JP2009195449A - ミシンの天秤装置、ミシン、天秤ストローク変更用制御プログラム及び天秤ストローク変更用記録媒体 - Google Patents

ミシンの天秤装置、ミシン、天秤ストローク変更用制御プログラム及び天秤ストローク変更用記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】天秤の上下動ストロークを、予め設定した上下動ストロークに変更可能にすること、好ましくは縫製動作中に縫製条件に応じて天秤ストロークを調整可能にすること。
【解決手段】天秤支え軸18を偏心軸とし、この天秤支え軸18を回転駆動させて偏心軸中心位置を変更させるステッピングモータ28を設け、天秤16の上下動ストロークを変更可能に構成する。加工布の布厚、上軸2の回転速度、縫製データ、縫製開始からの針数、縫製終了前の針数に応じて夫々設定された天秤16の上下動ストロークのデータテーブルに基づいて、縫製動作中に、ステッピングモータ28を駆動制御し天秤16の上下動ストロークを変更する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ミシンの天秤装置、ミシン、天秤ストローク変更用制御プログラム及び天秤ストローク変更用記録媒体に関し、特に天秤の上下動ストロークを変更可能に構成し、ミシン回転数や布厚等に対応付けて上下動ストロークの設定データを予め設定しておき、ストローク変更条件が成立したとき上記設定データに基づいて上下動ストロークを変更するようにした技術に関する。
ミシンにおいては、天秤機構の天秤の上下運動により縫製中の上糸繰出し量をコントロールし、上糸の糸引き締めがなされるため、天秤の動作は縫目の仕上がりや風合いや縫製品質に大きな影響を及ぼす。通常の天秤機構では、天秤の糸取部の上下動ストロークは一定になるように構成されているが、従来より、天秤の位相や上下動ストロークを可変にする技術も種々提案されている。
特許文献1に記載のリンク天秤機構においては、天秤支え軸を偏心軸にして、この偏心軸の偏心中心位置を変更することにより天秤糸量(上下動ストローク)と天秤位相を変更可能にしてある。
特許文献2に記載のミシンの天秤装置においては、天秤クランクに対する取付位置を移動可能に付設した調節板に天秤本体の枢支部を枢着し、天秤クランクに対する調節板の回転方向の取付角度や径方向位置を調節することで天秤ストローク、天秤位相を変更可能に構成してある。
特許文献3に記載のミシンにおいては、天秤を駆動する駆動カムの位相を連続的に変更可能な位相変更機構と、それを駆動するモータを有し、天秤の位相を変更可能に構成してある。
特許文献4に記載のミシンの回転天秤装置においては、主軸の回転をヘリカルスプライン歯を形成した外歯形成部材に伝達し、この外歯形成部材に付設された回転天秤を回転駆動するように構成し、この外歯形成部材に外嵌して噛合させた内歯形成部材を針振り機構とリンク機構を介して軸方向に移動させることで、天秤の位相を調節可能に構成してある。尚、電気的アクチュエータにより天秤の位相を調節することも開示されている。
特許文献5に記載のミシンの天秤の制御装置においては、サーボモータのモータ軸に天秤を直接固定して上下駆動させる機構を備え、加工布の厚さや種類などの縫製条件を予めセットさせておくと、前記縫製条件と主軸の回転数とに応じて前記サーボモータを駆動制御して、天秤のストロークや位相を変更可能に構成してある。
特開昭59−214487号公報 実開昭60−192773号公報 特開平9−38367号公報 特開2006−61605号公報 特開昭53−31449号公報
特許文献1,2の技術は、何れも縫製開始前に天秤のストロークや位相を変更しておくことを前提とする技術である。そのため、縫製動作中に縫製条件(主軸の回転速度,加工布の種類や布厚など)に応じて天秤のストロークや位相を変更することはできない。
特許文献3の技術では、ミシン運転中であっても天秤の位相を変更することが可能であるが、天秤の上下動ストロークは天秤を駆動する駆動カムにより所定の値に設定されており変更することはできないので、上糸引き締め度合いを調整するには限界がある。
特許文献4の技術は、針棒の左右方向の針振りに同期させて天秤の位相を調整する技術であり、電動アクチュエータにより天秤の位相を調節することも提案されているが、天秤の位相を調整するのみで、天秤のストロークは変更できないので、特許文献3と同様の限界がある。また、特許文献3,4の技術においては、縫製条件(加工布の種類や布厚など)に応じて、どのように天秤の位相を調整するのか、具体的な構成は開示されてはいない。
特許文献5の技術は、天秤をサーボモータで直接上下駆動するので構成は単純になるが、例えば、太さが太い上糸を引き締めるためには相当の張力が必要であるので、天秤にかかる負荷が大きくなり、よって、モータに必要なトルクも大きくなる。更に、縫製速度が高速でも追従可能なモータとなると、大型で高価なモータが必要となる問題点がある。また、縫製動作中の加工布の種類の変化や布厚の変化などに応じて、天秤のストロークや位相を変更することはできない。
本発明の目的は、天秤の上下動ストロークを、予め設定した上下動ストロークに変更可能にすること、好ましくは縫製動作中に縫製条件に応じて天秤の糸取部の上下動ストロークを調整可能にすること、その天秤装置を備えたミシン、天秤ストローク変更用制御プログラム、その記録媒体を提供することである。
請求項1のミシンの天秤装置は、糸を取上げる糸取部を設けた天秤を上下動するように駆動する天秤機構を有するミシンの天秤装置において、前記天秤の上下動ストロークを変更可能なストローク変更手段と、前記天秤の上下動ストロークを設定するストローク設定手段と、前記天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したか否かを判断する条件判断手段と、前記条件判断手段が上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したとき、前記ストローク設定手段で設定された上下動ストロークとなるように前記ストローク変更手段を制御するストローク変更制御手段とを備えたことを特徴としている。
条件判断手段が天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したとき、ストローク変更制御手段は、ストローク設定で設定された上下動ストロークとなるようにストローク変更手段を制御して、天秤の上下動ストロークを変更する。
請求項2のミシンの天秤装置は、請求項1の発明において、前記ストローク変更制御手段は、縫製動作中に前記ストローク変更手段を制御することを特徴としている。
