JP2009192871A - 反射スクリーンとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクリーン基板1の観察面に複数の反射部2を有し、観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部PVから、観察面に向けて斜めに射出された投影光Lpを観察側に反射する。反射部は、凹または凸の球状面を有し、球状面の少なくとも一部は、投影光を乱反射させる所定の粗さとなるように粗面処理された粗面処理部20を有する。
【選択図】図2
Description
例えばプロジェクタをスクリーン前方の下方側に配置し、プロジェクタからスクリーンに向けて斜め上方に投影画像を照射した場合、スクリーンの表面が凸形状の球状面に形成されていることから、球状面のうち、プロジェクタと球状面とを結ぶ直線の近傍に位置する領域のみが投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与し、他の領域については他の方向に反射する割合が多くなるため、反射スクリーン前方の観察者側に十分に反射されず、投影画像のコントラストが低下するという問題がある。
本発明の反射スクリーンは、スクリーン基板の観察面に複数の反射部を有し、前記観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部から、前記観察面に向けて斜めに射出された投影光を、観察側に反射する反射スクリーンであって、前記反射部は、凹または凸の球状面を有し、前記球状面の少なくとも一部は、前記投影光を乱反射させる所定の粗さとなるように粗面処理された粗面処理部を有することを特徴とするものである。
従って、本発明の反射スクリーンでは、反射部のうち、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しない領域であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となり、投影画像のコントラストを向上させることができる。
これにより、本発明では、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しづらい球状面の周縁部であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となる。
これにより、本発明では、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しづらいスクリーン基板の周辺部であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となる。特に、スクリーン基板における周辺部は、到達した投影光の光量が低下しやすいが、当該周辺部において観察側に反射する投影光の光量を増すことができるため、スクリーン基板内での投影ムラを低減することができる。
これにより、本発明では、球状面の径が大きくなることにより平面に近づき、観察側に反射する投影光の光量を一層増すことが可能となる。
平均粗度が10nm未満である場合には十分な乱反射が得られず、また、平均粗度が50μmを超えると、投影光の乱反射が安定せず、画像の視認性が低下する可能性があるが、本発明ではこれらの不具合を回避できる。
平均粗度が前記球状面の半径の1/10を超えると、反射部の球状面の形状を維持できなくなる虞があるが、本発明では、球状面の形状を維持した状態で乱反射面(粗面処理部)を形成することが可能になる。
球状面の半径が30μmを下回ると、スクリーンにモアレ縞(干渉縞)を生じやすく、500μmを超えるとスクリーンに投射した画像の視認性が低下する虞があるが、本発明では、これらの不具合を回避することができる。
これにより、本発明では、投影部からの距離が大きい位置における反射部の数が減るため、投影光を観察側に反射する箇所も減ることになる。そのため、本発明では、投影部からの距離が大きい位置の反射部からの観察側への反射光が減り、投影部からの距離が小さい位置の反射部からの反射光と同等とすることができ、投影光を反射スクリーンの前方の観察側に均一に反射させることが可能になる。
これにより、本発明では、例えば反射スクリーンの端縁部(周辺部)等、投影光の反射が少ない箇所には反射部の配置分布を密にして反射部の数を増やし、反射量を大きくするように調整することができる。
これにより、本発明では、投影部から投影された投影光を反射膜によってスクリーン基板の観察側に反射させると共に、反射膜の非形成領域で外光を吸収し、投影画像のコントラストを向上させることができる。また、反射部が凹の球状面を有する場合には、反射膜が凹状に形成されているので、反射スクリーンの外縁部に照射された投影光を反射スクリーンの法線方向により近い方向に反射させ、投影画像のコントラストを向上させることができる。
このように構成することで、反射膜の損傷や劣化を防止することができる。
このように構成することで、観察側から見て反射膜は凸状に形成される。投影光は、スクリーン基板を透過し、凸状の反射膜で反射して観察側に反射される。また、スクリーン基板自体を反射スクリーンの観察面側に対して反射膜の保護層として機能させることができる。
