21重量%以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において凝集班を生じることなく、また吐出安定性やカール抑制が良好となる。
難水溶性のアルカンジオールは、インク組成物全体に対し、1〜 3重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは1.5〜 2.5重量%である。1重量%よりも少ないと、印刷本紙のようなインク吸収性の低い記録媒体において、印刷斑が生じる場合がある。一方、3重量%を超えると、インク中に完全に溶解しない場合がある。
水溶性1,2− アルカンジオールは0.5〜 6重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは0.5〜 3.0重量%である。0.5重量%よりも少ないと、難水溶性のアルカンジオールをインク中に溶解させることができない場合がある。一方、6重量%を超えると、インクの初期粘度が高くなる場合があり好ましくない。
水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとの含有量の和は、インク組成物全体に対し、3〜 18重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは4〜 8重量%である。3重量%よりも少ないと、印刷本紙に低解像度で印刷した場合に、白筋やザラツキ感を生じる場合がある。一方、18重量%を超えると、印刷直後の印刷物の乾燥性が劣ることがある。
水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールは、インク組成物全体に対し、2〜 12重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは3〜 6重量%である。
水溶性のアルカントリオールは、インク組成物全体に対し、2〜 12重量%含有されていることが好ましく、より好ましくは3〜 6重量%である。
<着色材>
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物に用いられる着色材としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、耐光性や耐水性の観点から顔料を好適に使用できる。
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物に用いられる着色材としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、耐光性や耐水性の観点から顔料を好適に使用できる。
顔料としては、無機顔料および有機顔料を使用することができ、それぞれ単独または複数種混合して用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄の他に、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。
顔料の具体例は、得ようとするインク組成物の種類(色)に応じて適宜挙げられる。例えば、イエローインク組成物用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110,128、および147からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。また、マゼンタインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122,202,209、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。また、シアンインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3および/または15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが好ましい。
また、ブラックインク組成物用の顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられるが、本実施形態においては、カーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックとして、具体的には、#2650、#2600、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#966、#960、#950、#900、#850、MCF-88、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#33、#32、#30、(以上、三菱化学(株)製)、SpecialBlaek4A、550、Printex95、90、85、80、75、45、40(以上、デグッサ社製)、Regal660、RmogulL、monarch1400、1300、1100、800、900(以上、キャボット社製)、Raven7000、5750、5250、3500、3500、2500ULTRA、2000、1500、1255、1200、1190ULTRA、1170、1100ULTRA、Raven5000UIII(以上、コロンビアン社製)等が挙げられる。
顔料の濃度は、インク組成物を調製した際に適宜な顔料濃度(含有量)に調整すればよいため特に制限はないが、本実施形態においては、顔料の固形分濃度を6重量%以上とすることが好ましく、12重量%以上とすることがより好ましい。記録媒体上にインク液滴が付着すると、記録媒体の表面でインクが濡れ広がるが、顔料固形濃度を6重量%以上と高くすることにより、濡れ広がりが留まった後のインクの流動性が早期に失われるため、印刷本紙等の記録媒体に低解像度で印刷した場合に、より滲みを抑制することができる。すなわち、上記した特定の四種のアルコール溶剤を組み合わせて使用することにより、インク吸収性の低い記録媒体上でもインクが濡れ広がり、併せて、インクの固形分濃度を高くすることにより、記録媒体上でのインクの流動性を下げて、滲みを抑制することができると考えられる。特に、記録媒体中のインク付着量が少ない部分と多い部分との境界において、滲み抑制効果が顕著である。
前記顔料は、後記する分散剤との混練処理がされた顔料であることが画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から好ましい。
<分散剤>
本実施形態によるインク組成物は、着色材を分散させるための分散剤として、スチレン− アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなることが好ましい。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