請求項3のミシンの天秤装置は、請求項1又は2の発明において、前記天秤機構は、天秤本体と、天秤支えと、この天秤支えの端部を機枠に枢支する天秤支え軸とを有するリンク天秤機構であり、前記ストローク変更手段は、前記天秤支え端部の軸中心位置を変更する軸中心変更機構と、この軸中心変更機構を駆動するアクチュエータとを有することを特徴としている。
請求項4のミシンの天秤装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ストローク設定手段は、加工布の布厚に対応づけてストローク設定データを予め設定した第1テーブルを有することを特徴としている。
請求項5のミシンの天秤装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ストローク設定手段は、前記天秤機構を駆動する上軸の回転速度に対応づけてストローク設定データを予め設定した第2テーブルを有することを特徴としている。
請求項6のミシンの天秤装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ストローク設定手段は、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに関連づけてストローク設定データを予め設定した第3テーブルを有することを特徴としている。
請求項7のミシン天秤装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ストローク設定手段は、縫製開始からの複数針分について、縫製開始からの針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第4テーブルを有することを特徴としている。
請求項8のミシンの天秤装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ストローク設定手段は、縫製終了前の複数針分について、縫製終了前の針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第5テーブルを有することを特徴としている。
請求項9のミシンは、請求項1〜8の何れかに記載の天秤装置を備えたことを特徴としている。
請求項10のミシンは、請求項5に記載の天秤装置と、加工布の布厚を検出する布厚検出手段とを備えたことを特徴としている。
請求項11のミシンは、請求項6に記載の天秤装置と、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに基づいて前記布保持枠を所定の2方向に布保持枠送り手段とを備えたことを特徴としている。
請求項12の天秤ストローク変更用制御プログラムは、糸を取上げる糸取部を設けた天秤を上下動するように駆動する天秤機構と、前記天秤の上下動ストロークを変更可能なストローク変更手段と、前記天秤の上下動ストロークを設定するストローク設定手段とを備えたミシンのコンピュータを、前記天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したか否かを判断する条件判断手段と、前記条件判断手段が上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したとき、前記ストローク設定手段で設定された上下動ストロークとなるように前記ストローク変更手段を制御するストローク変更制御手段として機能させることを特徴としている。
請求項13の天秤ストローク変更用記録媒体は、請求項12の天秤ストローク変更用制御プログラムをコンピュータで読取可能に記録したことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、ストローク変更手段と、ストローク設定手段と、条件判断手段と、ストローク変更制御手段とを設けたため、天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したとき、ストローク設定手段により設定された上下動ストロークとなるようにストローク変更手段を制御して、天秤の上下動ストロークを変更することができる。
従って、縫製条件(主軸の回転速度、布厚、縫製データなど)に応じて、天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したときに、天秤の上下動ストロークを変更することが可能となるため、縫目の仕上がりや風合いを良好にし、縫製品質を高めることが可能になる。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ストローク変更制御手段が、縫製動作中に前記ストローク変更手段を制御するため、縫製動作中に、縫製条件(主軸の回転速度、布厚、縫製データなど)に応じて天秤の上下動ストロークを変更することができる。従って、縫製条件が変更になる毎に、縫製動作を中断してミシンの運転を停止させて、天秤の上下動ストロークを変更するというような煩雑な作業が不要となる。よって、作業能率を低下させることなく縫製作業を行うことができる。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、天秤機構がリンク天秤機構であり、ストローク変更手段は、前記天秤支え軸の軸中心位置を変更する軸中心変更機構と、この軸中心変更機構を駆動するアクチュエータとを有するため、簡単な構成のストローク変更手段を実現できるうえ、汎用性の高い天秤装置になる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、前記ストローク設定手段は、加工布の布厚に対応づけてストローク設定データを予め設定した第2テーブルを有するため、加工布の布厚の増大に応じて天秤の上下動ストロークを大きくして糸締まりを強くすることが可能になる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、前記ストローク設定手段は、主軸の回転速度に対応づけてストローク設定データを予め設定した第1テーブルを有するため、主軸の回転速度が高くなる程糸締まりが強くなる傾向を補正するように、主軸の回転速度が高くなる程天秤の上下動ストロークを小さく変更することが可能になる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、前記ストローク設定手段は、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに関連づけてストローク設定データを予め設定した第3テーブルを有するため、加工布の重なり枚数や、布厚等に適した上下動ストロークとなるように天秤の上下動ストロークを変更することができる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、前記ストローク設定手段は、縫製開始からの複数針分について、縫製開始からの針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第4テーブルを有するため、縫製開始からの複数針分について天秤の上下動ストロークを小さく変更することで、縫製開始部における上糸の抜けを防止することができる。
