JP2009203264A - 蛍光体および波長変換器ならびに発光装置、照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐湿性を向上できる蛍光体および波長変換器ならびに発光装置、照明装置を提供する。
【解決手段】Sr、Al、SおよびEuを必須成分として含有するとともに、SrAl結晶粒子1およびSrS結晶粒子2を有し、SrAl結晶粒子1中に前記SrS結晶粒子2が存在する。このような蛍光体では、SrAl結晶粒子1中にSrS結晶粒子2が存在するため、SrS結晶粒子2が耐湿性の高いSrAl結晶粒子1で覆われていることになり、SrS結晶粒子2が水分に触れることを抑制することができ、これにより、SrS結晶粒子2の溶解を抑制し、蛍光体の耐湿性を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線又は可視光を吸収し、長波長の可視光を発する蛍光体およびLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの発光素子から発せられる光を波長変換し、該波長変換した光を外部に放出する蛍光体を含有する波長変換器、さらに波長変換器を搭載した発光装置、該発光装置を具備した照明装置に関する。
半導体材料からなる発光素子(以下「LEDチップ」とも言う)は、小型で電力効率が良く鮮やかに発色する。LEDチップは、製品寿命が長い、オン・オフ点灯の繰り返しに強い、消費電力が低い、という優れた特徴を有するため、液晶等のバックライト光源および蛍光ランプ等の照明用光源への応用が期待されている。
LEDチップは、このLEDチップの光の一部を蛍光体で波長変換し、当該波長変換された光と波長変換されないLEDの光とを混合して放出することにより、LEDの光とは異なる色を発光する発光装置に応用されている。
このような発光装置としては、例えば、青色LEDチップ上に(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体等の黄色成分の蛍光体を配置したものが知られている。
この発光装置では、LEDチップから発する光が黄色成分の蛍光体に照射されると、黄色成分の蛍光体は励起されて可視光を発し、この可視光が出力として利用される。ところが、LEDチップの明るさを変えると、青色と黄色との光量比が変化するため、白色の色調が変化し、演色性に劣るといった問題があった。
そこで、このような課題を解決するために、LEDチップとして400nm以下のピークを有する紫色LEDチップを用いるとともに、波長変換器には3種類の蛍光体を高分子樹脂中に混ぜ込んだ構造を採用し、紫色光を赤色、緑色、青色の各波長に変換して白色を発光することが提案されている(特許文献1参照)。これにより、演色性を向上することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置では、励起光400nm付近の紫外域領域に対する赤色に発光する蛍光体の量子効率が低いため、白色光の発光効率を向上できないという問題があった。
このような状況を鑑み、赤色に発光する蛍光体の開発が行われてきており、従来、SrSにEuが固溶したSrS:Euで表される蛍光体が知られている(特許文献2参照)。
特開2002−314142号公報 特開2004−168996号公報
しかしながら、SrS:Euで表される蛍光体は、硫酸の化学的特性を有しており、耐湿性が低いという問題があった。すなわち、SrS等の硫化物は水分と反応しやすく、このため溶解しやすく、初期の量子効率はある程度高いものの、水分との反応により溶解し、経時劣化を起こし、量子効率の低下率が大きいという問題があった。これにより、SrS:Euで表される蛍光体を用いた照明装置の品質を保証できないという問題があった。
本発明は、耐湿性を向上できる蛍光体および波長変換器ならびに発光装置、照明装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、硫化物蛍光体SrSの耐湿性について鋭意検討した結果、SrAl結晶粒子中に前記SrS結晶粒子を存在せしめること、すなわち、SrS結晶粒子を耐湿性の良好なSrAl結晶粒子で被覆することにより、蛍光体としての耐湿性を向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の蛍光体は、Sr、Al、SおよびEuを必須成分として含有するとともに、SrAl結晶粒子およびSrS結晶粒子を有し、前記SrAl結晶粒子中に前記SrS結晶粒子が存在することを特徴とする。
このような蛍光体では、SrAl結晶粒子中にSrS結晶粒子が存在するため、SrS結晶粒子が耐湿性の高いSrAlで覆われていることになり、SrS結晶粒子が水分に触れることを抑制することができ、これにより、SrS結晶粒子の溶解を抑制し、耐湿性を向上できる。
