JP2009203849A - エンジン出力制御構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン出力操作部材703を第1操作位置から第2操作位置へと操作すると、制御装置700により、予め記憶されている制御関数Fに、前記第1操作位置に対応した前記エンジン10の出力回転数である第1回転数R1と前記第2操作位置に対応した前期エンジン10の出力回転数である第2回転数R2と所定のフィルタ定数Tとが入力されて時間に対する目標エンジン回転数Roが算出される。
そして、制御装置700により算出された目標エンジン回転数Roに基づいてガバナアクチュエータ702が作動制御される。
【選択図】図4
Description
前記ガバナ機構を人為操作するためのエンジン出力操作部材としては、所定の操作位置でレバー位置が保持される(所定のエンジン出力が保持される)スロットルレバー(ハンドアクセルレバー)及び非操作時には最小出力側(アイドリング側)に自動復帰するスロットルペダル(フートアクセルペダル)を備えているものが公知である(例えば、特許文献1参照)。また、多段変速装置は、当該多段変速装置を人為操作するための変速レバーを用いて人為操作される。
また、作業時においては、エンジン回転数は略一定に制御されていたため、作業負荷に応じて走行速度が増減される場合があった。
ここで、エンジン出力操作部材を第1操作位置から第2操作位置へと操作すると、制御装置により、予め記憶されている制御関数に、前記第1操作位置に対応した前記エンジンの出力回転数である第1回転数と前記第2操作位置に対応した前記エンジンの出力回転数である第2回転数と所定のフィルタ定数とが入力されて時間に対する目標エンジン回転数が算出される。
そして、制御装置は、エンジンの出力回転数が算出された目標エンジン回転数となるようにガバナアクチュエータを作動制御する。
そして、前記制御装置は、加速操作と判別した場合には、前記エンジンの出力回転数が前記エンジン出力操作部材の操作に対して線形に変化するように前記ガバナアクチュエータを作動制御する。一方、前記制御装置は、減速操作と判別した場合には、前記制御関数に基づいた目標エンジン回転数となるようにガバナアクチュエータを制御する。
これにより、車速の急激な減少により走行フィーリングが悪化する減速操作においては、制御関数に基づいたエンジン出力制御を行う一方で、よりダイレクトな加速感を得ることが好ましい加速操作においては、前記制御関数を用いることなく線形にエンジン出力制御を行うことにより、より走行フィーリングを向上させることができる。
このように、フィルタ定数変更部材により走行態様や作業態様に応じて制御特性を調整することにより、より適切な走行態様を採用することができるため、走行フィーリングを向上させて、オペレータの意思に合致させることができる。
従って、走行モードを選択することにより自動的に好適なエンジン出力特性を得ることができる。
従って、入力するフィルタ定数の値を作業車輌の走行状態に合わせて容易に選択することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン出力制御構造が適用されたトラクタ1の左側面図である。また、図2は、図1のトラクタ1の伝動機構を示す図である。
本実施の形態においては、前記トラクタ1は、前記出力部30として駆動車軸31及びPTO軸29を有している。
従って、前記伝動部20は、前記エンジン10からの動力を駆動車軸31へ伝達するとともに、前記PTO軸29へも伝達するように構成されている。
前記前後進切替え装置3は、エンジン10の出力軸となる原動軸8と該原動軸8に平行(図示の形態においては下方)に配置された従動軸9との間に配設されている。前記高低速切替え装置13は、従動軸9の延長線上に配置され該従動軸9に連結された駆動軸47と原動軸8の延長線上に配置された中空の従動軸12との間に配設されている。
前記主変速装置16は、従動軸12の延長線上に配置され該従動軸12に連結された中空の駆動軸14と駆動軸47の延長線上に配置された従動軸15との間に配設されている。