請求項8の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、前記ストローク設定手段は、縫製終了前の複数針分について、縫製終了前の針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第5テーブルを有するため、縫製終了前の複数針分について天秤の上下動ストロークを大きくことで縫目が緩んでしまうことを防止することができる。
請求項9の発明のミシンによれば、請求項1〜8の何れかに記載の天秤装置を備えたので、請求項1〜8と同様の効果を奏する。
請求項10の発明のミシンによれば、請求項5に記載の天秤装置と、加工布の布厚を検出する布厚検出手段とを備えたので、布厚検出手段が加工布の布厚を検出し、それに応じて天秤の上下動ストロークを変更することができる。
請求項11の発明のミシンによれば、請求項6に記載の天秤装置と、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに基づいて布保持枠を所定の2方向に送る布保持枠送り手段とを備えたので、布保持枠送り手段による加工布の送り量に応じてそれに応じて天秤の上下動ストロークを変更することができる。
請求項12の発明によれば、天秤ストローク変更用制御プログラムをコンピュータに実行させることにより、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
請求項13の発明によれば、請求項12の天秤ストローク変更用制御プログラムをコンピュータで読取可能に記録した記録媒体をコンピュータに読み取らせ、請求項12の天秤ストローク変更用制御プログラムをコンピュータに実行させることにより、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、本発明をパターン縫いミシンに適用した場合の実施例に基づいて説明する。
図1に示すように、パターン縫いミシン1は、ミシンテーブル80の上面側に配置されたベッド部81とアーム部82を備えている。ベッド部81の上面前部には、針板83が固定され、その針板83の上側には、布押え装置84が設けられている。
この布押え装置84は、詳しくは図示しないが、針板83上を前後左右に移動可能な送り板と、送り板上に設けられた押え腕と、その押え腕の前端部に昇降可能に取り付けられた矩形枠状の布押え板等を有する。そして、縫製対象の加工布(図示略)を布押え板と送り板とで保持しつつ、X軸駆動モータ40(図5参照)を備えたX方向駆動機構とY軸駆動モータ42(図5参照)を備えたY方向駆動機構とにより、送り板を左右方向(X方向)及び前後方向( Y方向) に移動させながら縫製を行う。ここで、送り板と布押え板とが布保持枠に相当し、X方向駆動機構とY方向駆動機構とが布保持枠送り手段に相当する。
図1に示すように、ミシンテーブル80の下側に、制御ボックス87が設けられている。この制御ボックス87には、図5に示す制御装置30が内蔵されている。ミシンテーブル80の下側には、縫製動作の開始/終了と、布押え板の上昇動作と下降動作の切換え操作を行うためにペダル型の起動停止スイッチ21が配置されている。ミシンテーブル80の上面右側には操作パネル86が立設されている。操作パネル86は、主にパターン縫いミシン1に各種指令を入力する際に操作される。また、ベッド部81には、針棒10の下端部に装着される縫針85と協働して縫目を形成する回転釜(図示略)が設けられている。
図2、図3に示すように、アーム部82内には上軸2(主軸)が配設され、機枠Fに回転可能に支持されている。アーム部82の頭部において、上軸2の左端部には天秤クランク5が固定されている。天秤クランク5の一端部には、針棒クランク6の一端部が第1支軸6aを介して固着され、針棒クランク6の他端部6bは軸受7を介して針棒クランクロッド8の上端部に連結されている。
また、針棒10は、機枠Fに固定された上下2つの針棒軸受により上下動可能に支持されている。ここで、図2、図3においては、図の簡略化のために、上側の針棒軸受は図示せず、下側の針棒軸受10aのみ図示するものとする。また、針棒10には針棒抱き9が固着され、この針棒抱き9は、針棒クランクロッド8の下端部に連結されている。そして、ミシンモータ37により上軸2が所定回転方向に回転駆動されると、これら天秤クランク5と針棒クランク6と針棒クランクロッド8と針棒抱き9を介して針棒10が上下駆動される。
図3に示すように、アーム部82の頭部の下端部の機枠Fには、針棒軸受10aの右方近傍部位に位置する布厚センサ27が設けられている。この布厚センサ27は、針板83の針穴(図示略)の近傍部位にレーザ光を投射しその反射光を受光するまでの所要時間から距離を検出するレーザ変位センサからなる。この布厚センサ27は、加工布がない場合の検出距離と加工布がある場合の検出距離との差から布厚を検出する。
次に、リンク天秤機構15について説明する。
図2、図3に示すように、天秤体16の基端部は、天秤クランク5に固定された第1支軸6aに軸受6cを介して回動可能に支持されている。一方、天秤体16の先端部には、上糸(図示せず)が挿通する糸穴16aが形成された糸取部16tが設けられている。天秤支え17は湾曲形状に形成され、この天秤支え17の後端部は、機枠Fに支持された天秤支え軸18に回動可能に支持され、天秤支え17の前端部は、天秤体16の中段部に回動軸19と軸受20を介して回動可能に連結されている。
それ故、上軸2が所定回転方向に回転駆動されると、天秤体16の中段部が天秤支え17で支持されながら、天秤体16の基端部が天秤クランク5に同期して回転するので、天秤体16の糸取部16tの糸穴16aは、特有の曲線軌跡上を上下揺動するように駆動される。ここで、天秤体16の糸取部16tの糸穴16aの上下動ストロークを示す曲線、即ち、天秤曲線は図6に示すような曲線になる。ここで、図6に示す縦軸は、天秤の上下動ストロークを示し、一方横軸は、針棒10が最上位置に位置するときの上軸2の角度を0°とし、その角度から上軸10が回転したときの角度(位相角度)を示す。また、この天秤の上下動ストロークを約2倍にしたものが、天秤糸量に相当するとしてよい。また、図6に示す上下動ストローク曲線N0,N1,N2の詳細については後述する。
