JP2005108550A - 固体高分子型燃料電池用触媒膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用触媒膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒の利用効率を改善し、従来になく触媒の利用効率が向上した固体高分子型燃料電池用触媒膜を提供する。
【解決手段】 多孔質樹脂層と、イオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒膜である。このような固体高分子型燃料電池用触媒膜によれば、発電寿命の長い固体高分子型燃料電池を構成することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用の多孔質触媒膜及びその製造方法、更に該触媒膜を用いた固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤とを連続的に供給し、これらが反応したときの化学エネルギーを電力として取り出す発電システムである。燃料電池は、これに用いる電解質の種類によって、動作温度が比較的低いアルカリ型、リン酸型、固体高分子型と、高温で動作する溶融炭酸塩型、固体酸化物電解質型とに大別される。
これらの中で、固体高分子型燃料電池は、一般に、固体高分子電解質として作用する隔膜の両面に、触媒が担持されたガス拡散電極を接合した単セルを有し、一方のガス拡散電極が存在する側の室(燃料室)に燃料である水素を、他方のガス拡散電極が存在する側の室(酸化剤室)に酸化剤である酸素や空気等の酸素含有ガスをそれぞれ供給し、両ガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより、燃料電池として作用される。また、該固体高分子型燃料電池に用いられる燃料は水素の他、メタノールやエタノールなどのアルコールを直接燃料として用いる場合もある。
固体高分子型燃料電池を構成する単セルの基本構造は、イオン伝導性のある電解質膜の両面に触媒層を配し、更にその外側の両面にガス拡散電極を配して単セルと成し、更にその外側の両面にセパレータを配するのが一般的である。
燃料極側のセパレータにおけるガス流路を通ってガス拡散電極面に導かれた水素は、ガス拡散電極にて均一に拡散され、燃料極側の触媒層に導かれ、白金などの触媒によって、水素は水素イオンと電荷に分離され、水素イオンは電解質膜を通って、電解質を挟んで反対側の酸素極における触媒層に導かれる。
一方、燃料極側にて発生した電荷は、負荷を有する回路を通って、酸素極側のガス拡散電極に導かれ、更には酸素極側の触媒層に導かれる。これと同時に、酸素極側のセパレータから導かれた酸素は、酸素極側のガス拡散電極を通って、酸素極側の触媒層に到達した上記の電荷及び水素イオンの存在下、水を生成し発電サイクルを完結する。
このような燃料電池サイクルにおいて、燃料極側及び酸素極側ともに、いずれの触媒層とも、電荷及びイオンの分離、結合といった電気化学的な反応を行いつつ、生成水の排水あるいは保水といった物理的な特性をも兼ね備える必要があり、燃料電池単セル構造中において、極めて重要な機能を有する部分となっている。
現状の技術においては、触媒を分散したスラリーを電解質層の両面に塗工しMEA(膜・電極アセンブリー)として取り扱うことが一般的である。該方法は、電解質膜の表裏に燃料極及び酸素極用の触媒を設けており、単セルを効率的に組み立てることが可能などの利点を有するものの、電解質膜の両面に触媒または触媒を担持した炭素粒子を分散した塗液を塗工する場合、スラリー中の溶媒を乾燥除去する際に、電解質膜にシワが発生しやすく、それ故に平滑な触媒層を形成することが困難である(例えば、特許文献1参照。)。
そこで、塗液をガス拡散電極上に塗工する方法も考えられている(例えば、特許文献2参照)。ここで、塗液は、通常、触媒担持カーボン、イオン伝導性樹脂(例えば、デュポン社製の商品名「ナフィオン」)及び溶媒からなり、イオン伝導性樹脂を触媒粒子の結着剤として用いるのが一般的である。
特開平5−29005号公報 特開平7−130376号公報
しかし、多孔質体であるガス拡散電極上に塗液を塗工する場合、多孔質体である電極に触媒粒子が浸入しやすく、均一な触媒層を得ることが難しい。また、かかる塗工による触媒層においては、触媒自体が、塗液の結着剤である樹脂中に埋没しやすいなどの原因で、電気化学的に有効であるいわゆる三相界面が効率よく配置できず、触媒層内部における触媒の配置が必ずしも最適化されていなかったことから、触媒を多量に使用する必要が生ずる。更には、メタノールやエタノール等を直接燃料として用いる固体高分子型燃料電池においては、触媒による燃料からの水素イオンの分離効率が悪いために、より多くの触媒量が必要となる。このため、水素のイオン化を効率的に行える触媒層の設計が望まれている。
さらに、上記のような、触媒担持カーボンとイオン伝導性樹脂からなる塗液を用いると、触媒を担持するカーボン自体が長期使用において親水性が次第に強くなることと、イオン伝導性樹脂で結着された触媒担持カーボンが多孔質構造をとるものの、その孔径が1μ以下と小さいことから、生成水や供給水が凝縮して孔が閉塞することで、発電効率の低下をきたす問題があった。また、触媒粒子の電解質膜やガス拡散電極への固定化が困難であり、単セルを組みあげるまでの工程において、触媒粒子が脱落するなどの不具合を生じる場合があった。
また、イオン伝導性樹脂をバインダーとする触媒層では、該イオン伝導性樹脂が個々の触媒担持カーボン粒子を結着しても、該イオン伝導性樹脂の触媒担持カーボンあるいは、周辺部材である電解質膜やガス拡散電極との接着性が不十分であるため、セルのアセンブリング工程までのハンドリング性に問題があった。
更には、耐熱性が低いために作動温度が上げられない等の問題を生じる場合がある他、従来用いられているイオン伝導性樹脂は、親水性であるために、燃料電池として作動させた場合に、膨潤して触媒粒子を保持しきれない場合があった。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、触媒の利用効率を改善し、従来になく触媒の利用効率が向上した固体高分子型燃料電池用触媒膜を提供することを目的とする。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜は、多孔質樹脂層と、イオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有することを特徴とする。
前記多孔質樹脂層は電極側面と電解質側面とを有し、前記イオン伝導性樹脂層が該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って前記電極側面から電解質側面へ連続していることが好ましい。
ここで、多孔質樹脂層は、フッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を含むことが好ましい。
