JP2009197692A - スクロール電動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクロール圧縮機構20と、電動モータ40と、スクロール圧縮機構20及び電動モータ40を収納するハウジング1とを備え、スクロール圧縮機構20が、ハウジング1の底部近傍に配設されたストレーナ52を通過して固定スクロール21の下部空間に流入した潤滑油をドライブブッシュ部28へ導く潤滑油流路50を備え、この潤滑油流路50は、スラストプレート29に穿設した給油孔29aと、上部軸受5に形成した給油溝5bと、シャフト2のドライブブッシュ設置面を切り欠いて形成した給油段差部と、偏心ピン3の外周を軸方向に切削した切断面とが連通して形成される。
【選択図】図1
Description
近年、電気自動車やハイブリットカー等が開発されており、このような車両に装備される車両用空調装置の圧縮機には、スクロール圧縮機構をインバータ制御等の電動モータにより駆動する電動スクロール圧縮機がある。
主軸のスラスト荷重をスラスト軸受で支えるスクロール圧縮機においては、スラスト軸受の摩耗や焼き付き等の損傷を防止するため、スラスト軸受の主軸側摺動面に傾斜平面や油溝等の油膜圧力発生機構を形成したものが提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
また、斜板式圧縮機においては、シャフトの中心にランナ手段の溝に連なる軸方向の給油孔を設けるとともに、シャフト周囲の要給油箇所に隣接して軸方向の給油孔に連なる半径方向の給油孔を設けたものが提案されている。(たとえば、特許文献2参照)
また、回転軸の下端に取り付けた円盤及びこの円盤を取り囲むケーシングとからなる給油ポンプを設け、密閉容器内の圧縮要素へ十分な給油を行うようにした圧縮機が開示されている。(たとえば、特許文献4参照)
また、偏心駆動ピンの端部に溝を設け、スナップリングを用いて抜け止め板を固定するスクロール型流体機械が開示されている。(たとえば、特許文献5参照)
従って、スクロール電動圧縮機の耐久性や信頼性を向上させるためには、ドライブブッシュ部やサブ軸受部に対する確実な潤滑油の供給が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潤滑油の供給が困難であったドライブブッシュ部やサブ軸受部に対し、潤滑油の安定供給が可能になる潤滑油流路を備えたスクロール電動圧縮機を提供することにある。
本発明に係るスクロール電動圧縮機は、流体を吸入して圧縮するスクロール圧縮機構と、シャフトを介して前記スクロール圧縮機構を駆動する電動モータと、前記スクロール圧縮機構及び前記電動モータを収納するハウジングと、を備えている横型のスクロール電動圧縮機であって、前記スクロール圧縮機構が、前記ハウジングの底部近傍に配設されたストレーナを通過して固定スクロールの下部空間に流入した潤滑油をドライブブッシュ部へ導く潤滑油流路を備え、前記潤滑油流路は、スラストプレートに穿設した給油孔と、上部軸受に形成した給油溝と、前記シャフトのドライブブッシュ設置面を切り欠いて形成した給油段差部と、偏心ピンの外周を軸方向に切削した切断面と、が連通して形成されることを特徴とするものである。
この場合、シャフトの外周面に穿設される放射状穴の方向については、スクロール圧縮機構を構成するスイングリンクの偏心ピンと同方向または180度反対の方向とすることが好ましく、これにより、偏心ピンの機械加工が容易になる。
図1に示すスクロール電動圧縮機(以下、「圧縮機」と呼ぶ)CPは、たとえば電気自動車やハイブリッドカーに装備される車両用空調装置の冷媒を循環させる圧縮機である。この圧縮機CPは、スクロール圧縮機構20及び駆動源の電動モータ40が共通のハウジング1内に収納されている密閉型であり、さらに、スクロール圧縮機構20及び電動モータ40が水平配置のシャフト2により連結されている横型となる。なお、この場合のハウジング1は、主にスクロール圧縮機構20を収納するフロントハウジング1Aと、主に電動モータ40を収納するリアハウジング1Bとに分割されている。