図4に示すように、この天秤支え軸18は、機枠Fに支持される支持軸部18aと、この支持軸部18aよりも直径が小さく且つ支持軸部18aの軸心に対して偏心した軸心を有する偏心軸部18bと、この偏心軸部18bよりも直径が小さい先端軸部18cとを一体的に構成したものである。支持軸部18aのうちの左側の約2/3部分が、機枠Fに水平に左右方向向きに形成された挿通穴Fa(図3参照)に軸心回りに回動可能に支持されている。
図3に示すように、支持軸部18aのうちの右側の約1/3部分が挿通穴Faから右方へ突出し、その突出軸部にはリング部材13が外嵌されて止めネジ13a(図3のみ図示)で固定されている。また、天秤支え軸18を回転駆動する為のステッピングモータ28が機枠Fに取り付けられている。ステッピングモータ28の出力軸28aは支持軸部18aと同心状に配設され、出力軸28aと支持軸部18aの右端部とがカップリング11により回転力を伝達可能に結合されている。
図3、図4に示すように、天秤支え軸18の偏心軸部18bの左端部には、止め輪22と座金23が夫々装着され、偏心軸部18bの右端部には、セットカラー24が外嵌されて止めネジ24a(図3のみ図示)で固定されている。そして、天秤支え軸18が挿通穴Faに装着された状態で、天秤支え17の後端部が、座金23とセットカラー24との間の偏心軸部18bに回動可能に支持されている。支持軸部18aの軸心に対する偏心軸部18bの軸中心位置(つまり、天秤支え17の後端部の軸中心位置)を変更する軸中心変更機構と、この軸中心変更機構を駆動する前記ステッピングモータ28が天秤の上下動ストロークを変更する「ストローク変更手段」に相当し、ステッピングモータ28が「アクチュエータ」に相当する。
天秤支え軸18の先端軸部18cの左端面には、図2に示すように、小さな丸い指標3aと基線3bとが刻印されている。それ故、この指標3a又は基線3bの位置により、現在の天秤支え軸18の支持軸部18aの軸心に対する偏心軸部18bの軸心の偏心方向を確認することができる。
天秤支え軸18の回転方向の原点位置(ステッピングモータ28の原点位置でもある)を検出する為、図3に示すように、カップリング11の外周面の1箇所に小さな突起12が形成され、この突起12を検出する近接スイッチ26が機枠Fに設けられている。尚、天秤支え軸18の内部には貫通穴18dが形成され、この貫通穴18dの右端部を支持軸部18aの外面に開口させる開口穴18eも形成され、図示外のオイルタンクから延びる灯芯21が開口穴18eから貫通穴18d内へ導入される。
図7の(a)に示すように、天秤支え軸18の回転位置(回転位相角)が原点位置になり、近接スイッチ26が突起12を検出しているときには図6に示す上下動ストローク曲線N0が得られる。この上下動ストローク曲線N0は標準的な基本天秤ストロークを示す。このとき、偏心軸部18bの軸心は支持軸部18aの軸心に対して略水平方向前方(図7では右方)へ偏心している。
図7の(b)に示すように、天秤支え軸18が前記原点位置から逆転方向(図7で反時計回り方向)へ90°回動したとき、天秤体16の糸取部16tの上下動ストロークが最小となって図6に示す上下動ストローク曲線N1が得られる。このとき、偏心軸部18bの軸心は支持軸部18aの軸心に対して、略鉛直方向上方へ偏心している。
図7の(c)に示すように、天秤支え軸18が前記原点位置から正転方向(図7で時計回り方向)へ90°回動したとき、天秤体16の糸取部16tの上下動ストロークが最大となって図6に示す上下動ストローク曲線N2が得られる。このとき、偏心軸部18bの軸心は支持軸部18aの軸心に対して、略鉛直方向下方へ偏心している。
次に、このパターン縫いミシン1の制御系について説明する。
図5に示すように、制御装置30は、入力インタフェイス30aと、CPU31とROM32とRAM33とフラッシュメモリ25を含むコンピュータと、センサ用入出力インタフェイス44と、出力インタフェイス30bなどを有する。入力インタフェイス30aには、起動停止スイッチ21と、一時停止スイッチ34と、押え腕を押え位置と押え解除位置とに切換える為の押えスイッチ35と、上軸2の回転位置を検出する上軸回転位置検出センサ36と、操作パネル86と、近接スイッチ26が電気的に接続されている。
センサ用入出力インタフェイス44には前記布厚センサ27が電気的に接続されている。出力インタフェイス30bには、ミシンモータ37用の駆動回路38と、押え腕を押え位置に切換え可能な押えソレノイド14用の駆動回路39と、X軸駆動モータ40用の駆動回路41及びX軸エンコーダ40aと、Y軸駆動モータ42用の駆動回路43及びY軸エンコーダ42aと、X方向カウンタ46と、Y方向カウンタ47と、前記ステッピングモータ28用の駆動回路29が電気的に接続されている。
X方向カウンタ46は、布押え板の原点位置OからのX方向移動量を更新しつつカウントし、Y方向カウンタ47は布押え板の原点位置OからのY方向移動量を更新しつつカウントするものである。操作パネル86には、小型の液晶ディスプレイ86aと、数値を入力するテンキー86bと、縫製パラメータを設定するための各種のスイッチからなるスイッチ類86c等が設けられている。
ROM32には、パターン縫いミシン1を制御する各種の制御プログラム、後述する天秤上下動ストローク変更制御の制御プログラムが予め格納されている。RAM33には、CPU31で演算した演算結果を一時的に格納するメモリやカウンタやメモリやバッファ等を含むワークメモリが設けられる。フラッシュメモリ25には、複数種類の模様やパターンを縫製する為の複数種類の模様データと、後述する天秤上下動ストローク制御に付随するデータテーブル類などが予め格納されている。
次に、ミシン1による縫製動作中に縫製条件に適した天秤の上下動ストロークとなるように、天秤の上下動ストロークを変更する複数種類の上下動ストローク変更制御について、図8〜図18に示すフローチャートとデータテーブルに基づいて説明する。尚、図中のSi(i=1,2,・・)は各ステップを示す。また、図9,図11,図14,図16,図18のデータテーブルはフラッシュメモリ25に予め記憶されているものとする。
ここで、各データテーブルの「正」の数値で示す天秤支え軸位相角は、ステッピングモータ28の正転(上下動ストロークの基本ストロークからの増加)に対応し、「負」の数値で示す天秤支え軸位相角は、ステッピングモータ28の逆転(上下動ストロークの基本ストロークからの減少)に対応しているものとする。また、天秤支え軸位相角をステッピングモータ28のパルス数に変換する演算処理は、前記ストローク変更制御に予め組み込まれているものとする。
[1]第1の天秤上下動ストローク変更制御(図8、図9参照)
