JP6547518B2 - 中空糸膜モジュール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液適合性に優れ、溶出物の少ない中空糸膜が内蔵された中空糸膜モジュールおよび中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
中空糸膜の素材としては、セルロース系ポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン系ポリマーが挙げられるが、この中でも、ポリスルホン系ポリマーは透水性が高く、耐薬品性、強度に優れるため、浄水器用などの水処理膜や透析治療に用いられる人工腎臓などの医療用分離膜で特に好適に用いられている。透析治療としては、通常の血液透析(HD)に加え、血液濾過透析(HDF)や間歇補充型血液透析濾過(I−HDF)が透析効率向上や低分子量蛋白の積極除去のため開発されている。そのため、透水性能が高いポリスルホン系ポリマーがこのような透析手法に合致したものとして、幅広く使用されている。
また、中空糸膜モジュールには、中空糸膜束を有する容器に液体が充填され、モジュール内が液体で完全に満たされたウェットタイプ、容器に液体は充填されていないが、中空糸膜のみが湿潤しているセミドライタイプ、中空糸膜がほとんど水分を含まないドライタイプがある。なかでも、ドライタイプは、水を含まないため重量が軽く、寒冷地でも凍結による性能劣化の懸念が低いという利点があり、好適に使用される。
一方で、ポリスルホン系ポリマーは疎水性高分子であり、膜表面の疎水性が強いため、血液と接触した際に、血液の活性化が起こり、血液凝固が進行する恐れがある。そのため、親水性ポリマーを添加することによって膜表面の親水性を向上する施策が広く行われている。親水性ポリマーを添加する方法としては、中空糸膜の製膜原液に親水性ポリマーを添加する方法(特許文献1)や、形成された中空糸膜を親水性ポリマーを含む溶液に浸漬して結合させる方法が一般的である。添加した親水性ポリマーが多すぎると親水性ポリマーの溶出が問題となる。そこで、親水性ポリマーを熱処理、または放射線処理によって架橋固定化する方法(特許文献2、3)が開示されている。また、乾燥状態でγ線を照射し、膜を構成する高分子物質の一部をクラスター化することにより、ガンマ線照射後の中空糸膜の水分率が10wt%以下でありながら、中空糸膜を疎水性ポリマーと親水性ポリマーの共通溶媒に溶解したときの膜の不溶化成分が10wt%以下の中空糸膜が得られること(特許文献4)が開示されている。
特公平2−18695号公報 特公平5−3331号公報 特開2011−92928号公報 特開2001−205057号公報
特許文献1に記載の方法では、製膜原液に親水性ポリマーを添加するため、膜全体に親水性ポリマーを添加することができ好適である。しかし、膜全体を親水化する場合には添加する親水性ポリマー量が多くなり、その結果、親水性ポリマーが溶出する恐れがある。
特許文献2、3に記載の方法では、親水性ポリマーが膜素材に化学的に固定され、不溶化するため、親水性ポリマーの溶出を抑制することが可能であるが、これらの方法では、処理液と接触する表面における親水性ポリマーが架橋することにより運動性が低下する恐れがあることや、架橋により孔径が変化し、性能が低下する懸念がある。さらに、放射線により架橋を行う場合には、水存在下で放射線を照射することが重要であるため、ドライ型の中空糸膜モジュールの製造には不向きである。
特許文献4では、ドライ状態でγ線を照射し、溶出物を低減する方法が開示されている。しかし、この方法では、製膜原液に添加する親水性ポリマーの分子量等の影響により、クラスターの形成がしづらくなり、溶出物が増加する懸念がある。また、処理液と接触する表面の改質については、言及されていない。
すなわち、親水性ポリマーが、架橋などによる構造の変化を受けておらず、かつ、溶出物の少なく、生体適合性に優れた中空糸膜モジュールはいまだ存在していない。
ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーを含む、以下の(A)及び(B)を満たす中空糸膜が内蔵され、かつ、前記中空糸膜内表面の流路に、37℃に加温した超純水を4時間、200mL/minで循環して得られる液体に含まれる溶出物量が、1.0mg/m以下である、中空糸膜モジュール。
(A)N,N−ジメチルアセトアミドに溶解した時の不溶成分が前記中空糸膜全体質量の3質量%未満
(B)湿潤状態において機能層表面に柔軟層が存在し、前記柔軟層の厚みが7nm以上
すなわち、本発明に係る中空糸膜モジュールにおいては、中空糸膜が不溶化されていない、すなわち、ポリスルホン系ポリマーから溶出しないように、上記親水性ポリマーを十分架橋していないにも関わらず、上記所定の条件にて水を循環したときの中空糸膜内表面から溶出する溶出物量が少ない、という効果を示すものである。
上記中空糸膜の含水率が10質量%以下である場合、特にドライタイプの中空糸膜モジュールにおいては、親水性ポリマーを架橋するため、水分存在下で放射線を照射することは製造上不向きであるが、本発明によれば、親水性ポリマーの放射線による架橋をせずとも、溶出物を低減させることができる。したがって、本発明はドライタイプの中空糸膜モジュールに好適に適用可能である。
かかる中空糸膜モジュールを得るための手段としては、ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーを含む中空糸膜を、親水性基を含有するポリマーが含まれた洗浄液により洗浄した後、モジュールへの内蔵及び放射線照射を行う方法が挙げられ、上記親水性基を含有するポリマーとしては、そのポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数が、中空糸膜を構成する上記親水性ポリマーのポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数よりも高いものを選定する。ここで、上記洗浄後の中空糸膜をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した時の不溶成分は、中空糸膜全体質量の3質量%未満である。放射線照射時の中空糸膜の含水率は10質量%以下であることが好ましい。
上記親水性基を含有するポリマーはエステル基を含有することが望ましく、かかるエステル基は中空糸膜の機能層表面に存在することが好ましい。
本発明においては、ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーを含む中空糸膜が内蔵された中空糸膜モジュールについて、親水性ポリマーの架橋による性能の変化が抑制され、それでありながら溶出物が少なく、生体適合性の高い中空糸膜モジュールを提供する。
本発明に係る中空糸膜モジュールであり、実施例にて作製したもの 原子間力顕微鏡を用いたフォースカーブ測定におけるカンチレバーにかかる力とカンチレバーの変位量との関係曲線 アルブミンふるい係数の経時変化測定における装置および回路図
本発明では、ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーを含む中空糸膜が内蔵された中空糸膜モジュールであって、中空糸膜からの溶出物が少なく、かつ、生体適合性の高い中空糸膜モジュールを提供することを課題としている。
これまで、親水性ポリマーの溶出を防ぐためには、親水性ポリマーがゲル構造を有することや、ポリスルホン系ポリマーと架橋していることが重要であるとされている。しかし、処理液と接触する表面の親水性ポリマーの可動性が低くなると、生体適合性が低下するとされていることや、親水性ポリマーがゲル構造を取る場合、ゲルが透過抵抗となって膜の性能が低下することが考えられる。
そこで、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、親水性ポリマーが少量のゲル構造を有する、又は、ほとんど有していない場合でも、溶出物が少なく、生体適合性が高い中空糸膜を得る方法を見出した。
本発明においては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を溶媒として選定し、これに中空糸を溶解させた際の不溶成分の量を測定することで、親水性ポリマーの架橋状態を知ることが可能である。ゲル構造を取る親水性ポリマーやポリスルホン系ポリマーと架橋した親水性ポリマーは、多くの物質を溶解させることが可能なDMAcにおいても不溶となるためである。具体的には、中空糸膜をDMAcに溶解させたあと、遠心分離を行い、上澄みを除去することで、不溶成分を得ることが可能である。測定方法の詳細は実施例にて後述するとおりである。不溶成分が多いと、前述したように、膜の性能や生体適合性が低下する恐れがあるため、中空糸膜における不溶成分含有率が3質量%未満であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
中空糸膜モジュールから溶出する親水性ポリマーの量が多いと、透析などに用いる際、血液中へ溶出物が混入し、副作用や合併症の原因となる恐れがある。そのため、下記する方法によって測定される、中空糸膜モジュールから溶出する親水性ポリマーの量としては、1.0mg/m以下が好ましく、より好ましくは0.75mg/m、さらには0.5mg/m以下が好ましく、最も好ましくは0mg/mである。しかし、0.1mg/m未満を達成できない場合もある。
