JP2009206126A - 半導体レーザの作製方法及び半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】素子内で深さの異なる回折格子を有することにより波長制御性に優れた半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを提供する。
【解決手段】半導体基板の表面又はバッファ層の表面に形成される回折格子と、前記半導体基板上又は前記バッファ層上に積層される下側SCH層102、活性層101及び上側SCH層103と、前記活性層101を有する活性層領域A以外の領域である制御層領域Bにおいて前記半導体基板又は前記バッファ層上に積層される該半導体基板又は該バッファ層と同一の材料の半導体犠牲層108、下側SCH層106、制御層105及び上側SCH層107とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザの作製方法及び半導体レーザに関する。
近年、通信情報量の増大に対して、光波長(周波数)多重通信システムの研究が行われているが、送信用光源及び同期検波用可同調光源として広範囲な波長調整機能が要求されており、また、光計測の分野からも広域波長帯をカバーする波長可変光源の実現が望まれている。
これまでに、種々の可変波長光源が研究されてきたが、それらを大別すると、1つの発振モードで連続的に波長が変わるものと、モード跳びを伴って不連続に波長が変わるものとに分けることができる。実際のシステムヘの応用を考えた場合、制御性の面から、連続的に波長が変わるものの方が好ましい。また、波長変化を制御するために、温度を変化させて屈折率を制御するものと、電流注入による屈折率変化を用いるものの二つが主に使われているが、波長変化速度を考えると、電流注入による屈折率変化を用いた方が速い波長切り替えが可能である。
電流注入による屈折率変化を用いて連続的に発振波長を変化させることができる半導体レーザとしては、分布反射型レーザ(DBRレーザ)や二重導波路レーザ(TTGレーザ)等が研究されており、連続波長可変幅としてDBRレーザでは4.4nm、TTGレーザでは7nmという値が報告されている。そして、近年、DBRレーザのモード跳びを抑えるために、活性層領域を短くした、いわゆる短共振器DBRレーザも研究されている。
モード跳びをともなった不連続な波長可変幅としては、DBRレーザで10nmという値が得られている。また、不連続ではあるが広い波長可変幅が得られる半導体レーザとして、Y分岐レーザ、超周期構造回折格子レーザ等が試作され、50〜100nmの波長可変幅が得られている。
しかしながら、上記従来技術においては次のような問題があった。TTGレーザでは、光の増幅作用を行う活性導波路層に電流注入してレーザ発振動作を生じさせ、該活性導波路層のすぐ近くに形成される波長制御用非活性導波路層に独立に電流注入することにより、発振波長を変化させる。ここで、回折格子の周期をΛ、導波路の等価屈折率をnとすれば、ブラッグ波長λbは、
Figure 2009206126
と表される。TTGレーザはこのブラッグ波長近傍の1つの共振縦モードで発振動作する。
非活性導波路層に電流注入を行うと、導波路の等価屈折率が変化し、式(1)より、ブラッグ波長もそれに比例して変化する。ここで、ブラッグ波長の変化の割合Δλb/λbは、
Figure 2009206126
となり、等価屈折率の変化の割合Δn/nと等しくなる。
また、電流注入による等価屈折率の変化に伴い、共振縦モード波長も変化する。TTGレーザの場合、共振器全体の等価屈折率が一様に変化するので、共振縦モード波長の変化の割合Δλr/λrは等価屈折率の変化の割合Δn/nに等しくなる。すなわち、
Figure 2009206126
となる。
式(2),式(3)より、TTGレーザでは、ブラッグ波長の変化と共振縦モードの変化が等しくなるので、最初に発振したモードが保たれたまま連続的に発振波長が変化するという大きな特徴を有する。
しかしながら、単一横モード発振動作をさせるためには二重導波路の幅は1〜2μmにする必要があり、更に、活性層と波長制御層との間に形成されるn型スペーサ層の厚さを1μm以下まで薄くする必要があるため、通常の半導体レーザで用いられている埋め込み構造にすることができず、それぞれの導波路層に効率良く電流を注入するための構造にすることが、製作上非常に困難であるという問題があった。また、通常の半導体レーザ構造と異なるため、半導体光増幅器等との集積化が困難であり、多機能な集積デバイスを構成できないという問題があった。
それに対して、DBRレーザでは、光の増幅作用を行う活性導波路層と非活性導波路層とが直列に接続されている構造なので、通常の半導体レーザと同様に電流狭窄を行うための埋め込みストライプ構造を用いることができ、更に、各々の導波路層に独立に電流注入を行うことは、各々の導波路層の上方に形成される電極を分離することにより容易に実現することができる。
非活性導波路層への電流注入により、等価屈折率を変えてブラッグ波長を変化させる機構はTTGレーザと同様であるが、等価屈折率の変化する領域が共振器の一部に限られているために、ブラッグ波長の変化量と共振縦モード波長の変化量とは一致しない。共振縦モード波長の変化の割合Δλr/λrは、全共振器長さLtに対する分布反射器の実効長Leの割合分だけ等価屈折率の変化の割合Δn/nよりも少なくなり、
Figure 2009206126
となる。
したがって、式(2),式(4)より、DBRレーザでは波長制御電流を注入するにつれてブラッグ波長と共振縦モード波長とが相対的に離れていくため、モード跳びを生じてしまうという欠点を持っていた。モード跳びを生じさせないためには、回折格子が形成されていない位相調整領域を設けて、そこへの電流注入により共振縦モードの変化量とブラッグ波長の変化量とを一致させる必要がある。
しかし、この方法では2電極への波長制御電流を制御するための外部回路が必要になり、装置構造及び制御が複雑になるという問題があった。モード跳びを生じさせないもう一つの方法として、共振器長を短くして縦モード間隔を広げる短共振器DBRレーザが考えられるが、活性層を短くする必要があるため、大きな出力を得るのが困難であるという問題があった。
TTGレーザ及びDBRレーザにおける連続波長可変幅は、波長制御層の屈折率変化量に制限され、その値は4〜7nm程度に留まっている。波長可変幅を更に広くするには、モード跳びを許容し、波長フィルタの波長変化量が屈折率変化量よりも大きくなるような手段を用いる必要がある。
