JP2009202439A - 流体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の噴射ヘッドを配列した流体噴射装置において、噴射ヘッドに付着した流体を拭き取る合理的な技術を提供する。
【解決手段】複数の噴射ヘッドが設けられたヘッドユニットの移動経路上に、掻取部材を突設させておき、ヘッドユニットを移動させて、掻取部材をヘッドユニットのノズル面と摺接させることによって、ノズル面に付着した流体を掻き取る動作を行う。また、ヘッドユニットには、ヘッドユニットの移動時に、掻取部材と摺接することによって、掻取部材に付着した流体を拭き取る拭取部材を設けておく。このような構成では、ヘッドユニットを移動させるだけで、ノズル面に付着した流体を、合理的に掻き取ることが可能となる。
【選択図】図6

Description

本発明は、噴射ヘッドから流体を噴射する技術に関し、詳しくは、搬送される記録媒体に向かって、噴射ヘッドから適切な量の流体を適切な位置に噴射する技術に関する。
噴射ヘッドを用いて印刷媒体上にインクを吐出することで、画像を印刷するプリンタ(いわゆるインクジェットプリンタ)は、今日では、画像の出力手段として広く使用されている。また、この技術を応用して、インクの代わりに、適切な成分に調製した各種の流体(例えば、機能材料の微粒子が分散された液体や、ジェルなどの半流動体など)を、基板上に噴射することで、電極や、センサ、バイオチップなど、各種の精密な部品を、簡便に製造することも提案されている。
一般的に使用されているインクジェットプリンタは、印刷媒体上で画像が印刷される幅(記録幅)よりも短い噴射ヘッドが搭載されており、この噴射ヘッドを記録幅方向に往復動させながら、断続的に印刷媒体を搬送することによって画像を印刷する方式のプリンタ(いわゆるシリアルプリンタ)である。これに対して、噴射ヘッドを往復動させるのではなく、複数の噴射ヘッドを並べて記録幅と同じ長さの(若しくはより長い)長尺噴射ヘッドを構成し、この長尺噴射ヘッドの位置は固定した状態で、印刷媒体を連続的に搬送して画像を印刷する方式のプリンタ(いわゆるラインプリンタ)も提案されている(特許文献1、特許文献2)。このようなラインプリンタは、複数の噴射ヘッドから同時にインクを噴射しながら、印刷媒体を連続的に搬送して印刷することが可能となり、このため画像を高速に印刷することが可能である。
尚、このようなラインプリンタも、インクを噴射して画像を印刷している点では、通常のシリアルプリンタと変わりはない。従って、シリアルプリンタの場合と同様に、噴射ヘッドのクリーニング動作(噴射ヘッド内のインクを強制的に吸い出す動作)や、ワイピング動作(クリーニング動作後に噴射ヘッドに付着したインクを、ワイパーブレードと呼ばれる部材で掻き取る動作)などを、定期的に行う必要があると予想される。
また、シリアルプリンタでは、ワイパーブレードで掻き取ったインクをそのままにしておくと、インクが固まって、噴射ヘッドからインクを掻き取る能力が次第に低下するので、ワイピング動作後に、ワイパーブレード上のインクをインクの吸収部材(クリーナ)で拭き取る技術も提案されている(特許文献3)。そして、ラインプリンタにおいても、こうした事情はシリアルプリンタと同様であり、従って、ワイピング動作後は、ワイパーブレード上のインクをクリーナで拭き取る必要があるものと予想される。
特開2004−050445号公報 特開2007−001108号公報 特開2005−104091号公報
しかし、ラインプリンタには複数の噴射ヘッドが搭載されているため、シリアルプリンタで採用されているワイピング方法や、ワイピング動作後のワイパーブレードのインクを拭き取る方法を、そのまま適用することは難しい。特に、クリーナを用いてインクを拭き取る場合には、やがてはクリーナの交換が必要となるが、ラインプリンタに搭載されている長尺噴射ヘッドは、複数の噴射ヘッドによって構成されているので大きくなる。このため、クリーナの交換作業が困難なものになり易いという問題がある。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、ラインプリンタのように複数の噴射ヘッドを配列した流体噴射装置において、噴射ヘッドに付着した流体をワイパーブレードで掻き取った後、ワイパーブレード上の流体を拭き取ることの可能な合理的な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の流体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