さらに、前記フッ素系樹脂は、フッ化ビニリデン系樹脂を含むことが好ましい。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜の第一の製造方法は、多孔質樹脂層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程と、前記樹脂スラリーに、前記樹脂を溶解せず前記良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を添加する第1−1工程と、前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有することを特徴とする。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜の第二の製造方法は、多孔質樹脂層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程と、前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、前記塗工フィルムを、前記樹脂を溶解しない貧溶媒に含浸する第3−1工程と、前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有することを特徴とする。
本発明の固体高分子型燃料電池は、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜を備えることを特徴とする。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜によれば、触媒膜における触媒及びイオン伝導性樹脂の配置が最適化されているので、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、したがって発電寿命の長い燃料電池を提供することができる。
ここで、多孔質樹脂層においてフッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を用いると、さらに燃料電池の作動時における酸性雰囲気に強く、耐熱性が高く、電気化学的にも安定な触媒膜を提供することができる。
さらに、前記フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いると、燃料流体の供給性および生成水の排出においてさらに高い性能を有し、触媒粒子や周辺部材(ガス拡散電極や電解質膜)との密着性が良好であり集電性にさらに優れた触媒膜を提供することができる。
本発明の、固体高分子型燃料電池用触媒膜の第一の製造方法によれば、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、発電寿命が長い燃料電池を実現するような固体高分子型燃料電池用触媒膜を提供することができる。
本発明の、固体高分子型燃料電池用触媒膜の第二の製造方法によれば、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、発電寿命が長い燃料電池を実現するような固体高分子型燃料電池用触媒膜を提供することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池は、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、発電寿命が長い。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
<固体高分子型燃料電池用触媒膜>
図1に、本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜(以下、「触媒膜」と称する)の例を示す。
図1に示す触媒膜10は、電極側面12と電解質側面14とを有する多孔質樹脂層16と、該多孔質樹脂層16の孔内壁17に沿って電極側面12から電解質側面14へ連続し、イオン伝導性樹脂層18と、該イオン伝導性樹脂層18の表面に保持された触媒粒子20とを有する。
なお、電極側面12とは、電解質層の外側に本発明の触媒膜を設け、その外側に電極を設けて固体高分子型燃料電池を構成した場合に、該電極と接する面である。電解質側面14とは、同様に固体高分子型燃料電池を構成した場合に、電解質層と接する面である。
多孔質樹脂層16とは、多孔質を形成し得る樹脂、例えば、フッ化ビニリデン系樹脂からなり、本発明の触媒膜を適用した燃料電池の使用条件下において、その多孔質を維持できるものであればよい。なお、ここでいう多孔質とは、電極側面12から電解質側面14へ貫通した孔が複数形成されていることをいう。
多孔質樹脂層16は、燃料電池の作動時における酸性雰囲気に強く、また耐熱性が高いものが好ましく、更には、電気化学的にも安定であるものが好ましいことから、フッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を含むことが好ましい。
前記フッ素系樹脂としては、溶媒可溶性のフッ素系樹脂化合物であればいずれも好適に用いられ、例えば、デュポン社製 商品名:テフロン(登録商標)AF等が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、例えばデュポン社製の商品名:ナフィオン等が挙げられ、ポリイミド系樹脂としては含フッ素ポリイミド樹脂等が挙げられる。アクリル系樹脂としては、旭化成社製の商品名:デルペット等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、JSR社製の商品名:DYNARON等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、東洋紡績社製の商品名:ペルプレン等が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、住友化学社製の商品名:スミエポキシ等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、日本ポリオレフィン社製の商品名:アドックス等が挙げられる。シクロオレフィン系樹脂としては、日本ゼオン社製の商品名:ZERONEX等が挙げられる。
フッ素系樹脂のうち、フッ化ビニリデン系樹脂が特に好適に用いられる。ここで、フッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデン単位を有するホモポリマー(重合体)またはコポリマー(共重合体)をいう。
フッ化ビニリデン系樹脂を用いると、耐熱性に優れ、電気化学的に安定で耐酸性が極めて優れているため、燃料電池内部に置かれても、長期安定性において優れている。しかも比較的安価であることから、本発明では特に好適に用いることが可能である。
また、フッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質樹脂層16はゴム性状を有し弾力性に富むことから、触媒膜と隣接するガス拡散電極との電気的な接続性や、電解質膜表面との密着性に優れる触媒膜を提供することができる。
さらに、フッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質樹脂層16は適度に疎水性を示すので、触媒膜が燃料電池の酸素極用触媒膜として用いられた場合に、排出水の通過が良好であり、水による多孔質樹脂層の孔の閉塞を防ぐことができる。
