JP2009200532A - 電気部品保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】保持爪により電気部品を保持して搬送する電気部品保持装置において、保持爪を電気部品に合わせて容易に交換し得るようにする。
【解決手段】チャック本体としての取付部材366に、2つの可動子374,376を備えたリニアモータ370を取り付け、各可動子374,376にそれぞれ保持爪398,399を取付装置により着脱可能に取り付けて、リニアモータチャック362を構成する。そのチャック362に電気部品480を保持させ、昇降装置とXY移動装置とにより水平なXY平面内の任意の位置へ移動させるとともに、鉛直方向に昇降させる。XY移動装置の下方に爪収容装置を設け、その爪収容装置とチャック362との間において、保持すべき電気部品に合わせて、自動で保持爪398,399の交換を行わせる。
【選択図】図11

Description

本発明は、ホルダに着脱可能に保持された保持具により電気部品を保持する電気部品保持装置に関するものである。
電気部品保持装置は、ホルダと、そのホルダに着脱可能に保持される保持具とを含むように構成されることが多く、電気部品装着システムの装着装置の可動部材に取り付けられ、電気部品を負圧によって吸着し、あるいは保持爪によって保持し、その電気部品を可動部材の移動に伴って搬送する。保持具をホルダに対して容易に着脱し得るようにするために、弾性係合部材が用いられる場合がある。弾性係合部材は、保持具とホルダとの両方に係合して保持具のホルダからの離脱を防止する離脱防止状態と、その離脱防止状態から弾性変形により離脱許容状態に移行することが可能なものとされる。弾性係合部材は、ホルダと保持具とを、保持具の着脱方向に設定値以上の力で相対移動させれば、弾性変形して保持具のホルダに対する着脱を許容するため、保持具を容易にホルダに着脱することができる。
しかし、近年、電気部品の装着作業の能率を上げるために装着装置の作動速度が上昇させられ、それに伴ってホルダの移動開始時の加速度、停止時の減速度(負の加速度)も大きくなり、保持具が離脱する可能性が出てきた。保持具には、加速度(負の加速度を含む)の絶対値と保持具の質量との積に相当する慣性力が作用するため、加速度の絶対値が大きくなれば慣性力も大きくなり、弾性係合部材による保持具のホルダからの離脱防止力に打ち勝つに到り、保持具が離脱してしまうのである。弾性係合部材には、使用回数あるいは弾性変形状態の継続時間の増加に伴って塑性変形量が増加するへたりと称される現象が生じることがあり、その場合には、特に保持具が離脱し易くなる。また、保持具またはホルダの係合部と弾性部材の係合部との少なくとも一方が摩耗することによって、保持具が離脱し易くなる場合もある。
以上は、電気部品装着装置用の電気部品保持装置について説明したが、電気部品保持装置はそれ以外にも、電気部品を搬送する必要のある種々の装置に設けられ、その場合でも同様の問題がある。
電気部品保持装置における保持具には、負圧により電気部品を吸着して保持する吸着ノズルや、互に共同して電気部品を保持する複数の保持爪がある。本発明は、複数の保持爪を備えたチャックを含む電気部品保持装置の使い勝手を向上させることを課題として為されたものである。
本発明によって、(A)(a)チャック本体と、(b)そのチャック本体に互に接近離間可能に保持された複数の可動子と、(c)それら複数の可動子を互に接近,離間させる駆動装置と、(d)前記複数の可動子の各々に取付装置によりそれぞれ着脱可能に取り付けられ、互に共同して電気部品を保持する複数の保持爪とを含むチャックと、(B)複数の保持爪を収容可能な爪収容装置とを含み、かつ、前記チャックと前記爪収容装置との間で、チャックの複数の保持爪と爪収容装置に収容されている複数の保持爪とが、保持すべき電気部品に合わせて自動で交換されることを特徴とする電気部品保持装置が得られる。
このように、電気部品保持装置のチャックの保持爪を自動交換可能とすれば、電気部品保持装置の使い勝手が向上する。種類の違いにより、形状や寸法の異なる電気部品を保持させることが容易になるのである。
その上、保持爪を可動子に取り付ける取付装置を、チャックの移動開始時の加速度、停止時の減速度が大きくても、保持爪が脱落する恐れのない構造のものとすれば、チャックの移動を迅速に行うことが可能となり、作業能率の向上効果が得られる。
発明の態様
本発明によって、さらに、下記各態様の電気部品保持装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
(1)ホルダに着脱可能に保持された保持具により電気部品を保持する電気部品保持装置であって、
前記保持具に設けられた係合部と、
前記ホルダに移動可能に保持された実質的な剛体であって、前記係合部に係合することにより、前記保持具をホルダにロックするロック部材と、
操作部材と弾性部材とを備え、弾性部材の弾性力に基づいて前記ロック部材を前記保持具の前記係合部に係合した状態に保つロック状態維持装置と
を含み、かつ、ロック状態維持装置が、前記保持具にその保持具を前記ホルダから離脱させる向きの力が作用しても、その力がロック部材に前記弾性部材の弾性変形を増させる向きの力を作用させることがない一方、前記操作部材に操作力が加えられれば、前記ロック部材が前記弾性部材の弾性変形を増させつつ前記係合部から離脱し、前記保持具のロック状態を解除するものである電気部品保持装置。
ロック状態維持装置の操作部材に操作力が加えられて保持具のロック状態が解除されなければ、ロック部材の係合部からの離脱が許容されることはなく、ホルダが絶対値の大きな加速度で移動を開始し、あるいは停止させられても、保持具が離脱することを確実に防止することができる。また、弾性部材の弾性力に基づいて前記ロック部材を前記保持具の前記係合部に係合した状態に保ち、操作部材に弾性部材の弾性力に打ち勝つ力が加えられた場合に、ロック部材が係合部から離脱して保持具の取り外しが可能になる。保持具の着脱方向に力が作用しても、その力がロック部材に弾性部材の弾性変形を増させる向きの力、すなわちロック部材を係合部から離脱させる向きの力を作用させることはなく、ロック状態の維持を信頼性高く、かつ、安価な構成で行うことができる。
(2)前記保持具が、負圧により電気部品を吸着して保持する吸着ノズルを含む(1) 項に記載の電気部品保持装置。
(3)前記保持具が、互に共同して電気部品を保持する複数の保持爪を含む(1) 項に記載の電気部品保持装置。
複数の保持爪が各々ホルダに着脱可能に保持されるものであっても、複数の保持爪を作動可能に保持する爪保持部材がホルダに着脱可能に保持されるものであってもよい。
(4)前記ホルダが前記保持具と嵌合する嵌合穴を備えた円筒状部を備え、前記保持具が前記嵌合穴と嵌合する嵌合軸部に前記係合部としての係合凹部を備え、前記ロック部材が、前記円筒状部を半径方向に貫通して形成された貫通穴にその貫通穴の軸方向に移動可能かつ半径方向に実質的に移動不能に保持され、両端部が貫通穴の両端開口から同時に突出可能な寸法を有するものであり、前記ロック状態維持装置が、(a) 前記円筒状部の外周に摺動可能に嵌合され、前記貫通穴に対応する作用位置において前記ロック部材を前記保持具の前記係合凹部と係合した状態に保ち、前記作用位置から退避位置へ退避した状態では、ロック部材の係合部からの離脱を許容するスリーブと、(b) そのスリーブを前記作用位置に向かって付勢する前記弾性部材と、(c) 前記スリーブを弾性部材の弾性力に抗して退避位置へ移動させるための操作力が加えられる前記操作部材とを含む(1) ないし(3) 項のいずれか一つに記載の電気部品保持装置。
スリーブは、弾性部材の弾性力に打ち勝つ力が加えられた場合に退避位置へ移動し、保持具の取り外しが可能になる。スリーブは、ホルダの軸方向と周方向との両方の成分を含む方向に移動可能とすることも可能であるが、通常は軸方向と周方向とのいずれか一方にのみ移動可能とすればよく、そのようにすれば、スリーブをホルダに取り付けるための取付装置の構成が単純で済む。スリーブをホルダの外周面に軸方向に摺動可能に嵌合する態様は、スリーブをホルダの軸方向の成分を含む方向に相対移動可能とする態様の代表的な態様の一つであり、横断面形状が円形のスリーブをホルダの外周面に回転可能に嵌合する態様は、スリーブをホルダの周方向の成分を含む方向に相対移動可能とする態様の代表的な態様の一つである。スリーブの退避位置への移動は作業者により行われるようにしても、操作装置により行われるようにしてもよい。後者の場合には、操作装置が電気部品保持装置に設けられても、電気部品保持装置とは別の装置に設けられてもよい。
(5)前記ロック部材が前記貫通穴の長さより大きな直径を有するボールである(4) 項に記載の電気部品保持装置。
ロック部材は貫通穴に摺動可能に嵌合されるロックピンとすることも可能であるが、ボールとする方が作動が安定する。また、市販の鋼球等市販品の使用が容易となる。
(6)前記操作部材が前記スリーブと一体的に構成された(4) 項または(5) 項に記載の電気部品保持装置。
(7)前記ホルダが前記保持具と嵌合する嵌合穴を備え、前記保持具が前記嵌合穴と嵌合する嵌合軸部に前記係合部としての係合凹部を備え、前記ロック部材が、前記ホルダに前記嵌合穴と一部が干渉し合う状態で立体交差して形成された保持穴に軸方向に摺動可能に保持され、作用位置においては前記嵌合軸部の前記係合凹部と係合し、その作用位置から退避位置へ退避した状態では係合凹部と非係合状態となって前記嵌合軸部の前記嵌合穴からの離脱を許容するロックバーであり、前記ロック状態維持装置が、(a) そのロックバーを前記作用位置に向かって付勢する前記弾性部材と、(b) 前記ロックバーを前記弾性部材の弾性力に抗して前記退避位置へ移動させるための操作力が加えられる前記操作部材とを含む(1) 項ないし(3) 項のいずれか一つに記載の電気部品保持装置。