本実施形態によるインク組成物は、着色材を分散させるための分散剤として、スチレン− アクリル酸系共重合樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなることが好ましい。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n− プロピルアクリレート、n− プロピルメタクリレート、iso− プロピルアクリレート、iso− プロピルメタクリレート、n− ブチルアクリレート、n− ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec− ブチルメタクリレート、tert− ブチルアクリレート、tert− ブチルメタクリレート、n− ヘキシルアクリレート、n− ヘキシルメタクリレート、n− オクチルアクリレート、n− オクチルメタクリレート、iso− オクチルアクリレート、iso− オクチルメタクリレート、2− エチルヘキシルアクリレート、2− エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2− ヒドロキシエチルアクリレート、2− ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2− ヒドロキシプロピルメタクリレート、2− ジメチルアミノエチルアクリレート、2− ジメチルアミノエチルメタクリレート、2− ジエチルアミノエチルアクリレート、2− ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3− ブタンジオールジアクリレート、1,3− ブタンジオールジメタクリレート、1,4− ブタンジオールジアクリレート、1,4− ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6− ヘキサンジオールジアクリレート、1,6− ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエンなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。
前記疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン− (メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン− メチルスチレン− (メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン− マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸− (メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン− (メタ)アクリル酸− (メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸またはアクリル酸のエステルと、を反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン− アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩であってもよい。
これら共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜 50重量部であり、一層好ましくは20〜 40重量部である。
また、本実施形態においては、顔料分散剤として、ウレタン樹脂を用いることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる。ウレタン樹脂とは、ジイソシアネート化合物と、ジオール化合物とを反応して得られる重合体を含む樹脂であるが、本実施形態においては、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基とを有する樹脂であることが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4− トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらの変性物が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエステル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエステル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
前記ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましい。
また、本実施形態においては、顔料分散剤として、フルオレン系樹脂を使用することもできる。
前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の重量比(前者/後者)は、1/2〜 2/1が好ましいが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、1/1.5〜 1.5/1であることが一層好ましい。
前記顔料の固形分と、顔料以外の固形分との重量比(前者/後者)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、100/20〜 100/80であることが好ましい。
また、本実施形態においては、顔料分散剤として、フルオレン系樹脂を使用することもできる。
前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の重量比(前者/後者)は、1/2〜 2/1が好ましいが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、1/1.5〜 1.5/1であることが一層好ましい。
前記顔料の固形分と、顔料以外の固形分との重量比(前者/後者)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、100/20〜 100/80であることが好ましい。
前記共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜 50重量部であり、一層好ましくは20〜 40重量部である。
前記ウレタン樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは10〜 40重量部であり、一層好ましくは10〜 35重量部である。
前記フルオレン系樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜 100重量部であり、一層好ましくは20〜 80重量部である。
前記ウレタン樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは10〜 40重量部であり、一層好ましくは10〜 35重量部である。
前記フルオレン系樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100重量部に対して、好ましくは20〜 100重量部であり、一層好ましくは20〜 80重量部である。
前記共重合樹脂および前記ウレタン樹脂の合計量は、前記顔料100重量部に対して、90重量部以下(さらに好ましくは70重量部以下)となるように用いられることが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに光沢性に一層優れたカラー画像を形成できる点で好ましい。
前記共重合樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは50〜 320であり、一層好ましくは100〜 250である。
前記ウレタン樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは10〜 300であり、一層好ましくは20〜 100である。なお、酸価は、樹脂1gを中和させるのに必要なKOHのmg量である。
