JP2004313359A - 血液透析膜およびその製造方法 - Google Patents

血液透析膜およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血液透析時の経時安定性を改善し、血液濾過や血液透析濾過にも好適に用いることが可能な中空糸膜を得る。
【解決手段】乾湿式紡糸法による中空糸膜の製造において、紡糸原液をノズルから吐出し、乾式部を通過し、凝固浴中で中空糸膜の凝固が完了して膜構造が安定した後に、張力が掛かった状態で75℃超、90℃以下の水溶液中で加熱処理する事により、血液透析中に膜の微細構造が変化して、孔径が徐々に大きくなることで、血液透析中のタンパク等の目詰まりを防止する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析膜、血液濾過膜および血液濾過透析膜に用いられる血液浄化膜およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは慢性腎不全の血液透析等に用いられた際、膜性能の経時安定性に優れ、且つ不要な低分子タンパク質等の除去を効率よく行いうる血液透析用の中空糸膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎不全患者に対する最も一般的な治療方法として血液透析療法があるが、これに使用する血液透析器に関する。
【0003】
従来、血液透析に用いられる中空糸膜の経時安定性を改善して膜表面へのたんぱく質等の吸着による膜の目詰まりを抑制する方法として、中空糸膜の内径を小さくすることで血液の流速を向上させ、さらに中空形成剤として気体を用いる乾湿式紡糸法に製造することで膜内表面を滑らかにする方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では中空形成剤として気体を用いるため中空糸膜をボビン状に巻き取る際に、一般的に用いられる流動パラフィンおよびイソプロピルアルコール等の内液が入っていないために糸の真円度が低下したりする潰れが生じ、臨床使用時に残血が発生する可能性が高くなる。さらに、中空糸膜の内径を小さくすると血液側の圧力損失が上昇してしまうという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−000970(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の欠点を解決しようとするものであり、その目的は膜の孔径が大きく、不要なタンパク質等の除去を行いうる中空糸膜の血液透析時の経時安定性を改善するために、中空糸膜の膜構造および膜の湿潤状態での挙動を鋭意検討した結果、血液透析膜の湿潤状態の膜構造変化を大きくすることで経時変化が少なくなることを見出した。
【0006】
また、中空糸膜の凝固が完了して膜構造が安定した後に張力が掛かった状態で75℃超、90℃以下の水溶液で加熱処理する事により、血液透析中に膜の微細構造が変化して、孔径が徐々に大きくなる事で、血液透析中の目詰まりを打ち消す方向に働く。さらに、上記の血液透析膜は血液濾過や血液透析濾過にも好適に用いることが可能なことを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、次のような血液透析膜およびその製法を見出したものである。
(1)内径が100〜300μm、純水の限外濾過係数が150〜500ml/(m・mmHg・hr)の中空糸膜であって、生理食塩水または透析液でプライミングし、湿潤状態のまま37℃、24時間放置した後に1重量%牛血清アルブミン水溶液(pH7.5)を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(24h))とプライミング直後に1重量%牛血清アルブミン水溶液を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(0h))の比がSCAlb(24h)/SCAlb(0h)≧1.2であることを特徴とする血液透析膜。
(2)前記中空糸膜を生理食塩水または透析液でプライミングし、湿潤状態のまま37℃、24時間放置した後に1重量%牛血清アルブミン水溶液(pH7.5)を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(24h))で、0.3≧SCAlb(24h)≧0.005であることを特徴とする(1)記載の血液透析膜。
(3)β−ミクログロブリンの篩い係数が0.35以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の血液透析膜。
(4)該中空糸膜がセルロース系ポリマーから成ることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の血液透析膜。
(5)該セルロース系ポリマーがセルローストリアセテートであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の血液透析膜。
