JP4727468B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール圧縮機に関し、特に、車載用空調装置などに使用されて好適なスクロール圧縮機に関するものである。
従来から、例えば、冷凍装置や空気調和装置で冷媒ガスなどの圧縮に広く使用されているスクロール圧縮機においては、固定スクロール部材、旋回スクロール部材及び自転阻止機構、旋回スクロール部材を旋回させる駆動軸等を備えることでスクロール圧縮機構を構成しているものがある。該スクロール圧縮機構では、固定スクロール部材は、吸入管及び吐出管を接続したハウジング内に固定された不動のスクロールである。旋回スクロール部材は、固定スクロール部材と噛み合わされた状態でハウジング内に配置され、自転阻止機構により自転が阻止されると共に、電動モータなどの駆動源により、固定スクロール部材に対し公転旋回運動を行うものである。この旋回スクロール部材は、固定スクロール部材と複数の接触点で接触して三日月状の圧縮室を形成し、該圧縮室が外周側より容積を減少させながら内側へ移動することにより、吸入・圧縮・吐出を同時に行うことができる。
このような従来のスクロール圧縮機では、旋回スクロールが回転して、圧縮室の圧力が上昇する際に、この徐々に圧縮される空気の圧力により旋回スクロール部材に固定スクロール部材から離間する力が作用する。すると、旋回スクロールの浮き上がり現象が発生し、その結果、圧縮されたガスの漏れ、圧縮率の低下を招くことがあった。このような問題に対し、旋回スクロール部材の鏡板背面側に高圧雰囲気の背圧室を形成することで、背圧力により旋回スクロール部材を固定スクロール部材側に押し付け、前記浮き上がりを防止し、圧縮率の低下を抑制するスクロール圧縮機があった(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開平3−92502号公報 特許第2754037号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているスクロール型流体機械や、特許文献2に記載されているスクロール圧縮機では、背圧室をシールする背圧シールは、駆動軸と旋回スクロール部材との間に設けられる旋回軸受の外側あるいは旋回軸受と駆動軸との間に設けられる。特に、冷媒ガスとしてガス圧の高いガスを用いると、旋回軸受が大きくなり、結果的に、背圧室の径も大きくなることで、背圧力が過剰になり旋回スクロール部材の過剰押し付けが生じ、スクロール圧縮機の性能や信頼性の低下を招くことがあった。
そこで本発明は、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるスクロール圧縮機は、内部が中空のハウジングと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体が前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転を阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持された旋回スクロールと、端部に形成された偏心部が前記旋回スクロールに係合されることで該旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動軸と、前記偏心部の前記旋回スクロールの端板と対向する端面と前記旋回スクロールの端板との間に配設される第1の封止手段と、前記偏心部の前記端面と前記旋回スクロールの端板との間に位置し、前記第1の封止手段によって画成され、内部の圧力が前記旋回スクロールを前記固定スクロール側に押し付けるように作用する背圧室とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記背圧室が前記旋回スクロールの中心部に設けられることを特徴とする。
請求項3に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記旋回スクロールから前記駆動軸に作用する押し付け反力を支持する支持手段を備えることを特徴とする。
請求項4に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記第1の封止手段は、前記旋回スクロールの端板、又は、前記偏心部の前記端面と摺動可能な摺動面を有し、該摺動面に潤滑油を保持する複数の凹部が形成されることを特徴とする。
請求項5に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する圧縮室を備え、前記圧縮室で圧縮された流体を前記背圧室に導入する圧力導入孔が前記旋回スクロールの端板に形成されることを特徴とする。
請求項6に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する圧縮室を備え、前記圧縮室で圧縮され、前記ハウジング内に流動した流体を前記背圧室に導入する圧力導入孔が前記駆動軸に形成されることを特徴とする。
請求項7に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記圧力導入孔の出口は、少なくとも一部が前記前記第1の封止手段の前記摺動面に対向していることを特徴とする。
請求項8に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記第1の封止手段は円環状に形成され、該第1の封止手段の円周方向に沿った油溝と、該油溝と前記背圧室とを連通する連通溝が、前記摺動面、又は、該摺動面に対向する面に形成され、前記圧力導入孔の出口は、前記油溝に対向していることを特徴とする。
請求項9に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記第1の封止手段と前記旋回スクロールの端板との間、又は、前記第1の封止手段と前記偏心部の前記端面との間に配設され、前記第1の封止手段と前記旋回スクロールの端板、又は、前記第1の封止手段と前記偏心部の前記端面との接触状態を調整する接触状態調整手段を備えることを特徴とする。
請求項10に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記駆動軸は、柱状に形成されるシャフトと、該シャフトの端面に偏心して形成されるピンと、該ピンの外周側を覆うように該ピンに取り付けられるブッシュとを含んで構成され、前記ピンと前記ブッシュは、前記偏心部を構成し、前記第1の封止手段は、前記ブッシュと前記旋回スクロールの端板との間に配設され、さらに、前記ピンと前記ブッシュとの間、又は、前記シャフトの端面と前記ブッシュとの間に第2の封止手段を備えることを特徴とする。
請求項11に係る発明によるスクロール圧縮機では、前記偏心部の前記端面と前記第1の封止手段との間に配設される補助部材と、前記補助部材の前記第1の封止手段とは反対側にスラスト荷重を支持する軸受を備え、前記補助部材は、前記旋回スクロールの端板に当該旋回スクロールに対して相対的に回転しないように固定され、前記背圧室は、前記補助部材と前記旋回スクロールの端板との間に位置することを特徴とする。
請求項1に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体が前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転を阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持された旋回スクロールを備える。第1の封止手段は、旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動軸の端部に形成された偏心部の旋回スクロールの端板と対向する端面と、旋回スクロールの端板との間に配設される。背圧室は、偏心部の端面と旋回スクロールの端板との間に、内部の圧力が旋回スクロールを固定スクロール側に押し付けるように作用するように、この第1の封止手段によって画成される。したがって、背圧室の背圧径を所望の大きさに設定することで所定の背圧力を確保することができ、旋回スクロールの端板に適正な押圧力を付加することができる。よって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。
