JP2009207340A - 操作量生成方法、モータ制御装置、及び画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 モータの駆動対象の振動を抑制しつつ目標速度に短時間で到達させる。
【解決手段】 演算タイミング毎に、前回出力操作量生成部75が生成した出力操作量U[n−1]に対する、今回FB制御器74が演算した制御器演算操作量U’[n]の増減値ΔMu[n]を演算する。駆動開始からの経過時間に応じて初期区間、中間区間、到達区間に分けられ、区間毎に操作量増減値の制限値Mが設定されている。補正値演算部82は、増減値ΔMuが制限値M[m]を超えていた場合にその超過分を累積加算して補正値F[n]を演算する。第2増減値演算部84は、中間区間で、増減値ΔMu[n]に前回迄の補正値F[n−1]を加算して(制限値M[m]を超えないよう)、これを出力操作量増減値ΔMn[n]とし、出力操作量生成部75は、前回の出力操作量U[n]にこの出力操作量増減値ΔMn[n]を加算して今回の出力操作量U[n]を生成する。
【選択図】図4
【解決手段】 演算タイミング毎に、前回出力操作量生成部75が生成した出力操作量U[n−1]に対する、今回FB制御器74が演算した制御器演算操作量U’[n]の増減値ΔMu[n]を演算する。駆動開始からの経過時間に応じて初期区間、中間区間、到達区間に分けられ、区間毎に操作量増減値の制限値Mが設定されている。補正値演算部82は、増減値ΔMuが制限値M[m]を超えていた場合にその超過分を累積加算して補正値F[n]を演算する。第2増減値演算部84は、中間区間で、増減値ΔMu[n]に前回迄の補正値F[n−1]を加算して(制限値M[m]を超えないよう)、これを出力操作量増減値ΔMn[n]とし、出力操作量生成部75は、前回の出力操作量U[n]にこの出力操作量増減値ΔMn[n]を加算して今回の出力操作量U[n]を生成する。
【選択図】図4
Description
本発明は、モータを制御するための操作量を生成する操作量生成方法、モータ制御装置、及び、そのモータ制御装置を用いて記録ヘッドを搭載したキャリッジを駆動しつつ被記録媒体への画像形成を行う画像処理装置に関する。
従来より、記録ヘッドのノズルから被記録媒体へインク液滴を吐出して画像の形成を行う画像処理装置が知られている。この種の画像処理装置では、記録ヘッドが搭載されたキャリッジが主走査方向に一定速度で移動されつつ、記録ヘッドが動作して対向する被記録媒体へインク液滴が吐出されることにより、被記録媒体上に画像が形成される。キャリッジの駆動源としては、一般にモータが用いられ、モータの駆動力によってキャリッジが一定速度で主走査方向に移動する。
このように構成された画像処理装置では、画像形成の速度向上や装置の小型化のために、画像形成(モータによるキャリッジ駆動)の際、停止状態のキャリッジを短時間で上記一定速度に到達させることが要求される。これを実現すべく、キャリッジ駆動時の加速度は増加する傾向にある。
しかし、キャリッジを短時間で一定速度に到達させるために高加速度でキャリッジの駆動を行うと、駆動開始時の衝撃によってキャリッジが振動し、この振動によって記録ヘッドから被記録媒体へのインク液滴の着弾位置が乱れ、画質が低下するおそれが高くなる。
即ち、モータによるキャリッジの駆動は、一般に、目標位置とキャリッジの実際の速度とを比較してキャリッジの速度が目標速度に一致するよう、モータに対する操作量をフィードバック制御器により演算し、その操作量に応じてモータを駆動することにより行われる。このようにしてモータが制御される場合、キャリッジの駆動開始時は、停止状態のキャリッジを迅速に加速させるべく、演算される操作量は大きな値となる。一方、キャリッジの速度がある程度上昇していくと、モータに対する操作量は小さくなり、これにより加速度も急減する。このように、キャリッジの駆動開始直後はモータに対する操作量が大きく変動して速度変動が大きくなるため、キャリッジが振動するのである。
これに対し、特許文献1には、キャリッジ加速時の振動を抑制するための制御方法が開示されている。この特許文献1に開示されている制御方法は、まず、駆動開始時から所定の目標速度に到達するまでの経過時間を複数の区間に分け、各区間毎に、操作量の増減値(差分)の制限値を設ける。つまり、演算タイミング毎にモータ側へ出力される操作量が大きく変動しないよう、操作量の増減値に制限を設ける。さらに、駆動開始直後の区間及び目標速度到達直前の区間の制限値を、他の区間の制限値よりも低い値に設定する。
このようにモータを制御することで、キャリッジの速度が停止状態からS字カーブで滑らかに上昇するため、加速時のキャリッジの振動が抑制され、被記録媒体上へのインク液滴の着弾位置精度が向上して高画質化を図ることができるようになる。
特開2007−106088号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、キャリッジの振動を抑制することは可能であるものの、フィードバック制御器により演算された操作量(即ち、モータに実際に与えたい操作量)に制限がかけられるため、モータに対しては、実際に与えたい操作量以下の値の操作量しか出力されないことになる。そのため、目標速度に到達するまでの加速時間が必然的に長くなってしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、モータを制御するにあたり、駆動対象の振動を抑制しつつ、駆動対象を目標とする速度に短時間で到達させることができるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、駆動対象を駆動させるモータを制御するために該モータへ実際に与える操作量である実操作量を、所定の演算タイミング毎に、前回の演算タイミングでの実操作量からの変化量が所定の閾値を超えないように生成する操作量生成方法である。
本発明の方法では、駆動対象に対して設定される目標速度に応じてモータを制御するための操作量を演算し、その演算された操作量を仮操作量とし、その仮操作量の、前回の演算タイミングで生成された実操作量に対する変化量を仮変化量として、仮変化量と閾値とを比較し、仮変化量が閾値を超えた過剰状態の場合、その比較結果に基づき、予め設定された規則に従って補正値を生成する。
そして、上記比較(仮変化量と閾値との比較)において仮変化量が閾値以上であった場合は、前回の演算タイミングで生成された実操作量に閾値を加えることにより実操作量を生成する。また、上記比較において仮変化量が閾値未満の余裕状態であった場合は、仮変化量に対し、閾値を超えない範囲内で、前回の演算タイミング迄に生成された補正値の一部又は全てを加算することにより、新たな変化量を演算して、前回の演算タイミングで生成された実操作量にその新たな変化量を加えることにより、実操作量を生成する。
この操作量生成方法によれば、生成される実操作量に対し、前回の実操作量からの変化量が閾値を超えないよう、制限がかけられているため、駆動対象の振動が抑制される。
しかも、単に実操作量の変化量に制限が設けられているだけではなく、演算タイミング毎に、仮変化量と閾値とを比較して、仮変化量が閾値を超えた過剰状態であった場合は、その比較結果に基づいて補正値を生成しておく。そして、仮変化量が閾値未満の余裕状態であった場合における実操作量の生成の際は、前回の実操作量に対して単に仮変化量を加えるのではなく、仮変化量に対して更に補正値の一部又は全てを加算して(但し加算後の値が閾値を超えない範囲内で)その加算結果を新たな変化量とする。そして、その新たな変化量を前回の実操作量に加算することで、実操作量を生成する。
しかも、単に実操作量の変化量に制限が設けられているだけではなく、演算タイミング毎に、仮変化量と閾値とを比較して、仮変化量が閾値を超えた過剰状態であった場合は、その比較結果に基づいて補正値を生成しておく。そして、仮変化量が閾値未満の余裕状態であった場合における実操作量の生成の際は、前回の実操作量に対して単に仮変化量を加えるのではなく、仮変化量に対して更に補正値の一部又は全てを加算して(但し加算後の値が閾値を超えない範囲内で)その加算結果を新たな変化量とする。そして、その新たな変化量を前回の実操作量に加算することで、実操作量を生成する。
つまり、仮変化量が閾値を超えていた場合に補正値を生成しておいて、仮変化量に余裕があるときは、前回までに生成された補正値をその余裕の範囲内で仮変化量に上乗せすることで、より大きな実操作量を生成するのである。
そのため、駆動対象の加速時間の超過を防ぐことができ、駆動対象を目標とする速度に短時間で到達させることができる。つまり、駆動対象の振動の抑制と加速時間の短縮とが両立して実現されるのである。
補正値の生成は、仮変化量が閾値を超えた場合に仮変化量と閾値との比較結果に基づいて予め設定された規則に従い行うが、具体的にどのような規則で補正値を生成するかは種々考えられる。
例えば、演算タイミング毎に閾値を超えた回数を計数し、その計数値に基づいて(例えば所定の係数を乗じる等)補正量を生成してもよいし、また例えば、請求項2に記載のように、閾値に対する仮変化量の超過分に基づいて行うようにしてもよい。その場合、より具体的な例としては、演算タイミング毎に、仮変化量が閾値を超えていた場合にその超過分を累積加算するようにし、その累積加算値をそのまま、或いはその累積加算値に所定の係数を乗じたものを、補正値として生成することができる。
このように、超過分に基づいて補正値を生成するようにすれば、閾値によって制限された量に応じた適切な補正値を生成することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の操作量生成方法であって、上記比較において仮変化量が閾値未満の余裕状態であったことにより新たな変化量の演算を行った場合、その演算の際に仮変化量に対して加算した加算分を、前回の演算タイミング迄に生成された補正値から減算することにより、補正値を更新する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の操作量生成方法であって、上記比較において仮変化量が閾値未満の余裕状態であったことにより新たな変化量の演算を行った場合、その演算の際に仮変化量に対して加算した加算分を、前回の演算タイミング迄に生成された補正値から減算することにより、補正値を更新する。
即ち、仮変化量に余裕があって補正値の一部又は全てをその仮変化量に上乗せして実操作量を生成したときは、それまでに生成した補正値のうち、その上乗せした分を減じるのである。これにより、生成された補正値のうち実操作量に使用された分(上乗せされた分)は差し引かれていくため、生成された補正値がより適切に実操作量に反映され、より適切なモータの制御が可能となる。
次に、請求項4記載の発明は、モータ制御装置であって、モータにより駆動される駆動対象と、駆動対象に対して設定される目標速度に応じて、モータを制御するための第1の操作量を所定の演算タイミングで生成する第1の操作量生成手段と、第1の操作量に基づいて生成された第2の操作量に基づいてモータを駆動するモータ駆動手段と、第1の操作量の、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量からの変化量である第1の変化量を演算する第1の変化量演算手段と、第1の変化量と所定の閾値とを比較する比較手段と、比較手段による比較の結果、第1の変化量が閾値を超えていた場合に、該比較結果に基づき、予め設定された規則に従って補正値を生成する補正値生成手段と、補正値が記憶される記憶手段と、比較手段による比較において第1の変化量が閾値未満であった場合に、第1の変化量に対し、閾値を超えない範囲内で、前回の演算タイミング迄に記憶手段に記憶された補正値の一部又は全てを加算することにより、第2の変化量を演算する第2の変化量演算手段とを備える。
そして、第2の操作量生成手段が、比較手段による比較において第1の変化量が閾値以上であった場合、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量に閾値を加えることにより第2の操作量を生成し、比較手段による比較において第1の変化量が閾値未満であった場合は、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量に第2の変化量を加えることにより第2の操作量を生成する。
このように構成された請求項1記載のモータ制御装置によれば、モータに実際に与えられる第2の操作量が、前回の演算タイミングで生成された値からの変化量が閾値を超えないよう、その変化量に制限が設けられているため、駆動対象の振動が抑制される。
しかも、単に変化量の制限が設けられているだけではなく、演算タイミング毎に、前回生成された第2の操作量に対する今回生成された第1の操作量の変化量(第1の変化量)と閾値とを比較して、第1の変化量が閾値を超えていた場合は、その比較結果に基づいて補正値を生成しておく。そして、第1の変化量が閾値未満の場合は、前回生成された第2の操作量に対して単に第1の変化量を加えて第2の操作量を生成するのではなく、第1の変化量に対して更に、補正値の一部又は全てを加算して(但し加算後の値が閾値を超えない範囲内で)その加算結果を第2の変化量とし、その第2の変化量を前回の第2の操作量に加算することで、今回の第2の操作量を生成する。
つまり、第1の変化量が閾値を超えていた場合には補正値を生成しておくようにし、第1の変化量に余裕があるときは、前回までに生成された補正値をその余裕の範囲内で第1の変化量に上乗せすることで、より大きな第2の操作量を生成するのである。