本発明において、中空糸膜モジュールの溶出物量とは、中空糸膜モジュール内部を4時間循環した水中に含まれる溶出物の量である。ここで、4時間循環した溶液とは、中空糸膜モジュールの中空糸膜内表面側の流路に37℃に加温した超純水を100mL/minで7分間通液し、ついで中空糸膜外表面側の流路に500mL/minで5分間通液し、再度、中空糸膜内表面流路に100mL/minで3分通液し洗浄を行ったあと、中空糸膜内表面側に37℃に加温した4Lの超純水を200mL/minで4時間循環後の水を採取したもののことである。ここで、中空糸膜内表面(側)の流路とは、中空糸膜の中空部分の空間であって、液体が流通可能な空間であり、一方で、中空糸膜外表面(側)の流路とは、中空糸膜の外表面とモジュールケース内表面とにより構成される空間であって、液体が流通可能な空間である。この4時間循環液を100倍に濃縮した液体をサンプルとし、ゲルろ過クロマトグラフィーなどを用いて、水中に溶出した溶出物を測定することができる。計算値は小数点第3位を四捨五入した値を用いる。測定方法の詳細は実施例にて後述するとおりである。このようにして求めた4時間循環後の水4L中の親水性高分子量(mg)を、測定した中空糸膜モジュールに充填された中空糸膜の内表面面積の合計値(m)で割った値を、本発明における溶出物量(mg/m)とする。計算値は小数点第2位を四捨五入した値を用いる。
溶出物量(mg/m)=4L中の親水性高分子量(mg)/中空糸膜の内表面面積の合計値(m
中空糸膜の内表面面積の合計値は下記式で求められる。
中空糸膜の内表面面積の合計値(m)=π×中空糸膜内径(m)×有効長(m)×糸本数(本)
ここで、有効長とは、中空糸膜モジュールに充填された中空糸膜においてポッティング材が付着していない部分を言う。
親水性ポリマーの溶出量を低減する手段としては、親水性ポリマーのポリスルホン系ポリマーへの吸着平衡定数に着目して洗浄液を選択し、中空糸膜を洗浄する方法が挙げられる。具体的には、ポリスルホン系ポリマーへの吸着平衡定数が、製膜原液に添加した親水性ポリマーの吸着平衡定数よりも高い親水性基を含有するポリマーを選定して、これが含まれる洗浄液を用いて中空糸膜の洗浄を行うことで、製膜原液に添加した親水性ポリマーに由来する溶出しやすい親水性ポリマーが、より吸着平衡定数の高いポリマーに置換されることから、効率良く洗浄することが可能であり、親水性ポリマーの溶出量が抑制された中空糸膜とすることができる。また、吸着平衡定数の高い親水性ポリマーは、詳細は不明ではあるものの、一般に、ポリスルホン系ポリマーとの分子間の接触点が多いことが考えられ、その結果、水分が無く、放射線による架橋が起こりにくい条件でも、ポリスルホン系ポリマーと架橋しやすいことが考えられ、その結果中空糸膜からの溶出が起こりにくい。なお、洗浄液に複数種類の親水性基を含有するポリマーが含まれる場合は、そのうちの一つが上記中空糸膜を構成する親水性ポリマーよりもポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数が高いものであればよい。
本発明でいうところの親水性ポリマーとは、親水性基を含有するポリマーであり、かつ、水もしくはエタノールに可溶であるポリマーのことを言う。「可溶である」ものとは、20℃での水もしくはエタノール100gに対して、0.1g以上溶解するものを指す。また、親水性基を含有する共重合ポリマーは、文字通り、親水性基を含有するユニットを含み、共重合体を構成するものであり、親水性ポリマーである場合もある。
親水性ポリマー(親水性基を含有するポリマーでもある)としては、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸などが挙げられる。さらに、親水性基を含有する共重合体ポリマーとしては、ケン化度が99%未満のポリビニルアルコールやビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、などが挙げられ、これらのうち少なくとも1種を含んでいることが好ましい。中でも、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性という観点から、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマーが好適に用いられる。
洗浄液に添加する親水性基を含有するポリマーとしては、親水性基を含有する共重合体ポリマーが好適であり、特に、共重合体ポリマーが親水性基と疎水性基からなる共重合体を好ましい。
本発明でいう疎水性基とは、疎水性基単独のポリマーとした時、20℃の水100gに対する溶解度が0.001g未満であるものを指す。
ポリスルホン系ポリマーは疎水性であるため、疎水性基を有する共重合体は、ポリスルホン系ポリマーとの疎水性相互作用により吸着平衡定数が高くなり、溶出しやすい親水性ポリマーの洗浄効率が高くなる。共重合体ポリマーにおける親水性基と疎水性基の比率について、疎水性基の比率が小さいと膜素材である疎水性高分子との相互作用が弱まり、導入効率を向上するメリットが得られにくく、一方で、疎水性ユニットの比率が大きいと中空糸膜内表面の親水性が低下し、血液適合性が悪化する。そのため、疎水性ユニットの比率は20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。一方で、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。
製膜原液に添加した親水性ポリマーよりもポリスルホン系ポリマーへの吸着平衡定数が高い親水性基含有ポリマーを含有する洗浄液を用いて中空糸膜を洗浄する方法としては、中空糸膜の紡糸工程に洗浄浴を設けて、浴内の洗浄液中を通過させる方法や、中空糸膜束とした後に洗浄液に浸漬させる方法、中空糸膜をケースに挿入し、中空糸膜モジュールとした後に、洗浄液を中空糸膜の内表面側及び外表面側に流す方法、又は洗浄液を中空糸膜の膜厚方向に流す方法などが挙げられる。特に限定はしないが、中空糸膜モジュールとした後に、膜厚方向に向かって洗浄液を通液させる方法が、親水性ポリマーの洗浄効率が高く好適である。また、洗浄液に親水性ポリマーの生体適合性が良い場合は、中空糸膜の機能層表面から反対側表面に向かう膜厚方向に洗浄液を通液することで、親水性ポリマーの洗浄と同時に、機能層表面に高い生体適合性を付与することも可能である。膜厚方向に洗浄液を通液する場合、洗浄時間は10秒以上が好ましく、洗浄液の流量は200〜1000mL/minが好適な範囲である。
洗浄液に添加する親水性基含有ポリマーの量は、少なすぎる場合、洗浄効果が十分に得られないため、10ppm以上が好ましく、より好ましくは50ppm以上、さらには75ppm以上が好ましい。一方で、含まれる親水性基含有ポリマー量が多すぎると、親水性基含有ポリマー自体が溶出する恐れがあるため、500ppm以下が好ましく、より好ましくは300ppm以下、さらには200ppm以下が好ましい。洗浄液の温度は、温度が高すぎると膜の性能の低下を招く恐れがあることから、100℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以下である。洗浄液の温度を高くすることは、加温のための設備が必要であることから、生産効率の上からは好ましくないが、例えば、洗浄液が含有している親水性基含有ポリマーが共重合体であり、さらに疎水性基を含有している場合、温度が高いと共重合ポリマーの水和状態が不安定となるため、当該共重合ポリマーにおける疎水性が相対的に強まる、すなわちポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数が高まり、洗浄効率が向上する。そのため、洗浄液の温度は25℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、さらには70℃以上が好ましい。
本発明において、湿潤状態での中空糸膜の機能層表面に存在する柔軟層とは、上記親水性ポリマーを含み、好ましくは親水性基含有ポリマーを含むものであり、表面に存在する親水性ポリマー等が水分によって膨潤してなる層である。ここで、湿潤状態としては、中空糸膜の含水率が65質量%以上の状態であればよい。かかる柔軟層が重要な理由としては、以下のように推測できる。血小板や血球などのサイズが大きい成分は、中空糸膜内部に入り込むことはなく、機能層表面と接触する。そのため、柔軟層が厚いほど、血小板や血球は、ポリスルホン系ポリマーと接近しにくくなり、付着や活性化が起こらないものと考えられる。一方で、柔軟層が厚すぎると、タンパク質が柔軟層にトラップされることがある。以上のことから、柔軟層の厚みは7nm以上であり、10nm以上が好ましい。また、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
また、本発明における機能層表面とは、中空糸膜モジュール内に流す被処理物質が接触する表面のことであり、透析治療に用いる中空糸膜モジュールを例に挙げれば、血液と接触する表面のことである。