また、本発明の蛍光体は、粉末X線回折測定におけるSrAl結晶相のメインピーク強度をIa、SrS結晶相のメインピーク強度をIbとしたとき、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)が0.3〜0.4であることを特徴とする。
ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)が0.3〜0.4である場合には、SrS結晶相だけからなる場合よりも、赤色に発光する蛍光体の量子効率を向上できる。その理由は明確ではないが、本発明者は、所定量のSrAl結晶相が存在する場合には、SrAl結晶相で吸収した光がSrS結晶相にエネルギー伝達されるため、赤色の量子効率が向上すると考えている。従って、所定量のSrAl結晶相とSrS結晶相を共存させることにより、蛍光体の赤色の量子効率が向上する。
さらに、本発明の蛍光体は、前記SrAl結晶相が主結晶相であり、前記SrS結晶相が副結晶相であることを特徴とする。このような蛍光体では、SrS結晶粒子をSrAl結晶粒子で被覆しやすくなり、蛍光体の耐湿性を向上できる。
本発明の波長変換器は、光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、透明マトリクス中に上記の蛍光体が分散されていることを特徴とする。このような波長変換器では、蛍光体の耐湿性が向上するため、波長変換器としても耐湿性を向上でき、長期にわたって品質を維持することができる。
本発明の発光装置は、基体と、該基体の表面に設けられた発光素子と、該発光素子が発光する光を波長変換する上記の波長変換器とを具備してなることを特徴とする。このような発光装置では、波長変換器の耐湿性を向上できるため、発光装置の品質を長期にわたって維持できる。
本発明の照明装置は、上記の発光装置を複数具備してなることを特徴とする。このような照明装置では、発光装置の品質を長期にわたって維持できるため、照明装置として長期信頼性を向上できる。
本発明の蛍光体は、SrAl結晶粒子中にSrS結晶粒子が存在するため、SrS結晶粒子が耐湿性の高いSrAlで覆われていることになり、SrS結晶粒子が水分に触れることを抑制することができ、これにより、SrS結晶粒子の溶解を抑制し、蛍光体の耐湿性を向上できる。このような耐湿性を向上した蛍光体を、波長変換器、発光装置、照明装置に用いることにより、長期にわたって良好な品質を維持できる。
本実施形態の蛍光体は、Sr、Al、SおよびEuを必須成分として含有するとともに、図1に示すように、SrAl結晶粒子1およびSrS結晶粒子2が存在している。言い換えれば、SrS結晶粒子2がSrAl結晶粒子1で被覆されている。このような組織を有するため、SrS結晶粒子2が水分に直接接触する機会が少なくなり、水分によるSrS結晶粒子2の溶解を抑制し、これにより蛍光体の耐湿性を向上できる。
また、本実施形態の蛍光体では、図2に示すように、粉末X線回折測定におけるSrAl結晶相のメインピーク強度をIa、SrS結晶相のメインピーク強度をIbとしたとき、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)が0.3〜0.4とされている。SrAl結晶相のメインピークは2θ=33〜36°に生じ、SrS結晶相のメインピークは2θ=28〜30°に生じる。そして、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)を0.3〜0.4とすることにより、赤色に発光する蛍光体の量子効率を向上できる。すなわち、赤色の発光に寄与するEuが固溶したSrS結晶相だけの場合が、他に赤色に発光しないSrAl結晶相が混在するよりも、量子効率を高くできそうであるが、本実施形態では、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)を0.3〜0.4とすることにより、SrS結晶相だけの場合よりも量子効率を向上できる。その理由は明確ではないが、本発明者は、所定量のSrAl結晶相が存在する場合には、SrAl結晶相で吸収した光がSrS結晶相にエネルギー伝達されるため、赤色の量子効率が向上すると考えている。
さらに、本実施形の蛍光体は、図2に示すように、SrAl結晶相が主結晶相で、SrS結晶相が副結晶相とされている。このような結晶相を有するため、SrS結晶相をSrAl結晶相で被覆し易くなり、耐湿性をさらに向上できる。
Euのモル比aは、式Sr3−aEuSと表した時、0<a≦0.2を満たせばよい。しかし、発光中心イオンEu2+のモル比aが小さすぎると、量子効率が小さくなる傾向がある。一方、多すぎても、濃度消光と呼ばれる現象によりやはり量子効率が小さくなる傾向がある。下限としては0.01≦aが好ましい。特には、aは、0.01≦a≦0.1の範囲にあることが望ましい。
本実施形態の蛍光体は、SrAl結晶相とEuが固溶するSrS結晶相を主たる結晶とするものであり、Euは、励起光を吸収して発光する賦活剤として機能するものである。
