JP2009207483A - L−アミノ酸を生産する微生物及びl−アミノ酸の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】L−アミノ酸生産能を有し、かつ、yggG遺伝子の発現が増大するように改変された腸内細菌科に属する微生物を培地で培養して、L−アミノ酸を該培地中又は菌体内に生成蓄積させ、該培地又は菌体よりL−アミノ酸を回収することにより、L−アミノ酸を製造する。
【選択図】なし
Description
(1)L−アミノ酸生産能を有し、かつ、yggG遺伝子の発現が増大するように改変された腸内細菌科に属する微生物。
(2)yggG遺伝子のコピー数を高めること、又は該遺伝子の発現調節配列を改変することによりyggG遺伝子の発現が増大した、前記微生物。
(3)yggG遺伝子が、下記(A)または(B)に記載の遺伝子である、前記微生物:
(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(B)配列番号2において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードし、L−アミノ酸生産菌のL−アミノ酸生産能を向上させることのできる遺伝子。
(4)前記yggG遺伝子が、下記(a)または(b)に記載のDNAである、前記微生物:
(a)配列番号1に示す塩基配列を含むDNA、
(b)配列番号1と相補的な塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸生産菌のL−アミノ酸生産能を向上させることのできるDNA。
(5)エシェリヒア属細菌、エンテロバクター属細菌又はパントエア属細菌である、前記微生物。
(6)エシェリヒア属細菌である、前記微生物。
(7)前記いずれかの微生物を培地で培養して、L−アミノ酸を該培地中又は菌体内に生成蓄積させ、該培地又は菌体よりL−アミノ酸を回収することを特徴とするL−アミノ酸の製造法。
(8)前記L−アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−リジン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−トリプトファン、及びL−システインから選択される一種又はそれ以上のL−アミノ酸である、前記方法。
(9)前記L−アミノ酸が、芳香族L−アミノ酸及びL−スレオニンから選択される一種又はそれ以上のL−アミノ酸である、前記方法。
本発明の微生物は、L−アミノ酸生産能を有し、かつ、yggG遺伝子の発現が増大するように改変された腸内細菌科に属する微生物である。ここで、L−アミノ酸生産能とは、本
発明の微生物を培地中で培養したときに、培地中または菌体内にL−アミノ酸を生成し、培地中または菌体から回収できる程度に蓄積する能力をいう。なお、本発明の微生物は複数のL−アミノ酸の生産能を有するものであってもよい。L−アミノ酸の生産能を有する微生物としては、本来的にL−アミノ酸の生産能を有するものであってもよいが、下記のような微生物を、変異法や組換えDNA技術を利用して、L−アミノ酸の生産能を有するように改変したものであってもよい。
以下に、微生物にL−アミノ酸生産能を付与する方法及び本発明で使用することのできるL−アミノ酸生産能が付与された微生物を例示する。ただし、L−アミノ酸生産能を有する限り、これらに制限されない。
12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)より分譲を受けることが出来る。すなわち各菌株に対応する登録番号が付与されており、この登録番号を利用して分譲を受けることが出来る(http://www.atcc.org/参照)。各菌株に対応する登録番号は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログに記載されている。
エンテロバクター属の代表的な株として、エンテロバクター・アグロメランスATCC12287株が挙げられる。
パントエア・アナナティスAJ13356株(FERM BP-6615)(欧州特許出願公開0952221号明細書)
パントエア・アナナティスAJ13601株(FERM BP-7207)(欧州特許出願公開0952221号明細書)
これらの株は、分離された当時はエンテロバクター・アグロメランスと同定され、エンテロバクター・アグロメランスとして寄託されたが、上記のとおり、16S rRNAの塩基配列解析などにより、パントエア・アナナティスに再分類されている。
エルビニア・カロトボーラATCC15713株
クレブシエラ・プランティコーラAJ13399株(FERM BP-6600)(欧州特許出願公開955368号明細書)
クレブシエラ・プランティコーラAJ13410株(FERM BP-6617)(欧州特許出願公開955368
号明細書)
