JP2008103092A - 燃料電池 - Google Patents

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真 吉野
Fumio Takei
文雄 武井
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Abstract

【課題】
本発明の課題は、メタノールクロスオーバー耐性を有するとともに、長期に安定な膜電極接合体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、本発明は、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、前記電解質膜に接合され、カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、を備える接合体、及び、その製造方法を提供する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)の電極の製造方法及びメタノール型燃料電池に関する。
小型の携帯用電子機器には、電池構造が簡略なメタノールを燃料とするメタノール型燃料電池が採用されている。従って、携帯端末の多機能化によって、メタノール型燃料電池の高出力化が望まれる。
上記のタノール型燃料電池は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜を挟む、メタノール水溶液を供給する燃料極と、酸素を供給する空気極とから構成されている。なお、空気極及び燃料極は、それぞれ電極を含み、固体高分子電解質膜と電極は一体化され、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を形成している。
そして、以下の原理で、メタノール型燃料電池から回路へ、回路の動作に必要な電力が供給される。
燃料極において、メタノールが水と反応して、メタノールが酸化されると、二酸化炭素、プロトン、及び、電子が生成される。プロトンは固体高分子電解質膜中を通過して空気極に達する。空気極に達したプロトンは空気極の触媒層で酸素と化合して水を生成する。一方、燃料極で発生した電子は、燃料極と空気極との間に回路が接続されていると、回路を介して空気極に達して、水を生成する還元反応に取り込まれる。
そうすると、メタノール型燃料電池からの電子が回路を流れるため、回路内に電流が発生する。すなわち、メタノール型燃料電池から電力がとりだされる。
そこで、メタノール型燃料電池の高出力化を実現するために、固体高分子電解質膜の改善、又は、膜電極接合体に触媒層を設ける試みがされている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)
また、メタノール型燃料電池の高出力化を実現するために、燃料極のメタノール水溶液中のメタノールの濃度を濃くすることも考えられる。なぜなら、同一体積のメタノール水溶液中のメタノールの量が増すため、メタノール型燃料電池から取り出す電力が増加するからである。
しかし、従来の膜電極接合体は、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、などを持つ有機高分子材料(例えば、Du Pont社のNafion(NafionはDu Pont社の商標です。)、Dow Chemical社のDow膜等)で構成されており、メタノールの濃度が高いと、膜電極接合体をメタノールそのものが燃料極から空気極に透過(クロスオーバー)する量が増加する。従って、空気極でメタノールと酸素が直接反応すると、電子の発生がその分減少するため、メタノール型燃料電池からの電力供給も減少することになっていた。
特開平10−241701号公報 特開2001−319661号公報 特開2002−110173号公報
そこで、メタノールクロスオーバー耐性を有する膜電極接合体を形成するため、メタノールクロスオーバー耐性の高い炭化水素系の樹脂で構成された固体高分子電解質膜と、Nafion(NafionはDu Pont社の商標です。)により触媒層を兼ねた接合部と、により、膜電極接合体を構成することも考えられる。
しかし、炭化水素系の樹脂と、Nafion(NafionはDu Pont社の商標です。)とでは、熱膨張率、メタノール水溶液に対する膨潤率などが異なるため、固体高分子電解質膜と電極との密着性の確保が難しく、膜電極接合体の長期安定性の確保が困難である。
そこで、本発明の目的は、メタノールクロスオーバー耐性を有するとともに、長期に安定な膜電極接合体及びその製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、
前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、前記電解質膜に接合され、カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、を備える接合体を提供する。
本発明においては、一方の表面から反対側の表面に向けて、徐々に孔径の大きくなる多くの緻密な貫通孔を有する多孔質触媒層とほぼ同一の材料で形成した電解質膜とから接合体が形成されている。
そうすると、プロトン伝導性高分子電解質材料(スルホン基を有する芳香族炭化水素高分子材料等)で形成された、電解質膜、及び、多孔質触媒層は耐メタノールクロスオーバー特性を有する。また、多孔質触媒層は一方の側面から他方の側面に向けて孔径が増大する貫通孔を有するため、メタノール水溶液の電解質膜に触れる量を調整することができる。従って、本発明によれば、上記のことにより、耐クロスオーバー特性を有する接合体を提供することできる。また、電解質膜、及び、多孔質触媒層電極はほぼ同一の材料であるから、熱膨張率等が同一であるため、長期間、安定した接合体を製造することできる。