本実施形態の蛍光体は、Sr、Al、EuおよびSの元素源化合物と、必要に応じて、塩化ストロンチウム、塩化アンモニウム、塩化バリウム等のフラックスを、下記の(A)又は(B)の混合法により調整した混合物を仮焼し、還元雰囲気で熱処理し、篩い分けし、D90が50μm以下の粉体の集合体からなる蛍光体を製造することができる。尚、D90とは累積粒度分布において微粒側から累積90%のときの粒径をいう。
本発明では、SrS結晶相をSrAl結晶相で被覆しているため、蛍光体の耐湿性が良好であり、還元雰囲気で熱処理した後、洗浄することも可能となり、これにより、添加したフラックス等を除去でき、さらに、蛍光体の微粒化を促進することができる。
(A):ハンマーミル、ロールミル、ボールミルまたはジェットミル等の乾式粉砕機を用いた乾式混合法。
(B):水等を加えてスラリー状態又は溶液状態で、粉砕機により混合し、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
これらの混合法の中で、特に、賦活剤の元素化合物においては、少量の化合物を全体に均一に混合、分散させる必要があることから液体媒体を用いるのが好ましく、又、他の元素化合物において全体に均一な混合が得られる面からも、後者湿式混合法が好ましい。
仮焼方法としては、アルミナまたは石英製の坩堝またはトレイ等の耐熱容器中で、酸素または窒素等の気体の単独或いは混合雰囲気下で加熱することによりなされる。
還元雰囲気での熱処理方法としては、アルミナまたは石英製の坩堝またはトレイ等の耐熱容器中で、1000〜1300℃で、酸素、水素、窒素の混合雰囲気下、1〜24時間、加熱することによりなされる。
また、加熱プロセス中の構成成分の蒸発を抑制するために、埋め焼き、マイクロ波焼成を行っても良い。
仮焼温度、還元熱処理温度の組み合わせは、1100℃≦仮焼温度≦1300℃、1200℃≦還元熱処理温度≦1400℃である。仮焼温度保持時間は1〜6時間、還元熱処理保持時間は1〜12時間がよい。仮焼温度と還元熱処理温度の組み合わせが高すぎる場合、硫黄が揮発し、SrS結晶相の析出が少なくなり、赤色発光の量子効率が低下する傾向にある。
次に、本実施形態の波長変換器、さらに該波長変換器を搭載した発光装置を、図面を用いて説明する。図3は、本実施形態の発光装置11の一実施形態を示す概略断面図である。図3によれば、本実施形態の発光装置11は、電極13が形成された基板(基体)15と、基板15上に設けられている発光素子17と、基板15上に発光素子17を覆うように形成された1層の波長変換器19と、光を反射する反射部材21とを備えている。尚、符号22はワイヤ、符号16は接着剤である。
波長変換器19は、例えば、透明マトリクス中に、波長が430nmから490nmの蛍光(青色)を発する蛍光体(図示せず)、波長が520nmから570nmの蛍光(緑色)を発する蛍光体(図示せず)、波長が600nmから650nmの蛍光(赤色)を発する蛍光体(図示せず)が含有されており、光源である発光素子17から発せられる光の一部の波長を他の波長に変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力し、ある波長を有する発光素子17の光を他の波長を有する光に変換する。
青色を発する蛍光体は、例えば、波長が400nm前後の光で励起される量子効率が高い材料からなる。一方、緑色を発する蛍光体は、例えば、波長が400nmから460nmまでの光で励起される材料からなる。また、赤色を発する蛍光体は、例えば、波長が400nmから460nmだけでなく、550nm付近の光でも励起される材料からなる。
この波長変換器19において、赤色を発する蛍光体として、本実施形態の蛍光体を用いることで、本実施形態の波長変換器19および発光装置11を容易に作製することができる。
波長変換器19は、蛍光体を均一に分散および担持し、かつ蛍光体の光劣化を抑制することができるため、高分子樹脂やガラス材料などの透明マトリクス中に蛍光体を分散して形成することが好ましい。高分子樹脂膜、ゾルゲルガラス薄膜などのガラス材料としては、透明性が高く、かつ加熱や光によって容易に変色しない耐久性を有するものが望ましい。
高分子樹脂膜は、材料は特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ポリアリレート、さらにこれら材料の誘導体が用いられる。特に、350nm以上の波長域において高い光透過性を有していることが好ましい。このような透明性に加え、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂がより好適に用いられる。
ガラス材料は、シリカ、チタニア、ジルコニア、さらにそれらのコンポジット系を例示できる。ガラス材料中に蛍光体をそれぞれ単独で分散させて形成する。高分子樹脂膜と比較して、光、特に紫外線に対する耐久性が高く、さらに熱に対する耐久性が高いことから、製品の長寿命化を実現できる。また、ガラス材料は、安定性を向上させることができることから、信頼性の高い発光装置を実現できる。
