JP2009203535A - 鉄基焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度および靱性に優れた鉄基焼結合金およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の鉄基焼結合金は、純鉄または鉄合金からなる一種以上の粗粉末と該粗粉末よりも平均粒径が小さい純鉄または鉄合金からなる一種以上の微粉末とを含む原料粉末を混合した混合粉末を加圧成形してなる粉末成形体を加熱し焼結させた焼結体からなる鉄基焼結合金において、前記微粉末の平均粒径(d)と前記粗粉末の平均粒径(D)と微粉末の配合量を特定範囲とした高密度成形体からなる。本発明の鉄基焼結合金は、高強度および高靱性であると共に耐疲労強度に優れ、鉄基焼結合金の用途が拡大される。
【選択図】図1

Description

本発明は、強度および靱性に優れた鉄基焼結合金およびその製造方法に関する。
機械部品等の構造部材の製造コストを削減するため、鉄を主成分とする原料粉末を加圧成形した粉末成形体を、さらに加熱焼結させた鉄基焼結合金からなる鉄基焼結合金部材が従来から利用されている。鉄基焼結合金部材を用いれば、最終形状に近い製品を得ることが可能となり、機械加工削減や歩留り向上等によって、構造部材の製造コストや材料コストの低減を図れる。
もっとも、従来は、高密度の粉末成形体を工業的に得ることができなかった。このため、低密度の鉄基焼結合金しか得られなかったり、高密度であっても寸法安定性が悪くて焼結法を採用したそもそもの趣旨に合致しない場合が多かった。従って、高強度の要求される構造部材に、鉄基焼結合金部材が使用されることは少なかった。
しかし、本発明者の開発した金型潤滑温間加圧成形法によれば、工業的にも超高圧成形が可能となり、従来になく高密度の粉末成形体が得られるようになった。しかも、寸法安定性に優れ、かつ高密度な焼結体も得られるようになった。このため、鉄基焼結合金の用途が各種の構造部材にまで急激に拡大しつつある(下記の引用文献1〜3参照)。
さらに本発明者は、その強度と靱性を一層高めた鉄基焼結合金を既に開発しており、鉄基焼結合金部材の用途はますます拡大傾向にある(下記の特許文献4参照)。
特許3309970号公報 特開2005−336608号公報 特開2005−336609号公報 特開2006−233331号公報 特開2001−98301号公報 特許3952006号公報 特許3904112号公報
(1)上述のように本発明者の開発した鉄基焼結合金は、特許文献4等に記載されているように十分に高強度であるが、部材の軽量化、コンパクト化、低コスト化等をさらに図る上で、より一層高い強度や靱性等の機械的特性をもつ鉄基焼結合金が求められている。特に、現実に鉄基焼結合金を構造部材に使用する場合、単にその引張強度(抗折力)が高いのみならず、疲労強度が高いことも非常に重要となっている。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、鉄基焼結合金の強度、特に疲労強度を高めた鉄基焼結合金およびその製造方法を提供することを目的とする。
(2)なお、特許文献5には、ステンレス鋼からなる小径粒子をそれとほぼ同組成の大径粒子の表面に、1〜2重量%のバインダを用いて付着させた造粒粉末からなる高密度焼結体が開示されている。もっとも、特許文献5の焼結体は、そもそも、気密性や歩留りを向上させる程度の高密度を意図しているに過ぎず、本発明のような著しい高強度化を意図したものではない。また、その造粒に使用されたバインダが焼結前に脱ろう処理で除かれることからも解るように、圧粉体の密度や寸法安定性は少なくともそのバインダ分だけ低下し、さらには、少なくとも脱ろう処理の分、焼結体の製造コストも高くなる。加えて、バインダの残留やバインダの排出により形成される気孔により、焼結体の強度低下、特に、疲労強度の低下がもたらされ得る。
特許文献6では、平均粒径が8.5μm以下の微粉のみをバインダで造粒した造粒粉末を用いて高密度の焼結体を得ている。しかし、特許文献6の焼結体も本発明のような著しい高強度化を意図したものではなく、特許文献5と同様に、バインダ使用に伴う問題点を有する。
特許文献7にも微粉からなるオーステナイト系ステンレス鋼の焼結体が開示されている。しかし、この場合も本発明のような著しい高強度化を意図したものではなく、やはり上述のようなバインダ使用に伴う問題点を有する。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、高密度の粉末成形体を焼結させた焼結体の強度、特に疲労強度を従来になく高めることに成功し、本発明を完成するに至った。
〈鉄基焼結合金〉
(1)本発明の鉄基焼結合金は、純鉄または鉄合金からなる一種以上の粗粉末と該粗粉末よりも平均粒径が小さい純鉄または鉄合金からなる一種以上の微粉末とを含む原料粉末を混合した混合粉末を加圧成形してなる粉末成形体を加熱し焼結させた焼結体からなる鉄基焼結合金において、
前記微粉末の平均粒径(d)は1≦d≦25(μm)であり、前記粗粉末の平均粒径(D)はd<D<63(μm)であり、前記混合粉末全体に対する該微粉末の割合は5〜45質量%であり、前記焼結体は理論密度(ρ0’)に対する焼結体の嵩密度(ρ’)の比である焼結体密度比(ρ’/ρ0’ x100%)が96%以上であり、高強度であることを特徴とする。
(2)本発明者は、平均粒径および配合割合が特定された混合粉末を高密度成形した粉末成形体を焼結させることで、従来から既に高かった鉄基焼結合金の高強度、特に実用上非常に重要な疲労強度を一層高め得ることを新たに見いだし、本発明を完成させた。
本発明でいう混合粉末は、少なくとも、上記した平均粒径の範囲内にある少なくとも一種以上の粗粉末と少なくとも一種以上の微粉末とを含み、その微粉末の原料粉末全体に対する割合が上記の範囲となる粉末である。もっとも、混合粉末をこのような表現で特定したのは、原料粉末中の粒度分布を特定範囲に限定するためであり、工業的にみれば複数種の粉末を混合するのが一般的だからである。従って逆にいえば、上記のような平均粒径と配合割合によって特定される粒度分布と同様な粒度分布が得られるならば、粒径が適度に分布した実質的に単種の粉末も、本発明の混合粉末に含まれることになる。さらに、混合粉末は粗粉末と微粉末からなるものの、単に二種に限定されるものではなく、三種以上の粉末を混合したものでもよい。すなわち、平均粒径から観て粗粉末の範疇に含まれる二種以上の粉末が混在していても良いし、平均粒径から観て微粉末の範疇に含まれる二種以上の粉末が混在していても良い。
ところで、このような混合粉末を用いることで、従来よりも鉄基焼結合金の強度等が向上した理由やメカニズムは必ずしも定かではないが、現状次のように考えられる。
粗粉末および微粉末(以下、両者を併せて「主原料粉末」という。)の平均粒径(粒度)および配合割合を適正化することで、粗粉末の粒子間に微粉末が充填、導入される。このため、焼結体中に残存する残留気孔が小径化されるのみならず、点在する粗大残留気孔の頻度が著しく減少したと思われる。
この粗大残留気孔等は、粒子の結合界面等に脆弱な介在物が存在する場合と同様に、破壊の起点となり易い部分である。従って、粗大残留気孔等を著しく減少させることで、本発明の鉄基焼結合金の強度、特に疲労強度を大幅に向上させることができる。
ここで本発明の鉄基焼結合金は、単に焼結体が高密度であってその中の残留気孔や粗大残留気孔が少ないというだけではない。その焼結体に至る前段階である粉末成形体自体が非常に高密度である。つまり、本発明の鉄基焼結合金は、高密度な粉末成形体を経て高密度な焼結体に至っている。しかも、単に粉末成形体が高密度であるというだけではなく、粉末成形体を構成する原料粉末(混合粉末)の粒度分布が前述したような特徴をもつ。このため、本発明の鉄基焼結合金の前身である粉末成形体は、通常の粉末を高密度成形した粉末成形体に比べて、その内部に存在する残留気孔径が非常に小さく、破壊の起点となるような粗大残留気孔を実質的にほとんど有しないものになったと思われる。
そしてこの粉末成形体が焼結された本発明の鉄基焼結合金は、その気孔がさらに小さくなる傾向にあり、粗大残留気孔が一層減少したものとなる。こうして、本発明の鉄基焼結合金は、従来になく、強度(特に疲労強度)や靱性等の機械的特性に非常に優れたになったと思われる。