湿潤状態での分離膜機能層表面の柔軟層は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察を行い、フォースカーブ測定からその厚みを算出する。フォースカーブは、縦軸をカンチレバーにかかる力としたときの横軸におけるカンチレバーの変位量で表される。カンチレバーの短針が機能層表面に接触するまでは、フォースカーブはX軸に平行に推移する。カンチレバーが機能層表面に接触した後、柔軟層があった場合には、湾曲した非線形の部分が現れる。当該非線形部分を過ぎた後、カンチレバーの変位量と力の間には、線形的な直線の相関が得られる。柔軟層は、上記、カンチレバーの短針の表面接触する前にx軸に平行に推移した線について引いた延長線において、当該延長線と、カンチレバーの短針が表面に接触して現れた上記湾曲した非線形の部分の後に上記線形的な直線となった部分についての延長線との交点までの距離とする(図2)。平均値は小数点第一位を四捨五入したものを採用する。なお、測定は任意に選定した複数本の中空糸膜における任意の箇所20カ所で行い、平均を求めることが好ましいが、必ずしも複数本の中空糸膜について行う必要はない。
中空糸膜モジュールに充填された中空糸膜の含水率が多すぎると、保存時の菌の増殖の懸念や、中空糸膜が凍結し性能の低下が起こることがある。また、含水率が多い状態で放射線を照射すると、親水性ポリマーの架橋、ゲル化が起こり、膜性能に影響を与える可能性がある。一方、含水率が少ないドライタイプであれば、中空糸膜モジュールの軽量化が可能であり、運送のコスト、安全性が向上する。また、中空糸膜が実質的に乾いている中空糸膜モジュールでは、使用時における中空糸膜内部の泡抜け性が向上する。以上のことから、本発明に係る中空糸膜モジュールの中空糸膜の質量に対する含水率は10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特には2質量%以下、1質量%以下が好ましい。
ここで、本発明における含水率とは、中空糸膜モジュールの質量(a)、中空糸膜を絶乾状態まで乾燥後の中空糸膜モジュールの質量(b)、中空糸膜モジュールに内蔵された絶乾時の中空糸膜の質量(c)を測定し、含水率(質量%)=100×(a−b)/cで算出される。
また、中空糸膜束の状態で測定する場合は、絶乾状態に乾燥する前の中空糸束の質量(d)、絶乾状態の中空糸膜束の質量(e)を測定し、含水率(質量%)=100×(d−e)/eで算出される。いずれの場合も測定値は小数点第2位を四捨五入した値を用いる。
中空糸膜を乾燥させる方法としては、中空糸膜モジュール内に圧空などの気体を流入させて乾燥させる方法、マイクロ波を照射して乾燥させる方法や、減圧乾燥などの方法が挙げられる。
中空糸膜の少なくとも一方の表面にはエステル基を有することが好ましく、特に機能層表面にエステル基が存在することが好ましい。中空糸膜の機能層表面にエステル基が存在することにより、タンパク質や血小板の付着が抑制される。詳細な機構については不明であるが、エステル基の親水性が適切であり、機能層表面の水の状態とタンパク質周囲の水の状態がほぼ同じになることにより、タンパク質の非特異的な吸着を抑制することができると考えられる。特に限定されるものではないが、前述した洗浄液に添加する親水性基含有ポリマーがエステル基を有することが好ましく、当該洗浄操作において当該ポリマーが膜表面に固定されると、エステル基の付与が可能となる。エステル基は疎水性基であるため、エステル基を含有する親水性基含有ポリマーは、エステル基を含有する親水性ポリマーを機能層表面に局在化させることが可能であるとともに、ポリスルホン系ポリマーとの疎水性相互作用により吸着平衡定数が高くなる傾向にあるため、より吸着平衡定数の低い親水性高分子の洗浄を効率よく行うことができる。特に、これまでに開示された方法の内、機能層表面にタンパク質や血球成分の付着を抑制するために少量のエステル基含有ポリマーを機能層表面にコーティングする方法では、膜内部に含有される親水性ポリマーが十分に洗浄されておらず、親水性ポリマーの溶出を抑制するには、十分に親水性ポリマーを架橋、ゲル化する必要があった。しかし、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、機能層表面だけでなく、ある程度膜厚方向、つまり孔の内部にもエステル基を含有する親水性基含有ポリマーをコーティングすることで、架橋、ゲル化していない状態でも、親水性ポリマーの溶出を抑制可能であることを見出した。
また、発明者らは、膜表面に存在する親水性高分子の架橋を抑制することでタンパク質や有機物のファウリング抑制能が向上することを見出した。詳細なメカニズムは明らかになっていないが、疎水性高分子および親水性高分子によって構成される膜表面を、親水性高分子が溶出しない最低限の程度に架橋された状態とすることで、膜表面における高分子の運動性は、より架橋されている状態と比べて向上し、タンパク質等の付着が抑制されるものと考えられる。膜表面のファウリング抑制効果が高いと、使用時のモジュール性能の劣化の抑制に繋がるため、非常に有用である。さらに、血小板の付着の要因となるフィブリノーゲンなどのタンパク質の付着を抑制することで、膜の血液適合性も向上する。また、血液に含まれるアルブミンふるい係数の経時変化は、本発明ではアルブミンふるい係数の維持率を測定することによって定量されるが、その結果によってファウリング抑制効果を確認することが可能である。アルブミンふるい係数の維持率は、50%以上が良く、好ましくは60%以上、さらには70%以上が好ましい。
エステル基を含有する親水性基含有ポリマーの量については、全反射赤外分光法(ATR)で測定することができ、深さ方向にはおよそ数μmまで測定が可能である。ATRの測定方法としては、1箇所における測定範囲を3μm×3μm、積算回数は30回以上として、当該箇所における赤外吸収スペクトルを25点測定する。個々の赤外吸収スペクトルから、下記の方法によって(ACOO)/(ACC)を求め、25点の平均値を求める。すなわち、赤外吸収スペクトルにおいて、1711〜1759cm−1で基準線を引き、その基準線とスペクトルの正部分で囲まれた部分をエステル基由来のピーク面積(ACOO)とし、同様に1549〜1620cm−1で基準線を引き、その基準線とスペクトルの正の部分で囲まれた部分をポリスルホン由来ベンゼン環C=C由来のピーク面積(ACC)として両者の比(ACOO)/(ACC)を算出する。かかる25点測定平均値の算出を、1本の中空糸膜について、長手方向における両端面近傍および中央部付近の異なる3箇所で、モジュール1本当たり3本の中空糸膜について行い、3×3=9点についての平均値を(ACOO)/(ACC)の平均値とする。この(ACOO)/(ACC)が、平均値0.02以上が好ましく、より好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.05以上である。一方で、エステル基の割合が多すぎると表面の疎水性が強くなり、血液適合性が低下する恐れがあることから、平均値は0.5以下が好ましく、より好ましくは0.3以下、さらには0.15以下が好ましい。
また、中空糸膜表面のエステル基の量は、X線電子分光法(XPS)を用いて中空糸膜表面のエステル基由来の炭素量を測定することによっても求めることができる。この場合、深さ方向にはおよそ数nmまでの範囲で測定が可能である。タンパク質や血小板の付着を抑制する効果を発揮するために、X線電子分光法(XPS)による測定において、中空糸膜の当該機能層表面における炭素由来の全ピーク面積を100(原子数%)としたときに、エステル基由来の炭素ピークの面積百分率が、好ましくは1(原子数%)以上、より好ましくは1.2(原子数%)以上、さらに好ましくは1.5(原子数%)以上である。一方でエステル基の量が多すぎると、膜の性能低下が見られることがあるので、上記エステル基由来の炭素ピーク面積百分率は、好ましくは10(原子数%)以下であり、5(原子数%)以下がより好ましい。
中空糸膜表面のエステル基由来の炭素量を、X線電子分光法(XPS)によって求めるに際して、測定角としては90°で測った値を用いる。測定角90°で測定した場合、表面からの深さが約10nmまでの領域が検出される。また、中空糸膜の異なる3箇所について測定を行い、該3箇所の値の平均値を用いる。エステル基(COO)由来の炭素のピークは、C1sのCHやC−C由来のメインピークから+4.0〜4.2eVに現れるピークをピーク分割することによって求めることができる。炭素由来の全ピーク面積に対するエステル基由来のピーク面積の割合を算出することで、エステル基由来の炭素量(原子数%)が求まる。より具体的には、C1sのピークは、主にCHx,C−C,C=C,C−S由来の成分、主にC−O,C−N由来の成分、π−πサテライト由来の成分、C=O由来の成分、COO由来の成分の5つの成分から構成される。以上の5つの成分にピーク分割を行う。COO由来の成分は、CHxやC−Cのメインピーク(285eV付近)から+4.0〜4.2eVに現れるピークである。この各成分のピーク面積比は、小数点第2桁目を四捨五入し、算出する。ピーク分割の結果、ピーク面積百分率が0.4%以下であれば、検出限界以下とする。
本発明におけるポリスルホン系ポリマーとは、主鎖に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基を有するものであり、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルエーテルスルホンなどが挙げられる。例えば、次式(1)、(2)の化学式で示されるポリスルホン系高分子が好適に用いられるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。式中のnは、例えば50〜80の如き整数である。