前記共重合樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは50〜 320であり、一層好ましくは100〜 250である。
前記ウレタン樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは10〜 300であり、一層好ましくは20〜 100である。なお、酸価は、樹脂1gを中和させるのに必要なKOHのmg量である。
前記共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは2,000〜 3万であり、より好ましくは2,000〜 2万である。
前記ウレタン樹脂の架橋前の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは100〜 20万であり、より好ましくは1000〜 5万である。Mwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記ウレタン樹脂の架橋前の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは100〜 20万であり、より好ましくは1000〜 5万である。Mwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記共重合樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは30℃以上であり、一層好ましくは50〜 130℃である。
前記ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは− 50〜 200℃であり、一層好ましくは− 50〜 100℃である。
前記ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは− 50〜 200℃であり、一層好ましくは− 50〜 100℃である。
前記共重合樹脂は、顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合と、があり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下(さらに好ましくは0.1μm以下)であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(MicrotracInc.社)を使用して測定することができる。
また、前記フルオレン樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば何ら制限されるものではなく、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
シクロヘキサン、5− イソシアネート− 1− (イソシアネートメチル)− 1,3,3−トリメチル(CAS No.4098− 71− 9)
エタノール、2,2‘− [9H− フルオレン− 9− イリデンビス(4,1− フェニレンオキシ)]ビス(CAS No.117344− 32− 8)
プロピオン酸、3− ヒドロキシ− 2− (ヒドロキシメチル)− 2− メチル(CAS No.4767− 03− 7)
エタンアミン、N,N− ジエチル− (CAS No.121− 44− 8)
シクロヘキサン、5− イソシアネート− 1− (イソシアネートメチル)− 1,3,3−トリメチル(CAS No.4098− 71− 9)
エタノール、2,2‘− [9H− フルオレン− 9− イリデンビス(4,1− フェニレンオキシ)]ビス(CAS No.117344− 32− 8)
プロピオン酸、3− ヒドロキシ− 2− (ヒドロキシメチル)− 2− メチル(CAS No.4767− 03− 7)
エタンアミン、N,N− ジエチル− (CAS No.121− 44− 8)
また、分散剤として、界面活性剤を用いてもよい。このような界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記界面活性剤はインク組成物に添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは言うまでもない。
<界面活性剤>
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、必須成分として界面活性剤を含む。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリード)を防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、必須成分として界面活性剤を含む。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリード)を防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。
本実施形態において用いられる界面活性剤としては、オルガノポリシロキサン系界面活性剤を好適に使用でき、記録画像を形成する際に、記録媒体表面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。オルガノポリシロキサン系界面活性剤を用いた場合、上記したような三種類のアルコール溶剤を含有するため、界面活性剤のインク中への溶解性が向上し、不溶物等の発生を抑制できるため、吐出安定性がより優れるインク組成物を実現できる。
上記のような界面活性剤は市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD− 501、オルフィンPD− 502、オルフィンPD− 570(いずれも、日信化学工業株式会社製)等を用いることができる。
また、オルガノポリシロキサン系界面活性剤として、下記式(I):
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜 11の整数を表し、mは2〜 50の整数を表し、nは1〜 5の整数を表す。)
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜 13の整数であり、mは2〜 50の整数であり、nは1〜 5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜 13の整数であり、mは2〜 50の整数であり、nは1〜 8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜 18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜 13の整数であり、mは2〜 50の整数であり、nは1〜 5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜 13の整数であり、mは2〜 50の整数であり、nは1〜 8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜 18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
