JP2009203375A - アクリル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的な見地に立った攪拌、除熱を含む製造上の課題を解決し、最重要課題である安全、防災上の懸念を払拭するアクリル共重合体の製造方法であり、また、効率的な付加反応工程を提供する。
【解決手段】下記α−メチルスチレンダイマーをアクリル単量体100重量部に対し0.002〜20.0重量部使用し、アクリル単量体をラジカル共重合してアクリルプレポリマーを製造し、さらに、アクリルプレポリマーにイソシアネート基含有アクリル単量体を付加反応するアクリル共重合体の製造方法である。
Figure 2009203375

【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル重合性を有する機能性アクリル共重合体の製造方法に関するものである。
アクリル樹脂は、その原料となるアクリル単量体の種類が豊富で付着性、接着性、硬度、透明性、耐光性、耐候性、耐薬品性等の物理的性質、化学的性質を随意にコントロールできることから、ディスプレイ、レンズなどの光学用塗、光学フィルム用途、これらに使用する粘・接着剤用途、塗料、シーリング材、紙力増強剤、歯科材料、航空機や自動車部材の接着剤等、幅広く応用され、用いられている。
アクリル樹脂は、一般に重合時の発熱が大きく、また重合が進むにつれ高粘度となるため、工業的には水や有機溶媒を媒体とする溶液重合や乳化重合、懸濁重合などの除熱が比較的容易な方法で製造されることが多い。また、鋳込み等特殊な用途で使用される場合には部分重合したシロップとして使用されることもある。
アクリル単量体を無溶剤下に、熱によるラジカル重合の場合でも、反応系内の除熱を容易に制御できるアクリル部分重合体の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。無溶剤下にラジカル重合を行うといいながらも、特許文献1に提案されている技術は、アクリル単量体と相溶し、かつ重合阻害性の少ない、例えば、アルコール変性ジシクロペンタジエン樹脂の水素化物、テトラヒドロアビエチン酸型骨格を持つロジン成分を40重量%以上含有するロジン、当該ロジンの誘導体、粘着付与樹脂の存在下にアクリル単量体を重合するものであり、純粋なアクリル樹脂、部分重合アクリル樹脂を得るという目的にはふさわしくない技術である。したがって、製造されたアクリル樹脂も粘着剤等に用途が限定されてしまう。
また、特許文献1では、アクリル単量体の種類は特に限定せずとしているが、実質上は前記粘着付与樹脂との相溶性で制約を受けるのは必至であり、かつ製造されるアクリル樹脂も物理的性質、化学的性質をよりレベルアップしていく段階では同様に粘着付与樹脂の存在がブレーキをかけることは容易に推察される。
フラットパネルディスプレイ(FPD)用粘着剤、および周辺部材を含めたフラットパネルディスプレイ(FPD)用光学フィルタが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に提案されている粘着剤は部分重合アクリル樹脂であり、かつ提案されている部分重合アクリル樹脂は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル等の柔軟な成分を主とするアクリル共重合体と未反応で残るこれらのアクリル単量体、反応性希釈剤としてのその他のアクリル単量体とを含む、アクリル共重合体そのものは少なくとも紫外線照射、加熱などの処理により化学反応、架橋反応を起こさないものである。特許文献2で提案されている技術は、粘着性を優先させるあまり、柔軟なアクリル単量体を主成分とし、かつアクリル共重合体を非架橋ポリマーとしているために、耐光性が劣悪であり、耐湿熱性、経時での粘着力保持性が実用に満たないことが容易に推察される。
特開2003−128714号公報 特開2007−94191号公報
工業的な見地に立った攪拌、除熱を含む製造上の課題を解決し、最重要課題である安全、防災上の懸念を払拭するアクリル共重合体の製造方法であり、また、効率的な付加反応工程を提供する。
本発明は、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
Figure 2009203375
をアクリル単量体100重量部に対し0.002〜20.0重量%使用し、下記構造式のアクリル単量体
Figure 2009203375
(ここで、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子、炭素原子数2〜12個のアルキル基、アルキル基の炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、または、アルキル基の炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合してアクリルプレポリマーを製造し、さらに、アクリルプレポリマーに下記構造式のイソシアネート基含有アクリル単量体を
Figure 2009203375
(ここで、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
付加反応するアクリル共重合体の製造方法である。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、急激な重合反応の進行と暴走反応に至る過程の回避とこれの制御、攪拌、除熱を含む安全、防災上の課題を解決できる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法により、作業性の観点から粘度調整等の目的で使用されるアクリル単量体の選択肢が任意に広がり、本発明のアクリル共重合体の製造方法で製造されるアクリル共重合体を、接着剤、粘着剤、塗料、ハードコート等に適用する際、各用途で最良、最適な処方設計が可能となる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法で製造されるアクリル共重合体は、適用される各分野で優れてバランスのとれた性能、機能を発揮する。
本発明のアクリル共重合体の製造方法で製造されるアクリル共重合体は、接着剤、粘着剤、塗料用等として優れて均衡のとれた性能を発揮する。ことさら、ガラス繊維や炭素繊維で強化されたポリプロピレンアロイ(PPアロイ)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ナイロン(NY)やポリアミド(PA)等のプラスチック類(CFRP)の接着剤、および耐傷付き性を有する一方でこれと相反する屈曲性、柔軟性を併せ有する紫外線硬化型のハードコート塗料として有用である。