ここで一見すると、従来よりも平均粒径の小さい粉末を用いることで、粉末成形体や焼結体の密度が向上し、鉄基焼結合金の強度等が向上することは当然のようにも思われる。しかし、そもそも、平均粒径が小さくなる程、粉末は硬質化して高密度な粉末成形体を得ること自体困難となる傾向にある。また、平均粒径が小さくなる程、いわば粘土質化し易いため、粉末成形自体が困難となり易い。つまり、単に原料粉末を微細化しただけでは、微細な粉末同士が二次凝集したり、ブリッジングを起こし易くなる。このため従来は、原料粉末が微細になるほど逆に粗大な残留気孔を頻繁に形成するおそれが強いため、平均粒径の小さい微粉末を用いることは少なかった。微粉末を用いる場合であっても、わざわざバインダを用いてその微粉末を一旦造粒粉にしてから使用等していた。
しかし、これでは、鉄基焼結合金に本来期待される形状維持性や寸法安定性、さらには製造コスト削減等が犠牲になるなどの種々の問題があることは前述した通りである。ちなみに、本発明の場合、微粉末を用いつつも均一な混合粉末を得ることに成功しており、さらに、前述のようなバインダや内部潤滑剤等を使用するまでもなく成形体密度比が95%以上という高密度な粉末成形体が得られている。これにより、鉄基焼結合金中の粗大残留気孔を含む残留気孔の小径化が図れて、鉄基焼結合金の機械的特性が格段に向上したと思われる。
(3)本明細書でいう「粗大残留気孔」とは、特異的に存在する粗大な残留気孔であり、その大きさは残留気孔の平均径とは異なる。このような粗大残留気孔は、例えば、(i)凝集した黒鉛粉末中の炭素が焼結中に純鉄や鉄合金粉末中に拡散したり、(ii)微粉のブリッジングで形成された空隙が成形工程で圧縮されきれずに残留するなどして生じると思われる。
粗大残留気孔の大きさは100〜250μm程度であるが、本発明によればその大きさが63μm以下さらには50μm以下になる。
本発明でいう粗粉末および微粉末は、前述したように、それぞれ一種類である場合に限らず、二種類以上でも良い。上記範囲内で平均粒径の異なる粗粉末と、上記範囲内で平均粒径の異なる微粉末とを混合したものでも良い。また、平均粒径が同じでも、組成の異なる二種以上の粗粉末または微粉末を混合したものでも良い。なお、このような主原料粉末の平均粒径は、粉末粒子径分布曲線において累積頻度が50%となる粒子径である。
本発明の鉄基焼結合金の機械的特性は、原料粉末の組成、成形体密度(または成形圧力)、焼結条件(温度、時間、雰囲気等)等によって異なり、一概に特定することはできない。敢ていうならば、「強度」に関して、引張強さで2200MPa以上、2300MPa以上さらには2350MPa以上であると好ましい。抗折力でいえば、3000MPa以上、3200MPa以上、3500MPa以上、3700MPa以上さらには3800MPa以上であると好ましい。耐久疲労限(回転曲げ疲労強度)でいえば、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上さらには670MPa以上であると好ましい。また、「靱性」は、例えば後述の抗折試験のたわみ量が1.0mm以上、1.2mm以上さらには1.4mm以上であると好ましい。また、引張試験の伸びが1%以上、2%以上3%以上さらには4%以上であると好ましい。
本明細書でいう「鉄基焼結合金」はその形態を問わず、例えば、インゴット状、棒状、管状、板状等の素材であっても良いし、最終的な形状またはそれに近い構造部材自体であっても良い。従って、この鉄基焼結合金を「鉄基焼結合金部材」と言い換えることもできる。
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限xおよび上限yを含むものとする。また、本明細書に記載した下限および上限は任意に組合わせることができる。この上限および下限には、「x〜y」のような記載形式の上限xおよび下限yを含む。
〈鉄基焼結合金の製造方法〉
(1)上記の鉄基焼結合金は、例えば、次のような本発明の製造方法によって得られる。すなわち、本発明の鉄基焼結合金の製造方法は、純鉄または鉄合金からなる一種以上の粗粉末と該粗粉末よりも平均粒径が小さい純鉄または鉄合金からなる一種以上の微粉末とを含む原料粉末を混合して混合粉末とする混合工程と、該混合粉末を金型へ充填し加圧して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を酸化防止雰囲気で加熱し焼結させて焼結体とする焼結工程とを備え、該焼結工程後に本発明の高強度の鉄基焼結合金が得られることを特徴とする。
(2)ところで、微細な主原料粉末を用いる程、各粒子の表面積の総和である総表面積が増加する。各粉末粒子の表面には酸素等が付着しているのが通常であるから、平均粒径の小さな粉末を使用する程、粉末成形体中に導入される酸素や水分等が増加することになる。このような粉末粒子の表面に付着した酸素、水分、油分等の付着物は、粉末成形体の段階で特に問題となることは少ないが、粉末成形体を焼結させた場合、特に本発明のように高密度な粉末成形体を焼結させた場合、鉄基焼結合金の強度や形状安定性等に影響を与え得る。
例えば、高密度な粉末成形体を成形した場合、原料粉末の粒子間に形成される気孔は閉塞気孔(密閉気孔)となる。このため、粉末に付着していた付着物(特に酸素等のガス)は、成形前に十分に除去されない場合、その閉塞気孔内に閉じこめらて、焼結時の高温化で熱膨張したりし得る。さらに、粒子表面に付着していた酸素等は、粉末の合金成分(例えば、炭素(C))または原料粉末に混在させた合金粉末(例えば、黒鉛粉末)と反応して別のガス(例えば、COやCO2)となって体積膨張をする場合もあり得る。このようなことが、焼結体中の粗大残留気孔径の拡大要因となったりもする。
そこで、本発明の鉄基焼結合金を製造する際に、酸化防止雰囲気下で焼結させることは勿論のこと、高真空下、特に酸素濃度が可能な限り低い雰囲気下で焼結するのが好ましい。ただ、そのような雰囲気下で焼結を行うとしても、本発明に係る粉末成形体は高密度で内部にある気孔は閉塞していることが多い。このため、焼結体中に、粉末成形体の内部からガス等が抜けることは期待し難い。また、工業的な量産を考慮すると、真空中や極低酸素雰囲気下で原料粉末を前処理してから、粉末成形体を成形することも現実的ではない。また、そうしたからといって、室温下にある粉末粒子の表面から付着した酸素等が十分に除去されるとも限らない。
そこで、粉末表面に付着した酸素等を、酸化物の固体等に変化させる形態制御により焼結体中に取込むことで、上述した問題が解決される。ここで、粒子間の接合部分であるネック部に酸化物等が形成された場合、その介在物が新たな破壊の起点となることも予想される。しかし、現実には、残留気孔に比べてその介在物は小さく、ネック部に破壊の起点となるような大きな介在物が形成されることはほとんど無い。従って、このような酸化物等の形成によって鉄基焼結合金の強度や靱性等の機械的特性が低下することは少ない。
以上のことを踏まえて、本発明の鉄基焼結合金およびその製造方法は、前記原料粉末が、前記粗粉末および前記微粉末とは別に、該粗粉末および該微粉末に含まれる元素よりも酸素(O)と結合し易い易酸化元素からなる易酸化粉末を含むと好適である。
これにより、例えば、酸素を多く含有する微細な粉末を主原料粉末として高密度な焼結体を形成した場合でも、微量の易酸化(卑な)元素の添加で、酸素による強度特性の低下が十分に抑制される。すなわち、微量の易酸化(卑な)元素の添加で、粗大残留気孔の頻度を低減しつつ、それを小径化する効果が確実に発揮され、強度や靱性等に優れた鉄基焼結合金が得られる。
(3)本発明の鉄基焼結合金は、微細な原料粉末から製造されるが、前述した先行技術等と異なり、製造過程で造粒等も不要であり、また、バインダ等を使用する必要もない。本発明では、上述した原料粉末を混合して、原料粉末全体としての粒度分布が適正となるようにするだけで足る。もっとも、平均粒径の小さい粉末を用いる程、微細な粉末粒子同士が二次凝集したりブリッジングしたりし易くなるのは本発明でも同様である。
そこで本発明者は、通常の回転混合エネルギーに加えて、機械的エネルギーやプラズマエネルギーを原料粉末へ付与することで、微細な原料粉末を用いた場合でも、粉末の二次凝集やブリッジングを効率的に抑制させつつ、均一な混合粉末が得られることを新たに見いだした。
