JP2009192063A - 自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受カップと軸部との間に過大なスラスト荷重が加わっても、ステアリングホイールを操作する運転者に不快感を与えることがない自在継手を提供する。
【解決手段】軸部11及び軸受カップ10の間に加わるスラスト荷重を支持するスラスト支持部を備えた自在継手6である。スラスト支持部は、皿バネ21と低摩擦部材22とで構成されている。皿バネ21は、軸部11が軸受カップ10に近接する方向に変位するようなスラスト荷重が小さな値で加わると、所定のバネ定数で弾性変形して低剛性となり、スラスト荷重が大きな値で加わると、完全に潰された状態となって高剛性となる。
【選択図】図1
【解決手段】軸部11及び軸受カップ10の間に加わるスラスト荷重を支持するスラスト支持部を備えた自在継手6である。スラスト支持部は、皿バネ21と低摩擦部材22とで構成されている。皿バネ21は、軸部11が軸受カップ10に近接する方向に変位するようなスラスト荷重が小さな値で加わると、所定のバネ定数で弾性変形して低剛性となり、スラスト荷重が大きな値で加わると、完全に潰された状態となって高剛性となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車のステアリング装置に組み込み、ステアリングシャフトの動きをステアリングギヤに伝達する自在継手に関する。
自動車のステアリング装置に使用する自在継手として従来から、カルダン継手と呼ばれる十字軸自在継手が広く知られている。
例えば特許文献1には、ステアリング装置に組み込んだ自在継手が記載されている。
特許文献1の自在継手を図6から図9を参照して説明する。ステアリング装置は、図6に示すように、ステアリングホイール1の操舵を、ステアリングシャフト2、中間シャフト3を介してステアリングギヤ4に伝達し、このステアリングギヤ4によって車輪を操舵するように構成している。ステアリングシャフト2とステアリングギヤ4の入力シャフト5とは、互いに同一直線上に設けられないのが通常である。このため、両シャフト2、5の間に中間シャフト3を設け、この中間シャフト3の両端部とステアリングシャフト2及び入力シャフト5の端部とを、自在継手6、6を介して結合している。
例えば特許文献1には、ステアリング装置に組み込んだ自在継手が記載されている。
特許文献1の自在継手を図6から図9を参照して説明する。ステアリング装置は、図6に示すように、ステアリングホイール1の操舵を、ステアリングシャフト2、中間シャフト3を介してステアリングギヤ4に伝達し、このステアリングギヤ4によって車輪を操舵するように構成している。ステアリングシャフト2とステアリングギヤ4の入力シャフト5とは、互いに同一直線上に設けられないのが通常である。このため、両シャフト2、5の間に中間シャフト3を設け、この中間シャフト3の両端部とステアリングシャフト2及び入力シャフト5の端部とを、自在継手6、6を介して結合している。
自在継手6は、図7及び図8に示すように、十分な剛性を有する金属材によりそれぞれが二又状に形成された1対のヨーク7a、7bと、合金鋼等の硬質金属により造られた十字軸8とから構成されている。各ヨーク7a、7bの一対のアーム7a1,7a2(図7ではヨーク7aのアームのみ示す)には、互いに同心の円孔9が形成されている。各円孔9には、軸受鋼等の硬質金属により有底円筒状に造られた軸受カップ10が互いの開口を対向させた状態で内嵌されている。十字軸8は、1対の柱部の中間部同士を互いに直交させた形状を有し、それぞれが円柱状である4個所の軸部11を有する。この4個所の軸部11は各軸受カップ10内に挿入されている。各軸受カップ10の内周面と各軸部11の外周面との間には、ニードル軸受等のラジアル軸受12が配置されており、十字軸8に対して各ヨーク7a、7bが軽い力で揺動するようにしている。このように構成するため、ヨーク7a、7bの中心軸同士が一致しない状態でも、ヨーク7a、7bの間で回転力の伝達を、殆ど伝達ロスを生じることなく行なえる。
また、十字軸8の基部13と各軸受カップ10の開口部との間には、シールリング14が配置されている。これらシールリング14により、ラジアル軸受12の設置部分に泥水等が進入するのが防止されている。
さらに、図8に示すように、4個所の軸部11中心部にはそれぞれ有底の挿入孔15が、各軸部11、11の端面から開口する状態で形成されている。これら挿入孔15には、合成樹脂製のピン16が挿入されている。
さらに、図8に示すように、4個所の軸部11中心部にはそれぞれ有底の挿入孔15が、各軸部11、11の端面から開口する状態で形成されている。これら挿入孔15には、合成樹脂製のピン16が挿入されている。