上記式(I)の化合物においては、aが2〜 5の整数であり、mが20〜 40の整数であり、nが2〜 4の整数である化合物、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物、または、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物を用いることがより好ましい。このような化合物を使用することによって、より一層インクの凝集むらが改善できる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが2〜 5の整数であり、mが20〜 40の整数であり、nが2〜 4の整数である化合物、または、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物、または、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが6〜 12の整数、であり、mが0であり、nが1である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
上記界面活性剤は、本実施形態によるインク組成物中に、好ましくは0.01〜 1.0重量%、より好ましくは0.05〜 0.50重量%含有される。また、Rがメチル基である上記界面活性剤と、Rが水素原子である上記界面活性剤を併用した方が、小さなフォント文字が潰れないので、より好ましい。特に、Rがメチル基である上記界面活性剤を使用する場合は、RがHである上記界面活性剤を用いた場合よりも、含有量を多くすることが、インクの凝集斑の観点から、好ましい。
さらに、Rがメチル基である上記界面活性剤に対して、RがHである上記界面活性剤の含有量を多くするほど、より好ましい。このようにすることで、キャストコート紙のような、インクを弾き易く、浸透速度が遅い、印刷本紙においても、インクの凝集斑と滲みを改善することができる。
さらに、Rがメチル基である上記界面活性剤に対して、RがHである上記界面活性剤の含有量を多くするほど、より好ましい。このようにすることで、キャストコート紙のような、インクを弾き易く、浸透速度が遅い、印刷本紙においても、インクの凝集斑と滲みを改善することができる。
本実施形態によるインク組成物には、その他の界面活性剤、具体的には、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等をさらに添加しても良い。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9− テトラメチル− 5− デシン− 4,7− ジオール、3,6− ジメチル− 4− オクチン− 3,6− ジオール、または3,5− ジメチル− 1− ヘキシン− 3オール、2,4− ジメチル− 5− ヘキシン− 3− オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、104,82,465,485あるいはTG(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9− テトラメチル− 5− デシン− 4,7− ジオール、3,6− ジメチル− 4− オクチン− 3,6− ジオール、または3,5− ジメチル− 1− ヘキシン− 3オール、2,4− ジメチル− 5− ヘキシン− 3− オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、104,82,465,485あるいはTG(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
<水、その他の成分>
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、上記した特定のアルコール溶剤および界面活性剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本実施形態によるインク組成物は、上記成分に加えて、浸透剤を含んでなることが好ましい。
本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物は、上記した特定のアルコール溶剤および界面活性剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本実施形態によるインク組成物は、上記成分に加えて、浸透剤を含んでなることが好ましい。
浸透剤としては、グリコールエーテル類を好適に使用できる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、エチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、エチレングリコールモノ− iso− ブチルエーテル、エチレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、ジプロピレングリコール− iso− プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、1− メチル− 1− メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、エチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、エチレングリコールモノ− iso− ブチルエーテル、エチレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ− iso− プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− n− プロピルエーテル、ジプロピレングリコール− iso− プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ− tert− ブチルエーテル、1− メチル− 1− メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類のなかでも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテルが好ましい。より好ましくは、トリエチレングリコールモノ− n− ブチルエーテルである。
上記浸透剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜 30重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜 20重量%程度である。
また、本実施形態によるインク組成物は、上記成分に加えて、記録媒体溶解剤を含んでなることが好ましい。
記録媒体溶解剤としては、N− メチル− 2− ピロリドンなどの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜 30重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜 20重量%程度である。
記録媒体溶解剤としては、N− メチル− 2− ピロリドンなどの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜 30重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜 20重量%程度である。