このように構成することで、観察側から見て反射膜は凹状に形成される。投影光は、スクリーン基板を透過し、凹状の反射膜で反射して観察側に反射される。これにより、反射スクリーン外縁部に照射された投影光をより法線方向に近い方向に反射させ、反射スクリーンの投影画像のコントラストを向上させることができる。
また、光透過性を有するスクリーン基板を反射膜の保護層として機能させることができる。
このように構成することで、投影光および外光が反射膜以外で反射することを防止して、投影画像のコントラストを向上させることができる。
このように構成することで、可撓性を有する反射スクリーンを形成することができ、反射スクリーンの巻き取り収納が可能となる。
これにより、本発明では、反射部のうち、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しない領域であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となり、投影画像のコントラストを向上させることができる。
これにより、本発明では、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しづらい球状面の周縁部であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となる。
これにより、本発明では、粗面処理されなければ投影光を前方の観察側へ反射する際に寄与しづらいスクリーン基板の周辺部であっても、粗面処理部が投影光を乱反射することにより、投影光を観察側に反射することが可能となる。特に、スクリーン基板における周辺部は、到達した投影光の光量が低下しやすいが、当該周辺部において観察側に反射する投影光の光量を増すことができるため、スクリーン基板内での投影ムラを低減することができる。
これにより、本発明では、球状面の径が大きくなることにより平面に近づき、観察側に反射する投影光の光量を一層増すことが可能となる。
平均粗度が10nm未満である場合には十分な乱反射が得られず、また、平均粗度が50μmを超えると、投影光の乱反射が安定せず、画像の視認性が低下する可能性があるが、本発明ではこれらの不具合を回避できる。
平均粗度が前記球状面の半径の1/10を超えると、反射部の球状面の形状を維持できなくなる虞があるが、本発明では、球状面の形状を維持した状態で乱反射面(粗面処理部)を形成することが可能になる。
球状面の半径が30μmを下回ると、スクリーンにモアレ縞(干渉縞)を生じやすく、500μmを超えるとスクリーンに投射した画像の視認性が低下する虞があるが、本発明では、これらの不具合を回避することができる。
これにより、本発明では、例えば熱可塑性樹脂を転写面に押し付けることにより、粗面処理部を有するスクリーン基板を容易に製造することができる。
この場合、粗面処理としては、前記転写面の少なくとも一部をショットブラスト法により粗面化する手順や、前記転写面の少なくとも一部をケミカルフロスト法により粗面化する手順、あるいは前記型基板として結晶化ガラスを用い、該結晶化ガラスをエッチング処理することにより、前記転写面の少なくとも一部を粗面化する手順を採用できる。
これにより、本発明では、投影部からの距離が大きい位置における反射部の数が減るため、投影光を観察側に反射する箇所も減ることになる。そのため、本発明では、投影部からの距離が大きい位置の反射部からの観察側への反射光が減り、投影部からの距離が小さい位置の反射部からの反射光と同等とすることができ、投影光を反射スクリーンの前方の観察側に均一に反射させることが可能になる。
これにより、本発明では、例えば反射スクリーンの端縁部(周辺部)等、投影光の反射が少ない箇所には反射部の配置分布を密にして反射部の数を増やし、反射量を大きくするように調整することができる。
これにより、本発明では、投影部から投影された投影光を反射膜によってスクリーン基板の観察側に反射させると共に、反射膜の非形成領域で外光を吸収し、投影画像のコントラストを向上させることができる。また、反射部が凹の球状面を有する場合には、反射膜が凹状に形成されているので、反射スクリーンの外縁部に照射された投影光を反射スクリーンの法線方向により近い方向に反射させ、投影画像のコントラストを向上させることができる。
これにより、本発明では、反射部において投影光が投影される箇所にターゲットを蒸着して容易に反射面を形成することができる。
これにより、本発明では、反射膜の損傷や劣化を防止することができる。
図1に示すように、反射スクリーン100は、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置されたプロジェクタPから、観察面100aに向けて斜めに射出された投影光Lpを、反射スクリーン100の観察側(Z軸正方向側)に反射するものである。反射スクリーン100は、法線NLがZ軸と平行になるように配置されている。
反射膜3の面積は、スクリーン基板1の観察面1aの垂直方向上方(Y軸正方向)側に近づくにつれて徐々に小さくなるように形成されている。反射膜3は、例えば、アルミニウム等の反射性を有する材料によって、後述する蒸着により膜厚が10nm以上かつ5μm以下となるように形成されている。