Figure 0006547518
ポリスルホンの具体例としては、ユーデルポリスルホンP−1700、P−3500(ソルベイ社製)、ウルトラソンS3010、S6010(BASF社製)、ビクトレックス(住友化学)、レーデルA(ソルベイ社製)、ウルトラソンE(BASF社製)等のポリスルホンが挙げられる。又、本発明で用いられるポリスルホンは、上記式(1)及び/又は(2)で表される繰り返し単位のみからなる高分子が好適ではあるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマーと共重合しているものや、変性体であっても良い。特に限定するものではないが、他の共重合モノマーは10質量%以下であることが好ましい。
中空糸膜を製膜する際には、造孔剤および製膜原液の粘度調製を行うために、親水性ポリマーを配合することが必要である。特に限定するものではないが、親水性ポリマーは、例としてポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボシキメチルセルロース、ポリプロピレングリコールなどが挙げられ、これらの少なくとも一つが含まれるものが好ましい。中でも、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性や安全性の観点からポリビニルピロリドンが好適に使用される。
しかし、このように製膜原液に添加される親水性ポリマー、特に低分子量の親水性ポリマーが放射線照射後の溶出物の原因となる場合が多い。その原因としては、例えばポリスルホン系ポリマーとしてポリスルホン、親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いた製膜原液の場合、ポリスルホンとポリビニルピロリドンの吸着平衡定数が低いため、溶出してくるものと考えられる。さらに、含水率の低い場合では、架橋反応が起こりにくいため、より溶出しやすいと考えられる。そのため、上述したような洗浄方法で洗浄することが必要である。
本発明において中空糸膜モジュールに内蔵される中空糸膜としては、分離性能に寄与する機能層と膜の機械的強度に寄与する支持層とからなる非対称構造の膜が、透水性、分離性能の面から好ましい。
本発明においては、二重管口金のスリット部から疎水性高分子およびその良溶媒、貧溶媒を含む製膜原液を、円管部から芯液を吐出し、乾式部を通過させた後に凝固浴で凝固させることによって中空糸膜を製造することが好ましい。
上記製膜原液中のポリスルホン系ポリマーの濃度を高くすることで、中空糸膜の機械的強度を高めることができる。一方で、ポリスルホン系ポリマーの濃度が高すぎると、溶解性の低下や製膜原液の粘度増加による吐出不良などの問題が生じ得る。また、ポリスルホン系ポリマーの濃度によって透水性、分画分子量を調整することができる。ポリスルホン系ポリマーの濃度を高くし過ぎると、中空糸膜内表面における同ポリマーの密度が上がるため、透水性および分画分子量は低下する。以上のことから、製膜原液中のポリスルホン系ポリマーの濃度は24質量%以下が好ましく、一方で下限としては12質量%以上が好ましい。
上記良溶媒とは、製膜原液において実質的にポリスルホン系ポリマーを溶解する溶媒のことである。特に限定はしないが、溶解性から、N,N−ジメチルアセトアミドやN−メチルピロリドンが好適に用いられる。一方、貧溶媒とは、製膜原液において、実質的にポリスルホン系ポリマーを溶解しない溶媒のことである。特に限定はしないが、水が好適に用いられる。
本発明においては、通常、製膜原液中に親水性ポリマーを配合して製膜を行う。配合された親水性ポリマーは、造孔剤として透水性や親水性を向上する効果が期待できる。また、親水性ポリマーの配合により製膜原液の粘度の調整を行うことが可能であり、膜の強度低下の要因となるマクロボイドの生成を抑制することが可能である。ただし、かかる製膜原液中の親水性ポリマーの配合量が多すぎると、製膜原液の粘度増加による溶解性の低下や吐出不良が起こることがあり、また、中空糸膜中に多量の親水性ポリマーが残存することで、透過抵抗の増大による透水性の低下などが起こる恐れがある。上記親水性ポリマーの最適な製膜原液への添加量は、その種類や目的の性能によって異なるが、製膜原液全体に対して1質量%以上が好ましく、一方で15質量%以下が好ましい。かかる製膜原液に添加される親水性ポリマーとしては、特に限定はしないが、ポリスルホン系ポリマーとの相溶性が高いことからポリビニルピロリドンが好適に用いられる。また、これらは単独で用いてもよいし、混合してもよい。
さらに、中空糸膜の透水性を向上させるためには、比較的低分子量の親水性ポリマーを用いることで造孔作用が強まるため好適である。低分子量の親水性ポリマーを用いた場合、中空糸膜からの溶出が起こりやすくなるが、本発明によれば、かかる溶出を低減することが可能である。
ポリスルホン系ポリマーを溶解する際は、高温で溶解することが溶解性向上のために好ましいが、熱によるポリマーの変性や溶媒の蒸発による組成変化の懸念がある。そのため、溶解温度は、30℃以上、120℃以下が好ましい。ただし、ポリスルホン系ポリマーおよび添加剤の種類によってこれらの最適範囲は異なることがある。
中空糸製膜時に用いる芯液はポリスルホン系ポリマーに対する良溶媒と貧溶媒の混合液であり、その比率によって中空糸膜の透水性および分画分子量を調整することができる。貧溶媒としては、特に限定しないが、水が好適に用いられる。良溶媒としては、特に限定しないが、N,N―ジメチルアセトアミドが好適に用いられる。
製膜原液と芯液が接触することで、貧溶媒の作用によって製膜原液の相分離が誘起され、凝固が進行する。芯液における貧溶媒比率を高くし過ぎると、膜の透水性および分画分子量が低下する。一方で、貧溶媒比率が低すぎると、液体のまま滴下されることになるため、中空糸膜を得ることができないことがある。芯液における適正な両者の比率は、良溶媒と貧溶媒の種類によって異なるが、貧溶媒が上記両溶媒の混合液中10質量%以上であることが好ましく、一方で80質量%以下であることが好ましい。
吐出時の二重管口金の温度は、製膜原液の粘度、相分離挙動、芯液の製膜原液への拡散速度に影響を与え得る。一般的に、二重管口金の温度が高い程、得られる中空糸膜の透水性と分画分子量は大きくなる。ただし、二重管口金の温度が高過ぎると、製膜原液の粘度の低下や凝固性の低下によって、吐出が不安定となるため紡糸性が低下する。一方で、二重管口金の温度が低いと、結露によって二重管口金に水分が付着することがある。そのため、二重管口金の温度は20℃以上が好ましく、一方で90℃以下が好ましい。
乾式部では、外表面が空気と接触することで、空気中の水分を取り込み、これが貧溶媒となるため、相分離が進行する。そのため、乾式部の露点を制御することで、外表面の開孔率を調整することができる。乾式部の露点が低いと相分離が充分に進行しないことがあり、外表面の開孔率が低下し、中空糸膜の摩擦が大きくなって紡糸性が悪化し得る。一方で、乾式部の露点が高過ぎても、外表面が凝固するため開孔率が低下することがある。乾式部の露点は60℃以下が好ましく、一方で10℃以上が好ましい。
乾式長が短すぎると相分離が十分に進行する前に凝固してしまい、透水性能や分画性能が低下するため、乾式長は50mm以上が好ましく、さらに好ましくは100mm以上である。一方、乾式長が長すぎると糸揺れなどによって紡糸安定性が低下しかねないため、600mm以下が好ましい。また、芯液における良溶媒の濃度にも大きく影響を受ける。良溶媒の濃度が低いと、内表面の凝固が促進され、膜の性能が低下する恐れがあり、一方良溶媒の濃度が高いと、内表面の凝固が抑制され、紡糸性が低下しかねない。そのため、芯液において、上記両溶媒中の良溶媒の濃度は40質量%以上が好ましく、さらに好ましくは50質量%以上であり、一方、90質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70%以下である。
凝固浴はポリスルホン系ポリマーに対する貧溶媒を主成分としており、必要に応じて良溶媒が添加される。貧溶媒としては水が好適に用いられる。製膜原液が凝固浴に入ると、凝固浴中の多量の貧溶媒によって製膜原液は凝固し、膜構造が固定化される。凝固浴の温度を高くする程、凝固が抑制されるため、透水性と分画分子量は大きくなる。
凝固浴で凝固させることによって得られた中空糸膜は、溶媒や原液に由来する余剰の親水性ポリマーを含んでいるため、洗浄が必要である。
洗浄が不充分だと、使用前に行う洗浄が煩雑になり、また溶出物の処理液への流入が問題になり得る。洗浄温度を上げることで洗浄効率が上がることから、洗浄の温度は、50℃以上が好ましい。また、洗浄性を向上させるために、洗浄に用いる溶液に製膜原液に添加した親水性ポリマーよりもポリスルホン系ポリマーへの吸着平衡定数が高い親水性ポリマーを添加してもよい。
中空糸膜の膜厚は、薄くなるほど境膜物質移動係数を低減できるために中空糸膜の物質除去性能は向上する。一方で、膜厚が薄すぎると糸切れや乾燥つぶれが発生しやすく、製造上問題となる可能性がある。中空糸膜のつぶれ易さは、中空糸膜の膜厚及び内径と相関がある。そのため、中空糸膜の膜厚は20μm以上が好ましく、さらには25μm以上が好ましい。一方、50μm以下、さらには45μm以下が好ましい。中空糸膜の内径は80μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは120μm以上であり、一方、250μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは160μm以下である。