本態様は、ロック部材がロックバーである態様であり、ロックバーの作用位置と退避位置とへの移動によって、ロック状態とロック解除状態との切換えを行うことができる。ロックバーを弾性部材の弾性力により作用位置に向かって付勢することにより、ロック状態の維持を信頼性高く、かつ、安価な構成で行うことができる。ロックバーの退避位置への移動は作業者により行われるようにしても、操作装置により行われるようにしてもよい。
(8)前記ロックバーが横断面形状が円形のロックピンである(7) 項に記載の電気部品保持装置。
(9)前記操作部材が前記ロックバーと一体的に構成された(7) 項または(8) 項に記載の電気部品保持装置。
操作部材はロックバーと一体に構成されても、別部材として製作された後固定されて一体的とされてもよい。
(10)前記ホルダと前記保持具とが互いに嵌合する嵌合穴と嵌合軸部との一方と他方とをそれぞれ備え、前記ロック部材が、それら嵌合穴と嵌合軸部との軸線と直交する回動軸線のまわりに回動可能に前記ホルダに保持され、前記保持具の前記係合部と係合して保持具のホルダからの離脱を防止する作用位置とその作用位置から退避して前記係合部から離脱する退避位置とに回動可能なロックレバーであり、前記ロック状態維持装置が、(a) そのロックレバーを前記作用位置に向かって付勢する前記弾性部材と、(b) 前記ロックレバーを前記弾性部材の弾性力に抗して前記退避位置へ移動させるための操作力が加えられる前記操作部材とを含む(1) 項ないし(3) 項のいずれか一つに記載の電気部品保持装置。
本態様は、ロック部材がロックレバーである態様であり、ロックレバーは回動軸線まわりの回動により、作用位置と退避位置とに移動させられ、安価な構成で、かつ、信頼性高いロック状態を実現できる。ロックレバーの退避位置への移動は作業者によって行われるようにしても、操作装置により行われるようにしてもよい。
(11)前記操作部材が前記ロックレバーと一体的に構成された(10)項に記載の電気部品保持装置。
操作部材はロックレバーと一体に構成されても、別部材として製作された後固定されて一体的とされてもよい。
(12)前記嵌合穴がテーパ内周面を有するテーパ穴であり、前記嵌合軸部が前記テーパ内周面と嵌合するテーパ外周面を有するテーパ軸部である(4) 項ないし(11)項のいずれか一つに記載の電気部品保持装置。
嵌合穴をテーパ穴とし、嵌合軸部をテーパ軸部として両者をテーパ嵌合させれば、ホルダと保持具とを高い同心度で嵌合させることができる。
(13)チャック本体と、
そのチャック本体に互に接近離間可能に保持された一対の可動子と、
それら一対の可動子の各々にそれぞれ保持され、互に共同して電気部品を保持する一対の保持爪と、
各保持爪を各可動子に取り付ける取付装置と
前記一対の可動子を互に接近,離間させる駆動装置と
を含み、かつ、前記取付装置が、(a) 前記可動子と前記保持爪との一方と他方とにそれぞれ設けられて互いに嵌合する嵌合凹部および嵌合突部と、(b) 常には前記嵌合凹部と前記嵌合突部との離脱を防止するロック状態にあり、一対の可動子が通常の接近限度と離間限度との少なくとも一方を超えて移動する特別移動に基づいて前記ロック状態が解除されるロック装置とを含む電気部品保持装置。
本項によれば、一対の可動子の接近あるいは離間を利用して、嵌合凹部と前記嵌合突部との離脱を防止するロック状態を解除することができる。一対の可動子を互に接近,離間させる駆動装置を、ロック状態を解除するための駆動装置として利用することができるのであり、その分、電気部品保持装置の構成を単純化し、コスト低減を図ることができる。
(14)前記ホルダが嵌合穴を備えた部分を前記嵌合凹部として備え、前記保持具が前記嵌合穴と嵌合する嵌合軸部を前記嵌合突部として備え、前記ロック装置が、
前記嵌合軸部に設けられた係合凹部と、
前記ホルダに前記嵌合穴と一部が干渉し合う状態で立体交差して形成された保持穴と、
その保持穴に軸方向に摺動可能に保持され、作用位置においては前記嵌合軸部の前記係合凹部と係合して前記嵌合軸部の前記嵌合穴からの離脱を阻止し、前記作用位置から退避位置へ退避した状態では係合凹部と非係合状態となって前記嵌合軸部の前記嵌合穴からの離脱を許容するロックバーと、
そのロックバーを前記作用位置に向かって付勢する弾性部材と、
前記一対の可動子が前記特別移動を行う際に前記ロックバーに作用してそのロックバーを前記弾性部材の弾性力に抗して前記退避位置へ移動させる作用部材とを含む(13)項に記載の電気部品保持装置。
本項によれば、ロック装置を安価に構成できる。弾性部材の弾性力によりロックバーを作用位置に向かって付勢すれば、ロック状態を信頼性高く維持できる。(15)前記作用部材が、前記一対の可動子が通常の接近限度を超えて接近する特別接近運動に基づいて前記ロックバーに作用するものである(14)項に記載の電気部品保持装置。
(16)前記作用部材が、その作用部材が作用すべきロックバーを保持した可動子とは別の可動子と一体的に構成された(15)項に記載の電気部品保持装置。
一対の可動子が、特別接近運動により接近限度を超えて接近させられれば、一方の可動子に保持されたロックバーが他方の可動子と一体的に構成された作用部材によって退避位置に移動させられるとともに、他方の可動子に保持されたロックバーが一方の可動子と一体的に構成された作用部材によって退避位置に移動させられる。ロックバーの退避位置への移動を単純な構成でかつ容易に行うことができる。
本発明の一実施形態である電気部品保持装置を含む電気部品搬送装着装置を備える電気部品装着システムを概略的に示す平面図である。 上記電気部品搬送装着装置の周辺を示す正面断面図である。 上記電気部品搬送装着装置の電気部品保持装置を示す正面断面図である。 前記電気部品装着システムを制御する制御装置のうち本発明に関連の深い部分を示すブロック図である。 前記電気部品保持装置を構成する保持具の交換のためにロック部材が退避位置に移動させられた状態を示す正面断面図である。 前記電気部品保持装置を構成するホルダから保持具が離脱させられている状態を示す正面断面図である。 上記保持具を交換するための保持具交換装置であって、離脱防止板が作用位置にある状態を示す正面図である。 上記保持具交換装置であって、離脱防止板が退避位置にある状態を示す正面図である。 本発明の別の実施形態である電気部品保持装置を含む部品装着装置を備える電気部品装着システムを概略的に示す平面図である。 上記電気部品装着システムにおける電気部品保持装置の周辺を示す側面図である。 上記電気部品装着システムにおける電気部品保持装置の周辺を示す正面図である。 上記電気部品保持装置の正面図(一部断面)である。 上記電気部品保持装置の平面断面図である。 上記電気部品保持装置の側面図(一部断面)である。 前記電気部品装着システムの制御装置のうち本発明と関係が深い部分のみを取り出して示すブロック図である。 前記電気部品保持装置のロック部材が退避位置にある状態を示す正面図(一部断面)である。 上記電気部品保持装置の平面断面図である。 上記電気部品保持装置の側面図(一部断面)である。 本発明の別の実施形態である電気部品保持装置を示す平面図(一部断面)である。 上記電気部品保持装置の平面図である。 図20のP−P断面図である。 図20のQ−Q断面図である。
以下、本発明の実施形態である電気部品保持装置を備える電気部品装着システムを図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本電気部品装着システムのベース10上には、配線板搬送装置12,2個ずつの電気部品供給装置14,15および電気部品搬送装着装置16,17が設けられている。配線板搬送装置12は、本発明とは直接関連がないため簡単に説明するが、2つのメインコンベヤ18,19と、1つずつの搬入コンベヤ20および搬出コンベヤ22とを備えている。メインコンベヤ18,19はそれぞれ、回路基材たるプリント配線板24を位置決め支持する配線板位置決め支持装置を備えており、プリント配線板24の搬送方向(配線板搬送方向は図1において左右方向であり、配線板搬送方向をX軸方向とする)と水平面内において直角な方向(Y軸方向とする)に並んで配設されている。搬入コンベヤ20は、メインコンベヤ18あるいは19にプリント配線板24を搬入し、搬出コンベヤ22は、メインコンベヤ18あるいは19から、電気部品の装着が済んだ電気回路たるプリント回路板を受け取る。
電気部品供給装置14,15はそれぞれ、フィーダ支持台上に着脱可能に固定された複数の電気部品フィーダ26(以下、フィーダ26と略称する)を備えている。複数のフィーダ26は、電気部品を供給する各部品供給部がX軸方向に平行な一直線上に並ぶ状態でフィーダ支持台上に固定されている。フィーダ26は、例えば、複数の電気部品を等間隔に保持させられたテープを送ることにより電気部品を部品供給部に送るものでもよく、あるいは、ケーシング内に収容された電気部品を振動,傾斜,空気流,コンベアベルト等あるいはそれらの組み合わせにより一列に並べて部品供給部へ送り、1個ずつ供給するもの等、種々の形態を採用可能である。部品供給部は、電気部品搬送装着装置16,17が電気部品を取り出す部品取出部でもある。