以下、本発明の実施例1、実施例2、及び、実施例3について説明する。
実施例1は、スルホン基を有する芳香族炭化水素高分子材料を用いて多孔質触媒層を製造する方法に関するものである。そして、実施例1を、図1、及び、図2を用いて説明する。
図1は、実施例1の多孔質触媒層を製造する方法の工程の説明及びフローチャートを示す図である。
図1は、良溶媒の用意をする工程1、良溶媒に芳香族炭化水素高分子材料を混合する混合工程2、良溶媒と芳香族炭化水素高分子材料の混合液を攪拌して混合液を作成する工程3、混合液に触媒担持カーボン粒子を導入し、ペーストを形成するペースト形成工程4、良溶媒5、容器6、攪拌器7、バルブ8、管路9、芳香族炭化水素高分子材料からなる樹脂溶液用のタンク10、バルブ11、管路12、及び、金属触媒を担持したカーボン粒子用のタンク13を示す。
良溶媒の用意をする工程1は、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料に対して溶解度の大きい良溶媒を用意する工程である。すなわち、良溶媒5を容器6に取り分ける。
スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料に対して溶解度の大きい良溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルスルホキシドなど、20℃以下の融点の極性溶媒、すなわち、低融点の極性溶媒が望ましい。ただし、芳香族炭化水素高分子材料が可溶であって、溶解度が大きいものであれば、上記の溶媒にこだわらない。さらに、上記の溶媒を混合した溶媒であってもよい。また、使用する溶媒が水溶性の場合はスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子樹脂の溶解性を損なわない範囲で水との混合溶液であってもよい。
良溶媒に芳香族炭化水素高分子材料を混合する混合工程2とは、上記の良溶媒にスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を混合する工程である。すなわち、バルブ8を開け、芳香族炭化水素高分子材料からなる樹脂溶液用のタンク10から管路9を介して、容器6に、良溶媒にスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料の樹脂溶液を流し込む。
そして、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料はプロトン伝導性高分子材料の一種であり、その例であるスルホン化ポリイミドの合成法を説明する。2,2’−ベンジジンスルホン酸を1.72g(5mmol)と3.3mlのトリエチルアミンを、60mlのm−クレゾールに添加後、スルホン化ジアミンが完全に溶解したのを確認してからビス-4-(3-アミノフェノキシ)フェニルスルホンを2.16g(5mmol)を添加した。続いて2.68g(10mmol)の1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と安息香酸1.71gを添加し80℃で4時間、180℃で10時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、アセトン1リットルを注いだ2リットルビーカー内にアセトンを攪拌しながら反応後のポリイミド溶液を注いだ。1時間攪拌後、繊維状の沈殿物を吸引ろ過した。アセトン1リットルを注いだ2リットルビーカー内にアセトンを攪拌しながら、この沈殿物を注いだ。1時間攪拌後、沈殿物を吸引ろ過した。取り出したポリイミド生成物を80℃で10時間真空乾燥した。また、プロトン伝導性高分子材料とは、プロトンを伝える性質を有する高分子材料のことをいう。そして、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料がプロトンを伝える性質を有するのは、スルホン酸基を有することによる。なお、「スルホン酸基」とは、スルホン酸基の水素が他の元素で置換され、塩の形となっている場合も含まれる。
なお、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料は、上記に限られず、スルホン化を行った、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾイミダーゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド等であってもよい。
良溶媒と芳香族炭化水素高分子材料の混合液を攪拌して混合液を作成する工程3は、良溶媒にスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を均一に混合するため、混合液を攪拌する工程である。すなわち、攪拌器7を動作させ、混合液を攪拌する。
混合液に触媒担持カーボン粒子を導入し、ペーストを形成するペースト形成工程4は、触媒を担持するカーボン粒子からなるカーボン粉末を、上記の混合液に混合し、触媒が均一に高分散されたペーストを作成する工程である。すなわち、バルブ11を開け、金属触媒を担持したカーボン粒子用のタンク13から管路12を介して、金属触媒を担持したカーボン粒子を容器5に導入する。
触媒は、プロトンと酸素が化合して水を生成することを触媒するものであり、例えば、白金(Pt)触媒、白金(Pt)とルテニウム(Ru)との合金触媒等である。
触媒担持カーボン粒子とは、上記の触媒が担持されているカーボン粒子をいう。
ペーストとは、芳香族炭化水素高分子材料と、溶媒と、触媒担持カーボン粒子とが混合している糊状のものをいう。