そのため、駆動対象の加速時間の超過を防ぐことができ、駆動対象を目標とする速度に短時間で到達させることができる。つまり、駆動対象の振動の抑制と加速時間の短縮とが両立して実現されるのである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のモータ制御装置であって、補正値生成手段は、閾値に対する第1の変化量の超過分に基づいて、補正値を生成する。
このように構成された請求項5記載のモータ制御装置によれば、請求項2記載の方法が実現され、超過分に基づいて補正値を生成するようにすることで閾値によって制限された量に応じた適切な補正値を生成することが可能となる。
このように構成された請求項5記載のモータ制御装置によれば、請求項2記載の方法が実現され、超過分に基づいて補正値を生成するようにすることで閾値によって制限された量に応じた適切な補正値を生成することが可能となる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のモータ制御装置であって、補正値生成手段は、比較手段による比較の結果、第1の変化量が閾値を超える毎に、超過分を累積して加算し、該加算結果、又は該加算結果に応じた値を、補正値として生成する。
このように構成された請求項6記載のモータ制御装置によれば、第1の変化量が閾値を超える毎にその超過分を補正値として反映させることができ、第2の変化量演算手段は、前回の演算タイミングまでに演算(累積加算)された超過分に応じた適切な第2の変化量を得ることができる。
請求項7記載の発明は、請求項4〜6いずれかに記載のモータ制御装置であって、補正値生成手段は、第2の操作量生成手段によって、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量に第2の変化量を加えることにより第2の操作量が生成されたときは、第2の変化量演算手段による該第2の変化量の演算の際に第1の変化量に対して加算された加算分を、前回の演算タイミング迄に記憶手段に記憶された補正値から減算することにより、新たな補正値を生成する。
このように構成された請求項7記載のモータ制御装置によれば、請求項3記載の方法が実現される。即ち、第1の変化量に余裕があった場合に補正値の一部又は全てを第1の変化量に上乗せして第2の変化量を生成し、その第2の変化量を用いて第2の操作量を生成したときは、前回の演算タイミングまでに生成した補正値のうち、その上乗せした分を減じて、その減じた後の新たな補正値を記憶手段に記憶するのである。これにより、生成された補正値のうち第2の操作量として使用された分(上乗せされた分)は差し引かれていくため、生成された補正値がより適切に第2の操作量に反映され、より適切なモータの制御が可能となる。
請求項8記載の発明は、請求項4〜7いずれかに記載のモータ制御装置であって、第2の変化量演算手段は、前回の演算タイミングまでに記憶手段に記憶された補正値が、閾値に対する第1の変化量の余裕分以下である場合は、該第1の変化量に該補正値を加えることにより第2の変化量を演算し、前回の演算タイミングまでに記憶手段に記憶された補正値が余裕分を超えている場合は、第1の変化量に閾値を加えることにより第2の変化量を演算する。
このように構成された請求項8記載のモータ制御装置によれば、第1の変化量に余裕がある場合(閾値未満の場合)に、その余裕分を最大限に生かして第2の変化量を生成し、それを第2の操作量として反映させることができるため、駆動対象の振動の抑制と加速時間の短縮との両立がより効率的に実現される。
請求項9記載の発明は、請求項4〜8いずれかに記載のモータ制御装置であって、駆動対象が停止状態から所定の目標到達速度に到達するまでの駆動区間における所定の区間が補正適用区間として設定されており、第2の変化量演算手段は、補正適用区間において第2の変化量の演算を行うよう構成されている。そして、第2の操作量生成手段は、駆動区間のうち補正適用区間を除く区間では、第1の変化量が閾値未満の場合は、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量に第1の変化量を加えることにより第2の操作量を生成し、第1の変化量が閾値以上の場合は、前回の演算タイミングで生成された第2の操作量に閾値を加えることにより第2の操作量を生成する。
このように構成された請求項9記載のモータ制御装置によれば、駆動区間における所望の区間を補正適用区間として、その補正適用区間において、補正値が上乗せされた第2の変化量に基づく第2の操作量の生成を行うようにすることができるため、駆動対象の振動の抑制と加速時間の短縮とが両立して実現されるという効果に加え、駆動対象の種類や特性等に応じた効率的なモータ制御を行うことができる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載のモータ制御装置であって、駆動区間は、少なくとも、駆動開始後の初期区間、目標到達速度に到達する直前の到達区間、初期区間が終了してから到達区間に入るまでの間の中間区間、の3つの区間に分けられ、区間毎に閾値が設定されている。そして、補正適用区間は、初期区間及び中間区間の少なくとも何れか一方の区間である。
即ち、例えば駆動対象を停止状態から目標到達速度まで加速させ、その後その目標到達速度にて定速駆動させる場合、目標到達速度に到達する直前の到達区間では、通常、モータに対して大きな出力操作量を与える必要性は少ない。そのため、到達区間においては第2の変化量に基づく第2の操作量の生成は行わないようにするのである。
このように構成された請求項10記載のモータ制御装置によれば、第2の変化量に基づく第2の操作量の生成がより有効な区間(初期区間及び中間区間の少なくとも何れか一方)で行われるため、モータの制御をより効率的に行うことが可能となる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載のモータ制御装置であって、補正適用区間は中間区間であり、中間区間の閾値は初期区間の閾値よりも大きい値に設定されている。
即ち、初期区間は一般に、停止状態の駆動対象を動かす必要性から操作量が急激に増加する可能性が高いため、駆動対象への衝撃を緩和すべく、閾値を低めに設定するのが好ましい。これに対して中間区間では、駆動対象はすでにある程度の速度で動いており、初期区間よりは操作量の変化量が大きくても振動発生等の悪影響を及ぼすおそれは少ないため、初期区間よりも大きめの閾値を設定してもよい。
即ち、初期区間は一般に、停止状態の駆動対象を動かす必要性から操作量が急激に増加する可能性が高いため、駆動対象への衝撃を緩和すべく、閾値を低めに設定するのが好ましい。これに対して中間区間では、駆動対象はすでにある程度の速度で動いており、初期区間よりは操作量の変化量が大きくても振動発生等の悪影響を及ぼすおそれは少ないため、初期区間よりも大きめの閾値を設定してもよい。
そして、初期区間の閾値よりも中間区間の閾値の方が大きい値に設定されている場合は、初期区間では一般に第1の変化量自体がすでに閾値(初期区間の閾値)を超えてしまう可能性が高いものの、中間区間では、第1の変化量が閾値(中間区間の閾値)未満に収まる可能性が比較的高い。そのため、このように閾値に対して比較的余裕の生じる可能性の高い中間区間において、第2の変化量に基づく第2の操作量の生成を行うようにすれば、モータの制御をさらに効率的に行うことが可能となる。
また、請求項10又は11記載のモータ制御装置において、中間区間は、請求項12記載のように、更に複数の区間に分けられると共に、該複数の区間毎に、駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きい値になるよう閾値が設定されたものとしてもよい。
請求項13記載の発明は、請求項10〜12いずれかに記載のモータ制御装置であって、補正値生成手段は、初期区間において補正値の生成を行う。
上述したように、初期区間は、他の中間区間、到達区間と比較すると、第1の変化量が閾値を超える可能性が高く、その反面、中間区間は初期区間と比較すると第1の変化量はそれほど大きくなく閾値未満となる可能性も高い。そこで、補正値の演算を初期区間において行うようにすれば、補正値の演算を必要十分に行うことができ、モータ制御の効率化をより高めることが可能となる。
上述したように、初期区間は、他の中間区間、到達区間と比較すると、第1の変化量が閾値を超える可能性が高く、その反面、中間区間は初期区間と比較すると第1の変化量はそれほど大きくなく閾値未満となる可能性も高い。そこで、補正値の演算を初期区間において行うようにすれば、補正値の演算を必要十分に行うことができ、モータ制御の効率化をより高めることが可能となる。
請求項14記載の発明は、請求項4〜13いずれかに記載のモータ制御装置と、被記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、モータにより駆動される駆動対象としてのキャリッジに搭載され、該モータにより該キャリッジと共に被記録媒体の搬送方向と直交する方向(主走査方向)へ移動されつつ、該被記録媒体へインク滴を吐出して該被記録媒体上への画像形成を行う記録ヘッドと、を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
このように、請求項4〜13いずれかに記載のモータ制御装置を、画像処理装置におけるキャリッジの駆動に用いることで、画像形成時におけるキャリッジの振動を抑制することができると共に、その加速時間を短縮することも可能となる。これにより、被記録媒体に形成される画像の高画質化と、画像処理装置の小型化が実現される。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(1)多機能装置の構成
図1は、本実施形態の多機能装置(MFD:Multi Function Device)1の概略構成を表す断面図であり、図2は、多機能装置1における画像形成機構の概略構成を表す説明図であり、図3は、多機能装置1の電気的構成を表すブロック図である。この多機能装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を有したものである。
[第1実施形態]
(1)多機能装置の構成
図1は、本実施形態の多機能装置(MFD:Multi Function Device)1の概略構成を表す断面図であり、図2は、多機能装置1における画像形成機構の概略構成を表す説明図であり、図3は、多機能装置1の電気的構成を表すブロック図である。この多機能装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を有したものである。
図1に示すように、本実施形態の多機能装置1は、複数枚の用紙Pが積層された給紙トレイ3と、給紙トレイ3に収容された用紙Pを一枚ずつ分離して搬送路に送出する給紙ユニット10と、給紙ユニット10を構成する給紙ローラ11の回転により搬送路に送出された用紙Pを対向配置されたピンチローラ22と共に挟持し、回転動作によって用紙Pを記録ヘッド30下の記録位置に搬送する搬送ローラ21と、搬送ローラ21から搬送されてきた用紙Pを、対向配置されたピンチローラ42と共に挟持し、回転動作によって用紙Pを搬送路下流の排紙トレイ(図示略)に排出する排紙ローラ41と、用紙Pの搬送路を構成する土手部51及びUターンパス53及びプラテン55と、を備える。
給紙ユニット10は、直流モータで構成される給紙モータ13の駆動力を受けて給紙ローラ11を回転させる構成にされており、給紙ローラ11を、給紙トレイ3に載置された用紙Pの上面に当接し、給紙ローラ11の回転により、給紙トレイ3に載置された最上部の用紙Pを分離して、搬送路に送出する。
土手部51及びUターンパス53から構成される搬送路の上流部は、給紙ローラ11により送出される用紙Pの移動を規制して、用紙Pを、搬送路下流に位置する搬送ローラ21とピンチローラ22との接点SP1に誘導するためのものであり、Uターンパス53の下流側には、その下方に、用紙Pの下方向への移動を規制して、用紙Pを搬送ローラ21とピンチローラ22との接点SP1に誘導するための補助部53aが設けられている。
このように構成された搬送路により、給紙ローラ11を通じて給紙トレイ3から送出された用紙Pは、Uターンパス53及び補助部53aの搬送路下流側に位置する搬送ローラ21及びピンチローラ22の接点SP1に誘導される。
なお、接点SP1の搬送路上流側には、レジストセンサ60が設けられており、このレジストセンサ60により、用紙Pの先頭位置及び後端位置が検出される。
また、接点SP1に用紙Pの先端が到来すると、用紙Pは、搬送ローラ21の回転動作によって搬送ローラ21とピンチローラ22との間に引き込まれ、搬送ローラ21及びピンチローラ22に挟持される。その後、用紙Pは、搬送ローラ21の回転と共に、搬送ローラ21の回転量に相当する距離、搬送路下流に搬送される。
また、接点SP1に用紙Pの先端が到来すると、用紙Pは、搬送ローラ21の回転動作によって搬送ローラ21とピンチローラ22との間に引き込まれ、搬送ローラ21及びピンチローラ22に挟持される。その後、用紙Pは、搬送ローラ21の回転と共に、搬送ローラ21の回転量に相当する距離、搬送路下流に搬送される。