このような触媒膜を用いて構成された固体高分子型燃料電池は、電池寿命がさらに改善される。
フッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデン単独からなるホモポリマー(ポリフッ化ビニリデン)の他、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、エチレンからなる群より選ばれる1種類以上とフッ化ビニリデンとからなるコポリマーを使用してもよく、3元以上の共重合体であっても構わない。また、これらを単独で、または混合して使用することも可能である。
フッ化ビニリデン系樹脂の中でも、ポリフッ化ビニリデンは耐熱性が高く、機械的強度が良好であるため特に好ましい。
上記のようなフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンを含むモノマーの付加重合反応により得られ、その重合方法としては、公知の技術を用いることができる。すなわちラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、光・放射線重合などにより得ることができる。
多孔質樹脂層16は、質量平均分子量が10万〜120万の樹脂からなることが好ましい。質量平均分子量が10万未満の場合は、多孔性樹脂の強度が低くなる場合がある。一方、120万を超すと、溶媒への溶解性が劣ることから、塗料化が困難となったり、塗料の粘度ムラが生じて最終的な触媒膜の厚さ精度が低下し、触媒膜と電解質膜およびガス拡散電極との密着性が不均一となったりする場合がある。
なお、ここでいう質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)測定法により求めることができる。樹脂の溶解する溶媒、例えばフッ化ビニリデン系樹脂であれば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶解させ試料とし、分子量既知の標準ポリスチレン混合溶液を標準試料として用いて較正曲線を作成した後、前記試料を測定し、ポリスチレンに対する相対分子量(ポリスチレン換算分子量)により求めることができる。
多孔質樹脂層16における孔径は、1μm以上であると、本発明の触媒膜を用いて固体高分子型燃料電池を構成した場合に、水素ガス等の燃料流体あるいは水蒸気等の排出ガスを透過させる透過性が高く、したがって、燃料ガスの供給効率あるいは排出ガスの排出効率が高いために好ましい。
さらに、この孔径を5μmよりも大きくすると、燃料流体の触媒膜への供給効率をさらに高くすることができる。
例えば、フッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質樹脂層16を用いれば、多孔質の孔径が1〜3μmであることにより、燃料ガスの供給効率あるいは排出ガスの排出効率の高い触媒膜を提供することができる。
多孔質樹脂層16は、従来ガス拡散電極などに用いられているポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の他、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、パーフロロ環状重合体、ポリビニルフルオライド等の1種以上をさらに含有してもよい。
図1に示すように、この例の触媒膜10における多孔質樹脂層16は、電極側面12と電解質側面14とを有する。この例の触媒膜10を用いて燃料電池を構成する場合は、例えば、燃料極と、この例の触媒膜10と、電解質膜と、この例の触媒膜10と、酸素極とを、これらの順に積層することで構成することができる。このとき、この例の触媒膜10は、電極側面12が燃料電極または酸素極に接し、電解質側面14が電解質層に接するように設置される。
触媒膜10において、イオン伝導性樹脂層18は、多孔質樹脂層16の孔内壁17に沿って電極側面12から電解質側面14へ連続している。
イオン伝導性樹脂層18は、イオン伝導性樹脂からなる。イオン伝導性樹脂としては、プロトン(水素イオン)交換基を有するものが用いられる。プロトン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、などが好適に用いられる。中でも、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖から構成されるプロトン交換基を有する樹脂、例えば、デュポン社製 商品名:ナフィオン等がより好ましく用いられる。
触媒膜10において、触媒粒子20は、イオン伝導性樹脂層18の表面に保持されている。
触媒粒子20は、触媒のみからなる粒子であってもよく、触媒を担持した炭素材料であってもよいが、触媒を担持した炭素材料を用いると、触媒をさらに高い効率で利用できるため好ましい。
触媒としては、例えば、白金触媒や、白金とルテニウムからなる合金触媒等を主に用いることができる。触媒膜10を用いて燃料電池を構成するときに、触媒膜10を燃料電池の燃料極と電解質層との間に設ける場合には、水素イオンを生成できる触媒であれば、いずれも好適に用いることが可能である。触媒膜10を燃料電池の酸素極と電解質層との間に設ける場合には、酸素イオンを生成できる触媒であれば、いずれも好適に用いることが可能である。
水素イオンを生成できる触媒としては、例えば、白金とルテニウムからなる合金触媒等が挙げられる。
酸素イオンを生成できる触媒としては、例えば、白金触媒等が挙げられる。
触媒粒子20として、触媒を担持した炭素材料を用いる場合、触媒を担持する炭素材料としては、主として炭素原子からなり導電性を有する無機材料であって、酸化雰囲気に耐性があるものであれば、いずれも利用することが可能である。
例えば、「ファーネスブラック」や「チャネルブラック」等に代表されるいわゆるカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、比表面積や粒子径の大きさによらずいずれのグレードのものも使用可能であるが、比表面積が大きく、かつ二次凝集粒子の大きさが比較的大きい高ストラクチャーのものが、性能と生産性の両立から好適に利用できる。例えば、ライオンアクゾ社製 商品名:「ケッチンEC」やキャボット社製 商品名:「VulcanXC72R」は、導電性グレードのカーボンブラックの中でも、塗液での高分散性と触媒膜に用いた場合の抵抗の低さから特に好適に用いられる。
また、カーボンブラック以外では、アセチレンブラック、黒鉛のほか、カーボン繊維、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、フラーレンなども、カーボンブラックと同様に好適に用いられる。
触媒膜10における触媒粒子20の含有量は、イオン伝導性樹脂層を成すイオン伝導性樹脂10質量部に対し1〜30質量部が好ましい。1質量部より少ないと、得られる触媒膜の抵抗率が高すぎて良好な集電効果が得られない。一方、30質量部より多いと、樹脂又はイオン伝導性樹脂の量に対して触媒粒子が過多となる場合があり、多孔質樹脂層およびイオン伝導樹脂層への触媒粒子の固着が不十分である他、多孔質孔における燃料の流入や生成水の排出が困難となる場合がある。