本発明は、下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
Figure 2009203375
をアクリル単量体100重量部に対し0.002〜10.0重量%使用し、下記構造式のアクリル単量体
Figure 2009203375
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜12個のアルキル基、アルキル基の炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、または、アルキル基の炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体がラジカル共重合されたアクリルプレポリマーに下記構造式のイソシアネート基含有アクリル単量体を
Figure 2009203375
(ここで、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
付加反応するアクリル共重合体の製造方法である。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、本発明で使用されるアクリルプレポリマーは、好ましくは、塊状ラジカル共重合により製造される。
また、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、本発明で使用されるアクリルプレポリマーは、好ましくは、有機溶剤を使用して、ラジカル共重合して製造することができる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、塊状ラジカル共重合とは、アクリル単量体やスチレンモノマー等のビニル基を有するモノマーのラジカル共重合を行う際に用いられる方法の一つである。溶媒を使用しないで、アクリル単量体やスチレンモノマー等のビニル基を有するモノマーだけをそのまま、あるいはアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を加えて、加熱して重合を行う方法である。
塊状ラジカル共重合の特徴は、重合速度が大きく、比較的純粋なポリマーが塊状で製造されることである。ところが周知の通り、製造スケールに係わらず、塊状ラジカル共重合では、重合熱を取り除くことが難しく(除熱が困難)、局部加熱が生じる(局部的に暴走反応が起こる)など重合温度の制御がはなはだ困難である。
塊状ラジカル重合は、工業的には、ABS樹脂の連続塊状重合、ポリスチレンの連続塊状重合などが実施されている。いずれも、重合率を上げきることなく途中でラジカル重合反応を停止し、押出機を使用するペレタイズ工程で脱モノマー化が実施される。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマー製造中の除熱を容易とするために、アクリル単量体100重量部に対し、好ましくは、0.05〜20.0重量%、より好ましくは、0.1〜10.0重量%、さらに好ましくは、0.2〜8.0重量%の有機溶剤を使用することもできる。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマー製造中に、0.05〜20.0重量%の有機溶剤を使用することで、製造中の除熱操作が容易となる。また、同時に、アクリル単量体蒸気が重合設備の天板や側壁等の内壁、コンデンサーで重合することを防止でき、安全、防災上望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマー製造時に使用できる有機溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等、アクリルプレポリマーが溶解するものであればどれでも任意に使用することができる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーを製造する際、下記構造式のα−メチルスチレンダイマーは、
Figure 2009203375
アクリル単量体100重量部に対し、0.002〜20.0重量%、好ましくは、0.02〜18.0重量%、さらに好ましくは、0.02〜15.0重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーを製造する際α−メチルスチレンダイマーの使用量がアクリル単量体100重量部に対し0.002重量%未満の場合には、アクリル単量体の塊状ラジカル重合制御が困難となり、除熱が遅れて暴走反応になる。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーを製造する際α−メチルスチレンダイマーの使用量がアクリル単量体100重量部に対し20.0重量%を超える場合には、重合速度が遅く、また未反応のα−メチルスチレンダイマーが残存しやすくなる。また、製造されるアクリル共重合体を使用した接着剤、粘着剤、塗料等の硬化性等の性能に悪影響を及ぼす。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマー(=2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)は、例えば、五井化成(株)、本州化学工業(株)、旭化成ファインケム(株)などで製造され、上市されているものを任意に選択し、使用することができる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、α−メチルスチレンダイマーは、好ましくは、RAFT(Reversible Additional-Fragmentation Chaintransfer;可逆的付加開列型連鎖移動剤)として、本発明のラジカル共重合で製造されるアクリルプレポリマーの低分子量から高分子量までの重合度調節を容易とする。さらに言えば、RAFTによるリビングラジカル重合で、さらにブロック共重合体化などの機能化がはかれる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーは、下記構造式のアクリル単量体
Figure 2009203375
(ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜12個のアルキル基、アルキル基の炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、または、アルキル基の炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基を表す。)