Y分岐レーザや、超周期構造回折格子レーザは、いずれも屈折率変化量よりもフィルタ波長変化量が大きくなる手段を用いている。これらの半導体レーザでは、フィルタ波長を大きく変化させ、なおかつ十分な波長選択性を得るために、2つの電極に流す電流を制御する必要があり、更に共振縦モード波長を制御するための電極も必要となる。その結果、発振波長を調整するのに3つの電極への注入電流を制御しなければならず、制御が非常に複雑になってしまうという問題があった。
これらの課題を解決するべく、1電極への注入電流制御により連続的に4〜7nm程度発振波長を変化させることができ、なおかつ活性導波路層及び非活性導波路層への電流注入も効率良く行える半導体レーザを得ることと、モード跳びを伴うものの、2つの電極への注入電流制御により、50〜100nm程度の範囲にわたって発振波長を変化させることができる半導体レーザが開発されている。下記非特許文献1及び下記特許文献1には、分布活性DFBレーザ(TDA−DFB−LD)の構造が開示されている。この従来の分布活性DFBレーザの構造によれば、活性層体積も十分確保できるため、高出力化を図ることが可能である。
図8は、従来の分布活性DFBレーザの基本構造を示した図である。なお、図8は、光の導波方向に沿った断面図を示している。
図8に示すように、活性導波路層800と非活性導波路層(波長制御層)801が交互に周期的に縦続接続された構造となっている。活性導波路層800及び非活性導波路層801の上には上部クラッド層802が形成されており、上部クラッド層802の上には上部電流laを注入する電極803と電流ltを注入する上部電極804が形成されている。
また、活性導波路層800及び非活性導波路層801の下には下部クラッド層805が形成されており、下部クラッド層805の下には接地された下部電極806が形成されている。活性導波路層800への電流la注入により発光するとともに利得が生じるが、それぞれの導波路には凹凸、すなわち回折格子が形成されており、回折格子周期に応じた波長のみ選択的に反射されレーザ発振が起こる。
一方、非活性導波路層801への電流lt注入によりキャリア密度に応じてプラズマ効果により屈折率が変化するため、非活性導波路層801の回折格子の光学的な周期は変化する。非活性導波路層801の等価屈折率が変化し、1周期の長さに対する波長制御領域の長さの割合分だけ共振縦モード波長が短波長側にシフトする。繰り返し構造の1周期の長さをLt、波長制御領域長をLpとすれば、共振縦モード波長の変化の割合は、
Figure 2009206126
となる。
また、一方、複数の反射ピークの各波長も、電流注入による等価屈折率の変化の結果、短波長側にシフトする。反射ピーク波長は繰り返し構造1周期内の平均等価屈折率変化に比例するので、反射ピーク波長の変化の割合Δλs/λsは、
Figure 2009206126
となる。
式(5),式(6)より、反射ピーク波長と共振縦モード波長とは同じ量だけシフトする。したがって、この分布活性DFBレーザでは、最初に発振したモードを保ったまま連続的に波長が変化する。
図9は、回折格子を一部のみに形成した従来の分布活性DFBレーザの構造を示した図、図10は、周期を変えて2つ縦続接続した従来の分布活性DFBレーザの構造を示した図である。なお、図9及び図10は、光の導波方向に沿った断面図を示しており、符号については図8で用いたものと同じものを用いるものとする。
図9では回折格子を活性導波路層800の一部にのみ形成しているが、図8の基本構造と同じように連続的に波長が変化する(下記特許文献1参照)。
また、図9に示す従来の分布活性DFBレーザの構造を図10に示すように、L1とL2とで周期を変えて2つ縦続接続した構造が開示されている。このため、電流It1を注入するための上部電極807と、電流It2を注入するための上部電極808とを備えている(下記特許文献1参照)。
特許3237733号公報 Hiroyuki Ishii、Yasuhiro Kondo、Fumiyoshi Kano、Yuzo Yoshikuni、"A Tunable Distributed Amplification DFB Laser Diode(TDA−DFB−LD)"、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、1998年10月、VOL.10、NO.1、p.30−32
しかしながら、上述の分布活性DFBレーザにおいては、図8に示す基本構造では、電流注入による波長変化量が増加するにしたがい、活性導波路800と非活性導波路801との周期変調が生じるために副モードが増大し、単一モード特性が劣化するという現象が生じる。
図11は、図8に示す従来の分布活性DFBレーザの反射特性を示した図である。ここで、図11(a)は、活性導波路800と非活性導波路801が同じ屈折率を有した状態の反射特性を示した図であり、図11(b)は、非活性導波路801に電流を注入して活性導波路800と非活性導波路801の屈折率に差が生じた状態の反射特性を示した図であり、図11(c)は、図11(b)よりも更に屈折率差が大きくなった状態の反射特性を示した図である。
そして、図11より、非活性導波路801への電流注入により主ピークは短波長側にシフトしていくが、それに応じて副モードが増大していくことが分かる。
また、図9に示すように、初めから回折格子を限定して周期的(サンプル周期)に製作することにより、最初から図11(c)のような副モードが生じた状態を作り出している。その上で、図10に示すように、活性導波路800と非活性導波路801との繰返し周期の異なる2つの領域を縦続接続した構造とすることにより二つの領域の副モード間隔を変え、副モードの増大を防ぐとともに、2つの領域の非活性導波路801への電流注入量を変化させることで、共振させる反射ピークを変えて、広範囲での波長可変を可能としている。
しかしながら、この方法を用いた場合、回折格子を製作する領域を限定しているため複雑になり、パターンを製作するために一括で回折格子の露光が行える二束干渉露光等の方法ではなく、電子ビーム(EB)描画を用いる必要があるという問題がある。
また、回折格子が均等でないため露光量に分布が生じるので、描画領域の端の部分の露光量を調整するのが難しいという問題や、エッチングを均等に行うことが難しいという問題がある。