ピン16は、図9に示すように、円柱状の小径部17の軸方向両端部にフランジ状の大径部18を形成し、これら大径部18の外端面を、円錐台状の突出面19としている。また、小径部17の軸方向両端から大径部18の基端部に亙ってリブ20が形成されている。そして、自在継手6の組立時には、ピン16は、挿入孔15に挿入され、一端が挿入孔15の奥端に突き当てられ、他端が軸受カップ10の底面に突き当てられる。
前記構成のピン16は、軸受カップ10と軸部11との間で突っ張る事により、これら軸受カップ10の開口端部と基部13との距離が縮まり過ぎることを防止する。これは、シーリング14が過度に圧縮されたり、反対に圧縮量が低下し過ぎることを防止する。つまり、自在継手6の使用時に十字軸8と軸受カップ10との間にはスラスト荷重が加わる。このため、何らかの対策を施さないと、スラスト荷重作用側(アンカ側)のシールリング14が過度に圧縮されて耐久性が損なわれ、反対側(反アンカ側)のシールリング14の圧縮量が低下し過ぎて、シールリング14によるシール性が損なわれるためである。そこで、ピン16は、スラスト荷重を支承することで、シールリング14の圧縮量を適性範囲に保持する役目を有する。
特開平8−135674号公報
ところで、近年、ステアリングギヤ4に操舵補助力を伝達する電動パワーステアリング装置を備えたステアリング装置が開発されており、このステアリング装置に組み込まれる自在継手には、耐トルク性能の向上が求められており、自在継手6の軸受カップ10と軸部11との間に加わるスラスト荷重が増加する傾向にある。
しかしながら、前述した合成樹脂製のピン16は、電動パワーステアリング装置の操舵補助力の伝達により自在継手6の軸受カップ10と軸部11との間に過大なスラスト荷重が入力すると、軸受カップ10及び軸部11に当接する部分に高い面圧が発生してクリープが起き、ピン16の端部と軸受カップ10の底面との間に隙間が発生し、自在継手6にガタツキが発生する場合がある。このように、自在継手にガタツキが発生すると、ステアリングホイール1を操作する運転者に不快感を与える等、好ましくない現象が発生する。
しかしながら、前述した合成樹脂製のピン16は、電動パワーステアリング装置の操舵補助力の伝達により自在継手6の軸受カップ10と軸部11との間に過大なスラスト荷重が入力すると、軸受カップ10及び軸部11に当接する部分に高い面圧が発生してクリープが起き、ピン16の端部と軸受カップ10の底面との間に隙間が発生し、自在継手6にガタツキが発生する場合がある。このように、自在継手にガタツキが発生すると、ステアリングホイール1を操作する運転者に不快感を与える等、好ましくない現象が発生する。
そこで、本発明は、前記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、電動パワーステアリング装置を備えたステアリング装置に組み込み、電動パワーステアリング装置の作動により軸受カップと軸部との間に過大なスラスト荷重が加わっても、ステアリングホイールを操作する運転者に不快感を与えることがない自在継手を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、請求項1に係る自在継手は、それぞれが二又状に形成された1対のヨークと、これらヨークの二又の両端部に互いに同心に形成された円孔と、互いの開口を対向させた状態で前記円孔の内側に内嵌固定された有底円筒状の軸受カップと、一対の柱部の中間部同士を互いに直交させた形状とし、それぞれが円柱状に形成されている4個所の軸部を有し、これら軸部が前記軸受カップ内に挿入されている十字軸と、前記軸受カップの内周面と前記軸部の外周面との間に設けられたラジアル軸受と、前記十字軸の基部と前記軸受カップの開口部との間に設けられたシールリングと、前記軸部の端面及び前記軸受カップの底面に当接して配置され、前記軸部及び前記軸受カップの間に加わるスラスト荷重を支持するスラスト支持部とを備えた自在継手において、前記スラスト支持部は、前記軸部が前記軸受カップに近接する方向に変位するスラスト荷重が小さな値で加わると低剛性となり、前記スラスト荷重が大きな値で加わると高剛性となりながら前記スラスト荷重を支持するようにした。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の自在継手において、前記スラスト支持部は、前記軸部が前記軸受カップに近接する方向に変位するに従い、徐々に剛性が高くなりながら弾性変形していく弾性部材を備えている。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の自在継手において、前記弾性部材を皿バネで構成している。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の自在継手において、前記弾性部材を皿バネで構成している。
また、請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の自在継手において、前記スラスト支持部は、前記軸部の端面及び前記軸受カップの底面の一方の部位と前記弾性部材との間に配置され、前記一方の部位及び前記弾性部材に低摩擦係数で接触する低摩擦部材を備えている。