まず、図4(a)に示すように、平板状のスクリーン基板1上にマスクMを形成する。このマスクMとしては、例えばクロム(Cr)を、スパッタ等により成膜して形成されたものである。
続いて、このようにスクリーン基板1上に形成されたマスクMに対して、図4(b)に示すように、凹部2を形成する位置に開口部Kを形成する。開口部Kは、フォトエッチングやレーザ加工等により形成することができる。
凹部2が形成されたスクリーン基板1に対して、粗面処理としてショットピーニング法により鋳鉄や鋳鋼等の金属、あるいはアルミナ、炭化ケイ素等のセラミックからなる球状粒子を投射材Rとしてスクリーン基板1の表面に吹き付けたり、あるいは水に上記投射材Rを混合してスクリーン基板1の表面に吹き付ける湿式ブラスト法を実施する。投射材Rの粒径としては、例えば0.01mm〜2mmの範囲から選択することができ、また選択した粒径の標準偏差の3倍値は、0.005mm以内に管理された投射材Rを用いる。この粗面処理により、凹部2の表面には、所定の粗さを有する粗面部20が形成される。なお、これら投射材Rの粒径やスクリーン基板1に対する吹付速度は、上述した平均粗度が得られるように適宜調整される。
結晶化ガラスとしては、例えばSiO2−Li2O−Al2O3系ガラスからなる基板を結晶化処理し、その表面を研磨した後、フッ酸に硫酸あるいはフッ化アンモニウムを加えたエッチング剤によりエッチング処理し、表面に微細な凹凸を形成したものを用いることができる。フッ酸を主体とするエッチング剤としては、結晶化ガラスの結晶化層とアモルファス層の各層に対するエッチング速度が異なる(アモルファス層に対する溶解度がより大きい。)ものであり、このようなエッチング剤を用いることにより、アモルファス層に均質な結晶粒が凸状をなして規則正しく分布された微細構造を形成し、結晶化層とアモルファス層との間に微細な凹凸を均一に形成することができる。ここで、ガラス基板の表面に形成される凹凸の深さあるいは高さは、フッ酸の濃度、後述する硫酸またはフッ化アンモニウムの濃度、処理時間等の条件により制御される。これらの諸条件を調整することにより、凹凸の深さを50〜150オングストロームとすることが望ましい。
エッチング剤としてフッ酸に硫酸あるいはフッ化アンモニウムを添加した溶液を用いるのは、以下の理由による。すなわち、フッ酸のみを使用した場合には、ガラスとフッ酸との反応により生成した水に不溶若しくは難溶性のフッ化カルシウムやケイフッ化ソーダが、部分的にガラス表面を覆うため、その後の反応が妨げられて部分的な表面粗さの差が大きくなる。これに対して、添加剤として硫酸を併用した場合には、硫酸が前記した反応生成物を分解して可溶性の塩を作るため、ガラス面全体に腐食反応が均一に進行する。さらに、このような分解反応によりフッ酸が再生されるため、処理液中のフッ酸濃度の経時変化が小さくなり、これら両方の効果から部分的な表面粗さの差を小さくすることができる。また、添加剤としてフッ化アンモニウムを併用した場合にも、硫酸を加えた場合と同様に、ガラスとフッ酸との反応生成物が分解されかつフッ酸が再生されるため、反応が促進される。そのうえ、ガラスとフッ化アンモニウムとの反応により生じたケイフッ化アンモニウムの微結晶が、ガラス表面に接触するため、この微結晶の接触に対応して基板表面に非常に微細な凹凸が形成され、部分的な表面粗さの差がより小さくなる。
また、エッチング剤におけるフッ酸の望ましい濃度範囲としては、0.1〜3.0重量%(以下、単に%と示す。)とするとともに、硫酸およびフッ化アンモニウムの望ましい濃度範囲を、それぞれ2.0〜12.0%および1.0〜10.0%とする。フッ酸の濃度がエッチング剤全体の0.1%未満では、ガラス基板に対して十分なエッチング効果が発揮されず、また硫酸の濃度が2.0%未満である場合には、ガラスとフッ酸との反応により生じた水に難溶性の生成物を、硫酸が十分に分解することができないため、反応生成物によるエッチング阻害が生じ均一な凹凸が形成されない。さらに、フッ化アンモニウムの濃度が1.0%未満の場合にも、硫酸の場合と同様に腐食反応が均一に進行せず、表面粗さの差が大きくなる。またさらに、フッ酸、硫酸またはフッ化アンモニウムの濃度がそれぞれの上限値を越えた場合には、短時間の間に急激に反応が進行するため、エッチング工程から洗浄工程への移送時間にもエッチングが進行し、少しの時間差で表面粗さの値が大きく変動する。現実の工程管理を考慮すると、所望の表面粗さが得られるまでに、10秒以上より好ましくは20〜60秒の処理時間を要することが望ましく、そのために各成分の濃度を前記上限値以下とすることが望ましい。各成分のより好ましい濃度範囲は、フッ酸濃度が0.5〜2%、硫酸濃度が2〜8%、フッ化アンモニウム濃度が1〜5%である。
なお、上記結晶化ガラスに対するエッチング処理については、特開平7−296380号公報等に詳述されている。
続いて、凹部2に反射膜3を形成する。
図3に示すように、スクリーン基板1の観察側(Z軸正方向側)で、スクリーン基板1の観察面1aの法線NLに対して垂直方向下方側(Y軸負方向側)にずれた位置の仮想光源位置PVに蒸着源Sを配置する。そして、蒸着法により反射膜材料を観察面1aに対して斜めに蒸着させ、凹部2の内壁面2aに反射膜3を形成する。反射膜材料としては、例えば、アルミニウム等の反射性に優れた金属材料を用いることができる。