更に、図10に示すように、活性導波路800と非活性導波路801との繰り返し周期の異なる2つの領域を縦続接続した構造の場合には、回折格子のサンプル周期も、活性導波路800と非活性導波路801との繰り返し周期に応じて異なるものとする必要があるため、パターンが非常に複雑となるという問題がある。
また、回折格子は、導波路の上部にあっても下部にあっても素子の動作原理は変わらない。導波路の上部に形成する場合と、下部に形成する場合があるが、どちらにしてもサンプル回折格子を作製するには、パターンが非常に複雑となるという問題がある。
以上のことから、本発明は、素子内で深さの異なる回折格子を有することにより波長制御性に優れた半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1の発明に係る半導体レーザの作製方法は、
半導体基板の表面又はバッファ層の表面に回折格子を形成する工程と、
前記回折格子上に活性層を含む積層構造を積層する工程と、
前記活性層を有する活性層領域以外の制御層領域における前記積層構造を除去する工程と、
前記制御層領域の前記回折格子の表面に該回折格子と同一の材料の半導体犠牲層を積層する工程と
を備える
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第2の発明に係る半導体レーザの作製方法は、第1の発明に係る半導体レーザの作製方法において、
前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以上とする
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第3の発明に係る半導体レーザの作製方法は、第1の発明に係る半導体レーザの作製方法において、
前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以下とする
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第4の発明に係る半導体レーザの作製方法は、第1の発明から第3の発明のいずれかひとつに係る半導体レーザの作製方法において、
光の伝播方向において前記活性層領域と前記制御層領域が交互に繰り返す周期構造を有するものとする
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第5の発明に係る半導体レーザの作製方法は、
半導体基板の表面又はバッファ層の表面に回折格子を形成する工程と、
前記半導体基板上又は前記バッファ層上に下側SCH層、活性層及び上側SCH層を積層する工程と、
活性層領域以外の制御層領域において上層SCH層、活性層、下側SCH層を除去する工程と、
前記制御層領域における前記半導体基板又は前記バッファ層上に該半導体基板又は該バッファ層と同一の材料の半導体犠牲層、下側SCH層、制御層及び上側SCH層を積層する工程と
を備える
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第6の発明に係る半導体レーザは、
半導体基板の表面又はバッファ層の表面に形成される回折格子と、
前記回折格子上に積層される活性層を含む積層構造と、
活性層領域以外の制御層領域の前記回折格子の表面に積層された該回折格子と同一の材料の半導体犠牲層と
を備える
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第7の発明に係る半導体レーザは、第6の発明に係る半導体レーザにおいて、
前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以上である
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第8の発明に係る半導体レーザは、第6の発明に係る半導体レーザにおいて、
前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以下である
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第9の発明に係る半導体レーザは、第6の発明から第8の発明のいずれかひとつに係る半導体レーザにおいて、
光の伝播方向において前記活性層領域と前記制御層領域が交互に繰り返す周期構造を有する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第10の発明に係る半導体レーザは、第6の発明から第9の発明のいずれかひとつに係る半導体レーザにおいて、
メサ構造に加工した前記活性層領域及び前記制御層領域の両脇にルテニウムをドープした半絶縁性半導体層を埋め込む
ことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、素子内で深さの異なる回折格子を有することにより波長制御性に優れた半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを実現することができる。
以下、本発明に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザの実施形態について、図を用いて説明する。
はじめに、一般的な導波路下部への回折格子の形成方法について説明する。
図6は、一般的な導波路下部への回折格子の形成方法を示した図である。なお、図6は、光の導波方向に沿った断面図を示している。
図6(a)に示すように、InP基板600上にレジストパターン604を塗布し、二束干渉露光やEB露光等により露光し、現像を行うことで、InP基板600を加工するための回折格子のマスクを作製する。半導体レーザの発振波長が、光通信でよく用いられている1.55μm程度の場合、回折格子の周期は240nm程度となる。
次に、図6(b)に示すように、レジストパターン604をマスクとしてウエットエッチング又はドライエッチングもしくはその両方を用いてInP基板600をエッチングする。そして、図6(c)に示すように、レジストパターン604を除去した後、下側SCH層602により回折格子を埋め込み再成長する。これにより、InP基板600上に凹凸のあるGaInAsP層が形成される。GaInAsP層は、InP層よりも屈折率が高いため、導波路方向に沿って屈折率が周期的に変化する。