請求項2に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、前記背圧室が前記旋回スクロールの中心部に設けられるので、常に旋回スクロールの中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロールの端板に対して偏心することなく均等にかけることができる。したがって、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
請求項3に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、旋回スクロールから駆動軸に作用する押し付け反力を支持する支持手段を備えるので、支持手段は、押圧力の反力として駆動軸に作用するスラスト方向の荷重を支持することができる。したがって、駆動軸、第1の封止手段が旋回スクロールから離れる方向に動くことが防止され、背圧室からの流体の漏洩を抑制することができる。
請求項4に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、第1の封止手段は、旋回スクロールの端板、又は、駆動軸部の前記偏心部の端面と摺動可能な摺動面を有する。そして、第1の封止手段の該摺動面に潤滑油を保持する複数の凹部を形成するので、第1の封止手段の摺動部分に、潤滑油を確実に供給することができ、スクロール圧縮機の効率的な運転や長寿命化に資することができる。また、凹部に潤滑油が供給されているため、摺動面に油膜が形成されやすくなり、流体潤滑により第1の封止手段の信頼性を向上することができる。
請求項5に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、圧縮室は、固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する。そして、この流体を旋回スクロールの端板に形成される圧力導入孔を介して背圧室に導入する。したがって、簡単な構造で背圧室に適正な圧力を導入することができ、さらに、潤滑油がいきわたりにくい旋回スクロールと駆動軸との係合部分に対して潤滑油を供給することができる。
請求項6に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、圧縮室は、固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する。そして、圧縮室で圧縮され、ハウジング内に流動した流体を駆動軸に形成される圧力導入孔を介して背圧室に導入する。したがって、背圧室に適正な圧力を導入することができ、さらに、潤滑油がいきわたりにくい旋回スクロールと駆動軸との係合部分に対して潤滑油を供給することができる。
請求項7に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、少なくとも圧力導入孔の出口の一部が、第1の封止手段の摺動面に対向するように形成されるので、流体が背圧室に導入されると共に、この流体中に含有されている潤滑油が第1の封止手段に直接供給される。したがって、第1の封止手段の劣化を防止し、長寿命化させることができる。
請求項8に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、第1の封止手段は円環状に形成される。さらに、第1の封止手段の摺動面、又は、この摺動面に対向する面に、第1の封止手段の円周方向に沿った油溝と、この油溝と背圧室とを連通する連通溝が形成される。さらに、圧力導入孔の出口は、油溝に対向するように形成されるので、流体中に含有されている潤滑油は油溝に保持され、流体は連通溝を介して背圧室に導入される。したがって、背圧室に適正な圧力を導入すると共に、第1の封止手段の摺動に伴って、油溝に保持される潤滑油を第1の封止手段に沿ってむらなくいきわたらせることができる。
請求項9に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、接触状態調整手段は、前記第1の封止手段と前記旋回スクロールの端板との間、又は、前記第1の封止手段と前記偏心部の端面との間に配設され、前記第1の封止手段の摺動面の接触状態を調整するので、第1の封止手段の接触圧を適正にすることができ、また、この摺動面と対向する面とのに隙間がある場合には、この隙間を適正にコントロールすることができる。したがって、第1の封止手段は、より確実に背圧室の気密性を保持することができる。また、製作過程で生じるある程度の誤差を適宜修正できるので、製作も容易になる。
請求項10に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、シャフトの端面に偏心して形成されるピンに取り付けられるブッシュを備えることでラジアル方向のクリアランスを適宜調整することができる。さらに、第2の封止手段がピンとブッシュとの間、又は、シャフトの端面とブッシュとの間を封止するので、確実に気密性の高い背圧室を形成することができる。
請求項11に係る発明によるスクロール圧縮機によれば、補助部材は、旋回スクロールに当該旋回スクロールに対して相対的に回転しないように固定されているので、旋回スクロールに対して相対的に回転せず、旋回スクロールと一体になって、偏心部42に対して相対的に回転する。補助部材と旋回スクロールの端板との間に配設される第1の封止手段も旋回スクロールに対して相対的に回転しないので、第1の封止手段は端板と摺動することはない。さらに、補助部材は、軸受により回転自在に支持されているので、補助部材、偏心部の磨耗は防止される。したがって、背圧室の気密性を保持することができ、さらに、第1の封止手段の劣化を招くこともなく、信頼性が向上する。
以下に、本発明に係るスクロール圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1の断面図である。本図に示すスクロール圧縮機1は、車載用空調装置などに使用されて好適なスクロール圧縮機であり、流体として冷媒ガスが用いられる。スクロール圧縮機1は、内部が中空のハウジング30と、ハウジング30に固定して内設される固定スクロール10と、自転を阻止されつつ公転旋回可能にハウジング30内に支持された旋回スクロール20とを備える。固定スクロール10は、渦巻状の壁体としての固定側渦巻状ラップ12が立設される端板11を有する。旋回スクロール20は、渦巻状の壁体としての旋回側渦巻状ラップ22が立設される端板21を有し、該旋回側渦巻状ラップ22が固定スクロール10の固定側渦巻状ラップ12に噛み合わせた状態で前記公転旋回可能に支持される。さらに、スクロール圧縮機1は、端部に形成された偏心部42が旋回スクロール20の端版21に係合することで該旋回スクロール20に駆動力を伝達する駆動軸40と、偏心部42の端面と該端板21との間に配設される第1の封止手段としての背圧シール52と、偏心部42の端面と端板21との間に、背圧シール52よって画成される背圧室53と、駆動軸40を駆動するモータ60とを備える。背圧室53は、内部の圧力が旋回スクロール20を固定スクロール側に押し付けるように作用するように形成される。
