JP4961178B2 - 密閉型スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
このため、この隙間の分、スラストリングとリング溝との間には、がたが生じることにより、スラストリングがリング溝内で傾き、揺動スクロールに一様の押し付け力が作用しない。従って、揺動スクロールと固定スクロールとの間の圧縮空間から冷媒が漏れ、密閉型スクロール圧縮機の冷却効率の低下を招くといった問題があった。
そこで、本発明は、上述した課題を解決し、冷却効率の向上を図った密閉型スクロール圧縮機を提供することを目的とする。
この低圧側空間13には、冷媒を圧縮する圧縮要素14と、この圧縮要素14を駆動する電動要素15とが配置され、低圧側空間13の底部は、上記圧縮要素14等を潤滑する潤滑油が貯留される油溜まり16となっている。また、圧縮容器10には、低圧側空間13に冷媒を導入する冷媒吸込管17と、圧縮要素14にて圧縮された冷媒を高圧側空間12を介して機外に吐出する冷媒吐出管18とが形成されている。
また、固定スクロール19は、この固定スクロール19のフランジ34が複数本のボルト24を介してメインフレーム22に固定され、揺動スクロール20は、オルダムリング25を介してメインフレーム22に支持されている。このオルダムリング25は、揺動スクロール20を固定スクロール19に対して旋回させるものであり、180度対称の位置で上方に突出して形成されたオルダムキー25A、25Aを備える。これらオルダムキー25A、25Aは、固定スクロール19の下面に形成されたキー溝19Aに摺動自在に係合する。揺動スクロール20が旋回運動する場合、オルダムリング25は、この旋回に伴い、固定スクロール19とメインフレーム22との間に形成された摺動スペース80内を上記オルダムキー25Aの延出方向に沿って摺動する。
回転軸23が回転すると、油溜まり16に溜まった潤滑油は、この回転軸23の吸込口45から油路44に入り、この油路44のパドル46に沿って上方に汲み上げられる。そして、この汲み上げられた潤滑油は、各給油口47を通じて各軸受28、41、49を潤滑する。また、ボス収容部42まで汲み上げられた潤滑油は、メインフレーム22に形成された返送管48を通じて当該メインフレーム22の外周部に導かれ、この外周部に形成された排出口48Aから排出されることにより、再び油溜まり16に戻される。
また、本構成では、揺動スクロール(一方のスクロール)20は、固定スクロール(他方のスクロール)19に向けて軸方向に移動自在に支持されており、上記圧縮要素14の駆動時に、スラストリング52の下面(背面)に当該圧縮要素14による圧縮過程の冷媒を導入することにより、当該スラストリング52を介して、揺動スクロール20を固定スクロール19に押し付け可能な構成となっている。
第1連通孔59は、揺動スクロール20の鏡板38の半径方向に延出するように形成され、この鏡板38の上面(ラップ面)に形成された上面口59Aと、当該鏡板38の下面(背面)に設けられた下面口59B(第1開口)とを備える。この上面口59Aは、中間圧力の圧縮空間21に連通する位置に設けられ、この中間圧力は吸込圧力により近い値に設定されている。より具体的には、上面口59Aは、例えば、吸込圧力を5kg/cm2、吐出圧力を30kg/cm2とした場合、導入する中間圧力が10〜15kg/cm2となる圧縮空間21に連通する位置に設けられている。本構成では、背面空間55に吸込圧力に近い値の中間圧力の冷媒を導入することができるため、スラストリング52を比較的弱い力で押圧することができる。これによれば、圧縮空間21の冷媒圧力に変動が生じた場合であっても、この圧力変動に伴う押圧力の変動を抑制することができ、スラストリング52を介して、揺動スクロール20を固定スクロール19に安定して押し付けることができる。
これによれば、揺動スクロール20の旋回時に、この揺動スクロール16を反転させようとする力が生じた場合であっても、上記気密部材62により、圧縮空間21から第1連通孔59に流入した冷媒が、スラストリング52と揺動スクロール20との摺動面を通じて、ボス収容部42に流入することを防止される。従って、ボス収容部42に流入した中間圧力の冷媒が油路44に流れ込むことにより、潤滑油の供給が阻害されることが防止される。
このように、スラストリング52の内周縁に設けたOリング56を、外周縁に設けたOリング57よりも高い位置に配置することにより、この外周縁の上部82をオルダムリング25の摺動スペース80の内壁として利用することができ、スペースの有効活用を図ることにより、装置の小型化を図ることができる。
スラストリング52の内周縁の上段部66と、リング溝51の内壁のシール面70との間には、長さtの隙間が形成されており、この隙間に上記Oリング56が介装されている。一方、スラストリング52の内周縁の下段部65は、リング溝51の内壁のガイド面71にインローに嵌合し、当該スラストリング52は、ガイド面71に沿って上記リング溝51内を摺動自在に案内されるようになっている。本構成では、スラストリング52の内周縁の下段部65には、図3および図4に示すように、この下段部65の上下方向に延びる通気溝67が形成され、背面空間55に導入された冷媒はこの通気溝67を通じて、Oリング56の下方の空間に至る。