なお、観察面1aについては、反射膜が成膜されないように、マスクを配しておくことが好ましい。
また、このように斜め方向から蒸着法により反射膜3を形成することで、反射膜3の膜厚が反射膜3の非形成領域側の外縁3eに近づくに従って徐々に薄くなるように形成される。
また、反射膜3を蒸着法により形成することで、スプレーコート方法、印刷方法等よりも薄く高品質な反射膜3を形成することができる。
また、観察面1aに対する反射膜材料の蒸着の角度θsを仮想光源位置PVからの投影光Lpの入射角度θpと等しくなるようにすることで、蒸着源Sから各凹部2までの投影光Lpの入射方向の距離の差による反射膜3の面積の差を小さくすることができる。
また、蒸着による反射膜3形成時の真空度は、例えば、約1×10−4Torr〜約1×10−5Torrの範囲であることが望ましい。このようにすることで、形成された反射膜3の表面3aの粗度を上昇させ、より明るい投影画像を得ることができる。
以上、本実施形態の反射スクリーン100の製造方法によれば、図3に示すような反射スクリーン100を製造することができる。
図1に示すように、プロジェクタPはミラーMに向けて投影光Lpを射出する。ミラーMに向けて射出された投影光Lpは、ミラーMによって反射され、仮想光源位置PVから射出されたと仮定した投影光Lpと同様に、スクリーン基板1の観察面1aに対して斜めに入射する。このとき、反射スクリーン100の中心点Cに入射する投影光Lpと、反射スクリーン100の観察面100aとのなす角度θは、約36°となっている。
保護層4に入射した投影光Lpは、保護層4を透過して凹部2の内壁面2aに形成された反射膜3に到達する。反射膜3に到達した投影光Lpは、反射膜3によって反射スクリーン100の観察側に反射される。
ここで、反射スクリーン100には、反射防止層5が形成されているので、観察面100aの上方から観察面100aに入射した外光Loが、保護層4の表面4aで観察側に反射することが防止される。
ここで、スクリーン基板1は、上述のように可視光を吸収可能な光吸収面7を有しているので、凹部2の内壁面2aの反射膜3の非形成領域にある光吸収面7に到達した外光Loは、スクリーン基板1(光吸収面7)によって吸収される。また、外光Loが反射した場合でも、光吸収面7にも粗面部20が形成されているため、外光Loは乱反射し、観察側に反射する光量を抑制することができる。
したがって、反射スクリーン100の観察面100aに入射した外光Loが、観察側に反射されることが防止できる。
しかも、本実施形態では、反射部が凹で形成されているため、凸のように投影光Lpが遮られることなく、凹部2に到達することができ、全体的に輝度を向上させることができる。
さらに、スクリーン基板1が可撓性を有する材料によって形成されているので、可撓性を有する反射スクリーン100を形成することができ、反射スクリーン100の巻き取りを可能とし、反射スクリーン100をコンパクトに収納することができる。
続いて、反射スクリーン100の第2実施形態について、図6を参照して説明する。
本実施形態では上述の第一実施形態で説明した反射スクリーン100と、スクリーン基板11に凹部2ではなく凸部21がされている点で異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図6に示す反射スクリーン200は、プロジェクタPに対して、図1に示す第一実施形態の反射スクリーン100と同様に配置されている。反射スクリーン200のスクリーン基板11は、第一実施形態のスクリーン基板1と同様に、可視光を吸収可能に形成されている。
さらに、型基板Pのガラス材料として、結晶化ガラスを用いることもできる。結晶化ガラスは、エッチング処理により表面が粗面化されるため、上記凹部PRを形成する工程で同時に粗面部20A’を形成することができる。
次いで、上記と同様に、仮想光源位置PVに蒸着源Sを配置し、蒸着法により反射膜材料を観察面11aに対して斜めに蒸着させ、凸部21の表面に反射膜31を形成する。この反射膜31についても、凸部21の表面に粗面部20Aが形成されているため、粗面部20Aの粗さが転写されることにより、反射膜31の表面にも粗面部20Aと同様の粗さが形成される。
この後の工程は、上記第1実施形態と同様である。
図6に示す仮想光源位置PVから射出されたと仮定した投影光Lpは、反射スクリーン200の観察面200aに対して斜めに入射する。
観察面200aに到達した投影光Lpは、反射防止層5に入射する。反射防止層5に入射した投影光Lpは、反射防止層5を透過して保護層4に入射する。
このとき、第1実施形態と同様に、反射防止層5によって投影光Lpが保護層4の表面4aで反射することが防止される。
保護層4に入射した投影光Lpは、保護層4を透過して凸部21に形成された反射膜31に到達する。反射膜31に到達した投影光Lpは、凸状の反射膜31によって反射スクリーン200の観察側に反射される。