また、本実施形態によるインクジェット記録用インク組成物においては、湿潤剤を実質的に含まないことが好ましい。湿潤剤は、インクジェットノズル等において、インクが乾燥して固化するのを防ぐ機能を有するものであるため、インク吸収性能が特に低い合成紙にインクを滴下すると、インクが乾燥せず、高速印刷の際に問題となる場合がある。また、湿潤剤が含まれるインクを用いた場合、吸収されないインクが記録媒体表面に存在している状態で、次のインクが記録媒体上に付着するため、凝集斑が発生する場合がある。
そのため、本実施形態においては、このようなインク吸収性能が特に低い記録媒体を用いる場合に、湿潤剤を実質的に含まない方が好ましい。なお、インクジェットノズルにおいてインクが乾燥固化してしまった場合であっても、湿潤剤を含む溶液を適用することにより、固化したインクを再溶解させることができる。
特に、本実施形態においては、25℃における蒸気圧が2mPa以下である湿潤剤を、実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、これら湿潤剤の添加量が、インク組成物に対して1重量%未満であることを意味する。
25℃における蒸気圧が2mPa以下である湿潤剤の含有量が、インクに対して1重量%未満となることにより、印刷本紙等のインク吸収性の低い記録媒体だけでなく、インク吸収能のまったくない金属やプラスチックに対しても、インクジェット記録方式により印刷することが可能となる。なお、上記した浸透溶剤の一部は、湿潤剤としても作用することは、当業者にとって明らかであるが、本明細書においては、上記した浸透溶剤は、湿潤剤には含まれないものとする。また、本明細書においては、上記したアルコール溶剤は、湿潤剤に含まれないものとする。
本明細書において湿潤剤とは、通常のインクジェット記録用インクに用いられている湿潤剤を意味し、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、1,3− プロパンジオール、3− メチル− 1,3− ブタンジオール、1,3− ブタンジオール、1,2− ペンタンジオール等の炭素数3〜 5の水溶性アルカンジオール類や、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン等である。記録媒体が、インク吸収性の低い印刷本紙等の場合には、適宜、これら湿潤剤を添加できる。
本実施形態によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2− ピリジンチオール− 1− オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2− ジベンジンチアゾリン− 3− オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL− 2、プロキセルTN)等を挙げることができる。
さらに、pH調整剤、他の溶解助剤、または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル− 2− ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L− アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
また、本実施形態によるインク組成物は、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含んでいてもよく、その例としては、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のTinuvin 328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor 252 153、Irganox 1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物等を挙げることができる。
本実施形態によるインク組成物は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。好ましくは、まず顔料と高分子分散剤と水とを適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製し、次いで、別途調製した樹脂(樹脂エマルジョン)、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調製剤、防腐剤、防かび剤等を加えて十分溶解させてインク溶液を調製する。十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒径および異物を除去するためにろ過を行って目的のインク組成物を得ることができる。
インクジェット記録方法
本実施形態によるインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本実施形態による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えば、LPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)が挙げられる。
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
本実施形態によるインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本実施形態による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えば、LPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)が挙げられる。
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
<インク組成物の調製>
下記表1〜5の組成に従い、各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表中のスチレン− アクリル酸系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。ウレタン系樹脂は、分子量6000、酸価50の共重合体である。また、フルオレン系樹脂は、CAS No.117344− 32− 8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50重量%含有する、分子量3300の樹脂である。さらに、用いた界面活性剤は、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物と、Rが水素原子であり、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
下記表1〜5の組成に従い、各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表中のスチレン− アクリル酸系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。ウレタン系樹脂は、分子量6000、酸価50の共重合体である。また、フルオレン系樹脂は、CAS No.117344− 32− 8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50重量%含有する、分子量3300の樹脂である。さらに、用いた界面活性剤は、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物と、Rが水素原子であり、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