従って、本発明の混合工程は、前記原料粉末を構成する粒子の界面に機械的エネルギーまたは励起エネルギーを付与するエネルギー付与工程を含むと好適である。勿論、これらのエネルギー付与工程はそれぞれ単独でも可能ではあるが、従来の回転混合エネルギーの付与工程と併せると一層効率的である。
これに依り、造粒等することなく、微細な原料粉末を用いつつも、均一な混合粉末からなる均一な粉末成形体が得られ、最終的には残留気孔の小径化を図れ、粗大残留気孔の頻度低減または小径化が促進されて、鉄基焼結合金の強度や靱性等を確実に向上させることができる。
〈付加的構成〉
本発明の鉄基焼結合金またはその製造方法は、上述した構成に加えて、次に列挙する構成中から任意に選択した一つまたは二つ以上がさらに付加されるものであると好適である。なお、下記から選択された構成は、複数の発明に重畳的かつ任意的に付加可能であることを断っておく。
また、便宜上、鉄基焼結合金自体とその製造方法とを区別して記載するが、下記に示したいずれの構成も適宜、カテゴリーを越えて相互に組合わせ可能である。例えば、原料粉末の組成に関する構成であれば、鉄基焼結合金自体にも、その製造方法にも関連することが明らかである。また、一見、「方法」に関する構成のように見えても、プロダクトバイプロセスとして理解すれば、「物」に関する構成ともなる。
(1)鉄基焼結合金
(i)前記粉末成形体は、理論密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である粉末成形体密度比(ρ/ρ0 x100%)が95%以上、96%以上、97%以上さらには98%以上の高密度である。
(ii)前記原料粉末または焼結体は、全体を100質量%としたときに、Cr:0.1〜10質量%、Mo:0.1〜2.5質量%、Mn:0.01〜1.2質量%、Si:0.01〜1.2質量%、C:0.01〜1質量%のいずれか一種以上の焼結体を改質する改質元素を含む。
なお、原料粉末(混合粉末)の場合、各種の粉末とその配合割合とから換算することで全体の組成が求まる。一方、焼結体(鉄基焼結合金)の組成は、原料粉末の粒子レベルで観ると均一な組成ではないため、少なくとも1cm3 程度の平均組成の分かる方法(例えば、化学的な湿式分析)により全体組成が決定される。
(iii)前記粗粉末の成分組成と前記微粉末の成分組成とは異なる。
(iv)前記粗粉末は、前記平均粒径または成分組成の異なる複数種の粉末からなる。
(v)前記微粉末は、前記平均粒径または成分組成の異なる複数種の粉末からなる。
(vi)前記粗粉末または前記微粉末の少なくともいずれか一方は、粉末全体を100質量%としたときに含有するC量が0.4質量%以下の低炭素鋼からなる。
(vii)前記原料粉末に含まれる少なくとも一つの粉末は、粉末全体を100質量%としたときに、Cr:0.1〜15質量%、Mo:0.2〜3.0質量%、Mn:0.03〜1.5質量%、Si:0.01〜1.5質量%、C:0.01〜0.4質量%のいずれか一種以上の改質元素を含む鉄合金からなる。
(viii)前記原料粉末は、前記改質元素からなる改質粉末を含む。
(ix)前記改質粉末は、単体(純物質)粉末、鉄合金(フェロアロイ)粉末または化合物粉末のいずれかである。
(x)前記改質元素は、前記粗粉末または微粉末に予合金化されている。
(xi)前記原料粉末は、実質的にCuを含まないCuフリー粉末である。
(xii)前記粗粉末は、0.1〜3.0質量%のMoと残部がFeおよび不可避不純物からなる鉄合金粉末である。
(xiii)前記微粉末は、0.5〜3.5質量%のCr、0.1〜0.6質量%のMo、0.01〜1質量%のMn、0.01〜0.5質量%のSiおよび0.001〜1質量%のCと残部がFeおよび不可避不純物からなる鉄合金粉末である。
(ix)前記原料粉末は、前記粗粉末および前記微粉末とは別に、該粗粉末および該微粉末に含まれる元素よりも酸素(O)と結合し易い易酸化元素からなる易酸化粉末を含む。
(xv)前記粗粉末および前記微粉末は、各々の粉末全体を100質量%としたときに含まれるC量が1.0質量%以下の低炭素鋼粉末であり、 前記原料粉末はさらに炭素粉末を含む。
(2)鉄基焼結合金の製造方法
(i)前記成形工程は、高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された前記金型内へ前記混合粉末を充填する充填工程と、該混合粉末を温間状態で加圧して該金型内面に接する該混合粉末の表面に前記高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜を生成させる温間加圧成形工程からなる。
(ii)前記焼結工程は、酸素分圧が10-19Pa以下に相当する極低酸素分圧の不活性ガス雰囲気内で行う工程である。
(iii)前記易酸化粉末は、前記易酸化元素を含む単体(純物質)粉末、鉄合金(フェロアロイ)粉末または化合物粉末のいずれかである。
(iv)前記易酸化粉末は、MnおよびSiの合金または化合物からなるMn−Si系粉末またはFe、MnおよびSiの合金または化合物からなるFe−Mn−Si粉末のいずれかである。
(v)前記混合工程は、回転混合、撹拌混合またはプラズマ混合のいずれか一種以上からなる。
(vi)前記混合工程は、回転混合に撹拌混合またはプラズマ混合のいずれかを付加したものである。
(vii)前記成形工程は、高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された前記金型内へ前記混合粉末を充填する充填工程と、該混合粉末を温間状態で加圧して該金型内面に接する該混合粉末の表面に前記高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜を生成させる温間加圧成形工程である。
(viii)前記焼結工程は、酸素分圧が10-19Pa以下に相当する極低酸素分圧の不活性ガス雰囲気内で行う工程である。
(ix)前記原料粉末中には全体としてCが含まれ、さらに前記焼結工程後の焼結体を焼入れおよび焼戻しする熱処理工程を備える。
次に、実施形態を挙げて、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る鉄基焼結合金のみならずその製造方法にも、適宜適用することができる。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
〈原料粉末〉
(1)平均粒径と配合割合
(a)本発明の鉄基焼結合金の原料粉末は、少なくとも平均粒径の異なる二種類以上の粗粉末および微粉末(主原料粉末)からなる。
微粉末の平均粒径(d)が過小では、粉末成形が困難であり、二次凝集やブリッジングを起こし易く、さらに表面積が大きくなるため酸素や水分などの付着物が多くなって特性の低下を招くおそれがある。また、それが過大では残留気孔の十分な小径化が図れない。微粉末の平均粒径は、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上さらには5μm以上であると好ましく、また、20μm以下、15μm以下さらには13μm以下であると好ましい。
粗粉末の平均粒径(D)はそもそも微粉末の平均粒径(d)よりも大きくなければ強度的に所望の粒度分布が得られない。一方、粗粉末の平均粒径が過大では、混合時に微粉末と粗粉末が分離してしまい、残留気孔の小径化が望めないうえ、微粉末の二次凝集やブリッジングが発生し易くなり好ましくない。
粗粉末の平均粒径は、26μm以上、28μm以上さらには30μm以上であると好ましく、また、60μm以下、50μm以下さらには40μm以下であると好ましい。
(b)粗粉末と微粉末の好適な配合割合は、それら粉末の平均粒径によって異なり得るが、上述した平均粒径の範囲内では、原料粉末全体に対する微粉末の割合を5〜45質量%とすると好ましい。微粉末が過少では十分な残留気孔の小径化が達成できない。また、微粉末が過多では微粉末の二次凝集やブリッジングが起こり易くなると共に粉末成形が困難となり好ましくない。
原料粉末全体に対する微粉末の割合は、鉄基焼結合金の機械的特性の向上を図る上で、適当な粒度分布を得るために、7質量%以上、9質量%以上、13質量%以上さらには17質量%以上であると好ましく、また、42質量%以下、35質量%以下、32質量%以下さらには25質量%以下であると好ましい。
(2)粉末の配合と組成
