JP2009190528A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド車両において電動機の体格を増加させることなく可及的に広範囲で同期変速を実現する。
【解決手段】ハイブリッド機構20では、MG1を反力要素としMG2を出力要素とする1速CVTモードと、MG2を反力要素としMG1を出力要素とする2速CVTモードとを含む複数の変速段を実現可能である。この1速CVTモードと2速CVTモードとの間の変速段の切り替えに際しては、エンジン200の機関回転速度の変化を伴わない同期変速が行われる。この際、ECU100は、MG1及びMG2の熱負荷に基づいて短時間定格値を算出し、この短時間定格値の範囲内であれば常時定格値を超えた運転領域における同期変速を許容する。
【選択図】図6
【解決手段】ハイブリッド機構20では、MG1を反力要素としMG2を出力要素とする1速CVTモードと、MG2を反力要素としMG1を出力要素とする2速CVTモードとを含む複数の変速段を実現可能である。この1速CVTモードと2速CVTモードとの間の変速段の切り替えに際しては、エンジン200の機関回転速度の変化を伴わない同期変速が行われる。この際、ECU100は、MG1及びMG2の熱負荷に基づいて短時間定格値を算出し、この短時間定格値の範囲内であれば常時定格値を超えた運転領域における同期変速を許容する。
【選択図】図6
Description
本発明は、内燃機関と電動発電機とを動力源として備えたハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置を適用可能なものとして、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成された分配機構を備えたハイブリッド車の駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたハイブリッド車の駆動装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、二つの出力要素を出力部材に選択的に連結する連結機構を備えるため、複数の駆動形態の中から走行要求に適した駆動形態を選択することができ、エネルギ効率の良い走行が可能になるとされている。
この種の駆動装置では、二つの電動機を夫々反力要素及び出力要素として機能させることにより、複数の変速段を構築することが可能であり、変速段をこれら複数の変速段の中で適宜切り替えることが可能である。この際、内燃機関の機関回転速度を変化させることなく変速段を切り替える、所謂同期変速もまた可能となるが、車両の広範な運転条件について係る同期変速を実現しようとすると、電動機の体格を大型化せざるを得ず、経済性及び車両への搭載性の悪化を伴う。従って、従来の技術において、このような同期変速を実現しようとしても、経済性や搭載性の制約を受ける形で、同期変速が可能な運転条件が限定されてしまう。即ち、従来の技術には、経済性や搭載性を悪化させることなく車両の広範な運転条件において同期変速を実現することが困難である旨の技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、電動機の体格を増加させることなく可及的に広範囲で同期変速を実現し得るハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関、第1電動機及び第2電動機を含む駆動力源と、前記第1電動機の出力軸に接続可能な第1回転要素、前記第2電動機の出力軸に接続可能な第2回転要素及び前記内燃機関の出力軸に接続可能な第3回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素を有する動力分配手段と、車軸に連結された出力部材と前記複数の回転要素との接続状態を切り替えることにより、変速段を、前記第1電動機を前記内燃機関の出力に対する反力を負担する反力要素とし且つ前記第2電動機を前記出力部材に対し駆動力の入出力を行う出力要素とする第1の変速段及び前記第2電動機を前記反力要素とし且つ前記第1電動機を前記出力要素とする第2の変速段を含む複数の変速段の中で選択的に切り替え可能な変速手段とを備え、前記内燃機関の機関回転速度を変動させることなく前記変速段を切り替える同期変速が可能に構成されてなるハイブリッド車両の制御装置であって、前記変速段の切り替え要求の有無を判別する第1判別手段と、前記第1及び第2電動機のうち切り替え後の前記変速段において前記出力要素となる変速後電動機の熱負荷を特定する特定手段と、前記特定された変速後電動機の熱負荷に基づいて前記変速後電動機に許容される過渡運転条件たる変速後過渡運転条件を算出する算出手段と、前記切り替え要求が有る旨が判別された場合に、前記算出された変速後過渡運転条件の範囲内で前記同期変速を実行する変速制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る動力分配手段は、第1、第2及び第3の回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素(即ち、第1、第2及び第3の回転要素は、動力分配手段に備わる回転要素の少なくとも一部であって、必ずしも全てでない)を備え、例えば摩擦係合式或いは噛合式等各種態様を採り得る複数の係合手段(ブレーキ装置やクラッチ装置を含む)等として構成され得る変速手段が、出力部材とこれら複数の回転要素との接続状態(即ち、元より接続可能であるか否かによらず少なくとも接続の有無を含み、概念上は、どの程度接続されているかといった定量的状態を含む)を適宜に切り替えること(即ち、これら複数の回転要素のうち出力部材との接離可能に構成された少なくとも一部と出力部材とを適宜に係合及び離間させること等を好適な一形態として含む)により、複数の変速段が選択的に実現される。この変速段には、第1の回転要素が出力部材に接続されることにより第1電動機が出力要素として機能する(同時に、第2電動機が反力要素として機能する)第1の変速段と、第2の回転要素が出力部材に接続されることにより第2電動機が出力要素として機能する(同時に、第1電動機が反力要素として機能する)第2の変速段が少なくとも含まれる。