さらに、請求項5記載の発明は、請求項4記載の自在継手において、前記低摩擦部材は、合成樹脂製の部材である。
さらに、請求項5記載の発明は、請求項4記載の自在継手において、前記低摩擦部材は、合成樹脂製の部材である。
本発明の自在継手は、十字軸の軸部及び軸受カップの間に加わるスラスト荷重を支持するスラスト支持部が、軸部が軸受カップに近接する方向に変位するスラスト荷重が小さな値で加わると低剛性となり、前記スラスト荷重が大きな値で加わると高剛性となりながらスラスト荷重を支持するようにしているので、本発明の自在継手をステアリング装置に組み込み、自動車が通常速度で走行するときにステアリングホイールを操舵すると、スラスト支持部は低剛性でスラスト荷重を支持し、ステアリングホイールに遊びが発生するので、自動車の通常走行時のステアリングホイールの操舵性能を良好とすることができる。
また、本発明の自在継手を、電動パワーステアリングを備えたステアリング装置に組み込み、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときにステアリングホイールを操舵すると、電動パワーステアリングの作動により自在継手の軸部と軸受カップとの間には過大なスラスト荷重が加わるが、スラスト支持部は高剛性でスラスト荷重を支持するので、電動パワーステアリングの操舵補助力が伝達ロスを無くして一方のヨークから他方のヨークに伝達され、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときにもステアリングホイールの操舵性能を良好とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図6から図9で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
図1から図3は、本発明に係る第1実施形態の自在継手6の要部を示す図である。図1は、十字軸8に一方のヨーク7aのみを装着した第1実施形態の自在継手6を示す図である。ここで、十字軸8の4箇所の軸部11のうち、互いに同一軸線方向に延在している2箇所の軸部11,11の前記軸線をP1とし、これら2箇所に直交して同一軸線方向に延在している他の2箇所の軸部11,11の前記軸線をP2とする。
図1から図3は、本発明に係る第1実施形態の自在継手6の要部を示す図である。図1は、十字軸8に一方のヨーク7aのみを装着した第1実施形態の自在継手6を示す図である。ここで、十字軸8の4箇所の軸部11のうち、互いに同一軸線方向に延在している2箇所の軸部11,11の前記軸線をP1とし、これら2箇所に直交して同一軸線方向に延在している他の2箇所の軸部11,11の前記軸線をP2とする。
また、図2(a)は、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されていない状態(軸線P1方向の無負荷状態)を示す図である。図2(b)は、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されて軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向に変位した状態を示す図である。
本実施形態は、図1に示すように、軸部11の端面と軸受カップ10の底面との間に、皿バネ21及び低摩擦部材22が配置されている。
本実施形態は、図1に示すように、軸部11の端面と軸受カップ10の底面との間に、皿バネ21及び低摩擦部材22が配置されている。
すなわち、軸部11の端面には、軸部11の軸線P1を中心として円形の座面23が形成されており、皿バネ21は、バネ軸を軸線P1方向に略一致させ、大径開口部21aの縁部を座面23に当接させた状態で配置されている。
また、皿バネ21と軸受カップ10の底面との間に、その軸受カップ10の底面及び皿バネ21の小径開口部21bの縁部に当接した状態で低摩擦部材22が配置されている。
また、皿バネ21と軸受カップ10の底面との間に、その軸受カップ10の底面及び皿バネ21の小径開口部21bの縁部に当接した状態で低摩擦部材22が配置されている。
低摩擦部材22は、合成樹脂製の略円盤形状の部材であり、軸受カップ10の底面に当接する面は、底面と略同一形状で湾曲した湾曲面とされている。
そして、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されて軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向に変位すると、皿バネ21は、所定のバネ定数で弾性変形していく。
