JP2009202134A - 分離膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分離膜の分画性能を、分離膜を変性さえることなく簡便な方法で精密に制御する方法を提供すること。
【解決手段】高分子を溶解してドープ原液とし、凝固させて膜状物を得た後、膜状物を洗浄し、乾燥してなる分離膜の製造方法において、洗浄した後に、20℃の蒸気圧が0.005Pa以上、1000Pa以下であり、表面張力が44mN/m以上、60mN/m以下の溶質を0.1重量%以上、40重量%以下で含有する水溶液を膜状物に含浸させることを特徴とする、分離膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、分離膜の製造方法に関する。
分離膜は分離対象物質によって、分画性能を制御する必要がある。従来、製膜原液の組成や凝固液の組成などの製膜条件を変更することで、分画性能の制御が行われてきた。しかしながら、製膜条件の変更には紡糸性や膜物性の変化も伴うため制約が大きかった。また、数種の分画性能の分離膜を製造するためには、その種類毎に製膜を行う必要があり、操作が煩雑であった。分離膜の分画性能を簡便に変化させる方法として、乾燥処理によって膜構造を収縮させる方法が広く知られている。
分離膜を多価アルコールで処理した後に乾燥することで分画性能を制御する技術が開示されている。(特許文献1)しかしながら、低分子の多価アルコールでは、乾燥によって濃縮されることで分離膜を変性させる懸念や、乾燥時に気化することで圧力上昇や揮発物質が発火するなどの安全上の問題があった。
分離膜を恒温恒湿で乾燥させて分画性能を変化させる方法も開示されている。(特許文献2)しかしながら、分画性能の変化が大きく、精密な制御ができないという問題点があった。
分離膜の乾燥による分画性能の変化を小さくする方法としては、分離膜の製膜条件を適正化する技術が開示されている。(特許文献3)しかしながら、乾燥温度が160℃と高温であり膜素材への影響が懸念される。また、乾燥温度が低くなると分離膜が乾燥するまでの時間が長くなるため、分画性能の変化が大きくなることが予想される。
すなわち、疎水性高分子と親水性高分子からなる分離膜において、温度の低い乾燥処理による分画性能の精密な制御方法はこれまで存在していなかった。
特開昭58−49407号公報 特開2006−129987号公報 特開2005−144347号公報
本発明の目的は、分離膜を変性させることなく、分画性能を精密に制御する方法を提供することにある。
本発明は上記課題を達成するため、以下の構成を有する。
(1)高分子を溶解してドープ原液とし、凝固させて膜状物を得た後、膜状物を洗浄し、乾燥してなる分離膜の製造方法において、洗浄した後に、20℃の蒸気圧が0.005Pa以上、1000Pa以下であり、表面張力が44mN/m以上、60mN/m以下の溶質を0.1重量%以上、40重量%以下で含有する水溶液を膜状物に含浸させることを特徴とする、分離膜の製造方法。
(2)乾燥温度が20℃以上、150℃以下である(1)に記載の分離膜の製造方法。
(3)溶質が重量平均分子量400以上、800以下のポリエチレングリコールである(1)または(2)に記載の分離膜の製造方法。
(4)分離膜の抱液率が150重量%以下、0.05重量%以上である(1)から(3)のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
(5)分離膜が疎水性高分子と親水性高分子からなる(1)〜(4)のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
(6)疎水性高分子がポリスルホン系高分子である(1)から(5)のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
(7)親水性高分子がポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミンから選ばれた少なくとも1種である(1)から(6)のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
(8)乾燥前の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数に対する、乾燥後の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数が0.90以下、0.10以上であることを特徴とする分離膜。
本発明によれば、以下に説明するとおり、分離膜を変性させることなく、分画性能を精密に制御できるようになる。
本発明でいう分離膜とは、回収目的物質と廃棄物質を弁別する膜であり、遠心分離、限外濾過、透析などに用いられる。なかでも、疎水性高分子と親水性高分子からなる分離膜が、タンパク質の吸着抑制効果があり、透水性も高く、ファウリングも抑制されることから、広く用いられている。分離膜は孔の大きさにより分子量サイズによる篩い分けを行っている。そのため、回収目的物質の分子量によって適切な分画性能を有する膜が必要となる。分画性能を制御する方法としては、乾燥処理によって構造を収縮する方法が、操作が簡便であり性能の保存安定性の面からも好ましく用いられる。また、充填液が不要となり軽量化され凍結も防ぐことができる。しかしながら、乾燥処理による分画性能の変化は大きく、精密な制御を行うことが難しく、多価アルコールを含有させて乾燥処理する方法においても、濃縮された溶質によって分離膜が変性する懸念や、乾燥時に気化することで圧力上昇や揮発物質が発火するなどの安全上の問題があった。