イオン伝導性樹脂の含有量は、特に限定されないが、良好にイオンを伝導させるために、多孔質樹脂層を成す樹脂10質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
なお、本発明の触媒膜においては、図1に示すように、イオン伝導性樹脂層18の内部に埋没した触媒粒子がさらに存在してもよいし、多孔質樹脂層16の内部に埋没した触媒粒子が存在していても、本発明の効果は阻害されない。
また、本発明の触媒膜においては、イオン伝導性樹脂層が、電極側面12から電解質側面14へ連続していない部位が存在してもよく、多孔質樹脂層16の孔をイオン伝導性樹脂が塞いでいる部位が一部に存在しても構わない。
このような多孔質の触媒膜の構造を測る尺度としては空隙率、透気度、密度がある。
本発明の触媒膜の空隙率は10〜90%の範囲内が好適であり、より好適には50〜90%であり、さらに好適には70〜90%である。10%未満では、本発明の触媒膜を燃料電池の燃料極側に適用した場合には、触媒膜の孔に流入する燃料流体量が少なくなり、燃料電池の酸素極側に適用した場合には、水蒸気の透過流路が狭まる等の問題が生ずる。90%を超える場合には触媒膜の機械的強度の低下が著しく、燃料電池セルに組み上げるまでの工程で破損しやすく不都合を生じる場合がある。透気度は1〜1000sec/100ml、密度は0.15〜1.3g/cmが同様の理由で好適となる。
なお、ここでいう空隙率は、(多孔質樹脂層の比重)×(触媒膜における多孔質樹脂層の質量含有率)=a、(イオン伝導性樹脂層の比重)×(触媒膜におけるイオン伝導性樹脂層の質量含有率)=b、(触媒粒子の比重)×(触媒膜における触媒粒子の質量含有率)=c、および触媒膜の密度を、下記の式に代入することにより求めることができる。
空隙率(%)=[{(a+b+c)−(触媒膜の密度)}/(a+b+c)]×100
透気度は、JIS P 8117に基くガーレー試験法により測定される。
密度は、JIS P 8118に基く「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」により測定される。
触媒膜10の厚さは、好ましくは1〜400μmであり、より好ましくは、5〜200μm、更により好ましくは10〜150μmである。1μm未満であると、触媒膜の弾性が低下するために、電解質膜やガス拡散電極との密着性が低下し好ましくない。400μmを超えると、電気的な接触抵抗が大きくなるほか、燃料流体の通過距離が長くなることで、燃料供給が滞る場合があるほか、生成水の排出効率が低下し好ましくない。
以上説明したように、触媒膜10においては、触媒粒子20が、多孔質樹脂層16の孔内壁17に沿ったイオン伝導性樹脂層18の表面に保持されていることにより、孔を流れる燃料流体である水素やアルコール系燃料と触媒粒子20とが効率よく接触するので、燃料流体が効率よくイオン化される。
さらに、触媒粒子20を保持したイオン伝導性樹脂層18が、多孔質樹脂層16の電極側面12から電解質側面14へ連続していることにより、触媒粒子20によって燃料流体から生成されたイオンが、イオン伝導性樹脂層18によって電極側面12から電解質側面14へ効率よく伝送されるので、触媒膜10は高い集電性を発現する。
したがって、触媒膜10によれば、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、発電寿命の長い燃料電池を提供することができる。
ここで、多孔質樹脂層16においてフッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を用いると、さらに燃料電池の作動時における酸性雰囲気に強く、耐熱性が高く、電気化学的にも安定な触媒膜を提供することができる。
さらに、前記フッ素系樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いると、燃料流体の供給性および生成水の排出においてさらに高い性能を有し、触媒粒子や周辺部材(ガス拡散電極や電解質膜)との密着性が良好であり集電性にさらに優れた触媒膜を提供することができる。
多孔質樹脂層の孔径は、1μm以上であることが好ましい。さらに、孔径が5μm以上と大きい場合、すなわち触媒膜が高空隙率である場合には、流体抵抗がきわめて小さくなり、燃料や生成水の透過が容易であり、高出力を継続的に得るための燃料電池においては特に好適に利用することが可能である。このような触媒膜によれば、特に、アルコールなどの液系燃料から水素イオンを取り出す際に、従来は非常に多く使用しなければいけなかった高価な触媒の量を、非常に少なくすることが可能となる。
例えば、多孔質樹脂層において、フッ化ビニリデン系樹脂からなるフッ素系樹脂を用いると、孔径が1μm〜3μmの多孔質樹脂層を容易に得ることができる。
また、触媒膜の厚さが100μm以上と厚い場合には、例えば燃料極であれば、触媒粒子が、燃料流体が流れる方向に均等に、しかも長い多孔質内の経路で均等に、かつ燃料流体と直接接するように存在するので、触媒の利用効率を更に向上することが可能となる。
<固体高分子型燃料電池用触媒膜の製造方法−1>
本発明の、固体高分子型燃料電池用触媒膜の第一の製造方法(以下、「第一の製造方法」という)は、多孔質層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解して樹脂スラリーと成す第1工程と、前記樹脂スラリーに、前記樹脂を溶解せず前記良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を添加する第1−1工程と、前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有する。
第一の製造方法においては、樹脂に多孔質を形成させる手法として、乾燥法を採用している。
まず、多孔質層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程を行う。
前記樹脂としては、良溶媒に溶解された後に後述の貧溶媒を添加されることで多孔質をなすものであればよい。
上記のような樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を含むと、触媒膜が燃料電池の作動時における酸性雰囲気に強く、また耐熱性が高く、更には、電気化学的にも安定となることから好ましい。
これらの中でも、フッ素系樹脂として、フッ化ビニリデン系樹脂を用いると、得られる樹脂スラリーに、後述のように触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加した場合に、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を、フッ化ビニリデン樹脂が形成する多孔質樹脂層の系外に露出させやすいことからさらに好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂としては、上記と同様のものを例示することができる。