加工布の布厚が大きくなるほど天秤による上糸引き締め力が不足気味になることに鑑み、このストローク変更制御は、加工布の布厚が増大する程、天秤による上糸引き締め力を強化する為に、加工布の布厚が増大するほど天秤の上下動ストロークを大きく変更する制御である。図9は、縫製する加工布の布厚と、天秤支え軸位相角(つまり、天秤の上下動ストローク)との関係を、加工布の布厚が増大するほど天秤の上下動ストロークを大きくするように複数段階に設定したデータテーブル(第1テーブル)である。また、図8に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図8に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始する(ミシンモータ37が回転する)と共にこの制御が開始されると、最初に布厚センサ27の検出信号から布厚が検出され(S1)、次に検出した布厚を図9のデータテーブルに適用して天秤支え軸位相角が演算される(S2)。次に、上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度(上軸位相)が演算され(S3)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング、即ち、上軸の位相角45°〜90°の期間)か否かが判定される(S4)。
前記判定がNoのうちはS3,S4を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミングになると(S4:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S2で演算した位相角となるように位相角を変更する(S5)。次に、縫製が終了したか否か(起動停止スイッチ21が操作されたか否か、又は所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否か)を判定し(S6)、その判定がNoのときは、S1以降を繰り返し、S6の判定がYesになるとこのストローク変更制御は終了する。
このように、縫製動作中に、加工布の布厚が増大するほど、天秤支え軸18の位相角を正転方向へ大きく変更して、天秤の上下動ストロークを増大させるため、布厚に応じた上糸引き締めがなされるようになり、縫目の仕あがり、風合いが良好になり、縫製品質を高めることできる。特に、0.5mm以下の布厚の加工布の場合には、天秤の上下動ストロークを増大させずに、基本ストロークを維持するため、薄手の加工布における縫製品質の低下を防止することができ、しかも、薄手から厚手の加工布に亙って縫製品質を高めることができる。
[2]第2の天秤上下動ストローク変更制御(図10、図11参照)
上軸2の回転速度が大きくなるほど、上糸引き締め力が強くなる傾向があることに鑑み、このストローク変更制御は、上軸速度が増大するほど、天秤の上下動ストロークを小さく変更する制御である。図11は、上軸速度と、天秤支え軸位相角(つまり、天秤の上下動ストローク)との関係を、上軸速度が増大するほど天秤の上下動ストロークを小さくするように複数段階に設定したデータテーブル(第2テーブル)である。また、図10に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図10に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始すると共にこの制御が開始されると、最初に上軸回転位置検出センサ36からの検出信号を所定の微小時間に亙って読み込み、それら検出信号に基づいて上軸速度が演算される(S10)。次にその演算された現在の上軸速度を図10のデータテーブルに適用することで、天秤支え軸位相角が演算される(S11)。次に上軸上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度が演算され(S12)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)か否かが判定される(S13)。
前記判定がNoのうちはS12,S13を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミングになると(S13:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S11で演算した天秤支え軸位相角となるように位相角を変更する(S14)。次に、縫製が終了したか否か(起動停止スイッチ21が操作されたか否か、又は所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否か)を判定し(S15)、その判定がNoのときは、S10以降を繰り返し、S15の判定がYesになると、このストローク変更制御は終了する。
このように、上軸速度が増大するほど、天秤支え軸18の位相角を逆転方向へ増大させて天秤の上下動ストロークを小さく変更するので、上軸速度が大きくなった場合の過剰な糸引き締めを抑制して、適度な上糸引き締めがなされるようにすることができ、縫製品質を高めることができる。
[3]第3の天秤上下動ストローク変更制御(図9、図11、図12参照)
前記第1,第2の天秤上下動ストローク変更制御を組み合わせた制御であり、図9,図11のデータテーブルに基づいて制御が行われる。また、図12に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図12に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始すると共にこの制御が開始されると、最初に布厚センサ27の検出信号から布厚が検出され(S20)、次に検出した布厚を図9のデータテーブルに適用して天秤支え軸位相角が演算される(S21)。次に、上軸回転位置検出センサ36からの検出信号を所定の微小時間に亙って読み込み、それら検出信号に基づいて上軸速度が演算される(S22)。
次にその演算した上軸速度を図11のデータテーブルに適用することで天秤支え軸位相角が演算される(S23)。次に、S21で演算した天秤支え軸位相角とS22で演算した天秤支え軸位相角とを加算する複合計算を行って天秤支え軸位相角を演算する(S24)。例えば、布厚が6mmで、上軸速度が1000rpmである場合は、天秤支え軸位相角は(55−15)°=40°となる。また、布厚が2mmで、上軸速度が4000rpmである場合は、天秤支え軸位相角は(15−75)°=−60°となる。また、布厚が 4.3 mmで、上軸速度が2000rpmである場合は、天秤支え軸位相角は(40−40)°=0°となる。
次に、上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度が演算され(S25)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)か否かが判定される(S26)。