一方、プラテン55は、搬送ローラ21と排紙ローラ41とを結ぶ搬送路の下流部を構成するものである。このプラテン55は、搬送ローラ21から搬送される用紙Pを、記録ヘッド30によって画像が形成される記録位置に誘導すると共に、記録ヘッド30により画像が形成された用紙Pを、排紙ローラ41とピンチローラ42との接点SP2に誘導する。
用紙Pは、このプラテン55に沿って排紙ローラ41側へと搬送され、先端が排紙ローラ41とピンチローラ42との接点SP2に到達すると、排紙ローラ41の回転と共に、排紙ローラ41とピンチローラ42との間に引き込まれ、排紙ローラ41及びピンチローラ42により挟持される。その後、用紙Pは、排紙ローラ41の回転と共に、図示しない排紙トレイへと排出される。
搬送ローラ21及び排紙ローラ41は、ベルトにて連結されており、同一の駆動源により連動して回転するように構成されている。即ち、搬送ローラ21が、直流モータで構成されるLFモータ23の駆動力を受けて回転する構成にされており、搬送ローラ21がLFモータ23により回転されるとこれに連動して排紙ローラ41も回転する。
また、記録ヘッド30は、インク液滴を吐出するためのノズルが、プラテン55に対向する底面に複数配列された構成にされている。この記録ヘッド30は、ガイド軸61(図2参照。詳細は後述。)に沿って主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向。図2参照。)に移動可能なキャリッジ31に搭載されており、キャリッジ31は、直流モータで構成されるCR(キャリッジ)モータ33により駆動され、主走査方向に移動する。
また、多機能装置1には、原稿に記録された画像を読み取る画像読取装置45が搭載されており、この画像読取装置45により、多機能装置1におけるスキャナ機能(コピー機能及びファクシミリ機能における画像の読取機能を含む)が実現される。具体的には、当該多機能装置1における記録ヘッド30の上部に、原稿を載置するための載置用ガラス板(図示略)が設けられており、この載置用ガラス板の下側(キャリッジ31と干渉しない位置)に、原稿読み取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)が搭載されたCISユニット46が設けられている。
このCISユニット46は、直流モータにより構成される読取モータ47の駆動力によって、キャリッジ31の移動方向(主走査方向)と平行に配置されたガイド軸(図示略)に沿って往復移動されつつ、載置用ガラスに載置された原稿の画像を読み取る。
また、画像読取装置45では、載置用ガラスに載置された原稿に対してCISユニット46を走査させることによりその原稿の画像を読み取る機能だけでなく、CISユニット46は移動させずに原稿を搬送させつつその画像を読み取っていくための、読取ADF機能も備えている。この読取ADF機能は、直流モータにより構成されるADFモータ48と、このADFモータ48の駆動力によって原稿を搬送するための各種機構(図示略)を備えている。
その他、多機能装置1は、記録ヘッド30を駆動するための記録ヘッドドライバ32、CRモータ33を駆動するためのCRモータドライバ37、LFモータ23を駆動するためのLFモータドライバ27、給紙モータ13を駆動するための給紙モータドライバ17などの各種ドライバを備えると共に、これら各種ドライバに対して駆動信号(本実施形態ではPWMデューティ比を示す信号)を出力したり画像読取装置45との間で各種信号の送受を行うASIC5を備えている。
ここで、記録ヘッド30及びキャリッジ31等からなり、多機能装置1におけるプリンタ機能(コピー機能及びファクシミリ機能における画像の形成機能を含む)を実現するための、画像形成機構について、図2に基づいてより具体的に説明する。
図2に示すように、多機能装置1における画像形成機構は、ガイド軸61が、用紙Pの幅方向(即ち、用紙搬送方向と直交する主走査方向)に設置され、このガイド軸61に、記録ヘッド30を搭載したキャリッジ31が、主走査方向に移動可能に挿通されている。
キャリッジ31は、ガイド軸61に沿って設けられた無端ベルト62に連結され、その無端ベルト62は、ガイド軸61の一端側に設置されたCRモータ33の駆動プーリ63と、ガイド軸61の他端側に設置された従動プーリ64との間に掛け止められている。これにより、キャリッジ31は、無端ベルト62を介して伝達されるCRモータ33の駆動力により、ガイド軸61に沿って用紙P の幅方向(主走査方向)に往復駆動される。
また、ガイド軸61の近傍には、所定の間隔でエンコーダスリットが形成されたリニアスケール66が、ガイド軸61に沿って(即ちキャリッジ31の移動経路に沿って)設置されている。
また、キャリッジ31におけるリニアスケール66と対向する位置には、リニアスケール66を挟んで図示しない発光部および受光部が配置された検出部67が備えられており、上述のリニアスケール66と共にCRリニアエンコーダ35を構成している。このCRリニアエンコーダ35からのパルス信号に基づき、ASIC5内にてキャリッジ31の移動量(位置や速度)が検出される。
このように構成された画像形成機構によって用紙Pへの画像形成が行われる際は、待機領域に停止中のキャリッジ31が記録領域に向かって加速し始め、一定の目標到達速度Vcに到達する。そして、その一定の目標到達速度Vcで定速移動されている間、記録ヘッド30からのインク液滴吐出による用紙Pへの1パス分の画像形成が行われる。その後、キャリッジ31は減速し、調整領域内で停止する。停止後、キャリッジ31は、この調整領域から待機領域へ向かう方向へ再び加速、定速Vcで移動(1パス分の画像形成)、減速して、待機領域内で停止する。このように、キャリッジ31の主走査方向への往復移動によって1パスずつ画像形成が行われる。
続いて、多機能装置1の電気的構成について説明する。図3に示すように、本実施形態の多機能装置1は、CPU51と、CPU51が実行するプログラム等が記憶されたROM52と、CPU51によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM53と、各種設定情報が記憶されるEEPROM54と、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等に接続され、PC等から送信されてくる印刷指令や当該印刷指令と共に送信されてくる印刷対象データ等を受信するインタフェース55(例えば、USBインタフェース)と、ASIC5と、各種操作ボタンや液晶表示部等(いずれも図示略)を備えた操作部56とを備える。
この多機能装置1は、更に、図1及び図2で説明したように、記録ヘッド30及びキャリッジ31と、キャリッジ31を駆動し、キャリッジ31を主走査方向に移動させるCRモータ33と、キャリッジの移動中にキャリッジ31の位置に対応したパルス信号を発生するCRリニアエンコーダ35とを備えている。そして、ASIC5内のCRモータ制御部38によりCRモータ33を制御して、キャリッジ31を主走査方向に移動させる。
CRモータ制御部38は、CRリニアエンコーダ35からのパルス信号に基づいてキャリッジ31の速度や位置を検出し、その検出結果に基づいて、後述するようにCRモータ33に出力すべき操作量である出力操作量(ここでは電圧指令値)を生成する。そして、その生成した出力操作量に対応したPWM信号(PWMデューティ比を示す信号)やCRモータ33の回転方向を示す信号等が、CRモータドライバ37へ入力される。
CRモータドライバ37は、CRモータ33へ電力を供給(電圧出力)してCRモータ33を回転させるための、例えばHブリッジ回路等からなるものであり、CRモータ制御部38から入力されたPWM信号や回転方向信号等に従ってCRモータ33へ電力を供給し、CRモータ33を回転させる。
また、記録ヘッド30は、ASIC5内の記録制御部39により制御される。記録ヘッド30は、周知のピエゾ型インクジェットヘッドと同一構成にされており、記録ヘッドドライバ32が記録制御部39からの駆動指令に基づいて駆動電圧を印加し、インク室(図示略)に隣接する圧電部を変形させてインク室の容積を変化させることによって、インク室内のインクをノズルから用紙Pに向けて吐出する構成にされている。この記録ヘッド30は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインク液滴を吐出するための各ノズル(図示略)を備え、これら各ノズルから該当する色のインク液滴を吐出することにより、用紙Pにカラー画像を形成する。
記録制御部39は、CRリニアエンコーダ35からのパルス信号に基づいてキャリッジ31の速度や位置を検出し、その検出結果に基づいて生成された駆動指令を記録ヘッドドライバ32に出力する。
また、多機能装置1は、給紙モータ13、及び、給紙モータ13が所定量回転する度にパルス信号を出力する給紙ロータリエンコーダ15を備える。給紙ロータリエンコーダ15からのパルス信号は、ASIC5内の給紙モータ制御部18に入力される。
給紙モータ制御部18は、給紙ロータリエンコーダ15から入力されるパルス信号に基づき、給紙ローラ11の回転量、更には用紙Pの搬送量を検出し、その検出結果に基づいて、給紙モータ13に出力すべき操作量である出力操作量(ここでは電流指令値)を生成する。そして、その生成した出力操作量に対応したPWM信号や給紙モータ13の回転方向を示す信号等が、給紙モータドライバ17へ入力される。
給紙モータドライバ17は、CRモータドライバ37と同様、給紙モータ制御部18から入力されたPWM信号や回転方向信号等に従って給紙モータ13へ電力を供給し、給紙モータ13を回転させる。これにより、給紙トレイ3から搬送ローラ21への用紙Pの搬送が実現される。
この他、多機能装置1は、LFモータ23、及び、LFモータ23が所定量回転する度にパルス信号を出力するLFロータリエンコーダ25を備える。LFロータリエンコーダ25からのパルス信号は、ASIC5内のLFモータ制御部28に入力される。
LFモータ制御部28は、LFロータリエンコーダ25から入力されるパルス信号に基づき、搬送ローラ21の回転量、更には用紙Pの搬送量を検出し、その検出結果に基づいて、LFモータ23に出力すべき操作量である出力操作量(ここでは電流指令値)を生成する。そして、その生成した出力操作量に対応したPWM信号やLFモータ23の回転方向を示す信号等が、LFモータドライバ27へ入力される。
LFモータドライバ27は、CRモータドライバ37と同様、LFモータ制御部28から入力されたPWM信号や回転方向信号等に従ってLFモータ23へ電力を供給し、LFモータ23を回転させる。これにより、搬送ローラ21が取り込んだ用紙Pを排紙するまでの用紙搬送が実現される。
更に、多機能装置1は、上述したように画像読取装置45を備えており、この画像読取装置45内のCISユニット46、読取モータ47、ADFモータ48は読取制御部49により制御される。
読取モータ47には、この読取モータ47が所定量回転する度にパルス信号を出力する読取ロータリエンコーダ(図示略)が設けられている。読取制御部49は、この読取ロータリエンコーダからのパルス信号に基づき、読取モータ47の駆動(ひいてはCISユニット46の移動)を制御する。また、ADFモータ48にも、このADFモータ48が所定量回転する度にパルス信号を出力するADFロータリエンコーダ(図示略)が設けられている。読取制御部49は、このADFロータリエンコーダからのパルス信号に基づき、読ADFモータ48の駆動(ひいては原稿の搬送)を制御する。
また、CISユニット46により読み取られた画像を示す画像信号は、読取制御部49に入力される。読取制御部49は、この入力された画像信号に基づいて各種画像処理を行う。
なお、ASIC5にはレジストセンサ60が接続されており、ASIC5では、このレジストセンサ60の出力信号と、上記各ロータリエンコーダ15,25の出力信号とに基づいて、搬送路における用紙Pの位置が検出され、その検出結果はCPU51にも出力される。ASIC5内の各制御部18,28,38,39,49は、CPU51からの指令を受けて、それぞれ指令に従った記録ヘッド30の制御、CRモータ33の制御、給紙モータ13の制御、LFモータ23の制御、画像読取装置45の制御を実行する構成にされている。
(2)CRモータ制御部38の制御系構成
次に、ASIC5内のCRモータ制御部38の動作について、図4を用いてより詳しく説明する。図4は、CRモータ制御部38の制御系の構成を表すブロック図である。本実施形態のCRモータ制御部38は、予め設定した時間間隔の演算タイミング毎にCRモータ33への出力操作量を生成し、その出力操作量に応じたPWM信号をCRモータドライバ37へ出力するものである。
次に、ASIC5内のCRモータ制御部38の動作について、図4を用いてより詳しく説明する。図4は、CRモータ制御部38の制御系の構成を表すブロック図である。本実施形態のCRモータ制御部38は、予め設定した時間間隔の演算タイミング毎にCRモータ33への出力操作量を生成し、その出力操作量に応じたPWM信号をCRモータドライバ37へ出力するものである。
ASIC5内には、一定周期でクロックパルスを生成するクロックパルス生成回路(図示略)が設けられており、CRモータ制御部38を含むASIC5内の各制御部は、このクロックパルスを基準に制御演算を行う。そのため、上記の演算タイミングはこのクロックパルスの発生タイミングである。なお、以下の説明では、CRモータ33の制御開始(キャリッジ31の駆動開始)からの経過時間、即ちCRモータ制御部38による制御演算開始からの経過時間を、演算タイミングnで表す。
