JP2002056856A - 液体燃料を用いる燃料電池 - Google Patents
液体燃料を用いる燃料電池Info
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Abstract
た性能が得られる、液体直接供給型の燃料電池を提供す
ること。 【解決手段】 液体燃料は、固体高分子電解質膜1と燃
料極2Aの触媒層との界面部分において形成された溝8
Aに沿って触媒層22に接触した状態で流れながら触媒
層22に供給される(矢印YME)。そして、燃料極2A
で発生した二酸化炭素などのガスは、溝8Aを流れる液
体燃料中に速やかに拡散するとともにその流束によって
電池外部に排出される(矢印YCO2)。このため、液体
燃料は、二酸化炭素による気泡によってその拡散が妨げ
られることがなく、燃料極2Aに速やかに且つ均一的に
拡散される。
Description
液体直接供給型の燃料電池に関し、特に、液体燃料を供
給する構造に関する。
酸化剤ガスをセル内で電気化学的に反応させ電力を発生
させるようにしたものである。燃料電池は使用される電
解質の種類によって数種類に分類される。このうち、電
解質に固体分子膜を用いるタイプは固体高分子型燃料電
池(PEFC)と呼ばれ、100℃以下でも作動させる
ことができるため扱いが容易である。このPEFCの燃
料としてメタノールなどの液体燃料を選択した場合、水
素などに比べ燃料の容積あたりのエネルギーが高いの
で、自動車などの移動体用途、携帯機器の電源用途など
での使用に適している。特に、液体供給型の直接型メタ
ノール燃料電池(DMFC)は、燃料であるメタノール
を改質することなく直接負極に供給するもので、炭化水
素の改質器を使用している燃料電池と比較して、システ
ム全体を小型、軽量化できる利点がある。
Pont社の登録商標)に代表される水素イオン導伝
性を有する固体高分子電解質膜の両主表面側を、触媒部
を取り付けた2つの多孔性電極で挟んだ構造を持つ。そ
して、作動時には、負極(いわゆる燃料極)にメタノー
ルが直接供給され、正極(いわゆる空気極)には酸素又
は空気が供給される。これにより、負極では、メタノー
ルと水とが反応して二酸化炭素と水素イオンを生じ、正
極では、酸素と水素イオンとが反応して水が生成する。
この全反応は、つまり、メタノールと酸素とから水と二
酸化炭素が生成する反応である。燃料となるメタノール
は循環させて用いるのが一般的で、未反応のメタノール
は燃料電池本体外部で回収され、メタノールの濃度を再
調製したのち、再び燃料電池本体に供給される。
成の一例を図5に模式的に図示した断面図である。この
図に示すように、固体高分子電解質膜1と燃料極2及び
空気極3とからなる電極接合体が、燃料又は空気を供給
するための流路を設けたセパレータ4(燃料極2との接
触部は省略)及びセパレータ5、並びにシール/固定用
のパッキン7を備えたセル枠体60、61で固定されて
単位セルが構成される。このセル枠体60、61には後
述されるセパレータ4、5に通ずる、反応/生成物を供
給/排出するための通路が備わっている。セパレータ4
及びセパレータ5には、燃料又は空気を流すための流路
8、5Aが設けられており、また、燃料極2及び空気極
3に接触して集電を行なう役割も有している。燃料は導
入路9から電池に導入され負極側のセパレータ4に形成
された流路8を通じ、未反応分の二酸化炭素排ガスは排
出路10から電池外に排出される。
す。この図6に示すように、電極接合体は、固体高分子
電解質膜1がその両主表面にそれぞれ配置された燃料極
2及び空気極3で挟み込まれた状態になっており、通
常、ホットプレスなどの融着手段を用いて一体化されて
いる。燃料極2及び空気極3は、電極基板上に電極触媒
作用を持つ触媒層を備えたものが一般的である。この電
極基板は燃料又は酸化剤ガス及び水蒸気、二酸化炭素排
ガスの通路となっており、かつ集電の機能も有していな
ければならず、一般的にカーボンペーパのような導電性
の多孔質体に撥水性物質を添加したものが知られる。触
媒層は多くの場合に白金微粒子を含む触媒と撥水性物質
から構成され、触媒を混合してペースト或いはインク状
にしたのち、電極基板の片面(固体高分子電解質膜1と
接触する面)上に担持される。
では電極反応によって発生する二酸化炭素が蓄積するた
め、多孔質の電極基板を介して、セパレータ側に速やか
に拡散させなければならない。しかし、セパレータ側で