上記中空糸膜内径とは、ランダムに選別した16本の中空糸膜の膜厚を、例えばマイクロウォッチャーの1000倍レンズ(VH−Z100;株式会社KEYENCE等)でそれぞれ測定して平均値aを求め、以下の式より算出した値をいう。なお、中空糸膜外径とは、ランダムに選別した16本の中空糸膜の外径をレーザー変位計(例えば、LS5040T;株式会社KEYENCE)でそれぞれ測定して求めた平均値をいう。
中空糸膜内径(μm)=中空糸膜外径−2×膜厚
中空糸膜をモジュールに内蔵する方法としては、特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。まず、中空糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状のケースに入れる。その後、両端に仮のキャップをし、中空糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる方法は、ポッティング剤が均一に充填できるため好ましい方法である。ポッティング剤が固化した後。中空糸膜の両端が開口するように両端部を切断する。ケースの両端にヘッダーを取り付け、ヘッダーおよびケースのノズル部分に栓をすることで中空糸膜モジュールを得る。
人工腎臓などの血液浄化用の中空糸膜モジュールは滅菌することが必要であり、残留毒性の少なさや簡便さの点から、放射線滅菌法が多用されている。使用する放射線としては、α線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線などが用いられる。中でも残留毒性の少なさや簡便さの点から、γ線や電子線が好適に用いられる。また、中空糸内表面に取り込まれた親水性基含有ポリマーは、放射線の照射によって膜素材と架橋を起こすことで固定化でき、溶出物の低減にも繋がるため、放射線を照射することが好ましい。放射線の照射線量が低いと滅菌効果が低くなる、一方、照射線量が高いと親水性基含有ポリマーや膜素材などの分解が起き、血液適合性が低下する。そのため、照射線量は15kGy以上が好ましく、100kGy以下が好ましい。
本発明においては、放射線によるポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーの架橋、ゲル化を抑制するため、中空糸膜の含水率が低い状態で放射線を照射することが好ましい。そのため、放射線照射時の中空糸膜の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特には2質量%以下、1質量%以下が好ましい。
中空糸膜周辺の酸素濃度が高い場合、放射線の照射によって酸素ラジカルが生じやすく、中空糸膜の含水率が低い状態では、膜の劣化や溶出物の増加を招く恐れがあるので、放射線は、酸素濃度が1%以下の条件で照射されることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらには0.2%以下、特に好ましくは0.1%以下の条件である。酸素濃度計などを使用することでモジュール内部の酸素濃度を測定することが可能である。
中空糸膜モジュール内の酸素濃度を低下させる方法としては、中空糸膜モジュール内に不活性ガスを流入させる方法や、脱酸素剤を用いる方法が挙げられる。しかし、脱酸素剤を用いる方法では、脱酸素剤のコストがかかり、また、中空糸膜の包装容器として酸素透過性の低いものを使用しなければならないため、不活性ガスを充填する方法が好適である。不活性ガスを流入した後、中空糸膜モジュールを密栓する、もしくは不活性ガスを流入した酸素透過性の低い容器に密封することで、中空糸膜周辺の雰囲気を不活性ガスとして、低酸素濃度状態にすることができる。
また、中空糸膜周辺および包装容器内の湿度が高すぎる場合、結露や、低温下での凍結の原因となり、性能の低下などに繋がる恐れがある。そのため、中空糸膜周辺および包装容器内の25℃における相対湿度は、80%Rh未満が好ましく、より好ましくは60%Rh、さらには40Rh%未満であることが好ましい。ここでいう相対湿度とは室温における水蒸気分圧(p)と室温における飽和水蒸気圧(P)を用いて、相対湿度(%Rh)=100×p/Pの式で表される。
中空糸膜の透水性としては、100ml/hr/mmHg/m以上が好ましく、より好ましくは200ml/hr/mmHg/m以上、さらに好ましくは300ml/hr/mmHg/m以上である。また、人工腎臓用途の場合、透水性が高すぎると残血などの現象が見られることがあるので、2000ml/hr/mmHg/m以下が好ましく、さらに好ましくは1500ml/hr/mmHg/m以下である。透水性能(UFR)は下記の式で算出する。
UFR(mL/hr/m/mmHg)=Qw/(P×T×A)
ここで、Qw:濾過量(mL)、T:流出時間(hr)、 P:圧力(mmHg)、A:
中空糸膜の内表面積(m
中空糸膜内表面における血液適合性は、中空糸膜に付着する血小板の付着数で評価できる。血小板の付着数が多い場合、血液の凝固に繋がるため、中空糸膜内表面の血液適合性が低いと言える。中空糸膜内表面における血小板の付着数は、ヒト血液と接触させた後の中空糸膜内表面を走査型電子顕微鏡にて観察することで評価が可能である。評価条件の詳細は実施例にて後述する。倍率1500倍で試料の内表面を観察した際、1視野4.3×10μmに付着する血小板の付着数は20個以下が好ましく、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは8個以下、特に好ましくは4個以下である。血小板の付着数は、異なる10視野を観察した際の平均値(小数点第1位を四捨五入する)を用いる。
(1)不溶成分量の測定
三角フラスコに任意に選定した中空糸膜を1g採り、DMAc40mLとともに添加し、2時間撹拌した。ついで、2500rpmで遠心分離を行い、不溶成分を沈殿させ、上澄みを取り除いた。次に、再度DMAcを10mLを加え、不溶成分を洗浄し、遠心分離を行い、上澄みを取り除く作業を3回繰り返した。最後に上澄みを取り除いた後、凍結乾燥を行った。不溶成分の乾燥質量を測定し、乾燥質量/1g(中空糸膜の質量)×100を不溶成分含有率(質量%)とした。小数点第2位を四捨五入した値を用いた。
(2)溶出物試験
37℃に加温した超純水を用いて、中空糸膜モジュールの中空糸膜内表面側の流路に100mL/minで7分間通液し、ついで中空糸膜外表面側の流路に500mL/minで5分間通液し、再度、中空糸膜内表面流路に100mL/minで3分通液を行い、洗浄を実施した。その後、中空糸膜内表面側に37℃に加温した4Lの超純水を200mL/minで4時間循環させながら通液した。4時間循環後の水を採取し、サンプル溶液を得た。得られたサンプル溶液は希薄であるため、凍結乾燥を行い、100倍に濃縮して測定に供した。ゲルろ過クロマトグラフィーは下記の条件で測定を実施した。カラム:TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶媒:0.1mol/L 硝酸リチウム、水/メタノール:50vol/50vol
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計 RI−8010(東ソー社製)
まず、ポリビニルピロリドン(ISP社製 K90)を濃度を変更して溶解した数種類の水溶液を標準試料として、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて測定した。標準試料のポリビニルピロリドンのピーク面積と調製した濃度の関係の検量線を作成した。次に、前記サンプル溶液を測定して得られた全てのピークの面積の合計値と前記検量線から、サンプル溶液中の溶出物の濃度を算出した。
続いて、4時間循環後の4Lの超純水中に含有される親水性高分子量を下記式にて算出した。このとき、純水1Lを1kgと近似して計算を行った。計算値は小数点第2位を四捨五入した値を用いた。
4L中の親水性高分子量(mg)=測定サンプル中の親水性高分子濃度(ppm)×4(kg)/100
このようにして求めた4時間循環後の水4L中の親水性高分子量(mg)を、測定対象の中空糸膜モジュールに充填された中空糸膜の内表面面積の合計値(m)で割った値を、本発明における溶出物量(mg/m)とした。計算値としては小数点第2位を四捨五入した値を用いた。
溶出物量(mg/m)=4L中の親水性高分子量(mg)/中空糸膜の内表面面積の合計値(m
中空糸膜の内表面面積の合計値(m)=π×中空糸膜内径(m)×有効長(m)×糸本数(本)
ここで、有効長とは、中空糸膜モジュールに充填された中空糸膜においてポッティング材が付着していない部分を言う。
(3)中空糸表面の柔軟層測定
中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、内表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した。測定サンプルは、超純水でリンスした後、室温、0.5Torrにて10時間乾燥させた後、測定に供した。