まず、L−アミノ酸生産菌として、L−グルタミン酸生産菌について例示する。
本発明のL−グルタミン酸生産菌を誘導するための親株の例としては、E. coli VL334thrC+ (EP 1172433)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。E. coli VL334 (VKPM B-1641)は、thrC遺伝子及びilvA遺伝子に変異を有するL−イソロイシン及びL−スレオニン要求性株である(米国特許第4,278,765号)。thrC遺伝子の野生型アレルは、野生型E. coli K12株 (VKPM B-7)の細胞で増殖したバクテリオファージP1を用いる一般的形質導入法により導入された。この結果、L−イソロイシン要求性のL−グルタミン酸生産菌VL334thrC+ (VKPM B-8961) が得られた。
細菌にL−グルタミン酸生産能を付与する、又は細菌のL−グルタミン酸生産能を増強するための改変の方法としては、例えば、L−グルタミン酸生合成に関与する酵素をコードする遺伝子の発現が増強するように細菌を改変する方法を挙げることができる。
れか1種以上が好ましく、3種全てがより好ましい。(WO2006/051660号パンフレット参照)。
エシェリヒア・コリW3110sucA::Kmr
エシェリヒア・コリAJ12624 (FERM BP-3853)
エシェリヒア・コリAJ12628 (FERM BP-3854)
エシェリヒア・コリAJ12949 (FERM BP-4881)
エシェリヒア・コリW3110sucA::Kmr は、エシェリヒア・コリW3110の2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(sucA遺伝子)を破壊することにより得られた株である。この株は、2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼを完全に欠損している。
パントエア・アナナティスAJ13356(FERM BP-6615 米国特許6.331,419号)
パントエア・アナナティスSC17sucA(FERM BP-8646 国際公開パンフレットWO2005/085419号)
クレブシエラ・プランティコーラ AJ13410(FERM BP-6617 米国特許6,197,559号)
の各遺伝子を含むプラスミドRSFCPG、及びブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来のgltA遺伝子を含むプラスミドpSTVCBを導入して得た株SC17sucA/RSFCPG+pSTVCB株から、さらに、低pHにおける高濃度L−グルタミン酸耐性株の選択、及び増殖度及びL−グルタミン酸生産能が高い株の選択によって、取得された菌株である(欧州特許出願公開0952221号明細書)。AJ13356は、AJ13355株のαKGDH-E1サブユニット遺伝子(sucA)を欠損させた株である。
AJ13355株及びAJ13356株は、平成10年2月19日に、工業技術院生命工学工業技術研究所(現名称、産業技術総合研究所特許生物寄託センター、住所 郵便番号305-8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ受託番号FERM P-16644、及びFERMP-16645として寄託され、平成11年1月11日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-6614、及びFERM BP-6615が付与されている。SC17sucA株は、プライベートナンバーAJ417が付与され、平成16年2月26日に産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM BP-08646として寄託されている。AJ13601株は、1999年8月18日に、工業技術院生命工学工業技術研究所(現名称、産業技術総合研究所特許生物寄託センター、住所 郵便番号305-8566 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM P-17516として寄託され、2000年7月6日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP-7207が付与されている。
本発明のL−スレオニン生産菌を誘導するための親株の例としては、E. coli TDH-6/pVIC40 (VKPM B-3996) (米国特許第5,175,107号、米国特許第5,705,371号)、E. coli 472T23/pYN7 (ATCC 98081) (米国特許第5,631,157号)、E. coli NRRL-21593 (米国特許第5,939,307号)、E. coli FERM BP-3756 (米国特許第5,474,918号)、E. coli FERM BP-3519及びFERM BP-3520 (米国特許第5,376,538号)、E. coli MG442 (Gusyatiner et al., Genetika (in Russian), 14, 947-956 (1978))、E. coli VL643及びVL2055 (EP 1149911 A)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