例えば、前述のスルホン化ポリイミドのジメチルアセトアミド溶液20g(樹脂成分6wt%)に白金(Pt)−ルテニウム(Ru)担持カーボン粒子(田中貴金属工業(株)製、TEC61E54、Pt−Ru担持量54wt%)2.2gを加え、遊星式ボールミルを用いて攪拌混合して上記のペーストを得ることができる。
図2は、実施例1の多孔質触媒層を製造する方法の工程の説明及びフローチャートの続きを示す図である。
図2は、基材上にペースト層を形成する工程15、ペーストを乾燥する工程16、高分子材料の凝集工程17、膜構造の固定の工程18、基材20、ペースト層21、貧溶媒22、及び、貧溶媒用のタンク23を示す。
基材上にペースト層を形成する工程15は、基材20上にペーストを薄く層状に延ばし、ペースト層21を形成する工程である。ここで、基材20はペースト層21を支持する板状のものであればよく、例えば、カーボンペーパー等が望ましい。また、カーボンペーパー等にペースト層21を形成する際は、バーコーターで延ばし、ペースト層21の厚みは50〜500μm程度が望ましい。
ペースト層を乾燥する工程16は、基材上のペースト層21を乾燥する工程である。乾燥は、例えば、60秒間程度、80℃雰囲気中で行う。
高分子材料の凝集工程17では、以下のことを行う。まず、基材20及びペースト層21を、貧溶媒22中に浸すことによって、ペースト層21中の良溶媒6を貧溶媒22に置換する。そうすると、貧溶媒22とスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料とは相分離をおこし、高分子材料が貧溶媒中で凝集する。なお、ペースト層21を貧溶媒22に浸す時間は、貧溶媒22と良溶媒6の組合せ等を選択することにより、貧溶媒22と良溶媒6との溶媒交換速度、芳香族炭化水素分子材料の結晶化速度(凝集スピード)を調整する。
ここで、貧溶媒22とは、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料に対して溶解度の小さい溶媒をいう。また、貧溶媒は良溶媒を溶かすことができ、溶媒交換を行えるものである。貧溶媒は、例えば、良溶媒をジメチルアセトアミドとすると、エタノール水溶液(エタノール含有量90wt%)が望ましい。
なお、貧溶媒22にペースト層21を浸すと、良溶媒6が貧溶媒22に置換し、貧溶媒22中において芳香族炭化水素高分子材料が凝集する。そうすると、芳香族炭化水素高分子材料が緻密な多数の孔が空いている多孔質構造を有することになる。
また、貧溶媒22にペースト層21を浸す前に、ペースト層21を乾燥させていることにより、最表面に薄いスキン層が形成され、基材20と面していないペースト層21の表面から、基材20に面しているペースト層21の表面にむけ、良溶媒6の含有量が異なるものとなる。従って、芳香族炭化水素高分子材料のペースト層21が、孔の径が小さいものから大きなものに変化することによって、芳香族炭化水素高分子材料の密度の変化を伴う非対称構造を、有することになる。
さらに、貧溶媒22と良溶媒6の組合せを選択し、貧溶媒22と良溶媒6との溶媒交換速度、及び、芳香族炭化水素高分子材料の凝集スピードをコントロールすることで、ペースト層21中の微細孔径の大きさを調整することができる。また、ペースト層21中に含まれるカーボン粒子に担持された白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒の量と、カーボン粒子の間に配置されるスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料の量を上記の例のように、コントロールすることで、ペースト層21中の微細な孔の周囲に配置される、上記の触媒とスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子の比率をコントロールできる。そうすると、ペースト層21は、白金、カーボン、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子の3つからなる、三相界面構造を有することになる。
膜構造の固定の工程18は、基材20とペースト層21を貧溶媒から引き上げ、基材20とペースト層21の乾燥を行うことにより、ペースト層21に残存している貧溶媒22を蒸発させ、ペースト層21の非対象構造を固定する工程である。
なお、上記の乾燥は、自然乾燥と、乾燥器による80℃の乾燥の組合せが望ましい。また、乾燥後に、ペースト層21中の白金(Pt)−ルテニウム(Ru)の合金の量は、2mg/cm程度となることが望ましい。
以上の実施例1の多孔質触媒層を製造する方法によれば、基材上に作成した、ペースト層を乾燥させることで、良溶媒の含有率を、基材と接する側が多く、その反対側は少なくすることができる。そうすると、良溶媒を貧溶媒に置き換えたときにできる多孔質触媒層の孔部分の密度を基材と接する側と、その反対側で変化することができ、多孔質触媒層の構造を非対称なものとすることができる。なお、多孔質触媒層にできる孔径は、基材と接する側では大きく、その反対側では、小さくなる。そのため、多孔質触媒層を通過する液体の量を調整することができる。
また、多孔質触媒層は、白金、カーボン、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子の3つからなる、三相界面構造を有し、プロトン、電子、酸素が反応する三相界面反応場となる。そのため、プロトン、電子、酸素が関係する反応が効率よく行える。
実施例2は、スルホン基を有する芳香族炭化水素高分子材料を用いた電解質膜、スルホン基を有する芳香族炭化水素高分子材料を用いた電極、つまり実施例1に示した多孔質触媒層を用いた膜電極接合体の製造方法に関するものである。そして、実施例2を、図3を用いて説明する。
図3は、実施例2の膜電極接合体の製造方法の工程の説明及びフローチャートを示す図である。そして、図3は、接合部の制作工程24、電解質膜の制作工程25、接合部、及び、電解質膜の接合工程26、多孔質触媒層を兼ねる接合部28、電解質膜30、及び、膜電極接合体31を示す。