次に、活性層601であるGaInAsP、上側SCH層603のGaInAsP、上側クラッド層605のInPを順次成長する。これにより、導波路は、InP基板600上に活性層601の上下を下側SCH層602及び上側SCH層603で挟んだ構造(分離閉じ込めヘテロ構造層)となる。ここで、活性層601は、InPとは異なる材料、例えばGaInAsP等の層としている。
SCH層602,603は、活性層601よりもバンドギャップ波長の短いGaInAsPを用いている。すなわち、活性層601及びSCH層602,603がInPに比べて屈折率が高いため、光導波路層となっている。また、活性層601にて利得を得るために、活性層601よりも屈折率が低いSCH層602,603、InP基板600及び上側クラッド層605により光を活性層601に閉じ込める構造となっている。
〔第1の実施形態〕
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザについて説明する。
分布活性DFBレーザにおいて、特性向上のためには、図10に説明したように、部分的かつ周期的に回折格子を形成した構造が必要である。また、分布活性DFBレーザでは、回折格子のサンプル周期と活性層と制御層の繰り返し周期は同じである必要がある。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。
図1(a)に示すように、図6で説明した一般的な回折格子の作製で説明した方法により作製した回折格子が下側SCH層102に形成された導波路を作製する。ここで活性層101は、InPとは異なる材料、例えばGaInAsPなどの層を考える。下側SCH層102及び上側SCH層103は、活性層101よりもバンドギャップ波長の短いGaInAsP層を用いている。回折格子はサンプル回折格子にする必要は無く、導波路全体に亘って形成すればよい。
図1(a)に示すように、活性層101と制御層105の繰り返し構造を作製するために、エッチングマスクを作製する。エッチングマスク104はSiO2やSiN等を用いればよい。作製方法は、プラズマによる化学気相堆積法(CVD)や、スパッタ法などを用いればよい。ここで、活性層101と制御層105の繰り返し周期は66μmとし、活性層101と制御層105の比率は1:1とし、両者とも33μmとした。
次に、図1(b)に示すように、エッチングマスク104を用いてドライエッチングもしくはウエットエッチング又はその両方を用いて下側SCH層102、活性層101及び上側SCH層103をエッチングする。例えば、硫酸と過酸化水素水及び水の混合溶液等を用いればGaInAsPとInPとのエッチングレート差を大きく取ることができるために、GaInAsPのみを選択的に除去することができる。
次に、図1(c)に示すように、エッチングマスク104をそのまま用いた選択成長により、活性層101を除去した領域に制御層105を成長し、活性層領域Aと制御層領域Bの導波路をバットジョイント(突合せ結合)する。このとき、最初にInPの半導体犠牲層108を成長する。この半導体犠牲層108は、回折格子のエッチング深さよりも厚くなるようにする。本実施形態では、回折格子深さを40nmとしているため、半導体犠牲層108の厚さを50nmとした。
制御層105は、活性層101よりもバンドギャップ波長が短いGaInAsPよりなるコア層と、さらにバンドギャップ波長が短いGaInAsP層よりなる下側SCH層106及び上側SCH層107よりなる。結晶成長は、有機金属気相成長法(MOCVD)や分子線ビームエピタキシ(MBE)など通常用いられる結晶成長法を用いることができる。
さらに、図1(d)に示すように、エッチングマスク104を除去し、全領域に亘ってInPクラッド層109を成長する。制御層105下部の回折格子は、制御層105を成長する際にInPの半導体犠牲層108で再成長するため、屈折率の分布は生じず、回折格子としては機能しない。したがって、活性層101と制御層105の繰り返し周期に一致したサンプル周期の回折格子が自動的に形成される。
このような本実施形態に係る半導体レーザの作製方法により、活性層領域Aでは活性層101下の下側SCH層102は凹凸に加工されたInP基板100上に埋め込まれているために、屈折率にも分布が生じ、回折格子として機能する。しかしながら、制御層領域Bでは、InP基板100の凹凸上にInPの半導体犠牲層108で埋め込みを行うために屈折率の分布は生じないため、回折格子として機能しない。したがって、活性層領域Aのみに回折格子があるサンプル周期66μmのサンプル回折格子となる。
なお、本実施形態においては、InP基板100上に回折格子を形成したが、InP基板100上にバッファ層を積層した後、このバッファ層の表面に回折格子を形成するようにしても良い。この場合、制御層領域B(又は、活性層領域以外の領域である非活性領域)の形成時に積層される半導体犠牲層108がバッファ層と同一の材料であればよい。バッファ層はその上に積層される下側SCH層103,106よりも屈折率が低いことが望まれ、InP基板100と格子整合することが望まれる。例えば、InP基板の場合、InP、InGaAsP、InAl(Ga)As等であり、GaAs基板の場合、GaAs、GaAlAs等である。
分布活性DFBレーザでは、活性層101と制御層105を周期的に交互に配置するが、回折格子のサンプル周期も活性層101と制御層105の繰り返し周期と同じである必要がある。この方法であれば、自動的に活性層101と制御層105の繰り返し周期と、回折格子のサンプル周期は同一となる。
このため、図10に示すように、位相シフトを挟んだ左右で活性層101と制御層105の繰り返し周期が異なる分布活性DFBレーザであっても、回折格子の描画は全面に行えばよく、自動的に回折格子のサンプル周期は、活性層101と制御層105の繰り返し周期と同じになるため、左右のサンプル周期も自動で活性層101と制御層105の繰り返し周期と一致するように変えることが可能となる。
活性層101及び制御層105は、バルク構造でも、量子井戸構造又はその多層構造でも良く、更に量子細線や量子ドットなどの低次元量子井戸構造などでもよい。また、用いる半導体材料は、InPとGaInAsPの組合せに限定されるものではなく、GaAs、AlAs、AlGaAs、GaInNAs等、その他の半導体でもよい。
