JP2009192006A - 金属ベローズ式アキュムレータ - Google Patents

Abstract

【課題】ピン部材の溶接部周囲に溶融金属が飛散、付着がなく、ピン部材とシェル外周面との隙間に異物や腐食液が溶接部まで浸入することのない、耐久性の良好な金属ベローズ式アキュムレータを提供すること。
【解決手段】圧力室を形成するシェルと、一端が前記シェル側に固定され、多端がキャップに結合して前記圧力室を気体室と作動液の導入孔を設けた液体室とに仕切る金属材製ベローズと、前記気体室に気体を注入するための注入孔と、前記気体室に気体を封入後、前記注入孔を塞ぐためのガスプラグと、前記ガスプラグを覆う様に前記シェルに溶接固定されたピン部材とよりなる金属ベローズ式アキュムレータにおいて、前記ピン部材の溶接箇所の外周に環状突起を設ける構成とした。
【選択図】 図２

Description

本発明は、金属ベローズ式アキュムレータに関する。
また、本発明は、シェル内の容積可変の気体室を金属ベローズにて区画し、作動液を蓄圧する金属ベローズ式アキュムレータに関する。
更に、本発明は、液圧を用いる車両等の制御装置、例えば、アンチロックブレーキ装置の油圧源の作動液を高圧に蓄圧しておくのに有用な金属ベローズ式アキュムレータに関する。

従来、図１に示す金属ベローズ式アキュムレータが知られている。
この種金属ベローズ式アキュムレータは、金属材製のシェル１内には金属材製ベローズ４が配置されている。

この金属材製ベローズ４の一端はシェル１内に設けた環状のフランジ部１０に溶接一体化されている。
一方、金属材製ベローズ４の他端は、キャップ５が溶接固定されることにより塞がれている。

この結果、シェル１内は、気体室２と液体室３とに仕切られる。
気体室２には、図上上方に位置する注入孔１１から窒素ガス、不活性ガス等が封入されている。
この注入孔１１は、気体を封入後、ガスプラグ１２により塞がれる。
この結果、気体室２には所定圧力のガスが封入される。
また、シェル１には、ガスプラグ１２を覆う様にして、アキュムレータを固定する為のピン部材８が溶接されている。
そして、このピン部材８の溶接部とは反対側の先端は、防振ゴムを介して車両等に固定される。

一方、液体室３には、図上下方に位置する、液体を導入する導入孔６が連通している。
この導入孔６を介して、外部の作動流体を液体室３に導いている。
また、この導入孔６のシェル1内側には、導入孔６を囲む様に弾性材製環状シール部材７が配置されている。

このシール部材７は、ガス圧よりも作動流体の圧力が大幅に減少した場合、ベローズが過度に収縮することを防止するため、キャップ５と密封接触する。
このことにより、液体室３内の液体と導入孔6側の液体とを遮断している。

一方、金属材製ベローズ４の径方向振れの抑制および金属材製ベローズ４の伸張・収縮作動時における前記シェル１内の軸方向をガイドするために、キャップ５には制振リング９が保持されている。
また、金属材製ベローズ４のフランジ部１０側外周には、プロテクションリング１４が配置されている。

そして、この様な構成の金属ベローズ式アキュムレータにおいて、ピン部材８の溶接端部はフランジ状の環状鍔部８４に設けられ、その外周をシェル面に突き当てて、スポット溶接をしていた。
しかし、溶接部が外周端に設置された場合は、溶接部周囲に溶融金属が飛散、付着していた。
更に、溶接部をフランジ内側に設置した場合は、フランジ端から溶接部までに隙間を生じ、この隙間に異物や腐食液が溶接部まで浸入し、早期の錆発生の原因となり、強度低下による耐久性の悪化を招来していた。
更にまた、溶接部をフランジ内側に設置した場合においても、シェル１の外周面に、溶融金属の飛散、付着が見られ、品質や美観を損なう問題も惹起していた。

特開２００７−１９２２９０号公報 特開平３−１３４３０３号公報 実用新案登録第３１１３８２５号公報

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ピン部材の溶接部周囲に溶融金属が飛散、付着がなく、ピン部材とシェル外周面との隙間に異物や腐食液が溶接部まで浸入することのない、耐久性の良好な金属ベローズ式アキュムレータを提供することを目的とする。