接合部の制作工程24は、実施例1の多孔質触媒層を製造する方法を用いて、製造した多孔質触媒層を兼ねる接合部28を制作する工程である。
燃料極側(アノード側)の多孔質触媒層を兼ねる接合部28は、例えば、プロトン伝導性高分子電解質であって、実施例1で示したスルホン化ポリイミドのジメチルアセトアミド溶液(樹脂成分6wt%)20g、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)触媒担持炭素粒子(田中貴金属工業(株)製、TEC61E54、Pt−Ru担持量54wt%)2.2gを材料として、実施例1の多孔触媒層を製造する方法で作成する。
また、空気極側(カソード側)の多孔質触媒層を兼ねる接合部28は、例えば、プロトン伝導性高分子電解質であって、実施例1で示したスルホン化ポリイミドのジメチルアセトアミド溶液(樹脂成分6wt%)20g、白金(Pt)触媒担持炭素粒子(田中貴金属工業(株)製、TEC10E50E、Pt担持量46wt%)2.2gを材料として、実施例1の多孔触媒層を製造する方法で作成する。
電解質膜の制作工程26は、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を含む、層状の固体高分子型電解質膜30を作成する工程である。
ここで、固体高分子型電解質膜30を構成する、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料としては、例えば、ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリイミド等が考えられる。また、溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタクレゾール等が考えられる。
そして、例えば、上記のスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料と溶媒を混合した混合液を、基体状に層状に塗布し、その後、溶媒を除去することにより、上記の固体高分子型電解質膜30を作成することができる。具体的な製膜法を記載する。実施例1で合成したスルホン化ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMAc)に溶解させ、ガラス板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、トリエチルアミン塩型(TEA塩型)のスルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに1日間浸漬し、次いで、0.5N硫酸水溶液に1日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に1日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のスルホン化ポリイミド膜を作製した。
接合部、及び、電解質膜の接合工程27は、固体高分子型電解質膜30の両側を2枚の多孔質触媒層を兼ねる接合部28ではさみ、熱圧着(ホットプレス)することで、固体高分子型電解質膜30と2枚の多孔質触媒層を兼ねる接合部28を接合する工程である。固体高分子型電解質膜30と2枚の多孔質触媒層を兼ねる接合部28を熱圧着した結果、膜電極接合体31を得る。なお、接合には、120℃から200℃の温度範囲、20から200kgf/cmの圧力が望ましい。さらに、熱圧着の時間は30秒から120秒が望ましい。温度範囲、圧力、熱圧着時間のいずれか一つ、推奨範囲を下回れば、各部分の剥離につながり、推奨範囲を上回れば、固体高分子型電解質膜30の分解が懸念されるからである。具体的な膜電極接合体の作製法を述べる。膜厚50μmのプロトン伝導性高分子膜であるスルホン化ポリイミド膜の一方の面にアノード極側の触媒層を、もう一方の面にカソード極側の触媒層をそれぞれ重ね合わせて、温度160℃、50kgf/cmで120秒間ホットプレスしてスルホン化ポリイミドからなる膜電極接合体を得た。
以上の実施例2の膜電極接合体の製造方法に用いられる多孔質触媒層を兼ねる接合部28と、固体高分子型電解質膜30とは、いずれも、スルホン化ポリイミド高分子材料を主材料とするものである。従って、実施例2の膜電極接合体の製造方法で製造された膜電極接合体31は、ほぼ同一の熱膨張率、及び、膨潤率を有することになり、長時間安定な膜電極接合体31を得ることができる。
そして、プロトン伝導性高分子電解質材料(スルホン基を有する芳香族炭化水素高分子材料等)で形成された、電解質膜、及び、多孔質触媒層は耐メタノールクロスオーバー特性を有する。また、多孔質触媒層は一方の側面から他方の側面に向けて孔径が増大する貫通孔を有するため、メタノール水溶液の電解質膜に触れる量を調整することができる。従って、本実施例2によれば、上記のことにより、耐クロスオーバー特性を有する接合体を製造することができる。
実施例3は膜電極接合体に関するものである。そして、実施例3の膜電極接合体について図4、図5、及び、図6を用いて説明する。
図4は、膜電極接合体、及び、多孔質触媒層の断面構造を示すものである。そして、図4は、膜電極接合体33、電極層34、電解質膜35、多孔質触媒層を兼ねる接合部36、多孔質触媒層を兼ねる接合部の一部37、カーボン担体38、電解質イオノマー39、白金(Pt)粒子40、及び、三相界面41を示す。
膜電極接合体33は、電解質膜35、及び、多孔質触媒層を兼ねる接合部36から構成されている。
電極層34は、電子伝導性支持体であり、膜電極接合体33の両側に接続されている。そして、電極層34は、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロスのように多孔質の基材である。多孔質触媒層を兼ねる接合部36を作成する際の基材と兼ねてもよい。