を含むアクリル単量体をラジカル共重合する。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに好ましく使用されるアクリル単量体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸4−メトキシブチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸4−メトキシブチル等のアルコキシアルキル基含有アクリル単量体等を使用することにより導入できる。本発明の接着剤組成物では、これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのアクリル単量体以外にも、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート等のシクロペンタジエニル系(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有アクリル単量体、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のアミド基含有アクリル単量体、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン基含有アクリル単量体等のアクリル単量体が使用されてもよい。これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに使用されるこれらのアクリル単量体のなかでは、下記構造式で示される
Figure 2009203375
(ここで、R5は水素原子、炭素原子数2〜12個のアルキル基、炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、または、アルキル基の炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基を表す。)
アクリル単量体であることが望ましく、好ましくは、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸等のカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有アクリル単量体、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸4−メトキシブチル等のアルコキシアルキル基含有アクリル単量体が例示される。これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのアクリル単量体が使用されるとき、製造時の攪拌が容易となって、除熱がしやすくなり、重合温度の制御が容易となる傾向が見られる。
同時に、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに下記構造式のイソシアネート基含有アクリル単量体を
Figure 2009203375
(ここで、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
付加反応する。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、イソシアネート基含有アクリル単量体としては、アクリル酸2−イソシアネートエチル、アクリル酸3−イソシアネートプロピル、アクリル酸4−イソシアネートブチル、メタクリル酸2−イソシアネートエチル、メタクリル酸3−イソシアネートプロピル、メタクリル酸4−イソシアネートブチル等が例示される。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、これらのイソシアネート基含有アクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
上市されているイソシアネート基含有アクリル単量体としては、カレンズMOI(メタクリル酸2−イソシアネートエチル)(昭和電工の製品)などが例示できる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、好ましくは、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の水酸基含有アクリル単量体が共重合されるのが望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、好ましくは、アクリルプレポリマー側鎖に(メタ)アクリル性不飽和基を導入するため、水酸基含有アクリル単量体が共重合される。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに好ましく使用される水酸基含有アクリル単量体は、単独で使用しても、2種類上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに好ましく使用される水酸基含有アクリル単量体は、アクリルプレポリマーに使用されるアクリル単量体の合計を100重量部として、好ましくは、0.2〜40重量%、より好ましくは、0.5〜30重量%、さらに好ましくは、3〜25重量%であることが推奨される。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーに好ましく使用される水酸基含有アクリル単量体の使用量が、0.2〜40重量%のとき、本発明にしたがい製造されるアクリル共重合体を使用した接着剤、粘着剤、塗料等の耐衝撃性、耐薬品性等の機械的性質、化学的性質にバランスがとれ優れたものとなる傾向が見られる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、好ましくは、水酸基を有するアクリルプレポリマーに、下記構造式で示される
Figure 2009203375
(ここで、R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
