JP2009205975A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体燃料の供給と反応生成ガスの排出とを効率的に行なうことによって出力を増大できる燃料電池を提供することにある。
【解決手段】燃料極と、酸化剤極と、燃料極および酸化剤極に挟まれて配置された電解質膜と、燃料極に隣接して配置され、燃料極に液体燃料を供給しかつ反応生成ガスを排出するための燃料室と、を備え、燃料室は、燃料極に液体燃料を供給するための第1流路と、燃料極から反応生成ガスを排出するための第2流路と、を有し、第1流路と第2流路とは、互いに独立して配置され、燃料極と燃料室との間に多孔質膜が配置された燃料電池に関する。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤との電気化学反応によって発生した電力を取り出す発電システムであり、燃料と酸化剤とを供給し続けることによって連続的に発電することが可能な発電システムである。燃料電池は、従来の熱機関を用いる発電システムと異なり、熱エネルギーを経ずに電気エネルギーを効率的に取り出すことが可能である。そのため、従来の発電システムに比べて発電効率が高く、様々な用途への応用が考えられている。
近年、特にモバイル電源用の発電システムとして、直接型メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)と呼ばれる燃料電池が注目されている。これは、燃料としてメタノールを用い、酸化剤として空気を用いた発電システムであり、他の燃料電池に比べて単位体積当たりのエネルギー密度の高さやシステムの単純さの点で優れているために、小型で大容量の次世代のモバイル電源として期待が高まっている。
たとえば、メタノールと水との混合物を燃料として供給する直接型メタノール燃料電池として、特表平11−510311号公報(特許文献1)に開示された直接型メタノール供給式燃料電池、および、特開平6−188008号公報(特許文献2)に開示された燃料電池がある。
以下、代表的な直接型メタノール燃料電池の構造について説明する。
図7は、従来の代表的な直接型メタノール燃料電池の構造である。図7に示す直接型メタノール燃料電池116においては、メタノールあるいはメタノールと水との混合液を燃料としている。上記燃料が、供給ポンプ等の供給手段によって、燃料タンク(図示せず)から燃料導入路108に供給される。そして、燃料導入路108に供給された燃料は矢印111で示す方向に向かって流れ、セパレータ105に形成された燃料室106に供給される。燃料室106に供給された燃料は、燃料極103内に浸透して反応し、二酸化炭素と水素イオンと電子とを生成する。その場合の反応はCH3OH+H2O→CO2+6H++6e-と表わされる。通常、燃料極103として触媒を含んだ多孔質材が用いられており、電解質膜101との界面近位で上記反応が起こっている。
上記反応で生成された水素イオンは、燃料極103から電解質膜101を透過して酸化剤極102に移動する。また、電子は燃料極103から外部回路(図示せず)を経由して酸化剤極102に流れる。この電子の流れが、電池の出力として使用される。一方、二酸化炭素は、燃料極103から燃料室106を通して未反応の燃料とともに排出される。
さらに、上記セパレータ105に形成された酸化剤室104へは、矢印111で示す方向に空気が供給される。そして、この供給された空気中の酸素が酸化剤室104から酸化剤極102内に拡散して、燃料極103から透過してきたプロトンと反応して水を生成する。この反応は3/2O2+6H++6e-→3H2Oと表わされる。生成された水は、通常水蒸気となって、酸化剤極102から酸化剤室104を通って矢印112で示す方向に流れて排出される。また、未反応の酸素を含んだ空気も同様に酸化剤極102から酸化剤室104を通って排出される。
しかしながら、上記従来の直接型メタノール燃料電池においては、出力の向上に対して以下のような問題がある。
すなわち、具体的には、上記従来の直接型メタノール燃料電池では、燃料室106を、燃料であるメタノールの供給路、反応生成ガスである二酸化炭素の排出路として共用し、然も燃料極103へのメタノールの供給は燃料室106からの拡散によって行っている。そのため、メタノールの供給量を上げるためには、燃料室106に強い圧力を加える必要がある。しかしながら、燃料室106に強い圧力を加えると、燃料極103において発生した二酸化炭素が燃料室106に排出され難くなるため、出力の向上が困難であるという問題がある。
また、上記従来の直接型メタノール燃料電池においては、燃料極103での反応によって生成された二酸化炭素は、燃料極103からの拡散によって燃料室106に排出される。そのため、排出効率が十分とは言えず、燃料極103の内部に残留した二酸化炭素のために、反応面積が減少して反応量を低下させてしまうという問題がある。さらに、燃料室106内に反応生成物が残留し、燃料極103へのメタノール供給効率が落ちるため、出力の向上が困難であるという問題がある。