前記判定がNoのうちはS25,S26を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミングになると(S26:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S24で演算した天秤支え軸位相角となるように位相角を変更する(S27)。次に、縫製が終了したか否か(起動停止スイッチ21が操作されたか否か、又は所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否か)を判定し(S28)、その判定がNoのときは、S20以降を繰り返し、S28の判定がYesになると、このストローク変更制御は終了する。
このように、前記第1,第2の天秤上下動ストローク変更制御を組み合わせたストローク変更制御にしたので、布厚の増大に応じて上糸引き締め力を強化するように天秤の上下動ストロークを変更しながら、上軸速度の増大に応じて上糸引き締め力を弱くするように天秤の上下動ストロークを変更することができる。その結果、縫目の仕上がり、風合いを良好にし、縫製品質を高めることができる。
[4]第4の天秤上下動ストローク変更制御(図13、図14参照)
このパターン縫いミシン1において、例えば、ジーンズのポケットを縫製するような場合、加工布を保持する送り板を、所定の位置に移動させながら縫製するための縫製データ(即ち、送り板のX方向及びY方向の移動距離のデータ)が予め準備される。また、縫針85の夫々の針落ち点における加工布の重なり枚数についても、予め設定することが可能である。そこで、このストローク変更制御では、縫製データと関連付けて天秤支え軸位相角(つまり、天秤の上下動ストローク)とを設定したデータテーブル(第3テーブル)を図14のように予め準備して、フラッシュメモリ25に記憶しておくものとする。また、図13に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図13に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始すると共にこの制御が開始されると、最初に針数カウンタにより針数がカウントされる(S30)。ここで、針数とは、上軸2の回転により縫針85が加工布に貫通した回数のことをいう。そして、縫製開始時の針数カウンタの初期値は「1」であり、その後順次1つずつインクリメントされる。S30においてカウントした針数に対応する天秤支え軸位相角が、図14のデータテーブルから読み込まれ(S31)、次に上軸上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度が演算され(S32)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)か否かが判定される(S33)。
前記判定がNoのうちはS32,S33を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)、になると(S33:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S31で演算した天秤支え軸位相角となるように位相角を変更する(S34)。次に、所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否かを判定し(S35)、その判定がNoのときは、S30以降を繰り返し、S35の判定がYesになると、このストローク変更制御は終了する。
このように、パターン縫いに供する縫製データの各針の縫製データ毎に天秤支え軸位相角を設定しておき、各針毎に設定しておいた天秤支え軸位相角となるように天秤支え軸位相角を変更し、天秤の上下動ストロークを変更するため、縫製対象物における縫製位置に最適の天秤の上下動ストロークを実現し、縫目の仕あがり、風合いを良好にし、縫製品質を高めることができる。
[5]第5の天秤上下動ストローク変更制御(図15、図16参照)
縫製開始から複数針の縫目においては、上糸が加工布から抜け易い傾向があることに鑑み、このストローク変更制御では、縫製開始から複数針(例えば、10針分)については上糸引き締め力を弱くするために、上下動ストロークを小さく変更する。このとき、1針目で上下動ストロークを最小にし、その後10針目に向かって徐々に上下動ストロークを基本ストロークに戻していくものとする。そのため、図16に示すデータテーブル(第4テーブル)は、天秤支え軸位相角(つまり、天秤の上下動ストローク)が1針目で逆転方向に最大(−90°)に設定され、その後10針目に向かって徐々に低減するように設定されている。また、図15に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図15に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始すると共にこの制御が開始されると、針数カウンタでカウントしている針数が指定針数(例えば、10)以下か否かを判定し(S40)、縫製開始から所定針数以下の場合(例えば、1針〜10針の何れか)(S40:Yes)には、現在の針数を図15のテーブルに適用して天秤支え軸位相角が演算され(S41)、次に上軸上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度が演算され(S42)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)か否かが判定される(S43)。
前記判定がNoのうちはS42,S43を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミングになると(S43:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S41で演算した天秤支え軸位相角となるように位相角を変更する(S44)。次にS45において針数カウンタの針数が1つインクリメントされ、次に、縫製が終了したか否か(起動停止スイッチ21が操作されたか否か、又は所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否か)を判定し(S46)、その判定がNoのときは、S40以降を繰り返し、S40の判定がNoとなると、S45を経てS46へ移行し、S46の判定がYesになると、このストローク変更制御は終了する。
このように、縫製開始からの複数針分については、天秤支え軸位相角を逆転方向へ変更して、天秤の上下動ストロークを小さく変更することで、上糸引き締め力を弱く調整するため、縫製開直後の複数針分における加工布からの上糸の抜けが発生しない。特に、1針目では天秤の上下動ストロークを最も小さく変更し、その後10針目まで天秤の上下動ストロークを徐々に増大させ、10針目で基本ストロークに復帰させるようにしたので、縫製開始直後の加工布からの上糸の抜けを確実に予防することができる。
