JP2009198676A - ガラス基板の乾燥方法および乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ガラス基板の洗浄で用いた洗浄液がガラス基板表面に付着残留して生成される液滴を、狭い空間内で乾燥除去する
【解決手段】
ガラス基板の乾燥装置10では、ガラス基板1を保持具2a、2bが垂直に保持する。保持具2aはガラス基板の上端部に、保持具2bは下端部に配置され、搬送と保持を兼用する。ガラス基板の周囲部には、乾燥手段12が配置されており、少なくとも上下動及び水平動のいずれかがが可能である。乾燥手段はノズル3を有し、親水性の有機溶剤であるイソプロピルアルコールを含むガス流を噴射可能である。
【選択図】図1
ガラス基板の洗浄で用いた洗浄液がガラス基板表面に付着残留して生成される液滴を、狭い空間内で乾燥除去する
【解決手段】
ガラス基板の乾燥装置10では、ガラス基板1を保持具2a、2bが垂直に保持する。保持具2aはガラス基板の上端部に、保持具2bは下端部に配置され、搬送と保持を兼用する。ガラス基板の周囲部には、乾燥手段12が配置されており、少なくとも上下動及び水平動のいずれかがが可能である。乾燥手段はノズル3を有し、親水性の有機溶剤であるイソプロピルアルコールを含むガス流を噴射可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、洗浄液で洗浄した後のガラス基板の乾燥方法および乾燥装置に係り、特に液晶表示装置(LCD)等に用いる大型のフォトマスク用ガラス基板の乾燥方法および乾燥装置に関する。
従来の薄板ガラス基板に関する洗浄方法および洗浄液の除去について、特許文献1に記載されている。この公報に記載の洗浄方法では、安全にかつ設置スペースを少なくするために、薄板ガラス基板の上端縁を保持して垂下した状態で、超音波洗浄素子を用いてガラス基板を横方向に洗浄する。その際、洗浄液を上部から下部に吐出する。洗浄に追従して、順次エアーを吹きつけ、表面に残留する洗浄液を除去している。
従来の基板乾燥方法が、特許文献2に記載されている。この公報に記載の乾燥法では、基板であるウェーハに対してアルコール系蒸気を吐出するとともに、ウェーハを回転させている。さらに、アルコールを吐出しないで、ウェーハを回転だけさせることも記載されている。
フォトマスクに用いられるガラス基板の作成においては、回路やパターンが形成される主面およびその背面、4辺部を形成する側端面の6個の面のすべてにおいて、高い清浄度が求められている。そのため、基板を処理する際や基板を搬送する際には、基板端部の角部でだけ、基板を保持している。
一方、LCDの大型化に伴い、フォトマスク用のガラス基板のサイズが大型化している。それとともに、基板の厚さも増加し、ガラス基板1枚あたりの重量が増加している。その結果、特許文献1に示すような装置では、基板の上部を支持する基板把持部や基板の下部を支持する基板保持部は、基板重量に耐えるために大型化するとともに、基板の厚さ方向長さが長くなっている。
基板洗浄後の基板乾燥工程では、基板を水平方向に取り囲む矩形枠内にノズルを配置してノズルから高速な気流を噴出している。ノズルは横方向移動および上下方向移動が可能でなければならないので、基板の大型化とともにこの矩形枠も大型化し、基板の乾燥工程のために大スペースが必要となる。特に、基板把持部や基板保持部との干渉を避けるために、基板とノズルとの間隔が広がってくる。基板とノズルとの間隔が広くなればなるほど、乾燥工程においてはノズルから高速または大量の気流が必要となる。
特許文献2では、イソプロピルアルコールをノズルから噴出するとともに、基板を回転させているので、基板を回転させる空間が必要となる。基板の大きさが大きくなると回転させること自体が困難であるとともに、広い空間が必要となり、装置の大型化が止むを得なくなる。
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、ガラス基板の洗浄で用いた洗浄液がガラス基板表面に付着残留して生成される液滴を、狭い空間内で乾燥除去することにある。本発明の他の目的は、乾燥のための装置を小型化することにある。また、乾燥に要するエネルギーを低減することも目的とする。
上記目的を達成する本発明の特徴は、垂直に保持したガラス基板の乾燥装置において、ガラス基板の上端部及び下端部に配置した搬送と保持を兼用した保持具と、ガラス基板の周囲部に配置され少なくとも上下動及び水平動のいずれかがが可能な乾燥手段とを有し、この乾燥手段は親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射可能に設けられていることにある。
この特徴において、乾燥手段は、空気または窒素ガスに有機溶剤の蒸気を混合したガスを噴出するノズルを有するのがよく、ノズルを横方向に複数配置し、これら複数のノズルを同時の上下動させるようにするのが望ましい。また、保持具は複数のローラーを有し、乾燥手段は枠状に形成されたフレームに複数のノズルを取り付けていてもよい。さらに、このノズルよりもガラス基板から離れた位置に、ノズルから噴射されるガス流よりも高速なガス流を供給可能な他のノズルを設けるようにしてもよい。そして有機溶剤が、イソプロピルアルコールであることが望ましい。