(6)実質的に膜構造の固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処置することによって膜の微細構造を調整したものであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の血液透析膜。
(7)製膜原液を凝固させた後の、実質的に膜構造が固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処理することを特徴とする血液透析膜の製造方法。
(8)該中空糸膜がセルロース系ポリマーから成ることを特徴とする(7)記載の血液透析膜の製造方法。
(9)該セルロース系ポリマーがセルローストリアセテートであることを特徴とする(7)または(8)記載の血液透析膜の製造方法。
【0008】
本発明の上記(1)〜(5)で示す性能を有する血液透析膜は、具体的には、(6)該血液透析膜が実質的に膜構造の固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処理することによって膜の微細構造を調整した手法により収得されたものである。この加熱処理により膜の微細構造が微妙に変化するということは突き止めているが、実際に定量的にどのような質的な変化、或いは構造的な変化があったかは詳細には解明できていない。しかし、このような手法により入手された血液透析膜は本件明細書の特に実施例などにも詳細に示すとおり、その性能においては卓越したものであることは明白である。
【0009】
本発明の上記(1)〜(5)で示す性能を有する血液透析膜である中空糸膜の経時変化の安定性、および性能を持続するための最適な膜の状態および性能を定量的に解析した結果、SCAlbの比がSCAlb(24h))/(SCAlb(0h))≧1.2であるということを知見したものである。
もちろん、(SCAlb(24h))/(SCAlb(0h))≧1.2ということは、最適には1.50、1.75、1.80、2.00などの適正な範囲があるが、技術的に可能な高度の手法によるなら、2.00、3.00のような非常に高い比を有することもあり得る。
そして、そのSCAlb(24h)/SCAlb(0h)≧1.2という性能を有する中空糸膜は、具体的には、上記(6)〜(7)で示す、即ち、製膜原液を凝固させた後の、実質的に膜構造が固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処理することによる製造法によって製造することができる。
【0010】
本発明の血液透析膜の製造方法を詳細に説明すると、まず、その加熱処理は、通常は、製膜原液を凝固した後に、一旦水洗などをしてから膜構造を安定化した状態にある中空糸膜を張力のかかった状態で65〜100℃、好ましくは75〜90℃の範囲内の高温の液体で加熱処理をすることにより膜構造を改変する。その処理温度75〜90℃の範囲内である、例えば80℃、85℃などの任意の温度で、本発明の特性を備えた血液透析膜が製造可能である。その高温液体による処理時間は、実用的には、中空糸膜を張力下、高温液体を走行させることにより行うことからすると、中空糸膜が高温液体中を走行する速度および距離により決まる。通常は、高温液体と接触する時間は、1分以内程度で済むが、実用的には3〜30秒程度で高温液体中を通過させ、その後に常温に放置することによりその効果が発揮される。
【0011】
走行する中空糸膜に加える張力とは、その膜を構成する材料が、例えば、再生セルロースであるか、或いはセルローストリアセテートであるかというように、材料の違いにより張力も微妙に変わるような性格のものであって、高温液体の温度が、例えば75℃である、90℃程度であるかというような、温度条件の違いも微妙に影響するために、一概に決めることが出来ないが、材料、温度などの違いの条件を考慮しなければならない。その張力の適正な範囲とは、中空糸膜が高温液体中で弛まずに単に真っ直ぐに張ることによる糸の形状を保つ程度の張力条件から、過度に張力をかけ過ぎないために、糸が伸張して形状が著しく変わることや、切断することが無いような張力条件までの、比較的緩和された状況に応じた広範囲の張力下で実施することを言う。実際には、血液透析膜の最適な性能を発現させるための要素である、中空糸膜の材料、走行速度、高温液体温度などの諸条件を考慮して全体のバランスに配慮して、試行錯誤により適正な張力条件を決めることが多い。セルローストリアセテート中空糸膜の場合、製膜条件によっても異なるが、およそ1〜10%程度の長さ方向の収縮が起こる。ここで、加熱処理槽の入口ローラー速度と出口ローラー速度は等速で回転させているため、加熱槽を走行する中空糸膜は実質的に1〜10%程度引っ張られた状態で加熱処理が行われることになる。
【0012】
加熱処理に用いる高温液体とは、本発明の実施例では、実用的には65%程度のグリセリン水溶液を用いているが、実際には75〜90℃程度の温度において比較的安定で、しかも作業上の健康や中空糸膜に残留して中空糸膜自体および治療に際して悪い影響を与えない液体ならば任意に選択可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の中空糸膜の内径は100〜300μmである。内径が100μm未満の場合には中空糸膜の圧力損失が大きくなるため溶血のおそれが生じ、300μmより大きい場合には中空糸膜内面の剪断速度が小さく、濾過に伴いタンパク質等が膜の内面に堆積し易くなる可能性がある。