下側SCH層102はあっても無くてもよく、無い場合には、活性層101に直接回折格子を形成してもよい。導波路構造は、活性層101又は制御層105を導波路コアとして、コア層より屈折率が低いSCH層102,103,106,107、InP基板100及びInPクラッド層109により光をコアに閉じ込める構造となっているが、SCH層102,103,106,107が無い場合には、InP基板100及びInPクラッド層109のみにより光をコアに閉じ込める構造となる。
本発明で重要なのは、回折格子を残さない領域には、凹凸を形成した基板の材料と同じ材料の半導体犠牲層108を最初に成長することである。したがって、凹凸を形成する材料がInP以外の材料である場合には、制御層105の下部に最初に成長する層はInP以外の材料とすればよい。
活性層101と制御層105の繰り返し周期や比率は、66μm、1:1に限定する必要はなく、必要なレーザの特性に応じて自由に設計可能である。本方法の場合、分布活性DFBレーザの活性層101と制御層105の比率が、自動的に回折格子の有無の比率になる。したがって、活性層101と制御層105の比率に応じて、回折格子の結合係数などの設計を行えばよい。
本実施形態では、活性層領域Aに回折格子を形成する方法を説明したが、制御層領域Bに回折格子を形成したい場合には、逆に制御層105を最初に成長し、後から活性層101を選択成長すればよい。活性層101の成長時に最初にInPの半導体犠牲層(図示省略)を成長することで、制御層領域Aには回折格子があり、活性層領域Bには回折格子の無いサンプル回折格子が作製できる。
また、本実施形態では、活性層101と制御層105の繰り返し周期が66μmの場合のみを記述したが、図10の構造のように、活性層101と制御層105の繰り返し周期が異なる2つの半導体レーザを直列に接続した構造にも適用可能であり、その場合であってもサンプル回折格子のサンプル周期を活性層101と制御層105の繰返し周期に自動的に一致させることができる。また、更に3つ以上の活性層101と制御層105の繰り返し周期が異なる半導体レーザを直列に接続する場合も同様である。
また、本実施形態では、上側SCH層107までの導波路を形成してから、活性層101と制御層105に共通なInPクラッド層109を再成長しているが、予め活性層領域AのInPクラッド層109までを成長した後で、制御層領域BのInPクラッド層109を選択成長しても良い。
また、本発明に係る構造は、半導体レーザの導波構造によらず適用可能である。例えば、埋め込みヘテロ構造や、リッジ構造、メサ(ハイメサ)構造などの構造であるが、いずれも回折格子形成後に作製する構造であるため、どのような構造にも適用可能である。
このうち、埋め込みヘテロ構造について説明する。
図7は、図10に示す半導体レーザの活性層領域の部分の導波路に垂直な断面を示した図である。図7(a)は、下部電極700上にn型のInPで下部クラッド層701を形成し、下部クラッド層701の上に活性層702を形成して、活性層702の両側をエッチングし、p型のInP層703とn型のInP層704を交互に成長することで電流ブロック層とする一般的な埋め込みヘテロ構造である。
また、活性層702及びn型のInP704上にp型のInPで上部クラッド層705を形成する。上部クラッド層705上にはコンタクト層706と絶縁層707が形成される。コンタクト層706上には活性層電極708が形成され、絶縁層707上には波長制御電極709が形成される。
一方、図7(b)は、下部電極710上にn型のInPで下部クラッド層711を形成し、下部クラッド層711の上に活性層712を形成して、活性層712の両側をエッチングした後、Ruをドーピングした半絶縁体のInP(RuドープInP層)713で再成長した埋め込みヘテロ構造である。なお、制御層領域についても制御層の両側をエッチングした後、RuドープInP層(半絶縁性半導体層)で埋め込んでいる。
また、活性層712上にはp型のInP714を形成する。活性層712及びRuドープInP層713上にはコンタクト層715が形成され、コンタクト層715上には活性層電極716が形成される。更に、RuドープInP層713上には絶縁膜717が形成され、絶縁膜717上には波長制御電極718が形成される。
このように、半絶縁体の材料で電流ブロックをすることにより、p型n型の積層構造の場合よりも素子容量を低減できるため、波長可変レーザの場合に高速な波長切り替えが可能となる。また、半絶縁体は、Feをドーピングしてもよいが、Feドーピングの場合には、p型ドーパントのZnとの相互拡散により素子が劣化する問題が生じる可能性があるため、Ruが望ましい。
上述のように、本発明に係る半導体レーザの作製方法を用いることにより、回折格子作製のためのレジストパターン604(図6参照)は、通常用いられている回折格子の作製と同様に、素子全面に亘って形成すればよく、サンプル回折格子のパターンを描画する必要がない。
また、プロセス工程上は、選択成長時に制御層領域の最上層にInPを成長しておくだけでよく、分布活性DFBレーザのその他の工程を変更、追加する必要がない。その上、回折格子のサンプル周期を容易に自動的に分布活性DFBレーザの活性層101と制御層105の繰り返し周期に一致させることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザについて説明する。
各層の構成材料は第1の実施形態に係る半導体レーザの作製方法で説明したものと同様であり、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、回折格子の深さと選択成長する制御層領域の最初のInP層の厚さを変更した。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。
本実施形態では、図2(a)に示すような回折格子のエッチング深さを50nmとした。次に、図2(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、制御層105を形成する部分の導波路をエッチングし、図2(c)に示すように、エッチングマスク104を選択成長のマスクとして、制御層105を選択成長する。ここで、制御層領域Bの最初のInPの半導体犠牲層108の厚さを20nmとしており、回折格子のエッチング深さよりも薄くした。さらに、図2(d)に示すように、エッチングマスク104除去した後、上部クラッド層109のInP層を形成した。