(a)主原料粉末は鉄系粉末であり、純鉄または鉄合金からなる。鉄合金粉末に含まれる合金元素は、例えば、C、Mn、Si、Cr、Mo、V、Ti、Nb、Ni等の一種以上の改質元素である。これらの合金元素は、鉄基焼結合金の熱処理性等を向上させ、その強度向上に有効である。
Fe以外の元素は、主原料粉末中の合金元素として存在する場合の他、主原料粉末とは別の改質粉末として存在しても良い。例えば、鉄基焼結合金を熱処理する場合に重要なCは、黒鉛(グラファイト)粉末等のC系粉末として、主原料粉末へ配合されると良い。
また、主原料粉末の粒子表面に付着した酸素を酸化物として取り込み、粗大残留気孔が鉄基焼結合金内部に形成されることを抑制する酸素ゲッタとなる元素(易酸化元素)を含む粉末も、主原料粉末中の合金元素とは別に改質粉末として配合され得る。このような易酸化元素として、例えば、Si、Mnがある。これらSiやMnなどは、非常にOとの親和力が極めて高く、酸化物生成自由エネルギーが十分に低い。また、鋼の基本元素であり比較的安価に入手可能な元素でもあり、しかも鉄基焼結合金のリサイクル性を阻害することもない。
このような易酸化元素は、主原料粉末の合金元素として含まれる場合の他、単体、合金または化合物の粉末として主原料粉末へ配合され得る。MnおよびSiを例にとれば、その合金または化合物からなるMn−Si系粉末もあるが、鉄基焼結合金の主成分であるFeと、MnおよびSiとの合金または金属間化合物からなるFe−Mn−Si粉末(以下適宜、この粉末を「FeMS粉末」という。)が好ましい。
FeMS粉末は、MnやSi単体よりも、さらにOとの親和力が高く酸化物生成自由エネルギーも低い。しかもその上、それら単体よりも安価に入手可能である。従って、Fe−Mn−Si粉末(FeMS粉末)等を使用すれば、高密度で機械的特性に優れる鉄基焼結合金を低コストで得ることができる。
FeMS粉末は、FeMS粉末全体を100質量%として、例えば、Siが15〜75質量%、Mnが15〜75質量%またはSiとMnとの合計が35〜95質量%であって、主な残部がFeであると好ましい。SiやMnが過少だと、延性のある鉄合金となり、それを微粉に粉砕するのが困難となる。また、必要なSi量を確保するために、原料粉末中に配合させるFeMS粉末量が増え、鉄基焼結合金部材のコストを上昇させるため好ましくない。もっとも、SiやMnが過多だと、成分調整のためのコストが上昇するので好ましくない。Siが20〜65質量%、Mnが20〜65質量%、MnとSiとの合計が50〜90質量%であるとより好ましい。
易酸化粉末の粒径は小さい程、成形体密度比や焼結体密度比が向上し、成分変動や偏析等の少ない均質な鉄基焼結合金部材が得られる。しかし、粒径が過小な粉末は入手が困難でコスト高である。凝集等も生じ易く取扱性が悪い。そこでSi系粉末は、粒径が63μm以下さらには45μm以下さらには25μm以下で入手の容易なものを使用すれば良い。なお、本明細書でいう粒径は、篩い分けにより特定されるものである。
(b)原料粉末全体としてまたは鉄基焼結合金全体として、どのような組成とするかは、熱処理性、強度または靱性等の機械的性質等を考慮して、鉄基焼結合金全体として所望する組成に依る。Fe以外に原料粉末または鉄基焼結合金中に含まれる元素の組成として次のようなものがある。
例えば、原料粉末全体または焼結体全体を100質量%としたときに、Crは0.1〜10質量%、さらに0.1〜3.0質量%であると好ましい。Crは焼入れ性を改善し機械的特性を向上させる元素であり、これが過少では高強度化の効果が乏しく、過多では低強度相や脆性相の析出が引き起こされ好ましくない。
Moは0.1〜2.5質量%、さらに0.1〜2.0質量%であると好ましい。Moは焼入れ性を改善し、機械的特性を向上させる元素であり、これが過少では高強度化の効果が乏しく、過多では低強度相や脆性相の析出を招くと共に高コスト化となり、好ましくない。
Mnは0.01〜1.2質量%、さらに0.05〜0.6質量%であると好ましい。Mnは、Siと共に鉄基焼結合金の機械的特性(強度や延性等)を向上させる元素である。過少ではその効果が乏しく、過多になると逆に強度低下を招く。
Siは0.01〜1.2質量%、さらに0.05〜0.5質量%であると好ましい。Siは脱酸剤として作用し、延性や靱性を向上させる元素であり、これが過少ではその効果が乏しく、過多では脆化を引き起こし強度低下を招き得る。
Cは0.01〜1質量%、さらに0.1〜0.7質量%であると好ましい。Cは強度や硬さなどの機械的特性を向上させる元素であり、Cが過少では高強度な鉄基焼結合金が得られず、Cが過多になると延性が低下して好ましくない。
ちなみに、鉄基焼結合金へ導入されるCは、原料粉末の成形性やC量の調整の容易性等から、原料粉末中に黒鉛粉末等の炭素粉末として混在させるのがよい。粗粉末や微粉末にC量の高い高炭素鋼を用いると粉末成形が困難になり好ましくないからである。原料粉末に炭素粉末が含まれる場合、焼結中に炭素粉末からCが拡散して鉄基焼結合金が固溶強化される。さらに、Cを適量含む鉄基焼結合金は、焼入れ、焼戻し等の熱処理工程を施すことで、その機械的特性が著しい向上する。なお、鉄基焼結合金へのCの導入には、浸炭などを利用することも可能である。
ところで、本発明の鉄基焼結合金は、Cuを含有させるまでもなく、機械的特性に優れる。すなわち、本発明の鉄基焼結合金は、製錬等による除去困難なCuを実質的に含まないCuフリーであって、充分な機械的特性を備える。従って、本発明の鉄基焼結合金は、リサイクル性を向上させ、環境対策上好ましいものである。さらに、Cuを使用しないことで、鉄基焼結合金の材料コスト低減やCuに起因した鉄基焼結合金の熱間脆性の回避も可能となる。
(c)原料粉末としてどのような組成のどのような粉末を配合するかは、前述したように、どのような組成の鉄基焼結合金を所望するかにより先ずは決る。もっともそれ以外にも、粉末の入手性やコスト等、さらには、どのような組成または形態の粉末を配合するかにより、鉄基焼結合金の特性が影響を受け得る。
例えば、主原料粉末である粗粉末および微粉末は、前述したようなものであること以外に、さらに次のような粉末であるとより好ましい。
先ず、粗粉末は、粉末全体を100質量%として、0.25〜2.0質量%のCrおよび0.1〜3.0質量%のMoの少なくとも一方を含み、残部が鉄および不可避不純物である鉄合金粉であると、熱処理性、入手性等に優れるので好ましい。
微粉末は、粉末全体を100質量%として、0.5〜3.5質量%のCrおよび0.1〜0.6質量%のMoの少なくとも一方を含み、残部が鉄および不可避不純物である鉄合金粉であると、熱処理性、入手性等に優れるので好ましい。さらに、微粉末は、0.01〜1質量%のMn、0.01〜0.5質量%のSiおよび0.01〜1質量%のCの少なくともいずれかを含むと好ましい。
粗粉末と微粉末の組成をそれぞれ個別に調整することで鉄基焼結合金の機械的特性をより向上させ得る。例えば、微粉末の組成をCrリッチとした場合、ネック部が強化されて鉄基焼結合金の強度や疲労強度の向上が図れる。その一方で、粗粉末の組成を調整することで、ネック部と粒子内部の強度、靱性または延性を最適化することもできる。
〈製造方法〉
本発明の鉄基焼結合金の製造方法は主に、混合工程、成形工程および焼結工程とからなり、適宜、熱処理工程が行われる。以下、各工程について詳しく説明する。
(1)混合工程
混合工程は、粗粉末と微粉末とを含む原料粉末を混合して混合粉末とする工程である。この混合工程により各種の原料粉末は均一に混合され、均質な鉄基焼結合金を安定して得ることができる。
原料粉末の混合方法は、原料粉末が均一に混合される限り特に問わない。もっとも、本発明の原料粉末は、平均粒径が25μm以下の微粉末を相当量含む。粉末粒子は、その微細化が進むほどその凝集が強くなる傾向がある。このため、ボールミル等を用いた従来の回転混合方法では、その凝集を十分にほぐし、微細な粉末粒子が緻密に分散した混合粉末を短時間で得ることは容易ではない。
そこで本発明者は、先ず、単に原料粉末を回転混合するのみならず、その原料粉末に積極的に強い力を付与して攪拌効果を高めることを思いついた。これにより粉末の各粒子同士または粉末粒子と回転翼等の剛体とが強く擦られたりして、単なる混合のみならず、粉末粒子の解砕、粉砕、表面改質、平滑化、形状制御(球形化等)などが可能になる。本明細書では、このような混合を「撹拌混合」と呼ぶ。これは、原料粉末の構成粒子の界面に機械的エネルギーを付与するエネルギー付与工程とも言いうる。