流体を噴射する噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドを複数備え、該流体が噴射される媒体である被噴射媒体を該噴射ヘッドに対して移動させながら、該被噴射媒体上に該流体を噴射する流体噴射装置であって、
前記被噴射媒体上で前記流体が噴射される領域の幅方向と少なくとも同じ幅で該流体を噴射可能に、複数の前記噴射ヘッドが配列されたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに対して前記被噴射媒体を搬送しながら、該ヘッドユニットに搭載された前記複数の噴射ヘッドから、該被噴射媒体に向かって前記流体を噴射する流体噴射手段と、
前記ヘッドユニットを、前記被噴射媒体の搬送方向と交差する方向に移動させるヘッドユニット移動手段と、
前記ヘッドユニットの移動経路上に突設されるとともに、該ヘッドユニットを移動させると、該ヘッドユニットに搭載された前記噴射ヘッドの前記噴射ノズルが設けられたノズル面と摺接することにより、該ノズル面に付着した流体を掻き取る掻取部材と
を備え、
前記ヘッドユニットには、前記掻取部材に付着した前記流体を、該ヘッドユニットに移動時に該掻取部材と摺接することによって拭き取る拭取部材が設けられていることを要旨とする。
かかる本発明の流体噴射装置においては、複数の噴射ヘッドが設けられたヘッドユニットの移動経路上に、掻取部材を突設させておき、ヘッドユニットを移動させて、掻取部材をヘッドユニットのノズル面と摺接させることによって、ノズル面に付着した流体を掻き取る動作を行う。また、ヘッドユニットには、ヘッドユニットの移動時に、掻取部材と摺接することによって、掻取部材に付着した流体を拭き取る拭取部材が設けられている。
このような構成としておけば、ヘッドユニットを移動させるだけで、ノズル面に付着した流体を掻き取ることが可能な、合理的な構成を実現することができる。
かかる本発明の流体噴射装置においては、ヘッドユニットの上面側から交換可能な態様で、拭取部材をヘッドユニットに取り付けるようにしても良い。
拭取部材で拭き取ることのできる流体の分量にも限りがある。このため拭取部材は、掻取部材に付着した流体を拭き取っているうちに、流体を拭き取る能力が低下していき、やがては拭取部材の交換が必要となる。従って、ヘッドユニットの上面側から交換可能な態様で、拭取部材を取り付けておけば、拭取部材を容易に交換することが可能となる。
また、上述した本発明の流体噴射装置においては、拭取部材の少なくとも一部がヘッドユニットの上面側から目視可能な態様で、拭取部材をヘッドユニットに取り付けることとしてもよい。
拭取部材の少なくとも一部を目視することができれば、その拭取部材でどの程度の分量の流体を拭き取ったかを大まかに把握することができる。その結果、拭取部材の交換の要否を容易に認識することが可能となる。
尚、拭取部材の目視可能な箇所としては、その拭取部材が掻取部材の流体を拭き取る側と、反対側の端部としてもよい。拭き取った流体が反対側の端部まで浸透したのであれば、その拭取部材が流体を拭き取る能力は、限界に近づいていると考えられる。従って、こうすることにより、拭取部材の交換時期をより適切に把握することが可能となる。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.本実施例のクリーニング動作:
C.本実施例のワイピング動作:
D.変形例:
D−1.第1の変形例:
D−2.第2の変形例:
A.装置構成 :
図1は、ラインプリンタ1を例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構造を示した説明図である。図示されているように、本実施例のラインプリンタ1は、大まかには箱型の外形形状をしており、上面には、モニタパネル2と、ユーザーが操作するための操作パネル3と、ラインプリンタ1の各種メンテナンスを行うためのメンテナンス扉4が設けられている。また、ラインプリンタ1の前面には、印刷用紙を装填する際に開ける給紙扉5が設けられており、更に、向かって右側面には、印刷された印刷用紙が排出される排紙口6が設けられている。