図2(d)に示すように、制御層105下部の回折格子をエッチング深さより薄いInPの半導体犠牲層109で埋め込むことにより、活性層101の回折格子の深さと制御層105の回折格子の深さの異なる回折格子を作製することができる。回折格子の深さが異なると、回折格子の結合係数が異なり、単位長さ辺りの反射率も変化する。InPの半導体犠牲層109の厚さと回折格子のエッチング深さは自由に設計できる。これにより、周期的に結合係数を変えた回折格子を容易に作製することが可能となるため、分布活性DFBレーザの設計の自由度が向上する。
レーザ共振器の反射率は活性層領域Aの反射率と制御層領域Bの反射率の重ね合わせで決定される。反射率は回折格子の結合係数と回折格子の長さの積により決定され、この値が大きいほど反射率は高くなる。一方、反射帯域は式(1)によって決まるブラッグ波長を中心とした帯域となり、屈折率が変化すると反射帯域は変化する。
制御層105は、電流注入によるキャリアの蓄積によってキャリアプラズマ効果などにより屈折率が変化する。したがって、第1の実施形態に係る半導体レーザの作製方法の場合には、制御層105の屈折率変化により発振波長が変化した場合に、反射率は活性層101の回折格子と回折格子間の位相によって決定される。
これに対し、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法の場合には、反射率は活性層101の回折格子の反射帯域と制御層105の回折格子の反射帯域の位相も含めた重ね合わせに影響される。すなわち、波長変化に伴って、活性層101の反射帯域と制御層105の反射帯域の重なりが変化し、反射率が変化する。本実施形態に係る半導体レーザの作製方法を用いて制御層105の結合係数を適切に制御すれば、波長変化時の反射率の変化を設計することが可能となる。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザについて説明する。
第1及び第2の実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、予めInP基板上に作製した凹凸をInPで埋め込むことにより屈折率差を生じさせないようにしてサンプル回折格子を作製した。本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、予めInP基板上に作製した凹凸を、選択成長による導波路の突合せ結合を作製する際にエッチングすることによりサンプル回折格子を作製する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。
まず、図3(a)に示すように、第1及び第2の実施形態と同様にInP基板100に凹凸を形成し、下側SCH層102、活性層101、上側SCH層103を再成長し、活性層領域とする場所にエッチングマスク104を形成する。次に、図3(b)に示すように、第1及び第2の実施形態と同様に、制御層領域Bを形成する箇所をエッチングする。
さらに、図3(c)に示すように、制御層領域Bのエッチング底面に出現したInP基板100の凹凸をエッチングする。最初にInP基板100の凹凸を形成した時のように回折格子パターンのマスクが無いので、一般的に凹凸が平坦化されるようにエッチングされる。更に、エッチングすれば、完全に平坦化させることも可能である。その後、図3(d)に示すように、制御層領域Bの下側SCH層106、制御層105、上側SCH層107を選択成長し、エッチングマスク104を除去した後、InPクラッド層109を成長した。
本実施形態では、制御層領域Bを形成する際、ドライエッチングにより上側SCH層103、活性層101、下側SCH層102の途中までをエッチングし、第1及び第2の実施形態と同様に、硫酸と過酸化水素及び水の混合溶液等によるウエットエッチャントを用いて活性層101及びSCH層102,103を構成するGalnAsPのみを選択的にエッチングしてInP基板100を露出させた後、塩酸とリン酸の混合溶液によるエッチャントを用いてInP基板100の凹凸をエッチングしたが、その他のエッチャントを用いてもよい。
その場合、例えば、図3(b)、図3(c)のように選択エッチャントを用いてInP基板100の凹凸を露出させてから凹凸のエッチングを行わなくともよい。GaInAsPとInPの両方をエッチングするメタノールにブロムを混合したBrメタノールなどを用いれば、GaInAsPをエッチングしつつ、InPもエッチングすることができ、図3(b)の状態を経由することなく、図3(c)の状態にすることができる。
第1及び第2の実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、凹凸が形成された材料と同じ材料で埋め込み再成長を行うことにより、屈折差を生じさせない、又は小さくして、サンプル回折格子や領域によって結合係数の異なる回折格子を形成した。
これに対し、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、選択成長による導波路の突合せ結合を行う際に露出する回折格子を物理的にエッチングすることにより同様の効果を得ることができる。これにより、第1及び第2の実施形態と同様に、活性層101と制御層105の繰り返し周期に一致した周期で、サンプル回折格子や活性層領域Aと制御層領域Bで結合係数の異なる回折格子を容易に形成できる。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザについて説明する。
本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、予め形成したInP基板上の凹凸にSiO2等のエッチングマスクを周期的に形成し、マスク以外の場所をエッチングすることによって、サンプル回折格子を作製する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。