中空糸膜を試料台に貼り付けた後、水滴を垂らして膜を濡らし、含水率が65質量%以上の湿潤状態にした。その状態で、コンタクトモードでフォースカーブ測定を行った。なお、測定中に試料表面が乾燥しないように注意した。カンチレバーを試料にアプローチする際に表面に柔軟層がある場合には、湾曲部が認められる。この湾曲部の距離を柔軟層とした。詳細は前述の通りである。測定は任意に選定した複数本の中空糸膜について任意に選んだ20カ所で行い平均値を採用した。なお、平均値は小数点第一位を四捨五入したものを採用した。
AFM観察条件として装置に走査型プローブ顕微鏡SPM 9500−J3(SHIMADZU, Kyoto, Japan)、観察モードはコンタクトモード、プローブはNP−S(120 mm, wide)(Nihon VEECO KK, Tokyo,Japan),スキャン範囲は5μm x 5μm、スキャン速度は1 Hz の条件にて行った。
(4)中空糸膜の含水率測定
中空糸膜モジュールの質量を測定し、中空糸膜モジュール質量(a)とした。この中空糸膜モジュールを50℃に設定した減圧乾燥機に入れ、0.5Torrで12時間乾燥させた後、測定した質量を絶乾状態の中空糸膜モジュール質量(b)とした。さらに、上記モジュールと同じ方法により作成した別のモジュールを解体して中空糸膜を取り出し、50℃、0.5Torrで12時間減圧乾燥させた後、測定した質量を絶乾時の中空糸膜の質量(c)とした。このとき、cはポッティング材によって固定化されている中空糸膜の質量を含まない。中空糸膜の含水率は下記の式より算出し、測定値は小数点第2位を四捨五入した値を用いる。
含水率(質量%)=100×(a−b)/c
ここで、a:中空糸膜モジュール質量(g)、b:絶乾後中空糸膜モジュール質量(g)、c:絶乾時の中空糸膜質量(g)。
(5)顕微ATR法
中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、超純水でリンスした後、室温、0.5Torrにて10時間乾燥させ、表面測定用の試料とした。この乾燥中空糸膜の各表面をJASCO社製IRT−3000の顕微ATR法により測定した。測定は視野(アパーチャ)を100μm×100μmとし、1箇所における測定範囲は3μm×3μmで積算回数を30回、縦横各5点の計25点測定した。得られたスペクトルの波長1549〜1620cm−1で基準線を引き、その基準線とスペクトルの正の部分で囲まれた部分をポリスルホン由来ベンゼン環C=C由来のピーク面積を(ACC)とした。同様に1711〜1759cm−1で基準線を引き、その基準線とスペクトルの正部分で囲まれた部分をエステル基由来のピーク面積を(ACOO)とし、(ACOO)/(ACC)を求め、25点の平均値を求めた。
かかる25点の測定平均値の算出を同一中空糸における長手方向における両端面近傍および中央部付近の異なる3箇所で、モジュール1本辺り3本の中空糸膜について測定を行い、3×3=9点についての平均値を(ACOO)/(ACC)の平均値とし、小数点第3位を四捨五入した値を用いた。
(6)親水性ポリマー等のポリスルホンへの吸着平衡定数測定
GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製のAuセンサーチップをスピンコーターに固定させた後、ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)の0.1質量%クロロベンゼン溶液をパスツールピペットで1、2滴滴下させた。その直後に3000rpmで1分間回転乾燥させることで、ポリスルホン系ポリマーが表面に薄層化したAuセンサーチップを作成した。このセンサーチップをGEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製BIACORE3000に挿入し、2000秒間センサーチップを水洗浄した後、以下の操作を10、100、250、500、1000ppm各濃度の親水性ポリマー等の水溶液にて繰り返した。
1.親水性ポリマー水溶液を750μL流して薄層化したポリスルホン表面に吸着させた。
2.2000秒間水洗浄を行った。
3.0.025質量%トリトンを750μL流して1.で吸着させた親水性ポリマーを剥離させた。
4.2000秒間水洗浄を行った。
ポリスルホン系ポリマー表面への吸着量は、センサーチップ挿入直後に2000秒間水洗浄した後の値を0として、各、操作2.が終了した時点での差の値とした。なお、操作4.が終了した時点で、センサーチップ挿入直後水洗浄を行った後の値より高くなった場合は、0.025質量%トリトンにより親水性ポリマーが完全に剥離されなかったとみなし、その増分は吸着量に加算した。以上の操作を10、100、1000ppmにおける上記各濃度において繰り返し、上記によって得られた吸着等温線(横軸が親水性ポリマーの濃度、縦軸が吸着量)から、ポリマーとその吸着表面における一般的な溶液吸着モデル(フロインドリッヒ式近似)(式1)を用いて最小二乗法により当てはめ、該吸着平衡定数を算出し、小数点第1位を四捨五入した値を用いる。
Q=KC (式1)
(Q:単位面積当たり吸着量、K:吸着結合定数、n:フロインドリッヒ定数)
(7)ヒト血小板付着試験方法
18mmφのポリスチレン製の円形板に両面テープを貼り付け、そこに中空糸膜を固定した。貼り付けた中空糸膜を片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜の内表面を露出させた。中空糸膜内表面に汚れやキズ、折り目が存在すると、その部分に血小板が付着するため正しい評価ができないことがあるので注意を要する。筒状に切ったFalcon(登録商標)チューブ(18mmφ、No.2051)に該円形板を、中空糸膜を貼り付けた面が、円筒の内部にくるように取り付け、パラフィルムで隙間を埋めた。この円筒管内を生理食塩水で洗浄後、生理食塩水で満たした。ヒトの静脈血を採血後、直ちにヘパリンを50U/mLになるように添加した。前記円筒管内の生理食塩水を廃棄後、前記血液を採血後30分以内に円筒管内に1.0mL加え、37℃にて1時間振とうさせた。その後、中空糸膜を10mLの生理食塩水で洗浄し、2.5%グルタルアルデヒド生理食塩水を加え、静置し、血液成分を中空糸膜に固定化させた。1時間以上経過後、20mLの蒸留水にて洗浄した。洗浄した中空糸膜を常温、0.5Torrにて10時間減圧乾燥した。この中空糸膜を走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付けた。その後、スパッタリングにより、Pt−Pdの薄膜を中空糸表面に形成させて、試料とした。この中空糸膜内表面をフィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(日立社製S−800)にて、倍率1500倍で試料の内表面を観察し、1視野中(4.3×10μm)の付着した血小板数を数えた。中空糸長手方向における中央付近で、異なる10視野での付着した血小板数の平均値を血小板付着数(個/4.3×10μm)とした。値は小数点第1位を四捨五入した値を用いた。1視野で50個/4.3×10μmを超えた場合は、50個としてカウントした。中空糸の長手方向における端の部分は、血液溜まりができやすいため、血小板付着数の計測対象からはずした。
(8)アルブミンふるい係数の経時変化測定
本項目の測定において、透析装置32としては東レメディカル社製TR3000Sを使用した。TR3000Sは、図3においてBiポンプ34、Fポンプ35、および透析装置32にあたる要素を含む。各回路には液体中の気泡を取り除くためのチャンバー(Do回路チャンバー44、Di回路チャンバー45、Bi回路チャンバー46、Bo回路チャンバー47)を備えている。また、Bi回路チャンバーの液面とDi回路チャンバーの液面、ならびにBo回路チャンバーの上部、Do回路チャンバーの上部を基準線31として同じ高さとし、圧力差が生じないようにした。
クエン酸ナトリウムを添加した牛血液をヘマトクリット30%、総タンパク質濃度6.5g/dL、37℃となるように調製し、循環用ビーカー37に入れ、該循環用ビーカー37を、図3に示すように、温水槽43の中にセットした。
中空糸膜モジュール33の処理液注入口と循環用ビーカー37をBiポンプ34を介してBi回路38で結合した。中空糸膜モジュール33の処理液排出口と循環用ビーカー37をBo回路39で結合した。透析装置32の透析液出口と中空糸膜モジュール33の処理液注入口をDi回路40で結合した。透析装置32の透析液入り口と中空糸膜モジュール33の処理液排出口をDo回路41で結合した。
透析装置32に、透析液(キンダリー液AF2号 扶桑薬品工業株式会社製)A液およびB液をセットした。透析液濃度を13〜15mS/cm、温度を34℃以上、透析液流量を500mL/minに設定した。
Bi回路38の入口部を生理食塩水が入ったビーカーに入れ、Biポンプ34の設定流量を200mL/minとして、ポンプをスタートし5分間中空糸膜モジュールを洗浄した。