電気部品搬送装着装置16,17は、電気部品供給装置14,15から取り出した対象物としての電気部品28を搬送し、メインコンベヤ18あるいは19に位置決め支持されたプリント配線板24に装着する。電気部品搬送装着装置16,17はそれぞれ、装着ヘッド30,31と、X軸スライド32,33およびY軸スライド34,35を備えて装着ヘッド30,31を水平面内の任意の位置へ移動させるXYロボット36,37とを有している。これら装着ヘッド30,31およびXYロボット36,37は同様に構成されており、装着ヘッド30およびXYロボット36を代表的に説明する。Y軸スライド34はベース10上にY軸方向に移動可能に設けられ、X軸スライド32はY軸スライド34上にX軸方向に移動可能に設けられている。Y軸スライド34は、サーボモータ38(図4参照)を駆動源とし、サーボモータ38の回転を直線運動に変換してY軸スライド34に伝達する運動変換装置を含むY軸スライド移動装置によりY軸方向に移動させられる。X軸スライド32も同様に、サーボモータ42(図4参照)を駆動源とし、運動変換装置を含むX軸スライド移動装置によりX軸方向に移動させられる。
装着ヘッド30は、図2に示すように、X軸スライド32に垂直軸線まわりに間欠回転可能に取り付けられた回転体50を有している。回転体50は、サーボモータ52(図4参照)を駆動源とする回転駆動装置により、正逆両方向に任意の角度回転させられる。サーボモータ52および前記サーボモータ38,42は、電動モータの一種である電動回転モータであって、回転角度および回転速度の精度の良い制御が可能なモータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。
回転体50には、複数個の保持軸53が等角度間隔に設けられ、保持軸53の回転体50から突出した各下部に、電気部品28を吸着保持する吸着ノズル54(図3参照)が保持されている。これら保持軸53はそれぞれ、回転体50に、回転体50の回転軸線に平行な方向に移動可能かつ自身の軸線まわりに回転可能に嵌合されており、回転体50の回転時に保持軸53が回転体50の回転軸線を中心として旋回させられる。複数の保持軸53は、回転体50が保持軸53の配設角度間隔に等しい角度間欠回転させられることにより、部品吸着装着位置,撮像位置を含む複数の停止位置に順次停止させられる。部品吸着装着位置は、電気部品供給装置14,15からの電気部品28の取出しと、プリント配線板24への装着とを行う位置である。保持軸53はまた、回転体50の回転軸線に平行な方向に移動可能に設けられるとともにカムフォロワ56が設けられ、回転体50を回転可能に支持するX軸スライド32に設けられた固定カム58のカム面60に追従するようにされている。保持軸53は、回転体50との間に設けられた付勢装置の一種である弾性部材であって、ばね部材たる圧縮コイルスプリング61により上方へ付勢され、カムフォロワ56がカム面60に接触させられている。このカム面60は、回転体50の回転軸線を中心とする円環状であって、回転軸線と直角に設けられるとともに、周方向において高さが変化する部分を有する。そのため、回転体50の回転により、保持軸53がカム面60の高さが変化する部分に沿って移動するとき、保持軸53は回転体50の回転軸線に平行な方向に移動させられるのであり、カム面60の最も低い部分に対応する位置が部品吸着装着位置とされ、カム面60の最も高い部分に対応する位置が撮像位置とされている。
X軸スライド32の上記部品吸着装着位置に対応する位置には、昇降装置62(図4参照)が設けられ、保持軸53が昇降させられる。昇降装置62は、例えば、特開平11−220294号公報に記載のように、駆動源としてのサーボモータ等の駆動モータと、駆動モータの駆動により昇降させられ、カムフォロワ56と係合させられる移動部材とを備えるものとすることができる。移動部材は、移動部材に設けられた昇降駆動部の下面が、固定カム58のカム面60と連続し、固定カム58の一部を構成する上昇位置と、カム面60より下方に位置する下降位置との間で昇降させられる。保持軸53が回転体50の回転により部品吸着装着位置に至り、カムフォロワ56が上記昇降駆動部の下面に係合した状態で移動部材が下降させられることにより、保持軸53および吸着ノズル54が下降させられる。移動部材が上昇させられれば、保持軸53は圧縮コイルスプリング61の付勢力により上昇させられる。あるいは、各保持軸53を個別に昇降させる昇降装置をそれぞれ設けてもよい。この昇降装置は、特開平11−214897号公報に記載のように、流体圧シリンダを含むものとすることができる。また、X軸スライド32および保持軸53には、保持軸53を自身の軸線まわりに回転させて、吸着ノズル54により保持された電気部品28の回転位置誤差を修正し、あるいは回転位置を変更する回転装置が設けられているが、説明は省略する。
吸着ノズル54は負圧により電気部品28を吸着するものであり、保持軸53内に設けられた通路66,回転体50に設けられた圧力切換弁68に接続されており、圧力切換弁68は回転体50内に設けられた通路(図示省略)等を介して図示しない負圧供給装置に接続されている。圧力切換弁68は、後述する制御装置の制御により、吸着ノズル54内の通路の圧力を大気圧以上の圧力から負圧に切り換え、吸着ノズル54の吸着面70に電気部品28を吸着させる負圧供給状態と、吸着ノズル54の通路内の圧力を負圧から大気圧以上の圧力に切り換え、吸着ノズル54に電気部品28を解放させる解放状態とに切り換えられる。なお、回転体50内に設けられた通路は、回転体50が回転しても、X軸スライド32側に設けられて負圧供給装置に連通させられた通路との連通が保たれるようにされている。
吸着ノズル54は、図3に示すように、アダプタ80を介して保持軸53に取り付けられている。アダプタ80は、保持軸53の下端部に設けられたノズル保持部82に形成された嵌合穴84に軸方向に相対移動可能に嵌合されている。アダプタ80は、付勢装置の一種である弾性部材であって、ばね部材たる圧縮コイルスプリング86により、ノズル保持部82から下方へ突出する向きに付勢されている。ノズル保持部82には、概して逆Jの字形をなす係合溝87が形成されており、この係合溝87はノズル保持部82の下端面から上方に延び、周方向に曲がった後、一定量下方へ延びている。一方、アダプタ80には、外周面から外向きに突出する係合ピン88が一体的に設けられている。アダプタ80が保持軸53に保持させられる際には、係合ピン88が係合溝87の下端開口側から進入させられて上昇させられ、一定角度回動させられた後、下降させられ、係合溝87の奥の端に係合させられることにより、アダプタ80のノズル保持部82からの突出限度が規定され、かつ、相対回転が防止された状態となる。
アダプタ80のノズル保持部82から下方に突出した先端部である下端部には、テーパ穴90が形成されてほぼ円筒状をなす円筒状部92とされている。テーパ穴90は、下端面に開口し、下端面に近づくにつれて直径が大きくなるテーパ内周面89を有している。円筒状部92には、半径方向に貫通する貫通穴94が、軸方向に関しては同位置であって、周方向に等角度間隔に隔たった3箇所に形成されている。各貫通穴94にはそれぞれ、貫通穴94の軸方向に移動可能かつ貫通穴94の半径方向に実質的に移動不能にボール96が保持されている。ボール96は、貫通穴94の軸方向長さより大きい直径を有する。貫通穴94の内周側開口縁の一部には、貫通穴94の半径方向内向きに突出する突出部98が形成され、ボール96の貫通穴94の内周側開口からの脱落が防止されている。
アダプタ80の円筒状部92の外周面には、概して円筒状をなすスリーブ100が軸方向に摺動可能に嵌合されている。スリーブ100は、付勢装置の一種である弾性部材であって、ばね部材たる圧縮コイルスプリング104によって下方に向かって付勢されている。圧縮コイルスプリング104は、その一端が保持軸53に固定の受部材105の受面106によって受けられ、その他端が、スリーブ100と一体に構成され、他の部分より外周側へ突出するフランジ状の操作部108の上面である受面110によって受けられている。スリーブ100には、半径方向内向きに突出する係合ピン112が固定され、係合ピン112がアダプタ80の円筒状部92の外周面に形成された係合溝114と係合させられている。係合溝114は、貫通穴94とは干渉しない位置において、円筒状部92の上端から軸方向に下方へ延びる状態で形成された行き止まりの溝であり、係合ピン112と係合溝114との係合によってスリーブ100がアダプタ80に実質的に相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能に保持され、係合ピン112が係合溝114の下端に係合することにより、スリーブ100の下降端位置が規定されている。これら係合部としての係合ピン112と被係合部としての係合溝114とが相対回転阻止装置として機能するとともに、スリーブ100の圧縮コイルスプリング104の付勢方向の移動限度を規定するストッパ装置としても機能する。
スリーブ100の内周面118は、アダプタ80の円筒状部92の外周面の直径より僅かに大きい直径を有し、その内周面の操作部108側の端部であって、前記ボール96の保持された貫通穴94に対応し、周方向に等角度間隔に隔たった3箇所に、軸方向に延びる切欠120が形成されている。切欠120の上端部は深さが徐々に減少させられて案内面122が形成されている。スリーブ100の内周面118が貫通穴94の外周側の開口を覆う作用位置にある状態では、ボール96は内周面118により外周側への移動が規制されることにより外周側開口からの突出が阻止されるとともに、貫通穴94の内周側開口から内周側に突出させられる。一方、スリーブ100の切欠120が貫通穴94の外周側開口に対向させられる退避位置にある状態では、ボール96は、切欠120への嵌入によって外周側への一定範囲の移動が許容される。スリーブ100が退避位置にある状態でのボール96の外周側の移動限度は、切欠120の底面との当接により規定される。圧縮コイルスプリング104の付勢力により、スリーブ100は常には上記作用位置にある状態に保たれる。