以下に表1〜5を示す。
(実施例17〜 32および比較例5〜 8)
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット17〜 32および比較例のインクセット5〜 8を調製した。
実施例17〜 32および比較例5〜 8において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物からなる界面活性剤である。
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット17〜 32および比較例のインクセット5〜 8を調製した。
実施例17〜 32および比較例5〜 8において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物からなる界面活性剤である。
(実施例33〜 48および比較例9〜 12)
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット33〜 48および比較例のインクセット9〜 12を調製した。
実施例33〜 48および比較例9〜 12において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット33〜 48および比較例のインクセット9〜 12を調製した。
実施例33〜 48および比較例9〜 12において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜 11の整数であり、mが30〜 50の整数であり、nが3〜 5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜 13の整数であり、mが2〜 4の整数であり、nが1〜 2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜 10の整数であり、mが10〜 20の整数であり、nが4〜 8の整数である化合物とを混合した界面活性剤である。
(実施例49〜 64および比較例13〜 16)
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット49〜 64および比較例のインクセット13〜 16を調製した。
実施例49〜 64および比較例13〜 16において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜 18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物からなる界面活性剤である。
また、上記の実施例1〜 16のインクセットおよび比較例1〜 4のインクセットの界面活性剤を、下記の界面活性剤に代えた以外は同様にして、実施例のインクセット49〜 64および比較例のインクセット13〜 16を調製した。
実施例49〜 64および比較例13〜 16において用いた界面活性剤は、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜 18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物からなる界面活性剤である。
<評価>
インクの初期粘度の評価
上記のようにして得られた各インクについて、インク粘度の評価を行った。振動型粘度計(MV100型番、ヤマイチエレクトロニクス社製)を用い、インク調製後1時間経過後のインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。なお、測定温度は20℃とした。
S:粘度が4mPa・s以下である。
AA:粘度が4mPa・sを超え、5mPa・s以下である。
A:粘度が5mPa・sを超え、6mPa・s以下である。
B:粘度が6mPa・sを超え、7mPa・s以下である。
C:粘度が7mPa・sを超え、8mPa・s以下である。
D:粘度が8mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
インクの初期粘度の評価
上記のようにして得られた各インクについて、インク粘度の評価を行った。振動型粘度計(MV100型番、ヤマイチエレクトロニクス社製)を用い、インク調製後1時間経過後のインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。なお、測定温度は20℃とした。
S:粘度が4mPa・s以下である。
AA:粘度が4mPa・sを超え、5mPa・s以下である。
A:粘度が5mPa・sを超え、6mPa・s以下である。
B:粘度が6mPa・sを超え、7mPa・s以下である。
C:粘度が7mPa・sを超え、8mPa・s以下である。
D:粘度が8mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
インクの経過粘度の評価
上記にようにして調製したインクを、70℃の環境下で3日間放置した後、上記と同様にしてインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。
A:初期粘度との差が0.5mPa・s以下である。
B:初期粘度との差が0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下である。
C:初期粘度との差が1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下である。
D:初期粘度との差が2.0mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
上記にようにして調製したインクを、70℃の環境下で3日間放置した後、上記と同様にしてインクの粘度を測定し、以下の基準により評価を行った。
A:初期粘度との差が0.5mPa・s以下である。
B:初期粘度との差が0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下である。
C:初期粘度との差が1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下である。
D:初期粘度との差が2.0mPa・sを超える。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
インク凝集斑および埋まり性の評価
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PX− G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、約128g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)に、720×720dpiのベタ画像を記録した。記録は、常温、常湿度環境下において実施した。インク付着量は概ね3.6mg/inch平米であった。