動力分配手段及び変速手段の構成及び作用により実現される変速モードは、これら第1及び第2の変速モードを含む限りにおいてこれらのみに限定されず、例えば、内燃機関と出力部材との間の駆動力の入出力を遮断する変速段(即ち、変速段と言うよりは、一種の駆動モードであり、所謂EV走行(電気走行)モードに該当する)等を備えていてもよい(尚、この状態で、第1電動機又は第2電動機を選択的に出力要素として機能させてもよい)し、他の回転要素の回転が選択的に阻止される構成を有していてもよい。尚、この種の複数の変速段を実現するための動力分配手段の構成は、好適な一形態として、少なくとも一つのプラネタリギア機構(ギア装置又はギアシステム)等を含むものであってもよい。
一方、出力部材に対し駆動力を伝達する必要に鑑みれば、少なくとも一方の電動機に対応する回転要素が出力部材に接続される必要があり、この種のハイブリッド車両では、第1の変速段と第2の変速段との間の変速段の切り替えに際しては、一時的であるにせよ個々の電動機に対応する回転要素がいずれも出力部材に接続される、所謂固定変速段を経由する必要がある(このような固定変速段を経由しない場合には、変速段の切り替えに際して内燃機関の機関回転速度の変動が顕在化する)。この固定変速段が変速過程において一時的にせよ介在することにより、同期変速が可能となる。
同期変速とは、変速段の切り替え(変速モードの切り替えといってもよく、意味的には即ち、変速である)に際して内燃機関の機関回転速度が維持(尚、少なくとも実践的にみて有意な変動として知覚されない程度の変動は許容されてもよい)されることを指し、変速時点のハイブリッド車両における車速や駆動力等の条件に応じて第1電動機と第2電動機との間のみで駆動力の収支が賄われることにより実現される。
ここで、第1及び第2電動機の体格や定格特性は、経済性及び車両への搭載性等を考慮して決定される必要がある。従って、同期変速を行うにあたって、変速前電動機(現状の変速段が第1(又は第2)の変速段であれば第1(又は第2)電動機)から変速後電動機(現状の変速段が第1(又は第2)の変速段であれば第2(又は第1)電動機)へハイブリッド車両の駆動力が受け渡される際に、当該駆動力が、変速後電動機の体格や定格特性等により規定される許容値を超える場合が生じ得る。
より実践的な一形態として、例えば、相対的にみて低回転高負荷の領域において出力要素に設定される電動機では、その回転速度の制限により、また相対的にみて高回転低負荷の領域において出力要素に設定される電動機では、その駆動力の制限により、同期変速が実質的に困難となる運転領域が生じ得る。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、例えばこの種の問題を解決して、より広範な運転条件に対し同期変速を実現することによる、燃費等の経済性能、エミッション等の環境性能及びドライバビリティ等の快適性能の向上を目的としたものであって、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1判別手段により変速段の切り替え要求の有無が判別される。
一方、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、この種の切り替え要求の有無判別に相前後して、又はその判別結果に応じて、或いは当該判別処理から全く独立してなる一定又は不定の周期で、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る特定手段により、変速後電動機における、例えば熱容量や放熱量等を適宜含み得る概念としての熱負荷が特定される。
尚、本発明における「特定」とは、例えば、特定対象又は特定対象と対応関係を有する指標値を何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する電気信号等として検出すること、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に例えば電気信号等の形で検出された、特定対象又は指標値に基づいて予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択すること、これら検出された又は選択された特定対象、指標値又は数値等から、例えば予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出すること、或いはこのように検出、選択又は導出された指標値等を、例えば電気信号等の形で単に取得すること等を包括する広い概念であり、本発明に係る特定手段の動作態様は、多種多様であってよい。例えば、本発明に係る特定手段は、第1電動機、第2電動機、第1電動機との間で電力の入出力を行うインバータ及び第2電動機との間で電力の入出力を行うインバータ等、動作に発熱の伴う又は発熱の度合いに応じて動作が制限される各種装置の温度、外気圧等の環境条件、或いはハイブリッド車両の過去の走行履歴等に基づいて、所定のアルゴリズムや演算式等に従った各種演算処理を実行し、当該熱負荷を所定の指標値等として算出すること等により当該特定を行ってもよい。
一方、このように変速後電動機の熱負荷が特定されると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る算出手段により、変速後過渡運転条件が算出される。変速後過渡運転条件とは、即ち、変速時等の短時間(即ち、過渡期間)に、定格特性等予め設定された実使用上の限界値(即ち、この種の実使用上の限界値が、電動機の物理的又は電気的な限界よりも低く設定されている点が重要である)を一時的に超えて動作させることが許容された、回転速度、駆動力又は動作時間等の運転条件であり、変速後電動機について特定された熱負荷に応じて、その都度個別具体的に異なる条件である。また、係る変速後過渡運転条件は、当該変速後過渡運転条件で変速後電動機を動作させれば、明らかにその動作を制限する側にリアルタイムに変化(例えば、継続許可時間の減少や、限界値の減少)する性質を有し得る。