図4に示すように、CRモータ制御部38は、キャリッジ31の目標速度指令Vref[n]を設定する目標速度設定部71と、CRリニアエンコーダ35からのパルス信号に基づいてキャリッジ31の実速度V[n]を検出する速度検出部72と、目標速度指令Vref[n]と実速度V[n]との差である速度偏差Verr[n]を演算する速度偏差演算部73と、速度偏差Verr[n]に基づき、キャリッジ31の速度が目標速度指令Vref[n]と一致するようにCRモータ33を制御するための操作量である制御器演算操作量U’[n]を演算するフィードバック(FB)制御器74と、このFB制御器74により演算された制御器演算操作量U’[n]の、前回の演算タイミングで出力操作量生成部75により生成された出力操作量U[n−1](つまり前回の演算タイミングで実際にCRモータ33側へ出力された操作量)からの増減値である演算操作量増減値ΔMu[n]を演算する第1増減値演算部77と、この第1増減値演算部77により演算された演算操作量増減値ΔMu[n]に基づき、最終的にCRモータ33へ出力すべき出力操作量U[n](電圧指令値)を生成する出力操作量生成部75と、この出力操作量生成部75により生成された出力操作量U[n]に応じたPWM信号を生成してCRモータドライバ37へ出力するPWM生成部80とを備えている。
目標速度設定部71は、キャリッジ31の駆動開始後、キャリッジ31の速度が目標到達速度Vcに到達するように演算タイミング毎に目標速度指令Vref[n]を設定するものである。本実施形態では、目標速度設定部71は、キャリッジ31の駆動開始から目標到達速度Vcに到達するまでの全区間で、目標速度指令Vref[n]を目標到達速度Vcに設定する。
FB制御器74は、速度偏差Verr[n]に基づき、例えばPID制御、或いはロバスト制御などの制御法によって制御器演算操作量U’[n]を演算するものであり、その演算結果は、第1増減値演算部77へ入力される。
第1増減値演算部77は、演算タイミング毎に、FB制御器74によって演算された制御器演算操作量U’[n]と、出力操作量格納メモリ76に記憶されている、前回の演算タイミングにおいて出力操作量生成部75により生成された出力操作量U[n−1]とに基づき、今回の制御器演算操作量U’[n]が前回出力された出力操作量U[n−1]からどれだけ増減したかを演算し、演算操作量増減値ΔMu[n]として出力する。
また、本実施形態では、用紙Pへの画像形成の際、既述の通り、停止状態のキャリッジ31が主走査方向に向かって移動を開始し、加速していってやがて目標到達速度Vcに到達するのであるが、この移動開始から目標到達速度Vcに達するまでの駆動区間(目標到達速度Vcまでの加速期間)が、3つの区間に分けられ、各区間毎に、操作量増減値の制限値(本発明の閾値に相当)M[m]が設定されている。なお、mは区間番号(m=1,2,3)を示す。
具体的には、キャリッジ31の駆動開始(つまりCRモータ33の制御開始)から所定時間が経過するまでの初期区間(m=1)と、キャリッジ31が目標到達速度Vcに到達する直前の所定期間である到達区間(m=3)と、初期区間が終了してから到達区間に入るまでの間の期間である中間区間(m=2)との3区間に分かれており、各区間毎に、制限値M[m]が設定されている。この制限値M[m]は、出力操作量生成部75にて生成される出力操作量U[n]が、前回の演算タイミングでの出力操作量U[n−1]から急激に変化することのないよう、その増減値に制限をかけるためのものであり、区間制限値格納部78に格納されている。
比較部79は、演算タイミング毎に、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]と、区間制限値格納部78に格納されている制限値M[m]とを比較する。この比較結果は、出力操作量生成部75、補正値演算部82、及び第2増減値演算部84に入力され、当該各部の演算に利用される(詳細は後述)。
また、CRモータ制御部38は、比較部79の比較の結果、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えていた場合に、その超過分に基づいて補正値F[n]を生成する、補正値生成部81を備えている。
補正値生成部81では、初期区間(m=1)及び中間区間(m=2)において、演算タイミング毎に、補正値演算部82が、比較部79の比較結果を参照する。そして、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えていた場合、補正値演算部82は、その超過分であるΔMu[n]−M[m]を、補正値F[n]として演算する。この補正値F[n]は補正値格納メモリ83に記憶され、保持される。補正値演算部82は、演算タイミング毎に、前回までに演算されて補正値格納メモリ83に記憶されている補正値F[n−1]に対し、今回の超過分(ΔMu[n]−M[m])を累積加算することで、今回の補正値F[n]を演算する。この補正値生成部81で生成された補正値F[n]は、本実施形態では中間区間において、出力操作量U[n]の生成の際に用いられる。
出力操作量生成部75は、初期区間および到達区間においては、まず、比較部79の比較結果を参照する。そして、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]未満であれば、その演算操作量増減値ΔMu[n]をそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とし、この出力操作量増減値ΔMn[n]を前回の演算タイミングにおいて生成された出力操作量U[n−1]に加えることで、今回出力すべき出力操作量U[n]を生成する。
なお、出力操作量生成部75により生成された出力操作量U[n]は、PWM生成部80に入力されると共に出力操作量格納メモリ76に記憶される。出力操作量生成部75は、演算タイミング毎にこの出力操作量格納メモリ76から前回の出力操作量U[n−1]を読み出し、これを用いて今回の出力操作量U[n]の生成を行う。
一方、出力操作量生成部75は、初期区間及び到達区間において、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]以上であった場合は、制限値M[m]を最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とし、この出力操作量増減値ΔMn[n]を前回の演算タイミングにおいて生成された出力操作量U[n−1]に加えることで、今回出力すべき出力操作量U[n]を生成する。中間区間における出力操作量U[n]の生成についても、前回の演算タイミングからの増減値が制限値M[2]以下に制限されること自体は初期区間及び到達区間と同じであるが、それ以外の点で初期区間及び到達区間とは異なる部分がある。その詳細については後述する。
このように、本実施形態では、キャリッジ31の駆動開始から目標到達速度Vcに到達するまでの各区間毎に操作量増減値の制限値M[m]が設定され、出力操作量U[n]の前回演算タイミングからの増減がこの制限値M[m]を超えないように抑制されている。
また、本実施形態では、区間毎の制限値M[m]を、中間区間の制限値M[2]が、他の区間の制限値M[1],M[3]より大きい値に設定されている。より詳しくは、M[1]<M[3]<M[2]の関係となっている。このように、中間区間の制限値M[2]を他の区間よりも大きく設定している(換言すれば、初期区間や到達区間の制限値M[1],M[3]を中間区間の制限値M[2]よりも小さく設定している)のは、次の理由による。
即ち、初期区間においては、停止状態のキャリッジ31を動かし、目標速度Vref[n](=Vc)に向けて加速させていく必要があるため、FB制御器74で演算される制御器演算操作量U’[n]は急激に増加していく。そのため、その増加量に制限を設けないと、キャリッジ31が急加速し、振動が発生するおそれが高くなる。そのため、初期区間においては、操作量が急激に増加することのないよう、制限値M[1]を低いレベルに設定しているのである。
この結果、初期区間のほとんどで、FB制御器74で演算される制御器演算操作量U’[n]の、前回生成された出力操作量U[n−1]に対する変化量(演算操作量増減値ΔMu[n])は、制限値M[1]を超える結果(過剰状態)となる。そのため、初期区間のほとんどで、出力操作量U[n]は、前回の演算タイミングにおける出力操作量U[n−1]から制限値M[1]だけ増加した値となって生成されることとなる。なお、制限値M[1]の設定レベルによっては必ずしも初期区間のほとんどで演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[1]を超えるわけではないことはいうまでもない。
なお、到達区間についても制限値M[3]が初期区間と同程度の低いレベルに設定されているのは、到達区間においてはキャリッジ31の実速度V[n]が目標到達速度Vcに近くなっており、しかも、やがて定速状態に入って画像形成が始まるという状況でもあるため、CRモータ33への出力操作量U[n]が大きく変化するのはあまり好ましくない。そのため、到達区間においても制限値M[3]が低いレベルに設定されているのである。
これに対し、中間区間は、キャリッジ31の速度もある程度上昇しており、出力操作量U[n]の変化量が多少大きくても振動発生等の問題が生じるおそれが少ない。そのため、中間区間においては制限値M[2]が大きな値に設定され、出力操作量U[n]がある程度大きく増加してもそれが許容されるようにしている。
この中間区間の制限値M[2]は、通常であれば演算操作量増減値ΔMu[n]がそれを超えることがほとんどないような高いレベルの値である。つまり、中間区間においては、通常は、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[2]に達することはほとんどなく、制限値M[2]に対して比較的余裕が生じる結果(余裕状態)となるのである。
そこで本実施形態では、この比較的余裕が生じる中間区間を有効活用すべく、初期区間及び中間区間において、既述の通り、補正値生成部81が、キャリッジ31の駆動開始後から毎回の演算タイミング毎に、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えていた場合にその超過分を累積加算してそれを補正値F[n]として保持しておく。
そして、中間区間での出力操作量U[n]の生成において、単に前回の出力操作量U[n−1]に演算操作量増減値ΔMu[n]を加えて今回の出力操作量U[n]とするのではなく、演算操作量増減値ΔMu[n]に対して更に前回の演算タイミングまでに演算(累積加算)された補正値F[n−1]を上乗せした新たな増減値(補正値加算増減値K)を演算する。そして、この補正値加算増減値Kを出力操作量増減値ΔMn[n]として(但し制限値M[2]を上限として)、この出力操作量増減値ΔMn[n]を前回の出力操作量U[n−1]に加えることで今回の出力操作量U[n]を生成するようにしている。
この補正適用区間としての中間区間における、出力操作量U[n]の生成についてより具体的に説明する。図4に示すように、CRモータ制御部38は、中間区間(m=2)において、第1増減値演算部77により演算された演算操作量増減値ΔMu[n]に補正値F[n−1]を上乗せした新たな増減値である補正値加算増減値Kを演算するための、第2増減値演算部84を備えている。
中間区間において、この第2増減値演算部84は、演算タイミング毎に、比較部79の比較結果を参照する。そして、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]未満であった場合に、今回の演算タイミングで第1増減値演算部77により演算された演算操作量増減値ΔMu[n]に、補正値格納メモリ83に記憶されている、前回の演算タイミングで演算された補正値F[n−1](つまり前回の演算タイミングまでに累積加算されて得られた補正値)を加算することで、補正値加算増減値Kを演算する。
第2増減値演算部84は、この補正値加算増減値Kが制限値M[m](ここではM[2])以上かどうか判断し、制限値M[2]以上でなければこの補正値加算増減値Kをそのまま出力操作量増減値ΔMn[n]とし、制限値M[2]以上であった場合は、制限値M[m]を出力操作量増減値ΔMn[n]として、出力操作量生成部75に出力する。
出力操作量生成部75は、中間区間においては、まず、比較部79の比較結果を参照する。そして、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[2]以上であった場合は、制限値M[2]を最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とし、この出力操作量増減値ΔMn[n]を前回の演算タイミングにおいて生成された出力操作量U[n−1]に加えることで、今回出力すべき出力操作量U[n]を生成する。
一方、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[2]未満であった場合は、第2増減値演算部84にて演算された出力操作量増減値ΔMn[n](補正値加算増減値K又は制限値M[2]のいずれか)を、前回の演算タイミングにおいて生成された出力操作量U[n−1]に加えることで、今回出力すべき出力操作量U[n]を生成する。