イソシアネート基含有アクリル単量体を付加反応し、分子側鎖に(メタ)アクリル性不飽和基を導入し、機能性アクリル共重合体を製造する。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、イソシアネート基含有アクリル単量体は、アクリルプレポリマーに好ましく使用される水酸基含有アクリル単量体の、好ましくは、5〜100モル%、より好ましくは、20〜98モル%、さらに好ましくは、20〜80モル%使用されるのが望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、イソシアネート基含有アクリル単量体の使用量が5〜100モル%のとき、本発明にしたがい製造されるアクリル共重合体を使用した接着剤、粘着剤、塗料等の硬化性、貯蔵安定性、耐薬品性等が向上する傾向が見られ、望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、イソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応率が高いほど、硬い硬化物が得られ、硬化物の引張強度が大きくなる傾向が見られる。イソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応率が低いほど、柔軟で伸びのある硬化物が得られる傾向が見られる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、イソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応率の高いものと低いものを混合するのも有効な手段であり、接着剤、粘着剤、塗料等の接着性、耐衝撃性、屈曲性、伸び、耐油性、耐水性、耐湿熱性等の機械的性質、化学的性質が一段と向上する場合が見られ推奨される。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーへのイソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応は、気相部の酸素濃度、8.0vol%≦酸素濃度≦12.0vol%、好ましくは、8.0vol%≦酸素濃度≦11.0vol%、より好ましくは、8.0vol%≦酸素濃度≦10.0vol%の雰囲気下に実施されることが望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーへのイソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応が気相部の酸素濃度8.0≦酸素濃度≦12.0vol%の雰囲気下に実施されるとき、付加反応工程中にイソシアネート基含有アクリル単量体のラジカル重合が開始されることがなく、アクリル共重合体の架橋反応によるゲル化の懸念が解消される。また、爆発性混合気体を形成することがなく、防災上も安全である。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーへのイソシアネート基含有アクリル単量体の付加反応は、例えば、p−メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤をアクリルプレポリマーとイソシアネート基含有アクリル単量体の合計量に対して200〜5000ppm使用し実施されるのが望ましい。付加反応工程中に不用意なラジカル重合の開始を予防でき、ゲル化や発熱による暴走反応を回避できる。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、アクリルプレポリマーの製造時、アクリル単量体のラジカル共重合は、好ましくは、重合系が不活性ガス置換された気相酸素濃度が、0.5vol%≦酸素濃度≦8.0vol%、より好ましくは、気相酸素濃度が、0.5vol%≦酸素濃度≦6.0vol%、さらに好ましくは、気相酸素濃度が、0.5vol%≦酸素濃度≦5.0vol%の雰囲気下に実施されるのが望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、使用される不活性ガスは窒素ガス、ヘリウムガスなど市販されているもののなかから任意に選択することができる。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合系中の酸素濃度は「デジタル酸素濃度計 XO−326ALB」(新コスモス電機(株)の酸素濃度測定器)を使用し測定した。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合系が不活性ガス置換された気相酸素濃度<0.5vol%であるとき、蒸気化したアクリル単量体が気相部分でラジカル重合を起こしやすくなり、重合容器天板、器壁、コンデンサー等にアクリルポリマーが析出する傾向が見られ、総括伝熱係数の悪化に伴う除熱の遅れ、コンデンサー閉塞による爆発など重大事故につながる可能性が懸念される。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、重合系が不活性ガス置換された気相酸素濃度>8.0vol%であるとき、蒸気化したアクリル単量体が気相部分で爆発性混合気体を形成しやすくなり防災上望ましくない。また、気相酸素濃度>8.0vol%の場合には、重合反応が進行する液相にも悪影響が見られ、酸素による重合の禁止、テロメリゼーションのため重合反応が進行しない場合が見られる。
また、本発明のアクリル共重合体の製造方法では、同様にアクリル単量体が気相部で重合を起こさないようにするため気相部を好ましくはアクリル単量体がラジカル重合を起こさない温度、好ましくは、例えば、10〜80℃に冷却する方法も有効である。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、ラジカル共重合で製造されるアクリルプレポリマーの重量平均分子量は、好ましくは、2000〜20万、より好ましくは、3000〜18万、さらに好ましくは、3000〜16万であるのが望ましい。本発明のアクリル共重合体の製造方法では、ラジカル共重合で製造されるアクリルプレポリマーの重量平均分子量が、好ましくは、2000〜20万であるとき、アクリルプレポリマー製造時の攪拌、除熱が容易で製造が安全であるばかりでなく、接着剤、粘着剤、塗料等の耐衝撃性、屈曲性、耐熱性等の機械的性質が向上する傾向が見られ望ましい。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、攪拌、除熱が容易であることから、アクリルプレポリマーの重合率をできるだけ高くすることが望ましく、接着剤、粘着剤、塗料等を製造する後工程を考慮すれば、重合率は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上に高めておくことが推奨される。さらに詳細に説明すれば、アクリルプレポリマーの重合率を高めておくことで、接着剤、粘着剤、塗料等を製造する際、後工程で希釈用、反応性調節用等で配合するジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル等のアクリル単量体、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリルオリゴマーの選択、配合に自由度が広がり、接着剤、粘着剤、塗料等の性能向上、最適化の点で推奨される。これは、本発明のアクリル共重合体の製造方法によれば、アクリルプレポリマーの重合率を高めることができるゆえんであり、他の、例えば、溶液重合、部分重合アクリル樹脂、乳化重合等では到底なしえないアドバンテージである。