スレオニンによるフィードバック阻害に耐性のアスパルトキナーゼホモセリンデヒドロゲナーゼIをコードする変異thrA遺伝子
ホモセリンキナーゼをコードするthrB遺伝子
スレオニンシンターゼをコードするthrC遺伝子
推定トランスメンブランタンパク質をコードするrhtA遺伝子
アスパルテート−β−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするasd遺伝子
アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(アスパルテートトランスアミナーゼ)をコードするaspC遺伝子
International Congress of Biochemistry and Molecular Biology in conjugation with Annual Meeting of the American Society for Biochemistry and Molecular Biology,
San Francisco, California August 24-29, 1997, abstract No. 457, EP 1013765 A)。
れたプライマーを用いるPCRにより得ることができる(White, T.J. et al., Trends Genet., 5, 185 (1989)参照)。他の微生物のasd遺伝子も同様に得ることができる。
エシェリヒア属に属するL−リジン生産菌の例としては、L−リジンアナログに耐性を有する変異株が挙げられる。L−リジンアナログはエシェリヒア属に属する細菌の生育を阻害するが、この阻害は、L−リジンが培地に共存するときには完全にまたは部分的に解除される。L−リジンアナログの例としては、オキサリジン、リジンヒドロキサメート、S−(2−アミノエチル)−L−システイン(AEC)、γ−メチルリジン、α−クロロカプロラクタムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのリジンアナログに対して耐性を有する変異株は、エシェリヒア属に属する細菌を通常の人工変異処理に付すことによって得ることができる。L−リジンの生産に有用な細菌株の具体例としては、Escherichia coli AJ11442 (FERM BP-1543, NRRL B-12185; 米国特許第4,346,170号参照)及びEscherichia coli VL611が挙げられる。これらの微生物では、アスパルトキナーゼのL−リジンによるフィードバック阻害が解除されている。
本発明のL−システイン生産菌を誘導するための親株の例としては、フィードバック阻害耐性のセリンアセチルトランスフェラーゼをコードする複数種のcysEアレルで形質転換
されたE. coli JM15(米国特許第6,218,168号、ロシア特許出願第2003121601号)、細胞に毒性の物質を排出するのに適したタンパク質をコードする過剰発現遺伝子を有するE. coli W3110 (米国特許第5,972,663号)、システインデスルフォヒドラーゼ活性が低下したE. coli株 (JP11155571A2)、cysB遺伝子によりコードされるシステインレギュロンの正の転写制御因子の活性が上昇したE. coli W3110 (WO0127307A1)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のL−ロイシン生産菌を誘導するための親株の例としては、ロイシン耐性のE. coil株 (例えば、57株 (VKPM B-7386, 米国特許第6,124,121号))またはβ−2−チエニルアラニン、3−ヒドロキシロイシン、4−アザロイシン、5,5,5-トリフルオロロイシンなどのロイシンアナログ耐性のE.coli株(特公昭62-34397号及び特開平8-70879号)、WO96/06926に記載された遺伝子工学的方法で得られたE. coli株、E. coli H-9068 (特開平8-70879号)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のL−ヒスチジン生産菌を誘導するための親株の例としては、E. coli 24株 (VKPM B-5945, RU2003677)、E. coli 80株 (VKPM B-7270, RU2119536)、E. coli NRRL B-12116 - B12121 (米国特許第4,388,405号)、E. coli H-9342 (FERM BP-6675)及びH-9343 (FERM BP-6676) (米国特許第6,344,347号)、E. coli H-9341 (FERM BP-6674) (EP1085087)、E. coli AI80/pFM201 (米国特許第6,258,554号)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