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、ガラス基板の表面を洗浄液で洗浄した後に、ガラス基板を乾燥するガラス基板の乾燥方法において、ノズルから親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射し、このガス流を垂直に配置したガラス基板表面に衝突させてガラス基板表面に付着した洗浄後の残留物を除去することにある。そして、このノズルよりもガラス基板から離れた位置に配置した他のノズルから、ガラス基板に親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射するようにしてもよい。
本発明によれば、ガラス基板の洗浄後に、ノズルからの気流でガラス基板を乾燥させる場合、気流に親水性の有機溶剤を含ませたので、ガラス基板からの洗浄後の残留物の剥離が容易になり、ノズルの高速化や大流量化を抑制でき、ガラス基板の乾燥装置の大型化を回避できる。また、乾燥装置が大型化しても、ノズルからの気流の高速化や大流量かを抑制でき、ノズルから気流を噴出させる手段を簡素化できる。
以下、本発明に係るガラス基板の乾燥装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、ガラス基板の乾燥装置10の縦断面図であり、図2はその斜視図、図3はガラス基板部を取り出した要部断面図である。図2に示すようにガラス基板1は、洗浄工程を経た後に乾燥工程に移る。ここで本実施例では、洗浄工程位置と乾燥工程位置とを異なる位置としているが、装置の占有面積を減らすために、洗浄工程と乾燥工程とを同じ位置で実施しても良い。
ガラス基板1はフォトマスク用のガラス基板であり、その大きさは縦×横が、1000mm×1000mmである。その厚さは、10mmである。このとき、ガラス基板1の重量は、約20kgとなる。ガラス基板1の上端部に接して複数の上部搬送ローラー2aが、間隔をおいて配置されている。同様に複数の下部搬送ローラー2bが、間隔をおいてガラス基板1の下端を支持するように配置されている。
上下部の搬送ローラー2a、2bは、図示しない駆動手段に接続されており、それぞれ回転駆動される。したがって、上下部の搬送ローラー2a、2bが回転すると、ガラス基板1は、図2に示したように、左側から右側に搬送される。図3に示すように、上下部の搬送ローラー2a、2bは鼓型形状をしており、ガラス基板1の上下端の角部で点接触または線接触してガラス基板を保持している。それとともに、ガラス基板1との接触を極力減らして、発塵を抑制している。なお上下部の搬送ローラー2a、2bのすべてが駆動ローラーである必要は無く、数個間隔で駆動ローラーを配置しても良い。またすべての搬送ローラー2a、2bをフリーローラーとし、ガラス基板1の進行方向前後端部を他の搬送手段で押して搬送するようにしてもよい。
上下部の搬送ローラー2a、2bによりほぼ垂直に保持された状態で、ガラス基板1は乾燥工程位置に搬送される。乾燥工程位置には、ガラス基板1の乾燥装置10が配置されている。乾燥装置10では、ベース11上に直立してノズル昇降用ボールネジ4が取り付けられている。ノズル昇降用ボールネジ4は、ガラス基板1の両側面に対で設けられている。各ノズル昇降用ボールネジ4の上端部には、ノズル昇降用ボールネジ4を駆動するモーター5が取り付けられている。枠状に形成された乾燥手段12が、ガラス基板1を囲んで水平に配置されている。この乾燥手段12の枠部12aに、ノズル昇降用ボールネジ4のナット4aを形成している。
乾燥手段12の枠部12aであって、その内周側には複数のエアーナイフ型のノズル3が、間隔をおいて取り付けられている。モーター5を回転させると、ノズル昇降用ボールネジ4が回転し、ボールネジ4に取り付けたナット4aが昇降する。ナット4aの昇降に伴い、枠部12aに取り付けたノズル3も昇降する。
上述したように、ノズル3は枠部12aからガラス基板1側に突き出ているので、ノズル3が昇降して上下部の搬送ローラー2a、2bとすれ違うときに、ノズル3の先端の隙間が最小になる。そこで、図3に示すように、ローラー2a、2bの保持部材2c、2dの厚みをも考慮して、ノズル3の先端が搬送ローラー2a、2b部に接触しないように、ノズル3の先端と保持部材2c、2dの表面間に隙間cを確保する。
乾燥手段12の枠部12aに取り付けた複数のノズル3は、配管3aを介して気化器6に連通している。気化器6には図示しないポンプにより、イソプロピルアルコール(IPA)が容器から供給される。それとともに、フィルタリングされた清浄な加圧空気またはボンベに収容された窒素ガスも、気化器6に供給される。気化器6の底部にはヒーター7が配置されており、このヒーター7は温度調節器8で温度調節される。気化器内に導かれたIPA液は、ヒーター7により所定温度まで加熱され、気化する。気化したIPA蒸気は、加圧空気または窒素ガスと混合し、ノズル3へと導かれる。