は液体状の燃料が循環されており、電極基板を介して触
媒層側に燃料が供給されるため、電極基板の多孔部は液
体の燃料が浸透しており、負極で生成した二酸化炭素が
電極基板の多孔部や触媒層に気泡となって滞留しやす
く、散逸しにくい。生成二酸化炭素が気泡となって滞留
すると、滞留した部分では燃料の供給がスムーズに行わ
れず、有効な電極面積が減少し、性能の低下をもたら
す。この生成二酸化炭素が電極内から排出されれば性能
は回復するが、滞留と排出が不定期に繰返されるため、
安定な性能が得られにくい。
て電池内で燃料を気化させたり、液体燃料を蒸発させて
供給する方法があるが、生成二酸化炭素は拡散しやすく
なるものの、液体燃料を蒸発させるための装置と熱量が
別途必要となり、システム全体の効率の低下と大型化を
招くため、携帯機器用などへの適用が難しくなる。以上
のことはDMFCに限らず、液体の状態で燃料を供給し
て電池反応によりガス発生を伴うタイプの燃料電池(大
概の有機燃料は負極で酸化され二酸化炭素を生じる)に
も同様に当てはまる。従って、液体の状態で燃料を供給
する燃料電池を効率的に発電させるには、触媒層で発生
する排ガスを速やかに拡散させることが重要となる。本
発明は、このような課題に鑑みてなされたものであっ
て、ガス発生が起こる液体燃料を用いても安定した性能
が得られる、液体直接供給型の燃料電池を提供すること
を目的とする。
に、本発明は、電解質に触媒部を備えた燃料極及び酸化
剤極を配してなるセルを有した燃料電池であって、電解
質と燃料極の触媒部の境界部分において、電解質又は触
媒部表面に液体燃料供給用の流路溝が形成されているこ
とを特徴とする。
孔性の電極基板を経由させることなく、液体燃料は流路
から直接的に燃料極の触媒層略全体に供給されることに
なるので、触媒層で発生したガスが速やかに触媒層から
液流に拡散移動し、系外に排出される。しかも、電池温
度を高温にして電池内で燃料を気化させたり、液体燃料
を蒸発させて供給するなど、システム全体の効率の低下
と大型化を招くこともない。
性の電極基板(燃料拡散板)を取り除いて、触媒層を流
路側に露出させて当該触媒層に液体燃料を接触させるよ
うにして供給することでも、本発明のように触媒層で発
生したガスを速やかに拡散させ、かつ、系外に排出させ
ることはできると思われるが、この場合には集電性が低
下し期待するほどの性能の向上は望めない。その点、本
発明は、電極基板背面に燃料を流さないので、集電機能
を低下させることなくガス拡散・排出性の向上を図るこ
とができる。
ガス発生を伴う成分を含むものが一般的であり、また、
その場合に本発明の意義がある。液体燃料からの反応生
成物がいくつか存在する場合(例えば、二酸化炭素に到
る中間生成物としてぎ酸がある)でも、電極反応によっ
てガス成分を生じる液体燃料であれば本発明は有効であ
る。
することが望ましい。上記のように電解質又は触媒部表
面に液体燃料供給用の流路溝を設けると、溝が形成され
た部分では、触媒部と固体高分子膜とは接触していない
ので、そのぶん両者間の水素イオン導伝性は若干低下す
ることになるが、溶液を酸性とすることでこれを補うこ
とができる。
は、当該溝形状を保持するための中空構造の支持体を設
けることができる。電解質の組成などによって程度は異
なるが、電解質に固体高分子電解質膜を用いたときに
は、その膜組成によっては、水やメタノールによって膨
潤する性質を持つ場合がある。従って、溝形状を維持す
るための支持体を設けることにより、膨潤した電解質が
流路溝を塞ぐことがないようにすることができる。
態のDMFCについて図面を参照しながら具体的に説明
する。 <DMFCの概略>図1は、本実施の形態にかかるDMF
C1の構成を示す断面図である。
のDMFC(図5)と基本構成は同様であるが、燃料極
2Aの固体高分子電解質膜側の表面に燃料を供給するた
めの溝8Aが設けられていることと、燃料極側セパレー
タ4Aには燃料が流れる溝がなく集電ためにのみ用いら
れることが異なる。導入路9、排出路10の端は燃料極
2Aに設けられた溝8Aと連結しており、ポンプ等の装
置をセル外部に接続して、液体を導入・排出できる。但
し、燃料極の固体高分子膜側に溝8Aを設けているた
め、固体高分子電解質膜1との接触面積が少なく、水素
イオン導伝性は若干低下する。電流密度が小さければ特
に問題はないが、供給する液体に酸性の溶液を用いれ
ば、水素イオンの伝達能力を補うことができる。その際