次に本発明者は、回転混合や撹拌混合に加えて、原料粉末の構成粒子の界面に電気的なエネルギーを付与することを思いついた。例えば、原料粉末を収容する容器内に設けた電極間でプラズマ放電をさせて、原料粉末の構成粒子の界面に放電エネルギーを付与する。本明細書では、このような混合を「プラズマ混合」と呼ぶ。これは、原料粉末の構成粒子の界面に励起エネルギーを付与するエネルギー付与工程とも言いうる。
(2)成形工程
本発明の成形工程は、前述した混合粉末を金型へ充填し加圧して粉末成形体とする工程である。本発明でいう高密度の粉末成形体がえら得る限り、粉末成形体の形状や成形圧力自体は問題ではない。
もっとも、本発明者は、このような高密度成形体を得ることができる成形方法を確立している(特許文献1参照)。この成形方法によれば、成形圧力が1000MPa以上、1200MPa以上、1500MPa以上さらには約2000MPaといった、従来レベルを超越した超高圧成形を工業レベルで行うことが可能である。これにより得られる粉末成形体の密度は95%以上、96%以上、97%以上、98%以上さらには99%までにも到達し得る。以下、この優れた成形方法(以下、この成形方法を適宜「金型潤滑温間加圧成形法」という。)について説明する。
金型潤滑温間加圧成形法(成形工程)は、高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された金型へ前記原料粉末を充填する充填工程と、この金型内の原料粉末を温間で加圧して金型内面に接する原料粉末の表面に、前記高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜を生成させる温間加圧成形工程とからなる。この成形方法に依れば、成形圧力を相当大きくしても、原料粉末と金型の内面との間のかじり、抜圧の過大化、金型寿命の低下等の一般的な不具合を生じない。
以下、この成形方法の充填工程および温間加圧成形工程についてさらに詳述する。
(a)充填工程
原料粉末を金型(キャビティ)へ充填する前に、金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布しておく(塗布工程)。ここで使用する高級脂肪酸系潤滑剤は、高級脂肪酸自体の他、高級脂肪酸の金属塩であってもよい。高級脂肪酸の金属塩には、リチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩等がある。特に、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が好ましい。この他、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸リチウム、オレイン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム等を用いることもできる。
塗布工程は、例えば、加熱された金型内に水、水溶液またはアルコール溶液等に分散させた高級脂肪酸系潤滑剤を噴霧して行う。高級脂肪酸系潤滑剤が水等に分散していると、金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤を均一に噴霧し易い。加熱された金型内にそれを噴霧すると、水分等が素早く蒸発して、金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤が均一に付着する。金型の加熱温度は、後述する温間加圧成形工程の温度を考慮すると好ましい。例えば、100℃以上に加熱しておけば足る。もっとも、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な膜を形成するために、その加熱温度を高級脂肪酸系潤滑剤の融点未満にすると好ましい。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、その加熱温度を220℃未満とするとよい。
なお、高級脂肪酸系潤滑剤を水等に分散させる際、その水溶液全体の質量を100質量%としたときに、高級脂肪酸系潤滑剤が0.1〜5質量%、さらには、0.5〜2質量%の割合で含まれるようにすると、均一な潤滑膜が金型の内面に形成されて好ましい。
また、高級脂肪酸系潤滑剤を水等へ分散させる際、界面活性剤をその水に添加しておくと、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な分散が図れる。そのような界面活性剤として、例えば、アルキルフェノール系の界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10、アニオン性非イオン型界面活性剤、ホウ酸エステル系エマルボンT−80等を用いることができる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80の3種類の界面活性剤を同時に用いると好ましい。この場合、それらの一種のみを添加した場合に較べて、ステアリン酸リチウムの水等への分散性が一層活性化されるからである。また、噴霧に適した粘度の高級脂肪酸系潤滑剤の水溶液を得るために、その水溶液全体を100体積%として、界面活性剤の割合を1.5〜15体積%とすると好ましい。
この他、少量の消泡剤(例えば、シリコン系の消泡剤等)を添加してもよい。水溶液の泡立ちが激しいと、それを噴霧したときに金型の内面に均一な高級脂肪酸系潤滑剤の皮膜が形成され難いからである。消泡剤の添加割合は、その水溶液の全体積を100体積%としたときに、例えば0.1〜1体積%程度であればよい。
水等に分散した高級脂肪酸系潤滑剤の粒子は、最大粒径が30μm未満であると、好適である。最大粒径が30μm以上になると、高級脂肪酸系潤滑剤の粒子が水溶液中に沈殿し易く、金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を均一に塗布することが困難となるからである。
高級脂肪酸系潤滑剤の分散した水溶液の塗布には、例えば、塗装用のスプレーガンや静電ガン等を用いて行うことができる。なお、本発明者が高級脂肪酸系潤滑剤の塗布量と粉末成形体の抜出圧力との関係を実験により調べた結果、膜厚が0.5〜1.5μm程度となるように高級脂肪酸系潤滑剤を金型の内面に付着させると好ましい。
(b)温間加圧成形工程
高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された金型へ、充填された混合粉末を温間で加圧成形すると、金型内面に接する混合粉末(または粉末成形体)の表面に、塗布した高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜が生成される。この金属石鹸皮膜の存在により、工業レベルで量産可能な超高圧成形が可能になったと考えられる。
この金属石鹸皮膜は、その粉末成形体の表面に強固に結合し、金型の内表面に付着していた高級脂肪酸系潤滑剤よりも遙かに優れた潤滑性能を発揮する。その結果、金型の内面と粉末成形体の外面との接触面間での摩擦力を著しく低減させ、高圧成形にも拘らず、かじり等を生じさせない。また、非常に低い抜圧で粉末成形体を金型から取出せ、金型寿命の極端な短縮もない。
金属石鹸皮膜は、例えば、高級脂肪酸系潤滑剤と混合粉末中のFeとが温間高圧下でメカノケミカル反応を生じて形成された、高級脂肪酸の鉄塩皮膜である。この代表例は、高級脂肪酸系潤滑剤であるステアリン酸リチウムまたはステアリン酸亜鉛と、Feとが反応して生成されたステアリン酸鉄皮膜である。
本工程でいう「温間」は、原料粉末と高級脂肪酸系潤滑剤との反応が促進される程度の加熱状態であればよい。概していえば、成形温度を100℃以上とすればよい。但し、高級脂肪酸系潤滑剤の変質を防止する観点から、成形温度を200℃以下とするのがよい。成形温度を120〜180℃とするとより好適である。
本工程でいう「加圧」は、鉄基焼結合金の仕様を考慮しつつ、金属石鹸皮膜が形成される範囲内で適宜決定されればよい。金型寿命や生産性を考慮して、その成形圧力の上限を2000MPaとすると好ましい。成形圧力が1500MPa程度になると、得られる粉末成形体の密度も真密度に近付き、2000MPa以上に加圧してもさらなる高密度化は望めない。