ここで、スラストリングを傾かせることなく、ガイド溝に沿って摺動させる構成として、ガイド溝にガイドピンを立設し、このガイドピンをスラストリングに貫通させる構成が考えられる。しかしながら、この構成では、立設するガイドピンの位置精度が要求されるため、加工が困難になるといった問題がある。これに対して、本構成では、リング溝51の内壁の下段部65は、スラストリング52の内周縁とインロー嵌合する精度を備えていれば良い。特に、周面加工においては、高い加工精度を発揮することが比較的容易であるため、ガイドピンを立設するものに比べて、容易に加工することができるといった効果を奏する。
従って、背面空間55に冷媒を導入させて、スラストリング52をリング溝51のガイド面71に沿って上下方向に摺動することにより、このスラストリング52がリング溝51内で傾くことが防止される。このため、このスラストリング52を介して揺動スクロール20に一様な押し付け力を作用させることにより、この揺動スクロール20の傾きが防止されるため、これら揺動スクロール20と固定スクロール19とが密接する。このため、揺動スクロール20と固定スクロール19間に形成される圧縮空間21からの冷媒漏れが抑制されることにより、密閉型スクロール圧縮機100の冷却効率の向上を図ることができる。
この構成では、リング溝51の内壁の上部側がシール面70Aとして機能し、当該内壁の下部側がガイド面71Aとして機能する。一方、スラストリング52Aでは、このスラストリング52Aの内周縁の上段部66Aを下段部65Aよりも僅かに内側に設け、この上段部66AにOリングを配置している。この構成によれば、リング溝51Aの加工が容易となり、より精度の高いガイド面71Aを形成することが可能となる。
この構成では、上記と同様に、リング溝51Bの加工が容易となり、より精度の高いガイド面71Bを形成することが可能となる。これに加えて、これらガイド面71Bに沿ってスラストリング52Bの内周縁の上段部65Bおよび下段部65Cを案内するため、リング溝51B内におけるスラストリング52Bの上下方向に安定して動作させることができる。
14 圧縮要素
15 電動要素
19 固定スクロール(他方のスクロール)
20 揺動スクロール(一方のスクロール)
21 圧縮空間
22 メインフレーム(支持部材)
51 リング溝
55 背面空間
56 Oリング(シール部材、内側シール部材)
57 Oリング(シール部材、外側シール部材)
58 連通孔
59 第1連通孔
59B 下面口(第1開口)
60 第2連通孔
60A 上面口(第2開口)
62 気密部材
70、70A、70B シール面(シール部)
71、71A、71B ガイド面(ガイド部)
80 摺動スペース
100 密閉型スクロール圧縮機
Claims (5)
- 圧縮容器内に、固定スクロールおよび揺動スクロールを有した圧縮要素と、前記揺動スクロールを旋回駆動する電動要素とを備え、一方のスクロールを他方のスクロールに向けて軸方向に移動自在に支持し、移動自在なスクロールの背面にスラストリングを設け、前記圧縮要素の駆動時には、前記スラストリングの背面空間に圧縮過程の冷媒を導入し、当該スラストリングを介して、一方のスクロールを他方のスクロールに押し付ける機能を備えた密閉型スクロール圧縮機において、
前記スラストリングの支持部材に、このスラストリングを受け入れるリング溝を設け、前記スラストリングの内周縁および外周縁にそれぞれシール部材を設け、前記リング溝に、前記スラストリングの内周縁もしくは外周縁の少なくとも一方とインロー嵌合し、当該スラストリングを当該リング溝内で摺動自在に案内するガイド部を設け、前記両スクロール間における中間圧の圧縮空間と、前記スラストリングの背面空間とを連通する連通孔を備え、前記連通孔は、前記一方のスクロールに形成され、前記圧縮空間と当該一方のスクロールの背面に設けられた第1開口とを連通する第1連通孔と、前記スラストリングに形成され、前記第1開口に連なる第2開口と前記背面空間とを連通する第2連通孔とを備え、前記第2開口は、前記一方のスクロールが旋回する際に、前記第1開口の旋回軌跡を含む大きさに形成され、前記スラストリングは、前記第2開口の周囲に気密部材を備えることを特徴とする密閉型スクロール圧縮機。 - 前記スラストリングを前記リング溝に配置した場合、このリング溝は、前記ガイド部の上方に前記シール部材と当接するシール部を備えることを特徴とする請求項1にいずれかに記載の密閉型スクロール圧縮機。
- 前記揺動スクロールを前記固定スクロールに対して旋回させるオルダムリングを備え、このオルダムリングが当該揺動スクロールの旋回に伴い、前記固定スクロールと前記メインフレームとの間に形成された摺動スペース内を摺動する場合、前記スラストリングの外周面の一部が当該摺動スペースの内壁を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型スクロール圧縮機。
- 前記スラストリングの内周縁に設けられた内側シール部材は、外周縁に設けられた外側シール部材よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の密閉型スクロール圧縮機。
- 前記スラストリングは、鉄系の焼結部材によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の密閉型スクロール圧縮機。
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