099号)、アミノ酸輸送の遺伝子であるrhtを導入したE.coli株(EP1016710A)、スルファグアニジン、DL-1,2,4-トリアゾール-3-アラニン及びストレプトマイシンに対する耐性を付与したE. coli 80株(VKPM B-7270, ロシア特許第2119536号)などが挙げられる。
本発明のL−フェニルアラニン生産菌を誘導するための親株の例としては、E.coli AJ12739 (tyrA::Tn10, tyrR) (VKPM B-8197)、変異型pheA34遺伝子を保持するE.coli HW1089(ATCC 55371) (米国特許第 5,354,672号)、E.coli MWEC101-b (KR8903681)、E.coli NRRL B-12141, NRRL B-12145, NRRL B-12146及びNRRL B-12147 (米国特許第4,407,952号)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。また、親株として、E. coli K-12 [W3110 (tyrA)/pPHAB] (FERM BP-3566)、E. coli K-12 [W3110 (tyrA)/pPHAD] (FERM BP-12659)、E. coli K-12 [W3110 (tyrA)/pPHATerm] (FERM BP-12662)及びAJ 12604と命名されたE. coli K-12 [W3110 (tyrA)/pBR-aroG4, pACMAB] (FERM BP-3579)も使用できる(EP 488424 B1)。さらに、yedA遺伝子またはyddG遺伝子にコードされるタンパク質の活性が増大したエシェリヒア属に属するL−フェニルアラニン生産菌も使用できる(米国特許出願公開2003/0148473 A1及び2003/0157667 A1)。
また、AJ12741株も親株として使用することができる。AJ12741株は、tyrR、tyrA遺伝子を欠失したエシェリヒア・コリK-12のW3110株に、フィードバック阻害が解除された3−デオキシ−D−アラビノヘプツロン酸−7−リン酸シンターゼ、フィードバック阻害が解除されたコリスミン酸ムターゼ−プレフェン酸デヒドラターゼ、およびシキミ酸キナーゼのそれぞれをコードする遺伝子を含むプラスミドpMGAL1を導入した株(W3110(tyrR、tyrA)/pMGAL1)である(特許第3225597号公報)。同株は、平成4年6月11日に、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にFERM P-13000の受託番号で寄託され、平成6年9月14日に、この原寄託からブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管され、FERM BP-4796として寄託されている。
本発明のL−トリプトファン生産菌を誘導するための親株の例としては、変異trpS遺伝子によりコードされるトリプトファニル-tRNAシンテターゼが欠損したE. coli JP4735/pMU3028 (DSM10122)及びJP6015/pMU91 (DSM10123) (米国特許第5,756,345号)、セリンによるフィードバック阻害を受けないフォスフォグリセリレートデヒドロゲナーゼをコードするserAアレル及びトリプトファンによるフィードバック阻害を受けないアントラニレートシンターゼをコードするtrpEアレルを有するE. coli SV164 (pGH5) (米国特許第6,180,373号)、トリプトファナーゼが欠損したE. coli AGX17 (pGX44) (NRRL B-12263)及びAGX6(pGX50)aroP (NRRL B-12264) (米国特許第4,371,614号)、フォスフォエノールピルビン酸生産能が増大したE. coli AGX17/pGX50,pACKG4-pps (WO9708333, 米国特許第6,319,696号)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。yedA遺伝子またはyddG遺伝子にコードされるタンパク質の活性が増大したエシェリヒア属に属するL−トリプトファン生産菌も使用できる(米国特許出願公開2003/0148473 A1及び2003/0157667A1)。