このスクロール圧縮機構20は、固定スクロール21、旋回スクロール22、旋回スクロール22の公転旋回運動を許容するとともに自転を阻止するオルダムリンク等の自転阻止機構23等を主な構成要素としている。
旋回スクロール22は、旋回端板22aとその内面に立設された渦巻状壁体22bとを備えている。旋回端板22aの外面に立設されたボス22c内には、偏心ブッシュ(ドライブブッシュ)26が旋回軸受27を介して回転自在に嵌合され、この偏心ブッシュ26に穿設された穴には、シャフト2の端部から突出した偏心ピン(シャフトピン)3が嵌合されている。なお、以下の説明では、ボス22c,偏心ブッシュ26,旋回軸受27及び偏心ピン3等により構成される構成部分について、ドライブブッシュ部28と呼ぶことにする。
そして、固定スクロール21と旋回スクロール22とを相互に所定距離だけ偏心させ、かつ、180度だけ角度をずらして噛み合わせることにより、複数の圧縮室Cが形成されるようになっている。
このように、図示の圧縮機CPは、ガス冷媒を吸入して圧縮するスクロール圧縮機構20と、シャフト2を介してスクロール圧縮機構20を駆動する電動モータ40と、スクロール圧縮機構20及び電動モータ40を収納するハウジング1とを備え、インバータ制御の電動モータ40により駆動される横型のスクロール電動圧縮機である。
なお、横型の圧縮機CP及びシャフト2に関する以後の説明において、フロントハウジング1Aに収納されるスクロール圧縮機構20と連結される偏心ピン3及び偏心ピン基部4側を圧縮機CPにおける前方と呼び、リアハウジング1Bに収納される電動モータ40及びサブ軸受6側を後方と呼ぶことにする。
すなわち、この場合の潤滑油流路50は、フロントハウジング1A内の高圧側領域から低圧側領域のドライブブッシュ部28へ向けて、潤滑油を圧力差により押圧して供給するための流路となる。
この圧縮機CPは、オイルセパレータ(不図示)を通り、冷媒から分離されて戻った潤滑油を一時的に貯留するため、スクロール圧縮機構20より前方となるフロントハウジング1Aの底面側に高圧油溜まり7を備えている。この高圧油溜まり7に貯留された潤滑油は、スクロール圧縮機構20の動作により生じるハウジング1内の圧力差により、図1に示す矢印F1のように、一部が固定スクロール21の固定端板21aを貫通して設けた潤滑穴51に押し込まれる。
そこで、ハウジング1の底部近傍に配設されたストレーナ52及び螺旋溝53aを通過した潤滑油をドライブブッシュ部28へ導くため、たとえば図6に示すように、スラストプレート29の下部には給油孔29aが穿設され、さらに、上部軸受5の下部には給油孔29aと略同じ高さまで切り欠いた給油溝5bが形成されている。なお、給油孔29a及び給油溝5bを形成する下部は、いずれもハウジング1の底面近傍である。
この結果、切断面3aと偏心ブッシュ26との間に形成された空間は、潤滑油を偏心ピン3の前端(先端)領域まで導く潤滑油流路(図1の矢印F5参照)となる。
なお、ドライブブッシュ部28を潤滑した潤滑油は、ハウジング1の下方へ落下して高圧油溜まり7に戻される。
サブ軸受6が配設されているリアハウジング1Bは、冷媒回路を循環して圧縮機CPの吸入口9から導入されたガス冷媒の流路となる。このため、電動モータ40が設置されているリアハウジング1B内には、ミスト状の潤滑油を含み、スクロール圧縮機構20で圧縮する前の低圧ガス冷媒が存在している。
このミスト潤滑促進装置60は、圧縮機CPの運転によりシャフト2が回転して発生する遠心力を受けることにより、図中に矢印fで示すように、サブ軸受部6より奥に位置するシャフト端面2bから横穴61及び放射状穴62を通り、シャフト2の外周面へ向かって流れるミスト状潤滑油の流れを形成する。
この場合、シャフト2の外周面に穿設される放射状穴62の方向については、スクロール圧縮機構20を構成するスイングリンクの偏心ピン3と同方向、あるいは、180度反対の方向とすることが好ましい。すなわち、偏心ピン3がシャフト2の軸中心から偏心している方向、または、この偏心方向から180度反対の方向に放射状穴62を設けることにより、偏心ピン3の機械加工が容易になる。