前記樹脂の質量平均分子量は、上記と同様に10万〜120万であることが好ましい。
本発明において、良溶媒とは前記樹脂を溶解する溶媒のことを言い、貧溶媒とは前記樹脂が実質溶解しない溶媒を言う。
例えば、前記樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いる場合、良溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホン系、2−ブタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系、テトラヒドロフランなどのエーテル系などが例示でき、これらのうち2種類以上を混合して用いることもできる。
前記第一工程において、樹脂を良溶媒に溶解させる方法としては、市販の攪拌機を使用して良い。ここで、良溶媒として、室温で容易に樹脂を溶解する溶媒を用い、室温で樹脂を溶解させることが好ましいが、必要に応じて加熱しても良い。
前記樹脂スラリーの濃度は、得るべき特性、例えば機械強度、塗工のしやすさ等を考慮に入れ適宜変更することができ、例えば薄膜を得たい場合は低濃度で、厚膜を得たい場合は高濃度で調製することができる。
ついで、前記樹脂スラリーに、前記樹脂を溶解せず前記良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を添加する第1−1工程を行う。
本発明に用いられる貧溶媒は、前記良溶媒よりも沸点の高いものであり、用いる樹脂に応じて適宜選択される。貧溶媒としては2種類以上を混合して用いることもできる。
例えば、樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いる場合は、良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒として、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル系、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール系、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール等が挙げられる。
前記良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を用いることで、後述のように、樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して得られた塗液をコーティングした後、乾燥を行うと、良溶媒が貧溶媒より先に蒸発し、溶解度の低下した樹脂が析出を開始し、貧溶媒の存在体積相当の空隙率を有する多孔質を示すような多孔質樹脂層を形成することができる。
その後、前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程を行う。
触媒粒子、イオン伝導性樹脂としては、具体的には、上述の触媒粒子、イオン伝導性樹脂と同様のものを用いることができる。
第1−1工程で貧溶媒を添加された樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂をさらに添加する方法としては、触媒粒子を溶媒に分散させた分散液とイオン伝導性樹脂を溶媒に分散させた分散液を別々に調製し、これらの分散液を順不同で順に、若しくは同時に、この樹脂スラリーに添加してもよいし、予め触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を同一の溶媒に分散させて混合した混合スラリーを調製して、この混合スラリーを前記樹脂スラリーに加えてもよい。
ここで、触媒粒子あるいはイオン伝導性樹脂の分散に用いる溶媒は、前記樹脂を溶解する良溶媒と同種であることが好ましい。
分散には、市販のミキサーを用いることができ、例えば特殊機化社製の「ホモミキサー」、キーエンス社製の「ハイブリッドミキサー」等が好適に用いられる。
触媒粒子の添加量は、前記樹脂10質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、更に好ましくは8〜800質量部であり、更により好ましくは10〜500質量部であり、特に好ましくは、10〜100質量部である。1質量部より少ないと、得られる触媒膜の抵抗率が高すぎて良好な集電効果が得られない。一方、1000質量部より多いと、樹脂又はイオン伝導性樹脂の量に対して触媒粒子が過多となる場合があり、樹脂からなる多孔質樹脂層およびイオン伝導性樹脂からなるイオン伝導性樹脂層への触媒粒子の固着が不十分となる他、多孔質の孔における燃料の流入や生成水の排出が困難となる場合がある。
なお、本発明では、触媒粒子の添加量が少ない場合に、触媒を担持していないカーボンブラックや炭素繊維等の炭素材料を、触媒を担持した炭素材料と混合して用いることが、触媒膜全体の抵抗率を低く調整できるため好適な手段である。
イオン伝導性樹脂の添加量は、特に限定されないが、良好にイオンを伝導させるために、前記樹脂10質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
引き続き、前記塗液を基板上に塗工(コーティング)して塗工フィルムと成す第3工程と、前記塗工フィルムを乾燥する第4工程を行うことによって、触媒膜を得ることができる。
なお、塗工フィルムとは、前記塗液を塗工することで得られるシート状の被覆物を示す。
前記第3工程及び第4工程を行うことで、塗液に含まれる良溶媒が貧溶媒より先に蒸発し、溶解度の低下した樹脂が析出を開始し、貧溶媒の存在体積相当の空隙率を有する多孔質構造の多孔質樹脂層が形成される。
このようにして得られた触媒膜は、前記樹脂からなる多孔質樹脂層と、該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って位置し、前記イオン伝導性樹脂からなるイオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有するものとなる。
前記第3工程において用いられる基板としては、塗工フィルムを乾燥させたときに塗工フィルムから剥離できるものであればよく、例えば、PET樹脂、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド等からなるフィルムを用いることができる。このようなベースフィルムとして樹脂フィルムを用いる場合は、離型処理、易接着処理などの表面処理を施したものでもよく、塗布方法により適宜選択すれば良い。
第3工程における塗工方法は、特に限定されるものではなく、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等を用いることができる。塗工方法によってそれぞれ好適な塗液の粘度範囲が存在するが、それぞれの塗工方法にあった粘度に調整するためには、上記の良溶媒を塗液に添加し、その添加量を変えることで容易に調整が可能である。
