(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図11を参照して説明する。
図1ないし図3に示すように、本発明の実施の形態に係るペースト塗布装置1は、塗布対象物としての基板K1が水平状態(基板K1のペーストが塗布される面が図1及び図2に示すX軸方向とそれに直交するY軸方向に沿う状態)で載置される基板ステージ2Aと、捨て塗布用の基板K2がそれぞれ水平状態で載置される第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cと、各ステージ2A〜2CをY軸方向に移動可能に支持するベース部3と、基板ステージ2A上の基板K1にシール剤等のシール性及び接着性を有するペーストをそれぞれ塗布する複数の塗布ヘッド4と、各塗布ヘッド4をそれぞれ支持する第1支持部材5A及び第2支持部材5Bと、それらの第1支持部材5A及び第2支持部材5BをY軸方向に移動させる支持部材移動機構6と、ベース部3及び支持部材移動機構6を支持する架台7とを備えている。なお、基板ステージ2A、第1捨て塗布ステージ2B、第2捨て塗布ステージ2C及びベース部3が載置部Sとして機能する。
基板ステージ2Aは、ベース部3の上面にY軸方向に移動可能に設けられた載置台である。この基板ステージ2Aは、基板K1を吸着する吸着機構(図示せず)を備えており、その吸着機構により上面の載置面に基板K1を固定して保持する。なお、吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。このような基板ステージ2Aの載置面には、ガラス基板等の製品用の基板K1が載置される。
第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cは、基板ステージ2AをY軸方向から挟むようにベース部3の上面にY軸方向に移動可能にそれぞれ設けられている。これらの第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cは、捨て塗布用の基板K2を吸着する吸着機構(図示せず)をそれぞれ備えており、各吸着機構により上面の載置面に基板K2を固定して保持する。なお、吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。このような第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cの各々の載置面には、ガラス基板等の捨て塗布用の基板K2がそれぞれ載置される。なお、捨て塗布は、各塗布ヘッド4による塗布が設定時間以上停止していた場合等、各塗布ヘッド4の塗布精度の低下や吐出不良の発生を防止するため、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2C上の基板K2に対してペーストを塗布する動作である。
ベース部3は、基板ステージ2A、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2CをY軸方向に移動可能に支持しており、架台7の上面に設けられている。このベース部3は、図4及び図5に示すように、各ステージ2A〜2CをY軸方向に案内する複数のガイドレール3aと、それらのガイドレール3aに沿って各ステージ2A〜2Cを移動させる移動機構3bとを具備している。このベース部3は、設置時の組み付け位置調整等、必要に応じて基板ステージ2A、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cを移動機構3bによりY軸方向に移動させる。なお、移動機構3bとしては、例えば送りねじ機構を用いる。
このようなベース部3には、図4及び図5に示すように、ベース部3、すなわち載置部Sを浮上させる複数の浮上装置Fが内蔵されている。ここでは、例えば、4つの浮上装置Fがベース部3内に設けられている。なお、浮上装置Fとしては、例えば、空気により載置部Sを浮上させるエアーパレット(空気浮上式移動装置)を用いる。この浮上装置Fは、図6に示すように、搬送物としてのベース部3が載置される載置台Faと、その載置台Faと架台7との間に設けられ空気の供給により膨張する袋体Fbと、その袋体Fbに空気を供給するための供給経路Fcを有している。袋体Fbは、例えばドーナツ型である。なお、供給経路Fcの開口部には、搬送時、袋体Fbに空気(圧縮空気)を供給するためポンプ等の圧縮空気供給源に連結されたチューブが接続される。そのため、供給経路Fcの開口部には、上記チューブと着脱自在に連結可能な接続具が設けられる。
浮上装置Fは、図7に示すように、供給経路Fcから供給される空気により袋体Fbを膨張させ、さらに、袋体Fbの底面と架台7の上面との間に空気流を発生させ、その空気ベアリング作用により架台7の上面に対するベース部3の摩擦抵抗を減少させる。詳述すると、圧縮空気が供給経路Fcを介して袋体Fbに供給されると、袋体Fbが膨らみ、ベース部3を持ち上げ、同時に、圧縮空気は袋体Fbと載置台Faの隙間を通って中央空間部(載置台Faと袋体Fbと架台7の上面とにより形成される空間)に流れ込む。袋体Fb及び中央空間部に流れ込んだ全空気の圧力が荷重より大きくなると、ベース部3が架台7から浮き上がり、浮上装置Fと架台7の上面との間に空気の膜が形成される。