まず、図4(a)に示すように、InP基板100上に凹凸を形成する。次に、図4(b)に示すように、回折格子を残す場所のみにSiO2やSiN等のマスク400を形成する。これは、CVD法やスパッタ法等で基板上にSiO2(又はSiN等)膜を堆積させた後に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィーや投影露光法等によりレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとしてSiO2をエッチングすることで形成できる。そして、図4(c)に示すように、マスク400以外の場所の回折格子の凹凸が滑らかになるようにウエットエッチングする。
その後、図4(d)に示すように下側SCH層102、活性層101及び上側SCH層103を成長する。これによりサンプル回折格子が形成できる。さらに、分布活性DFBレーザを作製する場合には、活性層101と制御層105を周期的に交互に配置する必要があるので、周期的にエッチングマスク104を形成し、図4(e)に示すようにエッチングする。そして、図4(f)に示すように、制御層105を再成長し、InPクラッド層109を成長する。本実施形態では、回折格子を残す領域を活性層領域Aと制御層領域Bの長さによらずに独立に設定できるため、設計の自由度が向上する。
回折格子自体の凹凸の周期は波長1.55μm帯では240nm程度であり、直接サンプル回折格子を形成しようとすると、EB露光などの分解能の高い露光方法を用いる必要があるが、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法を用いれば、全体に回折格子を形成した後に、サンプル周期でマスクを形成している。サンプル周期は通常数μmから数十μm以上であるので、フォトリソグラフィー等の簡便な方法で形成することができる。
第1から第3の実施形態に係る半導体レーザの作製方法は、選択成長による突合せ結合の作製を利用して、活性層領域Aと制御層領域Bの繰り返し周期に一致した周期のサンプル回折格子などを作製するものである。しかし、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法は、分布活性DFBレーザのように活性層101と制御層105の繰り返し構造を持った半導体レーザだけでなく、その他の半導体レーザや光素子に適用することが可能である。例えば、図4(d)の後に、活性層101と制御層105の繰り返し構造を作製しないで、InPクラッド層を成長し、レーザ構造を作製し電極などを形成すれば、活性層101と制御層105の繰り返し構造の無い半導体レーザを作製することができる。
更には、図4(c)で、回折格子の凹凸をエッチングする際に、エッチング量をコントロールすることで、結合係数を変化させることができる。すなわち、凹凸を完全に平坦化すれば、サンプル回折格子になるが、一方、凹凸を完全に平坦化せずに、少し凹凸を残すようにエッチングすれば、当初の回折格子より結合係数の小さい回折格子を形成することができる。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザについて説明する。
本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、不純物ドーピング濃度の異なるInPの半導体犠牲層を用いて、回折格子部の屈折率差に変化をもたせる。
半導体でダイオード構造を作製する場合は、p型又はn型等の電導型を形成するために不純物をドーピングする。本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、基板側をSiをドーピングしたn型のInPとして、活性層を挟み上部をZnをドーピングしたp型のInPとしている。また、一般的にドーピングする不純物の濃度によって半導体の屈折率は異なる。
図5は、本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。
図5(a)に示すように、n−InP基板500上に凹凸を形成し、図5(b)に示すように、n−InPの半導体犠牲層510、GaInAsPからなる下側SCH層502、活性層501、上側SCH層503を成長する。ここで、凹凸を形成したn−InP基板500側のInPのドーピング濃度は2×1018cm3とし、後から成長するn−InPは1×1018cm-3のドーピング濃度とした。
更に、図5(c)に示すように、分布活性構造を作製するために、SiO2又はSiN等を用いて周期的にエッチングマスク504を形成し、n−InP基板500、n−InPの半導体犠牲層510、下側SCH層502、活性層501及び上側SCH層503をエッチングする。
続いて、図5(d)に示すように、選択成長により、n−InP基板500、n−InPの半導体犠牲層510、下側SCH層502、活性層501及び上側SCH層503をエッチングした部分に、積極的にドーピングを行わないi−InPの半導体犠牲層511、GaInAsPよりなる下側SCH層506、制御層505(コア層)、上側SCH層507を成長する。
図5(e)に示すように、エッチングマスク504を除去した後、活性層領域Aと制御層領域Bの両方に共通するp−InPクラッド層509を再成長する。上記方法により、活性層領域Aの凹凸はドーピング濃度差の小さいn−InPの半導体犠牲層510で埋め込まれているのに対し、制御層領域Bの凹凸はドーピング濃度差の大きいi−InPの半導体犠牲層511で埋め込まれるため、深さや周期などの同一な凹凸を埋め込んでいても屈折率差が異なり、回折格子の結合係数に違いが生じる。すなわち、活性層501と制御層505の繰り返し周期と同一の繰り返し周期で結合係数を変化させた回折格子の形成が可能であり、これにより、第2の実施形態と同様に、波長変化時における反射率の変化も設計することが可能となる。
本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、凹凸を埋め込むために、n−InPの半導体犠牲層510とi−InPの半導体犠牲層511を用い、更に、凹凸を形成するn−InP基板500のドーピング濃度を全て異ならせることにより、周期的に回折格子の結合係数を変調した回折格子としているが、n−InP基板500側のInPのドーピング濃度と、活性層領域A又は制御層領域BのInPのドーピング濃度と同一とした場合には、サンプル回折格子を形成することもできる。
また、本実施形態に係る半導体レーザの作製方法では、選択成長する制御層領域Bの半導体犠牲層511を積極的にドーピングしないi−InP層としたが、5×1017cm-3の濃度のドーピングを施したn−InP等としても、活性層領域Aのn−InPとは不純物濃度が異なるので本発明を実施することができる。