なお、この金型潤滑温間加圧成形法を用いると、内部潤滑剤を使用する必要がないため、より高密度な粉末成形体が得られる。一般的な粉末成形で用いられる内部潤滑剤を用いた場合、本発明でいうような成形体密度比95%以上の粉末成形体を得ることは、少なくとも工業レベルでは難しい。勿論、本発明の粉末成形体であっても少量の内部潤滑剤を含有させることを排除するものではないが、内部潤滑剤を含有させないことで、粉末成形体を焼結させたときに、内部潤滑剤の分解、放出等に伴う炉内の汚染を防止できる。
(3)焼結工程
焼結工程は、成形工程で得られた粉末成形体を酸化防止雰囲気で加熱して焼結させる工程である。
焼結温度および焼結時間は、鉄基焼結合金の所望特性、生産性等を考慮して適宜選択される。焼結温度は高い程、短時間で高強度な鉄基焼結合金が得られる。もっとも、焼結温度が高すぎると液相が発生したり、寸法収縮が大きくなって好ましくない。焼結温度が低すぎると、配合した種々の粉末中に含まれる合金元素や強化元素の拡散が不十分となり好ましくない。また、焼結時間が長くなって、鉄基焼結合金の生産性が低下する。
焼結温度は、1100〜1400℃さらには1150〜1350℃がよい。特に、高強度の鉄基焼結合金部材を得る場合には、焼結温度を1200℃以上とするのが良い。
また、焼結時間は、焼結温度、鉄基焼結合金の仕様、生産性、コスト等を考慮しつつ0.1〜3時間さらには0.1〜2時間とするのがよい。
焼結雰囲気は酸化防止雰囲気がよい。ここで、易酸化粉末に含まれるMn、Siは、Oとの親和力が極めて強く非常に酸化され易い元素である。特に、FeMS粉末を使用すると、Mn、Siの単体よりも酸化物生成自由エネルギーが低いため、加熱炉内の僅かなOとも結合して、焼結体内部にMn、Siの酸化物を形成するおそれがある。このような酸化物の介在は、鉄基焼結合金の機械的性質を劣化させるので好ましくない。そこで、焼結雰囲気は、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、窒素雰囲気等の酸化防止雰囲気が好ましい。
このような雰囲気であっても、その中の残留酸素(酸素分圧)がさらに問題となるときは、窒素ガスに水素ガス(低い露点(例えば、−30℃以下)に精製された高純度水素ガス)を数体積%(例えば、5〜10%)混合した還元雰囲気を採用してもよい。
もっとも、水素ガスの使用は工業上あまり好ましくない。そこで、本発明の焼結工程を、酸素分圧が10-19 Pa以下(CO濃度で100ppm以下)に相当する極低酸素分圧の不活性ガス雰囲気内で行うとより好ましい。
このような極低酸素分圧の不活性ガス雰囲気下では、焼結中にFeMS粉末と原料粉末に付着等したOとが反応して複合酸化物などが形成されても、それがさらに分解されることになる。その結果、酸化物等の介在物のない健全な組織の鉄基焼結合金が得られる。なお、極低酸素分圧の不活性ガス(N2ガス)雰囲気を実現する連続焼結炉は市販されている(関東冶金工業株式会社製オキシノン炉)。
〈焼結体〉
(1)密度
焼結後の密度は7.5g/cm3 以上さらには7.6g/cm3 以上であることが望ましい。成形体密度比(理論密度に対する成形体の嵩密度の比)が95%以上さらには96%以上という超高密度な粉末成形体を焼結させることで、そのような超高密度な焼結体(鉄基焼結合金)を容易に得ることができる。
(2)組織
焼結後の焼結体へ適当な熱処理を施すことで、鉄基焼結合金の組織を部分的または全体的に改質して、鉄基焼結合金の機械的特性等を向上させることができる。この熱処理には、窒化処理、浸炭処理等もあるが、工業的にはCを含む鉄基焼結合金に対して行う焼入れ、焼戻しが代表的である。そして、鉄基焼結合金に所望される強度、靱性等の機械的特性に応じて、含有させるべきC量、焼入れの種類や温度、焼戻しの温度や時間等が適宜調整される。
ここで本発明の鉄基焼結合金は、溶製した炭素鋼とは異なり、配合する原料粉末の種類(平均粒径、組成等)によって、その機械的特性が比較的大きな影響を受ける。特に、鉄基焼結合金の機械的特性は、粗粉末の粒子間の結合関係に大きく影響され得る。このため、鉄基焼結合金全体としての機械的特性を向上させるために、粒子間の結合部分(ネック部)の機械的特性を向上させることが望ましい。これは、焼結時に粒子界面が部分的に軟化または溶融して接合する場合であろうと、合金元素などが拡散して接合する拡散接合の場合であろうと、同じである。従って、既に原料粉末に関して述べたように、例えば、ネック部が焼入れ・焼戻し等の熱処理によって機械的特性が強化されるように、本発明の粗粉末および微粉末の組成さらにはその他の添加粉末の組成をも適宜選択すると好ましい。
〈その他〉
本発明の鉄基焼結合金はその仕様に応じて、さらに、焼鈍、焼準、時効、調質(焼き入れ、焼き戻し)、浸炭、窒化等の熱処理工程が施されてもよい。勿論、鉄基焼結合金は、熱処理の種類に応じた組成(C、Mo、Cr等)であることが好ましい。
本発明の鉄基焼結合金の形態や用途は問わない。本発明の鉄基焼結合金が使用され得る鉄基焼結合金の一例を挙げると、自動車分野では、各種プーリー、変速機のシンクロハブ、エンジンのコンロッド、ハブスリーブ、スプロケット、リングギヤ、パーキングギヤ、ピニオンギヤ等がある。その他、サンギヤ、ドライブギヤ、ドリブンギヤ、リダクションギヤ等もある。
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
〈試験片の製造〉
(1)混合工程
(a)先ず、主原料粉末の一つである粗粉末となり得る鉄系粉末として、ヘガネス社製のAstaloy Mo(Fe−1.5%Mo)、同社製のAstaloy CrM(Fe−3%Cr−0.5%Mo)および同社製のAstaloy CrL(Fe−1.5%Cr−0.2%Mo)を用意した。なお、組成の単位は質量%であり、以下同様に単に「%」で示す。
これら鉄系粉末の平均粒径は、80μm(D50)とした。もっとも、Astaloy Moについては、平均粒径が80μm以外にも、75μm、70μm、55μm、37μm、32μm、32μmおよび27μmの粉末を用意した。これら平均粒径の異なる粉末は篩い分けして用意した。平均粒径は篩い分けた粉末の粒径から求めた。
(b)次に、主原料粉末の一つである微粉末となる鉄系粉末として、エプソンアトミックス社製のSCM415(Fe−1%Cr−0.2%Mo−0.75%Mn−0.25%Si−0.33%C)を用意した。用意したSCM415粉末の平均粒径は、10μmと6μmである。
(c)その他の改質粉末として、黒鉛(グラファイト)粉末(Gr粉末)とSi系粉末を用意した。Gr粉末は、日本黒鉛社製JCPBで、その粒径は45μm以下であった。Si系粉末は、Arガス雰囲気中で溶製したFe−50%Mn−33%SiまたはFe−76%Siの鋳塊(インゴット)を大気中で粉砕し、粒径が25μm以下(−500mesh)の粉末に篩い分けしたものである。以下、Fe−50%Mn−33%Siの組成の粉末をFeMS粉末と呼び、Fe−76%Siの組成の粉末をFS粉末と呼ぶ。
(d)上記の鉄系粉末の一種以上と、Gr粉末およびSi系粉末とを適宜選択組合わせて、種々の混合粉末を調製した。混合粉末の調製は、所望組成となるよう配合した各種粉末が均一に混合されるまで、ボールミルで回転混合して行った(混合工程)。
(2)成形工程
調製した原料粉末の成形は、金型潤滑温間加圧成形法により行った。具体的には以下の通りである。
(a)φ23mmの円柱状キャビティ(円柱状試験片用キャビティ)と、10×55mmの板状キャビティ(板状試験片用キャビティ)と、をそれぞれ有する二種の超硬製金型を用意した。各金型の内周面には予めTiNコート処理を施し、その表面粗さを十点平均粗さで0.4Zとした。各金型はバンドヒータで予め150℃に加熱しておいた。
加熱した金型の内周面に、高級脂肪酸系潤滑剤であるステアリン酸リチウム(LiSt)を分散させた水溶液をスプレーガンにて1cm3 /秒程度の割合で均一に塗布した(塗布工程)。これより、各金型の内周面には、約1μm程度のLiStの皮膜が形成された。
ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤とを添加したものにLiStを分散させたものである。界面活性剤にはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80を用いた。これら界面活性剤をそれぞれ、水溶液全体(100体積%)に対して1体積%づつ添加した。消泡剤にはFSアンチフォーム80を用いた。この消泡剤を水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。