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PX− G920、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに装着し、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが概ね7ngになるようにプリンタの電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、約128g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)に、720×720dpiのベタ画像を記録した。記録は、常温、常湿度環境下において実施した。インク付着量は概ね3.6mg/inch平米であった。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:凝集斑および埋まり不良による白筋がない。
B:凝集斑はないが、埋まり不良による白筋がある。
C:凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
D:インクの流動が激しく、判定不能である。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
A:凝集斑および埋まり不良による白筋がない。
B:凝集斑はないが、埋まり不良による白筋がある。
C:凝集斑および埋まり不良による白筋がある。
D:インクの流動が激しく、判定不能である。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
カールの評価
記録媒体として、104.7g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして印刷を行った。得られた印刷物の印刷面を上にして、平らな机の上に、25℃で40%RHの環境下おいて24時間自然放置乾燥させた。その後、机と、反り上がった印刷物の四隅との距離を測定し、平均化した。
AA:高さが5mm未満
A :高さが5mm以上、10mm未満
B :高さが10mm以上、20mm未満
C :高さが20mm以上
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
記録媒体として、104.7g/平米のOKT+(王子製紙株式会社製)を用いた以外は上記と同様にして印刷を行った。得られた印刷物の印刷面を上にして、平らな机の上に、25℃で40%RHの環境下おいて24時間自然放置乾燥させた。その後、机と、反り上がった印刷物の四隅との距離を測定し、平均化した。
AA:高さが5mm未満
A :高さが5mm以上、10mm未満
B :高さが10mm以上、20mm未満
C :高さが20mm以上
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
初期定着性の評価
上記OKT+の印刷物を、3分後に指で擦った。
A :色材の剥れがない。
B :色材の剥れがある。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
上記OKT+の印刷物を、3分後に指で擦った。
A :色材の剥れがない。
B :色材の剥れがある。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
難水溶性アルカンジオールの溶解性評価
難水溶性アルカンジオールとして1,2− オクタンジオールを用い、1,2− オクタンジオールの含有量が10重量%の水溶液を作製した。この水溶液は、1,2− オクタンジオールが完全に溶解せず、白濁した状態であった。
調製した上記の水溶液の10gに、1,2− ヘキサンジオール(以下、HEDと略す)、3− メチル− 1,3− ブタンジオール(以下、3MBUDと略す。)、1,3− ブタンジオール(以下、1,3− BUDと略す。)、1,2,6− ヘキサントリオール(以下、HETと略す。)、および3− メチル− 1,3,5− ペンタントリオール(以下、3MPETと略す。)の5種類のアルコール溶剤をそれぞれ添加し、水溶液が透明になるまで添加した。
また、上記の水溶液に代えて、難水溶性アルカンジオールとして1,2− オクタンジオールを10重量%、および水溶性1,2− アルカンジオールとして1,2− ヘキサンジオール10重量%を含む水溶液を調製し、上記と同様にして、水溶液が透明になるまで、各アルコール溶剤を添加した。
水溶液が透明になる、すなわち、難水溶性アルカンジオールが完全に溶解する各アルコール溶剤の添加量(g)は、図19に示される通りであった。
難水溶性アルカンジオールとして1,2− オクタンジオールを用い、1,2− オクタンジオールの含有量が10重量%の水溶液を作製した。この水溶液は、1,2− オクタンジオールが完全に溶解せず、白濁した状態であった。
調製した上記の水溶液の10gに、1,2− ヘキサンジオール(以下、HEDと略す)、3− メチル− 1,3− ブタンジオール(以下、3MBUDと略す。)、1,3− ブタンジオール(以下、1,3− BUDと略す。)、1,2,6− ヘキサントリオール(以下、HETと略す。)、および3− メチル− 1,3,5− ペンタントリオール(以下、3MPETと略す。)の5種類のアルコール溶剤をそれぞれ添加し、水溶液が透明になるまで添加した。
また、上記の水溶液に代えて、難水溶性アルカンジオールとして1,2− オクタンジオールを10重量%、および水溶性1,2− アルカンジオールとして1,2− ヘキサンジオール10重量%を含む水溶液を調製し、上記と同様にして、水溶液が透明になるまで、各アルコール溶剤を添加した。
水溶液が透明になる、すなわち、難水溶性アルカンジオールが完全に溶解する各アルコール溶剤の添加量(g)は、図19に示される通りであった。
図19からも明らかなように、1,2− オクタンジオールと1,2− ヘキサンジオールとを含む2成分系アルコール水溶液において、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールである3MBUDは、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有さないアルカンジオールである1,3− BUDよりも、1,2− オクタンジオールを溶解させる能力が高いことが分かる。またはHEDのみを添加する場合と比較して、1,2− オクタンジオールを溶解させる能力が高いことが分かる。
一方、図19からも明らかなように、1,2− オクタンジオールを含む水溶液において、水溶性のアルカントリオールである、HETおよび3MPETは、HEDのみを添加する場合と比較して、1,2− オクタンジオールを溶解させる能力が低いことが分かる。よって、1,2− オクタンジオールを含むインク組成物においては、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールである3MBUDや、水溶性1,2− アルカンジオールである1,2− ヘキサンジオールを同時に含むことが好ましいことがわかる。
目詰まり回復性の評価
上記のインクカートリッジおよびインクジェットプリンタを用い、インク交換ボタンを押してからコンセントを抜いた。このように、ヘッドキャップが外れた状態にしてから、プリンタを40℃15%RHの環境に1日間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価した。
A:クリーニング操作を3回繰り返して目詰まりが回復する。
B:クリーニング操作を6回繰り返して目詰まりが回復する。
C:クリーニング操作を12回繰り返して目詰まりが回復する。
D:クリーニング操作を12回繰り返しても目詰まりが回復しない。