そこで、本発明において鋭意検討の結果、高分子を溶解してドープ原液とし、凝固させて膜状物を得た後、膜状物を洗浄し、乾燥してなる分離膜の製造方法において、洗浄した後に、20℃の蒸気圧が0.005Pa以上、1000Pa以下であり、表面張力が44mN/m以上、60mN/m以下の溶質を0.1重量%以上、40重量%以下で含有する水溶液を膜状物に含浸させることで、分離膜の分画性能を精密に制御できることを見いだした。
ドープ原液は、特に限定しないが、分離膜の骨格となる疎水性高分子の他に、親水性高分子、良溶媒、貧溶媒を溶解することが、分離性能の向上の面で好ましい。ここで、良溶媒とは、製膜温度において実質的に高分子を溶解する溶媒のことである。貧溶媒とは、製膜温度において、実質的に高分子を溶解しない溶媒のことである。高分子を溶解する際は、高温で溶解することが、溶解性を上げる面で好ましいが、熱による高分子の変性や溶媒の蒸発による組成変化の懸念がある。そのため、溶解温度は、30℃以上、120℃以下が好ましい。高分子の種類によってこれらの最適範囲は異なるので注意が必要である。
溶解したドープ原液を任意の膜形状にする方法としては、二重管の外側からドープ原液を吐出して中空状にする方法や、基材上にドープ原液を塗布してスリットを通過させることで平膜状にする方法などがある。
ドープ原液を凝固させて膜状物を得る方法としては、貧溶媒と接触させる方法や、冷却することで高分子を析出させる方法などがある。
得られた膜状物は、溶媒などを除去するために洗浄が必要であるが、水洗効率を上げるためには、熱水で洗浄するとよい。50℃以上、90℃以下の水を用いることが好ましい。
洗浄後の膜状物に水溶液を含有させる工程としては、膜状物を連続的に水溶液の入った欲を通過させる方法や、枷などにマキ分離膜を任意の長さに切断した後に水溶液に浸漬する方法などがある。
水溶液を含有している膜状物を乾燥した際の分画性能の変化は、膜状物の孔中の水が気化して構造が収縮することによるものだと考えられる。そこで、水よりも蒸気圧の低い溶質を水溶液中に含ませることで、水分が蒸発した後も孔中に溶質成分が残るため構造の収縮を抑制される。また、保管時の乾燥も抑制されるため、安定性の面からも好ましい。蒸気圧は温度によって変化する値であるが、水に対して蒸気圧が低いことが必要となるため、溶質の蒸気圧は20℃で1000Pa以下であることが必要となり、100Pa以下が好ましい。一方で、溶質の蒸気圧が低すぎると水の蒸発を阻害し乾燥が困難となるため、0.005Pa以上であることが必要となり、0.05Pa以上が好ましい。
また、乾燥による膜構造の収縮は、乾燥後に孔中に残る溶質の表面張力によって抑制されると考えられる。そのため、溶質の表面張力は44mN/m以上であるあることが必要となり、48mN/m以上が好ましい。一方で、溶質の表面張力が高すぎると、分画性能の変化がおこらなくなるため、溶質の表面張力は60mN/m以下が必要となり、55mN/m以下が好ましい。
ここでいうところの表面張力は、20℃、1気圧(絶対圧)で測定した値であり、液滴法などにより測定できる。他の方法であってもよいが、下記する液滴法と同等以上の精度を有することが必要である。液滴法とは、垂直に固定した外径1mm程度のシリンジのような円管から1滴ずつ滴下した液滴の質量と、同じ円管から滴下した水の液滴の質量から、下記(1)式で表面張力を求める方法である。本発明においては、液滴の質量として100滴の平均値を用いる。湿潤する液体の量が少ないものに関しては、例えば分離膜を遠心回転させるなどして分離膜に含浸している液体を分離して測定することができる。
γ=(m×γ)/m (1)
(1)式において、γ=表面張力(mN/m)、γ=水の表面張力(mN/m)、m=対象物質の液滴の質量(g)、m=水の液滴の質量(g)である。
溶質の濃度が高い程、孔中の水が気化したときに残る溶質量が多くなり、分画性能の変化を抑制する効果が大きくなる。溶質濃度が高すぎると分画性能の変化がおこらないため、溶質は40重量%以下であることが必要となり、10重量%以下が好ましい。また、溶質濃度が低いと分画性能の変化を抑制する効果が発揮されないため、0.01重量%以上が必要であり、1重量%以上が好ましい。
分画性能の変化を抑制する効果は、孔中に残る溶質の体積に関係する比重や、分離膜の素材によっても影響をうけると考えられる。そのため、溶質と分離膜の素材の種類によって、最適な濃度範囲は変化する可能性がある。
溶質は特に限定しないが、加熱時の安全性を考慮するとポリエチレングリコールがあげられる。また、低分子量のポリエチレングリコールは分離膜を変性させる懸念があるため、本発明おけるポリエチレングリコールの重量平均分子量は400以上が好ましく、500以上がより好ましい。一方で、ポリエチレングリコールの重量平均分子量が大きくなると、乾燥後に常温に冷やされた時に溶質成分が析出し、洗浄による除去が困難となるため、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は800以下がより好ましい。このように、溶質として用いる物質は、常温で液体のものを用いることが好ましい。また、溶質は1種類であっても2種類以上の組み合わせであってもよい。