特表平11−510311号公報 特開平6−188008号公報
そこで、この発明の課題は、液体燃料の供給と反応生成ガスの排出とを効率的に行なうことによって出力を増大できる燃料電池を提供することにある。
本発明は、燃料極と、酸化剤極と、燃料極および酸化剤極に挟まれて配置された電解質膜と、燃料極に隣接して配置され、燃料極に液体燃料を供給しかつ反応生成ガスを排出するための燃料室と、を備え、燃料室は、燃料極に液体燃料を供給するための第1流路と、燃料極から反応生成ガスを排出するための第2流路と、を有し、第1流路と第2流路とは、互いに独立して配置され、燃料極と燃料室との間に多孔質膜が配置された燃料電池に関する。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜の材料は、フッ素系樹脂であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜の材料は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFEおよびECTFEから選ばれる少なくとも1つで構成されていることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、燃料極は、燃料極と燃料室との積層方向と垂直な方向に液体燃料を拡散させるための拡散層を有し、拡散層が多孔質膜と接して配置されていることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、拡散層の表層領域および内部が撥水性であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜内における液体燃料の拡散係数は、拡散層内の拡散係数に比べて小さいことが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜における、第1流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面が親水性であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜における、第1流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面に対する液体燃料の接触角が60度以下であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜における親水化処理には、UVオゾン法を用いることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜における、第2流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面が撥水性であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池において、多孔質膜の内、第2流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面に対する液体燃料の接触角が120度以上であることが好ましい。
ここで、本発明において、表層領域とは、その表面の領域であり、内部とは、表面ではない領域を示す。
以上より明らかなように、この発明の燃料電池は、燃料室に、燃料極に液体燃料を供給するための第1流路と、上記燃料極から反応生成ガスを排出するための第2流路とを、互いに独立して設けた。これにより、第1流路から供給された液体燃料を、効率的に燃料極内に供給することができる。さらに、燃料極内で生成された反応生成ガスを、供給されてくる燃料に阻害されることなく、第2流路から効率的に排出できる。
また、燃料極と燃料室の間に配置された多孔質膜によって、第1の流路から燃料極への液体燃料の供給を抑制するので、第1流路において液体燃料が充満し易くなり、第1流路の略全ての流路に亘って液体燃料を行き渡らせることが可能となる。よって、燃料極での反応(陽イオンと電子の生成)を促進できる。一方、反応生成ガスの排出については、第2流路からの排出ガスの排出を促進し、燃料極で生成した排出ガスを効率よく外部へ排出できる。
したがって、この発明の燃料電池によれば、第1流路への液体燃料の供給が低い圧力でなされても燃料極での十分な反応を実現でき、小型で高出力な燃料電池を実現できる。また、燃料電池の設置あるいは保持する向きに寄らず安定した出力が得られる。
また、多孔質膜の内、第1流路に接する部分を親水性にすることにより、毛管力を利用して、第1流路から燃料極への液体燃料の供給の効率化を図ることができる。
また、多孔質膜の内、第2流路に接する部分を撥水性にすることにより、表面張力を利用して、燃料極から第2流路への燃料の漏洩を抑制することができる。