本発明のアクリル共重合体の製造方法では、塊状ラジカル共重合で製造するアクリルプレポリマーは、例えば、以下のようにアクリルプレポリマーを製造できる。
不活性ガス導入管、還流冷却器、モノマー仕込み口、攪拌機を有する重合容器に容器内の雰囲気が酸素濃度≦8.0vol%になるまで窒素ガスを吹き込み、さらにアクリル単量体の塊状ラジカル共重合中は、酸素濃度を5.0vol%に調節した窒素ガス/酸素混合気の吹き込みを継続する。
重合容器にアクリル単量体、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の一部または全量とα−メチルスチレンダイマーの所定量、および必要であれば酢酸エチル等の有機溶剤をアクリル単量体に対し所定量仕込み、所定の重合温度、例えば、50〜100℃に昇温を行う。
このなかに、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等の重合開始剤、および、アクリル単量体が残っていればアクリル単量体の残量を重合容器中に所定時間で添加し、アクリル共重合体の製造中はアクリル単量体のラジカル共重合反応により発熱が見られるので、適宜攪拌、除熱を行いながら設計の重合率になるまでアクリル単量体のラジカル共重合を行うことによりアクリルプレポリマーを製造できる。
以下に本発の一例を実施例で説明する。
なお、実施例中、試験、評価方法等は以下にしたがい実施した。
1)酸素濃度(vol%)
デジタル酸素濃度計XO−326ALB(新コスモス電機(株)の測定装置)を使用して測定した。
2)重量平均分子量(Mwとも言う)、数平均分子量(Mnとも言う)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HLC−8220GPC(東ソー(株)の試験装置)を使用して測定した。
3)重合率(%)
JIS K 5407:1997にしたがって加熱残分(%)を測定し、これを重合率(%)とした。ただし、測定温度は140℃、測定時間は60分とした。
4)酸価(mgKOH)
JIS K 5407:1997にしたがって測定した。
実施例1
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が5vol%以下になるまで吹き込み、重合中は酸素濃度3〜5vol%に調節した窒素ガス/酸素ガス混合気の吹き込みを継続した。
フラスコにアクリル酸n−ブチル540g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル60g、α−メチルスチレンダイマー30g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき3重量部)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル360g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル40g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)20gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
この後、さらに2時間、90℃で重合反応を継続した後、100℃で1時間保持して重合開始剤をなくしアクリルプレポリマー(1)を製造した。
アクリルプレポリマー(1)の製造中、制御困難な急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
アクリルプレポリマー(1)は、重合率99.8%、Mw6.2万、Mn5.2万(Mw/Mn=1.19)であった。
反応温度を80℃に下げ、酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)をフラスコ内の酸素濃度が12vol%以下になるまで吹き込み、以後の付加反応中は継続して酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)を吹き込んだ。
フラスコにp−メトキシフェノール(重合禁止剤)1.0g(アクリルプレポリマー(1)とイソシアネート基含有アクリル単量体の合計量に対して1000ppm)、ジブチルチンジラウレート(付加反応触媒)2.0g(アクリルプレポリマー(1)とイソシアネート基含有アクリル単量体の合計量に対して0.2%)を仕込み、メタクリル酸2−イソシアネートエチル85.5g(アクリル酸4−ヒドロキシブチルの80モル%)を60分間で滴下した。この後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で反応をトレースしながらで2300cm−1近辺の吸収がなくなるまで付加反応を行った。付加反応時間は約30分であった。
室温まで冷却し、アクリル共重合体(1)を製造した。
実施例2
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が5vol%以下になるまで吹き込み、重合中は酸素濃度3〜5vol%に調節した窒素ガス/酸素ガス混合気の吹き込みを継続した。
フラスコにアクリル酸n−ブチル582g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル18g、α−メチルスチレンダイマー30g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき3重量部)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル388g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル12g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)20gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
この後、さらに2時間、90℃で重合反応を継続した後、100℃で1時間保持して重合開始剤をなくしアクリルプレポリマー(2)を製造した。
アクリルプレポリマー(2)の製造中、制御困難な急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