本発明における乾燥とは、水を蒸発させることであり、1時間の重量変化が0.1%以下となった点を乾燥終了とする。乾燥工程は製膜から連続的に行ってもよく、湿潤状態の分離膜を切断した状態、束状にした状態、またはケースに組み込んだ状態で行ってもよい。
乾燥温度が低いと乾燥速度が遅くなり乾燥が困難となる。また、乾燥温度が高いと、分離膜の素材が熱による変性をおこす懸念がある。そこで、乾燥温度は20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。一方で、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
乾燥湿度は特に限定しないが、乾燥湿度は分画性能変化に影響を与えるため、目的の分画性能にあわせて制御することが好ましい。
乾燥方法としては、特に限定しないが、熱風乾燥、マイクロ波乾燥や減圧乾燥が好適に用いられる。また、分離膜をそのまま乾燥してもよく、ケースなどに組み込んだ後に乾燥してもよい。
本発明における抱液率とは、分離膜の乾燥重量に対する液体重量の百分率の値であり、下記の(2)式で算出することができる。
p=(w−w)÷w (2)
(2)式において、pは抱液率(重量%)、wは水溶液を含む分離膜の重量(g)、wは分離膜の乾燥重量(g)である。
ここで、水溶液を含む分離膜の重量は乾燥後の分離膜の重量を測定することで得られる。分離膜の乾燥重量は、乾燥後の分離膜を水に浸漬して分離膜中の水溶液と水を置換し、その後乾燥させた分離膜の重量を測定することで得られる。
乾燥収縮の抑制は、分離膜に残存する水溶液によっておこるため、乾燥後の抱液率が低い程、分画性能の変化は大きくなる。乾燥後の抱液率が高いと、乾燥による分画性能変化がおこらないため、乾燥後の抱液率は150重量%以下が好ましく、100重量%以下がさらに好ましい。また、乾燥後の抱液率が低いと、分画性能の変化を抑制する効果が小さくなるため、乾燥後の抱液率は0.05%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
分離膜の膜表面の親水性が高いほど、分離膜の乾燥が抑制されるため、乾燥による性能変化は小さくなる。また、膜に親水性高分子を含ませることで、膜表面が親水化されて、細胞やタンパク質の吸着抑制、ファウリング抑制、透水性向上などの効果がある。そのため、本発明においては分離膜は疎水性高分子と親水性高分子からなることが好まし。
分離膜の素材として用いられる疎水性高分子としては、特に限定しないがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマーなどが好適に用いられる。この中でも特にポリスルホン系ポリマーを用いることで、分離性能の優れた分離膜が得られるため、好ましい。本発明でいうポリスルホン系ポリマーは、主鎖に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基をもつもので、例えば、次式(3)、(4)の化学式で示されるポリスルホンが好適に使用されるが、本発明ではこれらに限定されない。式中のnは、例えば50〜80の如き整数である。
Figure 2009202134
親水性高分子としては、特に限定しないがポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミンなどが好適に用いられる。
分離膜は、その用途に応じて平膜、管状膜、中空糸膜などがあるが、重量に対する膜面積が大きく、コンパクト化が可能となることから中空糸膜が好適に用いられる。
本発明でいうところのデキストラン篩い係数とは、デキストラン水溶液を分離膜で濾過したときに、デキストランが透過する割合であり、デキストランの重量平均分子量毎に得られる値である。デキストラン篩い係数は次式(5)によって算出することができる。
SC =2Cf/(Ci+Co) (5)
ここで、SCはデキストラン篩い係数、Ciは分離膜に供給する液のデキストラン濃度 、Coは濾過後に供給側に残った液のデキストラン濃度、Cfは濾液のデキストラン濃度である。各分子量のデキストラン濃度は、ゲル濾過クロマトグラフィ法などの方法で測定できる。測定の際は、分子量と濃度の検量線を、分子量及び濃度が既知のデキストラン溶液から得ればよい。
本発明では分離膜の分画性能の指標として重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数を用いた。
乾燥によってデキストラン篩い係数は小さくなるため、本発明における分画性能の変化としては、乾燥前の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数に対する、乾燥後の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数が0.90以下であることが好ましく、0.80以下がより好ましい。また、0.10以上であることが好ましく、0.15以上がより好ましい。