【0014】
純水の限外濾過係数は150〜500ml/(m・mmHg・hr)である。限外濾過係数が150ml/(m・mmHg・hr)未満では、透析器の膜面積によらずアルブミン漏出量を2g以下に低く抑えることは可能であるが、β−ミクログロブリンのクリアランスを臨床症状の改善効果が見られる50以上に到達させるために膜面積をかなり大きくする必要が生ずる。また、限外濾過係数が500ml/(m・mmHg・hr)を越えると高いβ−ミクログロブリンクリアランスは発現するものの、膜面積によらずアルブミン漏出量が多くなり低タンパク血症をおこさない5g/(1透析)以下に抑えることができず、全ての患者に対して安全に使用できる透析器が得られない可能性がある。
【0015】
生理食塩水または透析液プライミング後湿潤状態で37℃、24時間放置後に測定した1重量%牛血清アルブミン水溶液の篩い係数(SCAlb(24h))とプライミング直後に測定した1重量%牛血清アルブミン水溶液の篩い係数(SCAlb(0h))で、SCAlb(24h)/SCAlb(0h)≧1.2であることが必要である。SCAlb(24h)/SCAlb(0h)が1.2未満である場合、膜の目詰まりにより血液透析中の血液濾過係数の変動が大きく、経時安定性に欠け、性能低下が大きくなり初期性能を維持することができず安定した血液透析を行うことができない。より安定した血液透析のためには、好ましくは1.5以上が必要である。
【0016】
生理食塩水または透析液プライミング後湿潤状態で37℃、24時間放置後に測定した1重量%牛血清アルブミン水溶液の篩い係数(SCAlb(24h))は、0.3≧SCAlb(24h)≧0.005である。0.3より大きい場合には、血液透析中のタンパク質漏出量が5g/(1透析)以上となり低アルブミン血症を発症する可能性が生じ、栄養状態の良好な患者にしか使用できなくなってしまう。患者の栄養状態に拘わらず使用できるような汎用性の広い血液透析膜としては、好ましくはSCAlb(24h)は0.2以下であることが望ましい。一方、0.005未満ではβ−ミクログロブリンのクリアランスが低くなり、十分な治療効果が期待できない。治療効果を高めるためには、より好ましくはSCAlb(24h)≧0.01であることが望ましい。
【0017】
(1重量%アルブミン篩い係数測定方法)
アルブミン・ウシ血清製(和光 一級 コード019−07494)をpH7.5の50mMリン酸緩衝液に溶かし1重量%のアルブミン水溶液を調整し、再度pH7.5に調整したものを測定に用いた。本発明の中空糸膜を用いて作製した1.5mの血液透析器の血液側に生理食塩水1,000ml流し、次に透析液側に生理食塩水1,000mlを流し、血液側および透析液側に生理食塩水を充填したまま栓をしてプライミングを終了する。その後、37℃の恒温槽に24時間浸漬したモジュールとプライミング直後のモジュールを準備し、アルブミン篩い係数の測定に使用した。
モジュールは篩い係数を測定する直前にpH7.5の50mMリン酸緩衝液で置換し、37℃の1重量%アルブミン水溶液を200ml/minで血液側に流し、30ml/minで濾過をかけて、濾過を開始してから30分後に1重量%アルブミン溶液(CI)、血液側出口の溶液(CO)および濾過側の溶液(CF)を採取し、分光光度計で波長UV280nmの吸光度を測定する。その測定値から下記の様にアルブミン篩い係数を求めた。各溶液は適宜希釈して測定した。
アルブミン篩い係数=2×CF÷(CI+CO)
【0018】
(純水の限外濾過係数の測定方法)
中空糸膜モジュールを使用し、膜の内外両側に純水を満たし、37℃に恒温した。膜の内側に通じるモジュール入口から圧力をかけて37℃の純水を流し、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差を生じせしめ、1分間に膜を通じて膜外側に出てくる純水の量を測定した。膜間圧力差(TMP)はTMP=(Pi+Po)/2とする。ここでPiはモジュール入口圧力、Poはモジュール出口圧力である。)4点の異なった膜間圧力差において、1分間の透水量を測定し、膜間圧力差と透水量の2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを求めた。この数値に60をかけ、中空糸膜モジュールの膜面積で割って中空糸膜の純水の限外濾過係数を求めた(以下UFRと略記する。単位はml/(m・hr・mmHg))。
【0019】
(β−ミクログロブリン篩い係数の測定方法)
濾過速度10ml/分で血液濾過開始後15分時点のモジュールの入口と出口の血液及び濾過液をサンプリングして、酵素免疫測定法(例えば、グラザイムβ−Microglobulin−EIA Test 和光純薬工業)等によりβ−ミクログロブリン(以下、β−MGと略記する。)の濃度を測定する。なお、当該測定でモジュールに流す牛血液には適量のヒト由来β−MGを添加して行い、サンプリングした血液は必要に応じて遠心分離してβ−MGの測定に供する。これらのβ−MGの濃度の値から下記式に従ってβ−MGのSCを求める。
SC=Cfil /((CI +CO )/2)
Cfil :濾過液のβ−MG濃度
CI :モジュール血液側入口の血液のβ−MG濃度
