JP2009191342A - シーブ材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】特にエレベータ稼動中に生じるシーブとワイヤロープの摩耗量を片方が一方的に多くならないよう、且つ両者とも摩耗量ができるだけ少ないようにして、長期間少なくとも10年間は交換する必要なく使用し得るべく耐摩耗性に優れ長寿命化を図れ、しかも低コストで被削性の良好なシーブ材料を提供する。
【解決手段】重量%で、C:3.0〜4.0%、Si:2.0〜2.7%、Mn:0.6%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:2.4〜3.3%、Sn:0.01〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
【選択図】図7

Description

本発明はシーブ材料に係り、特に、ロープ式エレベータを駆動するのに好適なエレベータ駆動装置のシーブに用いるシーブ材料に関する。
ロープ式エレベータは、両端に乗りかごと釣合い錘を有するロープがシーブに巻きかけられ、シーブを電動機で回転させたとき、ロープとシーブとの間に生じる摩擦力によってロープを上下方向に移動させ、これにより乗りかごを昇降させるようになっている。
このようなロープ式エレベータにおいて、摩擦力によってロープもしくはシーブのいずれか一方が異常摩耗した場合には、摩耗した部材を交換する必要がある。そのような事態を防ぐために、ロープやシーブを設計する際には、それらの材質の組み合わせには相当の注意が払われている。一般にロープに硬鋼線材2種を素線とするE種ロープ(標準引張り強度=135kg/mm,ビッカース硬さHv=330〜380)が用いられる場合は、シーブには片状黒鉛鋳鉄(例えばFC250)が用いられる。長行程もしくは大容量のエレベータの場合では、より強度の高い硬鋼線材4種を素線とするA種ロープ(標準引張り強度=165kg/mm,ビッカース硬さHv=430〜490)が用いられ、この場合は、シーブは耐摩耗性に優れる球状黒鉛鋳鉄(例えばFCD700)が用いられる。
ところで、エレベータが長行程化すると、乗りかごと釣合い錘をつなぐロープ長さが長くなり、駆動機が昇降させる全重量中に占めるロープ重量が増加する。また同様にエレベータ乗客の容量が増した場合も、規格上求められる安全率を確保するためロープ本数が増え、ロープ重量が増加する。ロープ重量が増加すると、エレベータ乗客の容量(乗客数)が低下するか、あるいは駆動機を大型化する必要が生じ、エレベータシステムとしての効率が低下する。また、ロープ破断時に落下するエレベータ乗りかごを停止させる非常止め装置には、破断した全ロープ重量と乗客・乗りかごを合わせた重量を停止させる能力が求められているため、ロープ重量が増加すると非常止め装置が停止させる重量も増加し、その制動能力の向上が必要となる。非常止め装置の制動力の向上は、新たな技術開発がないかぎり非常止め装置、すなわち乗りかごの重量増加に結びつき、ロープ本数の増加という悪循環を引き起こすことになる。
エレベータシステムにおけるロープ本数を低減させる、もしくは細い軽量ロープを用いるためには、ロープ強度(引張り強さ)を増さねばならない。しかし、高強度のロープは表層が硬くなるため、従来のシーブ材質のままではシーブ摺動面の摩耗が進み、摩擦係数の低下を発生させ、シーブの寿命を短くしてしまう。シーブは建家最上階にある機械室の駆動装置内に組み込まれ、且つ比較的に重量部品であるため、その交換には多大の労力と時間を必要とする。したがって、エレベータシステムにおいてロープ重量を低減するには、高強度ロープを用いても摺動面の異常摩耗、摩擦係数の低下を発生させず、かつ逆にロープの摩耗を促進しないシーブ材質の開発が不可欠である。
とくに、今後は、土地の有効利用の点から建築物の高層化、もしくは大深度利用が進められるに伴い、エレベータの長行程化、高速化、大容量化が必要となる。したがって、エレベータシステムの効率の点から、現在のA種ロープ以上の高強度ロープの利用が必要となる。すなわち、ロープの引張り強さが180kg/mm級、外層線の硬さがHv=約480〜500であるB種以上のロープを利用可能とするシーブ材質の開発が要望される。
上記改善策として、シーブ材料の基地組織を熱処理(オーステンパ処理)によりベイナイト組織とし、球状化率=80〜100%、黒鉛粒径20〜100μm、黒鉛粒数70個/mm〜100個/mmで、ブリネル硬さH=260〜320である球状黒鉛鋳鉄を用いたシーブが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、重量%でNi:0.5〜2.0,Cu:0.5〜2.0を含み、素地のパーライト面積率が90%以上,該パーライト相のビッカース硬さが350〜450のシーブと、外層素線のビッカース硬さが480〜500、強度が180kg/mm以上のロープとを組み合わせたことを特徴とするエレベータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平2−34747号公報 特開平8−277082公報