吸着ノズル54は、負圧により電気部品28を吸着するものであり、内部に通路130を有し、通路130は一端が通路66を介して負圧供給装置に接続されるとともに、他端がノズル部132の先端の吸着面134に開口している。吸着ノズル54は、ノズル部132と嵌合部136とを備える。嵌合部136は、ノズル部132に近づくにつれて直径が大きくなるテーパ外周面138を有するテーパ軸部とされ、アダプタ80の嵌合穴たるテーパ穴90にテーパ嵌合される。テーパ外周面138の吸着ノズル54の軸方向におけるほぼ中間部には、円環状の係合溝140が周方向に形成されている。
アダプタ80に吸着ノズル54を取り付ける際には、スリーブ100が退避位置にある状態でテーパ状の嵌合部136がテーパ穴90に嵌合された後、スリーブ100が作用位置に移動させられることにより、ボール96がスリーブ100の案内面122の作用で内周側へ押され、一部が貫通穴94の内周側開口から内周側に突出させられる。ボール96のその突出部が嵌合部136に形成された円環状の係合溝140に係合して吸着ノズル54を保持する。アダプタ80における貫通穴94の形成位置は、嵌合部136がテーパ穴90に嵌合された状態で、ボール96の球心に対して、弓形断面の係合溝140の幅方向の中心が下方へずれた状態となる位置とされており、ボール96は係合溝140の上側の縁に係合して嵌合部136をテーパ穴90内に引き込む。ボール96の外周側への移動は、スリーブ100の内周面118により規制される。それにより吸着ノズル54がアダプタ80にロックされ、吸着ノズル54に、アダプタ80から離脱させる向きの力が作用しても、その力がボール96に圧縮コイルスプリング104の弾性変形を増させる向きの力を作用させることがない。
圧縮コイルスプリング104の付勢力に抗してスリーブ100が作用位置から退避位置に移動させられれば、スリーブ100の切欠120がボール96に対向してボール96の吸着ノズル54の係合溝140からの離脱が許容され、ボール96と係合溝140との係合によるロック状態が解除された状態となる。この状態で、吸着ノズル54にアダプタ80から抜き出す方向に力を加えることにより、吸着ノズル54をアダプタ80から取り外すことができる。
吸着ノズル54の嵌合部136のテーパ外周面138の係合溝140よりノズル部132側には、軸方向に延びる係合溝144が形成されている。アダプタ80の円筒状部92の周方向において係合溝144に対応する位置には、係合ピン146が内周側に突出する状態で固定され、係合ピン146の先端部が係合溝144の長手方向には相対移動可能かつ長手方向と直交する幅方向には実質的に移動不能に係合することにより、吸着ノズル54とアダプタ80との相対回転が防止される。これら係合溝144と係合ピン146とが相対回転防止装置を構成している。吸着ノズル54の嵌合部136とノズル部132との間には、半径方向外向きに突出する背景形成部150が一体的に設けられている。背景形成部150は、そのノズル部132側の面である下面が、光を反射する反射面とされてもよいし、紫外線を吸収して可視光線を放射する蛍光面とされてもよいし、黒色等の暗色の層が形成されてもよい。それぞれの場合において、ノズル部132のテーパ外周面も背景形成部150の下面と同じ種類の面とされ、ノズル部132に吸着された電気部品の撮像時に、背景形成部150と共同して明るい背景あるいは暗い背景を形成する。背景形成部150の周方向の一部には、本実施形態においては半径方向に延びるU字形の係合凹部152が形成されている。
電気部品装着システムの吸着ノズル54の交換位置には、図5ないし図8に示すように、保持具交換装置としての吸着ノズル交換装置160が設けられている。吸着ノズル交換装置160は、特開平11−220294号公報に記載のものと同様の構成を有するものを採用可能であり、以下に簡単に説明する。吸着ノズル交換装置160は、保持具保持部材たるノズル保持部材162と離脱防止部材たる離脱防止板164とを備えている。ノズル保持部材162には、図示は省略するが、複数種類の吸着ノズル54が収納されている。ノズル保持部材162は、矩形の板状をなし、複数のノズル保持穴166が形成されている。これらノズル保持穴166はそれぞれ段付穴であり、吸着ノズル54が嵌合されている。ノズル保持穴166の小径穴部168の直径は、最も直径の大きいノズル部132が嵌合可能な大きさとされ、大径穴部170の直径は、背景形成部150の直径よりも僅かに大きくされている。ノズル保持部材162の大径穴部170と小径穴部168との間に形成される肩面171には、回転防止部材としての回転防止ピン172が立設されている。回転防止ピン172の突出長さは、大径穴部170の深さよりやや小さくされている。
離脱防止板164は、ノズル保持穴166を覆う矩形の板状をなし、複数の円形穴部174と、隣接する円形穴部174をその長手方向につなぐつなぎ部176とを有する。円形穴部174はそれぞれ、ノズル保持穴166の大径穴部170より僅かに大きい直径を有し、ノズル保持穴166のノズル保持部材162の長手方向および長手方向に直角な幅方向における形成ピッチと等しいピッチで形成されている。つなぎ部176は、背景形成部150の直径より小さい幅(離脱防止板164の板面に平行な平面内において離脱防止板164の幅方向の寸法)を有し、離脱防止板164の複数のつなぎ部176をそれぞれ画定する一対ずつの突部が離脱防止部178を構成している。各対の2個の離脱防止部178は、離脱防止板164の幅方向に距離を隔てて対向して設けられている。
離脱防止板164は、離脱防止板移動装置180(図4参照)により、ノズル保持部材162に対して長手方向に相対移動させられ、離脱防止部178がノズル保持穴166上に位置し、吸着ノズル54のノズル保持部材162からの離脱を防止する作用位置(図7参照)と、円形穴部174とノズル保持穴166との位置がほぼ一致して吸着ノズル54のノズル保持部材162からの離脱を許容する退避位置(図8参照)とに移動させられる。離脱防止板移動装置180は、例えば流体圧シリンダの一種であるエアシリンダを含むものとすることができる。あるいは、駆動モータを含むものとしてもよい。
離脱防止板164の上側には、複数の駆動部材190が設けられている。駆動部材190は、ノズル保持部材162の長辺に対応する長手方向に細長い板状の部材であり、各駆動部材190が、ノズル保持部材162の長手方向に平行に並ぶ各ノズル保持穴166の列の間に、ノズル保持部材162の短辺に平行な方向である幅方向に等間隔に隙間を隔てた状態で並んで設けられている。駆動部材190は、横断面形状が概してT字形をなす嵌合部191を一体的に備え、嵌合部191がノズル保持部材162の嵌合溝192に嵌合されて幅方向に位置決めされた状態で複数のねじ部材193が締め付けられることによってノズル保持部材162に固定されている。各駆動部材190の幅方向の隙間の大きさは、離脱防止板164の円形穴部174の直径とほぼ等しいか、あるいは、円形穴部174の直径よりやや大きくされている。離脱防止板164には、離脱防止板164の駆動部材190に対する移動を許容するために、長手方向に延び、かつ、嵌合部191のTの字の脚部に相当する部分の幅(長手方向に直角な方向の寸法)より大きい幅を有する係合溝194が形成されている。つまり、離脱防止板164は、ノズル保持部材162と駆動部材190とにより形成される空間内を移動させられることになる。駆動部材190の上面は、平面をなす係合面198とされている。スリーブ100の操作部108の下面は、上記係合面198に係合可能な平面をなす係合面200とされている。
上記配線板搬送装置12,電気部品供給装置14,15および電気部品搬送装着装置16,17等を制御する制御装置220は、図4に示すように、PU(プロセッシングユニット)222,ROM(リードオンリメモリ)224,RAM(ランダムアクセスメモリ)226およびそれらを接続するバス228を有するコンピュータ230を主体とするものである。バス228には入力インタフェース232が接続され、この入力インタフェース232には、装着ヘッド30,31による電気部品28の保持姿勢を撮像する撮像装置234等が接続されている。バス228にはまた、出力インタフェース236が接続され、駆動回路240,241,242,243,244,245を介してサーボモータ38,42,52,昇降装置62,圧力切換弁68,離脱防止板移動装置180等が接続されている。
次に作動を説明する゛2個の電気部品搬送装着装置16,17は、メインコンベヤ18とメインコンベヤ19とのいずれか一方により位置決め支持されたプリント配線板24に交互に電気部品28を装着する。一方のメインコンベヤにおいて位置決め支持されたプリント配線板24について電気部品28の装着が行われている間、他方のメインコンベヤにおいてはプリント配線板24の搬出,搬入および位置決め支持が行われ、搬入されたプリント配線板24は電気部品28の装着に備えてメインコンベヤ上で待機させられる。電気部品搬送装着装置16は電気部品供給装置14から電気部品28を取り出し、電気部品搬送装着装置17は電気部品供給装置15から電気部品28を取り出す。電気部品搬送装着装置16について、電気部品28の取出し,装着を代表的に説明する。