このように空気が流動し、空気の膜が常時形成されると、図8に示すように、ベース部3、すなわち載置部Sが架台7から浮いた状態となる。これにより、載置部Sはわずかな推進力を加えるだけで、架台7の上面に沿って任意の方向に移動させることができる。浮上状態の載置部Sは、架台7の隣に停止した搬送用の台車D上に作業員により移動させられ、その台車Dによって搬送される。台車Dは、載置部Sを載置する載置面を架台7の上面の高さと一致させるべく高さ調整可能に構成されている。ペースト塗布装置1の搬送後、設置場所で上述と逆の手順で架台7の上面に載置部Sが組み込まれる。なお、架台7の上面である支持面には、図1、図4及び図8に示すように、その支持面の所定位置に載置部Sを位置決めする複数の位置決め部材Saが設けられている。これらの位置決め部材Saは架台7の支持面に固定されて設けられており、載置部Sのベース部3に当接して位置決めを行う。これにより、作業者は架台7の支持面の所定位置に載置部Sを容易に設置することができる。
図1ないし図3に戻り、各塗布ヘッド4は、ペーストを収容するシリンジ等の収容筒4aと、その収容筒4aに連通してペーストを吐出するノズル4b(図2参照)とをそれぞれ有している。これらの塗布ヘッド4は、気体供給チューブ等を介して気体供給部(いずれも図示せず)にそれぞれ接続されている。この各塗布ヘッド4は、収容筒4a内に供給される気体により、収容筒4a内のペーストをノズル4bから吐出する。このような各塗布ヘッド4は、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bにヘッド移動機構8によりX軸方向に移動可能にそれぞれ設けられている。なお、ペーストとしては、シール性及び接着性を有するペーストを用いているが、これに限るものではなく、例えば、シール性及び接着性のどちらか一方を有するペーストや他の特性を有するペースト等を用いるようにしてもよい。
ヘッド移動機構8は、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bにそれぞれ設けられている。このヘッド移動機構8は、各塗布ヘッド4をそれぞれ保持する複数の保持部8aと、それらの保持部8aをそれぞれ支持して水平面に直交するZ軸方向に移動させる複数のZ軸移動機構8bと、それらのZ軸移動機構8bを支持してX軸方向に移動させるX軸移動機構8cとを備えている。
保持部8aは、着脱可能に塗布ヘッド4の収容筒4aを保持する部材である。また、Z軸移動機構8bは、保持部8aをZ軸方向、すなわち基板ステージ2Aに対して接離させる接離方向に移動させる移動機構である。このZ軸移動機構8bとしては、例えば送りねじ機構を用いる。X軸移動機構8cは、各塗布ヘッド4をX軸方向、すなわち第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの移動方向に水平面内で直交する方向に移動させる移動機構である。このX軸移動機構8cとしては、例えばリニアモータ機構や送りねじ機構を用いる。
第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、各塗布ヘッド4をそれぞれ2個ずつ支持するコラムである。これらの第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、その移動方向に交差する方向、例えば直交する方向に延伸させて形成されている。さらに、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、例えば直方体形状にそれぞれ形成されており、基板ステージ2Aの載置面に対して平行に設けられている。このような第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、支持部材移動機構6により塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって移動し、塗布範囲H1内で基板ステージ2Aの載置面に対向する位置に各塗布ヘッド4を位置付け、さらに、退避範囲H2内で捨て塗布ステージ2B、2Cの載置面に対向する位置に各塗布ヘッド4を位置付ける。
ここで、塗布範囲H1は、各塗布ヘッド4が基板ステージ2A上の基板K1にペーストを塗布する場合の移動範囲、すなわち製品用の基板K1に対する塗布を行う移動範囲である。また、退避範囲H2は、塗布範囲H1以外の範囲であり、特に、各塗布ヘッド4が第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2C上の基板K2にペーストを塗布する場合の移動範囲、すなわち捨て塗布用の基板K2に対する塗布を行う退避範囲であり、さらに、基板ステージ2A上の基板K1を交換する場合の退避範囲である。
支持部材移動機構6は、架台7の上面に設けられており、塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを移動可能に支持している。また、支持部材移動機構6は、塗布範囲H1及び退避範囲H2に区分して分割可能に形成されている。この支持部材移動機構6は、第1支持部材5Aの延伸方向の両端部及び第2支持部材5Bの延伸方向の両端部を支持し、Y軸方向に移動させる一対のY軸移動機構6aにより構成されている。この一対のY軸移動機構6aは、基板ステージ2Aさらに第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cを挟むように、Y軸方向に沿わして架台7の上面に設けられている。これらのY軸移動機構6aには、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bが架け渡されて設けられている。このようなY軸移動機構6aとしては、例えばリニアモータ機構を用いる。