ハウジング30は、スクロール側ハウジング31、ミドルハウジング32、モータ側ハウジング33の複数の部分に分けれており、該複数の部分が一体となって内部に上述した固定スクロール10、旋回スクロール20、駆動軸40等を収容している。スクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング33とは、共に一端が閉止された略円筒形状に形成されている。スクロール側ハウジング31とモータ側ハウジング33とは、双方の略円筒形の閉止されている側の端部の反対側の端部(開口されている側の端部)同士の間に両端が開口した略円筒形状のミドルハウジング32を挟み込むようにして、ボルトなどの連結部材54によって連結される。ハウジング30は、このようにスクロール側ハウジング31と、ミドルハウジング32と、モータ側ハウジング33とが連結されることにより、一体となって、両端が閉止された略円筒形状に形成されている。
このハウジング30には、モータ側ハウジング33に吸入口34が形成されている。さらに、スクロール側ハウジング31に吐出口35が形成されている。吸入口34及び吐出口35は、当該スクロール圧縮機1の外部の冷媒ガス経路(不図示)に接続されている。なお、本実施例で説明するスクロール圧縮機1は、ハウジング30内が低圧雰囲気である、いわゆる低圧ハウジング型のスクロール圧縮機である。
モータ60は、ハウジング30におけるモータ側ハウジング33側の内部に配設されている。該モータ60は、ロータ61とステータ62を含んで構成されている。ロータ61は、駆動軸40を構成する回転軸としてのシャフト41に取り付けられている。ロータ61は、シャフト41の軸方向がハウジング30の形状である略円筒形の中心軸とほぼ一致する方向、及び位置でハウジング30内に配設けられている。ステータ62は、ロータ61の外側のハウジング30内壁に取り付けられている。
シャフト41は、略円柱状に形成される。シャフト41は、偏心部42とは反対側の端部がモータ側ハウジング33の閉止側に設けられたベアリング56に支持されている。さらに、シャフト41は、ミドルハウジング32に内設されたベアリング55によって偏心部42側が支持されている。シャフト41は、ベアリング55、ベアリング56により、ハウジング30内に回転可能に支持されており、ロータ61もこれらのベアリング55、ベアリング56により回転可能に支持されている。前記ステータ62は、このように回転可能に支持されたロータ61の外周側に設けられており、モータ側ハウジング33に固定されている。
シャフト41のベアリング55側には、上述した固定スクロール10と旋回スクロール20とを含んで構成される圧縮機構70が位置している。該圧縮機構70は、スクロール側ハウジング31に内設されており、前記旋回スクロール20はモータ60側、前記固定スクロール10は、スクロール側ハウジング31の閉止されている側に位置している。
シャフト41の旋回スクロール20側の端部には、上述したように、略円筒形状の偏心部42が形成されている。偏心部42は、偏心部42の中心軸線42aとシャフト41の中心軸線41aとが平行となり、且つ、中心軸線42aが中心軸線41aから距離δだけ離れて位置するように形成される。したがって、偏心部42は、シャフト41に対して距離δだけ偏心している。
旋回スクロール20の端板21の駆動軸40側の面(旋回側渦巻状ラップ22が立設されている面とは反対側の面)には、偏心部42が係合するためのボス部51が形成されている。ボス部51は、モータ60側に突出するように形成される。また、ボス部51は、内側が空洞の略円筒状の形状に形成される。さらに、ボス部51は、略円筒形状の中心軸が、略円盤状に形成される旋回スクロール20の端板21のおよそ中心を通るように形成される。偏心部42は、ボス部51の内側に配設される旋回軸受50を介して、旋回スクロール20と偏心部42とが相対的に回転自在となるようにボス部51に嵌装されている。
旋回スクロール20には、モータ60側の面で、且つ、ボス部51よりも外側の部分(スクロール側ハウジング31の内壁寄りの部分)に、モータ60側に突出した阻止機構(不図示)が複数配設されている。旋回スクロール20は、この自転防止機構により自転が阻止され、シャフト41の中心軸線41aを公転軸として公転旋回運動可能に、ハウジング30内に設けられている。
固定スクロール10は、端板11の形状が、スクロール側ハウジング31の内径とほぼ同じ径となる円筒形の形状(スクロール側ハウジング31の内部の形状)で形成されており、スクロール側ハウジング31の内部に焼嵌めされている。これにより、固定スクロール10は、スクロール側ハウジング31の内部に密着固定されている。なお、固定スクロール10をスクロール側ハウジング31に密着固定する方法は、焼嵌め以外に圧入など、固定スクロール10をスクロール側ハウジング31に密着固定して内設できる方法であれば、焼嵌め以外の方法でよい。
このように配置される固定スクロール10と旋回スクロール20には、共に渦巻状ラップが設けられている。固定スクロール10には、固定側渦巻状ラップ12が端板11の旋回スクロール20側の面に立設され、旋回スクロール20には、旋回側渦巻状ラップ22が端板21の固定スクロール10側の面に立設されている。すなわち、固定側渦巻状ラップ12と旋回側渦巻状ラップ22とは、固定スクロール10と旋回スクロール20の各端板11、21の互いに対向する面に形成されている。対向する面に形成された固定側渦巻状ラップ12と旋回側渦巻状ラップ22とは、噛み合っている。また、固定スクロール10と旋回スクロール20との間に位置し、固定スクロール10と旋回スクロール20とによって区画される空間に圧縮室59が形成されている。圧縮室59は、固定スクロール10に対して旋回スクロール20が公転旋回することで、潤滑油を含有した冷媒ガスを内部で圧縮する。
スクロール側ハウジング31の内部は、固定スクロール10が焼嵌めされている部分の内径よりも内径が小さくなっている。この部分は、固定スクロール10がスクロール側ハウジング31の内部に焼嵌めされて密着固定されることにより、ハウジング30内におけるモータ60側の部分と仕切られている。スクロール側ハウジング31において閉止している側の端部側の内部に位置し、当該スクロール側ハウジング31と固定スクロール10とによって区画された部分は、高圧部30aとして形成される。ハウジング30の内部において旋回スクロール20よりもモータ60側に位置している部分は低圧部30bとして形成される。冷媒ガスを圧縮する圧縮室59は、上述したように、固定スクロール10と旋回スクロール20との間の部分に形成されている。固定スクロール10と旋回スクロール20との間には、圧縮室59に圧縮する冷媒ガスを導入する吸入室73が形成されている。また、モータ側ハウジング33に形成された吸入口34は低圧部30bに開口しており、スクロール側ハウジング31に形成された吐出口35は高圧部30aに開口している。
さらに、固定スクロール10には、圧縮室59と高圧部30aとを連通する孔である吐出ポート71が形成されている。また、当該吐出ポート71の高圧部30a側の面には、吐出ポート71を開閉する吐出弁72が設けられている。また、圧縮機構70の吐出弁72とは反対側(旋回スクロール20の端板21側)に、上述したように、背圧シール52が配設され、背圧室53を形成している。
図2は、本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1の旋回スクロール20及び偏心部42の部分断面図である。背圧シール52は、略円環状に形成されている。また、偏心部42の端板21と対向する端面42bに、同様に略円環状に溝42cが形成されている。背圧シール52は、該溝42cに嵌装されて固定されることで、端板21と端面42bとの間に、溝42cとは反対側の面が端板21に当接して摺動できるように配設される。背圧シール52としては、OリングやU形のシールなどのシールリング、又は、樹脂製のピストンリング、シャフトシール等の接触型のシール、あるいは、ラビリンスシール等の非接触型のシール等を適宜用いればよい。
背圧室53は、偏心部42の端面42bと旋回スクロール20の端板21との間に位置し、前記背圧シール52によって画成される略円盤形状の室である。背圧シール52は、背圧室53を気密に保持しており、この背圧室53内部の圧力が前記旋回スクロール20を前記固定スクロール10側に押し付けるように作用する。