用いたLiStは、融点が約225℃で、平均粒径が20μmであった。その分散量は上記水溶液100cm3 に対して25gとした。LiStを分散させた水溶液をさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロンコート鋼球:100時間)した。こうして得られた原液を20倍に希釈して、最終濃度1%の水溶液を上記塗布工程に供した。
(b)LiStの均一な皮膜が内面に形成された各金型のキャビティへ、前述した各種の混合粉末を自然充填した(充填工程)。混合粉末は、金型と同温の150℃に乾燥機で予め加熱しておいた。
金型に充填された各混合粉末を、1568MPaまたは1960MPaの圧力で成形して粉末成形体を得た(温間加圧成形工程)。いずれの成形圧力の場合であっても、金型の内面にかじり等を生じることはなく、低い抜出力で粉末成形体を金型から容易に取出すことができた。
(3)焼結工程
(a)得られた各粉末成形体を、連続焼結炉(関東冶金工業製オキシノン炉)を用いて、窒素雰囲気中でそれぞれ焼結させた(焼結工程)。焼結温度は1350℃とし、焼結時間は60分または120分とした。
均熱保持時間は30分とし、焼結後の冷却速度は40℃/minであった。なお、焼結炉内は、CO濃度で50〜100ppm(酸素分圧に換算で10-19 〜10-21 Pa相当)の極低酸素分圧雰囲気とした。
(b)こうして各種の鉄基焼結合金からなる、φ23mmの円柱状試験片と、□10×55mmの板状試験片とを得た。
板状試験片については、焼結後に焼入れ、焼戻しの熱処理を適宜行った。焼入れは、窒素雰囲気中で860℃×45分間加熱した後、60℃の油中で急冷して行った。その後の焼戻しは、大気中で190℃×1時間加熱して行った。
〈試験片の測定〉
(1)上記円柱状試験片を用いて、その焼結前後の重量と寸法から、成形体密度(G.D)およびその密度比、焼結体密度(S.D)およびその密度比を求めた。
(2)上記板状試験片を用いて支点間距離40mmの三点曲げによる抗折試験を行った。また、その板状試験片から機械加工により製作したφ4xL15mmの平行部を有する引張試験片を用いた引張試験を行った。抗折試験により、各試験片が折断までの強度(抗折力)とたわみを求め、引張試験により、各試験片が折断までの強度(引張強さ)と伸びを求めた。
(3)また、上記の板状試験片から機械加工により製作したφ5xL10mmの平行部を有する引張試験片を用いた回転曲げ疲労試験を実施した。この疲労試験は、小野式回転曲げ疲労試験機を用いて試験速度3000rpmで実施した。
〈各種試験片の評価〉
上述の各種試験を行った結果を表1〜4Bおよび図1〜5に示した。
(1)主原料粉末の平均粒径と鉄基焼結合金の特性(評価1)
(a)前述したように、平均粒径が27〜80μm内で種々異なるAstaloy Mo粉末からなる粗粉末と、平均粒径が6μmまたは10μmのSCM415粉末からなる微粉末と、Gr粉末と、FeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、試料No.1−A1〜1−A5および試料No.1−B1〜1−B7を得た。
また、前述平均粒径が80μmのAstaloy CrM粉末、Astaloy CrL粉末またはAstaloy Mo粉末のいずれかと、Gr粉末およびFeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、試料No.1−C1〜1−C3とした。
これら鉄基焼結合金は全て、1568MPaで成形した粉末成形体を、1350℃x30分で焼結させたものである。なお、表1および図1に示した各データは、それら鉄基焼結合金からなる試験片へ前述した条件下の熱処理を施して測定したものである。
(b)表1および図1から次のことが解る。
すなわち、粗粉末の平均粒径が70μmから55μmに変化する付近から、急激に抗折力やたわみ量が増加し、また、この傾向は粗粉末の平均粒径が小さくなる程、大きくなることが解った。さらに、粗粉末の平均粒径が80μmの試料No.1−A1および1−B1と、粗粉末の平均粒径が55μm以下の試料No.1−A2〜1−A5および1−B4〜1−B7とを比較すると明かなように、微粉末の平均粒径による強度特性への影響が、粗粉末の平均粒径が70μm付近を境に逆転することが解った。すなわち、粗粉末の平均粒径が本発明のように63μmより小さいと、微粉末の平均粒径も小さい方が強度特性は好ましくなった。これに対して、粗粉末の平均粒径が80μm程度になると、微粉末の平均粒径が大きい方が強度特性が好ましくなった。
そして、粗粉末の平均粒径が63μm未満となる範囲では、強度特性がいずれも主原料粉末が一種類の鉄基焼結合金(試料No.1−C1〜1−C3)よりも大きくなることも解った。
(c)さらに、粉末成形体の密度は、主に微粉末の平均粒径に依存し、微粉末の平均粒径が小さくなるほど小さくなった。一方、焼結体の密度は、粗粉末の平均粒径に依存する傾向にあり、粗粉末の平均粒径が小さくなるほど大きくなった。
(2)微粉末の配合割合と鉄基焼結合金の特性(評価2)
(a)平均粒径が80μm、32μmおよび27μmの粗粉末と、平均粒径が10μmの微粉末と、Gr粉末と、FeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、試料No.2−A1〜2−A6、試料No.2−B1〜2−B6および試料No.2−C1〜2−C6を得た。成形、焼結および熱処理の条件は、上記の評価1の場合と同様である。各試料の測定結果を表2および図2に示す。
(b)表2および図2から、先ず、抗折力に関して次のことが解る。
すなわち、平均粒径が63μmよりも小さい粗粉末に微粉末を混合した粉末からなる試料では、いずれも、抗折力が急激に増加することが解った。一方、平均粒径が63μmよりも大きい粗粉末に微粉末を混合した粉末からなる試料では、抗折力が減少する傾向にあった。そして、微粉末の配合割合を5〜45質量%とする範囲内では、粗粉末の平均粒径が63μm未満の試料の抗折力は、微粉末の平均粒径が63μm超の試料の抗折力よりも、全体的に大きくなった。
(c)次に、たわみ量に関しても、微粉末の配合割合を5〜45質量%とする範囲内では、粗粉末の平均粒径が63μm未満の試料のたわみ量が、微粉末の平均粒径が63μm超の試料のたわみ量よりも、全体的に大きくなった。
(3)易酸化粉末(FeMS粉末)の配合と鉄基焼結合金の特性(評価3)
(a)平均粒径が32μmの粗粉末と、平均粒径が10μmの微粉末と、Gr粉末と、FeMS粉末(易酸化粉末)とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、試料No.3−1〜3−7を得た。
これら鉄基焼結合金は全て、1960MPaで成形した粉末成形体を、1350℃x120分で焼結させたものである。各試料の測定結果を表3および図3Aに示す。なお、ここで示した各データは、各試験片に前述した条件下の熱処理を施して測定したものである。
(b)表3および図3Aから次のことが解る。
すなわち、FeMS粉末をわずかでも混合粉末中に配合することで、鉄基焼結合金の引張強さおよび伸びが急激に増加する。この傾向はFeMS粉末の配合量が全体の1.5質量%以下の範囲で現れ、FeMS粉末が1.0質量%以下さらには0.75質量%以下の範囲で顕著であった。
(c)また、FeMS粉末の配合量が0.1質量%の場合と0.5質量%の場合について、鉄基焼結合金中に含まれる酸化物の組成をEPMA分析した結果を図3Bに示す。
それぞれの場合を比較すると、FeMS粉末の配合量が0.1質量%の場合には、Si酸化物に加えてCr酸化物やMn酸化物が観られるのに対して、FeMS粉末の配合量が0.5質量%の場合には、Cr酸化物やMn酸化物がほとんど観られず、ほぼSi酸化物のみになっていることが解った。