次に、Bi回路38の入口部を上記で調製した牛血液2L(37℃)の入った循環用ビーカー37に入れ、Biポンプ34の設定流量を200mL/minとし、ポンプをスタートした。Bo回路39の出口部から排出される液体を90秒間分、廃棄用容器36に廃棄した後、直ちにBo回路39の出口部およびDo回路41の出口部を循環用ビーカー37に入れて循環状態とした。その後、Fポンプ35の除水速度を10mL/(min・m)に設定し、ECUMモードでスタートした。中空糸膜モジュール33の処理液排出口からは、中空糸膜によりろ過された血液の一部を含んだ透析液が排出される。排出された透析液の一部は、Fポンプ35を介して、ろ液循環回路42によって循環用ビーカーに戻され、循環している血液が濃縮されないようにした。経時的にBi回路38入口側、Bo回路39出口側およびDo回路41出口側からそれぞれサンプリングを行った。Bi回路38およびBo回路39からサンプリングした血液は、3000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄みである血漿をアルブミン測定用のサンプルとした。アルブミン濃度の測定はA/G Bテストワコー(和光純薬社製)を用いて実施した。経時時間毎のアルブミンふるい係数(Sc−Alb)を下記式によって算出した。
Sc−Alb(%)=2CDo/(CBi+CBo)×100
上記式において、CDoはDo回路出口側のアルブミン濃度(g/mL)、CBiはBi回路入口側のアルブミン濃度(g/mL)、CBoはBo回路出口側のアルブミン濃度を示す(g/mL)。また、下記式を用いて循環5分後と循環240分後のアルブミンふるい係数の値から、以下の式によってアルブミンふるい係数の維持率を算出した。
アルブミンふるい係数維持率(%)=Sc−Alb(240分後)/Sc−Alb(5分後)×100。
(9)泡抜け性評価
中空糸膜モジュールの被処理液注入口側を下側、被処理液排出口側を上側に向けた状態で、流量100mL/minで超純水を5分間中空糸膜モジュールに通液した。このとき中空糸膜モジュールには振動を与えないようにした。その後、中空糸膜モジュールを手で叩いて振動を与えながら2分間通液を行った。その際に中空糸内部から発生する気泡を水上置換法でガラス瓶内に回収し、水中で蓋を閉めた。その後、ガラス瓶の周りの水滴を圧空等で除去し、ガラス瓶の重量(x)の測定を行った。また、別途ガラス瓶内を満水にした状態での重量(y)の測定を行った。満水時のガラス瓶の重量としては3回測定を行った値の平均値を使用した。満水時のガラス瓶の重量(y)と気泡回収後のガラス瓶の重量(x)の差を中空糸内部から発生した気泡の量として、小数点第3位を四捨五入して求めた。水の比重は1.0とした。気泡量が0.15mL未満の場合、泡抜け性を良として、気泡量が0.15mL以上の場合、泡抜け性を悪とした。
発生した気泡量(mL)=y(g)−x(g)
[実施例1]
ポリスルホン(ソルベイ社製“ユーデル”P−3500)16質量%、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社製;以下ISP社と略す K30)4質量%およびポリビニルピロリドン(ISP社製 K90)を2質量%、N,N−ジメチルアセトアミド77質量%、水1質量%を加熱溶解し、製膜原液とした。
N,N−ジメチルアセトアミド63質量%、水37質量%の溶液を芯液とした。
製膜原液を温度50℃の紡糸口金部へ送り、環状スリット部の外径0.35mm、内径0.25mmのオリフィス型二重管口金の外側の管より吐出し、芯液を内側の管より吐出した。吐出された製膜原液は乾式長350mm、温度30℃、露点28℃のドライゾーン雰囲気を通過した後、水100%、温度40℃の凝固浴に導かれ、60〜75℃で90秒の水洗工程、130℃で2分の乾燥工程を通過させ、160℃のクリンプ工程を経て得られた中空糸膜を巻き取り束とした。中空糸膜の内径は200μm、外径は280μmであった。中空糸膜の有効な内表面積(中空糸膜内表面における、次工程で添加されるポッティング剤により覆われない部分の表面積)が1.5mになるように中空糸膜をケースに充填し、かつ中空糸膜の両端をポッティングによりケース端部に固定し、ポッティング剤の端部の一部をカッティングすることで両端の中空糸膜を両面開口させ、ケース両側にヘッダーを取り付け、モジュール化した。次に洗浄工程として部分ケン化ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA417)0.01質量%の25℃の水溶液を中空糸膜モジュールの中空糸膜内表面側入口15Aから出口15Bへ500mL/minで1分間通液し、さらに中空糸膜内表面側入口15Aから中空糸膜外表面側ノズル16Aへ膜厚方向に500mL/minで1分間通水した。次に100kPaの圧縮空気で中空糸膜外表面側ノズル16Aから内表面側入口15Aへ充填した液を押し出し、その後中空糸膜内表面側の充填液を15Bから15Aの方向にブローし、中空糸膜のみが湿潤した状態にした。さらに、中空糸膜内表面側と外表面側を同時に流量30L/minの圧縮空気でブローしながら、2.5kwのマイクロ波を照射し、中空糸膜を乾燥させた。ここで、上記洗浄工程の前に、絶乾時の中空糸膜モジュールの質量と乾燥処理後の質量とを測定して、中空糸膜モジュールの含水率を求めた。中空糸膜モジュール内部雰囲気を窒素で置換した後、酸素を透過しないゴム栓でキャップをし、照射線量25kGyのγ線を照射し、中空糸膜モジュール1を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。不溶成分は観測できなかったが、溶出物が少なく、柔軟層の厚みが十分で、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。
[実施例2]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン/酢酸ビニル(5/5)ランダム共重合体(BASF社製“KOLLIDON”(登録商標) VA55)0.01質量%の25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール2を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様に不溶成分は観測できないが、柔軟層が厚く、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。洗浄液に含まれる親水性基含有ポリマー(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(5/5)ランダム共重合体)のポリスルホンに対する吸着平衡定数が実施例1において用いた同ポリマーに比べてやや低いが、低溶出を達成可能であった。
[実施例3]
洗浄工程に用いる洗浄液の温度を50℃とした以外は実施例2と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール3を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数等を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様に不溶成分は観測できないが、柔軟層が厚く、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。実施例2に比べて、中空糸膜機能層表面に存在するエステル基量が多く、溶出物量が少なかった。これは、洗浄液温度を上げたことにより、洗浄液中のポリマーとポリスルホンの疎水性相互作用が強まったためであると考えられる。
[実施例4]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)ランダム共重合体(BASF社製“KOLLIDON”(登録商標) VA64)0.01質量%の25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール4を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様に不溶成分は観測できないが、柔軟層が厚く、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。洗浄液に含まれる親水性基含有ポリマー(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)ランダム共重合体)のポリスルホンに対する吸着平衡定数が実施例1において用いた同ポリマーに比べてやや低いが、低溶出を達成可能であった。
[実施例]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン/酢酸ビニル(7/3)ランダム共重合体(BASF社製“KOLLIDON”(登録商標) VA73)0.03質量%の50℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュールを得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様に不溶成分は観測できないが、柔軟層が厚く、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。洗浄液に含まれる親水性基含有ポリマー(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(7/3)ランダム共重合体)のポリスルホンに対する吸着平衡定数が実施例1において用いた同ポリマーに比べて低いが、低溶出を達成可能であった。