なお、溝42c及び背圧シール52は、円環状の中心が上述した偏心部42の中心軸線42a上に位置するように形成されている。さらに、略円盤形状に画成される背圧室53の中心軸も、中心軸線42aとほぼ一致している。したがって、溝42c及び背圧シール52の円環状の中心、上述した略円盤状に形成される旋回スクロール20の端板21の中心は、背圧室53の中心軸及び偏心部42の中心軸線42a上に位置している。したがって、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができる。
旋回スクロール20の端板21には、上述した圧縮室59(図1参照)と背圧室53とを連通する圧力導入孔23が形成されている。圧力導入孔23は、圧縮室59で圧縮された冷媒ガスの一部を背圧室53に導入する。
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1の作用について説明する。前記スクロール圧縮機1を運転すると、モータ60のロータ61が回転をする。ロータ61の回転により、当該ロータ61が取り付けられているシャフト41も回転する。シャフト41が回転をすると、シャフト41の中心軸線41aに対して偏心した偏心部42が該中心軸線41aを中心として偏心(自転)運動し、この偏心運動が該偏心部42に旋回軸受50を介して接続されている旋回スクロール20に伝達される。その際に、旋回スクロール20は、自転阻止機構(不図示)がミドルハウジング32に設けられているので、自転することなく中心軸線41aを公転の中心として公転旋回運動をする。
旋回スクロール20が、公転旋回運動をすると、旋回スクロール20に形成されている旋回側渦巻状ラップ22と固定スクロール10に形成されている固定側渦巻状ラップ12との相対的な位置が変化する。この変化により、旋回スクロール20と固定スクロール10とによって区画されている圧縮室59の形状が変化し、圧縮室59の容積が変化する。この圧縮室59の容積変化により、低圧部30bは吸入口34が接続されている冷媒ガス経路に対して負圧になり、冷媒ガス経路内の冷媒ガスが吸入口34から低圧部30bに吸入される。
吸入口34から低圧部30b内に吸入された冷媒ガスは、吸入室73を介して圧縮室59に導入される。圧縮室59に吸入された冷媒ガスは、圧縮室59の容積変化により圧縮され、圧力が高くなった状態で固定スクロール10に形成された吐出ポート71から高圧部30aに吐出される。その際に、吐出ポート71の高圧部30a側には吐出弁72が設けられているが、この吐出弁72は、圧縮室59内における吐出ポート71付近の冷媒ガスの圧力が、高圧部30a内の冷媒ガスの圧力よりも高くなった場合にのみ開く。これにより、高圧部30a側の冷媒ガスが圧縮室59側に逆流することがなく、前記モータ60を回転させることにより、冷媒ガスは低圧部30b側から高圧部30a側に送られる。圧縮され圧力が高い状態で高圧部30aに送られた冷媒ガスは、高圧部30aに開口された吐出口35から外部の冷媒ガス経路に吐出される。
旋回スクロール20が公転旋回運動をすると、当該旋回スクロール20と固定スクロール10とによって区画される圧縮室59内の圧力が上昇する。この圧力は旋回スクロール20をモータ60方向に押す力として作用する。しかしながら、背圧室53には、圧力導入孔23を介して、圧縮室59で圧縮され高圧あるいは中間圧の冷媒ガスが導入される。背圧室53は背圧シール52によって気密に保持されているから、圧力導入孔23を介して圧縮室59から背圧室53内に導かれた圧力は、旋回スクロール20の端板21に押圧力(背圧力)として作用し、旋回スクロール20が固定スクロール10から離れる方向に移動することを阻止して、旋回スクロール20の浮き上りを防止する。
ここで、冷媒ガスは、当該スクロール圧縮機1の運転時には、上述したように吸入口34から吸入され、圧縮された状態で吐出口35から冷媒ガス経路に吐出される。その際、該冷媒ガスには、スクロール圧縮機1の各部を潤滑する潤滑油がミスト状の状態で含有されており、この潤滑油によって、スクロール圧縮機1内の各摺動部は潤滑される。
以上で説明した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1によれば、背圧シール52は、偏心部42の端面42bと、旋回スクロール20の端板21との間に配設される。背圧シール52は、背圧室53内部の圧力が旋回スクロール20を固定スクロール10の方向に押し付ける圧力となるように、該背圧室53を気密に保持する。例えば、冷媒ガスとして、CO2ガスなどのガス圧の高いガスを用いることで、旋回スクロールを旋回させる偏心部を支持する旋回軸受等が大きくなる場合でも、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、旋回スクロール20の端板21に適正な背圧力(押圧力)を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。
なお、偏心部が嵌合されるボス部の内壁と偏心部の外周との間にシールリングを備えるスクロール圧縮機もあるが、クランク軸の外径は旋回軸受及びボス部の内径に応じた径になるので、結局のところ、背圧室53の背圧径Rをクランク軸の径よりも小さくすることができず、背圧力が過剰となることがある。この点、以上で説明した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1は、偏心部42の端面42bと、旋回スクロール20の端板21との間に背圧シール52を配設するので、背圧径Rをより小さくすることもできるので、より適正な背圧力を付加することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1によれば、背圧シール52は、偏心部42の端面42bと、旋回スクロール20の端板21との間に配設されことから、背圧径Rだけでなく、背圧径Rの中心位置もより好適な位置に設定することができる。スクロール圧縮機1では、円環状に形成される背圧シール52の中心、略円盤状に形成される旋回スクロール20の端板21の中心は、背圧室53の中心軸及び偏心部42の中心軸線42a上に位置している。したがって、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1によれば、旋回スクロール20の端板21に圧縮室59と背圧室53とを連通する圧力導入孔23が形成されているので、圧縮室59で圧縮された潤滑油を含有する冷媒ガスを圧力導入孔23を介して背圧室53に導入することができる。したがって、背圧室53に高圧あるいは中間圧の適正な圧力を導入することができ、さらに、例えば、潤滑油がいきわたりにくいボス部51の内部の端板21側等に対して潤滑油を供給することができる。
なお、上述した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機1は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、背圧シール52は、偏心部42の端面42bに形成される溝42cに配設され、溝42cとは反対側の面が端板21に当接して摺動するように配設されるものとして説明したが、端板21側に形成される溝に配設され、該溝とは反対側の面が偏心部42の端面42bに当接して摺動するように配設してもよい。
図3は、本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機201の断面図である。実施例2に係るスクロール圧縮機201は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、支持手段としてのスラスト軸受257を備えている点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