しかしながら、オーステンパ処理した球状黒鉛鋳鉄を用いた上記シーブでは、高強度を得るための熱処理コストが上昇し、またベイナイト組織に起因して被削性が悪く、シーブ溝の研削加工を要するため、工程の複雑化を招く等の問題がある。
また、Ni等の合金を添加した高強度球状黒鉛鋳鉄からなる上記シーブでは高価な合金を添加するため、折角の鋳放しによる経済的な効果が相殺されて了う。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、特にエレベータ稼動中に生じるシーブとワイヤロープの摩耗量を片方が一方的に多くならないように、且つ両者とも摩耗量ができるだけ少ないようにして、長期間少なくとも10年間は交換する必要なく使用し得るべく耐摩耗性の向上、長寿命化を図れ、しかも低コストで被削性の良好なシーブ材料を提供することにある。
本発明は、シーブとワイヤーロープとのすべり接触による両者の摩耗量をできるだけ少なくし、特にワイヤロープに対するシーブの耐摩耗性を高めんとするものである。摩耗特性は一般に片状黒鉛鋳鉄よりも球状黒鉛鋳鉄の方が良好であるので、本発明によるシーブ材料においても球状黒鉛鋳鉄を用いる。ワイヤロープとのすべり接触による摩耗量をできるだけ小さくし、ワイヤロープに対する耐摩耗性に優れ、又機械的性質も良好な本発明によるシーブ材料は下記の如き組成の材料より製造される。即ち、その材料は重量%で、C:3.0〜4.0%、Si:2.0〜2.7%、Mn:0.6%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.03〜0.07%、Cu:2.4〜3.3%、Sn:0.01〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、強靭性および被削性に優れた高強度球状黒鉛鋳鉄からなるものである。
また、本発明によるシーブ材料では、黒鉛の潤滑作用を平均的に出させるとともにワイヤロープが巻きかけられるシーブ溝面の摩耗の均一化を図り、局部的な摩耗を避けるために、黒鉛粒もできるだけ小さく均一して分布していることを必要とする。そのために、一般にワイヤロープの素線は1mm以下のものが用いられることに鑑み、本発明によるシーブ材料の黒鉛粒径は20〜40μmの範囲とし、また黒鉛粒の分布は100個/mm〜200個/mm、球状化率は80%〜100%とする。
そして、本発明においては、シーブに巻きかけられるワイヤロープがA種ロープ(標準引張り強度=165kg/mm,ビッカース硬さHv=430〜490)相当材の場合は、鋳放しでシーブ材料の基地組織をパーライト組織とし、その硬さをブリネル硬さH260〜320とするものである。また、シーブ材料の基地組織を熱処理により、パーライト組織とし、その硬さをブリネル硬さH320〜370とするものである。この範囲がシーブとA種ワイヤロープの摩耗が適量となるような適正な硬さである。
また、シーブに巻きかけられるワイヤロープがB種ロープ(標準引張り強度=180kg/mm,ビッカース硬さHv=480〜500)相当材の場合は、耐摩耗性を高めるために、シーブ材料の基地組織を熱処理によりソルバイト組織とし、その硬さをブリネル硬さH370〜430とするのである。この範囲がシーブとB種ワイヤロープの摩耗が適量となるような適正な硬さである。その他、本発明にかかるシーブ材料は機械的な性質、特に引張り強さが大なることが望ましく、又鋳造性が良好なことが望ましい。
次に、各組成成分の添加目的並びに組成範囲の限定理由について説明する。
Cが4.0%を越えると、機械的性質、特に引張り強さが目標の800Mpa以上にならず、C が3.0%以下では黒鉛粒として100個/mm以上の分布にならないので好ましくない。
Siは球状化率、鋳造性の向上のために添加するが、Siが2.7%以上になると熱処理によってもフェライトが存在し、硬さが低下し、Hv200以上にすることは困難になる。Siが2.0%以下では球状化率が80%以下になることがあり、また鋳造性が悪くなり、シーブとして望ましくない引け巣が発生しやすくなる。
Mnは0.6%を超えると共晶セル境界に強く偏析すると共に、セメンタイトを作り延性を著しく低下させ、被削性を悪くするため上限を設けるものである。
PおよびSは介在物の生成を少くするため、できるだけ少なくする方が望ましい。介在物は硬く、不規則に存在するので、ワイヤロープに疵をつけやすい。このため、いずれも0.03%以下が好ましい。0.03%以上になると砥粒よりも大きな介在物(FeP、MnS、MgSなど)が生成するため望ましくない。