続いて、反射スクリーンの第3実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態では上述の第1実施形態で説明した反射スクリーン100と、スクリーン基板12が光透過性を有する材料によって形成され、スクリーン基板12の観察面12a側とは反対側の面12bに凹部22が形成されている点で異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図7に示す反射スクリーン300は、プロジェクタPに対して、図1に示す第1実施形態の反射スクリーン100と同様に配置されている。
一方、スクリーン基板12の観察面12aとは反対側の面12bには、光を吸収する材料によって光吸収層16が形成されている。光吸収層16は、例えば、染色等によって黒色に着色された樹脂や、黒色の顔料を含有する樹脂等を用いて形成する。光吸収層16は、凹部22の内側を含むスクリーン基板12の観察面12aとは反対側の面12bに、反射膜32を覆うように形成されている。
図1に示すようにプロジェクタPからミラーMに向けて投影光Lpが射出され、図7に示す仮想光源位置PVから射出されたと仮定した投影光Lpと同様に、反射スクリーン300の観察面300aに対して斜めに入射する。
観察面300aに到達した投影光Lpは、図7に示すように、反射防止層51に入射する。反射防止層51に入射した投影光Lpは、反射防止層51を透過してスクリーン基板12に入射する。このとき、反射防止層51によって投影光Lpがスクリーン基板12の観察面12aで反射することが防止される。
スクリーン基板12に入射した投影光Lpは、スクリーン基板12を透過して凹部22に形成された反射膜32に到達する。反射膜32に到達した投影光Lpは、観察側から見て凸状に形成された反射膜32によって反射スクリーン300の観察側に反射される。
すなわち、凹部22の反射膜32の非形成領域に入射した外光Loを、凹部22に充填された光吸収層16によって吸収し、外光Loが反射スクリーン300の観察側に反射することを防止することができる。また、外光Loが凹部22で反射した場合でも、粗面部20Bが形成されているため、外光Loは乱反射し、観察側に反射する光量を抑制することができる。
また、反射スクリーン300の水平方向に隣接する凹部22,22(観察面300a側から見て凸部)の間に投影光Lpを通過させて、垂直方向に隣接する凹部22の反射膜32に入射させることができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図8を用いて説明する。
本実施形態では上述の第1実施形態で説明した反射スクリーン100と、スクリーン基板13が光透過性を有する材料によって形成され、スクリーン基板13の観察面13aとは反対側の面13bに凸部(反射部)23が形成されている点で異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。図8に示す反射スクリーン400は、プロジェクタPに対して、図1に示す第1実施形態の反射スクリーン100と同様に配置されている
スクリーン基板13の観察面13aには、第3実施形態と同様の反射防止層51が形成されている。一方、スクリーン基板13の観察面13aとは反対側の面13bには、第3実施形態と同様の光吸収層16が凸部23および反射膜33を覆うように形成されている。
プロジェクタPからミラーMに向けて投影光Lpが射出され、図8に示す仮想光源位置PVから射出された投影光Lpと同様に、反射スクリーン400の観察面400aに対して斜めに入射する。
観察面400aに到達した投影光Lpは、反射防止層51に入射する。反射防止層51に入射した投影光Lpは、反射防止層51を透過してスクリーン基板13に入射する。このとき、反射防止層51によって投影光Lpがスクリーン基板13の観察面13aで反射することが防止される。
スクリーン基板13に入射した投影光Lpは、スクリーン基板13を透過して凸部23の表面23aに形成された反射膜33に到達する。反射膜33に到達した投影光Lpは、反射スクリーン400の観察側から見て凹状に形成された反射膜33によって反射スクリーン400の観察側に反射される。
すなわち、凸部23の反射膜33の非形成領域に入射した外光を、凸部23の表面23aを覆う光吸収層16によって吸収し、外光Loが反射スクリーン400の観察側に反射することを防止することができる。また、外光Loが凸部23で反射した場合でも、粗面部20Cが形成されているため、外光Loは乱反射し、観察側に反射する光量を抑制することができる。
この構成では、平滑面部40において観察側へ反射される投影光Lpの光量が増えるとともに、前方の観察側へ反射する際に寄与しづらい周縁部であっても、粗面部20が投影光Lpを乱反射することにより、投影光の一部を観察側に反射することが可能となり、投影画像のコントラストを向上させて表示品質を高めることができる。
この構成では、中央側に位置する凹部2において観察側へ反射される投影光Lpの光量が増えるとともに、前方の観察側へ反射する際に寄与しづらいスクリーン基板1の周辺部であっても、粗面部20が投影光Lpを乱反射することにより、投影光の一部を観察側に反射することが可能となり、投影画像のコントラストを向上させて表示品質を高めることができる。また、この構成においても、スクリーン基板1の周辺部に位置する凹部2毎に球状面6における中心部を平滑面部40とし、周縁部のみに粗面部20を形成する構成としてもよい。