には導入路9、排出路10は内壁にフッ素系樹脂など耐
酸性のものを用いることが望ましい。
(図(a))及び水平断面図(図(b);図(a)のx
-x線を含む水平断面図)を示した。この図に示すよう
に、燃料極2Aは、燃料の流路となるストライプ状の複
数本の溝8A1を片面に設けた電極基材21の溝形成表
面に触媒層22を備えたもので、触媒層22表面で溝8
A1に対応した箇所に複数本の前記溝8A(図中では、
溝の数が4本しかないがこの数は任意であり、もっと数
は多くても構わない)がストライプ状に形成されてい
る。
パレータ5に形成された溝5Aに空気が供給されること
で、上記したような、メタノールと酸素とから発電が行
なわれ、水と二酸化炭素が生成する。なお、上記説明で
は単セルの構造を示しただけであるが、出力要求に応じ
てこれらを複数個組み合わせて用いることもできる。
おいて、液体燃料は、固体高分子電解質膜1と燃料極2
Aの触媒層との界面部分において形成された溝8Aに沿
って触媒層22に接触した状態で流れながら触媒層22
に供給される(図2中矢印YME)。そして、燃料極2A
で発生した二酸化炭素は、従来のように、多孔性の電極
基板を経由させて触媒層に液体燃料を供給する場合のよ
うな、燃料供給する多数の孔の封鎖による二酸化炭素が
気泡となって触媒層内や電極基板の孔内部や触媒層と電
極基板との界面部に滞留するという現象が生じず、溝8
Aを流れる液体燃料中に速やかに拡散移動するとともに
その流束によって電池外部に排出される(図2中矢印Y
CO2)。このため、液体燃料は、二酸化炭素による気泡
によってその拡散が妨げられることがなく、燃料極2A
に速やかに且つ均一的に拡散される。
面積の減少が起こらず、効率良く発電が行なわれる。な
お、以上のように液体燃料は、溝8Aから直接触媒層2
2に拡散され、二酸化炭素も溝8Aを流れる液体燃料の
流束により排出されるので、電極基板21は、従来のも
のと異なり、ガス透過性を備えていなくても良い。従っ
て、燃料極2Aは、従来のリブ付きセパレータ板のリブ
のある表面に触媒層を設けたものと等しい構成とするこ
ともできる。この場合には燃料電池の構成部材数を減少
させることができる。
や、用いる固体高分子電解質膜の組成によっては、固体
高分子電解質膜が膨潤し、液体燃料の供給溝を塞ぐ可能
性があるので、液体燃料の流路が確実に確保されるよう
に、例えば、壁面に多数の小孔が形成されたテフロン
(登録商標)管などを燃料流路をなす溝8A内にこれに
沿うように配置しておくこともできる。
成し、その溝に液体燃料を流すと、リブの頂部に位置す
る触媒層には液体燃料が供給されず有効な電極反応面積
が低下するのではないかと思われるが、溝に対応する触
媒層には直接的に液体燃料が供給され、また、溝と対応
しない部分のリブの頂部に位置する触媒層にも、電解質
への液体燃料の浸透作用によって、電解質を経由して触
媒層に供給されることから、触媒層全体として均一的な
反応が行われ有効な電極反応面積は低下することがな
い。特に、電解質に水素イオン導伝性を有する固体高分
子膜を用い、液体燃料にメタノールなどのアルコール系
の液体を用いた場合に浸透作用は強いものがある。
め形成された電極基板と、この上に形成された触媒層と
からなるものであったが、これに限られず、多孔質の平
板の電極基板に触媒層を浸透させ、基板中に充分な量の
触媒層を残す程度に、基板表面にリブを切削等により形
成したものであっても構わない。 <変形例>液体燃料を供給する経路は、上記のように燃料
極2Aの触媒層22と固体高分子電解質膜1との界面部
分に形成された溝8Aから供給したが、これに限られず
以下のような態様も考えられる。
例を示す。この図に示すように、燃料極の触媒層の表面
に溝8Aを設けるのではなく、燃料極2Aは、従来の平
板状のものとし、固体高分子電解質膜1の表面に溝1A
を例えばストライプ状に形成することによっても、液体
燃料の流路8Aを形成することもできる。そして、この
電極基板21と触媒層22との間に形成された溝8Aに
液体燃料を流すと、上記同様に液体燃料の拡散・二酸化
炭素の拡散の作用効果を奏する。
素の材料等を具体的に規定したDMFCを作製した。そ
の具体的な内容は以下のとおりである。まず、電極基板
21として、幅2mm、深さ2mmの溝を2mm間隔と
なるように成形した、5cm角のカーボン製の緻密なセ
パレータ(電極基体)を作製した。これに白金とルテニ
ウムの原子比1:1からなる合金を担持した炭素粉末と