電気部品28の取出し時には、回転体50の間欠回転により、複数の保持軸53が順次部品吸着装着位置に位置決めされるとともに、XYロボット36により、電気部品28を供給するフィーダ26の部品供給部上へ移動させられる。保持軸53が部品吸着装着位置へ到達する時、前記昇降装置62の駆動源が起動され、前記移動部材が下降させられるとともに、保持軸53が下降させられる。吸着ノズル54が電気部品28に接触し、電気部品28の表面を負圧により吸着した後、昇降装置62の移動部材が上昇させられるとともに、保持軸53が圧縮コイルスプリング61の付勢により上昇させられ、吸着ノズル54が電気部品28をフィーダ26から取り出す。電気部品28の取出し後、撮像装置234による撮像に基づいて吸着ノズル54の電気部品保持位置誤差が検出,修正された後、位置決め支持されたプリント配線板24の部品装着位置までに電気部品28を搬送し、装着する。
電気部品28の吸着,装着時に保持軸53が、大きな加速度で上昇を開始し、あるいは、大きな減速度で停止させられることによって、吸着ノズル54にアダプタ80から離脱させる向きの力が作用しても、係合溝140に係合するボール96の外周側への移動はスリーブ100の内周面118により阻止されており、吸着ノズル54の離脱方向の力がスリーブ100に圧縮コイルスプリング104の弾性変形を増させる向きの力を作用させることはなく、吸着ノズル54のロック状態が良好に維持され、吸着ノズル54がアダプタ80から離脱することが確実に防止される。
吸着ノズル54の摩耗,電気部品の種類の変更等により、吸着ノズル54を交換する必要が生じた場合には、装着ヘッド30がノズル交換位置に移動させられる。装着ヘッド30の保持軸53は、吸着ノズル54を戻すべき空のノズル保持穴166の上方に位置決めされた後下降させられ、図5に示すように、スリーブ100の操作部108の係合面200が駆動部材190の係合面198に係合させられる。その位置より保持軸53がさらに下降させられれば、下降を阻止されたスリーブ100に対して、吸着ノズル54が圧縮コイルスプリング104の付勢力に打ち勝って下降させられる。つまり、圧縮コイルスプリング104の付勢力に抗してスリーブ100が作用位置から退避位置に移動させられることになり、スリーブ100の切欠120がボール96に対向してボール96の吸着ノズル54の係合溝140からの離脱が許容された状態となる。
一方、吸着ノズル54がノズル保持穴166の小径穴部168内に嵌入させられる。その時、離脱防止板164は作用位置にあり、背景形成部150は離脱防止板164の小距離上方に位置する。ノズル部132の小径穴部168への嵌入後、離脱防止板164が離脱防止板移動装置180により退避位置へ移動させられ、次いで背景形成部150が大径穴部170に嵌合される。背景形成部150とノズル保持穴166の肩面171とが当接させられて軸方向の挿入限度が規定され、かつ、背景形成部150の係合凹部152と回転防止ピン172とが係合して吸着ノズル54の相対回転が防止された状態で、離脱防止板164が離脱防止板移動装置180によって作用位置へ移動させられる(図5参照)。そして、保持軸53が、アダプタ80に保持されたボール96が吸着ノズル54の係合溝140から離脱するのに十分な位置まで上昇させられる。この時、離脱防止板164の離脱防止部178が背景形成部150に係合することにより、吸着ノズル54がアダプタ80に対して下方へ引っ張られる状態となり、ボール96が係合溝140に係合している場合(図5に二点鎖線で図示)でも、ボール96が外周側へ移動させられて切欠120に嵌入させられ、吸着ノズル54がアダプタ80から離脱する。
アダプタ80への吸着ノズル54の取付けの際には、保持軸53が別の種類あるいは同種類の新しい吸着ノズル54の上方へ移動させられ、吸着ノズル54の離脱時と同様に、アダプタ80が下降させられて上記吸着ノズル54に接近させられ、図6に示すように、スリーブ100の操作部108が駆動部材190の係合面198に係合してスリーブ100が退避位置に位置させられることによりロック状態が解除された状態で、吸着ノズル54の嵌合部136がテーパ穴90に嵌入させられる。この時、図6に二点鎖線で示すように、ボール96の端部が貫通穴94の内周側開口から突出していても、吸着ノズル54の嵌合部136の挿入時にテーパ外周面138によって外周側に押され、切欠120に嵌入させられるため、吸着ノズル54の嵌入が妨げられることはない。また、アダプタ80が圧縮コイルスプリング86によって吸着ノズル54側へ付勢されていることにより、嵌合部136のテーパ外周面138とテーパ穴90のテーパ内周面89とがしまり嵌合させられる。その後、アダプタ80が上昇させられ、スリーブ100の操作部108が駆動部材190から離間させられれば、スリーブ100が圧縮コイルスプリング104の付勢力により再び作用位置に移動させられ、ボール96がスリーブ100の案内面122に押されて係合溝140に係合させられ、さらに、内周面118により外周側への移動を阻止されてロック状態となる。なお、吸着ノズル54の嵌合部136のテーパ穴90への嵌合後、スリーブ100が作用位置に移動させられるまでの僅かの間は、ロック解除状態でアダプタ80が上昇させられることになるのであるが、テーパ外周面138とテーパ内周面89とがしまり嵌合させられているため、吸着ノズル54が脱落することはない。ただし、吸着ノズル54のアダプタ80への嵌合直後あるいはその直前に、通路66に負圧を供給する状態に切り換えるように制御すれば、負圧により確実に吸着ノズル54の脱落を防止できる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、アダプタ80が保持具としての吸着ノズル54を着脱可能に保持するホルダを構成している。あるいは、アダプタ80および保持軸53がホルダを構成していると考えることもできる。また、ボール96が剛体であるロック部材の一形態であり、嵌合軸部としての嵌合部136に設けられた係合部の一種である係合凹部としての係合溝140に係合することにより、吸着ノズル54をアダプタ80(保持軸53)に保持された状態でロックする。操作部材としての操作部108と弾性部材としての圧縮コイルスプリング104とがロック状態維持装置を構成している。
本実施形態によれば、前述のように、前記ロック状態維持装置により吸着ノズル54のアダプタ80からの離脱を確実に防止することができる。また、ロック状態とロック解除状態との切換え(スリーブ100の作用位置,退避位置への移動)を装着ヘッド30,31の昇降運動を利用して行うことができ、吸着ノズル54の交換を迅速にかつ容易に行うことができ、作業能率が向上する。また、スリーブ100を退避位置へ移動させるための専用の装置を設ける必要がなく、装置コストを低減させ得る。
上記XYロボット36,37,サーボモータ52を含む回転駆動装置および昇降装置62が、吸着ノズル54を移動させる移動装置を構成している。移動装置は、これ以外にも、吸着ノズルを保持する保持軸が移動部材に昇降可能に保持され、その移動部材がXYロボット等により水平面内の任意の位置に移動させられる構成としてもよい。この場合、移動部材を昇降させる昇降装置とXYロボットとが移動装置を構成することになる。あるいはまた、電気部品供給装置とプリント配線板を位置決め支持する配線板位置決め支持装置との少なくとも一方が吸着ノズルに対して移動させられる形態とすることも可能である。さらに、電気部品供給装置,電気部品装着装置および配線板コンベヤを1つずつ備える電気部品装着システムに本発明を適用することも可能である。
本発明の別の実施形態について説明する。図9は本発明の別の実施形態である電気部品装着システムの平面図である。本システムは、ベース300上に配設された基材コンベヤ302,部品供給装置304および部品装着装置306を備えている。また、部品供給装置304と基材コンベヤ302との間の位置に、爪収容装置307が設けられている。基材コンベヤ302は、回路基材としてのプリント配線板308を搬送するとともに、予め定められた部品装着位置に位置決めして支持する。基材コンベヤ302が基材支持装置を兼ねているのである。電気部品供給装置304は、それぞれ1種類ずつの電気部品を多数保持し、予め定められた部品供給部から1個ずつ順次供給する図示しない部品フィーダ309を複数個備えている。これら部品フィーダ309は、各々の部品供給部がX軸に平行な直線に沿って並ぶ状態でテーブル310に固定される。図示の例では、テーブル310が2個、それぞれ一対ずつのガイド312に案内されて、部品供給位置と退避位置とに移動可能とされている。
電気部品装着装置306はXY移動装置を備えている。XY移動装置は、ベース300の上方に、支柱316に支持されて水平にかつ前記X軸と直交するY軸に平行に配設された一対のガイド318に案内され、送りねじ320およびY軸モータ(サーボモータ)322により送られるY軸スライド324を備えている。Y軸スライド324上には、送りねじ326およびX軸モータ(サーボモータ)328により送られるX軸スライド330が設けられている。X軸スライド330には部品保持ヘッド334が設けられており、この部品保持ヘッド334が部品供給装置304から受け取った電気部品を、基材コンベヤ302に位置決め支持されたプリント配線板308の上方へ搬送する搬送経路の下方に、撮像装置338が配設されている。