(d)この結果を踏まえて、混合粉末中のFeMS粉末を、FS粉末(Fe−76%Si)またはSi粉末(純Si)に置換した鉄基焼結合金からなる試験片を、上記(3)(a)に示した条件と同様の条件下で製造した。それら粉末の配合量を変化させた各試料について、抗折力およびたわみ量を測定した結果を図3Cに示す。なお、図3Cは、使用したSi系粉末(FeMS粉末、FS粉末およびSi粉末)の組成から換算したSi量に着目して、各試料の測定結果を整理したものである。ちなみに、用いたSi系粉末の粒度はいずれも25μm以下とした。
この図3Cから、先ず、Si系粉末を含むことで、抗折力およびたわみ量のいずれも特性が向上することが解った。
換算したSi量が0.02〜0.1質量%さらには0.05〜0.09質量%となる範囲で、鉄基焼結合金は優れた特性を示すことが解った。特に、その換算Si量が0.06〜0.08質量%のとき、使用するSi系粉末の種類にかかわらず、鉄基焼結合金は抗折力およびたわみ量が優れることが解った。
(4)粉末の混合方法と鉄基焼結合金の特性(評価4)
(a)平均粒径が32μmの粗粉末と、平均粒径が10μmの微粉末と、Gr粉末と、FeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、試料No.4−A1〜4−A6および試料No.4−B1〜4−B7と、試料No.4−C1〜4−C3および試料No.4−D1〜4−D4とを得た。各試料は、原料粉末の混合方法とGr粉末の配合量とを変更した鉄基焼結合金について機械的特性を測定したものである。原料粉末の混合は、前述したボールミルによる回転混合だけの場合と、その回転混合に加えて撹拌混合およびプラズマ混合を行った場合の二通りにより行った。
この撹拌混合は、粉末の粒子界面にせん断力や摩擦力などの機械的エネルギーを付与するものである。また、プラズマ混合は、粉末の粒子界面に電気的な励起エネルギーを付与するものである。これらの撹拌混合およびプラズマ混合は、ホソカワミクロン株式会社製のプラズマ照射型ナノキュラ(NC−LAB−P)を用いて行った。ちなみに、ボールミルによる回転混合は30分間行った。上記の撹拌混合およびプラズマ混合は5分間行った。
抗折力およびたわみ量からなる抗折特性を測定する試験片は、1568MPaで成形した粉末成形体を、1350℃x30分で焼結させた。一方、引張強さおよび伸びからなる引張特性を測定する試験片は、1960MPaで成形した粉末成形体を、1350℃x120分で焼結させた。そして、前述した条件の熱処理を各試験片に施してから各試料の測定を行った。その各測定結果を表4Aおよび表4Bと図4Aおよび図4Bとに示す。なお、図4Aおよび図4Bでは、混合粉末中のGr粉末の配合量と主原料粉末中に含まれる炭素量とを考慮して算出した混合粉末全体に占めるC量(換算C量:質量%)に着目して示した。
(b)表4Aおよび表4Bと図4Aおよび図4Bから、鉄基焼結合金の強度および靱性が原料粉末の混合方法の影響を受けることが解った。特に、従来の回転混合に撹拌混合およびプラズマ混合を加えた混合粉末からなる鉄基焼結合金は、単に回転混合だけを行った鉄基焼結合金に比較して、鉄基焼結合金の強度および靱性が全体的に、また、換算C量に関わらず、向上することが解った。
(c)各鉄基焼結合金の強度および靱性は、含有C量によって大きく影響されることが表4Aおよび表4Bと図4Aおよび図4Bから確認された。そして、抗折力は、C量が0.4〜0.6質量%、特に0.45〜0.55質量%にあるときに最も優れることが解った。一方、引張強さは、C量が0.45〜0.65質量%、特に0.5〜0.6質量%にあるときに最も優れることが解った。
(d)単なる回転混合だけで原料粉末を混合しただけの試料よりも、回転混合に撹拌混合およびプラズマ混合を加えて原料粉末を混合したとき試料の方が、強度のピークが現れる位置が高C量側へシフトすることが解った。この理由は定かではないが、プラズマ混合を加えた場合の方が試料の延性が向上するため、より高C側でも十分な伸びが確保され、強度のピーク位置が高C側へシフトしたと考えられる。
(5)回転曲げ疲労強度と破壊起点(評価5)
(a)平均粒径が32μmのAstaloy Mo粉末からなる粗粉末と、平均粒径が10μmのSCM415粉末からなる微粉末と、Gr粉末と、FeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造した。0.5質量%のGr粉末を配合したものを試料No.5−A1、0.55質量%のGr粉末を配合したものを試料No.5−A2とした。
また、平均粒径が80μmのAstaloy CrM粉末、Astaloy CrL粉末またはAstaloy Mo粉末のいずれかと、Gr粉末およびFeMS粉末とからなる混合粉末を用いて鉄基焼結合金を製造し、それぞれを試料No.5−B1〜1−B3とした。これら各試料は全て、1960MPaで成形した粉末成形体を1350℃x120分で焼結させ、さらに、前述した条件下の熱処理を施したものである。
各試料について測定した回転曲げ疲労強度と、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した疲労破壊面とを図5に示す。
(b)図5から、平均粒径が63μm未満の粗粉末に平均粒径が25μm以下の微粉末を混合した主原料粉末からなる試料では、主原料粉末が平均粒径が63μm超の粗粉末のみからなる試料に対して、いずれも回転曲げ疲労強度が150〜180MPaも高い700MPaに及ぶことが解った。そして、破面の顕微鏡写真からも明らかなように、特定の平均粒径からなる粗粉末および微粉末からなる試料では、疲労破壊の起点となる粗大残留気孔がほとんどなく、残留気孔の大きさも小さいことが確認された。
主原料粉末の平均粒径と強度特性の関係を示すグラフである。 微粉末の配合割合と強度特性の関係を示すグラフである。 易酸化粉末の配合による引張特性への影響を示すグラフである。 FeMS量の増加に伴う酸化物組成の変化を示すEPMA写真である。 抗折強度特性に及ぼすSi量の影響を示すグラフである。 抗折特性に及す混合方法の影響を示すグラフである。 引張特性に及す混合方法の影響を示すグラフである。 各試料の回転曲げ疲労強度を示すグラフと、破面を示す顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 純鉄または鉄合金からなる一種以上の粗粉末と該粗粉末よりも平均粒径が小さい純鉄または鉄合金からなる一種以上の微粉末とを含む原料粉末を混合した混合粉末を加圧成形してなる粉末成形体を加熱し焼結させた焼結体からなる鉄基焼結合金において、
    前記微粉末の平均粒径(d)は1≦d≦25(μm)であり、
    前記粗粉末の平均粒径(D)はd<D<63(μm)であり、
    前記混合粉末全体に対する該微粉末の割合は5〜45質量%であり、
    前記焼結体は理論密度(ρ0’)に対する焼結体の嵩密度(ρ’)の比である焼結体密度比(ρ’/ρ0’ x100%)が96%以上であり、
    高強度であることを特徴とする鉄基焼結合金。
  2. 前記焼結体は、
    全体を100質量%としたときに、
    クロム(Cr):0.1〜10質量%、
    モリブデン(Mo):0.1〜2.5質量%、
    マンガン(Mn):0.01〜1.2質量%、
    ケイ素(Si):0.01〜1.2質量%、
    炭素(C):0.01〜1質量%、
    のいずれか一種以上の該焼結体を改質する改質元素を含む請求項1に記載の鉄基焼結合金。
  3. 純鉄または鉄合金からなる一種以上の粗粉末と該粗粉末よりも平均粒径が小さい純鉄または鉄合金からなる一種以上の微粉末とを含む原料粉末を混合して混合粉末とする混合工程と、
    該混合粉末を金型へ充填し加圧して粉末成形体とする成形工程と、
    該粉末成形体を酸化防止雰囲気で加熱し焼結させて焼結体とする焼結工程とを備え、
    該焼結工程後に請求項1に記載した高強度の鉄基焼結合金が得られることを特徴とする鉄基焼結合金の製造方法。
  4. 前記原料粉末は、前記粗粉末および前記微粉末とは別に、該粗粉末および該微粉末に含まれる元素よりも酸素(O)と結合し易い易酸化元素からなる易酸化粉末を含む請求項3に記載の鉄基焼結合金の製造方法。
  5. 前記混合工程は、前記原料粉末を構成する粒子の界面に機械的エネルギーまたは励起エネルギーを付与するエネルギー付与工程を含む請求項3または4に記載の鉄基焼結合金の製造方法。
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