[6]第6の天秤上下動ストローク変更制御(図17、図18参照)
縫製終了部分の縫目が緩み易いことに鑑み、このストローク変更制御では、縫製終了直前の複数針数分(例えば、10針分)については、上糸引き締め力を強化するために、天秤の上下動ストロークを大きく変更する。そのため、図18に示すデータテーブル(第5テーブル)には、残り10針目までは天秤の上下動ストロークが基本ストローク(つまり、天秤支え軸位相角が0°)で、その後天秤支え軸位相角を徐々に大きくし、最後の1針目では天秤支え軸位相角を最大の90°にするように設定されている。また、図17に示すフローチャートにおいては、説明を簡略化するために、所定の縫製データに基づいて加工布を保持する送り板をX方向及びY方向に移動させる制御についての詳細な説明は省略する。
図17に示すように、起動停止スイッチ21が操作されて縫製が開始すると共にこの制御が開始されると、最初に針数カウンタがカウントしている現在の針数が、残り指定針数(例えば、10針)の範囲内か否かを判定し(S50)、その判定がYesのときには現在の針数を図18のテーブルに適用して天秤支え軸位相角が演算され(S51)、次に上軸上軸回転位置検出センサ36からの検出信号から上軸角度が演算され(S52)、その上軸角度が所定の天秤支え軸位相角変更タイミング(例えば、図6の期間A内のタイミング)か否かが判定される(S53)。
前記判定がNoのうちはS52,S53を繰り返し、所定の天秤支え軸位相角変更タイミングになると(S53:Yes)、ステッピングモータ28を駆動し、前記S51で演算した天秤支え軸位相角となるように位相角を変更する(S54)。次にS55において針数カウンタの針数が1つインクリメントされる。次に、所定の縫製データに基づく縫製が完了したか否かを判定し(S56)、その判定がNoのときは、S50以降を繰り返し、S50の判定がNoとなると、S55を経てS46へ移行し、S56の判定がYesになると、このストローク変更制御は終了する。
このように、縫製終了までの残り複数針数の範囲内の複数針分については、天秤支え軸位相角を正転方向へ変更して、天秤の上下動ストロークを大きく変更することで、上糸引き締め力を強く調整するため、縫製終了部分の縫目が緩んでしまうことを確実に防止することができる。
特許請求の範囲に記載された構成要件と実施例との対応関係について説明する。
「ストローク変更手段」、「アクチュエータ」については、段落[0046]に記載したとおりである。
「ストローク設定手段」に相当するものは、図9の第1テーブル、図11の第2テーブル、図14の第3テーブル、図16の第4テーブル、図18の第5テーブルである。
第1の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS1、S3とS4が「条件判断手段」に相当する。第2の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS10、S12とS13が「条件判断手段」に相当する。第3の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS20、S22、S25とS26が「条件判断手段」に相当する。第4の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS30、S32とS33が「条件判断手段」に相当する。第5の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS40、S42とS43が「条件判断手段」に相当する。第6の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS50、S52とS53が「条件判断手段」に相当する。
第1の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS2とS5が「ストローク変更制御手段」に相当する。第2の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS11とS14が「ストローク変更制御手段」に相当する。

第3の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS21、S23、S24、S27が「ストローク変更制御手段」に相当する。第4の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS31とS34が「ストローク変更制御手段」に相当する。第5の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS41とS44が「ストローク変更制御手段」に相当する。第6の天秤上下動ストローク変更制御では、制御装置30が実行するS51とS54が「ストローク変更制御手段」に相当する。
次に、前記本実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。
1]天秤の上下動を変更するタイミング(図6の期間A)は、一例に過ぎず、上軸の位相角45°〜270°の範囲内で適宜変更することも可能である。
2]第1〜第6の天秤上下動ストローク変更制御は、単独で行うように構成してもよいし、複数の天秤上下動ストローク変更制御を適宜組み合わせて行うように構成してもよい。また、複数の天秤上下動ストローク変更制御を適宜組み合わせて行う場合、夫々の変更制御の寄与率(重み付け)を適宜設定して組み合わせてもよい。
3]加工布の種類が、摩擦係数の小さな合成樹脂製繊維からなる素材であるような場合には、上糸引き締めの度合いが弱くなる傾向がある。そこで、加工布の種類又は摩擦係数をパラメータとする天秤支え軸位相角(天秤の上下動ストローク)のデータテーブルを準備しておき、縫製に際して加工布の種類又は摩擦係数を入力して設定することで、天秤支え軸位相角を変更するように構成してもよい。このことは、縫製に用いる糸についても同様であり、糸の摩擦係数をパラメータとする天秤支え軸位相角(天秤の上下動ストローク)のテーブルを作成しておき、縫製に際して糸の種類や摩擦係数を入力して設定することで、天秤支え軸位相角を変更するように構成してもよい。
4]本実施例では、布厚センサ27は、レーザ光による反射式光学センサを採用したが、加工布を押える布押え板の高さをポテンショメータで検出することで、布厚を検出するように構成してもよい。
5]本実施例では、パターン縫いミシンの天秤装置に適用した場合について説明したが、パターン縫いミシン以外の本縫いミシンなどの天秤装置に本発明を適用してもよい。