ラインプリンタ1の内部には、各種の機能を実行する複数のユニットあるいは部品が搭載されている。先ず、ラインプリンタ1のほぼ中央の位置には、印刷用紙にインクを噴射するヘッドユニット30が設けられており、ヘッドユニット30の下方には電源ユニット70が設けられている。ヘッドユニット30の内部には、インクを収納したインクカートリッジが装着されており、ヘッドユニット30の底面側からインクを噴射して印刷用紙上に画像を印刷することが可能となっている。
紙面上で、ヘッドユニット30の左下の位置には、印刷用紙が装填される給紙カセット10が設けられており、給紙カセット10の右端の上面に接する位置に、給紙ローラ20が設けられている。更に、給紙ローラ20の奥側には給紙モータ22が接続されている。給紙モータ22を駆動して給紙ローラ20を回転させると、給紙カセット10から印刷用紙が1枚、ヘッドユニット30に向かって搬送され、ヘッドユニット30の下面を通過する際に、インクが噴射されて画像が印刷される。図1では、印刷用紙の搬送経路が太い破線で示されている。印刷用紙は、画像が印刷された後は、下方に蛇行して、排紙口6から排出される。
紙面上で、ヘッドユニット30の右側の領域は、空きスペースとなっており、この空きスペースの下方には、キャッピングプレート40や、吸引ポンプ50、廃液タンク52などが設けられている。更にキャッピングプレート40の奥側には、ワイパーブレード60も搭載されている。また、モニタパネル2や操作パネル3が設けられている部分の直ぐ下の位置には、ラインプリンタ1の各種の動きを制御する制御ユニット80が搭載されている。
図2は、本実施例のラインプリンタ1の詳細な構造を示す説明図である。図2では、ラインプリンタ1を正面側から見た時の内部の様子が概念的に示されている。以下では、図2を参照しながら、ラインプリンタ1に搭載された各ユニットおよび部品の動作について説明する。先ず、給紙カセット10には、複数枚の印刷用紙が装填される。給紙カセット10に装填された印刷用紙はバネ12によって押し上げられて、上方に設けられた給紙ローラ20に押し付けられている。給紙ローラ20は、金属製の細長い円柱を長さ方向に半分に割って形成した断面が略半円形状の細長い部材であり、円周部分に対応する側面はゴム材料によって形成されている。この給紙ローラ20の一端には給紙モータ22が接続されており、給紙モータ22によって給紙ローラ20を回転させることによって、給紙カセット10から印刷用紙を1枚だけ、ヘッドユニット30に向かって送り出すことが可能となっている。
給紙ローラ20とヘッドユニット30との間には、複数のガイドローラ26が設けられている。ガイドローラ26は、図示しないモータによって駆動されて回転することにより、印刷用紙をガイドしながら、ヘッドユニット30へと搬送する。
ヘッドユニット30は、印刷用紙の搬送経路上に、印刷用紙を跨ぐような状態で設けられており、ヘッドユニット30の底面側(すなわち、印刷用紙に面する側)には、インクを噴射する複数の噴射ヘッド32が設けられている(図3を参照)。また、ヘッドユニット30の内部には、シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエロインク(Yインク)、黒インク(Kインク)の4種類のインクを収容したインクカートリッジが搭載されている。これらインクカートリッジ内に収容されたインクが、ヘッドユニット30の下面側に設けられた複数の噴射ヘッドから噴射される。
図3は、ヘッドユニット30の底面に複数の噴射ヘッド32が設けられている様子を示した説明図である。図3には、ヘッドユニット30を底面側から見たときの状態が示されている。図示されるように、本実施例のヘッドユニット30には、インクの色毎に、6つの噴射ヘッド32が、印刷用紙の搬送方向と交差する方向に並べて配置されている。それぞれの噴射ヘッド32には、インクを噴射する複数の噴射ノズルが一定間隔で設けられているが、噴射ヘッド32の端部には噴射ノズルは設けられていない。そこで、ヘッドユニット30では、噴射ヘッド32の端部に他の噴射ヘッド32が重なるような状態で、6つの噴射ヘッド32を互い違いに配置している。こうすることで、色毎の6つの噴射ヘッド32全体を印刷用紙の搬送方向から見たときに、複数の噴射ヘッド32に設けられたノズルが、一定間隔で配置された状態となっている。