すなわち、この発明によれば、液体燃料と酸化剤との反応によって電力を発生する燃料電池の出力を増大させることができるという効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表してはいない。
図1は、本発明に係る燃料電池の一実施形態の模式的な斜視図である。図2は、図1に示す燃料電池の一部におけるII−II線に沿った断面図である。図3および図4は、本発明に係る燃料電池の動作を示すための模式図である。以下、図1〜図4に基づいて説明する。
<燃料電池の構造>
まず、図1および図2に基づいて説明する。本発明に係る燃料電池は、燃料極11と、酸化剤極12と、燃料極11および酸化剤極12に挟まれて配置された電解質膜13と、燃料極11に隣接して配置された燃料室14と、酸化剤極12に隣接して配置された酸化剤室15とを備える。そして、該燃料電池において、燃料極11と燃料室14との間に多孔質膜20が配置されている。燃料極11は液体燃料から陽イオンと電子とを生成し、酸化剤極12は酸化剤と該陽イオンとを反応させ、燃料室14は燃料極11に液体燃料を供給しかつ反応生成ガスを排出し、酸化剤室15は酸化剤極12に酸化剤を供給しかつ未反応である酸化剤および反応生成物を排出する。
そして、燃料室14は、燃料極11に液体燃料を供給するための第1流路16と、燃料極11から反応生成ガスを排出するための第2流路17とを有する。第1流路16と第2流路17とは互いに独立して配置されている。
ここで、図1においては、第1流路16および第2流路17は複数の分枝を有する櫛状の形状を有しており、第2流路17と第1流路16は互いに噛み合うように配置されている。しかしながら、第1流路16と第2流路17との形状は該櫛状に限定されるものではなく、二つの流路が分離されていればどの様な形状を有していても差し支えない。ただし、第1流路16の幅(短手方向長さ)をあまり広くすると、燃料極11から第2流路17までの平均距離が長くなるために、第1流路16の直下の燃料極11内で生じた反応生成ガスを第2流路17まで輸送する距離が長くなりすぎる。また、第2流路17の幅(短手方向長さ)をあまり広くすると、燃料極11内の反応面積が小さくなり、反応効率が低下することとなる。したがって、第1流路16および第2流路17の幅は、5μm〜200μmであることが好ましい。
また、多孔質膜20の厚みは均一であることが好ましく、第1流路16および第2流路17の幅が5μm〜200μmの場合には、多孔質膜20の厚みは10μm〜200μmであることが好ましい。該厚みが10μm未満の場合には、燃料の透過性が増大し、第1流路16全体に燃料を満たすことが困難となる虞があり、該厚みが200μm超過の場合には、ガス透過率が低下し、燃料極11から第2流路17への二酸化炭素の移動が困難となる虞があるからである。また、多孔質膜20に形成された微細孔の平均孔径は10nm〜300nmであることが好ましい。該平均孔径が10nm未満の場合には、ガス透過性が極端に低下し、燃料極11で発生した二酸化炭素が第2流路17へ移動することが困難となり、該平均孔径が300nm超過の場合には、燃料の透過性が極端に増大し、燃料極11から第2流路17への燃料の漏れを防ぐことができない虞があるからである。
また、本実施形態における燃料電池において、燃料極11は、燃料極11と燃料室14との積層方向と垂直な方向に液体燃料を拡散させるための拡散層を有することが好ましい。該拡散層は、多孔質膜20と接して配置されたカーボンクロス、カーボンペーパーなどのような層であり、加圧圧着法やスプレー法によって形成されている。
そして、該拡散層の表層領域の少なくとも一部分および該拡散層の内部が撥水性であることが好ましい。これは、燃料室14から供給された液体燃料をより効率的に、燃料極11の全面に拡散させることができ、該燃料極11の反応面積の低下を抑制することができるためである。
そして、多孔質膜20内における液体燃料の拡散係数は、該拡散層内の拡散係数に比べて小さいことがさらに好ましい。本発明においては、該拡散係数は、たとえば、ガスクロマトグラフィー法やクロノアンペロメトリー法を用いて測定した値を採用することができる。多孔質膜20の拡散係数が小さいほど、さらに第1流路16全体に液体燃料を行き渡らせることができる。
また、本実施形態においては、多孔質膜20における、第1流路16に接する表層領域および内部の微細孔の表面が親水性であることが好ましい。該表層領域および微細孔を親水性とすることで、毛管力を利用して、燃料室から燃料極へさらに効率的に液体燃料を送ることが可能である。ここで、本発明において、親水性とは、液滴法を利用した接触角測定装置を用いて測定した液体燃料の接触角が90度未満である場合を言うものとする。このとき、該接触角が60度以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、多孔質膜20における、第1流路16に接する表層領域および内部の微細孔の表面を親水性とするために行なう親水化処理は、UVオゾン法を用いるのが好ましい。これは、薬品処理による親水化にくらべ、多孔質膜への化学的負荷が少なく、燃料電池としての安定した出力を得ることが可能になるからである。なお、本実施形態においてUVオゾン法とは、低圧水銀ランプまたはキセノンエキシマランプの照射によって、表層領域および微細孔の両面に酸素リッチな官能基を形成し、親水化する方法である。