前記副変速装置19は、従動軸15及び該従動軸15に作動的に連結された中空のカウンタ軸17と、前記従動軸15の延長線上に配置されたプロペラ軸18との間に配設されている。なお、前記中空カウンタ軸17は、前記駆動軸14の延長線上に配置されている。
前記プロペラ軸18の後端には、左右後輪用のデファレンシャルギヤ機構の入力傘歯車49に対し噛合される小傘歯車21が設けられている。また、伝動部20の底部には、副駆動軸である前車軸32へ向けて回転動力を出力する前輪駆動力取出し軸23が配設されており、該前輪駆動力取出し軸23は、前輪駆動クラッチ24を介して、前記プロペラ軸18に接続されている。
前後進切替え装置3は、さらに、歯車34,35の間において原動軸8に固定設置された前進用油圧クラッチ40F及び後進用油圧クラッチ40Rを有している。前進用油圧クラッチ40F及び後進用油圧クラッチ40Rは、共通のクラッチシリンダ内に設けられる。
各油圧クラッチ40F,40Rは、それぞれ周知の摩擦多板式クラッチとされている。かかる構成において、前進用油圧クラッチ40Fをクラッチ係合状態として歯車34を原動軸8に作動的に連結させると、従動軸9が車輌前進方向に回転する。逆に、後進用油圧クラッチ40Rをクラッチ係合状態として歯車35を原動軸8に作動的に連結させると、従動軸9が車輌後進方向に回転する。
高低速切替え装置13は、さらに、歯車43,44の間に位置するように、駆動軸47に配設された高速用油圧クラッチ48H及び低速用油圧クラッチ48Lを備えている。高速用油圧クラッチ48H及び低速用油圧クラッチ48Lは、駆動軸47に固定設置された共通のクラッチシリンダを備えている。高速用油圧クラッチ48H及び低速用油圧クラッチ48Lは、それぞれ周知の摩擦多板式クラッチとされている。
さらに、前記主変速装置16は、歯車56,57間及び歯車56,58間に位置するように従動軸15に設けられた2個の複式同期クラッチ61,62を備えており、歯車56〜58を選択的に従動軸15に結合させることにより、3段の変速を得るように構成されている。
かかる構成の副変速装置19は、複式クラッチ74を中立位置に位置させた状態で複式クラッチ72により歯車71をプロペラ軸18に相対回転不能に結合させた1速と、複式クラッチ74を中立位置に位置させた状態で複式クラッチ72により歯車70をプロペラ軸18に相対回転不能に結合させた歯車67,70を噛合させた2速と、複式クラッチ74によりプロペラ軸18を歯車73に結合させた3速と、複式クラッチ74によりプロペラ軸18を従動軸15に直結させた4速とに応じた回転速度をプロペラ軸18に選択的に得ることができる。
図3に、図1のトラクタ1におけるエンジン出力制御構造の構成図を示す。
前記エンジン10の出力変更操作は、スロットルペダルやスロットルレバー等のエンジン出力操作部材703を人為操作することにより行われる。前記エンジン出力操作部材703の操作量は、当該エンジン出力操作部材703の操作位置を検出する操作位置検出センサ704により電気信号に変換され、前記ガバナアクチュエータ702の作動制御を行う前記制御装置700に送信される。
前記操作位置検出センサ704は、前記エンジン出力操作部材703の操作軸705回りの回転角度を検出するポテンショセンサ等により実現される。
前記トラクタ1は、エンジン出力制御構造として、前記フィルタ定数Tを変更するための人為操作可能なフィルタ定数変更部材706を備えている。
前記フィルタ定数変更部材706は、操作軸回り回転可能なポテンショセンサ(図示せず)を有し、前記フィルタ定数変更部材706の操作量がポテンショセンサで検出され、電気信号に変換されて、前記制御装置700に送信される。
図4に、本実施形態におけるエンジン出力制御構造の制御フローを示す。
図5及び図6に示すように、本実施形態の制御関数Fとしては、一次遅れ関数(ローパスフィルタ)が適用される。一次遅れ関数である制御関数Fは、例えば、以下に示す伝達関数G(s)を有している。
[数1]
G(s)=2πfc/(s+2πfc)
ここで、fcは、カットオフ周波数である。