そして、軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向にさらに変位していくと、皿バネ21は、軸線P1方向の無負荷状態(図2(a)参照)に対してバネ軸方向の寸法Aの変位量で完全に押し潰された状態となる(図2(b)参照)。
そして、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されて軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向に変位すると、皿バネ21は、所定のバネ定数で弾性変形していく。
そして、軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向にさらに変位していくと、皿バネ21は、軸線P1方向の無負荷状態(図2(a)参照)に対してバネ軸方向の寸法Aの変位量で完全に押し潰された状態となる(図2(b)参照)。
なお、図2(a),(b)では、十字軸8の4箇所の軸部11のうち、軸線P1方向に延在している2箇所の軸部11,11と、これらを挿入する軸受カップ10との間に配置した皿バネ21及び低摩擦部材22について説明したが、軸線P1に直交する軸線P2方向に延在している他の2箇所の軸部11,11と、これらを挿入する軸受カップ10との間にも、同様の構成の皿バネ21及び低摩擦部材22が配置されているものとする。
ここで、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材22が、請求項のスラスト支持部に対応している。
ここで、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材22が、請求項のスラスト支持部に対応している。
次に、図3は、本実施形態のスラスト支持部(皿バネ21及び低摩擦部材22)により達成されるスラスト荷重と軸部11の軸方向変位の関係を示すものである。
図3によると、軸部11が軸受カップ10の底面に向かうように軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わると(図3のK1の値までのスラスト荷重が加わると)、皿バネ21は、徐々に押し潰されていきながら所定のバネ定数で弾性変形していく。このとき、軸部11の軸方向変位は、図2(a),(b)で示した変位量Aと同一の範囲となる。このように、軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わる場合には、スラスト支持部は低剛性でスラスト荷重を支持する。
図3によると、軸部11が軸受カップ10の底面に向かうように軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わると(図3のK1の値までのスラスト荷重が加わると)、皿バネ21は、徐々に押し潰されていきながら所定のバネ定数で弾性変形していく。このとき、軸部11の軸方向変位は、図2(a),(b)で示した変位量Aと同一の範囲となる。このように、軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わる場合には、スラスト支持部は低剛性でスラスト荷重を支持する。
そして、スラスト荷重がK1に達すると、皿バネ21は完全に押し潰された状態となる。
一方、スラスト荷重がK1より大きな値になると、完全に押し潰された状態の皿バネ21は弾性変形せず、代わりに低摩擦部材22が僅かに弾性変形しながら変位していく。このように、軸部11と軸受カップ10との間に大きなスラスト荷重が加わると、スラスト支持部は高剛性でスラスト荷重を支持するようになる。
一方、スラスト荷重がK1より大きな値になると、完全に押し潰された状態の皿バネ21は弾性変形せず、代わりに低摩擦部材22が僅かに弾性変形しながら変位していく。このように、軸部11と軸受カップ10との間に大きなスラスト荷重が加わると、スラスト支持部は高剛性でスラスト荷重を支持するようになる。
したがって、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材22からなるスラスト支持部は、軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わるときに低剛性となり、大きなスラスト荷重が加わるときには高剛性でスラスト荷重を支持する。
なお、図3のKmaxは、皿バネ21及び低摩擦部材22の破壊荷重を考慮したスラスト荷重の最大使用値であり、ステアリング装置に組み込む際には、最大使用値Kmax以下でスラスト荷重が発生するように設計している。
なお、図3のKmaxは、皿バネ21及び低摩擦部材22の破壊荷重を考慮したスラスト荷重の最大使用値であり、ステアリング装置に組み込む際には、最大使用値Kmax以下でスラスト荷重が発生するように設計している。