第4工程を終えた後、塗工フィルムを基板から剥離することによって触媒膜を得ることができ、この触媒膜の任意の面をそれぞれ電極側面、電解質側面として燃料電池を構成することができる。
上記第一の製造方法によれば、多孔質樹脂層と、該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って位置し、イオン伝導性樹脂からなるイオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有する触媒膜を、塗工法で得ることができる。
第一の製造方法によれば、得られる触媒膜は、イオン伝導性樹脂および触媒粒子が、多孔質樹脂層の孔の表面に均一に露出する構造をとることにより、触媒と燃料流体との接触効率が上がるとともに、燃料流体から触媒の作用で生成したイオンが、効率よく伝送されるので、高い集電性機能を示す。
さらに、塗工法なので、膜厚を容易に制御して触媒膜を制御することができる。膜の厚さを厚くした場合、例えば燃料極であれば、燃料が流れる方向に均等にしかも長い多孔質内の経路で触媒粒子を均等にしかも燃料流体と直接接するように存在せしめることが可能であり、触媒の利用効率を更に向上することができる。
さらに、乾燥法で多孔質を形成させるので、このような触媒膜を生産性良く、安価に大型化して生産することができ、空隙率の制御がしやすいというメリットをもって得ることができる。
さらに、前記樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂を用いると、イオン伝導性樹脂および触媒粒子が、多孔質樹脂層の孔の表面に均一に露出した構造を有する触媒膜を、さらに安定して製造することができる。また、多孔質を成したときの孔径が1〜3μm程度と比較的大きいので、燃料流体の供給性においてさらに高い性能を有する触媒膜を得ることができる。
また、フッ化ビニリデン系樹脂が適度な疎水性を有するために、生成水の排出においてさらに高い性能を有し、水による孔の閉塞現象がおこらず、安定した発電特性を長期にわたって維持することを可能とする触媒膜を提供することができる。
フッ化ビニリデン系樹脂が適度な弾性を有するので、得られた触媒膜をガス拡散電極および電解質膜と組み合わせて燃料電池セルと成すときには、セル組み付けの加圧により触媒粒子どうし、触媒粒子とイオン伝導性樹脂、あるいはイオン伝導性樹脂と周辺部材との接触が良好となり、すなわち触媒膜と触媒粒子や周辺部材(ガス拡散電極や電解質膜)との密着性が良好となり、電気的な接触抵抗が低減されることで、集電性にさらに優れた触媒膜を提供することができる。さらに触媒膜と周辺部材との接触圧力が均一に保たれるので、触媒膜の面方向での押圧が均一となり、触媒の部分劣化が抑制されて、燃料電池のさらなる高寿命化が実現できる。
また、触媒粒子や周辺部材との接着性が良好であるから、イオン伝導性樹脂が個々の触媒粒子に濡れ広がっても、得られた触媒膜をガス拡散電極および電解質膜と組み合わせて燃料電池セルと成した場合に、イオン伝導性樹脂と、触媒粒子あるいは電解質膜やガス拡散電極との接着性が不十分であることによるセルのアセンブリング工程までのハンドリング性の問題を生じない。
なお、前記樹脂としてフッ化ビニリデン系樹脂のみを用いると、触媒膜の空隙率および構造を容易に制御できることから特に好ましい。
第一の製造方法において、多孔質を形成させる方法として、相分離法又は発泡法を用いることもできる。
<固体高分子型燃料電池用触媒膜の製造方法−2>
本発明の、固体高分子型燃料電池用触媒膜の第二の製造方法(以下、「第二の製造方法」という)は、多孔質樹脂層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程と、前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、前記塗工フィルムを、前記樹脂を溶解しない貧溶媒に含浸する第3−1工程と、前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有する。
第二の製造方法においては、樹脂に多孔質を形成させる手法として、抽出法を採用している。
抽出法を用いる場合は、第3工程において得られた塗工フィルムを貧溶媒中に含浸する第3−1工程を行うことで、樹脂化合物中の良溶媒が抽出されて貧溶媒と置換され、さらに乾燥する第4工程を行った後、基板から塗工フィルムを剥離することで、触媒粒子の分散した自立性のある多孔質の触媒膜を得ることができる。基板は上記第一の製造方法と同様、限定されるものではない。
第二の製造方法において好適に用いられる樹脂、イオン伝導性樹脂、触媒粒子等の好適な例は、上記第一の製造方法と同様である。
第二の製造方法によっても、上記第一の製造方法と同様に、多孔質樹脂層と、該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って位置し、イオン伝導性樹脂からなるイオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有する触媒膜を、塗工法で得ることができる。第二の製造方法では、抽出法で多孔質を形成させるので、生産性良く、安価に大型化して生産することができ、空隙率の制御がしやすいというメリットをもって触媒膜を得ることができる。
<固体高分子型燃料電池>
本発明の固体高分子型燃料電池は、上述した本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜を備えることを特徴とする。
例えば、イオン伝導性のある固体高分子電解質膜からなる電解質層の両外側に本発明の触媒膜を設置し、該触媒膜の外側にガス拡散電極を配して一方を燃料極、他方を酸素極とし、該ガス拡散電極の外側にセパレータを配することで、本発明の固体高分子型燃料電池を構成することができる。
ここで、燃料極側又は酸素極側のいずれか一方のみの外側に本発明の触媒膜を設置することもでき、両極に設置することもできる。例えば、燃料極側に設置すれば、燃料の供給性が向上し、酸素極側に設置すれば、生成した水の排出効率に優れるものとなる。より高い触媒利用率を実現するためには、両極側に設けることが好ましい。
なお、本発明の固体高分子型燃料電池において用いられる電解質層としては、固体高分子電解質膜からなるものを用いることができ、例えば、デュポン社製 商品名:ナフィオン117、同社製 商品名:ナフィオン112等を例示することができる。
このようにして構成された固体高分子型燃料電池において、燃料極側のセパレータにおけるガス流路を通ってガス拡散電極面に導かれた水素等の燃料流体は、ガス拡散電極にて均一に拡散され、燃料極側の触媒膜に導かれ、白金などの触媒によって、燃料流体は水素イオンと電荷に分離され、水素イオンは電解質膜を通って、電解質層を挟んで反対側の酸素極における触媒膜に導かれる。
一方、燃料極側にて発生した電荷は、負荷を有する回路を通って、酸素極側のガス拡散電極に導かれ、更には酸素極側の触媒膜に導かれる。これと同時に、酸素極側のセパレータから導かれた酸素は、酸素極側のガス拡散電極を通って、酸素極側の触媒膜に到達した上記の電荷及び水素イオンの存在下、水を生成し発電サイクルを完結する。
