JP2009202793A - エバポレータおよびインシュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】インシュレータをエバポレータに確実に接着することのできるエバポレータ、インシュレータを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態にかかるエバポレータ10によれば、湾曲面16に沿って湾曲した状態で接着されたインシュレータ20において、多数のスリット22を、湾曲面16の湾曲方向Wに対し傾斜して形成し、特定の部分で復元力が強くなることもなく、接着力が強力ではない接着剤を用いた場合にも、剥がれや浮きを防いでインシュレータ20をエバポレータ10に確実に接着する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用空調装置を構成するエバポレータおよびそれに取り付けられるインシュレータに関するものである。
車両用空調装置を構成するエバポレータは、車両に取り付けた状態でケース内に収められており、このケースに導入される空気をエバポレータの外表面に接触させることで、エバポレータ内を流れる冷媒と熱交換を行い、空気の加熱または冷却を行う。
ここで、エバポレータとケースとの間には、エバポレータとケースとが直接接触することで生じる振動や音を防ぐため、およびエバポレータの熱がケースに伝わるのを防ぐために、インシュレータが介在している(例えば、特許文献1、2参照。)。
インシュレータは、発泡ポリエチレン等の材料から形成されたシート状で、その一面側に塗布された接着剤により、エバポレータの外表面に取り付けられている。
特開2004−136829号公報 特許第3489526号公報
インシュレータは、その目的からしてある程度の厚みを有している。このため、図5に示すように、インシュレータ1を、エバポレータ2の外表面の湾曲面2aに接着しても、インシュレータ1自体が有する復元力が強く、エバポレータ2から剥がれやすいという問題があった。
そこで、インシュレータ1にスリット3を多数形成し、インシュレータ1をエバポレータ2の湾曲面2aに沿って湾曲させやすくする工夫がなされていた。しかし、近年、接着剤に用いる溶剤に様々な規制がかかり、強力な接着剤を用いることができないという問題も加わり、スリット3を形成したインシュレータ1においても、エバポレータ2の湾曲面2aに張り付けたときに、その端部1aにおいて、剥がれや浮き等が生じやすかった。
インシュレータ1の剥がれや浮きが生じると、その隙間に熱交換時に生じる水滴が溜まり、氷結の原因となる恐れがある。そこで、インシュレータ1の剥がれや浮きを確実に抑える必要が生じた。
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、スリット3の配置が、インシュレータ1の剥がれや浮きの生じる箇所と相関のあることを見出した。従来、各スリット3は、インシュレータ1が接着されるエバポレータ2の辺Lに沿った方向に平行に形成され、これら多数のスリット3は、千鳥状に配置されていた。すると、断面方向で見ると、図6(a)に示すような、ある断面では、3本のスリット3が存在しているのに対し、図6(b)に示すように、他の断面では、スリット3が1本のみしか存在しない。スリット3の本数が少なければ、インシュレータ1は曲がりにくく、エバポレータ2の湾曲面2aに沿って湾曲させた状態で接着したときも、インシュレータ1は元の平面的な形状に戻ろうとする復元力が強い。その結果、断面方向にスリット3の数が少ない個所において、インシュレータ1の端部1aに剥がれや浮きが生じやすくなっていたのである。
この問題に対して、接着剤の接着力を高める方法がまず考えられるが、前述のごとく、使用溶剤の規制等の要因やコスト面から、現状よりも強力な接着剤を用いるのは困難である。また、スリット3の本数を増やしてインシュレータ1を湾曲させたときの復元力を小さくすることも考えられるが、スリット3の本数を大幅に増やすことは、シート状のインシュレータ材から所定形状のインシュレータ1を打ち抜く際に用いる金型の製作コスト上昇に直結してしまう。
これらの原因から、現状のままではインシュレータ1をエバポレータ2の湾曲面2aに確実に接着するのは困難であると言わざるを得ないのが現状であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、インシュレータをエバポレータに確実に接着することのできるエバポレータ、インシュレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のエバポレータは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるエバポレータは、車両用空調装置を構成するエバポレータであって、エバポレータの外表面に、エバポレータを収容するケースとエバポレータとの間に介在するインシュレータが接着され、インシュレータは、弾性を有したシート状で、エバポレータの外表面の湾曲面に沿う部分に、湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットが、互いに間隔を隔てて複数本形成されていることを特徴とする。
湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットを互いに間隔を隔てて複数本形成すると、任意の断面において、スリット本数を過度に増やすことなく、湾曲面に沿ったインシュレータに複数本のスリットを存在させることができる。
これにより、本発明のエバポレータは、インシュレータにスリットが形成された範囲内の任意の位置でエバポレータを断面視したときに、湾曲面に複数本のスリットが存在するものとなる。
このため、インシュレータにスリットが形成された範囲内の任意の位置でエバポレータを断面視したときに、湾曲面に複数本のスリットが存在するよう、スリットの間隔、角度を設定する必要がある。
ここで、湾曲面の湾曲方向に対するスリットの傾斜角度は、10〜80°とするのが好ましい。より好ましい傾斜角度は、20〜70°であり、特に好ましい傾斜角度は、35〜60°である。
このような本発明のエバポレータにおけるスリットは、インシュレータをエバポレータに接着した状態でインシュレータが平面状態に戻ろうとする復元力を均一に緩和し、インシュレータがエバポレータの外表面から剥がれるのを防ぐために形成されている。
また、本発明のインシュレータは、車両用空調装置を構成するエバポレータ用のシート状のインシュレータであって、インシュレータをエバポレータの外表面に接着した状態でエバポレータの外表面の湾曲面に沿う部分に、湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットが、互いに間隔を隔てて複数本形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットを互いに間隔を隔てて複数本形成すると、任意の断面において、スリット本数を過度に増やすことなく、湾曲面に沿ったインシュレータに複数本のスリットを存在させることができる。これによって、エバポレータに接着した状態でインシュレータが平面状態に戻ろうとする復元力を均一に緩和し、インシュレータがエバポレータの外表面から剥がれるのを防ぐことが可能となる。その結果、接着力が強力ではない接着剤を用いた場合にも、剥がれや浮きを防いでエバポレータに確実に接着することができる。また、形成するスリットの数が少なくて済むので、インシュレータを形成するために用いる製作コストが上昇するのを回避できる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は、本発明に係るエバポレータ10の構成を示す側面図である。
この図1、図2に示されるように、エバポレータ10は、間隔を隔てて互いに平行に形成された多数の冷媒通路11間に伝熱フィン12が設けられたコア部13と、コア部13において各冷媒通路11の上流側、下流側に設けられたタンク部14、15と、を備えている。
タンク部14、15は、平面視矩形のエバポレータ10において互いに平行な二辺に沿って形成されている。タンク部14、15の外表面は、タンク部14、15が形成されているエバポレータ10の辺Lに沿って、例えば10(mm)といった所定の曲率半径Rで形成された同一断面形状が連続する湾曲面16とされている。
インシュレータ20は、湾曲面16に、タンク部14、15の全体を覆うように接着されている。そしてこのインシュレータ20が、エバポレータ10を収容するケース100との間に介在することで、防音、防振、断熱といった効果を発揮する。また、インシュレータ20でタンク部14、15の全体を覆うことで、空気をタンク部14、15に接触させず、コア部13に接触させて、熱交換効率を高めるという目的もある。
このようなインシュレータ20は、例えば発泡ポリスチレン製で、例えば発泡倍率は30倍、厚さは4mm程度とされる。このインシュレータ20は、例えば水エマルジョン系の接着剤により、エバポレータ10の湾曲面16に接着されている。
さて、図3に示すように、インシュレータ20は、エバポレータ10の辺Lに沿った方向に長い帯状とされ、その中央部には、辺Lに平行な中心軸線CLに沿って延びる開口部21が形成されている。開口部21の両側が、エバポレータ10の湾曲面16に沿う部分で、ここには、多数のスリット22が形成されている。