一対のY軸移動機構6aは、図3、図9及び図10に示すように、第1支持部材5Aの延伸方向の端部及び第2支持部材5Bの延伸方向の端部をそれぞれ支持する2つの支持台9と、それらの支持台9にそれぞれ設けられた可動子10と、各支持台9にそれぞれ設けられた複数のスライダ11と、Y軸方向に伸びる溝部Mを有して2つの支持台9を移動可能に支持する支持ステージ12と、溝部Mの底面に設けられY軸方向に伸びる固定子13と、支持ステージ12の上面に設けられ2つの支持台9をY軸方向に案内する一対のガイドレール14とをそれぞれ具備している。
各支持台9は、平板状に形成されており、支持ステージ12に移動可能に水平に設けられている。各可動子10は、固定子13と対向させて設けられている。各スライダ11は、それぞれ対応するガイドレール14にスライド移動可能に取り付けられている。固定子13は、支持ステージ12の溝部Mの底面にY軸方向に沿って設けられている。なお、可動子10及び固定子13がリニアモータとして機能する。一対のガイドレール14は、支持ステージ12の溝部Mを避けて支持ステージ12の上面にそれぞれ設けられている。これらのガイドレール14は、それぞれ平行にして支持ステージ12の上面に配置され、ネジ等により固定されている。
この一対のY軸移動機構6aは、塗布範囲H1及び退避範囲H2に分けて分割可能にそれぞれ形成されている。例えば、一対のY軸移動機構6aは、3分割可能に、架台7の上面に固定された本体部P1と、その本体部P1に連結可能に形成され架台7の上面に着脱可能に設けられる2つの分割部P2、P3としてそれぞれ形成されている(図9及び図10参照)。特に、Y軸移動機構6aは、一対のガイドレール14の各々の分割位置G1、G2を同一直線上からずらして分割可能に形成されている。
本体部P1の支持ステージ12は基準ステージ12aとなり、分割部P2の支持ステージ12は分割ステージ12bとなり、分割部P3の支持ステージ12は分割ステージ12cとなる。この基準ステージ12aと各分割ステージ12b、12cとは、その分割部分を階段状にして連結可能に形成されている。
基準ステージ12aは、架台7の上面にボルト等の締結手段を用いて固定されている。この基準ステージ12aは、分割ステージ12b、12cを取り付ける場合の基準となる第1基準面M1及び第2基準面M2を有している。第1基準面M1は基準ステージ12aに水平方向に沿って設けられた平面であり、第2基準面M2は第1基準面M1に直交する平面である。また、基準ステージ12aは、位置決め用の位置決めピン15がそれぞれ挿入される複数の位置決め穴16を有している。位置決めピン15は、基準ステージ12aに対する分割ステージ12b、12cの位置決めを行うためのピンである。
各分割ステージ12b、12cは、基準ステージ12aに連結可能に形成され、架台7に対して着脱可能に設けられている。これらの分割ステージ12b、12cは、第1基準面M1に当接する第1当接面T1及び第2基準面M2に当接する第2当接面T2をそれぞれ有している。また、各分割ステージ12b、12cは、位置決めピン15が各々貫通する複数の貫通孔17をそれぞれ有している。各位置決めピン15が、それぞれ対応する貫通孔17を通過して基準ステージ12aの各位置決め穴16に挿入され、基準ステージ12aに対する各分割ステージ12b、12cの位置決めが行われる。
ここで、各分割ステージ12b、12cの第1当接面T1が基準ステージ12aの第1基準面M1に当接することで、各分割ステージ12b、12cの高さ方向の位置決めが行われ、各分割ステージ12b、12cの第2当接面T2が基準ステージ12aの第2基準面M2に当接することで、Y軸方向、すなわちガイドレール14が延びる方向の位置決めが行われ、各位置決めピン15が、それぞれ対応する貫通孔17を通過して基準ステージ12aの各位置決め穴16に挿入されることで、各分割ステージ12b、12cの幅方向(X軸方向)の位置決めが行われる。これにより、基準ステージ12aに対する各分割ステージ12b、12cの組立調整が容易になり、さらに、組立精度の再現性が向上する。
この各分割ステージ12b、12cは、基準ステージ12aに連結した状態において、その下面と架台7の上面との間に隙間が生じるように形成されている。各分割ステージ12b、12cの下面には、各分割ステージ12b、12cを支持する複数の支持ピン18がそれぞれ設けられている。本発明の実施の形態では、支持ピン18は各分割ステージ12b、12cに2本ずつ設けられている。これらの支持ピン18は、その高さ調整が可能に形成されており、架台7の上面に当接して各分割ステージ12b、12cを支持する。支持ピン18は、その外周にねじ山が形成されたピンであり、各分割ステージ12b、12cにそれぞれ形成された複数のねじ穴19に挿入されている。各支持ピン18は、ロックナット20を備え、高さ調整が完了すると固定される。
このように、支持ピン18により分割ステージ12b、12cを架台7の上面に支持するようにしたので、重量物である支持部材5A、5Bが分割ステージ12b、12c上に移動したときに、分割ステージ12b、12cに撓みが生じることが防止される。そのため、ガイドレール14における分割位置G1、G2に隙間が生じることを防止することが可能になるので、支持部材5A、5Bがガイドレール14の分割位置G1、G2を通過するときに生じる衝撃が緩和され、通過時の衝撃によるスライダ11の損傷を防ぐことができる。したがって、支持部材5A、5Bの良好な移動状態を維持することができ、安定したペーストの塗布動作を行うことができる。
架台7は、床面上に設置され、載置部S及び支持部材移動機構6を床面に対して所定の高さ位置に支持する架台である。この架台7は、支持部材移動機構6、すなわち一対のY軸移動機構6aの分割位置に対応させて分割可能に形成されている。例えば、一対のY軸移動機構6aは3分割可能にそれぞれ形成されているので、これに対応させて、架台7も、3分割可能に本体架台7aと2つの分割架台7b、7cとして形成されている。この分割位置は、一対のY軸移動機構6aの分割位置、すなわち本体部P1と2つの分割部P2、P3との境界位置である。なお、分割架台7b、7cは、本体架台7aに対して、ボルト等の締結手段を用いて連結されて一体化される。