上記部品保持ヘッド334は、図10および図11に示すように、X軸スライド330に昇降可能に取り付けられた昇降部材340をヘッド本体として備えている。この昇降部材340は、X軸スライド330に設けられた一対のガイド342に案内され、送りねじ344およびZ軸モータ(サーボモータ、図15参照)346により昇降させられる。348はZ軸モータ346の回転を送りねじ344に伝達する伝達装置のタイミングプーリである。昇降部材340には、軸受350を介して回転軸352が相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持さており、θ軸モータ(サーボモータ)354により、ピニオン356およびギヤ(シザーズギヤ)358を介して回転させられる。
回転軸352の下端には上記ギヤ358の本体部が一体に形成されているが、そのギヤ358の本体部に、リニアモータチャック362(以下、チャック362と略称する)が着脱可能に取り付けられている。ギヤ358の本体部には2本の連結ロッド364により取付部材366が固定されており、その取付部材366にチャック362の主体部であるリニアモータ370のステータ372が着脱可能に取り付けられているのである。リニアモータ370は、リニアDCブラシレスモータであり、上記ステータ372と、一対の可動子374,376と、それら可動子374,376をステータ372の長手方向と平行な方向に案内する2本のガイド378とを備えている。
ステータ372は非磁性材料であるアルミニウム合金から成る本体380に、多数の永久磁石382が固定されたものである。各永久磁石382は角材状を成し、互いに逆向きの2側面の一方がN極、他方がS極に磁化されたものであり、N極とS極とが交互に配列されている。各永久磁石382はN極,S極の両面が本体380の側面から少量突出する状態で固定されており、本体380の表側と裏側とではN極とS極との配列が千鳥状にずれることとなる。
一対の可動子374,376の各々は、ステータ372の表側と裏側とにそれぞれ対向する2つの鉄心386を備えており、それら鉄心386が下端において連結部材388により互いに連結され、全体としてコの字形を成している。各鉄心386には、それぞれU相,V相,W相のコイルが巻かれてコイルユニットを構成している。各コイルユニットは、電機子電流の制御により、各コイルが発生させる磁力とステータ372の永久磁石382の磁力との相互作用によって可動子374,376をステータ372に沿って直線状に移動させる直動力を発生させるように構成されている。
この可動子374,376の移動は、ステータ372の表裏両面にそれぞれ固定されたガイド378により案内される。全体としてコの字形を成す可動子374,376のステータ372に対向する内側面にそれぞれスライダ390が固定されており、これらスライダ390がそれぞれガイド378にボールを介して係合させられることにより、可動子374,376がガイド378に沿って軽快に移動し得るようにされているのである。
一対の可動子374,376の各々の原点位置は、ステータ372の長手方向の両端の位置とされており、これら原点位置は原点検出器392,393(図15参照)により検出され、それら原点位置からの距離である可動子374,376の位置はそれぞれ位置検出器394,396(図15参照)により検出されるようになっている。原点検出器392,393は、本実施形態においてはLEDを投光器とする透過型の光電センサとされており、投光器から受光器に向かって投光される光が遮蔽部材により遮られたとき、可動子374,376が原点位置に達したとされる。しかし、反射型の光電センサや、リミットスイッチ等の接触型の検出器、近接スイッチ等種々のセンサを原点検出器392,393として使用することができる。また、位置検出器394,396は、本実施形態においては、磁気目盛りが施された磁気スケールの上を磁気検出ヘッドが移動することにより得られる電気信号に基づいて変位を検出する磁気式リニアスケール(マグネスケール)とされている。しかし、位置検出器394,396も、光学式リニアスケールを始め、種々の位置検出器とすることができる。また、位置検出器394,396を、1本の磁気スケールを共有するものとすることもできる。
可動子374,376の各連結部材388には、互いに共同して電気部品を両側から挟んで保持する保持爪398,399が着脱可能に固定されている。保持爪398,399は複数種類のものが準備されており、保持すべき電気部品の種類に合わせて交換される。各連結部材388には、図12に拡大して示すように、爪取付台400と位置決めピン401とが取り付けられている。爪取付台400には、テーパ内周面402を有するテーパ穴404が形成されている。保持爪398,399には、テーパ内周面402と嵌合するテーパ外周面406を有するテーパ軸部408が設けられている。図13および図14に示すように、テーパ軸部408の周方向の一部が切り欠かれて係合凹部410が形成されている。係合凹部410の横断面形状は弓形をなしている。
爪取付台400には、テーパ穴404に一部が干渉する状態で立体交差して保持穴414が形成されている。ただし、各可動子374,376の保持穴414は、図13に示すように、テーパ穴404の中心線のまわりに180度回動させられた状態で形成されている。保持穴414には、ロックピン420が保持穴414の軸方向に摺動可能に嵌合されている。ロックピン420は、横断面形状が円形をなし、かつ、軸方向において互いに直径の異なる複数の部分を有する段付円柱状をなしている。そして、ロックピン420の軸方向の中間部に横断面形状が台形の円環状溝が形成されており、その結果、ロックピン420の一端部である基端部422と他端部である先端部424との間の部分は、他の部分より小径の小径部426とされている。小径部426と基端部422,先端部424との隣接部は、基端部422,先端部424に向かうほど直径が漸増させられるテーパ部428,429とされている。ロックピン420の基端部422は、他の部分より大径のフランジ部430を備えている。保持穴414は、一端が大径穴部432、他端が小径穴部434である段付穴であり、小径穴部434側の開口が外部に開放されるとともに、大径穴部432側の開口は、閉塞部材436により閉塞されている。フランジ部430と閉塞部材436との間には、付勢装置の一種である弾性部材であって、ばね部材としての圧縮コイルスプリング440が嵌装され、各ロックピン420が互いに対向する可動子374,376側に突出する向きに付勢され、常には、ロックピン420の先端部424が爪取付台400の互いに対向する側面442,444より突出する作用位置に保持されている。ロックピン420の突出限度は、フランジ部430と、大径穴部432と小径穴部434との間に形成された肩面446との当接により規定される。各爪取付台400の側面442,444において、相手側の爪取付台400が保持するロックピン420と対向する部分には、それぞれ他の部分より突出する作用部450が一体に設けられている。
テーパ軸部408が爪取付台400のテーパ穴404にテーパ嵌合された状態で、図12ないし図14に示すように、作用位置にあるロックピン420の基端部422側が係合凹部410に係合することにより、テーパ軸部404のテーパ穴404からの抜け出しを防止するロック状態となる。また、位置決めピン401が保持爪398,399に形成された位置決め穴454(図12参照)に嵌入することにより、保持爪398,399のテーパ軸部404まわりの回転が防止され、保持爪398,399が爪取付台400に相対移動不能に固定される。
本電気部品装着システムは図15の制御装置460により制御される。ただし、図15は本システムのうち本発明に関係の深い部分のみを取り出して示したものである。制御装置460はコンピュータ462を主体とするものであり、コンピュータ462は、プロセシングユニット(PUと略記する)464,リードオンリメモリ(ROM)466,ランダムアクセスメモリ(RAM)468,入力ポート470および出力ポート472がバスラインにより接続されたものである。入力ポート470には、前記撮像装置338により撮像された画像のデータを解析する画像処理コンピュータ474,前記原点検出器392,393,位置検出器394,396を始め、種々の検出器やコンピュータが接続されている。出力ポート472には、それぞれ駆動回路を介して前記Y軸モータ322,X軸モータ328,Z軸モータ345等と共にチャック362の一対の可動子374,376が接続されている。ROM466には、プリント回路板の組立てのためのプログラムや保持爪398,399交換のための特別運動プログラム等、種々の制御プログラムが格納されている。プリント回路板組立プログラムについては、同じ出願人による未だ公開されていない特願2000−004637に詳細に説明されており、ここでは詳細な説明は省略する。
基材コンベヤ302により、プリント配線板308が部品装着位置に位置決めされた後、次に装着されるべき電気部品に関するデータが読み出される。このデータは、電気部品の種類,その電気部品の取出位置および取付位置の情報を含んでいる。この情報に従って、チャック362が電気部品取出位置へ移動させられ、チャック362が開かれる。部品の種類の情報に基づいて、RAM468から、電気部品の保持爪398,399により保持される部分の基準位置からの距離のデータが読み出され、その距離より予め定められた距離だけ大きい位置に保持爪398,399が位置する状態まで、チャック362が開かれるのである。
上記基準位置は、チャック362の中心線、すなわち、チャック362が前記取付部材366に取り付けられた際、回転軸352の回転軸線と一致すべき位置であり、電気部品が少なくとも、一対の保持爪398,399の接近,離間方向と直交する平面を対象面とする面対称形状のものである場合には、チャック362が回転軸352の回転軸線を含む平面を対称面として対称に開かれる。それに対して、電気部品が一対の保持爪398,399の接近,離間方向と直交する平面に対して非対称な形状のものである場合には、チャック362が回転軸352の回転軸線を含む平面に対して非対称に開かれる。