また、図2に示されるように、ヘッドユニット30の下方には、ヘッドユニット30の底面に向かい合うようにして、プラテン24と呼ばれる平坦な部分が設けられている。給紙ローラ20およびガイドローラ26によって搬送されてきた印刷用紙は、プラテン24の上に供給され、プラテン24の上を搬送されながら、ヘッドユニット30の底面の噴射ヘッド32からインクが噴射されて、画像が印刷されていく。こうして画像が印刷された印刷用紙は、プラテン24の下流側に設けられたガイドローラ26によって、進行方向を、下方に曲げられた後、廃液タンク52の下側を通って、排紙口6からラインプリンタ1の外部に排出される。
また、前述したように、図2の紙面上で、ヘッドユニット30の右側(印刷用紙の搬送方向から見て下流側)は空きスペースとなっており、この空きスペースの下方には、キャッピングプレート40が設けられている。キャッピングプレート40の上面には、ヘッドユニット30の底面に設けられたそれぞれの噴射ヘッド32に対応する位置に、ゴム製のキャップ42が設けられている。そして、図2中に斜線を付した矢印で示したように、ヘッドユニット30をスライドさせて、キャッピングプレート40の上方まで移動させると、キャッピングプレート40が自動的にせり上がって、ヘッドユニット30の底面にキャップ42が密着する。この状態で、吸引ポンプ50を駆動させると、キャップ42の中が負圧となり、噴射ヘッド32からインクを強制的に吸い出すクリーニング動作が行われる。また、吸い出されたインクは、廃液タンク52に捨てられる。クリーニング動作については、後ほど詳しく説明する。
また、クリーニング動作を行うと、噴射ヘッド32のノズル面(噴射ノズルが設けられている面)にインクが付着する。このインクを放置しておくと、インクが次第に乾燥して、噴射ノズルを目詰まりさせる原因となる。そこで、クリーニング動作後は、ワイパーブレード60と呼ばれる部材を用いて、ノズル面に付着したインクを掻き取るワイピング動作が行われる。このワイピング動作についても後述するが、ワイピング動作後は、噴射ヘッド32のノズル面から掻き取ったインクが、ワイパーブレード60に付着している。そして、ワイパーブレード60に付着したインクを放置していると、ノズル面のインクを掻き取るワイパーブレード60の性能が低下して、ワイピング動作を適切に実施することが困難となる。そこで、ワイピング動作後は、ワイパーブレード60に付着したインクを、ワイパークリーナと呼ばれる部材を用いて拭き取ることが行われている。ワイパークリーナは、不織布あるいは吸取紙などで形成されており、表面にインクが付着すると、毛細管現象によってインクを吸い上げるようになっている。また、多量のインクを吸い取ると、インクを吸い上げる能力が低下するので、その場合は、ワイパークリーナの交換が必要となる。
図3に示されているように、本実施例のラインプリンタ1では、ワイパークリーナ34は、ヘッドユニット30の一端側から底面に突設した状態で設けられている。また、交換の際の便宜を考慮して、本実施例のラインプリンタ1では、ワイパークリーナ34は、ヘッドユニット30の上面側から交換可能となっている。
図4は、本実施例のラインプリンタ1において、ヘッドユニット30にワイパークリーナ34を取り付ける様子を示した説明図である。図示されているように、本実施例のヘッドユニット30の一端側には、ワイパークリーナ34を装着するための装着穴39が、ヘッドユニット30の上面から底面へと貫通して設けられている。この装着穴39に、ヘッドユニット30の上方から、略L字型断面に形成されたワイパークリーナ34を挿入する。L字型断面をしたワイパークリーナ34の長辺側の長さは、ワイパークリーナ34を装着穴39に装着すると、ヘッドユニット30の底面から所定長さだけ、ワイパークリーナ34の先端が突出する長さに設定されている。
また、装着穴39にワイパークリーナ34を挿入した後は、ワイパークリーナ34の上方から、押さえ板36をネジ38でネジ止めすることによって、ワイパークリーナ34を取り付けるようになっている。ここで、本実施例のラインプリンタ1では、押さえ板36は、透明材料で形成されており、ワイパークリーナ34を取り付けたままで、ヘッドユニット30の上方からワイパークリーナ34を目視することが可能となっている。このため、ワイパークリーナ34が多量のインクを吸い上げて、ワイパークリーナ34の交換時期が迫ってきた場合には、そのことを容易に認識することが可能となっている。
以下では、本実施例のラインプリンタ1が、ワイピング動作時に、このようなワイパークリーナ34を用いて、ワイパーブレード60に付着したインクを拭き取る様子について説明するが、その前に、ワイピング動作に先立って行われるクリーニング動作について簡単に説明しておく。
B.本実施例のクリーニング動作 :