固体高分子電解質のアルコール分散液と、バインダとな
るポリテトラフルオロエチレン溶液からなる触媒スラリ
ーを、セパレータの凸面側全面(溝部を含む)にに塗布
し、乾燥させ、ホットプレスし、燃料極2を作製した。
空気極3は、撥水処理済みのカーボンペーパの表面に、
白金を担持した炭素粉末と固体高分子電解質とバインダ
とからなるポリテトラフルオロエチレンからなる触媒ス
ラリーを塗布し、80℃で1時間乾燥して作製された。
ここで、燃料極の白金量は約1.2mg/cm2、空気
極の白金量は約0.8mg/cm2となるようにした。
これらを固体高分子電解質膜であるナフィオン117膜
に対して、電極の触媒を取り付けた面がナフィオン側に
なるようにして挟み、140℃、2分間ホットプレスし
て接合して膜電極接合体が出来上る。これを燃料極側の
セパレータ4A、空気極側のセパレータ5、及びパッキ
ン7を備えたセル枠体60A、61(図1参照)及びリ
ード(不図示)と組み合せ、図1に示すDMFC単セル
が作製される。
電極基体にカーボンペーパを用い、触媒層をカーボンペ
ーパ上に形成し、燃料極側セパレータに燃料を流すため
の溝が設けられていること以外は実施例と同様に図5に
示した従来のDMFCを作製した。これを上記実施例に
対する比較例とする。
電池温度を70℃として、空気極に空気を1L/minで
供給し、実施例には1mol/Lメタノール+硝酸0.
1mol/Lの水溶液を、比較例には、1mol/Lメ
タノール水溶液をそれぞれ20mL/min供給し、D
MFCの特性を測定した。図4にI−V特性図を示す。
が優れることが分る。これは、燃料極側触媒層が液体燃
料の液流に接触していることで、触媒層に発生したした
ガスが速やかに触媒層から液流に拡散移動し排出される
ため、排ガスの滞留による電極面積の現象が起こらない
ことによるものである。なお、当該実施形態の欄の中で
述べた本発明は、DMFCだけではなく、ジメチルエー
テル、ホルマリンなどのその他の液体燃料を用いた燃料
電池にも適用することができ、特に反応に伴いガスを発
生するタイプの液体燃料を用いる場合に有効である。
解質に触媒部を備えた燃料極及び酸化剤極を配してなる
セルを有した燃料電池であって、電解質と燃料極の触媒
部の境界部分において、電解質又は触媒部表面に液体燃
料供給用の流路溝が形成されていることを特徴とする。
これにより、従来のように、燃料極側の多孔性の電極基
板を経由させることなく、液体燃料は流路から直接的に
燃料極の触媒層略全体に供給されるようになるので、触
媒層で発生したガスが速やかに触媒層から液流に拡散移
動し、系外に排出される。しかも、電池温度を高温にし
て電池内で燃料を気化させたり、液体燃料を蒸発させて
供給するなど、システム全体の効率の低下と大型化を招
くこともない。
図である。
る。(a)は、分解斜視図である。(b)は、図(a)に
おけるx−x線を含む水平断面図である。
水平断面図である。
性を示した特性図である。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 電解質に触媒部を備えた燃料極及び酸化
剤極を配してなるセルを有した燃料電池であって、 電解質と燃料極の触媒部の境界部分において、電解質又
は触媒部表面に液体燃料供給用の流路溝が形成されてい
ることを特徴とする燃料電池。 - 【請求項2】 前記液体燃料は電極反応によってガス発
生を伴う成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の
燃料電池。 - 【請求項3】 前記液体燃料を含む溶液は酸性であるこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。 - 【請求項4】 前記液体燃料供給用の流路溝には、当該
溝形状を保持するための中空構造の支持体が設けられて
いることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の
燃料電池。
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JP2000244958A JP2002056856A (ja) | 2000-08-11 | 2000-08-11 | 液体燃料を用いる燃料電池 |
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