図2に示すように、洗浄工程位置に配置した洗浄液ノズル9からガラス基板1に洗浄液が噴射され、ガラス基板1は洗浄される。この洗浄工程を経たガラス基板3は、乾燥装置10が配置された乾燥工程位置に至ったときに、その表面に洗浄液の液滴が付着している。この液滴に、IPA蒸気を含む加圧空気または窒素ガスをノズル3から噴射する。加圧空気または窒素ガスに含まれるIPA蒸気は親水性であるから、ガラス基板1の表面における洗浄液の液滴の表面張力を低下させる。その結果、液滴とガラス基板1の表面間の付着力が低下する。それとともに、加圧空気または窒素ガスをノズル3からジェットとして噴出させているので、加圧空気または窒素ガスの運動量が液滴に作用し、液滴を物理的にガラス基板1の表面から剥ぎ取る。
本実施例では、ガラス基板1の大きさを1000mm×1000mm、厚さtを10mmとしているので、搬送用ローラーの厚さWは16mm程度になる。対向して配置したノズル3の間隔c2は、20mmである。この条件では、ノズル3とガラス基板1の表面の間隔c1は、5mmである。ガラス基板1がさらに大型化して、縦×横が1500mm×1500mm、厚さtが15mmになると、ガラス基板1の重量は75kgにも達する。この重量を支持するために、ローラーの厚さWが35mmにもなり、ノズル3の間隔c2は49mmまで広げざるを得なくなる。その結果、ノズル3とガラス基板1の表面の間隔c1は、12mmと長くなる。
ガラス基板1が大型化した後者の例では、前者の例に比べ、ノズル1とガラス基板3の表面との間隔c1が2倍以上に広がっている。この場合、IPA蒸気を含まない加圧空気または窒素ガスだけで物理的に液滴を剥ぎ取るためには、ノズル3から噴出するジェットを大幅に高速化するか、大風量化して、液滴に与えるエネルギーの低下を抑制する必要がある。本実施例では、親水性のIPA蒸気をノズル3から噴出するジェットが含んでいるので、液滴がガラス基板1に付着する付着力を低減でき、液滴に照射するジェットの高速化や大風量化をしなく済む。
なお、上記実施例では、ノズル3をガラス基板1の幅方向に間隔をおいて複数配置しているが、ノズル3を幅方向に移動させる手段を設けて、幅方向に配置するノズルの数を低減することもできる。この場合、ノズル3とガラス基板1間の隙間c1の設定等が容易になる。また、上記実施例では、ガラス基板1の厚さ方向両面とも、ノズル3を一列に配置しているが、ガラス基板1の厚さ方向に複数列配置するようにしても良い。この場合、ガラス基板1から遠ざかったほうのノズルから噴出するジェットの風量または流速を、ガラス基板に近い方のノズルから噴出するジェットよりも大きくする。これにより、ガラス基板1表面に達したときのジェットの有する運動量をほぼ同程度にすることができ、効果的にガラス基板1から洗浄液の液滴を剥ぎ取ることができる。
1…ガラス基板、2a…上部搬送ローラー(上支持具)、2b…下部搬送ローラー(下支持具)、3…ノズル、4…ノズル昇降用ボールネジ、5…モーター、6…気化器、7…ヒーター、8…温度調節器、9…洗浄液ノズル、10…ガラス基板の乾燥装置、11…ベース、12…乾燥手段。
Claims (8)
- 垂直に保持したガラス基板の乾燥装置において、前記ガラス基板の上端部及び下端部に配置した搬送と保持を兼用した保持具と、前記ガラス基板の周囲部に配置され少なくとも上下動及び水平動のいずれかがが可能な乾燥手段とを有し、この乾燥手段は親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射可能に設けられていることを特徴とするガラス基板の乾燥装置。
- 前記乾燥手段は、空気または窒素ガスに有機溶剤の蒸気を混合したガスを噴出するノズルを有することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の乾燥装置。
- 前記ノズルを横方向に複数配置し、これら複数のノズルを同時の上下動させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のガラス基板の乾燥装置。
- 前記保持具は複数のローラーを有し、前記乾燥手段は枠状に形成されたフレームに前記複数のノズルを取り付けていることを特徴とする請求項3に記載のガラス基板の乾燥装置。
- 前記ノズルよりも前記ガラス基板から離れた位置に、前記ノズルから噴射されるガス流よりも高速なガス流を供給可能な他のノズルを設けたことを特徴とする請求項2に記載のガラス基板の乾燥装置。
- 前記親水性の有機溶剤は、イソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のガラス基板の乾燥装置。
- ガラス基板の表面を洗浄液で洗浄した後に、ガラス基板を乾燥するガラス基板の乾燥方法において、ノズルから親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射し、このガス流を垂直に配置したガラス基板表面に衝突させてガラス基板表面に付着した洗浄後の残留物を除去することを特徴とするガラス基板の乾燥方法。
- 前記ノズルよりもガラス基板から離れた位置に配置した他のノズルから、ガラス基板に親水性の有機溶剤を含むガス流を噴射することを特徴とする請求項7に記載のガラス基板の乾燥方法。
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