[数2]
sXn[0]=IN−D1×sXn[1]
OUT=N0×sXn[0]+N1×sXn[1]
ここで、INには、エンジン出力操作部材703の操作に対して線形対応させた場合(前記制御関数F(ローパスフィルタ)を適用しなかった場合)のエンジン10の目標エンジン回転数Rmが入力される。即ち、前記INには、前記エンジン出力操作部材703の操作に応じて第1回転数R1から第2回転数R2まで変化する値が入力される。また、OUTは、制御関数Fに基づいて出力された(フィルタ処理後の)目標エンジン回転数Roである。また、sXn[0]は、現在の中間変数であり、sXn[1]は、1サンプリング前の中間変数である。
さらに、D1,N0,N1は、以下のように表される。
[数3]
D1=(2π×fc×Δt)
N0=0
N1=2π×fc×Δt
ここで、Δtは、サンプリング周期である。
このカットオフ周波数fcをフィルタ定数変更部材706を用いて変更することにより、図5及び図6に示すように、フィルタ定数Tが変化する結果、時間に対する目標エンジン回転数Ro、つまり、エンジン出力の制御特性が変更される。
即ち、前記所定時間ts経過後における前記目標エンジン回転数Roの値が同時刻における前記線形制御エンジン回転数Rmの値を上回る場合(図5)は、減速時と判定され、下回る場合(図6)には、加速時と判定される。
一方、図6に示すような加速操作の場合(ステップS5でNo)には、前記エンジン10の出力回転数が前記エンジン出力操作部材703の操作に対して線形に変化するように(図6における破線の値となるように)前記ガバナアクチュエータ702が作動制御される(ステップS7)。
また、特にHST(Hydraulic Static Transmission)のような無段変速機構を有しないトラクタ1に適用した場合、無段変速装置を有しないにも拘らず、滑らかな車速の変更を行うことができる。
この場合、前記走行モード選択部材を前記各モード位置の何れかへ切替操作することにより、前記走行モード選択部材により選択された走行モードに移行(車速制御等が変更される)し、前記制御装置700は、前記選択された走行モードに応じて予め設定、記憶されている前記フィルタ定数Tに基づいて制御関数Fの制御特性を変更する(目標エンジン回転数Roを算出する)。
また、例えば、路上走行時(高速走行時)においては、減速の際に、エンジン出力操作部材703の操作に対してエンジン回転数が緩やかに変化することが望まれる。即ち、エンジン出力操作部材703の操作を解除した場合(踏み込んでいたスロットルペダルから足を急に離した場合)、当該エンジン出力操作部材703の操作量が急激に減少するため、これに応じてエンジン10の出力回転数も急激に減少させてしまうと、トラクタ1が急減速して走行安定性が損われる。このような路上走行時には、前記フィルタ定数変更部材706として機能する走行モード選択部材を路上走行モード位置へ切替操作することにより、前記エンジン出力操作部材703の操作に対するエンジン出力を緩やかに制御するべく、前記フィルタ定数Tを大きくすることが有効である。
従って、走行モードを選択することにより自動的に好適なエンジン出力特性を得ることができる。
なお、前記フィルタ定数変更部材706として機能する走行モード選択部材を備える場合であっても、当該走行モード選択部材とは別に、専用のフィルタ定数変更部材706を備えることとしてもよい。即ち、走行モード選択部材で選択される走行モードとは関係なく前記専用のフィルタ定数変更部材706を操作することで任意のフィルタ定数Tを設定することができる。
また、前記複数の走行モードは、一例であり、これらに限定されない。
例えば、フィルタ定数変更部材706は、運転席近傍(前方)の操作パネル面上に設けられ、図7に示すように、フィルタ定数変更部材706の操作軸に相対回転不能に固定された把持部706aの周囲の操作パネル面に所定の走行状態(例えば、作業走行状態、圃場走行状態及び路上走行状態)毎に適した設定位置が指し示された指標パネル707が取り付けられる(操作パネル面上に直接印字等されてもよい)。