これは、スイングリンク式の可変旋回半径機構を採用したスクロール圧縮機構20の場合、加工誤差の許容や摩擦係数の観点から、偏心ピン3をシャフト2の軸中心から大きく偏心させることが望ましく、さらに、偏心ブッシュ26を支持する旋回軸受27についても、軸方向長さを大きくすることが望ましいためである。
また、上述した防振部材32はドーナツ型とされ、スクロール圧縮機構20の吐出ポート24及び吐出弁25が設けられる方向に応じて、たとえば図7に示すように、内側の円形部分が略く字状の仕切部材32cにより分割されている。この仕切部材32cは、圧縮機構20の高圧側と低圧側とを区分するものであり、吐出弁25が配設される高圧側の面積が大きくなっている。
このようにすれば、一種類の防振部材32を用意して吐出方向の異なる圧縮機CPの共通部品とすることができる。すなわち、圧縮機CPの吐出方向に応じて防振部材32の表裏を逆にして使用する場合、いずれか一方の切欠32dのみがストレーナ52と位置合わせした状態で使用され、他方の切欠32dは、フロントハウジング1Aと固定端板21aとの間に挟持された状態となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1A フロントハウジング
1B リアハウジング
2 シャフト
2a シャフト後端部
2b シャフト端面
3 偏心ピン(シャフトピン)
3a 切断面
3b 溝
4 偏心ピン基部
4a ドライブブッシュ設置面
4b 給油段差面
5 上部軸受
5a 保持部材
5b 給油溝
5c フランジ部
6 サブ軸受
7 高圧油溜まり
8 低圧油溜まり
9 吸入口
10 インバータ制御部
20 スクロール圧縮機構
21 固定スクロール
21a 固定端板
21b 渦巻状壁体
22 旋回スクロール
22a 旋回端板
22b 渦巻状壁体
22c ボス
23 自転阻止機構
24 吐出ポート
25 吐出弁
26 偏心ブッシュ(ドライブブッシュ)
27 旋回軸受
28 ドライブブッシュ部
29 スラストプレート
29a 給油孔
30 バランスウエイト
31 (クリセント型の)スナップリング
32 防振部材
32c 仕切部材
32d 切欠
40 電動モータ
50 潤滑油流路
51 潤滑穴
52 ストレーナ
53 ピン
53a 螺旋溝
60 ミスト潤滑促進装置
61 横穴
62 放射状穴
CP スクロール電動圧縮機(圧縮機)
C 圧縮室
Claims (4)
- 流体を吸入して圧縮するスクロール圧縮機構と、シャフトを介して前記スクロール圧縮機構を駆動する電動モータと、前記スクロール圧縮機構及び前記電動モータを収納するハウジングと、を備えている横型のスクロール電動圧縮機であって、
前記スクロール圧縮機構が、前記ハウジングの底部近傍に配設されたストレーナを通過して固定スクロールの下部空間に流入した潤滑油をドライブブッシュ部へ導く潤滑油流路を備え、
前記潤滑油流路は、スラストプレートに穿設した給油孔と、上部軸受に形成した給油溝と、前記シャフトのドライブブッシュ設置面を切り欠いて形成した給油段差部と、偏心ピンの外周を軸方向に切削した切断面と、が連通して形成されることを特徴とするスクロール電動圧縮機。 - 前記シャフトの電動モータ側端部を支持するサブ軸受部の近傍に、前記電動モータ側のシャフト端面から軸方向へ前記サブ軸受部を超えて穿設された横穴と、該横穴の最奥部近傍に連通するよう前記シャフトの外周面から穿設された放射状穴とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール電動圧縮機。
- 前記ストレーナが、前記固定スクロールと防振部材との間に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール電動圧縮機。
- 前記偏心ピンの先端部にドライブブッシュを固定するスナップリングがクリセント型であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスクロール電動圧縮機。
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