CO :モジュール血液側出口の血液のβ−MG濃度
【0020】
(中空糸内径の測定方法)
中空糸断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた状態で観察することが好ましい。乾燥方法は特に問わないが乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去した後、純水で完全に置換し、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。乾燥後の中空糸膜を厚さ2mmのスライドグラスの中央に開けられたφ1mmの孔に適当数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空部を露出させた断面サンプルを得る。得られたサンプルは投影機(Nikon−12A)を用いて、視野内の任意の5サンプルを無作為に抽出し、各中空糸膜断面内側の短径と長径をそれぞれ測定し、その算術平均値を中空糸膜1個の内径とした。さらに5サンプルの平均値をもって中空糸膜内径とした。
【0021】
実質的に膜構造が安定し中空糸膜に張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の水溶液で加熱処置することが必要である。実質的に膜構造が安定し中空糸膜に張力のかかった状態とは、例えば紡糸原液を二重環状紡糸孔の外側から押しだし、中央からは流動パラフィンを送り込み、凝固性液体中で凝固され、水洗後の中空糸膜は既に膜構造が固定化され安定した状態のことを指しており、さらに中空糸膜の走行中は張力のかかった状態のことを示している。また、75℃超、90℃以下の水溶液とは水単独、またはグリセリン等の水溶液で中空糸膜の素材を溶解しないものであれば何でも良い。中空糸膜の凝固が完了して膜構造が安定した後に張力が掛かった状態で75℃超、90℃以下の水溶液で加熱処理する事により、原因はわからないが血液透析中に膜の微細構造が変化して、孔径が徐々に大きくなり、一方、血液透析中に時間とともに膜の細孔が目詰まり起こすが、それを孔径が拡大することで打ち消す方向に働く。さらに、上記の血液透析膜は血液濾過や血液透析濾過にも好適に用いることが可能なことを見出した。より血液濾過性能を安定させるために80℃以上であることが好ましい。
【0022】
β−MGの篩い係数は0.35以上あることが好ましい。β−MGの篩い係数が0.35未満の場合にはβ−MGのクリアランスが低くなり十分な治療効果が期待できない。好ましくは、0.5以上である。より好ましくは0.65以上、さらに好ましくは0.75以上である。
【0023】
本発明における中空糸膜の材質としては、再生セルロース、改質セルロース、酢酸セルロース、ポリメタクリル酸メチル、ビニルアルコール−エチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン等が挙げられるが、タンパク吸着量が少なく、透水性、溶質透過性、生体適合性に優れる酢酸セルロースが好ましい。より高透水量で、溶質分離特性に優れる点でセルローストリアセテートがより好ましい。
【0024】
本発明に使用される中空糸膜は、例えば以下のように製造することができるが、本発明は何等以下に限定されるものでは無い。セルローストリアセテート15〜22重量%、溶媒46.8〜68重量%、非溶媒10〜38.2重量%を含む紡糸原液を130〜190℃に加熱して溶解し、二重環状紡糸孔の外側から押しだし、中央からは流動パラフィンを送り込み、押しだされた紡糸原液は空中を走行した後、5〜60℃の凝固性液体中で凝固され、水洗し、実質的に膜構造が安定した状態にある中空糸膜を張力のかかった状態で75℃〜90℃の高温の液体で加熱処理することを特徴とする。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果ならびにより詳細な説明を加えるが、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
セルローストリアセテート19.0重量%、N−メチルピロリドン56.7重量%、トリエチレングリコール24.3重量%を150℃で溶解して製膜溶液を得た。120℃に加温したチューブインオリフィスノズルから中空形成剤として流動パラフィンを用いて製膜原液を吐出、エアギャップを通過後、30℃の水中で凝固させた。その後、水洗し膜構造を安定化させた後、78℃、65%のグリセリン水溶液中を通過させ、ドライヤーで乾燥しボビンに巻き上げた。得られた中空糸膜の内径は199μm、膜厚は15μmであった。このように得られた中空糸膜を用いて、膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製し、限外濾過速度(ml/(hr・m・mmHg))、SCAlb(0h)、SCAlb(24hr)を測定した結果を表1に示す。
【0027】
(実施例2)
セルローストリアセテート17.5重量%、N−メチルピロリドン57.8重量%、トリエチレングリコール24.7重量%の製膜原液を用い、凝固させた。その後、水洗膜構造を安定化させた後、85℃、65%のグリセリン溶液で処理した以外は実施例1と同様に中空糸膜を作製した。その中空糸膜の性能を評価したところ、実施例1に示す程度の性能を有することが確認できた。結果を表1に示す。