チャック362が開かれたならば、Z軸モータ346により昇降部材340が下降させられることにより、チャック362が電気部品480を挟み得る高さまで下降させられた後、チャック362が閉じられ、電気部品480が適切な力で保持される。そして、チャック362が上昇させられれば、電気部品480が部品供給装置304から取り出される。
上記保持爪398,399の交換は自動で行われる。保持爪398,399の交換が必要になった場合には、チャック362が爪収容装置307(図9参照)の上方へ移動させられる。そして、テーパ軸部408とテーパ穴404とのロック状態が解除される。ロック状態の解除について、図16ないし図18に基づいて説明する。可動子374,376は、保持爪398,399により電気部品を保持するために前述のように互いに電気部品の大きさに応じて適正距離接近させられるのであるが、その接近限度を超えてさらに接近させられる特別運動を行うことにより、可動子374,376の一方のロックピン420の先端部424が可動子374,376の他方に設けられた作用部450の側面に押され、先端部424が圧縮コイルスプリング440の弾性力に抗して退避位置に移動させられる。作用部450の側面と、連結部材388の側面との当接により、可動子374,376の特別運動時の接近限度が規定される。ロックピン420が退避位置にあるロック解除状態では、ロックピン420の小径部426およびテーパ部428,429がテーパ軸部408の係合凹部410に対向する状態となり、小径部426およびテーパ部428,429により画定される円環状溝によって、テーパ軸部408の離脱が許容される。そして、チャック362が爪収容装置307に向かって下降させられる。爪収容装置307の可動部材が保持爪398,399に係合させられた後、チャック362が上昇させられることにより、保持爪398,399がチャック362から取り外され、爪収容装置307に収容された状態となる。チャック362への保持爪398,399の取付けは、逆の作動により行われる。ロックピン420が退避位置にある状態で、保持爪398,399のテーパ軸部408が爪取付台400のテーパ内周面402にしまり嵌合させられる。そして、チャック362が上昇させられ、爪収容装置307から離間させられた後、ロックピン420が作用位置に移動させられることにより、保持爪398,399が爪取付台400にロックされる。
以上説明した電気部品装着システムにおいては、チャック362が一対の保持爪398,399により電気部品を一方向において両側から挟んで保持するものとされていたが、3個以上の可動子、例えば4個の可動子を備え、互いに直交する2方向において電気部品を保持し得るチャックに本発明を適用することも可能である。
本実施形態においては、一対の保持爪398,399が保持具の一形態をなし、可動子374,376および爪取付台400が嵌合穴としてのテーパ穴404を備えたホルダを構成し、テーパ軸部408が嵌合軸部を構成している。また、係合凹部410が係合部を構成している。ロックピン420が、ロック部材としてのロックバーの一態様をなしている。ロックピン420の先端部424がロックピン420を退避位置へ移動させるための操作力が加えられる操作部材を構成している。本実施形態における操作部材は、ロックピン420と一体的に構成されていることになる。上記操作部材と弾性部材としての圧縮コイルスプリング440とがロック状態維持装置を構成している。さらに、取付部材366がチャック本体を構成し、リニアモータ370が駆動装置を構成している。嵌合凹部としてのテーパ穴404,嵌合突部としてのテーパ軸部408およびロック装置が取付装置を構成している。本実施形態におけるロック装置は、係合凹部410と、保持穴414と、ロックバーの一形態であるロックピン420と、弾性部材としての圧縮コイルスプリング440と、作用部材としての作用部450とを含むものである。本実施形態においては、作用部材がホルダと一体に構成されている。
本実施形態によれば、前記ロック状態維持装置により、可動子374,376が大きな加速度で上昇を開始させられ、あるいは大きな減速度で下降を停止させられる場合でも、保持爪398,399が可動子374,376から離脱させられることが防止される。また、可動子374,376を電気部品を保持する際の接近限度を超えた特別運動を行わせることにより、ロック状態の解除を行うことができるため、保持爪398,399の交換を容易に行うことができる。
本発明のさらに別の実施形態を図19ないし図22に基づいて説明する。ただし、図1ないし図8に示す実施形態と異なる部分のみについて図示,説明する。本実施形態における保持具としての吸着ノズル500は、図19に示すように、アダプタ502を介して保持軸53に取り付けられている。これらアダプタ502および保持軸53がホルダを構成している。あるいは、アダプタ502がホルダを構成しているとも言い得る。吸着ノズル500は負圧により電気部品を吸着するものであり、保持軸53内に設けられた通路,圧力切換弁(図示省略)を介して負圧源に接続されている。アダプタ502は、保持軸53の下端部に設けられたノズル保持部504に形成された嵌合穴506に軸方向に相対移動可能に嵌合されている。アダプタ502は、ノズル保持部504に等角度間隔に設けられた複数の保持部材508(図19には代表的に1個のみ図示)によって保持されるとともに、付勢装置の一種である弾性部材であって、ばね部材たる圧縮コイルスプリング510により、ノズル保持部504から下方へ突出する向きに付勢されている。
ノズル保持部504には、保持軸53の軸線に平行に延びる複数の切欠512が等角度間隔に形成され、前記複数の保持部材508の各々が回動可能に嵌合されるとともに、ノズル保持部504に巻き付けられたリング状のばね部材514によってノズル保持部504に保持されている。保持部材508の切欠512に嵌合された部分の上側には、ノズル保持部504の中心側に突出する突部516が設けられるとともに、ノズル保持部504に形成された切欠518に嵌入させられており、この突部516の切欠518の底面への当接部を中心として、保持部材508がその長手方向に直角で、ノズル保持部504の保持部材508が取り付けられた部分に対する接線方向に延びる軸線まわりに回動可能である。
さらに、保持部材508の突部516の上側には操作部520が突設され、ノズル保持部504に形成された切欠522に嵌入させられている。保持部材508は、切欠512への嵌合と、操作部520の切欠522への嵌入とによって、保持軸53の軸線と直交する軸線まわりの回動が阻止されている。
保持部材508の下部は、アダプタ502の大径の係合部524に形成された切欠526に嵌合されており、ノズル保持部504とアダプタ502との相対回転を阻止している。また、保持部材508の下端部にはアダプタ502側へ突出する係合突部528が突設され、この係合突部528が係合部524に下方から係合することにより、アダプタ502の嵌合穴506からの抜出しを防止している。この状態で前記操作部520を押して保持部材508をばね部材514の付勢力に抗して回動させ、係合突部528と係合部524との係合を解くことにより、アダプタ502をノズル保持部504から外すことができる。
吸着ノズル500は、吸着管保持体530および吸着管保持体530に保持された吸着管532を有している。なお、533は発光部であり、円板状をなす。吸着管保持体530は、図21および図22に示すように、テーパ外周面534を有するテーパ軸部536を備え、アダプタ502に設けられたテーパ内周面540を有するテーパ穴542にテーパ嵌合されるとともに、ばね部材546によりアダプタ502に保持されている。ばね部材546は、図20に示すように、一対のアーム部550とそれらアーム部550の基端同士を連結する連結部552とを有するコの字形をなし、コの字の一対のアーム部550においてアダプタ502に形成された一対の切欠554(図22参照)に嵌合され、それらアーム部550間の距離は先端ほど狭くされて締まり勝手とされている。また、それらアーム部550の先端部(自由端部)は互いに接近する向きに曲げられ、アダプタ502からの脱落が防止されている。アダプタ502には、図21および図22に示すように、円環状の係合溝556が形成されており、その上側の部分に、係合溝556の底面に近づくほどアダプタ502の軸線に近づく向きに傾斜させられたテーパ面558が形成されている。テーパ面558は、テーパ軸部536がテーパ穴542にテーパ嵌合された状態で、ばね部材546に対向する位置に形成されており、ばね部材546が弾性変形させられた状態でテーパ面558に係合することにより、吸着管保持体530を保持するとともに、テーパ穴542内に引き込んで位置決めする。
吸着ノズル500は、ロックレバー560により、アダプタ502にロックされる。ロックレバー560は、保持軸53の軸線と直角に立体交差する回動軸線のまわりに回動可能にアダプタ502に保持されている。アダプタ502には、図21に示すように、保持軸53の軸線に平行に延びる切欠562が形成され、ロックレバー560が回動可能に嵌合されるとともに、アダプタ502に巻き付けられたリング状のばね部材564によってアダプタ502に保持されている。ロックレバー560の切欠562に嵌合された部分の上側には、アダプタ502の中心側に突出する突部566が設けられるとともに、アダプタ502に形成された切欠568に嵌入させられており、この突部566の先端の円筒面の中心線を中心として、ロックレバー560がその長手方向に直角で、アダプタ502のロックレバー560が取り付けられた部分に対する接線方向に延びる軸線のまわりに回動可能である。ロックレバー560は、切欠562,568への嵌合によって、ロックレバー560の回動軸線と直交する軸線まわりの回動が阻止されている。