この構成では、球状面の径が大きくなることにより平面に近づき、スクリーン基板1の周辺部に照射された投影光Lpであっても、観察側に反射する投影光Lpの光量を一層増すことが可能となる。
さらに、仮想光源位置PVからの距離に応じて疎となる分布で配置されていれば、一様に配置する必要はなく、例えば観察面からの投影光Lpの反射分布に偏りが生じている場合には、当該偏りを有する領域の配置分布を調整することにより、反射分布(輝度分布)を補正してもよい。
Claims (31)
- スクリーン基板の観察面に複数の反射部を有し、前記観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部から、前記観察面に向けて斜めに射出された投影光を、観察側に反射する反射スクリーンであって、
前記反射部は、凹または凸の球状面を有し、
前記球状面の少なくとも一部は、前記投影光を乱反射させる所定の粗さとなるように粗面処理された粗面処理部を有することを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1記載の反射スクリーンにおいて、
前記粗面処理部は、前記球状面における周縁部に設けられることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1または2記載の反射スクリーンにおいて、
前記粗面処理部は、前記スクリーン基板の周辺部に配置された前記反射部の少なくとも一部に設けられることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項3記載の反射スクリーンにおいて、
前記粗面処理部を有する前記反射部は、前記粗面処理部を有さない前記反射部よりも大きな径で形成された球状面を有することを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記粗面処理部は、平均粗度が10nm〜50μmの範囲に形成されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項5記載の反射スクリーンにおいて、
前記粗面処理部の平均粗度は、前記球状面の半径の1/10以下であることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射部の前記球状面の半径は、30μm〜500μmの範囲に形成されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射部は、前記投影部からの距離が大きくなるに従って、疎となる分布で配置されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項8記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射部の配置分布は、前記観察面からの前記投影光の反射分布に応じて調整されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射部は、前記投影部を臨む面に反射膜を有するとともに、前記反射膜の非形成領域に光吸収面を有することを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記スクリーン基板の前記観察面側に保護層が設けられていることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記スクリーン基板は光透過性を有する材料によって形成され、
前記凹の球状面は、前記スクリーン基板の前記観察面と反対側の面に設けられた凹部に形成されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記スクリーン基板は光透過性を有する材料によって形成され、
前記凸の球状面は、前記スクリーン基板の前記観察面と反対側の面に設けられた凸部に形成されることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記スクリーン基板の前記観察面側に反射防止層が設けられていることを特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から14のいずれか一項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記スクリーン基板が、可撓性を有する材料によって形成されていることを特徴とする反射スクリーン。 - スクリーン基板の観察面に複数の反射部を有し、前記観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部から、前記観察面に向けて斜めに射出された投影光を、観察側に反射する反射スクリーンの製造方法であって、
前記反射部は、凹または凸の球状面を有し、