スクロール圧縮機201は、さらに、旋回スクロール20から駆動軸40に作用する押し付け反力を支持する支持手段としてのスラスト軸受257を備える。スラスト軸受257は、シャフト41のベアリング56側の端面とモータ側ハウジング33の内壁との間に配設されている。スラスト軸受257は、駆動軸40にかかる軸方向荷重(スラスト荷重)を支持する。シャフト41は、ベアリング55、ベアリング56及びスラスト軸受257により、ハウジング30内に回転可能に支持されており、ロータ61もこれらのベアリング55、ベアリング56により回転可能に支持されている。
以上で説明した本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機201によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力(押圧力)を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
また、以上で説明した本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機201によれば、シャフト41のベアリング56側の端面とモータ側ハウジング33の内壁との間にスラスト軸受257が配設されているので、背圧力の反力として駆動軸40に作用するスラスト方向の荷重を支持することができる。また、旋回軸受50にスラスト方向の荷重が作用するのを防止できる。したがって、駆動軸40が旋回スクロールから離れる方向に動くことで背圧シール52の接触圧が低下することが防止され、背圧室からの流体の漏洩を抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機201は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、旋回スクロール20から駆動軸40に作用する押し付け反力を支持する支持手段としてスラスト軸受257を用いるものとして説明したが、該支持手段はラジアル軸受をアンギュラ化したアンギュラ軸受を用いてもよい。また、前記支持手段は、シャフト41のベアリング56側の端面とモータ側ハウジング33の内壁との間に配設するものとして説明したが、駆動軸にかかるスラスト方向荷重を支持するのであればシャフト41の端面以外の部分に配設してもよい。
図4は、本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機301の旋回スクロール20及び偏心部42の部分断面図である。実施例3に係るスクロール圧縮機301は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、シャフトの端面に偏心して形成されるピンとしての偏心駆動ピン343と、偏心駆動ピン343の外周側を覆うように該偏心駆動ピン343に取り付けられるブッシュ344と、第2の封止手段としてのシールリング371を備えている点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。
偏心駆動ピン343は、シャフト41の端板21側の端面41bから突出するように形成される。また、偏心駆動ピン343は、略円柱状に形成されており、偏心駆動ピン343の中心軸線342aとシャフト41の中心軸線41aとが平行となり、且つ、中心軸線342aが中心軸線41aから距離δだけ離れて位置するように形成される。したがって、偏心部42は、シャフト41に対して距離δだけ偏心している。
ブッシュ344は、略円筒形状をなし、偏心駆動ピン343の外周面(中心軸線342aに対して略平行な部分)を覆うように、該偏心駆動ピン343に取り付けられる。また、偏心駆動ピン343と、ブッシュ344とは、ボス部51に嵌合する偏心部342を構成する。したがって、本実施例では、駆動軸40は、シャフト41と、偏心駆動ピン343と、ブッシュ344とを含んで構成されており、駆動軸40の偏心部342は、偏心駆動ピン343とブッシュ344によって構成される。
スクロール圧縮機301では、背圧シール52は、ブッシュ344の端面342bと旋回スクロール20の端板21との間に配設される。さらに具体的には、背圧シール52は、ブッシュ344の端面342bに略円環状に形成される溝342cに嵌装されて配設されている。
さらに、スクロール圧縮機301は、偏心駆動ピン343とブッシュ344との間に第2の封止手段としてのシールリング371を備える。シールリング371は、偏心駆動ピン343の外周面と、この外周面と対向するブッシュ344の内周面との間に、互いに当接するように配設される。シールリング371は、背圧シール52とともに、背圧室53内部の圧力が旋回スクロール20を固定スクロール10側に押し付けるように作用するように、該背圧室53を気密に保持する。ブッシュ344は、その肉厚などを変更することによって、ラジアル方向のクリアランスを適宜調整し、公転旋回運動の旋回半径を所望の半径に調整する。ブッシュ344は、いわゆる、ラジアルコンプライアンス機構(可変旋回半径機構)を構成する。
以上で説明した本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機301によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機301によれば、シャフト41の端面41bに偏心して形成される偏心駆動ピン343に取り付けられるブッシュ344等の旋回半径を調整するラジアルコンプライアンス機構(可変旋回半径機構)を備え、ラジアル方向のクリアランスを適宜調整することができる場合でも、偏心駆動ピン343とブッシュ344との間を、シールリング371により封止することで、確実に気密性の高い背圧室を形成することができる。
なお、上述した本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機301は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、第2の封止手段としてのシールリング371は、偏心駆動ピン343の外周面と、ブッシュ344の内周面との間に、互いに当接するように配設されるものとして説明したが、シャフト41の端面41bとブッシュ344との間に配設されるようにしてもよい。この場合、第2の封止手段は、シャフト41の端面41bと、該端面41bに対向するブッシュ344の端面との間に、互いに当接するように配設すればよい。また、シールリングの代わりにガスケット等や非接触型シールを用いてもよい。
図5は、本発明の実施例4に係るスクロール圧縮機401の旋回スクロール20及び偏心部42の部分断面図である。実施例4に係るスクロール圧縮機401は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、接触状態調整手段を備えている点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。
接触状態調整手段としての調整プレート410は、背圧シール52と旋回スクロール20の端板21との間に配設される。調整プレート410は、背圧シール52の摺動面側に配設されている。調整プレート410は、偏心部42の端面42bのほぼ同じ径の円板状のプレート部材であり、旋回スクロール20の端板21に固定される。圧力導入孔23は、調整プレート410も貫通するように形成される。調整プレート410は、その厚さを変更することによって、背圧シール52と端板21との接触状態を調整し、背圧シール52の摺動面の接触圧を適正にする。調整プレート410は、シムプレートなどを用い、このプレートを複数枚設けることでその厚さを変更するようにしてもよい。