つまり、中間区間では、第1増減値演算部77により演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[2]に対して余裕があるときは、その余裕分に対し、前回の演算タイミングまでに演算された補正値F[n−1]を上乗せするのである(但し制限値M[2]を上限として)。
そして、このように補正値F[n−1]の一部又は全てがその余裕分に対して上乗せされたときは、補正値演算部82は、その上乗せされた分(実使用補正値L)を、補正値F[n−1]から減算することにより、新たな補正値F[n]を演算する。この新たな補正値F[n]は、補正値格納メモリ83に記憶(更新)される。
(3)CPU51による主制御処理
このように、CRモータ33の制御(キャリッジ31の駆動制御)は、直接的にはASIC5内のCRモータ制御部38が主体となって行うのだが、多機能装置1では、用紙Pへの画像形成が行われる際、CPU51が、給紙処理、搬送処理、画像形成処理、排紙処理などの主制御を行う。図5は、このCPU51が実行する主制御処理を表すフローチャートである。CPU51は、多機能装置1に接続されたPCや操作部56等から画像形成指示が入力されると、図5に示す主制御処理を実行する。
このように、CRモータ33の制御(キャリッジ31の駆動制御)は、直接的にはASIC5内のCRモータ制御部38が主体となって行うのだが、多機能装置1では、用紙Pへの画像形成が行われる際、CPU51が、給紙処理、搬送処理、画像形成処理、排紙処理などの主制御を行う。図5は、このCPU51が実行する主制御処理を表すフローチャートである。CPU51は、多機能装置1に接続されたPCや操作部56等から画像形成指示が入力されると、図5に示す主制御処理を実行する。
この主制御処理が開始されると、まず、給紙処理が実行される(S110)。この給紙処理は、ASIC5に対して用紙Pの給紙動作に必要な各種設定を行うことにより、ASIC5内の給紙モータ制御部18を動作させて給紙モータ13を駆動制御するものである。この給紙処理により、給紙モータ13が回転し、給紙トレイ3から1枚の用紙Pが分離され、この用紙Pが搬送ローラ21とピンチローラ22との接点SP1まで搬送される。
この給紙処理が終了すると、次に初期搬送処理が実行される(S120)。この初期搬送処理は、ASIC5に対して各種設定を行うことにより、用紙Pの描画エリアの始点が所定の画像形成地点(記録ヘッド30のインク液滴吐出部の下部)に来るよう、ASIC5内のLFモータ制御部28を制御するものである。
この初期搬送処理が終了すると、1パス分の画像形成処理が実行される(S130)。即ち、キャリッジ31が主走査方向に移動し、その際に記録ヘッド30からインク液滴が吐出されて、用紙Pに1パス分の画像が形成される。
このS130の画像形成処理における、CRモータ33の制御は、より詳しくは、次のように行われる。即ち、図5に示すように、まずCRモータ制御部38に対する初期処理が行われる(S210)。この初期処理では、ASIC5内のCRモータ制御部38が有する各種レジスタの初期設定等がなされる。この初期処理が終了すると、CPU51からCRモータ制御部38に対して停止割込み許可が発行される(S220)。これにより、CRモータ制御部38は、停止割り込み信号を出力可能な状態になる。尚、停止割込み許可を受けたCRモータ制御部38は、1パス分の画像形成が終了してキャリッジ31が停止する毎に、その状態を検知して停止割り込み信号をCPU51へ出力する。
S220の処理が終了すると、CRモータ制御部38に対して起動設定がなされる(S230)。即ち、S230では、CPU51によるCRモータ制御部38内の起動設定レジスタ(図示略)の設定を契機として、CRモータ制御部38側で、制御器演算操作量U’[n]の演算、更には出力操作量U[n]の演算等が開始され、CRモータ33の駆動、ひいてはキャリッジ31の主走査方向への駆動が開始される。尚、起動設定後に開始されるCRモータ33の制御(キャリッジ31の駆動制御:図6,図7参照)は、基本的にASIC5内のCRモータ制御部38により行われ、CPU51は、S240にて停止割込み信号の待機を行う。
そして、CRモータ制御部38から停止割込み信号が出力されると(S240:YES)、CPU51により停止割込みフラグがクリアされる。また、以後停止割込み信号が入ってこないよう、停止割込みについての割込みマスク処理が実行される(S250)。
S130による1パス分の画像形成処理が終了すると、用紙Pの終点までの画像形成が終了したか否か(つまり1ページ分の画像形成が終了したか否か)が判断され(S140)、終了してないと判断されると(S140:NO)、搬送処理が実行されて(S150)、用紙Pが次パスの画像形成が行われるべき地点まで搬送される。この搬送処理も、初期搬送処理と同様、ASIC5内のLFモータ制御部28を制御して搬送ローラ21を駆動させることにより行われる。この搬送処理によって用紙Pが次パスの画像形成地点まで搬送されると、再びS130の画像形成処理が実行され、1パス分の画像形成が行われる。
一方、1ページ分の画像形成が終了したと判断されると(S140:YES)、排紙処理が実行され、ASIC5の制御に基づき、用紙Pが排紙トレイに排出される(S160)。
(4)ASIC5によるキャリッジ駆動処理
図6は、ASIC5内のCRモータ制御部38により実行される、1パス分の画像形成処理時におけるキャリッジ駆動処理を表すフローチャートである。CRモータ制御部38によるCRモータ33の制御(ひいてはキャリッジ31の駆動制御)は、既述の通りハードウェアであるASIC5の動作としてなされるものであるが、ここでは、ハードウェアの動作をフローチャートに置き換えて説明する。
図6は、ASIC5内のCRモータ制御部38により実行される、1パス分の画像形成処理時におけるキャリッジ駆動処理を表すフローチャートである。CRモータ制御部38によるCRモータ33の制御(ひいてはキャリッジ31の駆動制御)は、既述の通りハードウェアであるASIC5の動作としてなされるものであるが、ここでは、ハードウェアの動作をフローチャートに置き換えて説明する。
CPU51の起動設定(S230)によってこのキャリッジ駆動処理が開始されると、キャリッジ駆動設定が行われる(S310)。このキャリッジ駆動設定は、CRモータ33の制御(出力操作量U[n]の演算等)に必要な各種パラメータ等を設定するものであり、例えば、目標到達速度Vcの設定、FB制御器74で制御器演算操作量U’[n]の演算時に用いられるフィードバック制御ゲインCの設定、補正値F[n]の初期設定、区間毎の制限値M[m]の設定などが行われる。
そして、S320に移行し、キャリッジ駆動制御が実行される。このキャリッジ駆動制御の詳細については後述する。S320のキャリッジ駆動制御の後、キャリッジ31が停止位置に到達したか否かが判断され、停止位置に到達するまではS320のキャリッジ駆動処理が繰り返される。そして、キャリッジ31が停止位置に到達したと判断された場合は(S330:YES)、停止処理が実行され、キャリッジ31が停止される(S340)。
次に、上述した図6のキャリッジ駆動処理におけるS320のキャリッジ駆動制御について、図7に基づいて説明する。図7は、ASIC5内のCRモータ制御部38にて実行されるキャリッジ駆動制御を表すフローチャートである。CRモータ制御部38は、S310(図6参照)のキャリッジ駆動設定後、所定の演算タイミング毎に(本実施形態では例えば200μs周期)このキャリッジ駆動制御を実行する。
このキャリッジ駆動制御が開始されると、まず、区間番号がm=1に設定される(S410)。即ち、停止状態のキャリッジ31の駆動が開始された後、所定期間T[1]が経過するまでは初期区間であるため、まずm=1に設定されるのである。
区間番号の設定後は、区間の判定や切り替え等のための区間判定カウント値Cnt[n]の演算が行われる(S420)。この区間判定カウント値Cnt[n]は、初期値が0であり、演算タイミング毎に1ずつインクリメントされるものであり、駆動開始時からの経過時間を示すものである。
そして、続くS430にて、速度偏差Verr[n]の演算が行われる。即ち、目標速度Vref[n](=Vc)と実速度V[n]との差が速度偏差Verr[n]として演算される。この演算は、速度偏差演算部73により行われるものである。
速度偏差Verr[n]が演算されると、その演算された速度偏差Verr[n]に所定のフィードバック制御ゲインCを乗じることで、制御器演算操作量U’[n]が演算される(S440)。この演算は、FB制御器74により行われるものである。なお、速度偏差Verr[n]にフィードバック制御ゲインCを乗じて制御器演算操作量U’[n]を演算するのはあくまでも一例であり、その演算方法は、FB制御器74の構成に応じて種々考えられる。
制御器演算操作量U’[n]が演算されると、その演算された制御器演算操作量U’[n]と、前回の演算タイミングで生成された出力操作量U[n−1]との差を演算することで、演算操作量増減値ΔMu[n]が演算される(S450)。この演算は、第1増減値演算部77により行われるものである。
そして、区間毎に設定されている区間時間T[m]と現時点での区間判定カウント値Cnt[n]との比較による区間判定が行われる(S460)。本実施形態では、駆動開始からT[1]が経過するまでの区間が初期区間、初期区間の終了後であって駆動開始からT[2]が経過するまでの区間が中間区間、中間区間の終了後であって駆動開始からT[3]が経過するまでの区間(つまり目標到達速度Vcに到達する直前の区間)が到達区間、として設定されている。
駆動開始直後は、T[1]が経過するまでは初期区間であるため、S460では現時点での区間判定カウント値Cnt[n]が初期区間の区間時間T[1]を超えたか否かが判断されることになる。そして、T[1]を超えていない場合は(S460:NO)、まだ初期区間であると判断してS480に移行する。一方、区間判定カウント値Cnt[n]がT[1]を超えたと判断された場合は(S460:YES)、区間番号mがインクリメントされ、次の区間(この場合は中間区間)に入ったものとして設定される(S470)。その後さらに時間が経過して、区間判定カウント値Cnt[n]がT[2]を超えたと判断されたときは、区間番号がさらにインクリメントされて次の到達区間(m=3)に入ったものとして設定されることになる。
S480では、現時点での区間番号がm=2であるか否か、即ち、中間区間であるか否かが判断される。ここで、初期区間(m=1)或いは到達区間(m=3)である場合は、S490に移行し、演算操作量増減値ΔMu[n]が現区間における制限値M[m]以上であるか否かが判断される。この判断は比較部79により行われる。そして、制限値M[m]未満であれば(S490:NO)、演算操作量増減値ΔMu[n]がそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とされる(S500)。
その後、区間番号がm=3であるか、即ち到達区間であるか否かが判断され(S510)、到達区間であれば(S510:YES)、そのままS680に移行するが、到達区間でなければ(S510:NO)、前回の演算タイミングで演算された補正値F[n−1]がそのまま今回の補正値F[n]として更新される(S520)。続くS680にて、前回生成された出力操作量U[n]にS500で得られた出力操作量増減値ΔMn[n]が加算されることで、今回の出力操作量U[n]が生成される(S680)。
S490の判断処理において、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]以上と判断された場合は(S490:YES)、制限値M[m]がそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とされる(S530)。そして、S510と同じように到達区間か否かが判断され(S540)、到達区間であればS680に移行するが、到達区間でなければ、S550に移行する。
S550では、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]に対してどの程度超過しているかを示す制限値超過分Jが演算される。そして、その演算された制限値超過分Jが、補正値格納メモリ83に記憶されている前回までの補正値F[n−1]に加算(累積加算)されることで、新たな補正値F[n]が演算される(S560)。そして、前回生成された出力操作量U[n]にS530で得られた出力操作量増減値ΔMn[n](即ち制限値M[m])が加算されることで、今回の出力操作量U[n]が生成される(S680)。
このように、初期区間においては、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]以上である毎(実質的には制限値M[m]を超える毎)に、その超過分が補正値F[n]として累積加算されていくのである。
一方、S480の判断処理で中間区間(m=2)と判断された場合は、S570に移行し、S490と同様に、演算操作量増減値ΔMu[n]が現区間における制限値M[m](ここでは制限値M[2])以上であるか否かが判断される。そして、制限値M[m]以上であれば(S570:YES)、制限値M[m]がそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とされる(S650)。そして、S550〜S560と全く同様、制限値超過分Jが演算され(S660)、その演算された制限値超過分Jに基づいて新たな補正値F[n]が演算されて(S670)、S680に移行する。