本発明の金属ベローズ式アキュムレータは、圧力室を形成するシェルと、一端が前記シェル側に固定され、多端がキャップに結合して前記圧力室を気体室と作動液の導入孔を設けた液体室とに仕切る金属材製ベローズと、前記気体室に気体を注入するための注入孔と、前記気体室に気体を封入後、前記注入孔を塞ぐためのガスプラグと、前記ガスプラグを覆う様に前記シェルに溶接固定されたピン部材とよりなる金属ベローズ式アキュムレータにおいて、前記ピン部材の溶接箇所の外周に環状突起を設ける構成とした。

本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項１記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、ピン部材の溶接部周囲に溶融金属が飛散、付着がなく、ピン部材とシェル外周面との隙間に異物や腐食液が溶接部まで浸入することもない。
また、請求項２記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、溶接箇所と環状突起が形成し易い。

更に、請求項３記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、通電時に溶接箇所に悪影響を与えない。
また更に、請求項４記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、溶接箇所の十分な強度が得られると共に、溶融金属の飛散、付着が無い。

また、請求項５記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、環状突起の形成が経済的である。
更にまた、請求項６記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、溶接箇所の十分な強度が得られると共に、溶融金属の飛散、付着が無い。
また、請求項７記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、スポット溶接で溶接する際に、特に有効である。
更に、請求項８記載の発明の金属ベローズ式アキュムレータによれば、アキュムレータの取り扱いが容易である。

以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係る金属ベローズ式アキュムレータを、図１乃至６に基づいて説明する。
図１は、本発明が適用される金属ベローズ式アキュムレータの縦断面図である。
図２は、図１の金属ベローズ式アキュムレータに適用される、本発明に係るピン部材単体の断面図である。
図３は、図２の上面図である。
図４は、図２の部分拡大図である。
図５は、図４に示したものをシェル上に載置した状態を示した図である。
図６は、図５に示したものを溶接した後の図である。

図１乃至４において、
金属材製のシェル１は、カップ形状の本体１２と、本体１２の図上下方を塞いでいる流体の導入孔６を設けたオイルポート１５とより構成されている。
そして、オイルポート１５は、そのフランジ部１０が本体１２と溶接により一体化されている。

一方、シェル１内には金属材製ベローズ４が配置されている。
この種金属材製ベローズ４としては、円周方向に連続した山部と谷部が反復形成された中子の表面にめっき処理により所定の膜圧の金属薄膜を析出させてから前記中子を溶解除去ことにより得られる電着ベローズや、薄肉の金属チューブを塑性加工することにより成形した成形ベローズや、あるいは、内周孔を有する多数の薄肉金属円盤を軸方向に隣接配置してその内周縁および外周縁を交互に溶接した溶接ベローズ等が採用される。
この金属材製ベローズ４の一端はシェル１内に設けた環状のフランジ部１０に溶接一体化されている。

一方、金属材製ベローズ４の他端は、キャップ５が溶接固定されることにより塞がれている。
この結果、シェル１内は、気体室２と液体室３とに仕切られる。
気体室２には、図上上方に位置する注入孔１１から窒素ガス、不活性ガス等が封入されている。
この注入孔１１は気体を封入後、ガスプラグ１３により塞がれ、このガスプラグ１３を覆うように、ピン部材８がシェル１に溶接固定されている。
この結果、気体室２には所定圧力のガスが封入される。

一方、液体室３には、オイルポート１５に設けた、作動液を導入するための導入孔６が連通している。
この導入孔６を介して、外部の作動液を液体室３に導いている。
また、この導入孔６のシェル1内側には、導入孔６を囲む様に、オイルポート８の軸方向端部（図上上方）には、弾性材製環状シール部材７が配置されている。

シール部材７の材質としては、ＥＰＤＭ，ＮＢＲ，ＣＲ等のゴム状弾性体、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂等の樹脂状弾性体が、使用される雰囲気により、適宜選択して用いられる。
このシール部材７は、キャップ５がシール部材７と接した後（ベローズゼロダウン時）液体室3側の作動液が導入孔６側へ流出することを効果的に防止できる。