以上で説明した本発明の実施例4に係るスクロール圧縮機401によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に固定されている調整プレート410に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例4に係るスクロール圧縮機401によれば、調整プレート410は、背圧シール52の摺動面と旋回スクロール20の端板21との間に配設され、背圧シール52の摺動面接触状態を調整するので、背圧シール52の接触圧を適正にすることができ、また、この摺動面と対向する面とのに隙間がある場合には、この隙間を適正にコントロールすることができる。したがって、背圧シール52は、より確実に該背圧室53の気密性を保持することができる。また、製作過程で生じるある程度の誤差を適宜修正できるので、製作も容易になる。
なお、上述した本発明の実施例4に係るスクロール圧縮機401は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、調整プレート410は、背圧シール52と旋回スクロール20の端板21との間に配設されるものとして説明したが、背圧シール52の摺動面が偏心部42側である場合には、背圧シール52と偏心部42の端面42bとの間に配設してもよい。
図6は、本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機501の背圧シール552の長手方向の部分断面図である。実施例5に係るスクロール圧縮機501は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、背面シールの摺動面に複数の凹部が形成されている点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。なお、ここでは、背圧シール552の長手方向とは、略円環状に形成されている背圧シール552の円周に沿った方向のことをいう。
スクロール圧縮機501の背圧シール552は、略円環形状をなし、旋回スクロール20の端板21と摺動可能な摺動面を有し、該摺動面に潤滑油を保持する複数の凹部としての複数の溝552bが形成される。複数の溝552bは、背圧シール552の摺動する方向に対して交差する方向、好適には、垂直な方向に形成されている。ここで、背圧シール552が摺動する方向は、旋回スクロール20と偏心部42とが相対的に回転する方向(略円環状に形成されている背圧シール552の円周に沿った方向)である。
複数の溝552bは、各々、図中矢印で示す背圧シール552の摺動方向の上流側にいくにしたがって、該溝552bの深さが浅くなるように形成される。本実施例では、複数の溝552bは、本図に示すように、鋸状のテーパとして形成されている。なお、本図では、説明をわかりやすくするために、溝552bの深さを大きめに図示しているが、実際には、数μ程度のごく微小な溝にすぎないので、背圧室53の気密性が損なわれることはない。背圧シール552の複数の溝552bには、潤滑油が保持される。複数の溝552bは、摺動方向の上流側が浅いテーパとして形成されているので、背圧シール552の摺動にともなって、潤滑油が摺動面に引き出されやすくなる。
以上で説明した本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機501によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機501によれば、背圧シール552の摺動面に該摺動する方向に対して略垂直な方向の複数の溝552bが形成される。複数の溝552bは、各々、背圧シール552が摺動する方向の上流にいくにしたがって深さが浅くなるように形成されているので、ボス部51内側の端板21側のような潤滑油がいきわたりにくい部分にも、潤滑油をいきわたりやすくすることができ、スクロール圧縮機の効率的な運転や長寿命化に資することができる。また、摺動面に油膜が形成されやすくなり、流体潤滑により摺動面の信頼性が向上する。
なお、上述した本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機501は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。背圧シール552が旋回スクロール20の端板21側に配設され、摺動面が偏心部42側である場合には、該偏心部42側の摺動面に複数の凹部を設ければよい。また、複数の凹部は、図6で示したテーパ状の溝でなくても、図7に示すような、ステップ状の段差としての溝552cでもよいし、さらに単純に、複数の穴でもよい。
図8は、本発明の実施例6に係るスクロール圧縮機601の旋回スクロール20及び偏心部42の部分断面図である。実施例6に係るスクロール圧縮機601は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、圧力導入孔623の出口の少なくとも一部が背圧シール652の前記摺動面に対向している点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。
スクロール圧縮機601の圧力導入孔623の出口は、少なくとも一部が背圧シール652の前記摺動面に対向するように形成される。本実施例では、圧力導入孔623の摺動面に対向していない部分は、背圧室53に開口している。これにより、圧力導入孔623を介して導入される冷媒ガスが摺動面にぶつかる際に、この冷媒ガスに含まれている潤滑油が摺動面に付着し、摺動面にぶつかった冷媒ガスはそのまま背圧室53に導入される。
以上で説明した本発明の実施例6に係るスクロール圧縮機601によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例6に係るスクロール圧縮機601によれば、少なくとも圧力導入孔623の出口の一部が、背圧シール652の摺動面に対向するように形成されるので、冷媒ガスが圧縮室59から背圧室53に導入される際に、この冷媒ガス中に含有されている潤滑油が背圧シール652に直接供給される。したがって、背圧シール652の摺動面の信頼性を高め、劣化を防止し、長寿命化させることができる。
図9は、本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機701の旋回スクロール20及び偏心部42の部分断面図である。実施例7に係るスクロール圧縮機701は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、円環状の油溝774と、該油溝774と背圧室53とを連通する連通溝775を備える点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。
背圧シール752は、円環状に形成されており、摺動面に該背圧シール752の円周方向に沿った油溝774と、該油溝774と背圧室53とを連通する連通溝775が形成されている。
図10は、本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機701の背圧シール752を旋回スクロール20側から見た平面図である。圧力導入孔723の出口(図中点線で図示)は、全体が背圧シール752によってふさがれないように、油溝774に対向するように形成される。圧力導入孔723の出口は、圧縮室59から導入される冷媒ガスが背圧室53の外部にもれないように、径が背圧シール752の幅よりも小さくなるように形成される。圧縮室59から導入される冷媒ガスは、油溝774に供給されるように導入される。圧力導入孔723の出口が油溝774に対向するように形成されるので、冷媒ガス中に含有されている潤滑油は油溝774に直接供給される。油溝774は、この供給された潤滑油を保持する。連通溝775は、油溝774にぶつかった冷媒ガスを背圧室53に導入する。