また、本実施形態においては、多孔質膜20における、第2流路17に接する表層領域および内部の微細孔の表面が撥水性であることが好ましい。該表層領域および微細孔を撥水性とすることで、多孔質膜20の微細孔の表面張力を利用して、燃料室14から反応生成ガスへの液体燃料の漏洩を抑制することが可能である。ここで、本発明において、撥水性とは、液滴法を利用した接触角測定装置を用いて測定した液体燃料の接触角が90度以上である場合を言うものとする。このとき、該接触角が120度以上であることがさらに好ましい。
以上のごとく、本実施の形態においては、非常に簡単な構成をもって、安定した出力を持つ燃料電池を得ることが可能である。
<燃料電池の動作>
以下、図1〜図4に基づいて説明する。
本発明に係る液体燃料は、燃料タンク(図示せず)から供給ポンプ等を用いて、燃料供給口18から燃料室14内の第1流路16に供給される。第1流路16に供給された液体燃料は、図2の矢印21に示すように多孔質膜20内を拡散し、燃料極11内に浸透して反応し、二酸化炭素と水素イオンと電子を生成する。この反応はCH3OH+H2O→CO2+6H++6e-と表わされる。
上記反応によって生成された水素イオンは、燃料極11から電解質膜13を透過して酸化剤極12に移動する。また、電子は、燃料極11から外部回路(図示せず)を経由して酸化剤極12に流れる。この電子の流れが電池の出力として使用される。
また、反応生成ガスである二酸化炭素は、図2の矢印22に示すように、燃料極11から多孔質膜20を通って、燃料室14内の反応ガス排出路17に排出され、反応ガス排出口20から排出される。この反応ガス排出口20から排出された二酸化酸素は、反応ガス排出ポート(図示せず)から排出される。
一方、空気は、圧縮機(図示せず)等を用いて、酸化剤室15から酸化剤極12に供給される。
こうして、酸化剤極12内に拡散した酸化剤は、燃料極11から電解質膜13を透過してきたプロトンおよび外部回路(図示せず)を経由して流れ込んだ電子と反応して水蒸気を生成する。この反応は3/2O2+6H++6e-→3H2Oと表わされる。
なお、未反応酸化剤と水蒸気とを外部に排出せずに回収し、未反応酸化剤と水蒸気との分離を行なった後に、分離された酸化剤のみを再び圧縮機に送ることも可能である。
図3および図4を用いて、液体燃料の供給および反応生成ガスの排出のメカニズムについて、さらに詳細に説明する。
図3は、多孔質膜20を通して、第1流路16から燃料極11へ液体燃料が流れる様子を示した模式図である。第1流路16には常に液体燃料が供給されているため、第1流路16内は、燃料極11内に比べて、常に圧力が高くなっている。そのため、液体燃料は多孔質膜を通って、第1流路16から燃料極11へ送り込まれる。また、多孔質膜内にこのような液体燃料の流れが存在しているため、燃料極11内で発生した反応生成ガス23は、第1流路16に漏れ出ることなく、矢印24にしたがって燃料極内を流れる。なお、本実施形態においては、図3における距離dは多孔質膜20内の多孔質の孔径であり、10nm〜300nmであることが好ましい。また、図3におけるPLは第1流路16内の内圧を示し、PDは燃料極11内の内圧を示す。
図4は、多孔質膜20を通して、燃料極11から反応ガス排出路17に、反応生成ガスが流れる様子を示した模式図である。燃料極11内で発生した反応生成ガスは、上述の通り第1流路16に漏れ出ることはないが、第2流路17内の圧力が燃料極に比べて低いために、第2流路17から排出される。一方、液体燃料は、多孔質膜の微細孔内の表面張力によって、第2流路17への漏洩が防がれる。ここで、図4におけるPCは、第2流路17内の内圧を示す。そして、αは、接触角を示し、αは120〜180度であることが好ましい。
従来の直接型メタノール燃料電池においては、上述したごとく、液体燃料は、図7に示すように、燃料室106に供給され、濃度差による拡散によって燃料極103内に供給されている。そのため、燃料室106に供給された液体燃料のうちの一部しか燃料極103に流れ込むことができず、反応の効率化が困難であり、燃料電池の高出力化を行なうことが困難である。
これに対して、本実施の形態においては、上記燃料室14に供給された液体燃料の全てが燃料極11へ送り込まれる。そのために、高出力を得るために充分な液体燃料を燃料極11に供給することができ、液体燃料の供給不足が燃料電池の高出力化を妨げることを抑制できる。