図5は、本実施例のラインプリンタ1がクリーニング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。図2を用いて前述したように、本実施例のラインプリンタ1でクリーニング動作を行うにあたっては、先ず始めに、ヘッドユニット30をスライドさせて、キャッピングプレート40の上まで移動させる。図5(a)には、ヘッドユニット30をキャッピングプレート40の位置まで移動させる様子が示されている。尚、ヘッドユニット30をスライドさせるに際しては、ラインプリンタ1に内蔵したアクチュエータの動力を使用しても良いが、手動によってスライドさせるようにしても良い。
ヘッドユニット30をキャッピングプレート40まで移動させると、キャッピングプレート40がせり上がる。キャッピングプレート40の上面には、噴射ヘッド32に対応する位置に、ゴム製のキャップ42が設けられており、キャッピングプレート40がせり上がると、このキャップ42が押し付けられて、噴射ヘッド32が密閉された状態となる。また、それぞれのキャップ42の内側には通路が開口しており、それぞれの通路は、キャッピングプレート40の内部で、インクの色毎に1つの通路に集合している。そして、色毎に集合した通路は、チューブ44によって、吸引ポンプ50に接続されている。
図5(b)には、キャッピングプレート40がせり上がって、ヘッドユニット30の底面側に設けられた噴射ヘッド32が、キャップ42によって密閉される様子が示されている。この状態で、吸引ポンプ50を作動させる。すると、キャップ42の内部が負圧になって、噴射ヘッド32から強制的にインクが吸い出される。吸い出されたインクは、キャッピングプレート40内の通路で色毎に集合した後、チューブ44を介して吸引ポンプ50内に流入し、吸引ポンプ50から廃液タンク52へと排出される。
このようなクリーニング動作を実行することにより、噴射ヘッド32内でインクの粘度が増加して、適切にインクを噴射することができなくなる事態を未然に回避することが可能となる。また、一定量のインクを吸い出したら、吸引ポンプ50の駆動を停止した後、キャッピングプレート40を降下させる。図5(c)には、クリーニング動作の終了後、キャッピングプレート40を降下させている様子が示されている。
クリーニング動作中は、噴射ヘッド32がキャップ42によって密閉された状態で、強制的にインクが吸い出されているから、噴射ヘッド32とキャップ42とによって形成された密閉空間はインクで満たされた状態となっており、従って、噴射ヘッド32のノズル面(噴射ノズルが形成されている面)には、インクが付着した状態となっている。そこで、ヘッドユニット30を移動させて、ワイパーブレード60によって、このインクを掻き取るべく、以下に説明するワイピング動作を行う。
C.本実施例のワイピング動作 :
図6は、本実施例のラインプリンタ1がワイピング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。図6には、図5(c)中で、「矢視P」と表示した方向から見た状態が示されている。本実施例のラインプリンタ1は、クリーニング動作後のヘッドユニット30を、ワイパーブレード60が設けられた方向にスライドさせることによって、ワイピング動作を行う。図6(a)には、ワイピング動作を行うために、ヘッドユニット30をスライドさせる様子が示されている。尚、ワイピング動作時にヘッドユニット30をスライドさせる場合も、アクチュエータを用いてスライドさせても良いし、手動でスライドさせても良い。
ワイパーブレード60は、ヘッドユニット30の移動経路上に下方から突設されており、硬質ゴムや、弾性に富んだ柔らかい金属部材によって形成されている。このため、ヘッドユニット30を移動させると、ワイパーブレード60の先端が、ヘッドユニット30の底面に設けられた各噴射ヘッド32のノズル面と摺接する。この際に、ノズル面に付着したインクが、ワイパーブレード60によって掻き取られることになる。図6(b)には、ヘッドユニット30を移動させることにより、ワイパーブレード60の先端が噴射ヘッド32のノズル面に付着したインクを掻き取る様子が示されている。