アクリルプレポリマー(2)は、重合率99.9%、Mw6.3万、Mn5.3万(Mw/Mn=1.19)であった。
反応温度を80℃に下げ、酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)をフラスコ内の酸素濃度が12vol%以下になるまで吹き込み、以後の付加反応中は継続して酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)を吹き込んだ。
フラスコにp−メトキシフェノール(重合禁止剤)1.0g(アクリルプレポリマー(2)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量に対して1000ppm)、ジブチルチンジラウレート(付加反応触媒)2.0g(アクリルプレポリマー(2)とイソシアネート基含有アクリル単量体の合計量に対しての0.2%)を仕込み、メタクリル酸2−イソシアネートエチル25.7g(アクリル酸4−ヒドロキシブチルの80モル%)を60分間で滴下した。この後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で反応をトレースしながらで2300cm−1近辺の吸収がなくなるまで付加反応を行った。付加反応時間は約40分であった。
室温まで冷却し、アクリル共重合体(2)を製造した。
実施例3
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が5vol%以下になるまで吹き込み、重合中は酸素濃度3〜5vol%に調節した窒素ガス/酸素ガス混合気の吹き込みを継続した。
フラスコにアクリル酸n−ブチル572g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル18g、メタクリル酸10g、α−メチルスチレンダイマー50g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき3重量部)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル388g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル12g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)30gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
この後、さらに2時間、90℃で重合反応を継続した後、100℃で1時間保持して重合開始剤をなくしアクリルプレポリマー(3)を製造した。
アクリルプレポリマー(3)の製造中、制御困難な急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
アクリルプレポリマー(3)は、重合率99.8%、Mw3.2万、Mn2.5万(Mw/Mn=1.28)、酸価6.5mgKOHであった。
反応温度を80℃に下げ、酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)をフラスコ内の酸素濃度が12vol%以下になるまで吹き込み、以後の付加反応中は継続して酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)を吹き込んだ。
攪拌を容易にし、付加反応を行いやすくするためフラスコにジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート250g(アクリルプレポリマー(80重量%)/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(20重量%):合計100重量%)を添加し、さらにp−メトキシフェノール(重合禁止剤)1.0g(アクリルプレポリマー(3)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量、およびジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートの合計量に対して1000ppm)、ジブチルチンジラウレート(付加反応触媒)2.0g(アクリルプレポリマー(3)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量の0.2%)を仕込み、メタクリル酸2−イソシアネートエチル25.7g(アクリル酸4−ヒドロキシブチルの80モル%)を60分間で滴下した。この後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)反応をトレースしながらで2300cm−1近辺の吸収がなくなるまで付加反応を行った。付加反応時間は約30分であった。
室温まで冷却し、アクリル共重合体(3)を製造した。
実施例4
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が5vol%以下になるまで吹き込み、重合中は酸素濃度3〜5vol%に調節した窒素ガス/酸素ガス混合気の吹き込みを継続した。
フラスコにアクリル酸n−ブチル530g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル60g、メタクリル酸10g、α−メチルスチレンダイマー50g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき5重量部)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル360g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル40g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)30gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
この後、さらに2時間、90℃で重合反応を継続した後、100℃で1時間保持して重合開始剤をなくしアクリルプレポリマー(4)を製造した。
アクリルプレポリマー(4)の製造中、制御困難な急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
アクリルプレポリマー(4)は、重合率99.8%、Mw3.2万、Mn2.5万(Mw/Mn=1.28)、酸価6.5mgKOHであった。