本発明の固体高分子型燃料電池は、本発明の触媒膜を備えるので、上記のような発電サイクルにおいて、触媒の利用効率が高く、集電性に優れ、発電寿命が長い。
本発明の触媒膜、本発明の製造方法で得られた触媒膜、及びそれを用いた固体高分子型燃料電池は、単位触媒量あたりの発電能力が高く、コストを上げずにより長寿命の燃料電池を実現できるので、電気自動車用、パーソナルコンピュータ用等に好適に用いることができる。
<実施例1>
本発明の触媒膜を、電解質層の燃料極側および酸素極側の何れにも配備した固体高分子型燃料電池を作製した。
[燃料極用触媒膜の製造]
(第1工程)
まず、質量平均分子量12万のフッ化ビニリデンホモポリマーからなる樹脂10量部を、1−メチル−2−ピロリドンからなる良溶媒85質量部に溶解し、樹脂スラリーと成した。
(第1−1工程)
次に、上記樹脂スラリーに、フタル酸ジブチルからなる貧溶媒5質量部を添加し、得られた溶液を溶液1とした。
(第2工程)
続いて、触媒担持カーボン(田中貴金属社製;触媒として白金20質量%をカーボンブラック80質量%に担持した粒子)からなる触媒粒子15質量部と、水−アルコール溶液(10質量%の「ナフィオン」溶液)からなるイオン伝導性樹脂溶液85質量部とを、メディア式撹拌機を用いて混合し、分散液1とした。溶液1(100質量部)と分散液1(100質量部)とを混合した後に、ホモミキサーにて9000rpm/5分の条件で攪拌し、塗液1−1を得た。
(第3工程)
得られた塗液1−1を、PET製のフィルムにアプリケータを用いて塗工して塗工フィルムを得た。
(第4工程)
塗工フィルムを乾燥させて、触媒膜を得た。触媒膜の厚さは100μmであった。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。得られた触媒膜を、燃料電池における燃料極用の触媒膜とした。
[酸素極用触媒膜の製造]
また、白金とルテニウムを用いた触媒担持カーボン(カーボンと触媒の質量比は燃料極用と同じ)からなる触媒粒子を用いたほかは、上記と同様にして、塗液1−2を調整し、得られた塗液を、上記と同様の条件でフィルムに塗工し、乾燥して、触媒膜を得た。触媒膜の厚さは、105μmであった。また、空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。得られた触媒膜を、燃料電池における酸素極用の触媒膜とした。
[触媒膜の観察]
上記で得られた燃料極用および酸素極用の触媒膜の断面について、その細部構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、多孔質樹脂層と、該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って第一の面から第二の面へ連続し、イオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有する構造が確認された。
<実施例2>
樹脂として、質量平均分子量110万のフッ化ビニリデンホモポリマーを用いた他は、実施例1と同様にして燃料極用の塗液2−1及び酸素極用の塗液2−2を作製した。これらの塗液を用い、実施例1と同様にして、燃料極用の触媒膜(厚さ110μm)および酸素極用の触媒膜(厚さ108μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例3>
良溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の混合溶媒を用い、貧溶媒としてオクタノールを用いた以外は、実施例2と同様に行い、燃料極用の触媒膜(厚さ100μm)および酸素極様の触媒膜(厚さ103μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例4>
良溶媒としてDMAとDMFの混合溶媒を用い、貧溶媒としてオクタノールを用いた以外は、実施例2と同様に行い、燃料極用の触媒膜(厚さ110μm)および酸素極用の触媒膜(厚さ112μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例5>
[燃料極用触媒膜の製造]
(第1工程)
質量平均分子量12万のフッ化ビニリデンホモポリマーからなる多孔質樹脂10質量部を、1−メチル−2−ピロリドンからなる良溶媒90質量部に溶解した。
(第2工程)
続いて、触媒担持カーボン(田中貴金属社製;触媒として白金20質量%をカーボンブラック80質量%に担持した粒子)からなる触媒粒子15質量部と、水−アルコール溶液(10質量%の「ナフィオン」溶液)からなるイオン伝導性樹脂85質量部とを、メディア式撹拌機を用いて混合し、分散液1を調整した。溶液1(100質量部)と分散液1(100質量部)とを混合した後に、ホモミキサーにて9000rpm/5分の条件で攪拌し塗液5−1を得た。
(第3工程)
塗液5−1を、PET製のフィルムにアプリケータを用いて塗工し、塗工フィルムとなした。
(第3−1工程)
第3工程で得られた塗工フィルムを、貧溶媒である水中に含浸させた。
(第4工程)
次いで、塗工フィルムを水中から引き上げて乾燥させ、実施例5の燃料極用の触媒膜を得た。触媒膜の厚さは105μmであった。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。
[酸素極用触媒膜の製造]
また上記と同様にして、白金とルテニウムを用いた触媒担持カーボン(カーボンと触媒の質量比は燃料極用と同じ)からなる触媒粒子を用いたほかは、上記と同様にして塗液を調整し、塗液5−2とした。これを用いて上記の燃料極用の触媒膜と同様の条件にて、実施例5の酸素極の触媒膜を作成した。作成した酸素極用の触媒膜の厚さは、108μmであった。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。
触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例6>
質量平均分子量110万のフッ化ビニリデンホモポリマーを用いたほかは、実施例5と同様にして燃料極用の塗液6−1及び酸素極用の塗液6−2を作製した。これらの塗液を用いて実施例5と同様にして、実施例6の燃料極用の触媒膜(100μm)および酸素極用の触媒膜(100μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例7>
良溶媒にDMAとDMFの混合溶媒を用い、貧溶媒にオクタノールを用いた以外は、実施例5と同様に行い、燃料極用の触媒膜(厚さ105μm)および酸素極用の触媒膜(厚さ106μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例8>
良溶媒としてDMAとDMFの混合溶媒を用い、貧溶媒としてオクタノールを用いた以外は、実施例6と同様に行い、燃料極用の触媒膜(厚さ108μm)および酸素極用の触媒膜(厚さ110μm)を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例9>