このように、本実施形態の自在継手6は、軸受カップ10と軸部11との間に加わるスラスト荷重を、低剛性及び高剛性に変化させながら支持する部材として、軸部11の端面と軸受カップ10の底面の間への配置が容易であり、しかも構造が簡単な皿バネ21を使用しているので、自在継手6の製造コストの低減化を図ることができる。
次に、本実施形態の自在継手6を組み込んだステアリング装置について説明する。ここで、ステアリング装置には、ステアリングシャフト2に操舵補助力を伝達する電動パワーステアリングが備えられているものとする。
先ず、本実施形態の自在継手6の耐久性について説明する。
図6に示すように、ステアリングホイール1の操舵によるステアリングシャフト2の操舵トルクが中間シャフト3を介してステアリングギヤ4に伝達されると、中間シャフト3の両端部とステアリングシャフト2及びステアリングギヤ4の入力シャフト5の端部とを結合している自在継手6の十字軸8の軸部11と軸受カップ10との間の軸線P1、P2方向に、スラスト荷重が加わる。
図6に示すように、ステアリングホイール1の操舵によるステアリングシャフト2の操舵トルクが中間シャフト3を介してステアリングギヤ4に伝達されると、中間シャフト3の両端部とステアリングシャフト2及びステアリングギヤ4の入力シャフト5の端部とを結合している自在継手6の十字軸8の軸部11と軸受カップ10との間の軸線P1、P2方向に、スラスト荷重が加わる。
このとき、十字軸8の4箇所の軸部11とこれらを挿入している軸受カップ10との間に配置されている皿バネ21は、軸線P1、P2方向に加わるスラスト荷重に応じて弾性変形しながら軸部11と軸受カップ10に突っ張り力を発生し、各軸受カップ10の開口端部と基部13との距離が縮まり過ぎるのを規制する。これにより、基部13と軸受カップ10の開口部との間に配置されているシールリング14が過度に圧縮したり、反対に圧縮量が低下し過ぎることが防止され、ラジアル軸受12の設置部分に泥水等が進入するのを防止することができる。
また、軸部11と軸受カップ10との間に過大なスラスト荷重が加わると、皿バネ21が完全に押し潰され、低摩擦部材22が、軸受カップ10の底面と皿バネ21の小径開口部21bの縁部に当接した状態となる。このとき、軸部11及び軸受カップ10が相対回転するが、合成樹脂製の低摩擦部材22は、軸受パック10の底面と低摩擦係数で接触し、且つ皿バネ21の小径開口部21bの縁部にも低摩擦係数で接触しているので、それら接触部分に焼付けや、摩耗が発生するのを防止することができる。
したがって、皿バネ21の弾性変形により基部13と軸受カップ10の開口部との間に配置されているシールリング14の圧縮量を適正範囲とすることで、ラジアル軸受12の設置部分に泥水等が進入するのを防止することができるとともに、軸部11と軸受カップ10との間に過大なスラスト荷重が加わっても、合成樹脂製の低摩擦部材22が相対回転する部分の焼付けや摩耗を防止するので、自在継手6の耐久性を確保することができる。
次に、ステアリングホイール1の操舵性能について説明する。
自動車が通常速度で走行するときにステアリングホイール1を操舵すると、電動パワーステアリングはステアリングシャフト2に対して操舵補助力を伝達しない。このとき、ステアリングシャフト2に伝達される操舵トルクにより自在継手6で発生するスラスト荷重は、軸部11の軸方向強度に対して低い領域であり、図3に示すように、皿バネ21が弾性変形する常用荷重域である。この常用荷重域は、前述したように低剛性でスラスト荷重を支持しているので、自在継手6の屈曲トルクの低減を図ることができる。このように、自動車が通常速度で走行するときに自在継手6の屈曲トルクが低減すると、ステアリングホイール1に遊びが発生するので、自動車の通常走行時のステアリングホイール1の操舵性能が良好となる。
自動車が通常速度で走行するときにステアリングホイール1を操舵すると、電動パワーステアリングはステアリングシャフト2に対して操舵補助力を伝達しない。このとき、ステアリングシャフト2に伝達される操舵トルクにより自在継手6で発生するスラスト荷重は、軸部11の軸方向強度に対して低い領域であり、図3に示すように、皿バネ21が弾性変形する常用荷重域である。この常用荷重域は、前述したように低剛性でスラスト荷重を支持しているので、自在継手6の屈曲トルクの低減を図ることができる。このように、自動車が通常速度で走行するときに自在継手6の屈曲トルクが低減すると、ステアリングホイール1に遊びが発生するので、自動車の通常走行時のステアリングホイール1の操舵性能が良好となる。