反応温度を80℃に下げ、酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)をフラスコ内の酸素濃度が12vol%以下になるまで吹き込み、以後の付加反応中は継続して酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)を吹き込んだ。
攪拌を容易にし、付加反応を行いやすくするためフラスコにジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート250g(アクリルプレポリマー(80wt%)/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(20wt%):合計100wt%)を添加し、さらにp−メトキシフェノール(重合禁止剤)1.0g(アクリルプレポリマー(3)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量、およびジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート合計量に対して1000ppm)、ジブチルチンジラウレート(付加反応触媒)2.0g(アクリルプレポリマー(3)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量合計量の0.2%)を仕込み、メタクリル酸2−イソシアネートエチル25.7g(アクリル酸4−ヒドロキシブチルの80モル%)を60分間で滴下した。この後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)反応をトレースしながらで2300cm−1近辺の吸収がなくなるまで付加反応を行った。付加反応時間は約30分であった。
室温まで冷却し、アクリル共重合体(4)を製造した。
実施例5
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が5vol%以下になるまで吹き込み、重合中は酸素濃度3〜5vol%に調節した窒素ガス/酸素ガス混合気の吹き込みを継続した。
フラスコにアクリル酸n−ブチル470g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル60g、メタクリル酸10g、アクリル酸2−メトキシエチル60g、α−メチルスチレンダイマー30g(アクリル単量体総量を100重量部としたとき5重量部)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル320g、アクリル酸4−ヒドロキシブチル40g、アクリル酸2−メトキシエチル40g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)20gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
この後、さらに2時間、90℃で重合反応を継続した後、100℃で1時間保持して重合開始剤をなくしアクリルプレポリマー(5)を製造した。
アクリルプレポリマー(5)の製造中、制御困難な急激な発熱は見られず、攪拌も容易であった。
アクリルプレポリマー(5)は、重合率99.8%、Mw6.4万、Mn5.4万(Mw/Mn=1.19)、酸価6.5mgKOHであった。
反応温度を80℃に下げ、酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)をフラスコ内の酸素濃度が12vol%以下になるまで吹き込み、以後の付加反応中は継続して酸素/空気の混合ガス(酸素濃度8vol%)を吹き込んだ。
攪拌を容易にし、付加反応を行いやすくするためフラスコにジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート250g(アクリルプレポリマー(80wt%)/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(20wt%):合計100wt%)を添加し、さらにp−メトキシフェノール(重合禁止剤)1.0g(アクリルプレポリマー(3)とイソシアネート基含有アクリル単量体合計量、およびジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートの合計量に対して1000ppm)、ジブチルチンジラウレート(付加反応触媒)2.0g(アクリルプレポリマー(3)およびイソシアネート基含有アクリル単量体合計量の0.2%)を仕込み、メタクリル酸2−イソシアネートエチル85.5g(アクリル酸4−ヒドロキシブチルの80モル%)を60分間で滴下した。この後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)反応をトレースしながらで2300cm−1近辺の吸収がなくなるまで付加反応を行った。付加反応時間は約30分であった。
室温まで冷却し、アクリル共重合体(5)を製造した。
比較例1
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が2vol%以下になるまで吹き込み、重合中は窒素ガスの吹き込みを継続した。
フラスコに、アクリル酸n−ブチル600g、ノルマルドデシルメルカプタン2g(アクリル酸n−ブチルの0.2重量%)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル400g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)20gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
アクリル酸n−ブチルのフィード終了30分前から頻繁に急激な発熱があり、重合温度制御ははなはだ困難を極めた。アクリル酸n−ブチルのフィード終了直後に暴走反応となり、アクリル共重合体を製造することができなかった。
比較例2
窒素ガス導入管、還流冷却器、撹拌装置、アクリル単量体仕込み口を有する2L四つ口フラスコに、窒素ガスをフラスコ内の酸素濃度が2vol%以下になるまで吹き込み、重合中は窒素ガスの吹き込みを継続した。
フラスコに、アクリル酸n−ブチル600g、ノルマルドデシルメルカプタン2g(アクリル単量体全体の0.2重量%)を仕込み、90℃に昇温した。
アクリル酸n−ブチル400g、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2gの混合溶液を、定流量ポンプを使用してフラスコ内に3時間でフィードした。