電解質膜35は、例えば、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料、ポリマー、溶媒、及び、添加剤等を混合した混合液を、基体上に層状に塗布し、その後、溶媒を除去することにより、作成した固体高分子型電解質膜である。なお、ポリマー、溶媒、及び、添加剤等は実施例2の説明に記載したものと同様なものである。
多孔質触媒層を兼ねる接合部36は、実施例1に記載した製造方法で制作した多孔質触媒層である。
多孔質触媒層を兼ねる接合部の一部37は、図4に図示する膜電極接合体33の断面の一部を拡大したものである。実施例1で説明したように、一方の側面から他方の側面にかけて、非対称な構造をしている。ここで、非対称な構造とは、一方の側面側では、層を貫通する孔の径が小さく、他方の側面側では、大きいことをいう。上記の非対称な構造のため、一方の側面側では層の密度が高く、他方の側面側では層の密度は低いものとなっている。
カーボン担体38とは、例えば、粒子径10nmから50nmのカーボン粒子であって、触媒物質を担うものをいう。
電解質イオノマー39は、電解質を有する高分子物質をいい、プロトンを運ぶ物質である。そして、電解質イオノマー39は、本実施例においては、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料をいい、例えば、スルホン酸基を有するポリイミドをいう。
白金(Pt)粒子40は、粒径3nm程度の白金(Pt)の粒子であり、プロトン(H)と酸素(O)が結びついて水(HO)ができる還元反応において触媒の働きをする。
三相界面41とは、上記のカーボン担体38に担持された白金(Pt)粒子40と、カーボン担体38間と電解質イオノマー39の3つが、多孔質触媒層を兼ねる接合部36を貫通する微細な孔の周囲に面することによって作られる界面のことをいう。三相界面41においては、空気極からの酸素(O)と、電解質イオノマー40が運んでくるプロトン(H)と、カーボンからの電子(e−)とが接することになるため、酸素(O)、プロトン(H)、電子(e−)の授受を同時に行える。
上記の説明により、膜電極接合体33は、電解質膜35、電解質膜35の両側に配置された多孔質触媒層を兼ねる接合体36から構成されていることがわかる。また、膜電極接合体33の両側には、多孔質触媒層を兼ねる接合体36に接続する電極層34が配置されている。また、上記の多孔質触媒層を兼ねる接合体36は、一方の側面から、他方の側面に向けて徐々に孔径が大きくなる多孔質構造を有していることがわかる。また、上記の多孔質触媒層を兼ねる接合体36は、カーボン担体38に担持された白金(Pt)粒子39と、カーボン担体38間を埋める電解質イオノマー40が微細孔の周囲に配置されることによって、白金(Pt)触媒40、カーボン担体38、電解質イオノマー39(スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子物質)の3つで作られる界面を有していることがわかる。
その結果、上記の多孔質触媒層を兼ねる接合体36において、空気極からの酸素(O)と、電解質イオノマー40が運んでくるプロトン(H)と、カーボン担体からの電子(e−)とが接することになるため、酸素(O)、プロトン(H)、電子(e−)の授受を同時に行える。そうすると、上記の多孔質触媒層を兼ねる接合体36において、酸素(O)とプロトン(H)とから水(HO)ができる還元反応がスムースに行える効果がある。
図5は、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を用いて作成した層と、フッ素系高分子材料(例えば、ナフィオン)を用いた作成した層に対して、プロトン伝導性と、メタノール透過性とを比較したグラフを示す図である。そして、図5はスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料の構造式の例45、フッ素系高分子材料の構造式の例46、プロトン伝導性と、メタノール透過性とを比較したグラフ47、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域48、フッ化系高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域49を示す。
プロトン伝導性と、メタノール透過性とを比較したグラフ47において、縦軸は、フッ素系高分子のプロトン伝導性を1とした比率でプロトン伝導性を表し、また、横軸は、フッ素系高分子のメタノール透過性を1とした比率でメタノール透過性を表す。
従って、フッ化系高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域49は、プロトン伝導性及びメタノール透過性が1である領域となる。
一方、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料のプロトン伝導性がフッ化系高分子材料のプロトン伝導性とほぼ同等であること、及び、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料のメタノール透過性がフッ化系高分子材料のメタノール透過性の1/10から1/3であることから、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域48は、縦軸方向には0.5〜1.3、横軸方向には0.1〜0.3の範囲にある楕円形領域となっている。
スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子の構造式の例45は、主鎖をなす芳香環と、主鎖中に含まれるAr(少なくとも1つ以上の芳香環を有する4価の基)と、Arの側鎖に接続するスルホン酸基から構成されている、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子の構造式である。