変異serA遺伝子を含むプラスミドpGH5 (WO 94/08031)をE. coli SV164に導入することにより得られた形質転換株が挙げられる。
本発明のL−プロリン生産菌を誘導するための親株の例としては、ilvA遺伝子が欠損し、L−プロリンを生産できるE. coli 702ilvA (VKPM B-8012) (EP 1172433)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の細菌は、L−プロリン生合成に関与する遺伝子の一種以上の発現を増大することにより改良してもよい。L−プロリン生産菌に好ましい遺伝子の例としては、L−プロリンによるフィードバック阻害が解除されたグルタメートキナーゼをコードするproB遺伝子(ドイツ特許第3127361号)が挙げられる。さらに、本発明の細菌は、細菌の細胞からL−アミノ酸を排出するタンパク質をコードする遺伝子の一種以上の発現が増大することにより改良してもよい。このような遺伝子としては、b2682 遺伝子及びb2683遺伝子(ygaZH遺伝子) (EP1239041 A2)が挙げられる。
本発明のL−アルギニン生産菌を誘導するための親株の例としては、E. coli 237株 (VKPM B-7925) (米国特許出願公開2002/058315 A1)、及び、変異N-アセチルグルタメートシンターゼを保持するその誘導株(ロシア特許出願第2001112869号)、E. coli 382株 (VKPM B-7926) (EP1170358A1)、N-アセチルグルタメートシンテターゼをコードするargA遺伝子が導入されたアルギニン生産株(EP1170361A1)などのエシェリヒア属に属する株が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のL−バリン生産菌を誘導するための親株の例としては、ilvGMEDAオペロンを過剰発現するように改変された株(米国特許第5,998,178号)が挙げられるが、これらに限定
されない。アテニュエーションに必要なilvGMEDAオペロンの領域を除去し、生産されるL−バリンによりオペロンの発現が減衰しないようにすることが好ましい。さらに、オペロンのilvA遺伝子が破壊され、スレオニンデアミナーゼ活性が減少することが好ましい。
さらに、生育にリポ酸を要求する、及び/または、H+-ATPaseを欠失している変異株(WO96/06926)を親株として用いることができる。
本発明のL−イソロイシン生産菌を誘導するための親株の例としては、6−ジメチルアミノプリンに耐性を有する変異株(特開平5-304969号)、チアイソロイシン、イソロイシンヒドロキサメートなどのイソロイシンアナログに耐性を有する変異株、さらにDL-エチオニン及び/またはアルギニンヒドロキサメートに耐性を有する変異株(特開平5-130882号)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、スレオニンデアミナーゼ、アセトヒドロキシ酸シンターゼなどのL−イソロイシン生合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子で形質転換された組換え株もまた親株として使用できる(特開平2-458号, FR 0356739, 及び米国特許第5,998,178号)。
本発明の微生物は、上述したようなL−アミノ酸の生産能を有する腸内細菌科に属する微生物を、yggG遺伝子の発現が増大するように改変することによって得ることができる。ただし、yggG遺伝子の発現が増大するように改変を行った後に、L−アミノ酸の生産能を付与してもよい。
さらに、yggG遺伝子は、上記で例示された遺伝子との相同性に基づいて、エシェリヒア属、パントエア属、エンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、エルビニア属、
エルシニア属等の腸内細菌科に属する微生物からクローニングされるものであってもよい。
yggG遺伝子ホモログは、配列番号2のアミノ酸配列全体に対し80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上同一性を有するアミノ酸配列をコードし、かつ、L-アミノ酸生産菌のL-アミノ酸生産能を向上させることのできる遺伝子を意味する。
げられる。
本発明の微生物を培地で培養して、L−アミノ酸を該培地中または菌体内に生成蓄積させ、該培地または菌体からL−アミノ酸を採取することにより、L−アミノ酸を製造する
ことができる。
ては、メチルエステル、エチルエステル及びプロピルエステル等が挙げられる。
Primer
Forward 5'→3' GCTCTAGAGATGAAAATTCGCG 22bp (配列番号3)
Reverse 5'→3' CGGAATTCTTACTTAATCCCATC 23bp(配列番号4)