波長変換器19は、ゾルゲルガラス膜などのガラス材料または高分子樹脂膜を用いて、塗布法により形成することができる。一般的な塗布法であれば限定されないが、ディスペンサーによる塗布が好ましい。例えば、液状で未硬化の樹脂、ガラス材料、または溶剤で可塑性を持たせた樹脂およびガラス材料に、蛍光体を混合することにより製造することができる。未硬化の樹脂としては、例えばシリコーン樹脂を使用できる。これらの樹脂は2液を混合して硬化させるタイプのものであっても1液で硬化するタイプのものであっても良く、2液を混合して硬化させるタイプの場合、両液にそれぞれ蛍光体を混練してもよく、あるいはどちらか一方の液に蛍光体を混練しても構わない。また、溶剤で可塑性を持たせた樹脂としては例えばアクリル樹脂を使用することができる。
硬化した波長変換器19は、未硬化状態でディスペンサー等の塗布法を使用するなどして、フィルム状に成形したり、所定の型に流し込んで固めることで得られる。樹脂およびガラス材料を硬化させる方法としては、熱エネルギーや光エネルギーを使う方法がある他、溶剤を揮発させる方法がある。
電極13を形成する導体は、発光素子17を電気的に接続するための導電路としての機能を有し、基体15の下面から上面に引き出され、ワイヤ22にて発光素子17と電気的に接続されている。導体としては、例えば、W、Mo、CuまたはAg等の金属粉末を含むメタライズ層を用いることができる。導体は、基板15がセラミックスから成る場合、その上面に配線導体がタングステン(W)またはモリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等から成る金属ペーストを高温で熱処理して形成され、基板15が樹脂から成る場合、銅(Cu)または鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子がモールド成型されて基板15の内部に設置固定される。
基板15は、熱伝導性が高く、かつ全反射率の大きいことが求められるため、例えばアルミナ、窒化アルミニウム等のセラミック材料の他に、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂が好適に用いられる。
発光素子17は、蛍光体の励起を効率的に行なうことができるため、中心波長が370〜420nmの光を発する半導体材料を備えた発光素子を用いている。これにより、出力光の強度を高め、より発光効率の高い発光装置を得ることが可能となる。
発光素子17は、上記中心波長を発するものが好ましいが、発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造(図示せず)を有していることが、高い外部量子効率を有する点で好ましい。このような半導体材料として、ZnSeまたは窒化物半導体(GaN等)等種々の半導体を挙げることができるが、発光波長が上記波長範囲であれば、特に半導体材料の種類は限定されない。これらの半導体材料を有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタシャル成長法等の結晶成長法により、発光素子基板上に半導体材料からなる発光層を有する積層構造を形成すれば良い。発光素子基板は、結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるために、例えば窒化物半導体からなる発光層を表面に形成する場合、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、ZrB、GaNまたは石英等の材料が好適に用いられる。
発光素子17と波長変換器19の側面には、必要に応じて、光を反射する反射部材21を設け、側面に逃げる光を前方に反射し、出力光の強度を高めることができる。反射部材21の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)またはこれらの積層構造物や合金、さらにアルミナセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。
本実施形態の発光装置は、図3に示すように、波長変換器19を発光素子17上に設置することにより得られる。波長変換器19を発光素子17上に設置する方法としては硬化したシート状の波長変換器19を発光素子17上に設置することが可能であるほか、液状の未硬化の材料を発光素子17上に設置した後、硬化させて設置することも可能である。
本実施形態の照明装置は、図3に示すような発光装置を、例えば、基板に複数配置し、これらの発光装置を電気的に接続して構成される。また、基板15の表面に複数の発光素子17、波長変換器19、反射部材21を形成し、複数の発光装置を形成し、これらの発光装置を電気的に接続して照明装置を形成しても良い。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の蛍光体及び波長変換器ならびに発光装置を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