フッ素系高分子の構造式の例46は、いわゆる、ナフィオン(Nafion(Du pont社の商標名))に代表される、パーフルオロスルホン酸系高分子の構造式である。
以上より、実施例3の膜電極接合体33は、電解質膜35、電解質膜35の両側に配置された多孔質触媒層を兼ねる接合体36、及び、多孔質触媒層を兼ねる接合体36に接続する電極層34からなり、いずれもスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子からなっている。そうすると、実施例3の膜電極接合体33と、フッ素系高分子材料で構成した電解質膜に多孔質触媒層を塗布し、その両側に電極層を配置して構成した膜電極接合体と、を比較した場合に、プロトン伝導性はほぼ同一である。一方、メタノール透過性は、1/10から1/3になる。
図6は、実施例3のスルホン化ポリイミド樹脂からなる非対称膜型触媒電極とスルホン化ポリイミド膜からなる膜電極接合体と、比較例である従来のナフィオン樹脂の触媒電極とスルホン化ポリイミド膜からなる膜電極接合体とを、燃料電池発電特性において比較したグラフを示す図である。そして、上記のグラフの縦軸はセル電圧を単位Vで表す。また、横軸は電流密度を単位mA/cmで表す。
図6のグラフは、白三角51で、比較例の膜電極接合体を有する燃料電池発電特性を示す。また、白丸50で、実施例3の膜電極接合体を有する燃料電池発電特性を示す。
ここで、比較例の膜電極接合体の燃料極側(アノード側)の触媒層は以下の方法で作成した。まず、プロトン伝導性高分子電解質のナフィオンのアルコール水溶液(デュポン社製、DE2020イオン交換容量0.9meq/g、プロトン形、樹脂成分21wt%)16gにn-プロパノール6g、2−プロパノール17gを加えた。Pt−Ru担持炭素粒子(田中貴金属工業(株)製、TEC61E54、Pt−Ru担持量54wt%)5gに水15g加え、両者をメノウに入れた後、遊星式ボールミル(200rpm、1時間)を用いて攪拌混合し、アノード側の触媒ペーストを作製した。前記触媒ペーストをバーコーターで厚み280μmのカーボンペーパー(東レ(株)製、TGH−H−090)上に塗布して100℃で1時間乾燥し触媒層を形成した。触媒層中のPt−Ru量は、2mg/cmとなるようにした。
一方、比較例の膜電極接合体の空気極側(カソード側)の触媒層の作製は以下の方法により行った。まず、プロトン伝導性高分子電解質のナフィオンのアルコール水溶液(デュポン社製、DE2020イオン交換容量0.9meq/g、プロトン形、樹脂成分21wt%)9gにn-プロパノール6g、2−プロパノール17gを加えた。Pt担持炭素粒子(田中貴金属工業(株)製、TEC10E50E、Pt担持量46wt%)5gに水15g加え、両者をメノウに入れた後、遊星式ボールミル(200rpm、1時間)を用いて攪拌混合し、アノード側の触媒ペーストを作製した。前記触媒ペーストをバーコーターで厚み280μmのカーボンペーパー(東レ(株)製、TGH−H−090)上に塗布して100℃で1時間乾燥し触媒層を形成した。触媒層中のPt量は、2mg/cmとなるようにした。
膜厚50μmのプロトン伝導性高分子膜である前述のスルホン化ポリイミド膜の一方の面にアノード極側の触媒層を、もう一方の面にカソード極側の触媒層をそれぞれ重ね合わせて、温度160℃、50kgf/cmで120秒間ホットプレスして膜電極接合体を得た。
そして、発電特性を以下のような条件で測定した。すなわち、燃料として20wt%のメタノール水溶液を、膜電極接合体のアノード側に供給した。一方、カソード側に加湿空気を100ml/minの流速で供給した。膜電極接合体の有効面積は9cm、測定温度は60℃で行った。
図6において、実施例3の膜電極接合体を有するDMFC発電特性と、比較例の膜電極接合体を有するDMFC発電特性とは、電流密度が増すとセル電圧は低下する。
しかし、実施例3の膜電極接合体を使用した燃料電池が、比較例であるナフィオン樹脂の触媒電極とスルホン化ポリイミド膜からなる膜電極接合体を使用した燃料電池に比べて、高いセル電圧を有し、燃料電池発電特性に優れることがわかる。
以上、図4、図5、及び、図6の説明からわかるように、実施例3の膜電極接合体33は、以下のような効果を有する。
(1)実施例3の膜電極接合体33は、三相界面構造を有する多孔質触媒層を兼ねる接合体36を有するため、燃料電池に採用された場合、空気極側において、酸素とプロトンとの反応を効率よく行うことができる。
(2)実施例3の膜電極接合体33は、電解質膜35に接する面から、電極34に接する面に向けて、スルホン酸基を有する炭化水素高分子材料の存在比率が小さくなる、多孔質触媒層を兼ねる接合部36を有する。従って、燃料極側の多孔質触媒層を兼ねる接合部36によって、電解質膜35に対する、メタノール水溶液の供給量が調整される。
(3)実施例3の膜電極接合体33は、いずれも、メタノール透過性が低い、スルホン酸基を有する炭化水素高分子材料から形成された、電解質膜35、及び、多孔質触媒層を兼ねる接合部36を有するため、全体としてメタノール透過性が低い。
(4)実施例3の膜電極接合体33のメタノール透過性が低いため、比較例に比較し、メタノールクロスオーバーが抑えられる。従って、実施例3の膜電極接合体を使用した場合、セル電圧が高い燃料電池を作成することができる。
実施例4は実施例3の膜電極接合体33を利用する燃料電池に関するものである。そして、実施例4の燃料電池について図7を用いて説明する。
図7は、実施例3の膜電極接合体を利用する、燃料電池の断面構造を示すものである。そして、図7は、膜電極接合体33、電極層34、電解質膜35、多孔質触媒層を兼ねる接合部36、メタノール水溶液55、空気56、二酸化炭素57、水58、メタノール水溶液タンク59、圧縮空気タンク60、燃料極61、空気極62、及び、燃料電池63を示す。