以上のように本発明の燃料電池において、燃料室14は、第1流路16と第2流路17とが、互いに独立して設けられているために、第1流路16の内圧と第2流路17の内圧とに圧力差を生じさせることができる。これにより、第1流路16から供給された液体燃料を、上述した従来の直接型メタノール燃料電池に比して効率的に燃料極11内に供給することができる。また、燃料極11内で生成された反応生成ガスが、圧力差によって上記燃料極11から第2流路17へ効率的に排出され易くなる。さらに、燃料極11と燃料室14との間に多孔質膜20が配置されていることにより、燃料極の全体に一定量の液体燃料を供給することができ、燃料電池としての出力の向上を図ることができる。
<燃料電池の材料>
燃料極11および酸化剤極12の基体としては、カーボンペーパー、カーボンの焼結体,ニッケル等の焼結金属,発泡金属,多孔質シリコン等の多孔質材の何れかを用いることができる。また、上記燃料極11の触媒としては、白金等の金属、および白金とルテニウム合金,白金と金,白金とオスミウム,白金とロジウム等の合金を用いることができる。また、酸化剤極12として、燃料極11と同様の触媒を用いることができ、酸化剤極12の材質と燃料極11の材質とが同じであっても差し支えない。
該電解質膜13としては、プロトン伝導性の耐熱耐酸性を有する材料であれば有機材料および無機材料を問わないが、ここでは、有機系の含フッ素高分子を骨格とするスルホン酸基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン117(デュポン社製)(登録商標))を用いている。また、電解質膜13は、プロトン伝導性の機能を有すればよく、他の基材に電解質膜を埋め込んだものであってもよい。
また、本発明に係る燃料電池において、多孔質膜20はフッ素系樹脂によって構成されていることが好ましい。ここで、フッ素系樹脂とは、パラフィン型の分子構造を持った熱可塑性樹脂で、水素の一部または全部がフッ素に置換された樹脂と定義することができる。該フッ素系樹脂を多孔質膜20として用いることで、該多孔質膜20を安価に構成することができ、本発明における燃料電池として安価に製造することが可能である。
また、本発明に係る燃料電池において、多孔質膜20はさらに好ましくは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)およびECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)から選ばれる少なくとも1つで構成されたものである。
該燃料室14としては、金属、シリコン、ガラス、ニッケル等の液体燃料が透過しない材料を使用することができる。なお、本実施の形態においては、微細加工を施したガラス板を用いている。また、酸化剤室15としては、金属、シリコン、ガラス、ニッケル等の酸化剤が透過しない材料を使用することができる。
また、該燃料極11に供給される液体燃料としては、メタノールと水とを混合したものを用いることができる。なお、液体燃料はこれに限定されるものではなく、メタノールの代わりに、エタノールやブタンやジメチルエーテルのような炭化水素系の有機燃料等を、使用することもできる。さらに、本実施の形態においては、酸化剤極12に供給される酸化剤として、酸素を元々含んでいる空気をそのまま使用している。しかしながら、酸化剤はこれに限るものではなく、酸素そのものを使用することもできる。
<燃料電池の製造方法>
本発明における燃料電池において、燃料室14の材料として、ガラスに公知の方法で第1流路16および第2流路17を作製する。さらに、第1流路16を形成する壁面を親水化し、第2流路17を形成する壁面を撥水化する。そして、第1流路16と第2流路17と接するように多孔質膜20を設けて、あとの工程は、公知の方法で適宜作製することができた。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例]
図1および図2に基づいて、本実施例の燃料電池について説明する。
実施例においては、燃料室14の材料として厚さ0.1mmのガラス板を準備し、公知のフォトレジスト法によって該ガラス板の表面に幅150μmの第1流路16および第2流路17をレジストによりパターニングした後、プラズマエッチング法により該ガラス板に流路を形成した。そして、第1流路16を形成する壁面にフッ酸処理による親水化処理を、第2流路17を形成する壁面にドライエッチングによる撥水化処理をした。そして、多孔質膜20の材料としてPTEFシートなどの多孔質フッ素樹脂を準備し、加熱圧着法により、燃料電池を作製した。
そして、作製した燃料電池を稼動させた。このとき酸化剤極12に供給される酸化剤として、酸素を元々含んでいる空気をそのまま使用し、液体燃料としては、メタノール水溶液を使用した。
<計測>