エシェリヒア・コリ MM294株の染色体DNAを鋳型とし、上記のプライマーとKOD plus DNApolymerase(TOYOBO社製)を用いてPCR反応を行い、0.8 KbpのDNA断片を得た。PCR反応の条件は94℃ 2分間,55℃ 1.5分間,68℃ 1.5分間の反応を1サイクルとして30サイクル行った。
得られたDNA断片をアガロース電気泳動し、DNA回収キット(QIAGEN社製)を用いて回収した。このDNA断片を制限酵素XbaIとEcoRIによって切断した後,プラスミド pHSG299 (タカラバイオ社製)のXbaI,EcoRI切断物とライゲーションキット(ニッポンジーン社製)によって連結した。これをエシェリヒア・コリDH5αに形質転換し,プラスミドを回収した(pHSG299-yggG)。
フェニルアラニン生産菌エシェリヒア・コリAJ12741株(FERM BP-4796)を上記プラスミドpHSG299-yggGで形質転換し、AJ12741/pHSG299-yggG株を得た。
AJ12741/pHSG299-yggG株およびAJ12741株(コントロール)のグリセロールストックをLB-アガロースプレート培地(トリプトン1%、酵母抽出液0.5%、塩化ナトリウム1%、アガロース1.5%)に1エーゼ植菌し、37℃で24時間、静地培養した。この培養菌体を200ml坂口フラスコに入れた40mlの培地(表1)に1エーゼ(約10μl)接種し、37℃で振盪培養した。
L−スレオニン生産菌エシェリヒア・コリVKPM B-3996(B-3996)を上記プラスミドpHSG299-yggGで形質転換し、B-3996/pHSG299-yggG株を得た。
B-3996/pHSG299-yggG株及びB-3996株(コントロール)のグリセロールストックをLB-アガロースプレート培地(トリプトン1%、酵母抽出液0.5%、塩化ナトリウム1%、アガロース1.5%)に1エーゼ植菌し、37℃で24時間、静地培養した。この培養菌体を200ml坂口フラスコに入れた40mlの培地(表3)に1エーゼ(約10μl)接種し、40℃で振盪培養した。
配列番号1:E.coliのyggG 遺伝子の塩基配列
配列番号2:E.coliのyggG 遺伝子によってコードされるアミノ酸配列
配列番号3:E.coliのyggG 遺伝子をクローニングするためのフォワードプライマー
配列番号4:E.coliのyggG 遺伝子をクローニングするためのリバースプライマー
Claims (9)
- L−アミノ酸生産能を有し、かつ、yggG遺伝子の発現が増大するように改変された腸内細菌科に属する微生物。
- yggG遺伝子のコピー数を高めること、又は該遺伝子の発現調節配列を改変することによりyggG遺伝子の発現が増大した、請求項1に記載の微生物。
- yggG遺伝子が、下記(A)または(B)に記載の遺伝子である、請求項1又は2に記載の微生物:
(A)配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(B)配列番号2において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードし、L−アミノ酸生産菌のL−アミノ酸生産能を向上させることのできる遺伝子。 - 前記yggG遺伝子が、下記(a)または(b)に記載のDNAである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微生物:
(a)配列番号1に示す塩基配列を含むDNA、
(b)配列番号1と相補的な塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、L−アミノ酸生産菌のL−アミノ酸生産能を向上させることのできるDNA。 - エシェリヒア属細菌、エンテロバクター属細菌又はパントエア属細菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物。
- エシェリヒア属細菌である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の微生物を培地で培養して、L−アミノ酸を該培地中又は菌体内に生成蓄積させ、該培地又は菌体よりL−アミノ酸を回収することを特徴とするL−アミノ酸の製造法。
- 前記L−アミノ酸が、L−グルタミン酸、L−リジン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−トリプトファン、及びL−システインから選択される一種又はそれ以上のL−アミノ酸である、請求項7に記載の方法。
- 前記L−アミノ酸が、芳香族L−アミノ酸及びL−スレオニンから選択される一種又はそれ以上のL−アミノ酸である、請求項7に記載の方法。
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