本発明で得られる分離膜は、多様な分画性能の分離膜が必要な分野に好適に用いられる。例えば、特定の分子量範囲の物質の画分を数種得ることが必要となる、タンパク質および/ もしくはペプチド分析前処理用の分離膜が挙げられる。
なかでも、分離する原液が含む物質の分子量範囲が大きい場合に好適に用いられる。例えば、血液、血漿、血清などの血液由来物、尿、腹水、唾液、涙液、脳脊髄液、胸水、細胞抽出液もしくは培養液に含まれるタンパク質、ペプチドおよび/ もしくは糖鎖から構成される分離原液である。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
1.表面張力測定
分離膜に含有させる水溶液の溶質成分について、表面張力の測定を行った。内径0.7mm、外径1.25mmの円管を垂直に立て、円管の上方からサンプルを1滴ずつゆっくりと100滴、滴下した。100滴の質量の平均から、サンプル1滴当たりの質量を求めた。続いて、表面張力が既知である純水について、同様に1滴当たりの質量を求めた。温度、圧力条件は20℃、1気圧(絶対圧)として測定した。上記(1)式を用いて、サンプルの表面張力を算出した。
2.抱液率測定方法
分離膜3g(±1g)の重量を電子天秤で小数点以下4桁まで測定し、その値をwとした。分離膜を500mlの蒸留水に浸漬し、1時間毎に3回蒸留水を交換した後、24時間放置して分離膜中の水溶液を水に置換した。恒温恒湿乾燥機(楠本化成株式会社製:HIFLEXα FX224P)にて温度50℃、湿度30RH%で24時間乾燥した。1時間毎に分離膜の重量を電子天秤で小数点以下4桁まで測定し、重量変化が0.1%以下となったときの分離膜の重量の値をWとした。wおよびWの値と(2)式から抱液率を算出した。
3.デキストラン篩い係数の測定方法
中空糸膜40本を、直径約5mm、長さ17cmのハウジングに充填し、分離される溶液が流入する入口及び流出する出口をコニシ(株)製エポキシ樹脂系化学反応形接着剤“クイックメンダー”でポッティングすることによって、中空糸膜型分離膜モジュールを作製する。次いで、該モジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて、1 時間洗浄する。
次に、FULKA社製デキストラン平均分子量〜1500(No.31394)、平均分子量〜6000(No.31388)、平均分子量15000〜20000(No.31387)、平均分子量〜40000(No.31389)、平均分子量〜60000(No.31397)、平均分子量〜200000(No.31398)を各々0.5mg/ml( 溶質全体では3.0mg/ml) になるように蒸留水で溶解し、デキストラン水溶液(原液)を作成する。モジュールに対して、原液側の液を循環するポンプと濾過をかけるポンプを準備し、37℃ に保温した限外濾過水を用いて、原液循環流量が20ml/min、濾過流量が0 .24ml/minになるように流速を調整する。次いで、充填している限外濾過水を37℃に保温した原液に置換した後、濾過を開始する。この時、モジュール出口の原液は戻さずに廃棄する。60分から75分後の液を採取し、モジュール原液入口、出口および濾液中のデキストラン濃度を測定し、これらの測定値からデキストランのふるい係数を算出する。デキストラン濃度の測定は、次のように行った。サンプリングした水溶液を細孔径0.5ミクロンのフィルターで濾過し、その濾液をGPC用カラム(東ソーTSK−gel−G3000PWXL)、カラム温度40℃、移動相を液クロ用蒸留水1ml/min、サンプル打ち込み量100μlで分析を行い、示差屈折率計(東ソー社製 RI−8020)にてslice time0.02min、base−line−range4.5〜11.0minで測定する。カラムのキャリブレーションは、測定直前に単分散のデキストラン(Fluka社製デキストランスタンダードNo.31416、No.31417、No.31418、No.31420、No.31422) を用いて行う。篩い係数は、モジュール原液入口のデキストラン濃度(Ci)、出口のデキストラン濃度(Co)、濾液のデキストラン濃度(Cf)を測定し、前記(5)式により篩い係数(SC) を算出することができる。重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数について求めた。
( 実施例1)
ポリスルホン( ソルベー社製ユーデル( 登録商標)P−3500)18重量%およびポリビニルピロリドン(ISP社製K30)9重量%をN,N'−ジメチルアセトアミド72重量%および水1重量%の混合溶媒に加え、90℃ で1 0時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を温度45℃の紡糸吐出部へ送り、外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出した。芯液としてN,N'−ジメチルアセトアミド55重量%および水45重量%からなる溶液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は、温度30℃、湿度70RH%の雰囲気のドライゾーン350mmを通過した後、40℃の凝固浴(水浴)を通過させ、80℃の水洗工程を通過させ、重量平均分子量600のポリエチレングリコール5重量%の処理浴を通過させた後、紡速40m/minで巻き取り、湿潤状態の中空糸タイプの膜状物を得た。膜状物の寸法は、内直径200μm膜厚40μmであった。