次に、このようなペースト塗布装置1が行う塗布動作(製品製造動作)及び捨て塗布動作(メンテナンス動作)について説明する。なお、捨て塗布動作は、各塗布ヘッド4による塗布が設定時間以上停止していた場合等に行われる。
塗布動作では、ペースト塗布装置1は、支持部材移動機構6により第1支持部材5A及び第2支持部材5BをY軸方向に移動させ、各ヘッド移動機構8のX軸移動機構8cにより各塗布ヘッド4をX軸方向にそれぞれ移動させ、基板ステージ2A上の基板K1の各塗布開始位置に各塗布ヘッド4をそれぞれ対向させる。次いで、ペースト塗布装置1は、塗布動作用の塗布条件(ギャップ等)に基づいて、各ヘッド移動機構8のZ軸移動機構8bにより各塗布ヘッド4をZ軸方向にそれぞれ移動させ、待機位置から塗布位置に各塗布ヘッド4を位置付ける。
ここで、待機位置及び塗布位置は、基板ステージ2A上の基板K1に対して所定の距離だけ離反する離反位置である。待機位置は、各塗布ヘッド4が塗布を行わない場合の離反位置であり、各塗布ヘッド4のノズル4bの先端と基板K1の表面との間にはノズル4bが基板K1に接触しない充分な間隔が形成される。また、塗布位置は、各塗布ヘッド4が塗布を行う場合の離反位置であり、各塗布ヘッド4のノズル4bの先端と基板K1の表面との間には所定のギャップが形成される。なお、ギャップは、基板K1の表面にペーストを所定の塗布量で塗布する場合に必要なノズル4bの先端と基板K1の表面との離間距離である。
その後、ペースト塗布装置1は、塗布動作用の塗布条件(吐出圧力や移動速度等)に基づいて、各塗布ヘッド4のノズル4bからペーストを吐出させながら、支持部材移動機構6により第1支持部材5A及び第2支持部材5BをY軸方向に塗布範囲H1内で移動させ、各ヘッド移動機構8のX軸移動機構8cにより各塗布ヘッド4をX軸方向に移動させ、基板ステージ2A上の基板K1にペーストを塗布し、所定のペーストパターンを形成する。ここで、各塗布ヘッド4が形成するペーストパターン(塗布パターン)は同一であり、例えば矩形枠状である。所定のペーストパターンの形成が完了すると、ペースト塗布装置1は、各ヘッド移動機構8のZ軸移動機構8bにより各塗布ヘッド4をZ軸方向にそれぞれ移動させ、塗布位置から元の待機位置に各塗布ヘッド4を位置付ける。なお、吐出圧力は、塗布ヘッド4内のペーストをノズル4bから吐出させるための気体圧力であり、移動速度は、ペーストを塗布する場合のノズル4bと基板K1との相対移動速度である。
最後に、ペースト塗布装置1は、支持部材移動機構6により第1支持部材5A及び第2支持部材5BをY軸方向に塗布範囲H1から退避範囲H2に移動させ、第1捨て塗布ステージ2B上の基板K2に第1支持部材5Aの各塗布ヘッド4を対向させ、加えて、第2捨て塗布ステージ2C上の基板K2に第2支持部材5Bの各塗布ヘッド4を対向させ、基板ステージ2A上の基板K1の交換に待機する。基板K1の交換が完了すると、前述の塗布動作を繰り返す。
なお、塗布動作は、第1支持部材5A、第2支持部材5B及び4つの塗布ヘッド4をそれぞれ塗布範囲H1で移動させて行うものに限らず、一方の支持部材、例えば、第2支持部材5Bを退避範囲H2に退避させておき、第1支持部材5Aとそれに支持された塗布ヘッド4を塗布範囲H1で移動させて行うようにしてもよい。
一方、捨て塗布動作では、ペースト塗布装置1は、支持部材移動機構6により、第1支持部材5A及び第2支持部材5BをY軸方向に塗布範囲H1から退避範囲H2に移動させ、第1捨て塗布ステージ2B上の基板K2に第1支持部材5Aの各塗布ヘッド4を対向させ、第2捨て塗布ステージ2C上の基板K2に第2支持部材5Bの各塗布ヘッド4を対向させる。次いで、ペースト塗布装置1は、捨て塗布動作用の塗布条件(ギャップ等)に基づいて、各ヘッド移動機構8のZ軸移動機構8bにより各塗布ヘッド4をZ軸方向にそれぞれ移動させ、待機位置から塗布位置に各塗布ヘッド4を位置付ける。
その後、ペースト塗布装置1は、捨て塗布動作用の塗布条件(吐出圧力や移動速度等)に基づいて、各塗布ヘッド4のノズル4bからペーストを吐出させながら、各ヘッド移動機構8のX軸移動機構8cにより各塗布ヘッド4をX軸方向に移動させ、例えば、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2C上の基板K2に対してペーストを直線状に塗布する。この捨て塗布が完了すると、ペースト塗布装置1は、各ヘッド移動機構8のZ軸移動機構8bにより各塗布ヘッド4をZ軸方向にそれぞれ移動させ、塗布位置から元の待機位置に各塗布ヘッド4を位置付ける。この捨て塗布動作により、各塗布ヘッド4の塗布精度の低下や吐出不良の発生が防止される。
このようなペースト塗布装置1を搬送する場合には、まず、載置部Sが分離される。不図示の圧縮空気供給源に連結されたチューブが接続具を介して各浮上装置Fの供給経路Fcに連結されて、各浮上装置Fに圧縮空気が供給されると、図8に示すように、ベース部3、すなわち載置部Sが各浮上装置Fにより架台7の上面から浮いた状態となる。これにより、載置部Sはわずかな推進力を加えるだけで、架台7の上面に沿って任意の方向に移動させることができる。その後、浮上状態のベース部3は、架台7の隣に停止した搬送用の台車D上に作業員により移動させられ、その台車Dによって搬送される。このように浮上装置Fにより載置部Sが架台7の上面から浮上するので、クレーン等の搬送設備を用いなくても、載置部Sを架台7の上面に沿って任意の方向に容易に移動させることが可能になる。これにより、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができる。特に、載置部Sは塗布精度に大きく影響を与える部分であるため、搬送のために載置部Sが分解されると、塗布精度が低下してしまう。設置場所で塗布精度を許容範囲内にするためには、組付け精度を維持する必要がある。したがって、載置部Sを浮上装置Fにより浮上させて搬送することによって、載置部S自体を分解することなく搬送することが可能になるので、高い組付け精度を維持することができる。