6]本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者でれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
本発明の実施形態に係るパターン縫いミシンの斜視図である。 前記ミシンの頭部の内部構造を示す側面図である。 ミシンの頭部の要部縦断面である。 天秤支え軸の斜視図である。 前記ミシンの制御系のブロック図である。 天秤の上下動ストロークを示す線図である。 (a)天秤支え軸の位相角が0°(原点位置、基本天秤ストローク)のときの天秤支え軸の偏心状態を説明する図、(b)は天秤支え軸の位相角が逆転方向へ90°(最小天秤ストローク)のときの秤支え軸の偏心状態を説明する図、(c)は天秤支え軸の位相角が正転方向へ90°(最大天秤ストローク)のときの秤支え軸の偏心状態を説明する図である。 第1の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 図7の制御に用いる第1テーブルの図表である。 第2の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 図9の制御に用いる第2テーブルの図表である。 第3の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 第4の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 図12の制御に用いる第3テーブルのフローチャートである。 第5の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 図14の制御に用いる第4テーブルの図表である。 第5の天秤上下動ストローク変更制御のフローチャートである。 図16の制御に用いる第5テーブルの図表である。
符号の説明
1 パターン縫いミシン
12 突起
15 リンク天秤機構
16 天秤本体
16t 糸取部
17 天秤支え
18 天秤支え軸
18a 支持軸部
18b 偏心軸部
26 近接スイッチ
27 布厚センサ
28 ステッピングモータ
F 機枠

Claims (13)

  1. 糸を取上げる糸取部を設けた天秤を上下動するように駆動する天秤機構を有するミシンの天秤装置において、
    前記天秤の上下動ストロークを変更可能なストローク変更手段と、
    前記天秤の上下動ストロークを設定するストローク設定手段と、
    前記天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したか否かを判断する条件判断手段と、
    前記条件判断手段が上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したとき、前記ストローク設定手段で設定された上下動ストロークとなるように前記ストローク変更手段を制御するストローク変更制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシンの天秤装置。
  2. 前記ストローク変更制御手段は、縫製動作中に前記ストローク変更手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のミシンの天秤装置。
  3. 前記天秤機構は、天秤本体と、天秤支えと、この天秤支えの端部を機枠に枢支する天秤支え軸とを有するリンク天秤機構であり、
    前記ストローク変更手段は、前記天秤支えの端部の軸中心位置を変更する軸中心変更機構と、この軸中心変更機構を駆動するアクチュエータとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの天秤装置。
  4. 前記ストローク設定手段は、加工布の布厚に対応づけてストローク設定データを予め設定した第1テーブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの天秤装置。
  5. 前記ストローク設定手段は、前記天秤機構を駆動する上軸の回転速度に対応づけてストローク設定データを予め設定した第2テーブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの天秤装置。
  6. 前記ストローク設定手段は、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに関連づけてストローク設定データを予め設定した第3テーブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの天秤装置。
  7. 前記ストローク設定手段は、縫製開始からの複数針分について、縫製開始からの針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第4テーブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの天秤装置。
  8. 前記ストローク設定手段は、縫製終了前の複数針分について、縫製終了前の針数に対応づけてストローク設定データを予め設定した第5テーブルを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの天秤装置。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の天秤装置を備えたことを特徴とするミシン。
  10. 請求項5に記載の天秤装置と、加工布の布厚を検出する布厚検出手段とを備えたことを特徴とするミシン。
  11. 請求項6に記載の天秤装置と、加工布を保持する布保持枠を所定の2方向に送る縫製データに基づいて前記布保持枠を所定の2方向に送る布保持枠送り手段とを備えたことを特徴とするミシン。
  12. 糸を取上げる糸取部を設けた天秤を上下動するように駆動する天秤機構と、前記天秤の上下動ストロークを変更可能なストローク変更手段と、前記天秤の上下動ストロークを設定するストローク設定手段とを備えたミシンのコンピュータを、
    前記天秤の上下動ストロークを変更する条件が成立したか否かを判断する条件判断手段と、前記条件判断手段が上下動ストロークを変更する条件が成立したと判断したとき、前記ストローク設定手段で設定された上下動ストロークとなるように前記ストローク変更手段を制御するストローク変更制御手段として機能させることを特徴とする天秤ストローク変更用制御プログラム。
  13. 請求項12の天秤ストローク変更用制御プログラムをコンピュータで読取可能に記録したことを特徴とする天秤ストローク変更用記録媒体。
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