前記球状面の少なくとも一部を、前記投影光を乱反射させる所定の粗さとなるように粗面処理する粗面処理工程を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理部を、前記球状面における周縁部に設けることを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16または17記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理部を、前記スクリーン基板の周辺部に配置された前記反射部の少なくとも一部に設けることを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項18記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理部を有する前記反射部を、前記粗面処理部を有さない前記反射部よりも大きな径を有する球状面をもって形成することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から19のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理部を、平均粗度が10nm〜50μmの範囲で形成することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項20記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理部の平均粗度は、前記球状面の半径の1/10以下であることを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から21のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記反射部の前記球状面の半径を、30μm〜500μmの範囲で形成することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から22のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粗面処理工程は、型基板の前記反射部が転写される転写面に粗面処理する工程を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項23記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記転写面の少なくとも一部をショットブラスト法により粗面化することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項23記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記転写面の少なくとも一部をケミカルフロスト法により粗面化することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項23記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記型基板として結晶化ガラスを用い、該結晶化ガラスをエッチング処理することにより、前記転写面の少なくとも一部を粗面化することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から26のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記反射部を、前記投影部からの距離が大きくなるに従って、疎となる分布で配置することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項27記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記反射部の配置分布は、前記観察面からの前記投影光の反射分布に応じて調整されることを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から28のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
少なくとも前記スクリーン基板の前記観察面側に光吸収面を形成する工程と、
前記反射部の前記投影部を臨む面に反射膜を形成する工程とを有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項29記載の反射スクリーンの製造方法において、
ターゲットを有する蒸着源を前記投影部に配置し、前記ターゲットを前記反射部の前記投影部を臨む面に蒸着することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項16から30のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記スクリーン基板の前記観察面側に保護層を設ける工程を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。
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