また、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときにステアリングホイール1を操舵すると、電動パワーステアリングはステアリングシャフト2に対して操舵補助力を伝達する。このとき、自在継手6の軸部11と軸受カップ10との間には過大なスラスト荷重(図3の常用荷重位置の上限から最大使用値Kmaxまでの範囲の荷重)が加わる。このように、過大なスラスト荷重が加わると、軸受カップ10と軸部11との間に配置されている皿バネ21は完全に押し潰された状態となり、低摩擦部材22が僅かに弾性変形しながら変位して高剛性でスラスト荷重を支持するので、ステアリングシャフト2に伝達された操舵補助力が伝達ロスを無くしてステアリングギヤ4側に伝達される。したがって、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときには、ステアリングホイール1の操舵に応じて操舵補助力が的確にステアリングギヤ4に伝達されるので、ステアリングホイール1の操舵性能が良好となる。
したがって、スラスト支持部を構成する皿バネ21及び低摩擦部材22が、自動車が通常速度で走行するときには低剛性でスラスト荷重を支持し、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときには高剛性でスラスト荷重を支持するので、ステアリングホイール1を操作する運転者に不快感を与えることがない。
(第2実施形態)
次に、図4及び図5は、本発明に係る第2実施形態の自在継手6の要部を示す図である。
本実施形態は、図4に示すように、軸部11の端面と軸受カップ10の底面との間に、皿バネ21及び低摩擦部材24が配置されている。
次に、図4及び図5は、本発明に係る第2実施形態の自在継手6の要部を示す図である。
本実施形態は、図4に示すように、軸部11の端面と軸受カップ10の底面との間に、皿バネ21及び低摩擦部材24が配置されている。
すなわち、軸部11の端面側に低摩擦部材24が配置されている。この低摩擦部材24は合成樹脂製の部材であり、軸部11の端面に当接する面を湾曲面とした接触部24aと、この接触部24aに対して軸受カップ10の底面を向く側に一体に形成した円柱突起状の係合部24bとで構成されている。
皿バネ21は、大径開口部21aの縁部が軸受カップ10の底面に当接し、小径開口部21bに低摩擦部材24の係合部24bが摺動自在に挿入した状態で配置されている。
そして、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されて軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向に変位すると、皿バネ21は、所定のバネ定数で弾性変形していく。
そして、軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向にさらに変位していくと、皿バネ21は、バネ軸方向の寸法Aの変位量で完全に押し潰された状態となる。
ここで、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材24が、請求項のスラスト支持部に対応している。
そして、十字軸8の軸線P1方向に負荷が入力されて軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向に変位すると、皿バネ21は、所定のバネ定数で弾性変形していく。
そして、軸部11が軸受カップ10の底面に向かう方向にさらに変位していくと、皿バネ21は、バネ軸方向の寸法Aの変位量で完全に押し潰された状態となる。
ここで、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材24が、請求項のスラスト支持部に対応している。
本実施形態のスラスト支持部を構成する皿バネ21及び低摩擦部材24も、図3に示したスラスト荷重と軸部11の軸方向変位の関係を達成する。
すなわち、軸部11が軸受カップ10の底面に向かうように軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わると(図3のK1の値までのスラスト荷重が加わると)、皿バネ21は、徐々に押し潰されていきながら所定のバネ定数で弾性変形していき、低剛性でスラスト荷重を支持する。
すなわち、軸部11が軸受カップ10の底面に向かうように軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わると(図3のK1の値までのスラスト荷重が加わると)、皿バネ21は、徐々に押し潰されていきながら所定のバネ定数で弾性変形していき、低剛性でスラスト荷重を支持する。
また、過大なスラスト荷重が加わると、完全に押し潰された状態の皿バネ21は弾性変形せず、代わりに低摩擦部材24が僅かに弾性変形しながら変位していき、高剛性でスラスト荷重を支持するようになる。
したがって、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材24からなるスラスト支持部も、軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わるときに低剛性となり、大きなスラスト荷重が加わるときには高剛性でスラスト荷重を支持する。