次に、ペースト塗布装置1の支持部材移動機構6及び架台7が分割される。図11に示すように、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bが塗布範囲H1内に位置付けられ、次いで、支持部材移動機構6が本体部P1と2つの分割部P2、P3として3分割され、その後、架台7も、本体架台7aと2つの分割架台7b、7cとして3分割される。これにより、ペースト塗布装置1が小さく分割されるので、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができる。さらに、支持部材移動機構6は塗布範囲H1内で分割されないので、ペースト塗布装置1を分割しても、塗布範囲H1内の組付け精度を維持することが可能になる。これにより、支持部材移動機構6の塗布範囲H1内の組付け精度を維持しながら、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができる。
なお、搬送前、すなわちペースト塗布装置1の製品出荷前、ペースト塗布装置1の各部、特に、支持部材移動機構6は組付け精度が高く組み込まれている。このため、ペースト塗布装置1の各部を分割して搬送した場合には、搬送後、設置場所で再び組付け精度が高くなるようにペースト塗布装置1の各部を組み込む必要が生じるが、支持部材移動機構6を塗布範囲H1内で分割した場合には、その組付け精度を搬送前まで戻すことは困難である。特に、支持部材移動機構6のように塗布動作に関する部品の組付け精度は高い必要があり、組付け精度の低下は良好な塗布を困難にする要因となる。また、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの各々の重量は数トンあるため、支持部材移動機構6から第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを取り外すことも困難である。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、載置部Sを浮上させる浮上装置Fを載置部Sのベース部3内に設けることによって、ペースト塗布装置1を搬送する場合、載置部Sが浮上装置Fにより架台7の上面から浮上するので、クレーン等の搬送設備を用いなくても、載置部Sを架台7の上面に沿って任意の方向に容易に移動させることが可能になる。これにより、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができ、さらに、搬送後の設置作業も簡単に行うことができる。また、載置部Sを分解することなく搬送することが可能になるので、高い組付け精度を維持することができる。
さらに、浮上装置Fは着脱可能に形成することができる。この場合には、必要とするときにだけ載置部Sのベース部3内に浮上装置Fを設置すればよく、その浮上装置Fを他のペースト塗布装置1と共用することが可能になるので、装置コストを抑えることができる。特に、ベース部3に浮上装置F用の収納空間を設け、浮上装置Fをベース部3の側面方向から着脱可能にした場合には、浮上装置Fの着脱を容易に行うことができる。なお、載置部Sがベース部3の側面方向から浮上装置Fの着脱を行う構成でない場合には、架台7の上面に小型の油圧ジャッキを設置し、この小型の油圧ジャッキによりベース部3を持ち上げ、その状態で浮上装置Fを着脱すれば良い。
加えて、浮上装置Fは空気によりベース部3を浮上させることから、液体等に比べ装置構成を簡略化することができ、さらに、浮上装置Fが破損した場合でも液体等の漏れが発生することがなく、その液体漏れによるペースト塗布装置1の故障や汚れを防止することができる。
また、塗布範囲H1及び退避範囲H2に分けて支持部材移動機構6を分割可能に形成し、支持部材移動機構6の分割位置に対応させて架台7を分割可能に形成することによって、ペースト塗布装置1を搬送する場合、ペースト塗布装置1が小さく分割されるので、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができ、さらに、搬送後の設置作業も容易に行うことができる。特に、支持部材移動機構6は塗布範囲H1及び退避範囲H2に分けて分割されるので、塗布範囲H1内の組付け精度を維持しながら、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができる。さらに、塗布範囲H1内の組付け精度を維持することが可能になるので、搬送後の設置場所で、搬送前の塗布精度を容易に再現することができる。その結果、搬送後の設置場所においても、搬送前と同様に基板K1に対してペーストを均一な塗布量で良好に塗布することが可能になるので、液晶漏れやギャップムラが防止された品質の良い液晶表示パネルを製造することができる。