膜電極接合体33は、電解質膜35、及び、多孔質触媒層を兼ねる接合部36から構成されている。また、電極層34は用電極接合体34の両側に接するように配置されている。
燃料電池63は、メタノール水溶液タンク59、燃料極61、空気極62、及び、圧縮空気タンク60から構成されている。
メタノール水溶液タンク59は、燃料極61に、メタノール水溶液を供給する。また、圧縮空気タンク60は、空気極62に、空気56を供給する。
燃料極61は、メタノール水溶液の供給を受け、二酸化炭素57を排出する。また、空気極62は、空気の供給を受け、水58を排出する。
上記の説明から、実施例4の燃料電池は、実施例3の膜電極接合体33を利用するものである。そして、実施例3の膜電極接合体33は、いずれも、メタノール透過性が低い、スルホン酸基を有する炭化水素高分子材料から形成された、電解質膜35、及び、多孔質触媒層を兼ねる接合部36を有するため、全体としてメタノール透過性が低い。従って、実施例4の燃料電池において、メタノールクロスオーバーが抑えられる効果がある。
以下に本発明の特徴を付記する。
(付記1)
良溶媒にプロトン伝導性高分子電解質材料を溶かし、ペーストを形成する工程と、
前記ペーストを支持板上に流延し、材料層を形成する工程と、
前記材料層の表面を乾燥する工程と、
前記支持板及び前記材料層を、貧溶媒中に浸すことによって、前記貧溶媒と前記スルホン酸基を有する有機高分子材料を相分離させる工程と、を有することを特徴とする多孔質触媒層の製造方法。
(付記2)
前記ペーストに金属触媒担持カーボンを添加する工程をさらに有することを特徴とする付記2に記載した多孔質触媒層の製造方法。
(付記3)
前記プロトン伝導性高分子電解質材料はスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料であることを特徴とする付記1又は2に記載した多孔質触媒層の製造方法。
(付記4)
良溶媒にスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を溶かし、混合液を作成する工程と、
前記混合液に金属触媒担持カーボン粒子を添加し、ペーストを形成する工程と、
前記ペーストを支持板上に流延し、材料層を形成する工程と、
前記材料層の表面を乾燥する工程と、
前記支持板及び前記材料層を、貧溶媒中に浸すことによって、前記貧溶媒と前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を相分離させ、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料、金属触媒担持カーボン粒子からなる多孔質触媒層を形成する工程と、
前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜を用意する工程と、
前記電解質膜と、前記多孔質触媒層と、を接合して、接合体を形成する工程と、を有することを特徴とする接合体の製造方法。
(付記5)
前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、
前記電解質膜に接合され、カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、を備える接合体。
(付記6)
前記触媒金属を担持する前記カーボン粒子、及び、前記カーボン粒子間を埋めている前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料が、前記多孔質触媒層中の微細孔の周囲に配置されることにより、前記多孔質触媒層が、前記金属触媒、カーボン、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭素水素高分子材料の3つから作られる三相界面構造を有することを特徴とする付記5に記載した接合体。
(付記7)
前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料は、スルホン化を行った、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリエーテルスルホン、ポリベンゾイミダーゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドであることを特徴とする付記5又は付記6に記載された接合体。
(付記8)
前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、前記電解質膜の両側に配置され、かつ、カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、からなる接合体と、
前記接合体の両側に配置されている、カーボンシートからなる電極と、
前記接合体の一方の側に配置されており、メタノールが供給される燃料極と、
前記接合体の他方の側に配置されており、酸素が供給される空気極と、を備える燃料電池。
本発明によれば、耐クロスオーバー特性を有する接合体を製造することができる。また、電解質膜、及び、多孔質触媒層電極は同一の材料であるから、熱膨張率等が同一であるため、長期間、安定した接合体を製造することできる。
本発明によれば、耐クロスオーバー特性を有する接合体を提供できる。また、空気極側において、酸素とプロトンとの反応の効率をあげることができる接合体を提供できる。