以上で説明した本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機701によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機701によれば、背圧シール752の摺動面に、背圧シール752の円周方向に沿った油溝774と、この油溝774と背圧室53とを連通する連通溝775が形成される。さらに、圧力導入孔723の出口は、油溝774に対向するように形成されるので、冷媒ガス中に含有されている潤滑油は油溝774に保持され、冷媒ガスは連通溝775を介して背圧室53に導入される。したがって、背圧室53に適正な圧力を導入すると共に、背圧シール752の摺動に伴って、油溝774に保持される潤滑油を背圧シール752に沿ってむらなくいきわたらせることができる。
なお、上述した本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機701は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、油溝774と連通溝775は、背圧シール752の摺動面に形成するものとして説明したが、該摺動面に対向する面、ここでは旋回スクロール20の端板21に形成してもよい。また、油溝774と背圧室53とを連通する連通溝775は複数あってもよい。
図11は、本発明の実施例8に係るスクロール圧縮機801の部分断面図である。実施例8に係るスクロール圧縮機801は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、旋回スクロール20の端板21に固定される補助部材と、スラスト荷重を支持し、該補助部材に接するように配設される軸受を備えている点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、共通する構成については適宜図1を参照する場合がある。
スクロール圧縮機801は、さらに、偏心部42の端面42bと、背圧シール852との間に配設される補助部材としての補助プレート810と、補助プレート810の、背圧シール852とは反対側にスラスト荷重を支持する軸受としてのスラスト軸受820を備えている。
補助プレート810は、偏心部42の径と略等しい径の円盤状に形成されており、旋回スクロール20の端板21と対向する面に、図2で上述した溝42cとほぼ同様な、略円環状の溝842cが形成されている。背圧シール852は、該溝842cに嵌装されて配設されている。補助プレート810は、ピン等の回り止め830を介して、旋回スクロール20の端板21に固定されている。スラスト軸受820は、偏心部42の端面42bの縁部に円環状に形成される凹部にはめ込むようにして偏心部42に取り付けられ、補助プレート810を回転自在に支持する。したがって、補助プレート810は、旋回スクロール20に対して相対的に回転せず、旋回スクロール20と一体なって、偏心部42に対して相対的に回転する。補助プレート810は、スラスト軸受820により回転自在に支持されているので、補助プレート810、偏心部42の磨耗は防止される。
以上で説明した本発明の実施例8に係るスクロール圧縮機801によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力(押圧力)を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例8に係るスクロール圧縮機801によれば、補助プレート810は、旋回スクロール20に固定されているので、旋回スクロール20に対して相対的に回転せず、旋回スクロール20と一体になって、偏心部42に対して相対的に回転する。補助プレート810と旋回スクロール20の端板21との間に配設される背圧シール852も旋回スクロール20に対して相対的に回転しないので、背圧シール852は端板21と摺動することはない。さらに、補助プレート810は、スラスト軸受820により回転自在に支持されているので、補助プレート810、偏心部42の磨耗は防止される。したがって、背圧室53の気密性を保持することができ、さらに、背圧シール852の劣化を招くこともなく、信頼性が向上する。
図12は、本発明の実施例9に係るスクロール圧縮機901の断面図である。実施例5に係るスクロール圧縮機901は、実施例1に係るスクロール圧縮機1と略同様の構成であるが、実施例1に係るスクロール圧縮機1がいわゆる低圧ハウジング型のスクロール圧縮機であったのに対して、実施例9に係るスクロール圧縮機901は、ハウジング30内が高圧雰囲気である、いわゆる高圧ハウジング型のスクロール圧縮機である点で実施例1に係るスクロール圧縮機1とは異なる。その他、実施例1と共通する構成、作用については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
高圧ハウジング型のスクロール圧縮機901では、ハウジング30全体が圧縮機構70で圧縮された高圧のガス圧力に耐えうる圧力容器となるように構成される。そして、ハウジング30のスクロール側ハウジング31には、圧縮する冷媒ガスを導入する吸入口934が、直接に圧縮機構70の内部の吸入室73と貫通するように形成されている。さらに、モータ側ハウジング33には、圧縮機構70で圧縮された高圧の冷媒ガスを外部へ導く吐出口935が形成されており、高圧ハウジング30内の高圧ガス雰囲気中に開口している。これらの吸入口934及び吐出口935は、当該スクロール圧縮機901の外部の冷媒ガス経路(不図示)に接続されている。図1で説明した低圧ハウジング型のスクロール圧縮機1における高圧部30a(図1参照)と低圧部30b(図1参照)とは、高圧ハウジング型のスクロール圧縮機901では、通路等(不図示)を介して互いに連通している。スクロール圧縮機901は、ミドルハウジング32とシャフト41との間に仕切りシール978を備える。仕切りシール978は、低圧となる吸入室73側の空間と高圧となるモータ側ハウジング33側の空間とをシールする。さらに、スクロール圧縮機901は、図1で説明した圧縮室59と背圧室53とを連通する圧力導入孔23の代わりに、駆動軸40の内部を貫通して、ハウジング30内のモータ側ハウジング33側の空間と背圧室53とを連通させる圧力導入孔923を備える。圧力導入孔923は、圧縮室59で圧縮され、ハウジング30内に流動した冷媒ガスを背圧室53に導入する。
スクロール圧縮機901によれば、モータ60を駆動させることにより、旋回スクロール20が自転阻止機構(不図示)により自転が阻止された状態で、固定スクロール10に対して公転旋回運動を行う。この結果、吸入口934から圧縮室59に吸入された冷媒ガスが、その容積の減少に伴って圧縮され、高圧の冷媒ガスとなる。この高圧の冷媒ガスは、吐出ポート71から吐出弁72を押し開いてスクロール側ハウジング31内に流出し、前記通路等(不図示)を介してモータ側ハウジング33側にも充満することで、高圧雰囲気となり、吐出口935から外部へと吐出されていく。また、圧力導入孔923を介して、高圧雰囲気であるモータ側ハウジング33側の空間から背圧室53に、旋回スクロール20を固定スクロール10の方向に押し付ける圧力が導入される。
なお、本実施例の場合、背圧シール952は、旋回スクロール20の端面側に配設するとより好適である。このように構成すると、背圧シール952は、偏心部42の端面42b(図2参照)と摺動することになる。すなわち、偏心部42側の面が摺動面となる。このようにすることで、例えば、図8で上述したのとほぼ同様に、圧力導入孔923の一部を背圧シール952の摺動面に対向させることができ、冷媒ガス中のミスト状の潤滑油を背圧シール952の摺動面に直接供給することが可能となる。したがって、背圧シール952の劣化を防止し、長寿命化させることができる。