さらに、支持部材移動機構6は、基板ステージ2Aを両側から挟むように架台7に設けられ、第1支持部材5Aの両端部及び第2支持部材5Bの両端部を支持して塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを移動させ、塗布範囲H1及び退避範囲H2に分けて分割可能に形成された一対のY軸移動機構6aにより構成されていることから、基板K1が大型化し、それに応じて第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを大きくした場合でも、それら第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを安定して移動させることが可能になるので、基板K1の大型化に伴う塗布不良の発生を防止することができる。
加えて、Y軸移動機構6aは、支持部材5A、5Bの端部が載置される支持台9と、支持台9を塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって案内する複数のガイドレール14とを具備し、各ガイドレール14の各々の分割位置G1、G2を同一直線上からずらして分割可能に形成されていることから、Y軸移動機構6aが各ガイドレール14の各々の分割位置G1、G2を同一直線上にして分割可能に形成されている場合に比べ、ガイドレール14の連結部分のがたつきが支持台9に同時に影響を与えることがなくなるので、ガイドレール14の連結部分のがたつきによる支持台9に対する影響を抑える、例えば、支持台9の左右一対のスライダ11が連結部を通過する際に生じる衝撃を分散させて緩和することができる。その結果として、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの平行度の変化等による塗布不良の発生を抑えることができる。
なお、前述の実施の形態においては、支持部材移動機構6を構成するY軸移動機構6aを、リニアモータを駆動源とする構成で説明しているが、これに限るものではなく、例えば、ステッピングモータ等の回転式のモータを駆動源とするボールねじ機構を用いた構成の移動機構とするようにしてもよい。この場合には、図12及び図13に示すように、ボールねじ機構30をY軸移動機構6aの基準ステージ12aに設ける。なお、図9及び図10に示すY軸移動機構6aと同一部品には、同一符号を付し、その説明を省略する。
ボールねじ機構30は、ナット体31を有するねじ軸32の両端がそれぞれ軸受け部材33により支持されて構成されている。各軸受け部材33はそれぞれ基準ステージ12aの溝部Mの底面において第2基準面M2の形成位置に近接して固定されている。また、ボールねじ機構30は、ねじ軸32を駆動させるモータ34を備えている。このモータ34は、分割ステージ12c側の軸受け部材33により支持されている。なお、ナット体31は、矩形板状の取り付け具35を介して支持台9に固定されている。ここで、取り付け具35は、ナット体31がねじ軸32の端部に位置した状態において支持台9が分割ステージ12b、12c上のガイドレール14の移動端に位置するように、ナット体31を支持台9に対してずらして取り付けるための部材である。
このように、ボールねじ機構30を基準ステージ12aに組み付けた場合でも、分割ステージ12b、12cを基準ステージ12aから分離するとき、ボールねじ機構30を分解せずに済むので、ペースト塗布装置1の搬送後における組立作業を容易に行うことができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図14ないし図16を参照して説明する。本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分、すなわち一対のY軸移動機構6aについて説明する。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した部分と同じ部分の説明を省略する。
図14及び図15に示すように、一対のY軸移動機構6aは、第1支持部材5Aの延伸方向の端部を支持する第1支持台9aと、第2支持部材5Bの延伸方向の端部を支持する第2支持台9bと、第1支持台9a及び第2支持台9bにそれぞれ設けられた複数のスライダ11と、Y軸方向に伸びる溝部Mを有して第1支持台9a及び第2支持台9bを移動可能に支持する支持ステージ12と、その支持ステージ12の上面に設けられ第1支持台9a及び第2支持台9bをY軸方向に案内する一対のガイドレール14と、溝部M内に設けられ第1支持台9aをY軸方向に移動させる第1支持台移動機構51と、溝部M内に設けられ第2支持台9bをY軸方向に移動させる第2支持台移動機構52とをそれぞれ具備している。
第1支持台9a及び第2支持台9bは、それぞれ平板状に形成されており、支持ステージ12に移動可能に水平に設けられている。また、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構は、例えば、ステッピングモータ等の回転式のモータを駆動源とするボールねじ機構である。
第1支持台移動機構51は、第1支持台9aに取り付け具51aを介して取り付けられたナット体51bと、そのナット体51bに挿入されてY軸方向に沿って設けられたねじ軸51cと、そのねじ軸51cを回転可能に支持する一対の軸受け部材51dと、それらの軸受け部材51dを支持する支持体51eと、ねじ軸51cを回転させる駆動源であるモータ51fとを備えている。このモータ51fは、一対の軸受け部材51dのどちらか一方に取り付けられて支持されている。
この第1支持台移動機構51は、架台7の分割位置の間、すなわち本体架台7a上の基準ステージ12aに収まるように移動可能に形成されている。すなわち、第1支持台移動機構51は、本体架台7a上にY軸方向に沿って設けられた一対のレール51gにスライダ51h(図15参照)を介して設けられている。この一対のレール51gは基準ステージ12aにネジ等の固定部材により固定されており、Y軸方向に第1支持台移動機構51を案内するガイドレールとして機能する。また、スライダ51hは支持体51eに設けられており、それぞれ対応するレール51gにスライド移動可能に嵌められている。