しかも、フィルタ定数変更部材706は、当該指標パネルで指示された位置以外の位置へも操作可能であるため、一先ずフィルタ定数変更部材706を路上走行位置に設定した上で、路面状況や好みに合わせて再度フィルタ定数変更部材706を微調整することが可能である。
従って、入力するフィルタ定数Tの値をトラクタ1の走行状態や好みに合わせて容易に選択することができる。
例えば、上記実施形態ではHST(Hydraulic Static Transmission)のような無段変速装置を用いない構成について説明したが、前記HSTのような無段変速装置を備えた走行系伝達機構を有する作業車輌にも適用可能である。前記HSTを有する作業車輌においては、本発明のエンジン出力制御に加えて、前記エンジン出力に応じてHSTの出力を自動制御することも可能である。これにより、エンジン10の出力回転数とHST出力との間で、回転数の急激な減少又は増加を緩和することができ、走行フィーリングをより向上させることができる。
また、上記実施形態においては、減速操作時においてのみ制御関数Fに基づいた目標エンジン回転数Roを採用することとしているが、加速操作時においても制御関数Fに基づいた目標エンジン回転数Roを採用することとしてもよい。この場合には、減速時と加速時とで異なるフィルタ定数Tを採用可能に構成することが好ましい。
10 エンジン
700 制御装置
701 ガバナ機構
702 ガバナアクチュエータ
703 エンジン出力操作部材
704 操作位置検出センサ
706 フィルタ定数変更部材
F 制御関数
Ro 目標エンジン回転数
R1 第1回転数
R2 第2回転数
T フィルタ定数
Claims (5)
- 出力回転数を変化させるガバナ機構及び前記ガバナ機構を作動させるガバナアクチュエータを有するエンジンと、人為操作可能なエンジン出力操作部材と、前記エンジン出力操作部材の操作位置を検出する操作位置検出センサと、前記操作位置検出センサからの検出信号に基づき前記ガバナアクチュエータの作動制御を行う制御装置とを備えた作業車輌に適用されるエンジン出力制御構造であって、
前記制御装置には、前記エンジンの出力回転数に関し、所定のフィルタ定数によって決定される制御関数が記憶されており、
前記制御装置は、前記エンジン出力操作部材の第1操作位置から第2操作位置への操作に応じて、前記エンジン出力操作部材の第1操作位置に対応した前記エンジンの出力回転数である第1回転数と、前記エンジン出力操作部材の第2操作位置に対応した前記エンジンの出力回転数である第2回転数と、前記フィルタ定数とに基づいて、前記制御関数を用いて時間に対する目標エンジン回転数を算出し、
算出された前記目標エンジン回転数に基づいて前記ガバナアクチュエータを作動制御することを特徴とするエンジン出力制御構造。 - 前記制御装置は、前記エンジン出力操作部材の操作に対して線形に変化した場合の前記エンジンの出力回転数と前記目標エンジン回転数とを比較して前記エンジン出力操作部材への操作が加速操作か減速操作かを判別し、
前記加速操作の場合には、前記エンジンの出力回転数が前記エンジン出力操作部材の操作に対して線形に変化するように前記ガバナアクチュエータを作動制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジン出力制御構造。 - 前記フィルタ定数を変更するためのフィルタ定数変更部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン出力制御構造。
- 前記フィルタ定数変更部材は、作業車輌の走行状態に応じた走行モードを選択する走行モード選択部材を含むことを特徴とする請求項3に記載のエンジン出力制御構造。
- 前記フィルタ定数変更部材には、作業車輌の走行状態毎に適した設定位置が視認可能に付設されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のエンジン出力制御構造。
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