また、ドーピングする元素は、SiやZnに限らず、Snなどの他の元素でも良い。本実施形態に係る半導体レーザの作製方法の特徴は、ドーピング濃度の異なるInP層を用いて回折格子の結合係数を周期的に変調することであるから、ドーピング濃度は本実施形態で示したドーピング濃度に限らず、最初に凹凸を形成する基板側InPのドーピング濃度と、後から成長する活性層領域AのInP層のドーピング濃度、又は、選択成長するInP層のドーピング濃度を異ならせればよい。また、本実施形態ではn型のInP基板を用いているが、p型のInP基板を用いた場合には、n型とp型を入れ替えて考えればよい。
なお、ここで用いる半導体材料は、他の実施形態と同様に、InPとGaInAsPの組合せに限ることなく、ドーピング濃度の違いにより屈折率を異ならせることのできる他の半導体を用いることができる。
本発明は、例えば、光ファイバ通信用光源及び光計測用光源として用いられる波長可変半導体レーザ、特に、光通信における光波長(周波数)多重システム用光源及び広帯域波長帯をカバーする光計測用光源に利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。 本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザの作製方法及び半導体レーザを示した図である。 一般的な導波路下部への回折格子の形成方法を示した図である。 図10に示す半導体レーザの活性層領域の部分の導波路に垂直な断面を示した図である。 従来の分布活性DFBレーザの基本構造を示した図である。 回折格子を一部のみに形成した従来の分布活性DFBレーザの構造を示した図である。 周期を変えて2つ縦続接続した従来の分布活性DFBレーザの構造を示した図である。 図8に示す従来の分布活性DFBレーザの反射特性を示した図である。
符号の説明
100 InP基板
101 活性層
102 下側SCH層
103 上側SCH層
104 エッチングマスク
105 制御層
106 下側SCH層
107 上側SCH層
108 半導体犠牲層
109 InPクラッド層
400 マスク
500 n−InP基板
501 活性層
502 下側SCH層
503 上側SCH層
504 エッチングマスク
505 制御層(コア層)
506 下側SCH層
507 上側SCH層
509 p−InPクラッド層
510 n−InPの半導体犠牲層
511 i−InPの半導体犠牲層
600 InP基板
601 活性層
602 下側SCH層
603 上側SCH層603
604 レジストパターン
605 上側クラッド層
700,710 下部電極
701,711 下部クラッド層
702,712 活性層
703,714 p型のInP層
704 n型のInP層
705 上部クラッド層
706,715 コンタクト層
707 絶縁層
708,716 活性層電極
709,718 波長制御電極
713 RuドープInP層
717 絶縁膜

Claims (10)

  1. 半導体基板の表面又はバッファ層の表面に回折格子を形成する工程と、
    前記回折格子上に活性層を含む積層構造を積層する工程と、
    前記活性層を有する活性層領域以外の制御層領域における前記積層構造を除去する工程と、
    前記制御層領域の前記回折格子の表面に該回折格子と同一の材料の半導体犠牲層を積層する工程と
    を備える
    ことを特徴とする半導体レーザの作製方法。
  2. 前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以上とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザの作製方法。
  3. 前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以下とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザの作製方法。
  4. 光の伝播方向において前記活性層領域と前記制御層領域が交互に繰り返す周期構造を有するものとする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体レーザの作製方法。
  5. 半導体基板の表面又はバッファ層の表面に回折格子を形成する工程と、
    前記半導体基板上又は前記バッファ層上に下側SCH層、活性層及び上側SCH層を積層する工程と、
    活性層領域以外の制御層領域において上層SCH層、活性層、下側SCH層を除去する工程と、
    前記制御層領域における前記半導体基板又は前記バッファ層上に該半導体基板又は該バッファ層と同一の材料の半導体犠牲層、下側SCH層、制御層及び上側SCH層を積層する工程と
    を備える
    ことを特徴とする半導体レーザの作製方法。
  6. 半導体基板の表面又はバッファ層の表面に形成される回折格子と、
    前記回折格子上に積層される活性層を含む積層構造と、
    活性層領域以外の制御層領域の前記回折格子の表面に積層された該回折格子と同一の材料の半導体犠牲層と
    を備える
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  7. 前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以上である
    ことを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ。
  8. 前記半導体犠牲層の厚さは前記回折格子の深さ以下である
    ことを特徴とする請求項6に記載の半導体レーザ。
  9. 光の伝播方向において前記活性層領域と前記制御層領域が交互に繰り返す周期構造を有する
    ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  10. メサ構造に加工した前記活性層領域及び前記制御層領域の両脇にルテニウムをドープした半絶縁性半導体層を埋め込む
    ことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
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