Mgは黒鉛を球状化するために必要な合金元素で、0.03%以下では球状化率80%以上にならないし、0.07%以上になると異形の黒鉛が生成するので好ましくない。
Cuは組織を均一にするため、例えば表面から深さ方向に組織を均一にして、硬さのバラツキをなくす元素である。また、本発明は、Cuの範囲が2.4%〜3.3%であることに大きな特徴を有する。Cuがこの範囲であると黒鉛粒が微細になり、基地が緻密に強化されるため高強度で良好な伸びを有する。また、通常の溶解度以上のCuを添加することにより、主として球状黒鉛の周辺にCuを偏析させる。本発明のシーブ材料では、Cr、Mo、Ni等の代表的な焼入れ促進元素を含まなくても、強力な焼入れ性を有するが、これは、球状黒鉛の周辺に偏析したCuが熱伝導率を上げ、加熱冷却速度を早めるからであり、良好な微細な黒鉛と緻密な組織を有し、セメンタイトの発生がないからである。セメンタイトやベイナイトのない緻密な組成ならではの強力な焼入れ性に加えて、良好な被削性を有することができる。Cuの範囲が2.4%未満では十分な高強度が得られず、3.3%以上では効果が飽和状態となり、不経済になる。
SnはCuと同様の効果を持つが、Cuとの相乗効果でオーステナイト−パーライト変態をより低温側に移動させ、黒鉛粒をより微細にすると共に、適量の添加により不規則形黒鉛の晶出を防止し、黒鉛形状を改善し、伸びを増加させるものである。又、基地組織をより緻密にするため高強度となる。Snの範囲が0.01%以下ではCuとの相乗効果や黒鉛形状の改善の効果がなく、上限を0.05%としたのは、これ以上では脆化作用が強く、機械的性質が大幅に低下するためである。
上記組成材を鋳放しの場合、基地組織はパーライト組織となる。
上記組成材を熱処理する場合、次の2種類がある。熱処理の温度として基地組織をパーライトにし得る温度であることが必要である場合は、800°C〜900°Cの間、30〜60分間加熱して強制空冷する。熱処理の温度として基地組織をソルバイトにし得る温度であることが必要である場合は800°C〜900°Cの間、30〜60分間加熱して油冷し、その後450〜500°Cの間、60分間加熱して空冷して、ソルバイト組織とする。
本発明のシーブ材料によれば、耐摩耗性に優れ、しかも低コストで被削性が良好であり、特にエレベータ用シーブ材料として好適である。
[実施例1]
図1の表中の実施例1に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は23μm、黒鉛粒数は152個/mmの分布状態であった。鋳放しでブリネル硬さはH293前後であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図5の曲線1上に位置し摩耗量は1/3に減少(比較例1を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図2の表参照)。なお、図7中、曲線2はA種ワイヤロープ相当材の摩耗特性曲線を示す。
[実施例2]
図1の表中の実施例2に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は173個/mmの分布状態であった。鋳放しでブリネル硬さはH293前後であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図7の曲線1上に位置し摩耗量は1/3に減少(比較例1を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図2の表参照)。
[実施例3]
図1の表中の実施例3に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は96%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は195個/mmの分布状態であった。鋳放しでブリネル硬さはH285前後であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図7の曲線1上に位置し摩耗量は1/3に減少(比較例1を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図2の表参照)。
[比較例1]
図1の表中の比較例1に示す組成の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は85%、黒鉛粒径30〜50μmで黒鉛粒は70個/mmであった。鋳放しで基地をパーライト組織とした。硬さはH280であった。熱処理後摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、図7に示す摩耗特性曲線1上に位置し図2の表に示すように上記各実施例1〜3の摩耗特性に比べ摩耗量が多く、シーブ材料としては劣っていた。