S570の判断処理において、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]未満と判断された場合は(S570:NO)、その演算操作量増減値ΔMu[n]に、補正値格納メモリ83に格納されている前回演算タイミングにおける補正値F[n−1]が加算されて、補正値加算増減値Kが得られる(S580)。
そして、この補正値加算増減値Kが制限値M[m]以上であるか否かが判断され(S590)、制限値M[m]未満であれば(S590:NO)、この補正値加算増減値Kがそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とされる(S600)。この場合、補正値F[n−1]は全て、補正値加算増減値Kとして上乗せ使用されたことになるため、新たな補正値F[n]が0にリセットされ、補正値格納メモリ83に記憶(更新)される(S610)。その後、S680にて、この出力操作量増減値ΔMn[n](即ち補正値加算増減値K)が前回の出力操作量U[n−1]に加算されて今回の出力操作量U[n]が生成される。
補正値加算増減値Kが制限値M[m]以上であった場合は(S590:YES)、制限値M[m]がそのまま最終的な出力操作量増減値ΔMn[n]とされる(S620)。そして、制限値M[m]から演算操作量増減値ΔMu[n]が減算されることにより、補正値F[n−1]のうち出力操作量増減値ΔMn[n]として実際に上乗せされた分を示す実使用補正値Lが演算され(S630)、この実使用補正値Lが補正値F[n−1]から減算されることで、新たな補正値F[n]が演算される(S640)。
なお、S580〜S600,S620の処理は第2増減値演算部84により行われ、S520,S550,S560,S610,S630,S640,S660,S670の処理は補正値生成部81により行われ、S680の処理は出力操作量生成部75により行われる。
このように構成された本実施形態の多機能装置1における、キャリッジ31の駆動開始後の加速期間における速度変化等の一例について、図8に基づいて説明する。図8は、キャリッジ駆動制御におけるキャリッジ31の1パス分の駆動時における駆動開始から目標到達速度Vcに到達するまでの、速度、加速度、出力操作量U、及び出力操作量増減値ΔMn[n]の変化を示すグラフである。
本図において、実線で示す波形は、本実施形態のCRモータ制御部38によりキャリッジ31を駆動制御した場合を示すものである。これに対し、破線で示す波形(「制限値なし」)は、制限値M[m]を設定せず、単に、FB制御器74にて演算された制御器演算操作量U’[n]をそのまま出力操作量U[n]として出力した場合を示すものであり、点線で示す波形(「従来法」)は、特許文献1に開示されている制御法を用いた場合、即ち、単に区間毎に制限値M[m]を設けているだけの場合を示すものである。また、本例では、初期区間は0〜0.003sec.、中間区間は0.003〜0.015sec.、到達区間は0.015〜0.05sec.である。更に、初期区間の制限値M[1]は0.01、中間区間の制限値M[2]は0.2、到達区間の制限値M[3]は0.05である。なお、これらの数値はあくまでも一例である。
図8に示すように、「制限値なし」の場合は、出力操作量U[n]の変化量(増減値)に制限がかからないため、駆動開始直後の初期区間では、FB制御器74にて演算された制御器演算操作量U’[n]がそのまま出力操作量U[n]として出力されることになり、出力操作量U[n]は急増する。そのため、キャリッジ31の加速度も急増・急減し、キャリッジ31の速度変動が大きくなって、キャリッジ31に大きな衝撃が加わってしまう。
一方、「従来法」では、最終的に前回の出力操作量U[n−1]に加えられる出力操作量増減値ΔMn[n]について、本実施形態と同様に制限が加えられるため、加速度は低く抑えられる。そのため、振動の発生が抑えられつつ、速度はS字カーブを描きながら緩やかに上昇していく。つまり、加速時のキャリッジ31の振動を抑制するという点だけを考えれば、「従来法」でも実現可能である。
しかし、「従来法」では、操作量の増減値に対して制限が設けられているだけであるため、その分、定速域に達する(目標到達速度Vcに達する)までの加速時間が長くなってしまう。具体的には、駆動開始から0.05sec.経過してもまだ目標到達速度Vcに到達していない。
これに対し、本実施形態では、操作量の増減値に対して制限が設けられているという点では「従来法」と同じであるが、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えてしまってその制限値M[m]に抑えられた場合に、その抑えられた分(制限値M[m]からの超過分)が補正値F[n]として累積加算される。
そして、中間区間において、FB制御器74の演算結果に基づく演算操作量増減値ΔMu[n]に対して前回までの超過分の累積結果である補正値F[n−1]を加えたもの(但し制限値M[2]が上限)が出力操作量増減値ΔMn[n]として、前回の出力操作量U[n−1]に加算され、今回の出力操作量U[n]として生成される。つまり、初期区間を含め、前回の演算タイミングまでに制限値を超過して抑えられてしまった分が、比較的余裕のある中間区間で上乗せされるのである。
そのため、図8に示すように、中間区間における出力操作量増減値ΔMn[n]は、中間区間の開始後から一定時間は、制限値M[2]となる。即ち、「従来法」ではこの出力操作量増減値ΔMn[n]は中間区間に入ると徐々に減少していき、制限値M[2]に対する余裕が広がっていく。これに対し本実施形態では、この制限値M[2]に対する余裕分を有効利用すべく、補正値F[n−1]を上乗せしており、その結果、中間区間に入ってからもしばらくの間は制限値一杯の出力操作量増減値ΔMn[n]が演算される。そのため、中間区間における加速度がより高まり、その分、目標到達速度Vcへの到達時間が「従来法」に比べて短縮化される。
(5)第1実施形態の効果等
以上説明した本実施形態の多機能装置1によれば、キャリッジ31の駆動源であるCRモータ33を制御するCRモータ制御部38がCRモータ33への出力操作量U[n]を生成するにあたり、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えた場合にその超過分を補正値F[n]として累積加算するようにし、中間区間において、演算操作量増減値ΔMu[n]に対して補正値F[n−1]を加えたものが出力操作量増減値ΔMn[n]として、前回の出力操作量U[n−1]に加算され、今回の出力操作量U[n]として生成される(但し制限値M[2]を上限として)。
(5)第1実施形態の効果等
以上説明した本実施形態の多機能装置1によれば、キャリッジ31の駆動源であるCRモータ33を制御するCRモータ制御部38がCRモータ33への出力操作量U[n]を生成するにあたり、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えた場合にその超過分を補正値F[n]として累積加算するようにし、中間区間において、演算操作量増減値ΔMu[n]に対して補正値F[n−1]を加えたものが出力操作量増減値ΔMn[n]として、前回の出力操作量U[n−1]に加算され、今回の出力操作量U[n]として生成される(但し制限値M[2]を上限として)。
従って、「従来法」と同様に加速時のキャリッジ31の振動が抑制され、用紙Pへに形成される画像の高画質化を確保することができる。更に加えて、「制限値なし」の場合と同等の加速時間(「従来法」より短い加速時間)でキャリッジ31を目標到達速度Vcへ加速することが可能となるため、多機能装置1の小型化も実現可能となる。
また、FB制御器74により演算される操作量の増減値が比較的小さくなり、且つ、操作量の増減値の制限値M[m]を比較的大きな値に設定することができる中間区間において、補正値F[n−1]を上乗せした出力操作量U[n]の生成を行うようにし、補正値F[n−1]を上乗せすることの効果が薄い初期区間や、操作量の変化を小さく抑えたい到達区間においては補正値F[n−1]の上乗せを行わないようにしているため、CRモータ33の制御(キャリッジ31の駆動制御)を効率的に行うことが可能となる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、FB制御器74は本発明の第1の操作量生成手段に相当し、第1増減値演算部77は本発明の第1の変化量演算手段に相当し、比較部79は本発明の比較手段に相当し、出力操作量生成部75は本発明の第2の操作量生成手段に相当し、補正値演算部82は本発明の補正値生成手段に相当し、補正値格納メモリ83は本発明の記憶手段に相当し、第2増減値演算部84は本発明の第2の変化量演算手段に相当する。
また、制御器演算操作量U’[n]は本発明の仮操作量及び第1の操作量に相当し、出力操作量U[n]は本発明の実操作量及び第2の操作量に相当し、演算操作量増減値ΔMu[n]は本発明の仮変化量及び第1の変化量に相当し、第2増減値演算部84により演算される出力操作量増減値ΔMn[n](補正値加算増減値K又は制限値M[2])は本発明の新たな変化量及び第2の変化量に相当する。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、CRモータ制御部38において、補正値F[n]の演算を初期区間(m=1)及び中間区間(m=2)の双方で継続して行うようにしたが、これに限らず、例えば初期区間においてのみ、補正値F[n]の演算を行うようにしてもよい。
上記第1実施形態では、CRモータ制御部38において、補正値F[n]の演算を初期区間(m=1)及び中間区間(m=2)の双方で継続して行うようにしたが、これに限らず、例えば初期区間においてのみ、補正値F[n]の演算を行うようにしてもよい。
即ち、初期区間は、他の中間区間、到達区間と比較すると、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[1]を超える可能性が高く、その反面、中間区間は、初期区間と比較すると、演算操作量増減値ΔMu[n]はそれほど大きくなく制限値M[2]未満となる可能性が高い。そのため、補正値F[n]の演算、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超える可能性の高い初期区間においてのみ行うようにすることで、補正値の演算を必要十分に行うことができるのである。
そこで本第2実施形態では、補正値F[n]の演算を初期区間のみで行う場合について、説明する。また、本実施形態では、中間区間以降は補正値F[n]の更新演算(出力操作量増減値ΔMn[n]として上乗せされた分の減算)も行わない場合について説明する。
図9は、本実施形態のキャリッジ駆動制御を表すフローチャートである。本実施形態が上記第1実施形態と異なるのは、補正値F[n]の演算を初期区間のみで行っているということであり、その他は第1実施形態と同じである。そのため、本実施形態のキャリッジ駆動制御が図7で説明した第1実施形態のキャリッジ駆動制御と異なるのは、S570の処理の前にS565の処理が追加されたこと、S580の処理における加算対象が異なること、及び、補正値F[n]の更新演算のための処理であるS610,S630,S640,S660,S670の処理が不要となったことである。その他の処理については図7と同じであるため、図7と同じ処理には同じ符号を付し、その説明を省略する。そして、以下、図7と異なる上記各処理について説明する。
図9に示すように、本実施形態では、中間区間に入ると(S480:YES)、まず、前回までに累積加算されて得られた補正値F[n−1]を、補正定数Fzとして設定する(S565)。つまり、中間区間以降は補正値F[n]の更新演算を全く行わないため、初期区間において得られた補正値をそのまま、中間区間において用いる補正定数Fzとするのである。
そして、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[2]未満であった場合は(S570:NO)、S580にて、演算操作量増減値ΔMu[n]に補正定数Fzを加算することにより、補正値加算増減値Kを演算する。
この補正値加算増減値Kに基づいてなされるS590以降の処理は第1実施形態と同じである。但し、本実施形態では、既述の通り中間区間での補正値更新は行わないため、S600,S620,S650において出力操作量増減値ΔMn[n]が設定された後は、補正値の更新が行われることなくS680に移行し、出力操作量U[n]の演算が行われる。
このように構成された本実施形態の多機能装置1によっても、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。しかも、補正値の演算を、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超える可能性の高い初期区間においてのみ行い、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超える可能性が低い中間区間以降では補正値の演算を行わないため、補正値の演算を必要十分に行うことができ、モータ制御の効率化をより高めることが可能となる。