【0028】
(実施例3)
実施例2でグリセリン水溶液の温度を90℃、50%にした以外は実施例1と同じ条件で中空糸膜を作製した。得られた中空糸膜の内径は196μm、膜厚は15μmであった。この様にして得られた中空糸膜から膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製して、実施例1と同様に中空糸膜の性能評価を行った結果を表1に示す。
【0029】
(比較例1)
水洗し膜構造を安定化させた後、60℃、65%のグリセリン水溶液中を通過させた以外は実施例1と同じ条件で中空糸膜を製造した。
得られた中空糸膜の内径は201μm、膜厚は15μmであった。
この様にして得られた中空糸膜から膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製して、実施例1と同様に中空糸膜の性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0030】
(比較例2)
水洗し膜構造を安定化させた後、95℃、65%のグリセリン水溶液中を通過させた実施例1と同じ条件で中空糸膜を製造した。
得られた中空糸膜の内径は201μm、膜厚は15μmであった。
この様にして得られた中空糸膜から膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製して、実施例1と同様に中空糸膜の性能評価を行った。結果を表1に示す。
このように、本発明の優れた性能を有する中空糸膜を製造するためには、中空糸膜の内径が100〜300μmという程度のことは定量的に把握できるが、一方で、中空糸膜の微妙な構造変化を定量的に特定することは技術的に相当の技量を要する。いずれにせよ、膜構造を安定化した状態にある中空糸膜を張力のかかった状態で、65〜100℃、好ましくは75〜90℃の範囲内の高温の液体で加熱処理することにより本発明特有の性能と構造を有する中空糸膜が製造され得るということは、本発明者の知見に基くものである。
【0031】
【表1】
Figure 2004313359
【0032】
【発明の効果】
以上のように、血液透析膜の湿潤状態放置時の膜構造変化を惹起することで血液透析中の経時安定性が優れ、性能低下が少なく性能を維持することができる。また、中空糸膜の凝固が完了して膜構造が安定した後に張力が掛かった状態で75℃超、90℃以下の水溶液で加熱処理する事により、血液透析中に膜の微細構造が変化して、孔径が徐々に大きくなる事で、血液透析中の目詰まりを打ち消す方向に働く。さらに、上記の血液透析膜は血液濾過や血液透析濾過にも好適に用いることが可能なことを見出した。

Claims (9)

  1. 内径が100〜300μm、純水の限外濾過係数が150〜500ml/(m・mmHg・hr)の中空糸膜であって、生理食塩水または透析液でプライミングし、湿潤状態のまま37℃、24時間放置した後に1重量%牛血清アルブミン水溶液(pH7.5)を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(24h))とプライミング直後に1重量%牛血清アルブミン水溶液を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(0h))の比がSCAlb(24h)/SCAlb(0h)≧1.2であることを特徴とする血液透析膜。
  2. 前記中空糸膜を生理食塩水または透析液でプライミングし、湿潤状態のまま37℃、24時間放置した後に1重量%牛血清アルブミン水溶液(pH7.5)を用いて測定したアルブミンの篩い係数(SCAlb(24h))で、0.3≧SCAlb(24h)≧0.005であることを特徴とする請求項1記載の血液透析膜。
  3. β−ミクログロブリンの篩い係数が0.35以上であることを特徴とする請求項1または2記載の血液透析膜。
  4. 該中空糸膜がセルロース系ポリマーから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の血液透析膜。
  5. 該セルロース系ポリマーがセルローストリアセテートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の血液透析膜。
  6. 実質的に膜構造の固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処置することによって膜の微細構造を調整したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の血液透析膜。
  7. 製膜原液を凝固させた後の、実質的に膜構造が固定された中空糸膜を張力のかかった状態で75℃超、90℃以下の高温の液体で加熱処理することを特徴とする血液透析膜の製造方法。
  8. 該中空糸膜がセルロース系ポリマーから成ることを特徴とする請求項7記載の血液透析膜の製造方法。
  9. 該セルロース系ポリマーがセルローストリアセテートであることを特徴とする請求項7または8記載の血液透析膜の製造方法。
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