図1の表中の実施例1〜3および比較例1の摩耗特性を図7に示したが、この特性よりシーブ材の硬さをH260〜320にすることによりシーブ(曲線1)とA種ワイヤロープ相当材(曲線2)の摩耗が比較的つり合ったものとすることができることがわかる。
[実施例4]
図3の表中の実施例4に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は23μm、黒鉛粒数は152個/mmの分布状態であった。これを約900°Cで60分間保持後、強制空冷を行い、パーライト組織にした。ブリネル硬さはH330前後であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図8の曲線1上に位置し摩耗量は1/3.5に減少(比較例2を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図4の表参照)。なお、図8中、曲線2はB種ワイヤロープ相当材の摩耗特性曲線を示す。
[実施例5]
図3の表中の実施例5に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を約900°Cで60分間保持後、強制空冷を行い、パーライト組織にした。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は173個/mm、硬さはH350前後であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せて摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図8の曲線1上に位置し、摩耗量は1/4に減少(比較例2を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図4の表参照)。
[実施例6]
図3の表中の実施例6に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を約900°Cで60分間保持後、強制空冷を行い、パーライト組織にした。黒鉛球状化率は96%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は195個/mm以上、硬さはH365であった。これより摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図8の曲線1上に位置し、摩耗量は1/4に減少(比較例2を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図4の表参照)。
[比較例2]
図3の表中の比較例2に示す組成の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は85%、黒鉛粒径30〜50μmで黒鉛粒は70個/mmであった。鋳放しで基地をフェライト+パーライト組織とした。硬さはH350であった。熱処理後摩耗試験片を製作し、A種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、図8に示す摩耗特性曲線1上に位置し図4の表に示すように上記各実施例4〜6の摩耗特性に比べ摩耗量が多く、シーブ材料としては劣っていた。
図3の表中の実施例4〜6および比較例2の摩耗特性を図8に示したが、この特性よりシーブ材の硬さをH320〜370にすることによりシーブ(曲線1)とA種ワイヤロープ相当材(曲線2)の摩耗が比較的つり合ったものとすることができることがわかる。
[実施例7]
図5の表中の実施例7に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は23μm、黒鉛粒数は152個/mmの分布状態であった。これを約900°Cで60分間保持後、油中に焼入れし、しかる後約500°Cに60分間保持、空冷し焼戻しを行い、ソルバイト組織にした。ブリネル硬さはH401前後であった。これより摩耗試験片を製作し、B種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図9の曲線1上に位置し摩耗量は1/3に減少(比較例2を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図9の表参照)。なお、図9中、曲線2はB種ワイヤロープ相当材の摩耗特性曲線を示す。
[実施例8]