以上で説明した本発明の実施例9に係るスクロール圧縮機901によれば、背圧室53の背圧径R(図2参照)を、旋回軸受の径等に拘束されることなく設定することができ、端板21に適正な背圧力を付加することができる。したがって、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性を向上したスクロール圧縮機を提供することができる。さらに、常に旋回スクロール20の中心付近に背圧をかけることができ、適正な背圧力を旋回スクロール20の端板に対して偏心することなく均等にかけることができるので、より安定した信頼性の高い運転を行うことができる。
以上で説明した本発明の実施例9に係るスクロール圧縮機901によれば、そして、圧縮室59で圧縮され、ハウジング30内に流動した冷媒ガスを駆動軸40に形成される圧力導入孔923を介して背圧室53に導入するので、背圧室53に適正な圧力を導入することができ、さらに、潤滑油がいきわたりにくい旋回スクロール20と駆動軸40との係合部分等に対して潤滑油を供給することができる。
本発明に係るスクロール圧縮機は、過剰な背圧力を抑制し、適正な背圧力を付加することにより性能や信頼性の向上を図ったものであり、内部に一対のスクロールを有する圧縮機に適用して有用である。
本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の断面図である。 本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の旋回スクロール及び偏心部の部分断面図である。 本発明の実施例2に係るスクロール圧縮機の断面図である。 本発明の実施例3に係るスクロール圧縮機の旋回スクロール及び偏心部の部分断面図である。 本発明の実施例4に係るスクロール圧縮機の旋回スクロール及び偏心部の部分断面図である。 本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機の背圧シールの長手方向の部分断面図である。 本発明の実施例5に係るスクロール圧縮機の変形例を示す図である。 本発明の実施例6に係るスクロール圧縮機の旋回スクロール及び偏心部の部分断面図である。 本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機の旋回スクロール及び偏心部の部分断面図である。 本発明の実施例7に係るスクロール圧縮機の背圧シールを旋回スクロール側から見た平面図である。 本発明の実施例8に係るスクロール圧縮機の部分断面図である。 本発明の実施例9に係るスクロール圧縮機の断面図である。
符号の説明
1、201、301、401、501、601、701、801、901 スクロール圧縮機
10 固定スクロール
20 旋回スクロール
23、623、723、823、923 圧力導入孔
30 ハウジング
40 駆動軸
41 シャフト
42、342 偏心部
50 旋回軸受
51 ボス部
52、552、652、752、852、952 背圧シール
53 背圧室
257、820 スラスト軸受
59 圧縮室
60 モータ
210 調整プレート
343 偏心駆動ピン
344 ブッシュ
371 シールリング
410 調整プレート
774 油溝
775 連通溝
810 補助プレート
R 背圧径

Claims (11)

  1. 内部が中空のハウジングと、
    渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、
    渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体が前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転を阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持される旋回スクロールと、
    端部に形成される偏心部が前記旋回スクロールに係合されることで該旋回スクロールに駆動力を伝達する駆動軸と、
    前記偏心部の前記旋回スクロールの端板と対向する端面と前記旋回スクロールの端板との間に配設される第1の封止手段と、
    前記偏心部の前記端面と前記旋回スクロールの端板との間に位置し、前記第1の封止手段によって画成され、内部の圧力が前記旋回スクロールを前記固定スクロール側に押し付けるように作用する背圧室とを備えることを特徴とする、
    スクロール圧縮機。
  2. 前記背圧室が前記旋回スクロールの中心部に設けられることを特徴とする、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記旋回スクロールから前記駆動軸に作用する押し付け反力を支持する支持手段を備えることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記第1の封止手段は、前記旋回スクロールの端板、又は、前記偏心部の前記端面と摺動可能な摺動面を有し、該摺動面に潤滑油を保持する複数の凹部が形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する圧縮室を備え、
    前記圧縮室で圧縮された流体を前記背圧室に導入する圧力導入孔が前記旋回スクロールの端板に形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記固定スクロールに対して前記旋回スクロールが公転旋回することで、潤滑油を含有した流体を内部で圧縮する圧縮室を備え、
    前記圧縮室で圧縮され、前記ハウジング内に流動した流体を前記背圧室に導入する圧力導入孔が前記駆動軸に形成されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記圧力導入孔の出口は、少なくとも一部が前記第1の封止手段の前記摺動面に対向していることを特徴とする、
    請求項5又は請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記第1の封止手段は円環状に形成され、
    該第1の封止手段の円周方向に沿った油溝と、該油溝と前記背圧室とを連通する連通溝が、前記摺動面、又は、該摺動面に対向する面に形成され、
    前記圧力導入孔の出口は、前記油溝に対向していることを特徴とする、
    請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記第1の封止手段と前記旋回スクロールの端板との間、又は、前記第1の封止手段と前記偏心部の前記端面との間に配設され、前記第1の封止手段と前記旋回スクロールの端板、又は、前記第1の封止手段と前記偏心部の前記端面との接触状態を調整する接触状態調整手段を備えることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記駆動軸は、柱状に形成されるシャフトと、該シャフトの端面に偏心して形成されるピンと、該ピンの外周側を覆うように該ピンに取り付けられるブッシュとを含んで構成され、
    前記ピンと前記ブッシュは、前記偏心部を構成し、
    前記第1の封止手段は、前記ブッシュと前記旋回スクロールの端板との間に配設され、
    さらに、前記ピンと前記ブッシュとの間、又は、前記シャフトの端面と前記ブッシュとの間に第2の封止手段を備えることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  11. 前記偏心部の前記端面と前記第1の封止手段との間に配設される補助部材と、
    前記補助部材の前記第1の封止手段とは反対側にスラスト荷重を支持する軸受を備え、
    前記補助部材は、前記旋回スクロールの端板に当該旋回スクロールに対して相対的に回転しないように固定され
    前記背圧室は、前記補助部材と前記旋回スクロールの端板との間に位置することを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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