炭酸ストロンチウム粉末、アルミナ粉末、酸化ユウロピウム粉末、硫黄粉末のそれぞれの構成元素を表1に示すモル比の割合で、さらに、炭酸ストロンチウム粉末、アルミナ粉末、酸化ユウロピウム粉末、硫黄粉末の合計量100重量部に対して、融剤として塩化ストロンチウム粉末を表1に示す重量比で添加し、ポリポット中で混合し、乾燥後、大気雰囲気下1200℃で3時間仮焼した。
その後、12%の水素を含む窒素ガス流下1300℃で9時間過熱することにより熱処理し、篩い分けし、D90が50μm以下の粉体の集合体からなる蛍光体を製造した。
上述の工程で作製した蛍光体の粉末X線回折測定を以下の条件で行った。すなわち、走査範囲の回折角度誤差がΔ2θ=0.05°以下に光学調整された(Cu−Kα)のX線源からなる粉末X線回折装置(マックサイエンス社製MAC M18XCE)を用い、かつ試料偏心に伴う回折角の誤差が標準シリコンの111ピークを用いて、Δ2θ=0.05°以下の角度再現性が保障される条件で粉末X線回折測定を実施した。
そして、粉末X線回折測定におけるSrAl結晶相の2θ=33〜36°で検出されるメインピーク強度をIa、SrS結晶相の2θ=28〜30°で検出されるメインピーク強度をIbとしたとき、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)を求め、表2に記載した。尚、表2には、Ia+Ib=1として、Ia、Ibの強度を記載した。
得られた蛍光体の量子効率は、日本分光社製分光蛍光光度計FP−6500を用いて測定した。蛍光体の量子効率は、専用セルに蛍光体粉末を充填し、395nmの励起光を照射させて、蛍光スペクトルを測定した。その結果を、分光蛍光光度計付属の量子効率測定ソフトを用いて、赤色の量子効率を算出し、結果を表2に記載した。
また、得られた蛍光体粉末を85℃85%の高温高湿条件下で1000時間保持した後、再度上記のようにして量子効率を測定し、量子効率の低下率を算出し、耐湿性評価を行った。量子効率の低下率は、((作製時)−(耐湿性試験後))/(作製時)×100で求めた。その結果を、表2に記載した。
また、SrAl結晶粒子中にSrS結晶粒子が存在するか否かについて、走査型電子顕微鏡(SEM:1000倍)にて観察し、確認した。その結果、本発明の試料No.1〜8については、SrAl結晶粒子中にSrS結晶粒子が存在していた。図1に、試料No.3のSEM写真、図2に、試料No.3の粉末X線回折測定結果を示す。
表1、2より、SrAl結晶相が存在しない試料No.9では、作製時の量子効率は20%と高かったが、耐湿性試験後には量子効率が2.4%に低下し、量子効率の低下率が38%と大きく、耐湿性が悪いことがわかる。これに対して、SrAl結晶相中にSrS結晶相が存在する本発明の試料では、量子効率の低下率が3%以下小さく、優れた耐湿性を有することがわかる。
また、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)が30〜40%の場合には、初期の量子効率が、SrS結晶相単独の試料No.9よりも高く、しかも量子効率の低下率も3%以下小さいことがわかる。
SrAl結晶粒子中にSrS結晶粒子が存在する組織を示すSEM写真である。 蛍光体を粉末X線回折にて測定した結果を示すグラフである。 発光装置の構造を示す概略断面図である。
符号の説明
1・・・SrAl結晶粒子
2・・・SrS結晶粒子
11・・・発光装置
13・・・電極
15・・・基板
17・・・発光素子
19・・・波長変換器

Claims (6)

  1. Sr、Al、SおよびEuを必須成分として含有するとともに、SrAl結晶粒子およびSrS結晶粒子を有し、前記SrAl結晶粒子中に前記SrS結晶粒子が存在することを特徴とする蛍光体。
  2. 粉末X線回折測定におけるSrAl結晶相のメインピーク強度をIa、SrS結晶相のメインピーク強度をIbとしたとき、ピーク強度比Ib/(Ia+Ib)が0.3〜0.4であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体。
  3. 前記SrAl結晶相が主結晶相であり、前記SrS結晶相が副結晶相であることを特徴とする請求項2記載の蛍光体。
  4. 光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、透明マトリクス中に請求項1乃至3のうちいずれかに記載の蛍光体が分散されていることを特徴とする波長変換器。
  5. 基体と、該基体の表面に設けられた発光素子と、該発光素子が発光する光を波長変換する請求項4記載の波長変換器とを具備してなることを特徴とする発光装置。
  6. 請求項5記載の発光装置を複数具備してなることを特徴とする照明装置。
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