このような第1支持台移動機構51は、支持台9aの移動方向、すなわちY軸方向に移動し、基準ステージ12aと分割ステージ12bとにまたがる塗布位置(図14に示す位置)と、基準ステージ12aと分割ステージ12bとにまたがらずに基準ステージ12a上に位置する搬送位置(図16に示す位置)とに停止する。ここで、塗布位置は塗布動作(製品製造動作)及び捨て塗布動作(メンテナンス動作)を行う場合の位置であり、搬送位置はペースト塗布装置1を搬送する場合の位置である。これらの位置に停止した状態の第1支持台移動機構51は移動しないようにネジ等の固定部材により基準ステージ12aに固定される。このときの位置決めは例えば突き当てにより行われる。この場合には、例えば、スライダ51hが突き当たる突き当て部材をレール51gに沿って所定の位置、すなわち第1支持台移動機構51が塗布位置及び搬送位置に停止する位置に設けるようにする。
第2支持台移動機構52は、第2支持台9bに取り付け具52aを介して取り付けられたナット体52bと、そのナット体52bに挿入されてY軸方向に沿って設けられたねじ軸52cと、そのねじ軸52cを回転可能に支持する一対の軸受け部材52dと、それらの軸受け部材52dを支持する支持体52eと、ねじ軸52cを回転させる駆動源であるモータ52fとを備えている。このモータ52fは、一対の軸受け部材52dのどちらか一方に取り付けられて支持されている。
この第2支持台移動機構52は、架台7の分割位置の間、すなわち本体架台7a上の基準ステージ12aに収まるように移動可能に形成されている。すなわち、第2支持台移動機構52は、本体架台7a上にY軸方向に沿って設けられた一対のレール52gにスライダ52h(図15参照)を介して設けられている。この一対のレール52gは基準ステージ12aにネジ等の固定部材により固定されており、Y軸方向に第2支持台移動機構52を案内するガイドレールとして機能する。また、スライダ52hは支持体52eに設けられており、それぞれ対応するレール52gにスライド移動可能に嵌められている。
このような第2支持台移動機構52は、支持台9aの移動方向、すなわちY軸方向に移動し、基準ステージ12aと分割ステージ12cとにまたがる塗布位置(図14に示す位置)と、基準ステージ12aと分割ステージ12cとにまたがらずに基準ステージ12a上に位置する搬送位置(図16に示す位置)とに停止する。これらの位置に停止した状態の第2支持台移動機構52は移動しないようにネジ等の固定部材により基準ステージ12aに固定される。このときの位置決めは例えば突き当てにより行われる。この場合には、例えば、スライダ52hが突き当たる突き当て部材をレール52gに沿って所定の位置、すなわち第2支持台移動機構52が塗布位置及び搬送位置に停止する位置に設けるようにする。
ここで、取り付け具51a、52aは、ナット体51b、52bがねじ軸51c、52cの端部に位置した状態において支持台9a、9bが分割ステージ12b、12c上のガイドレール14の移動端に位置するように、ナット体51b、52bを支持台9a、9bに対してずらして取り付けるための部材である。
このような一対のY軸移動機構6aを備えるペースト塗布装置1を搬送する場合には、第1の実施の形態と同様に、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは塗布範囲H1内に位置付けられ、次いで、支持部材移動機構6が本体部P1と2つの分割部P2、P3として3分割され、その後、架台7も本体架台7aと2つの分割架台7b、7cとして3分割される。
このとき、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52では、各モータ51f、52fが取り外され、ネジ等の固定部材も取り外される。これにより、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52は固定状態から開放される。次いで、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52はY軸方向に移動させられ、基準ステージ12a上に位置する搬送位置に停止する。この状態で、再び、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52はネジ等の固定部材により基準ステージ12a上に固定される。
このようにして、図16に示すように、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52は基準ステージ12a上に収容される。これにより、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52が基準ステージ12aから水平方向に突出することがなくなり、輸送サイズを小さくすることが可能になり、さらに、第1支持台移動機構51及び第2支持台移動機構52を分解せずに搬送することが可能になるので、塗布範囲H1内の組付け精度が維持されつつ、ペースト塗布装置1の輸送性が向上する。特に、各ねじ軸51c、52cを取り外すことなく輸送することが可能になるので、塗布範囲H1内の組付け精度は確実に維持される。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、Y軸移動機構6aは、支持部材5A、5Bの端部が載置される支持台9a、9bと、支持台9a、9bを塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって移動させる支持台移動機構51、52とを具備しており、支持台移動機構51、52は架台7の分割位置の間(塗布範囲H1内)に収まるように移動可能に形成されていることから、ペースト塗布装置1を搬送する場合、例えば、基準ステージ12a上の搬送位置に支持台移動機構51、52を位置付けて輸送サイズを小さくし、支持台移動機構51、52を分解せずに搬送することが可能になるので、塗布範囲H1内の組付け精度を維持しながら、ペースト塗布装置1の輸送性を向上させることができる。