したがって、本実施形態の皿バネ21及び低摩擦部材24からなるスラスト支持部も、軸部11と軸受カップ10との間に小さなスラスト荷重が加わるときに低剛性となり、大きなスラスト荷重が加わるときには高剛性でスラスト荷重を支持する。
また、本実施形態の自在継手6をステアリング装置に組み込むと、皿バネ21の弾性変形により基部13と軸受カップ10の開口部との間に配置されているシールリング14の圧縮量を適正範囲とすることで、ラジアル軸受12の設置部分に泥水等が進入するのを防止することができるとともに、軸部11と軸受カップ10との間に過大なスラスト荷重が加わっても、合成樹脂製の低摩擦部材24が相対回転する部分の焼付けや摩耗を防止するので、自在継手6の耐久性を確保することができる。
また、本実施形態の自在継手6を、電動パワーステアリングを備えたステアリング装置に組み込むと、スラスト支持部を構成する皿バネ21及び低摩擦部材24が、自動車が通常速度で走行するときには低剛性でスラスト荷重を支持し、自動車が超低速度で高摩擦係路(高μ路)を走行するときには高剛性でスラスト荷重を支持するので、ステアリングホイール1を操作する運転者に不快感を与えることがないという効果を奏することができる。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、1つの皿バネ21を使用する場合として説明したが、複数の皿バネ21を互いの大径開口部21aと小径開口部21bが当接するように重ね合わせて配置し、所定のバネ定数で弾性変形するようにしてもよい。また、皿バネ21を使用せず、コイル形状の圧縮バネ等の弾性体を使用してもよい。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…中間シャフト、4…ステアリングギヤ、5…入力シャフト、6…自在継手、7a…ヨーク、7b…ヨーク、7a1…アーム、7a2…アーム、8…十字軸、9…円孔、10…軸受カップ、11…軸部、12…ラジアル軸受、13…基部、14…シールリング、15…挿入孔、21…皿バネ、21a…大径開口部、21b…小径開口部、22…低摩擦部材、23…座面、24…低摩擦部材、24a…接触部、24b…係合部
Claims (5)
- それぞれが二又状に形成された1対のヨークと、これらヨークの二又の両端部に互いに同心に形成された円孔と、互いの開口を対向させた状態で前記円孔の内側に内嵌固定された有底円筒状の軸受カップと、一対の柱部の中間部同士を互いに直交させた形状とし、それぞれが円柱状に形成されている4個所の軸部を有し、これら軸部が前記軸受カップ内に挿入されている十字軸と、前記軸受カップの内周面と前記軸部の外周面との間に設けられたラジアル軸受と、前記十字軸の基部と前記軸受カップの開口部との間に設けられたシールリングと、前記軸部の端面及び前記軸受カップの底面に当接して配置され、前記軸部及び前記軸受カップの間に加わるスラスト荷重を支持するスラスト支持部とを備えた自在継手において、
前記スラスト支持部は、前記軸部が前記軸受カップに近接する方向に変位するようなスラスト荷重が小さな値で加わると低剛性となり、前記スラスト荷重が大きな値で加わると高剛性となりながら前記スラスト荷重を支持することを特徴とする自在継手。 - 前記スラスト支持部は、前記軸部が前記軸受カップに近接する方向に変位するに従い、徐々に剛性が高くなりながら弾性変形していく弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の自在継手。
- 前記弾性部材を、皿バネで構成したことを特徴とする請求項2記載の自在継手。
- 前記スラスト支持部は、前記軸部の端面及び前記軸受カップの底面の一方の部位と前記弾性部材との間に配置され、前記一方の部位及び前記弾性部材に低摩擦係数で接触する低摩擦部材を備えていることを特徴とする請求項2又は3記載の自在継手。
- 前記低摩擦部材は、合成樹脂製の部材であることを特徴とする請求項4記載の自在継手。
Priority Applications (1)
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JP2008036331A JP2009192063A (ja) | 2008-02-18 | 2008-02-18 | 自在継手 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012122527A (ja) * | 2010-12-07 | 2012-06-28 | Nsk Ltd | 十字軸自在継手 |
-
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- 2008-02-18 JP JP2008036331A patent/JP2009192063A/ja active Pending
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