また、図3を用いて前述したように、ヘッドユニット30の後端側の底面には、ワイパークリーナ34が突設されている。このため、全ての噴射ヘッド32のノズル面をワイパーブレード60で掻き取った後も、そのままヘッドユニット30を移動させると、ヘッドユニット30の底面から突設したワイパークリーナ34にワイパーブレード60が干渉した状態となり、ワイパーブレード60に付着したインクを拭き取ることができる。図6(c)には、ワイパーブレード60に付着したインクが、ワイパークリーナ34によって拭き取られる様子が示されている。また、ワイパークリーナ34は不織布や吸取紙などで形成されており、ワイパーブレード60から拭き取られたインクは直ちに吸い上げられる。
こうしてワイパーブレード60のインクを拭き取ったら、今度は、ヘッドユニット30をキャッピングプレート40の位置に戻すべく、逆方向に移動させる。このとき、ワイパーブレード60の逆側の面も、ワイパークリーナ34によって拭き取られ、そのままヘッドユニット30を移動させると、ワイパークリーナ34で拭き取られた側のワイパーブレード60が、ヘッドユニット30のノズル面を摺接する。このため、たとえ、ヘッドユニット30の往動時には、掻き残したインクが残った場合でも、復動時にワイパーブレード60で掻き取ることが可能となる。図6(d)には、ヘッドユニット30をキャッピングプレート40の方向に移動させる様子が示されている。
以上のようにして、ヘッドユニット30をキャッピングプレート40に位置まで戻したら、ワイピング動作が終了する。そして、ワイピング動作の終了後は、プラテン24の位置にヘッドユニット30を戻すことにより、再び画像を印刷することが可能となる。
以上に説明した本実施例のラインプリンタ1は、ヘッドユニット30を移動させるだけで、ワイパーブレード60には何ら可動機構を設ける必要はなく、また、キャッピングプレート40にも上下動の機構を設けるだけでよい。このため、クリーニング動作やワイピング動作を極めて単純な機構によって実現することが可能となる。
また、ワイパークリーナ34は、ヘッドユニット30の上方から極めて簡単に交換することが可能である。加えて、ワイパークリーナ34をヘッドユニット30に取り付けたままでも、ワイパークリーナ34がどの程度のインクを吸い込んでいるかを容易に確認することができる。このため、ワイパークリーナ34の交換時期を適切に把握することが可能であり、ワイパークリーナ34の交換も極めて容易に実施することが可能となる。
D.変形例 :
上述した本実施例のラインプリンタ1には、幾つかの変形例を考えることができる。以下では、これらの変形例について簡単に説明する。
D−1.第1の変形例 :
上述した実施例では、ヘッドユニット30の一端側にだけ、ワイパークリーナ34が設けられているものとして説明した。しかし、図7に示されるように、ヘッドユニット30の両端側に、ワイパークリーナ34を設ける構成としても良い。こうすれば、例えば、図6(d)に示したように、ヘッドユニット30の復動時にワイパーブレード60で掻き取ったインクも、もう一端側のワイパークリーナ34で拭き取ることが可能となる。
D−2.第2の変形例 :
上述した実施例では、ヘッドユニット30と、キャッピングプレート40とは、印刷用紙の搬送方向に沿った方向に並べて配列されているものとして説明した。この場合は、ヘッドユニット30を、印刷用紙の搬送方向と平行な方向に移動することによって、キャッピングプレート40の上まで移動させ、その次は、印刷用紙の搬送方向とは交差する方向に、ヘッドユニット30を移動させることによって、ワイピング動作を行うことになる。
しかし、図8に示されるように、ヘッドユニット30と、キャッピングプレート40とを、印刷用紙の搬送方向とは交差する方向に並べて配列することとしても良い。図9は、第2の変形例のラインプリンタ1で、クリーニング動作およびワイピング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。クリーニング動作は、図9(a)に示すように、ヘッドユニット30をキャッピングプレート40の位置まで移動させて、キャッピングプレート40のキャップ42をヘッドユニット30の底面に押し付けた後、吸引ポンプ50を作動させて、噴射ヘッド32内のインクを吸引することによって行う。
また、ワイピング動作は、キャッピングプレート40の上に存在するヘッドユニット30を、元の位置まで戻すことによって行う。すなわち、図8に示したように、ヘッドユニット30が画像を印刷する位置と、キャッピングプレート40の位置との間には、ワイパーブレード60が設けられている。このため、クリーニング動作後に、キャッピングプレート40の位置から、元に位置にヘッドユニット30を戻す際に、ワイパーブレード60によって噴射ヘッド32のノズル面に付着したインクが掻き取られる。そして、全ての噴射ヘッド32のノズル面を掻き取った後に、ワイパーブレード60に付着したインクは、ヘッドユニット30から突設したワイパークリーナ34によって拭き取られるようになっている。