図1は、実施例1の多孔質触媒層を製造する方法の工程の説明及びフローチャートを示す図である。 図2は、実施例1の多孔質触媒層を製造する方法の工程の説明及びフローチャートの続きを示す図である。 図3は、実施例2の膜電極接合体の製造方法の工程の説明及びフローチャートを示す図である。 図4は、膜電極接合体、及び、多孔質触媒層の断面構造を示すものである。 図5は、スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を用いて作成した層と、フッ素系高分子材料(例えば、ナフィオン)を用いた作成した層に対して、プロトン伝導性と、メタノール透過性とを比較したグラフを示す図である。 図6は、実施例3のスルホン化ポリイミド樹脂からなる非対称膜型触媒電極とスルホン化ポリイミド膜からなる膜電極接合体と、比較例である従来のナフィオン樹脂の触媒電極とスルホン化ポリイミド膜からなる膜電極接合体とを、燃料電池発電特性において比較したグラフを示す図である。 図7は、実施例3の膜電極接合体を利用する、燃料電池の断面構造を示すものである。
符号の説明
1 良溶媒の用意をする工程
2 良溶媒に芳香族炭化水素高分子材料を混合する混合工程
3 良溶媒と芳香族炭化水素高分子材料の混合液を攪拌して混合液を作成する工程
4 混合液に触媒担持カーボン粒子を導入し、ペーストを形成するペースト形成工程
5 良溶媒
6 容器
7 攪拌器
8、11 バルブ
9、12 管路
10 芳香族炭化水素高分子材料からなる樹脂溶液用のタンク
13 金属触媒を担持したカーボン粒子用のタンク
15 基材上にペースト層を形成する工程
16 ペーストを乾燥する工程
17 高分子材料の凝集工程
18 膜構造の固定の工程
20 基材
21 ペースト層
22 貧溶媒
23 貧溶媒用のタンク
24 接合部の制作工程
25 電解質膜の制作工程
26 接合部、及び、電解質膜の接合工程
28 接合部
30 電解質膜
31 膜電極接合体
33 膜電極接合体
34 電極層
35 電解質膜
36 多孔質触媒層を兼ねる接合部
37 多孔質触媒層を兼ねる接合部の一部
38 カーボン担体
39 電解質イオノマー
40 白金(Pt)粒子
41 三相界面
45 スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料の構造式の例
46 フッ素系高分子材料の構造式の例
47 プロトン伝導性と、メタノール透過性とを比較したグラフ
48 スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域
49 フッ化系高分子材料が有するプロトン伝導性、メタノール透過性を示す領域
50 白丸
51 白三角
55 メタノール水溶液
56 空気
57 二酸化炭素
58 水
59 メタノール水溶液タンク
60 圧縮空気タンク
61 燃料極
62 空気極
63 燃料電池

Claims (5)

  1. 前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、
    カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、を備える接合体。
  2. 前記触媒金属を担持する前記カーボン粒子、及び、前記カーボン粒子間を埋めている前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料が、前記多孔質触媒層中の微細孔の周囲に配置されることにより、前記多孔質触媒層が、前記金属触媒、カーボン、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭素水素高分子材料の3つから作られる三相界面構造を有することを特徴とする請求項1に記載した接合体。
  3. 前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜と、前記電解質膜の両側に配置され、かつ、カーボン粒子、触媒金属、及び、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料から構成されており、一方の面から他方の面に向かって徐々に孔径が大きくなる多孔質触媒層と、からなる接合体と、
    前記接合体の両側に配置されている、カーボンシートからなる電極と、
    前記接合体の一方の側に配置されており、メタノールが供給される燃料極と、
    前記接合体の他方の側に配置されており、酸素が供給される空気極と、を備える燃料電池。
  4. 良溶媒にプロトン伝導性高分子電解質材料を溶かし、ペーストを形成する工程と、
    前記ペーストを支持板上に流延し、材料層を形成する工程と、
    前記材料層の表面を乾燥する工程と、
    前記支持板及び前記材料層を、貧溶媒中に浸すことによって、前記貧溶媒と前記スルホン酸基を有する有機高分子材料を相分離させる工程と、を有することを特徴とする多孔質触媒層の製造方法。
  5. 良溶媒にスルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を溶かし、混合液を作成する工程と、
    前記混合液に金属触媒担持カーボン粒子を添加し、ペーストを形成する工程と、
    前記ペーストを支持板上に流延し、材料層を形成する工程と、
    前記材料層の表面を乾燥する工程と、
    前記支持板及び前記材料層を、貧溶媒中に浸すことによって、前記貧溶媒と前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料を相分離させ、前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料、金属触媒担持カーボン粒子からなる多孔質触媒層を形成する工程と、
    前記スルホン酸基を有する芳香族炭化水素高分子材料で構成されている電解質膜を用意する工程と、
    前記電解質膜と、前記多孔質触媒層と、を接合して、接合体を形成する工程と、を有することを特徴とする接合体の製造方法。
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