特に、支持台移動機構51、52が支持台9a、9bを塗布範囲H1及び退避範囲H2にわたって移動させるためのねじ軸51c、52cを具備している場合でも、ねじ軸51c、52cを取り外したりすることなく輸送することが可能になるので、塗布範囲H1内の組付け精度を確実に維持することができる。さらに、塗布範囲H1内の組付け精度を維持することが可能になるので、搬送後の設置場所で、搬送前の塗布精度を容易に再現することができる。その結果、搬送後の設置場所においても、搬送前と同様に基板K1に対してペーストを均一な塗布量で良好に塗布することが可能になるので、液晶漏れやギャップムラが防止された品質の良い液晶表示パネルを製造することができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、前述の実施の形態においては、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cを設けているが、これに限るものではなく、例えば、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cのどちらか一方だけを設けるようにしてもよい。この場合には、第1捨て塗布ステージ2B及び第2捨て塗布ステージ2Cのどちらか一方が第1支持部材5Aの各塗布ヘッド4と第2支持部材5Bの各塗布ヘッド4とにより兼用されることになる。また、この場合には、捨て塗布ステージが1つになるので、2つの支持部材5A、5Bの退避範囲H2を捨て塗布ステージ側の一方のみとし、支持部材移動機構6及び架台7を2分割可能に形成すればよい。
さらに、前述の実施の形態においては、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bを設けているが、これに限るものではなく、例えば、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bのどちらか一方だけを設けるようにしてもよく、また、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bに加えてさらに支持部材を設けるようにしてもよい。なお、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bのどちらか一方だけを設けた場合には、捨て塗布ステージを1つだけ設ければよくなり、捨て塗布ステージが1つになるので、支持部材移動機構6及び架台7のY軸方向の長さを短くし、支持部材移動機構6及び架台7を2分割可能に形成すればよい。
加えて、前述の実施の形態においては、各ステージ2A、2B、2Cをベース部3上にY軸方向に移動可能に設けているが、これに限るものではなく、例えば、X軸方向に移動可能に設けるようにしてもよく、あるいは、固定して設けるようにしてもよい。
また、前述の実施の形態においては、浮上装置Fを4つ設けているが、これに限るものではなく、例えば、浮上装置Fを6つ設けるようにしてもよく、その数は限定されない。
さらに、前述の実施の形態においては、塗布ヘッド4を4つ設けているが、これに限るものではなく、例えば、塗布ヘッド4を6つ設けるようにしてもよく、その数は限定されない。
また、前述の実施の形態においては、袋体Fbを用いて浮上装置Fを構成したが、これに限るものではなく、他の構成、例えば、浮上装置を直方体、あるいは底面が円形の円柱状等に形成し、その底面に圧縮空気を噴出させる孔を多数設け、これらの孔から圧縮空気を噴出させることで載置部Sを浮上させる構成としてもよい。
加えて、前述の実施の形態においては、捨て塗布ステージ2B、2Cを架台7の本体架台7aに配置した構成で説明しているが、これに限るものではなく、例えば、分割架台7b、7cにそれぞれ配置するようにしてもよい。
最後に、前述の実施の形態においては、基板ステージ2Aをベース部3上で移動させずに、支持部材5A、5B及び塗布ヘッド4を移動させて、基板K1の表面にペーストを塗布しているが、これに限るものではなく、例えば、基板ステージ2Aも支持部材5A、5Bの移動方向(Y軸方向)と同じ方向に移動させて基板K1の表面にペーストを塗布するようにしてもよい。この場合には、基板K1と塗布ヘッド4とをY軸方向に相対移動させるときに、基板ステージ2Aと支持部材5A、5Bとを互いに相反する方向に移動(例えば、同じ速度で)させることができる。このようにすると、支持部材5A、5BのみをY軸方向に移動させる場合に比べて、基板ステージ2A及び支持部材5A、5Bの移動速度が半分になるから、基板ステージ2A及び支持部材5A、5Bの移動に伴う慣性力が小さくなり、基板ステージ2A及び支持部材5A、5Bの加速あるいは減速に起因して生じる振動を低減させることができる。そのため、Y軸方向に沿うペーストパターンの始端及び終端の形状や塗布方向がY軸方向からX軸方向へ転換するペーストパターンのコーナー部の形状を所望の形状で精度良く塗布することが可能となり、品質の良い液晶表示パネルを製造することが可能となる。