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、CRモータ制御部38において、補正値F[n]の演算は初期区間及び中間区間の双方で行うものの、補正値F[n−1]が上乗せされた補正値加算増減値Kの演算、即ち第2増減値演算部84による出力操作量増減値ΔMn[n](補正値加算増減値K又は制限値M[m])の演算・出力(以下「補正値を加味した出力操作量U[n]の生成」ともいう)を、中間区間のみで行うようにしたが、これに限らず、初期区間においても、補正値F[n]の生成を行いつつ、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を行うようにしてもよい。
上記第1実施形態では、CRモータ制御部38において、補正値F[n]の演算は初期区間及び中間区間の双方で行うものの、補正値F[n−1]が上乗せされた補正値加算増減値Kの演算、即ち第2増減値演算部84による出力操作量増減値ΔMn[n](補正値加算増減値K又は制限値M[m])の演算・出力(以下「補正値を加味した出力操作量U[n]の生成」ともいう)を、中間区間のみで行うようにしたが、これに限らず、初期区間においても、補正値F[n]の生成を行いつつ、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を行うようにしてもよい。
そこで本第3実施形態では、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を初期区間及び中間区間の双方で行う場合について、説明する。
図10は、本実施形態のキャリッジ駆動制御を表すフローチャートである。本実施形態が上記第1実施形態と異なるのは、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を初期区間及び中間区間の双方で行っているということであり、その他は第1実施形態と同じである。そのため、本実施形態のキャリッジ駆動制御が図7で説明した第1実施形態のキャリッジ駆動制御と異なるのは、S460で否定判定された後又はS470の後における、区間判定処理(図7ではS480)が異なること、及びこれに付随してS510,S520,S540〜S560の処理が不要となったことである。その他の処理については図7と同じであるため、図7と同じ処理には同じ符号を付し、その説明を省略する。そして、以下、図7と異なる上記各処理について説明する。
図10は、本実施形態のキャリッジ駆動制御を表すフローチャートである。本実施形態が上記第1実施形態と異なるのは、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を初期区間及び中間区間の双方で行っているということであり、その他は第1実施形態と同じである。そのため、本実施形態のキャリッジ駆動制御が図7で説明した第1実施形態のキャリッジ駆動制御と異なるのは、S460で否定判定された後又はS470の後における、区間判定処理(図7ではS480)が異なること、及びこれに付随してS510,S520,S540〜S560の処理が不要となったことである。その他の処理については図7と同じであるため、図7と同じ処理には同じ符号を付し、その説明を省略する。そして、以下、図7と異なる上記各処理について説明する。
図10に示すように、本実施形態では、S460で否定判定された場合又はS470の処理の後の区間判定処理として、図7のS480の処理に代えて、初期区間(m=1)又は中間区間(m=2)であるか否かが判断される(S475)。そして、初期区間又は中間区間の場合は、いずれもS570へ移行し、以下、図7で説明したS570移行の処理と同様に処理が行われる。即ち、初期区間及び中間区間の双方で、補正値F[n]の演算、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成、及び補正値F[n]の更新演算(出力操作量増減値ΔMn[n]として上乗せされた分の減算)が行われる。
一方、到達区間に入った場合は、S475からS490に移行する。この場合、単に演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]以上であるか否かが判断され(S490)、制限値M[m]以上であればその制限値M[m]が出力操作量増減値ΔMn[n]として出力操作量U[n]の生成に用いられ、制限値M[m]未満であればその演算操作量増減値ΔMu[n]がそのまま出力操作量増減値ΔMn[n]として出力操作量U[n]の生成に用いられる。
このように構成された本実施形態の多機能装置1によっても、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。なお、初期区間は、既述の通り、他の中間区間、到達区間と比較すると、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[1]を超える可能性が高く、それ故に、中間区間に比べると出力操作量U[n]の生成に補正値F[n−1]が加味される可能性が低い。そのため、本実施形態のように補正値を加味した出力操作量U[n]の演算を初期区間から行うかどうかについては、その有効性を考慮して決めるとよい。
[第4実施形態]
上記第1実施形態の多機能装置1は、キャリッジ31の駆動開始から目標到達速度Vcに到達するまでの加速時の区間が、初期区間、中間区間、及び到達区間の3区間に分かれ、このうち中間区間において、補正値F[n−1]を上乗せした出力操作量U[n]の生成を行うものであった。これに対し、本実施形態では、中間区間がさらに2つに分かれている例を示す。具体的には、初期区間(m=1)、第1中間区間(m=2)、第2中間区間(m=3)、及び到達区間(m=4)の4区間に分かれている。このうち、初期区間の制限値M[1]は第1実施形態における初期区間の制限値M[1]と同じであり、到達区間の制限値M[4]は第1実施形態における到達区間の制限値M[3]と同じである。そして、第1中間区間の制限値M[2]及び第2中間区間の制限値M[3]はいずれも、他の区間(m=1,4)の制限値M[1]、M[4]よりも大きい値に設定されている。尚且つ、各中間区間における制限値M[2]、M[3]は、第1中間区間の制限値M[2]よりも第2中間区間の制限値M[3]の方が大きい値に設定されている。つまり、中間区間(m=2,3)については、区間毎の制限値が、キャリッジ31の駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きくなるよう設定されている。
上記第1実施形態の多機能装置1は、キャリッジ31の駆動開始から目標到達速度Vcに到達するまでの加速時の区間が、初期区間、中間区間、及び到達区間の3区間に分かれ、このうち中間区間において、補正値F[n−1]を上乗せした出力操作量U[n]の生成を行うものであった。これに対し、本実施形態では、中間区間がさらに2つに分かれている例を示す。具体的には、初期区間(m=1)、第1中間区間(m=2)、第2中間区間(m=3)、及び到達区間(m=4)の4区間に分かれている。このうち、初期区間の制限値M[1]は第1実施形態における初期区間の制限値M[1]と同じであり、到達区間の制限値M[4]は第1実施形態における到達区間の制限値M[3]と同じである。そして、第1中間区間の制限値M[2]及び第2中間区間の制限値M[3]はいずれも、他の区間(m=1,4)の制限値M[1]、M[4]よりも大きい値に設定されている。尚且つ、各中間区間における制限値M[2]、M[3]は、第1中間区間の制限値M[2]よりも第2中間区間の制限値M[3]の方が大きい値に設定されている。つまり、中間区間(m=2,3)については、区間毎の制限値が、キャリッジ31の駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きくなるよう設定されている。
そして、本実施形態では、第1実施形態と同様、補正値F[n]の演算は、初期区間及び中間区間(第1中間区間及び第2中間区間)の双方で行われ、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成は、中間区間(第1中間区間及び第2中間区間)のみで行われる。
その他の構成、制御方法等については、上記第1実施形態と同じであるため、ここではその説明を省略する。即ち、本実施形態においても、モータ制御部38が、図7に示したキャリッジ駆動制御を行うことにより、出力操作量U[n]を生成する。但し、本実施形態では、図7のキャリッジ駆動制御におけるS480の処理が異なる。本実施形態では、このS480において、現時点での区間番号がm=2又は3であるか否かが判断される。そして、m=2又は3であった場合(つまり第1中間区間又は第2中間区間であった場合)に、S570へ移行することとなる。
このように中間区間が2つに分かれてなる本実施形態の多機能装置1における、キャリッジ31の駆動開始後の加速期間における速度変化等の一例を、図11に示す。本例では、中間区間が全体として0.003〜0.016sec.の期間に設定されており、そのうち第1中間区間は、0.003〜0.007sec.の区間、第2中間区間は、0.007sec.〜0.016sec.の区間である。また、第1中間区間の制限値M[2]は約0.15であり、第2中間区間の制限値M[3]は約0.25である。
図11に示すように、本実施形態においても、第1実施形態と同様、制限値M[1]に抑えられた分(補正値F[n−1])が、第1中間区間及び第2中間区間において、制限値M[m]の範囲内で演算操作量増減値ΔMu[n]に上乗せされ、これが出力操作量増減値ΔMn[n]となる。そのため、出力操作量増減値ΔMn[n]は、第1中間区間では継続して制限値M[2]となり、第2中間区間でも一定期間は制限値M[3]となる。つまり、「従来法」と比べてより大きな値の出力操作量増減値ΔMn[n]が演算される(但し制限値M[m]を上限として)。
従って、キャリッジ31は、加速時の振動が抑制されつつ、第1実施形態とほぼ同等の加速時間にて目標到達速度Vcに到達している。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
上記実施形態では、補正値演算部82による補正値F[n]の演算方法として、第1増減値演算部77にて演算された演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えていた場合にその超過分(ΔMu[n]−M[m])を累積加算するようにしたが、これはあくまでも一例であって、例えば、この累積加算により演算されたF[n]に所定の係数を乗じたものを最終的な補正値[n]として演算、出力するようにしてもよい。
また例えば、補正値演算部82は、演算タイミング毎に超過分を比較して最も大きい値を保持しておくようにし、その保持されている超過分、或いはその超過分に所定の係数を乗じたものを、補正値[n]とするようにしてもよい。
また例えば、補正値演算部82は、キャリッジ31の駆動開始直後から演算タイミング毎に、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]を超えた回数を計数しておき、その計数値に応じて補正値F[n]を演算するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、補正値F[n]の演算を初期区間のみとし、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成は中間区間のみとして、初期区間で演算された補正値は中間区間では不変(補正定数Fz)として更新演算もしないようにしたが、これもあくまでも一例であって、例えば、補正値F[n]の演算は初期区間のみとするものの、中間区間における補正値F[n]の更新演算は、第1実施形態と同様に行うようにしてもよい。
更に、補正値F[n]の演算、及び、補正値を加味した出力操作量U[n]の演算の双方を、初期区間、中間区間、及び到達区間の全区間で行うようにしてもよい。
但し、既述の通り、到達区間というのはキャリッジ31の実速度V[n]が目標到達速度Vcに近くなっており、やがて定速状態に入って画像形成が始まるという状況であるため、出力操作量U[n]が大きく変化するのはあまり好ましくない。そのため、到達区間では補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を行わない方が好ましい。
但し、既述の通り、到達区間というのはキャリッジ31の実速度V[n]が目標到達速度Vcに近くなっており、やがて定速状態に入って画像形成が始まるという状況であるため、出力操作量U[n]が大きく変化するのはあまり好ましくない。そのため、到達区間では補正値を加味した出力操作量U[n]の生成を行わない方が好ましい。
更にまた、上記第1実施形態では、第2増減値演算部84による演算方法として、図7のS580以降に示したように、まず、演算操作量増減値ΔMu[n]に前回までに演算された補正値F[n−1]を全て加算して補正値加算増減値Kを算出し(S580)、これが制限値M[m]以上であるか否かを判断して(S590)、その判断結果に応じて出力操作量増減値ΔMn[n]を補正値加算増減値K又は制限値M[m]のいずれかにするようにしたが、このS580以降の処理を、例えば図12に示すように行うこともできる。
即ち、図12に示すように、まず、制限値M[m]から演算操作量増減値ΔMu[n]を減算することにより、制限値M[m]に対してどれだけ余裕があるかを示す余裕分Pを算出する(S710)。そして、前回までに演算された補正値F[n−1]がその余裕分P以上であるか否かを判断し(S720)、余裕分Pを超えていたら(S720:YES)、制限値M[m]をそのまま出力操作量増減値ΔMn[n]として出力操作量生成部75へ出力する(S750)。そして、前回までの補正値F[n−1]からその余裕分P(つまり補正値のうち実際に出力操作量U[n]に加味された量。第1実施形態の実使用補正値Lと同じ。)を減算することで補正値F[n]の更新を行う(S760)。