これらのスリット22は、互いに平行で、それぞれ、湾曲方向W(インシュレータ20の表面に沿った面内で中心軸線CLに直交する方向)に対し、所定の角度θで傾斜して形成されている。ここで、スリット22を傾斜させる角度θは、例えば湾曲面16の曲率半径Rが10mmの場合、35〜60°とするのが好ましい。また、互いに隣り合うスリット22の間隔cは、4〜6mmとするのが好ましい。
もちろん、これら角度θ、間隔cの寸法は、湾曲面16の曲率半径R、インシュレータ20の材質等に応じ、適宜設定すればよいものである。
このようなインシュレータ20がエバポレータ10の湾曲面16に接着された状態で、スリット22が形成されている範囲内の任意の位置において、エバポレータ10を辺Lに直交する断面で見ると、図4に示すように、いずれの位置においても、一断面に複数本のスリット22が存在する。
ここで、具体例を挙げて検討する。
例えば、図4に示すように、湾曲面16の湾曲方向Wに沿った長さである周長Xを15mmとした場合、この周長X=15mmの範囲内に最低3本のスリット22を存在させようとすると、スリット22を6mm程度の間隔cで形成すればよい。また、任意の断面において、スリット22の本数は3〜4本となっている。
一方、図6に示した従来例のように、エバポレータ1の辺Lに沿った方向に延びるスリット3を千鳥状に形成した場合、周長X=15mmの範囲内に最低3本のスリット2を存在させようとすると、断面方向においてスリット3の本数が少ない個所が存在するため、合計6本のスリットを形成する必要があり、スリット3の間隔cは、3.5mm程度となる。また、任意の位置の断面において、スリット3の本数は、3本または6本となる。
このように、スリット22を斜めに形成することで、スリット22の本数も少なく、その間隔cも大きくすることができるようになる。また、任意の位置の断面におけるスリット22の本数もバラつきが小さい。
以上の通り、本実施形態にかかるインシュレータ20を備えたエバポレータ10によれば、湾曲面16に沿って湾曲した状態で接着されたインシュレータ20は、特定の部分で復元力が強くなることもなく、接着力が強力ではない接着剤を用いた場合にも、剥がれや浮きを防いでエバポレータ10に確実に接着することができる。インシュレータ20が剥がれたり浮いたりすることがないので、当然、水分の氷結等を防ぐことができる。
しかも、スリット22の本数は、従来に比較して少なく、その間隔cも大きくできるので、インシュレータ20を形成するときに用いるプレス金型の製作費も抑えることができる。
なお、上述した実施形態では、エバポレータ10の構成や、インシュレータ20のスリット22以外の構成については、本願発明の主旨から逸脱しない限り、適宜他の構成を採用することが可能である。
本発明の実施形態にかかるエバポレータの外観を示す側面図である。 インシュレータが取り付けられた部分のエバポレータを示す外観斜視図である。 インシュレータの平面図である。 エバポレータに取り付けられたインシュレータの断面図である。 従来のインシュレータが取り付けられた部分のエバポレータを示す斜視図である。 エバポレータに取り付けられた従来のインシュレータの断面図である。
符号の説明
10 エバポレータ
13 コア部
14、15 タンク部
16 湾曲面
20 インシュレータ
22 スリット
100 ケース

Claims (4)

  1. 車両用空調装置を構成するエバポレータであって、
    前記エバポレータの外表面に、前記エバポレータを収容するケースと前記エバポレータとの間に介在するインシュレータが接着され、
    前記インシュレータは、弾性を有したシート状で、前記エバポレータの外表面の湾曲面に沿う部分に、前記湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットが、互いに間隔を隔てて複数本形成されていることを特徴とするエバポレータ。
  2. 前記インシュレータに前記スリットが形成された範囲内の任意の位置で前記エバポレータを断面視したときに、複数本の前記スリットが存在することを特徴とする請求項1に記載のエバポレータ。
  3. 前記スリットは、前記インシュレータを前記エバポレータに接着した状態で前記インシュレータが平面状態に戻ろうとする復元力を均一に緩和し、前記インシュレータが前記エバポレータの外表面から剥がれるのを防ぐために形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエバポレータ。
  4. 車両用空調装置を構成するエバポレータ用のシート状のインシュレータであって、
    前記インシュレータを前記エバポレータの外表面に接着した状態で前記エバポレータの外表面の湾曲面に沿う部分に、前記湾曲面の湾曲方向に対して傾斜して伸びるスリットが、互いに間隔を隔てて複数本形成されていることを特徴とするインシュレータ。
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