ロックレバー560の下部には、アダプタ502の軸線側へ突出する係合突部570が一体に形成され、吸着ノズル500の円環状の係合溝556に係合させられる作用位置にあるロック状態では、吸着ノズル500のアダプタ502からの離脱を阻止する。ロックレバー560の上端部には、アダプタ502の軸線から遠ざかる向きに突出する操作部576が一体に構成されている。操作部576の先端部には、回転可能なローラにより構成されるカムフォロワ578が設けられている。一方、吸着ノズル交換位置には、カム面582を有する固定カム584(図21参照)が設けられている。吸着ノズル交換位置において、保持軸53が下降させられれば、カムフォロワ578が固定カム584のカム面582に係合してカム面582をならい、その結果、ロックレバー560がばね部材564の付勢力に抗して退避位置まで回動させられ、この退避位置にある状態を維持したまま下降させられる。ロックレバー560が退避位置まで回動して係合突部570と係合溝556との係合を解いてロック状態を解除することにより、吸着ノズル500のアダプタ502からの離脱が許容される状態となる。そして、吸着ノズル500に、ばね部材546の引込力を超える力をアダプタ502から抜け出す方向に加えることにより、アダプタ502から取り外すことができる。吸着ノズル500の交換については、前述の吸着ノズル交換装置160を使用した吸着ノズル交換方法と同様にして行うことができるため、本実施形態ではその説明は省略する。
操作部576に設けられたカムフォロワ578と固定カム584のカム面582とが、保持軸53の昇降運動をロックレバー560の回動に変換する運動変換装置を構成している。この運動変換装置に代えて、ロックレバー560の突部566の上側の部分を操作部588として、この操作部588を押してロックレバー560をばね部材564の付勢力に抗して回動させ、係合突部570と係合溝556との係合を解くことにより、吸着ノズル500のアダプタ502からの離脱が許容される状態とすることも可能である。
本実施形態においては、ホルダを構成するアダプタ502に嵌合穴としてのテーパ穴が形成され、保持具を構成する吸着ノズル500に嵌合軸部としてのテーパ軸部536が形成されている。ロックレバー560は、剛体であるロック部材の一形態をなす。吸着ノズル500の係合溝556が係合部を構成している。また、ばね部材564が弾性部材を構成し、ロックレバー560の操作部576が操作部材を構成し、これら弾性部材および操作部材がロック状態維持装置を構成している。操作部材としての操作部576は、ロックレバー560と一体的に構成されている。
本実施形態においても、電気部品の装着作業中に装着ヘッドが大きな加速度で上昇を開始させられ、あるいは大きな減速度で下降を停止させられる場合に、吸着ノズル500のアダプタ502からの脱落が確実に防止される。また、多少弾性力が弱くなったばね部材546の使用も可能となるため、ばね部材546の頻繁な交換による電気部品装着装置等、装着ヘッドが設けられる装置の稼働率の低下が良好に回避される。さらに、吸着ノズル500の交換時に、ロックレバー560が退避位置から作用位置に移動させられるまでの間、テーパ軸部536とテーパ穴542とのしまり嵌合による他、ばね部材546の弾性力によっても吸着ノズル500のアダプタ502からの離脱が防止されているため、吸着ノズル500の交換時におけるアダプタ502からの脱落をより確実に防止できる。
図9ないし図18に示した実施形態においても、ロックピン420に加えて、本実施形態と同様に、テーパ軸部408に弾性的に係合するばね部材を爪取付台400に保持させれば、保持爪398,399の爪取付台400への取付けの際に、テーパ軸部408のテーパ穴404への嵌合後であってロックピン420が作用位置に移動する前に、このばね部材がテーパ軸部408に係合することにより、保持爪398,399の爪取付台400からの離脱をより確実に防止することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
80:アダプタ 89:テーパ内周面 90:テーパ穴 92:円筒状部 94:貫通穴 96:ボール 100:スリーブ 104:圧縮コイルスプリング 108:操作部 136:嵌合部 138:テーパ外周面 140:係合溝 220:制御装置 362:リニアモータチャック
370:リニアモータ 374,376:可動子 400:爪取付台
402:テーパ内周面 404:テーパ穴 406:テーパ外周面 408:テーパ軸部 410:係合凹部 414:保持穴 420:ロックピン 440:圧縮コイルスプリング 450:作用部 460:制御装置 500:吸着ノズル 502:アダプタ 506:嵌合穴 508保持部材 534:テーパ外周面 536:テーパ軸部 540:テーパ内周面 542:テーパ穴 556:係合溝 560:ロックレバー
562:ばね部材 570:係合突部 576:操作部

Claims (9)

  1. (a)チャック本体と、(b)そのチャック本体に互に接近離間可能に保持された複数の可動子と、(c)それら複数の可動子を互に接近,離間させる駆動装置と、(d)前記複数の可動子の各々に取付装置によりそれぞれ着脱可能に取り付けられ、互に共同して電気部品を保持する複数の保持爪とを含むチャックと、
    複数の保持爪を収容可能な爪収容装置と
    を含み、かつ、前記チャックと前記爪収容装置との間で、チャックの複数の保持爪と爪収容装置に収容されている複数の保持爪とが、保持すべき電気部品に合わせて自動で交換されることを特徴とする電気部品保持装置。
  2. 前記取付装置の各々が、常には前記複数の保持爪の各々が前記複数の可動子の各々から離脱することを防止するロック状態にあり、前記複数の可動子が通常の接近限度と離間限度との少なくとも一方を超えて移動する特別移動に基づいて前記ロック状態が解除されるロック装置を含む請求項1に記載の電気部品保持装置。
  3. さらに、前記可動子と前記保持爪との一方と他方とにそれぞれ設けられて互いに嵌合する嵌合凹部および嵌合突部とを含み、前記ロック装置が、常には前記嵌合凹部と前記嵌合突部との離脱を防止するロック状態にあり、前記可動子の前記特別移動に基づいて前記ロック状態が解除されるものである請求項2に記載の電気部品保持装置。
  4. 前記可動子が嵌合穴を前記嵌合凹部として備え、前記保持爪が前記嵌合穴と嵌合する嵌合軸部を前記嵌合突部として備え、前記ロック装置が、
    前記嵌合軸部に設けられた係合凹部と、
    前記可動子に前記嵌合穴と一部が干渉し合う状態で立体交差して形成された保持穴と、
    その保持穴に軸方向に摺動可能に保持され、作用位置においては前記嵌合軸部の前記係合凹部と係合して前記嵌合軸部の前記嵌合穴からの離脱を阻止し、前記作用位置から退避位置へ退避した状態では係合凹部と非係合状態となって前記嵌合軸部の前記嵌合穴からの離脱を許容するロックバーと、
    そのロックバーを前記作用位置に向かって付勢する弾性部材と、
    前記複数の可動子が前記特別移動を行う際に前記ロックバーに作用してそのロックバーを前記弾性部材の弾性力に抗して前記退避位置へ移動させる作用部材とを含む請求項3に記載の電気部品保持装置。
  5. 前記複数の可動子の前記保持穴の各々に摺動可能に保持された前記複数のロックバーが、前記作用位置においては前記複数の可動子の各々から突出しており、それら複数の可動子が互いに前記接近限度を超えて接近させられた場合に、それぞれ他の可動子の一部に当接して、前記作用位置から前記退避位置へ移動させられ、それら他の可動子の一部がそれら可動子と一体的に設けられた前記複数の作用部材の各々を構成する請求項4に記載の電気部品保持装置。
  6. 前記嵌合突部と前記嵌合凹部とが相対回転可能であり、当該電気部品保持装置が、さらに、前記可動子と前記保持爪との一方と他方との、前記嵌合突部および前記嵌合凹部からそれぞれ偏心した部分に設けられ、互いに嵌合して前記嵌合突部と前記嵌合凹部との相対位相を決める位置決めピンおよび位置決め凹部を含む請求項3ないし5のいずれかに記載の電気部品保持装置。
  7. 前記チャックの前記駆動装置が、前記複数の可動子の各々に対してそれぞれ設けられ、それら複数の可動子を個々に移動させる複数のリニアモータを含む請求項1ないし6のいずれかに記載の電気部品保持装置。
  8. 前記チャックを互いに直交するX軸とY軸とによって規定される水平なXY平面上の任意の位置へ移動させるXY移動装置と、
    前記チャックを前記XY平面と直交する方向に昇降させる昇降装置と、
    それらXY移動装置と昇降装置とを制御することにより、前記チャックと前記爪収容装置との間で前記保持爪の交換を行わせる爪交換制御装置と
    を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の電気部品保持装置。
  9. 前記複数可動子および前記複数の保持爪が、各々の移動方向が互いに平行である一対の可動子および一対の保持爪である請求項1ないし8のいずれかに記載の電気部品保持装置。
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