図5の表中の実施例8に示す成分の球状黒鉛鋳鉄を約900°Cで60分間保持後、油中に焼入れ後、約500°Cに60分間保持、空冷し焼戻しを行い、ソルバイト組織にした。黒鉛球状化率は95%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は173個/mm、硬さはH415であった。これより摩耗試験片を製作し、B種ワイヤロープ相当材と組合せて摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図9の曲線1上に位置し、摩耗量は1/3.5に減少(比較例3を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図6の表参照)。
[実施例9]
図5の表中の実施例9に示す成分の球状黒鉛鋳鉄をこれを約900°Cで60分間保持後、油中に焼入れ後、約500°Cに60分間保持、空冷し焼戻しを行い、ソルバイト組織にした。黒鉛球状化率は96%、黒鉛粒径は26μm、黒鉛粒は195個/mm以上、硬さはH429であった。これより摩耗試験片を製作し、B種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、摩耗特性は図9の曲線1上に位置し、摩耗量は1/4に減少(比較例3を1とする)し、耐摩耗性の優れたシーブ材として望ましい特性を示した(図6の表参照)。
[比較例3]
図5の表中の比較例3に示す組成の球状黒鉛鋳鉄を鋳造した。黒鉛球状化率は85%、黒鉛粒径30〜50μmで黒鉛粒は70個/mmであった。鋳放しで基地をフェライト+パーライト組織とした。硬さはH350であった。熱処理後摩耗試験片を製作し、B種ワイヤロープ相当材と組合せてころがりすべり摩耗試験を行なった結果、図9に示す摩耗特性曲線1上に位置し図6の表に示すように上記各実施例4〜6の摩耗特性に比べ摩耗量が多く、シーブ材料としては劣っていた。
図5の表中の実施例7〜9および比較例3の摩耗特性を図9に示したが、この特性よりシーブ材の硬さをH370〜430にすることによりシーブ(曲線1)とB種ワイヤロープ相当材(曲線2)の摩耗が比較的つり合ったものとすることができることがわかる。
上記実施例1〜9、比較例1〜3の結果から明らかなように、本発明のシーブ材料は、従来のシーブ材料と比較して摩耗量に関していずれも特にエレベータ用シーブ材料として望ましい特性を有している。
尚、本発明を特にエレベータ用シーブ材料について詳しく説明してきたが、本発明はかかる用途に限られるものではなく、他の機器の鋳鉄製シーブについても同様に効果的に適用できることは言うまでもない。
本発明の実施例1〜3および比較例1のシーブ材料の組成比を示す図表である。 図1の表中の実施例1〜3および比較例1の摩耗試験材の特徴と摩耗量を示す図表である。 本発明の実施例4〜6および比較例2のシーブ材料の組成比を示す図表である。 図3の表中の実施例4〜6および比較例2の摩耗試験材の特徴と摩耗量を示す図表である。 本発明の実施例7〜9および比較例3のシーブ材料の組成比を示す図表である。 図5の表中の実施例7〜9および比較例3の摩耗試験材の特徴と摩耗量を示す図表である。 図1の表中の実施例1〜3と比較例1の摩耗特性曲線を示す特性図である。 図3の表中の実施例4〜6と比較例2の摩耗特性曲線を示す特性図である。 図5の表中の実施例7〜9と比較例3の摩耗特性曲線を示す特性図である。

Claims (4)

  1. 重量%で、C:3.0〜4.0%、Si:2.0〜2.7%、Mn:0.6%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.06%、Cu:2.4〜3.3%、Sn:0.01〜0.05%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなることを特徴とするシーブ材料。
  2. 球状化率80%〜100%、黒鉛平均粒径20μm〜40μm、黒鉛粒数個100個/mm2〜200個/mm2、ブリネル硬さがH260〜320であって、鋳放しでパーライト基地組織を有する球状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする請求項1記載のシーブ材料。
  3. 球状化率80%〜100%、黒鉛平均粒径20μm〜40μm、黒鉛粒数個100個/mm2〜200個/mm2、ブリネル硬さがH320〜370であって、熱処理によりパーライト基地組織を有する球状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする請求項1記載のシーブ材料。
  4. 球状化率80%〜100%、黒鉛平均粒径20μm〜40μm、黒鉛粒数個100個/mm2〜200個/mm2、ブリネル硬さがH370〜430であって、熱処理によりソルバイト基地組織を有する球状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする請求項1記載のシーブ材料。
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