上記のインクカートリッジおよびインクジェットプリンタを用い、インク交換ボタンを押してからコンセントを抜いた。このように、ヘッドキャップが外れた状態にしてから、プリンタを40℃15%RHの環境に1日間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価した。
A:クリーニング操作を3回繰り返して目詰まりが回復する。
B:クリーニング操作を6回繰り返して目詰まりが回復する。
C:クリーニング操作を12回繰り返して目詰まりが回復する。
D:クリーニング操作を12回繰り返しても目詰まりが回復しない。
評価結果は、下記の表6に示される通りであった。
また、実施例17〜 32および比較例5〜 8についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 16および比較例1〜 4と同一の評価結果であった。
さらに、実施例33〜 48および比較例9〜 12についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 16および比較例1〜 4と同一の評価結果であった。
また、実施例49〜 64および比較例13〜 16についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 16および比較例1〜 4と同一の評価結果であった。
また、実施例1〜 64および比較例1〜 16において、1,2,6− ヘキサントリオールに代えて、3− メチル− 1,3,5− ペンタントリオールにした以外は全く同じようにして実施例65〜 128を作成した。上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 64および比較例1〜 16と、カールの評価結果以外は同一の評価結果であった。カールの評価結果は、一段階向上した。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカントリオールの方が、カールの抑制効果が高いことがわかる。
さらに、実施例33〜 48および比較例9〜 12についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 16および比較例1〜 4と同一の評価結果であった。
また、実施例49〜 64および比較例13〜 16についても上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 16および比較例1〜 4と同一の評価結果であった。
また、実施例1〜 64および比較例1〜 16において、1,2,6− ヘキサントリオールに代えて、3− メチル− 1,3,5− ペンタントリオールにした以外は全く同じようにして実施例65〜 128を作成した。上記と同様の評価を行ったところ、実施例1〜 64および比較例1〜 16と、カールの評価結果以外は同一の評価結果であった。カールの評価結果は、一段階向上した。水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカントリオールの方が、カールの抑制効果が高いことがわかる。
===その他の実施の形態===
上述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
上述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
1 プリンタ、20 用紙搬送機構、
21 給紙ローラ、23A 上流側の搬送ローラ、23B 下流側の搬送ローラ、
24 ベルト、29 ばね、40 ヘッドユニット、50 検出器群、
60 ASIC、61 インタフェース、70 駆動信号生成回路、
100 コンピュータ、112 インタフェース、113 CPU、114 メモリ、
120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置、
417 ピエゾ素子、HC ヘッド制御部、S 用紙
21 給紙ローラ、23A 上流側の搬送ローラ、23B 下流側の搬送ローラ、
24 ベルト、29 ばね、40 ヘッドユニット、50 検出器群、
60 ASIC、61 インタフェース、70 駆動信号生成回路、
100 コンピュータ、112 インタフェース、113 CPU、114 メモリ、
120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置、
417 ピエゾ素子、HC ヘッド制御部、S 用紙
Claims (8)
- 着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記媒体に前記画像を形成する際に、該画像のエッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する制御部と、
を備える印刷装置。 - 前記アルコール溶剤が、難水溶性のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、水酸基を有するいずれか一方の炭素に側鎖を有するアルカンジオールと、水溶性のアルカントリオールとを含む、請求項1に記載の印刷装置。
- 前記難水溶性のアルカンジオールが、炭素数7以上のアルカンジオールである、請求項2に記載の印刷装置。
- 前記水溶性の1,2−アルカンジオールが、炭素数6以下のアルカンジオールである、請求項2又は3に記載の印刷装置。
- 前記着色剤が、顔料および該顔料をインク中に分散させることが可能な分散剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置。
- 前記制御部は、前記媒体に前記画像を形成する際に、
前記画像にエッジフィルタを適用したフィルタ適用後画像を求め、前記フィルタ適用後画像について二値化処理を行ってエッジ画素を求め、前記エッジ画素に対応する前記処理対象の画像の画素を無色に設定したデータを用いることにより、前記エッジ画素に前記インクを吐出しないように前記ヘッドを制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置。 - 前記媒体が、合成樹脂を主原料とする合成紙または印刷本紙である、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷装置。
- 画像におけるエッジ画素を求めることと、
着色剤と水とアルコール溶剤と界面活性剤とを少なくとも含むインクであって、前記アルコール溶剤の少なくとも一つに難水溶性のアルカンジオールを含む前記インクを前記エッジ画素には吐出しないようにして媒体に前記画像を形成することと、
を含む印刷方法。
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-
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-
2009
- 2009-11-12 US US12/616,935 patent/US20100118069A1/en not_active Abandoned
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017133019A (ja) * | 2010-10-18 | 2017-08-03 | 株式会社リコー | インク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及び記録セット |
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