アプリケーターの塗工ギャップを調整して、燃料極用の触媒膜の厚さが32μm、酸素極用の触媒膜の厚さが31μmとなるようにした以外は、実施例1と同様の方法で触媒膜を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<実施例10>
アプリケーターの塗工ギャップを調整して、燃料極用の触媒膜の厚さが63μm、酸素極用の触媒膜の厚さが61μmとなるようにした以外は、実施例1と同様の方法で触媒膜を得た。空隙率、透気度、密度について測定した結果を表1に示す。触媒膜断面の観察結果は実施例1と同様であった。
<比較例1>
カーボンブラック80質量%に白金20質量%を担持した、実施例1と同様の燃料極用の触媒粒子、およびカーボンブラック80質量%に白金・ルテニウム合金20質量%を担持した酸素極用の触媒粒子を用意し、それぞれ10質量部を酢酸ブチル90質量部に混合し、超音波洗浄機にて10分間分散して、燃料極用触媒分散液及び酸素極用触媒分散液を各々100質量部ずつ得た。
その後、各分散液100質量部に対して、更に水及びエタノールの混合溶媒(水:エタノール=20:80)195質量部に、イオン伝導性樹脂(デュポン社製 商品名:ナフィオン)5質量部を溶解した溶液200質量部をそれぞれ混合し、更に超音波洗浄機で30分間分散したものを触媒インクとした。該触媒インクを電解質膜(デュポン社製 商品名:ナフィオン117)の表と裏の両面にアプリケーターを用いて塗工し、乾燥させて、燃料極用、酸素極用の触媒層を、それぞれ電解質膜の両面に作成した。燃料極側の触媒層の厚さは20μmであり、酸素極側の触媒層の厚さは22μmであった。触媒膜断面を観察した結果、触媒膜は多孔質を有していなかった。
Figure 2005108550
<触媒膜物性及び燃料電池発電特性評価結果>
次に、実施例及び比較例に示した触媒膜を用いて作成した燃料電池の発電特性を評価した結果を表1に示す。燃料電池作成において、実施例1〜10で作成した燃料極用、酸素極用の触媒膜を、イオン交換膜(デュポン社製 商品名:ナフィオン117)からなる電解質層の両面に接触するように配し、熱圧プレス(120℃)にて接合して電極と膜の接合体(MEA)を作製した。
比較例1に関してはそのまま、上記と同様の条件にて熱圧プレスしてMEAとした。
以上で得られたMEAの両面にガス拡散電極としてカーボンペーパーをその両面に配して単セルに組み込んで、評価用のセルとした。
各セルへの供給ガスは水素及び酸素を用いた。供給ガスはいずれもバブリングにて加湿し2.5気圧の供給圧とした上で、単セルにかかる温度を70℃に保持した状態で運転した。電流密度が1A/cmにおける電圧を調べた結果を表1に示す。
Figure 2005108550
表1から明らかなように、実施例の触媒膜を用いた燃料電池は、いずれも連続運転時における電圧低下が少ない結果であった。
しかし、触媒粒子とイオン伝導性樹脂のみを含む塗液を直接電解質膜に塗工した比較例1では、5時間の連続運転で大幅な電圧低下が認められた。このことは、塗工する際に、電解質膜に若干のうねりが生じたことと、塗工面の厚さムラや触媒粒子の凝集などが原因となって、発電性能に悪影響を及ぼしたためと推定される。
更に、実施例1の触媒膜と比較例1の触媒層を用いて、上記と同様の単セルを組み、燃料として水によるメタノール希釈液(メタノール5質量%)を用い、発電性能を評価した。電流密度が1A/cmにおける電圧を調べた結果を表2に示す。
Figure 2005108550
上記、表2から明らかなように、実施例1の触媒膜はメタノール液系の固体高分子型燃料電池においても、良好な性能を発揮することが確認された。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒膜の一例を示す断面図である。
符号の説明
10 固体高分子型燃料電池用触媒膜(触媒膜)
12 電極側面
14 電解質側面
16 多孔質樹脂層
18 イオン伝導性樹脂層
20 触媒粒子

Claims (9)

  1. 多孔質樹脂層と、イオン伝導性樹脂層と、該イオン伝導性樹脂層の表面に保持された触媒粒子とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒膜。
  2. 前記多孔質樹脂層が電極側面と電解質側面とを有し、前記イオン伝導性樹脂層が該多孔質樹脂層の孔内壁に沿って前記電極側面から電解質側面へ連続していることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜。
  3. 前記多孔質樹脂層は、フッ素系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上からなる重合体若しくは共重合体、又は2種以上からなる混合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜。
  4. 前記多孔質樹脂層は、フッ化ビニリデン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜。
  5. 前記多孔質樹脂層は、質量平均分子量が10万〜120万の樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜。
  6. 多孔質樹脂層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程と、
    前記樹脂スラリーに、前記樹脂を溶解せず前記良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を添加する第1−1工程と、
    前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、
    前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、
    前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒膜の製造方法。
  7. 多孔質樹脂層を形成する樹脂を、該樹脂を溶解する良溶媒に溶解させて樹脂スラリーと成す第1工程と、
    前記樹脂スラリーに、触媒粒子及びイオン伝導性樹脂を添加して塗液と成す第2工程と、
    前記塗液を基板上に塗工して塗工フィルムと成す第3工程と、
    前記塗工フィルムを、前記樹脂を溶解しない貧溶媒に含浸する第3−1工程と、
    前記塗工フィルムを乾燥する第4工程とを有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒膜の製造方法。
  8. 前記樹脂は、フッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜の製造方法。
  9. 請求項1ないし5のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用触媒膜を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。

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