得られた膜状物を用いて乾燥前の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数を測定した。
膜状物を100本ずつの束にしてガーゼに包み、予め、50℃30%RHに設定しておいた恒温恒湿乾燥機(楠本化成株式会社製:HIFLEXα FX224P))で24時間乾燥した。1時間毎に中空糸膜の重量を測定し、1時間の重量変化が0.1%以下となったところで乾燥を終了し、分離膜を得た。
分離膜の抱液率を測定した。
得られた分離膜を用いて、乾燥後の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数を測定した。
各結果を表1に示した。乾燥前の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数に対する乾燥後の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数は0.16だった。表面張力が49.14の溶質を用いることで、分画性能を精密に制御することができた。
(比較例1)
処理浴をグリセリン30重量%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。
各結果を表1に示した。乾燥前のデキストラン篩い係数に対する乾燥後のデキストラン篩い係数は0.99だった。溶質の表面張力が62.58と大きかったため、分画性能の変化が小さかった。
(比較例2)
処理浴をグリセリン10重量%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。
各結果を表1に示した。乾燥前のデキストラン篩い係数に対する乾燥後のデキストラン篩い係数は0.97だった。溶質の表面張力が62.58と大きかったため、溶質濃度を低くしても分画性能の変化が小さかった。
(比較例3)
処理浴をグリセリン5重量%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。
各結果を表1に示した。乾燥前のデキストラン篩い係数に対する乾燥後のデキストラン篩い係数は0.92だった。溶質の表面張力が62.58と大きかったため、溶質濃度を低くしても分画性能の変化が小さかった。
(比較例4)
処理浴を重量平均分子量が200のポリエチレングリコール5重量%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。
各結果を表1に示した。乾燥前のデキストラン篩い係数に対する乾燥後のデキストラン篩い係数は0.06だった。溶質の表面張力が43.18と小さかったため、分画性能の変化が大きかった。また、重量平均分子量の小さいポリエチレングリコールを用いたため、分離膜の変性がおこった。
(比較例5)
処理浴を水とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。
各結果を表1に示した。乾燥前のデキストラン篩い係数に対する乾燥後のデキストラン篩い係数は0.01だった。溶質を含有させなかったため、分画性能の変化が大きかった。
Figure 2009202134

Claims (8)

  1. 高分子を溶解してドープ原液とし、凝固させて膜状物を得た後、膜状物を洗浄し、乾燥してなる分離膜の製造方法において、洗浄した後に、20℃の蒸気圧が0.005Pa以上、1000Pa以下であり、表面張力が44mN/m以上、60mN/m以下の溶質を0.1重量%以上、40重量%以下で含有する水溶液を膜状物に含浸させることを特徴とする、分離膜の製造方法。
  2. 乾燥温度が20℃以上、150℃以下である請求項1に記載の分離膜の製造方法。
  3. 溶質が重量平均分子量400以上、800以下のポリエチレングリコールである請求項1または2に記載の分離膜の製造方法。
  4. 分離膜の抱液率が150重量%以下、0.05重量%以上である請求項1から3のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
  5. 分離膜が疎水性高分子と親水性高分子からなる請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
  6. 疎水性高分子がポリスルホン系高分子である請求項1から5のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
  7. 親水性高分子がポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリエチレンイミンから選ばれた少なくとも1種である請求項1から6のいずれかに記載の分離膜の製造方法。
  8. 乾燥前の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数に対する、乾燥後の重量平均分子量が5000のデキストラン篩い係数が0.90以下、0.10以上であることを特徴とする分離膜。
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