一方、金属材製ベローズ４の径方向振れの抑制および金属材製ベローズ４の伸張・収縮作動時における前記シェル１内の軸方向をガイドするために、キャップ５には制振リング９が保持され、金属材製ベローズ４のフランジ部１０側外周面には、プロテクションリング１４が配置されている。
本発明に使用されるピン部材８は、図２乃至図４に示す様に、金属材製の柱状本体８５の一端（図上上方）には、防振ゴムを介して車輌等に固定されるための固定端部８６と、他端（図上下方）には、筒状の六角ナット部８３と径方向外方に伸びる環状鍔部８４とが設けられている。
そして、この環状鍔部８４には図上下方に突出した、スポット溶接用の溶接箇所８１が形成されている。
更に、この溶接箇所８１の外周側で、環状鍔部８４の外周端部には、溶接箇所８１と同方向に突出した環状突起８２が存在する。
この環状突起８２は、ピン部材８を切断加工する際のカエリとして形成することも出来る。
この環状突起８２の高さｈは、０．１〜０．４mm、好ましくは０．２〜０．３mmの範囲である。
図５は、上述したピン部材８をシェル１上に配置した図である。
そして、溶接箇所８１がシェル１に当接した状態で、環状突起８２とシェル１外周面との間には、間隙Ｈが存在する。
この間隙Hは通常０．６〜１．０mmの範囲である。
このことにより、溶接箇所８１に通電して溶着する初期段階においては、環状突起８２はシェル１との間に間隙Hが存在するため、溶接箇所８１の溶接に悪影響を及ぼす事が無い。
そして、溶接箇所８１の溶接が進むと、図６に示す様に、環状突起８２もシェル１に当接して溶接される。
この結果、異物、腐食液等は、環状突起８２により、溶接箇所８１側への侵入を阻まれる。
このため、溶接箇所８１近傍が腐食されることは無い。
更に、環状突起８２が、シェル１外周面と狭間隙で存在するため、溶融金属が飛散して、シェル１外周面に付着し、美観を損なうこともない。

また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。

本発明が適用される金属ベローズ式アキュムレータの縦断面図である。 図１の金属ベローズ式アキュムレータに適用される、本発明に係るピン部材単体の断面図である。 図２の上面図である。 図２の部分拡大図である。 図４に示したものをシェル上に載置した状態を示した図である。 図５に示したものを溶接した後の図である。

符号の説明

１ シェル
２ 気体室
３ 液体室
４ 金属材製ベローズ
５ キャップ
６ 導入孔
７ シール部材
８ ピン部材
９ 制振リング
１０ フランジ部
１１ 注入孔
１２ 本体
１３ ガスプラグ
１４ プロテクションリング
１５ オイルポート
８１ 溶接箇所
８２ 環状突起
８３ 六角ナット部
８４ 環状鍔部
８５ 本体
８６ 固定端部
Ｈ 間隙
ｈ 環状突起の高さ

Claims (8)

1. 圧力室を形成するシェル（１）と、一端が前記シェル（１）側に固定され、多端がキャップ（５）に結合して前記圧力室を気体室（２）と作動液の導入孔（６）を設けた液体室（３）とに仕切る金属材製ベローズ（４）と、前記気体室（２）に気体を注入するための注入孔（１１）と、前記気体室（２）に気体を封入後、前記注入孔（１１）を塞ぐためのガスプラグ（１３）と、前記ガスプラグ（１３）を覆う様に前記シェル（１）に溶接固定されたピン部材（８）とよりなる金属ベローズ式アキュムレータにおいて、前記ピン部材（８）の溶接箇所（８１）の外周に環状突起（８２）を設けたことを特徴とする金属ベローズ式アキュムレータ。
2. 前記溶接箇所（８１）及び前記環状突起（８２）が、前記ピン部材（８）の一端に設けた環状鍔部（８４）に形成されていることを特徴とする請求項１記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
3. 前記環状突起（８２）は、溶接前の前記溶接箇所（８１）が前記シェル（１）に当接した状態において、前記シェル（１）との間に間隙（Ｈ）が存在することを特徴とする請求項１または２記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
4. 前記間隙（Ｈ）は、０．６〜１．０mmの範囲であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
5. 前記環状突起（８２）は、前記ピン部材（８）を成形する際のカエリにより形成されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
6. 前記環状突起（８２）の高さは（ｈ）は、０．１〜０．４mmの範囲であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
7. 前記ピン部材（８）の前記シェル（１）との溶接がスポット溶接であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項記載の金属ベローズ式アキュムレータ。
8. 前記ピン部材（８）の外周に六角ナット部（８３）が形成されていることを特徴とする請求項１〜７のいずれか一項に記載の金属ベローズ式アキュムレータ。

Images