図5は、本実施例の燃料電池の出力の時間変化を計測した結果を表したグラフである。出力電流が50mAの一定値となるように負荷を与え続け、出力電圧の時間変化を30分間測定したものである。また、図6は、本実施例の燃料電池において、出力電流と燃料消費量との関係を計測した結果を表したグラフである。該出力電流と該燃料消費量との関係は、燃料供給口18に大気圧に対して、0.01気圧の加圧を行なった状態で計測した。
以下、図5および図6に基づいて説明する。まず、図5から分かるように、実施例における燃料電池は、安定した出力が得られることが分かった。また、図6から分かるように、燃料供給圧力を変化させることなく、出力電流に応じた液体燃料が消費されていることが分かった。
以上の計測から分かるように、本実施例の燃料電池は、非常に簡単な構成であり、かつ安定した出力を有するものである。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の燃料電池は、大きな出力を得ることができるため高出力の燃料電池として有用であり、携帯電子機器などに好適に利用することができる。
本発明に係る燃料電池の一実施形態の模式的な斜視図である。 図1に示す燃料電池の一部におけるII−II線に沿った断面図である。 本発明に係る燃料電池の動作を示すための模式図である。 本発明に係る燃料電池の動作を示すための模式図である。 実施例の燃料電池の出力の時間変化を計測した結果を表したグラフである。 実施例の燃料電池において、出力電流と燃料消費量との関係を計測した結果を表したグラフである。 従来の代表的な直接型メタノール燃料電池の構造である。
符号の説明
11,103 燃料極、12,102 酸化剤極、13,101 電解質膜、14,106 燃料室、15,104 酸化剤室、16 第1流路、17 第2流路、18 燃料供給口、19 反応生成ガス排出口、20 多孔質膜、21,22,24,31,108,110,111,112 矢印、23 反応生成ガス、105 セパレータ、116 直接型メタノール燃料電池。

Claims (11)

  1. 燃料極と、
    酸化剤極と、
    前記燃料極および前記酸化剤極に挟まれて配置された電解質膜と、
    前記燃料極に隣接して配置され、前記燃料極に液体燃料を供給しかつ反応生成ガスを排出するための燃料室と、を備え、
    前記燃料室は、前記燃料極に液体燃料を供給するための第1流路と、前記燃料極から反応生成ガスを排出するための第2流路と、を有し、
    前記第1流路と前記第2流路とは、互いに独立して配置され、
    前記燃料極と前記燃料室との間に多孔質膜が配置された燃料電池。
  2. 前記多孔質膜の材料は、フッ素系樹脂である請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記多孔質膜の材料は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、PCTFEおよびECTFEから選ばれる少なくとも1つで構成された請求項1に記載の燃料電池。
  4. 前記燃料極は、燃料極と燃料室との積層方向と垂直な方向に液体燃料を拡散させるための拡散層を有し、
    前記拡散層が前記多孔質膜と接して配置された請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 前記拡散層の表層領域および内部が撥水性である請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記多孔質膜内における液体燃料の拡散係数は、前記拡散層内の拡散係数に比べて小さい請求項4または5に記載の燃料電池。
  7. 前記多孔質膜における、前記第1流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面が親水性である請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池。
  8. 前記多孔質膜における、前記第1流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面に対する液体燃料の接触角が60度以下である請求項7に記載の燃料電池。
  9. 前記多孔質膜における親水化処理には、UVオゾン法を用いた請求項7または8に記載の燃料電池。
  10. 前記多孔質膜における、前記第2流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面が撥水性である請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池。
  11. 前記多孔質膜の内、前記第2流路に接する表層領域および内部の微細孔の表面に対する液体燃料の接触角が120度以上である請求項10に記載の燃料電池。
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