一方、前回までの補正値F[n−1]が余裕分P未満であれば(S720:NO)、演算操作量増減値ΔMu[n]にその補正値F[n−1]を全て加算して出力操作量増減値ΔMn[n]とする(S730)。この場合、補正値F[n−1]が全て出力操作量U[n]に加味されたことになるため、新たな補正値F[n]は0にリセットされる(S740)。
つまり、図12に示した方法は、演算操作量増減値ΔMu[n]が制限値M[m]以下であった場合に、まず先に、制限値M[m]に対してどれだけの余裕があるかをみる。そして、その余裕分に応じて、前回までの補正値F[n−1]のうち可能な限りの量を出力操作量U[n]に加味するのである。この方法は、第2、第3実施形態における第2増減値演算部84の演算方法としても同様に用いることができる。
また、上記第4実施形態では、各中間区間における制限値が、M[2]<M[3]となるように設定したが、逆にM[2]>M[3]とすることも可能である。
更に、中間区間の区間数は3つ以上であってもよい。その場合の各中間区間における区間毎の制限値は、第4実施形態と同様、駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きくなるよう設定することができる。但し、必ずしもそれに限定されるわけではなく、中間区間の区間数や各区間の制限値は、駆動対象の種類や特性等に応じて適宜設定すればよい。
更に、中間区間の区間数は3つ以上であってもよい。その場合の各中間区間における区間毎の制限値は、第4実施形態と同様、駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きくなるよう設定することができる。但し、必ずしもそれに限定されるわけではなく、中間区間の区間数や各区間の制限値は、駆動対象の種類や特性等に応じて適宜設定すればよい。
更にまた、中間区間が複数に分かれている場合に、補正値を加味した出力操作量U[n]の生成をどの区間で行うか、即ち、複数の中間区間全てにおいて行うか、或いは1又は複数の特定の中間区間においてのみ行うかについても、適宜設定することができる。
また、上記各実施形態では、目標速度設定部71が、駆動開始直後から目標速度指令Vref[n]として一定の目標到達速度Vcを設定するようにしたが、これも一例であって、目標速度設定部71は、例えば、駆動開始からの経過時間に伴って変化する(徐々に目標到達速度Vcまで上昇していく)ような目標速度指令Vref[n]を設定するようにしてもよい。
更に、上記本実施形態では、キャリッジ31が目標到達速度Vcで定速移動されている際に記録ヘッド30からのインク液滴吐出(画像形成)が行われるものとして説明したが、これに限らず、目標到達速度Vcにまだ達していない加速中の段階から画像形成を開始する構成であってもよい。
そして、本発明のモータ制御装置は、上記実施形態で説明したCRモータ制御部38への適用に限らず、多機能装置1における読取制御部49(読取モータ47,ADFモータ48の制御)、給紙モータ制御部18、LFモータ制御部28の制御にも適用することが可能である。更に、多機能装置1への適用に限らず、駆動対象をモータによって駆動するよう構成されたあらゆる駆動装置等に本発明のモータ制御装置を適用可能である。
1…多機能装置、10…給紙ユニット、11…給紙ローラ、13…給紙モータ、15…給紙ロータリエンコーダ、17…給紙モータドライバ、18…給紙モータ制御部、21…搬送ローラ、23…LFモータ、25…LFロータリエンコーダ、27…LFモータドライバ、28…LFモータ制御部、30…記録ヘッド、31…キャリッジ、32…記録ヘッドドライバ、33…CRモータ、35…CRリニアエンコーダ、37…CRモータドライバ、38…CRモータ制御部、39…記録制御部、45…画像読取装置、46…CISユニット、47…読取モータ、48…ADFモータ、49…読取制御部、61…ガイド軸、62…無端ベルト、63…駆動プーリ、64…従動プーリ、66…リニアスケール、67…検出部、71…目標速度設定部、72…速度検出部、73…速度偏差演算部、74…FB制御器、75…出力操作量生成部、76…出力操作量格納メモリ、77…第1増減値演算部、78…区間制限値格納部、79…比較部、80…PWM生成部、81…補正値生成部、82…補正値演算部、83…補正値格納メモリ、84…第2増減値演算部、89…比較部、P…用紙
Claims (14)
- 駆動対象を駆動させるモータを制御するために該モータへ実際に与える操作量である実操作量を、所定の演算タイミング毎に、前回の前記演算タイミングでの実操作量からの変化量が所定の閾値を超えないように生成する操作量生成方法であって、
前記駆動対象に対して設定される目標速度に応じて前記モータを制御するための操作量を演算し、該演算された操作量を仮操作量とし、
該仮操作量の、前回の前記演算タイミングで生成された前記実操作量に対する変化量を仮変化量として、該仮変化量と前記閾値とを比較し、該仮変化量が該閾値を超えた過剰状態の場合、該比較結果に基づき、予め設定された規則に従って補正値を生成し、
前記比較において前記仮変化量が前記閾値以上であった場合は、前回の前記演算タイミングで生成された前記実操作量に前記閾値を加えることにより前記実操作量を生成し、
前記比較において前記仮変化量が前記閾値未満の余裕状態であった場合は、前記仮変化量に対し、前記閾値を超えない範囲内で、前回の前記演算タイミング迄に生成された前記補正値の一部又は全てを加算することにより、新たな変化量を演算して、前回の前記演算タイミングで生成された前記実操作量に該新たな変化量を加えることにより、前記実操作量を生成する
ことを特徴とする操作量生成方法。 - 請求項1記載の操作量生成方法であって、
前記補正値の生成は、前記比較において前記仮変化量が前記閾値を超えた過剰状態であった場合に、該閾値に対する該仮変化量の超過分に基づいて行う
ことを特徴とする操作量生成方法。 - 請求項1又は2記載の操作量生成方法であって、
前記比較において前記仮変化量が前記閾値未満の余裕状態であったことにより前記新たな変化量の演算を行った場合、該演算の際に前記仮変化量に対して加算した加算分を、前回の前記演算タイミング迄に生成された前記補正値から減算することにより、該補正値を更新する
ことを特徴とする操作量生成方法。 - モータにより駆動される駆動対象と、
前記駆動対象に対して設定される目標速度に応じて、前記モータを制御するための第1の操作量を所定の演算タイミングで生成する第1の操作量生成手段と、
前記第1の操作量に基づいて生成された第2の操作量に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記第1の操作量の、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量からの変化量である第1の変化量を演算する第1の変化量演算手段と、
前記第1の変化量と所定の閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記第1の変化量が前記閾値を超えていた場合に、該比較結果に基づき、予め設定された規則に従って補正値を生成する補正値生成手段と、
前記補正値が記憶される記憶手段と、
前記比較手段による比較において前記第1の変化量が前記閾値未満であった場合に、前記第1の変化量に対し、前記閾値を超えない範囲内で、前回の前記演算タイミング迄に前記記憶手段に記憶された前記補正値の一部又は全てを加算することにより、第2の変化量を演算する第2の変化量演算手段と、
前記比較手段による比較において前記第1の変化量が前記閾値以上であった場合、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量に前記閾値を加えることにより前記第2の操作量を生成し、前記比較手段による比較において前記第1の変化量が前記閾値未満であった場合、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量に前記第2の変化量を加えることにより前記第2の操作量を生成する、第2の操作量生成手段と、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項4記載のモータ制御装置であって、
前記補正値生成手段は、前記閾値に対する前記第1の変化量の超過分に基づいて、前記補正値を生成する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項5記載のモータ制御装置であって、
前記補正値生成手段は、前記比較手段による比較の結果、前記第1の変化量が前記閾値を超える毎に、前記超過分を累積して加算し、該加算結果、又は該加算結果に応じた値を、前記補正値として生成する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項4〜6いずれかに記載のモータ制御装置であって、
前記補正値生成手段は、前記第2の操作量生成手段によって、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量に前記第2の変化量を加えることにより前記第2の操作量が生成されたときは、前記第2の変化量演算手段による該第2の変化量の演算の際に前記第1の変化量に対して加算された加算分を、前回の前記演算タイミング迄に前記記憶手段に記憶された補正値から減算することにより、新たな補正値を生成する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項4〜7いずれかに記載のモータ制御装置であって、
前記第2の変化量演算手段は、
前回の前記演算タイミングまでに前記記憶手段に記憶された前記補正値が、前記閾値に対する前記第1の変化量の余裕分以下である場合は、該第1の変化量に該補正値を加えることにより前記第2の変化量を演算し、前回の前記演算タイミングまでに前記記憶手段に記憶された前記補正値が前記余裕分を超えている場合は、前記第1の変化量に前記閾値を加えることにより前記第2の変化量を演算する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項4〜8いずれかに記載のモータ制御装置であって、
前記駆動対象が停止状態から所定の目標到達速度に到達するまでの駆動区間における所定の区間が補正適用区間として設定されており、
前記第2の変化量演算手段は、前記補正適用区間において前記第2の変化量の演算を行うよう構成されており、
前記第2の操作量生成手段は、前記駆動区間のうち前記補正適用区間を除く区間では、前記第1の変化量が前記閾値未満の場合は、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量に該第1の変化量を加えることにより前記第2の操作量を生成し、前記第1の変化量が前記閾値以上の場合は、前回の前記演算タイミングで生成された前記第2の操作量に前記閾値を加えることにより前記第2の操作量を生成する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項9記載のモータ制御装置であって、
前記駆動区間は、少なくとも、駆動開始後の初期区間、前記目標到達速度に到達する直前の到達区間、前記初期区間が終了してから前記到達区間に入るまでの間の中間区間、の3つの区間に分けられ、該区間毎に前記閾値が設定されており、
前記補正適用区間は、前記初期区間及び前記中間区間の少なくとも何れか一方の区間である
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項10記載のモータ制御装置であって、
前記補正適用区間は前記中間区間であり、
前記中間区間の前記閾値は前記初期区間の前記閾値よりも大きい値に設定されている
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項10又は11記載のモータ制御装置であって、
前記中間区間はさらに、複数の区間に分けられていると共に、該複数の区間毎に、前記駆動開始からの経過時間に応じて段階的に大きい値になるよう前記閾値が設定されている
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項10〜12いずれかに記載のモータ制御装置であって、
前記補正値生成手段は、前記初期区間において前記補正値の生成を行う
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項4〜13いずれかに記載のモータ制御装置と、
被記録媒体を所定の搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記モータにより駆動される前記駆動対象としてのキャリッジに搭載され、該モータにより該キャリッジと共に前記被記録媒体の搬送方向と直交する方向へ移動されつつ、該被記録媒体へインク滴を吐出して該被記録媒体上への画像形成を行う記録ヘッドと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
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