アクリル酸n−ブチルのフィード終了後の重合率は18%であった。アクリル酸n−ブチルのフィード終了までは重合速度がきわめて遅く、このため大きい発熱も見られず、重合制御は容易であった。アクリル酸n−ブチルのフィード終了2時間後から急激に発熱が始まり、氷水で冷却を行ったにもかかわらず、重合温度は120℃まで一気に上昇した。重合は暴走反応であった。120℃で5分間ほど重合した後、重合温度が下がりはじめた。重合温度が90℃まで下がった時点からさらに2時間重合を継続しアクリルプレポリマー(6)を製造した。
アクリルプレポリマー(6)は、重合率62.7%、酸価0.0mgKOH、Mw15.2万、Mn6.5万(Mw/Mn=2.34)であった。
アクリルプレポリマー(6)は、アクリルプレポリマー(1)〜アクリルプレポリマー(5)に比し、重合率が低く、アクリルモノマー臭(アクリル酸n−ブチル臭)がきわめて強く、また分子量分布(Mw/Mn)も倍近くに大きくなり、アクリルプレポリマーの粘度が異常に高くなった。
アクリルプレポリマー(6)の製造は暴走反応であり、実際の製造に持ち込めないこと、再現性をとることが困難であると考えられたため付加反応は実施しなかった。
次に、製造したアクリル共重合体を用いてハードコート塗料、接着剤として試験を行った結果を示す。
1.ハードコート塗料の試験
アクリル共重合体(1)〜(3)を使用し、ハードコート塗料(1)〜(3)を製造した。同時に比較のためハードコート塗料(4)を製造した。
ハードコート塗料を厚さ100μmのポリエステルフィルムに塗布した後、80℃で1分間乾燥の後、紫外線照射装置を用い300mj/cmの硬化条件で紫外線を照射し、ハードコート塗膜を作製した。
ハードコート塗料の組成、試験結果を表1に示した。なお、表中、「アートレジン UN−3220HC」は、根上工業社製の紫外線硬化型ウレタンアクリレートオリゴマー、「IRUGACURE 651」は、チバ・スペシャルティーケミカルズ社製の光重合開始剤である。
表1に示したとおり、柔らかいポリエステルフィルム上の塗膜であるにもかかわらず、ハードコート塗料(1)〜(3)は高い塗膜硬度を示し、相反する性能である屈曲性も良好であった。
2.接着剤の試験
アクリル共重合体(4)、(5)を使用し、接着剤(1)、(2)を製造した。同時に比較のため、接着剤(3)を製造した。接着剤は、表2に示す組成で、パークミルH−80を除いて表の上から順番に容器に入れ、均一になるよう混合し、「マゼルスターKK−100」(クラボウ社の攪拌、混合、脱泡装置)で脱泡を行った。これにパークミルH−80を添加し、攪拌して接着剤を製造した。なお、表中、「FA−512M」は日立化成工業製のアクリル単量体「FANCRYL FA−512M」、「BPE−200」は新中村化学社製のエチレンオキサイド変性エポキシアクリレート「NKエステルBPE−200」、「パークミルH−80」は日本油脂製の重合開始剤「パークミルH−80」を表す。
接着剤の試験は引張剪断強度(JIS K 6850:1999)にしたがい行った。接着剤をアルミニウム合金(JIS A 2017P:1999)に膜厚が500μmになるよう塗布し、接着剤が塗布された面同士を貼り合わせた後、40℃で30分間硬化反応を行い、1日養生後試験に供した。試験結果を表2に示した。
アクリル共重合体(4)、(5)が使用されている接着剤(1)、(2)は低温、短時間での接着工程にも係わらず、良好な接着性を示した。
Figure 2009203375
Figure 2009203375

Claims (6)

  1. 下記構造式のα−メチルスチレンダイマー
    Figure 2009203375
    をアクリル単量体100重量部に対し0.002〜20.0重量部使用し、下記構造式のアクリル単量体
    Figure 2009203375
    (ここで、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、水素原子、炭素原子数2〜12個のアルキル基、アルキル基の炭素原子数2〜6個のヒドロキシアルキル基、または、アルキル基の炭素原子数2〜6個のメトキシアルキル基を表す。)
    を含むアクリル単量体をラジカル共重合してアクリルプレポリマーを製造し、さらに、アクリルプレポリマーに下記構造式のイソシアネート基含有アクリル単量体を
    Figure 2009203375
    (ここで、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
    付加反応するアクリル共重合体の製造方法。
  2. ラジカル共重合されるアクリル単量体が、下記構造式で示される
    Figure 2009203375
    (ここで、R5は、炭素原子数2〜12個のアルキル基を表す。)
    ものである請求項1に記載のアクリル共重合体の製造方法。
  3. アクリル単量体のラジカル共重合が、塊状ラジカル共重合で行われる請求項1または2のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
  4. 不活性ガス置換された気相酸素濃度が、0.5vol%≦酸素濃度≦8.0vol%の雰囲気下で、アクリル単量体のラジカル共重合を行う請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
  5. 気相酸素濃度が、8.0vol%≦酸素濃度≦12.0vol%の雰囲気下で、アクリルプレポリマーに下記構造式のイソシアネート基含有アクリル単量体
    Figure 2009203375
    (ここで、R3は、水素原子またはメチル基、R4は、炭素原子数2〜4個のアルキル基を表す。)
    を付加反応する請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
  6. アクリルプレポリマーの重量平均分子量が2000〜20万である請求項1〜5のいずれかに記載のアクリル共重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016216592A (ja) * 2015-05-19 2016-12-22 東レ・ファインケミカル株式会社 粘着剤用アクリル樹脂およびそれを含む粘接着剤用アクリル樹脂組成物
JP2018070688A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 大日本印刷株式会社 側鎖型液晶ポリマー、液晶組成物、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、転写用積層体、光学部材、及び表示装置

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