このような第2の変形例の構成としておけば、ヘッドユニット30を往復動させるだけで、クリーニング動作およびワイピング動作を行うことができるので、ラインプリンタ1の構造を簡素なものとすることが可能となる。
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
ラインプリンタを例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構造を示した説明図である。 本実施例のラインプリンタの詳細な構造を示す説明図である。 ヘッドユニットの底面に複数の噴射ヘッドが設けられている様子を示した説明図である。 本実施例のラインプリンタにおいてヘッドユニットにワイパークリーナを取り付ける様子を示した説明図である。 本実施例のラインプリンタがクリーニング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。 本実施例のラインプリンタがワイピング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。 ヘッドユニットの両端側にワイパークリーナが設けられた第1の変形例を示した説明図である。 印刷用紙の搬送方向に対してヘッドユニットおよびキャッピングプレートの配置が異なる第2の変形例を示した説明図である。 第2の変形例のラインプリンタでクリーニング動作およびワイピング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。
符号の説明
1…ラインプリンタ、 2…モニタパネル、 3…操作パネル、
4…メンテナンス扉、 5…給紙扉、 6…排紙口、 10…給紙カセット、
20…給紙ローラ、 22…給紙モータ、 24…プラテン、
26…ガイドローラ、 30…ヘッドユニット、 32…噴射ヘッド、
34…ワイパークリーナ、 36…押さえ板、 40…キャッピングプレート、
42…キャップ、 50…吸引ポンプ、 52…廃液タンク
60…ワイパーブレード、 70…電源ユニット、 80…制御ユニット

Claims (3)

  1. 流体を噴射する噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドを複数備え、該流体が噴射される媒体である被噴射媒体を該噴射ヘッドに対して移動させながら、該被噴射媒体上に該流体を噴射する流体噴射装置であって、
    前記被噴射媒体上で前記流体が噴射される領域の幅方向と少なくとも同じ幅で該流体を噴射可能に、複数の前記噴射ヘッドが配列されたヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットに対して前記被噴射媒体を搬送しながら、該ヘッドユニットに搭載された前記複数の噴射ヘッドから、該被噴射媒体に向かって前記流体を噴射する流体噴射手段と、
    前記ヘッドユニットを、前記被噴射媒体の搬送方向と交差する方向に移動させるヘッドユニット移動手段と、
    前記ヘッドユニットの移動経路上に突設されるとともに、該ヘッドユニットを移動させると、該ヘッドユニットに搭載された前記噴射ヘッドの前記噴射ノズルが設けられたノズル面と摺接することにより、該ノズル面に付着した流体を掻き取る掻取部材と
    を備え、
    前記ヘッドユニットには、前記掻取部材に付着した前記流体を、該ヘッドユニットに移動時に該掻取部材と摺接することによって拭き取る拭取部材が設けられている流体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
    前記拭取部材は、前記ヘッドユニットの上面側から交換可能な態様で、該ヘッドユニットに取り付けられている部材である流体噴射装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の流体噴射装置であって、
    前記拭取部材は、該拭取部材の少なくとも一部が、前記ヘッドユニットの上面側から目視可能な態様で、該ヘッドユニットに取り付けられている部材である流体噴射装置。
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