[実施例6]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム(5/5)共重合ポリマー(VPC55)0.01質量%の25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール6を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。実施例1と同様に不溶成分は観測できないが、柔軟層が厚く、血小板付着数が少ない中空糸膜モジュールが得られた。洗浄液に含まれる親水性基含有ポリマー(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(7/3)ランダム共重合体)のポリスルホンに対する吸着平衡定数が実施例1において用いた同ポリマーに比べて低いが、低溶出を達成可能であった。
[実施例7]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)ランダム共重合体(BASF社製“KOLLIDON”(登録商標) VA64)0.01質量%の70℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール7を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。実施例3に比べて、中空糸膜機能層表面に存在するエステル基量が多く、溶出物量が少なかった。これは、洗浄液温度を上げたことにより、洗浄液中のポリマーとポリスルホンの疎水性相互作用が強まったためであると考えられる。
[比較例1]
洗浄工程に用いる洗浄液として25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール8を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。親水性ポリマーの溶出量が多かった。これは、水では洗浄効果が低かったためであると考えられる。さらに柔軟層の厚みも薄く、血小板の付着数も多かった。
[比較例2]
洗浄工程に用いる洗浄液として70℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール9を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。洗浄液温度を上げることで、比較例1よりも親水性ポリマーの溶出量が少なくなったが、十分に抑制できていなかった。
[比較例3]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン(IPS社製)K90の0.01質量%の25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール10を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。比較例1、2に比べて、溶出物量、血小板付着数は減少したが、効果は十分ではなかった。これはビニルピロリドンのポリスルホンに対する吸着平衡定数が低く、十分に洗浄できていいなかったためと考えられる。
[比較例4]
洗浄工程に用いる洗浄液としてビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)ランダム共重合体(BASF社製“KOLLIDON”(登録商標) VA64)0.001質量%の25℃の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール11を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、及び中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数を測定した。結果を表1に示す。柔軟層が厚く、血小板付着数は少なかったが、洗浄効果が十分でなく溶出物量が多かった。
[比較例5]
γ線照射時の中空糸膜モジュールの含水率を283質量%とした以外は、比較例4と同様の実験を行い、中空糸膜モジュール12を得た。得られた中空糸膜モジュールにおける不溶成分量、溶出物量、および中空糸膜内表面における顕微ATR、血小板付着数等を測定した。結果を表1に示す。γ線照射時の含水率が高く、架橋反応が進行したため、不溶成分の含有率が多かった。また、膜表面の高分子の運動性が低下したため、アルブミンふるい係数の維持率が低くなったと考えられる。また、泡抜け性も含水率が低いものに比べて悪かった。
Figure 0006547518
11 筒状のケース
13 中空糸膜
14A ヘッダー
14B ヘッダー
15A 中空糸膜内側入口
15B 中空糸膜内側出口
16A 中空糸膜外側ノズル(処理液注入口)
16B 中空糸膜外側ノズル(処理液排出口)
17 ポッティング剤
21 カンチレバーが機能層表面に接触する前の領域
22 カンチレバーが機能層表面に接触した後に現れた、フォースカーブが湾曲した非線形の領域
23 カンチレバーが表面に接触した後に現れた、フォースカーブが線形的な直線の相関となった領域
24 柔軟層の厚さ
31 基準線
32 透析装置
33 中空糸膜モジュール
34 Biポンプ
35 Fポンプ
36 廃棄用容器
37 循環用ビーカー
38 Bi回路
39 Bo回路
40 Di回路
41 Do回路
42 ろ液循環回路
43 温水槽
44 Do回路チャンバー
45 Di回路チャンバー
46 Bi回路チャンバー
47 Bo回路チャンバー

Claims (7)

  1. 中空糸膜がケースに内蔵された中空糸膜モジュールであって、
    該中空糸膜が、ポリスルホン系高分子と親水性高分子と親水性基を含有する共重合ポリマーとを含み、前記親水性基を含有する共重合ポリマーがエステル基を有し、
    次の(A)〜(E)の要件を満たす、中空糸膜モジュール。
    (A)N,N−ジメチルアセトアミドに溶解した時の不溶成分が前記中空糸膜全体質量の3質量%未満である
    (B)湿潤状態において機能層表面に柔軟層が存在し、前記柔軟層の厚みが7nm以上である
    (C)前記中空糸膜内表面の流路に、37℃に加温した超純水を4時間、200mL/minで循環して得られる液体に含まれる溶出物量が、1.0mg/m 以下である
    (D)前記中空糸膜の機能層表面にエステル基が存在し、前記エステル基が、前記親水性基を含有する共重合ポリマーに由来する
    (E)前記中空糸膜の長手方向における端面近傍および中央部付近の機能層表面での、1730cm −1 付近のエステル基C=O由来の赤外吸収ピーク強度(A CO )の1580cm −1 付近のポリスルホン系ポリマーのベンゼン環C=C由来の赤外吸収ピーク強度(A CC )に対する比(A COO )/(A CC )の平均値が0.02以上、0.5以下である
  2. 前記中空糸膜の含水率が10質量%以下である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
  3. X線電子分光法による測定において、
    前記中空糸膜の機能層表面における炭素由来の全ピーク面積を100(原子数%)としたときに、前記機能層表面におけるエステル基由来の炭素ピークの面積百分率が1〜10(原子数%)である、
    請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記親水性基を含有する共重合ポリマーが、ケン化度が99%未満のポリビニルアルコール、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルカプロラクタム共重合ポリマー、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合ポリマー、から選ばれる少なくとも1種を含んでいる、請求項1〜のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の中空糸膜モジュールを製造する方法であって、
    ポリスルホン系ポリマーと親水性ポリマーとを含む中空糸膜を洗浄液により洗浄した後、モジュールへの内蔵及び放射線照射を行って得られる製造方法であり、
    前記洗浄に用いる洗浄液には前記親水性基を含有する共重合ポリマーが含まれ、
    前記親水性基を含有する共重合ポリマーの前記ポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数は、中空糸膜を構成する前記親水性ポリマーの前記ポリスルホン系ポリマーに対する吸着平衡定数よりも高く、
    かつ、前記放射線照射後の中空糸膜をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した時の不溶成分が該中空糸膜全体質量の3質量%未満である、中空糸膜モジュールの製造方法。
  6. 前記中空糸膜の放射線照射時の含水率が10質量%以下である、請求項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  7. 前記親水性基を含有する共重合ポリマーが親水性ユニットと疎水性ユニットとの共重合体からなる、請求項5または6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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