ここで、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、上述した切り替え要求が有る旨が判別された場合に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る変速制御手段が、算出された変速後過渡運転条件の範囲内で上述した同期変速を実行する。
従って、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、変速後電動機をその定格特性を超えた運転領域において、変速後電動機に過剰使用による不具合が発生する可能性を排除しつつ(即ち、このような事態を招かない範囲で一時的に許容される条件が、変速後過渡運転条件である)、フレキシブルに使用することが可能となり、同期変速を可及的に広範囲の運転条件で実現することが可能となる。従って、第1及び第2電動機(即ち、いずれも変速後電動機となり得る)の体格を大きくすることなく、経済性能、環境性能及び快適性能の向上を図ることができるのである。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置の一の態様では、前記変速要求に対応する前記ハイブリッド車両の運転条件に基づいて前記同期変速が可能であるか否かを判別する第2判別手段を更に具備し、前記特定手段は、前記第1及び第2電動機のうち切り替え前の前記変速段において前記出力要素となる変速前電動機の熱負荷を特定し、前記算出手段は、前記特定された変速前電動機の熱負荷に基づいて前記変速前電動機に許容される過渡運転条件たる変速前過渡運転条件を算出し、前記変速制御手段は、前記同期変速が不可能である旨が判別された場合に、前記算出された変速前過渡運転条件の範囲内で前記切り替え前の変速段を維持する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2判別手段により、同期変速が可能であるか否かが判別される。この際、第2判別手段は、例えば、要求駆動力や要求回転速度等、変速要求時のハイブリッド車両の運転条件に基づいて当該判別を行う。例えば、好適な一形態として、変速要求に対応する運転条件が、上述した変速後過渡運転条件を逸脱した範囲にあれば、即ち変速後過渡運転条件を使用したところで同期変速は困難なのであり、同期変速が不可能である旨の判別がなされてもよい。
一方、この態様によれば、特定手段により、変速後電動機の熱負荷と同様に変速前電動機の熱負荷が特定され、算出手段により、変速後過渡運転条件と同様に変速前過渡運転条件が算出される。ここで、変速制御手段は、第2判別手段により同期変速が不可能である旨の判別がなされた場合には、変速前過渡運転条件の範囲内で切り替え前の変速段を維持する。即ち、変速要求に対応する運転条件が、変速後過渡運転条件を超えてはいても、変速前過渡運転条件を逸脱していないのであれば、無理に変速を行う必要はないのであり、変速段が維持される(即ち、好適な一形態として、変速が行われないように変速手段を制御しつつ、変速前電動機の動作限界を一時的に引き上げる)ことにより、ドライバビリティの悪化が抑制される。従って、この態様によれば、ハイブリッド車両の快適性能の低下が可及的に抑制される。
尚、この態様では、前記算出された変速後過渡運転条件が前記算出された変速前過渡運転条件と比較して前記変速要求に対応する運転条件を満たすか否かを判別する第3判別手段を更に具備し、前記変速制御手段は、前記同期変速が不可能である旨が判別され且つ前記算出された変速後過渡運転条件が前記算出された変速前過渡運転条件と比較して前記変速要求に対応する運転条件を満たす旨が判別された場合に、前記算出された変速後過渡運転条件の範囲内で前記変速段を切り替えてもよい。
変速要求に対応する運転条件によっては、変速前過渡運転条件及び変速後過渡運転条件が、いずれも変速要求に対応する運転条件を満たさない場合がある。この場合、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第3判別手段により、変速前過渡運転条件及び変速後過渡運転条件のうち、いずれが変速要求に対応する運転条件に相対的に近い(即ち、比較的要求を満たす)条件であるかが判別される。この際、変速制御手段は、変速後過渡運転条件が変速前過渡運転条件よりも変速要求に対応する運転条件を満たす旨が判別された場合に、変速後過渡運転条件の範囲内で変速段を切り替える(即ち、好適には、変速前過渡運転条件が変速後過渡運転条件よりも変速要求に対応する運転条件を満たす旨が判別された場合に、変速前過渡運転条件の範囲内で変速段を維持する)。このため、同期変速が困難であっても、ハイブリッド車両の快適性能の低下を可及的に抑制することが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、ECU100、減速機構11、PCU(Power Control Unit)12、バッテリ13、車速センサ14、アクセル開度センサ15、温度センサ16及び温度センサ16並びにハイブリッド駆動機構20を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する変速制御を実行することが可能に構成されている。尚、ECU100は、本発明に係る「特定手段」、「算出手段」、「変速制御手段」、「第1判別手段」、「第2判別手段」及び「第3判別手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
減速機構11は、ハイブリッド駆動機構20における後述する出力軸500に連結されたカウンタ軸17と平行し、且つ当該カウンタ軸17とカウンタギア18を介して連結された、デファレンシャル等各種減速ギアを含む減速装置である。減速機構11は、ハイブリッド車両10の駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FRに夫々連結されるドライブシャフトSFL及びSFR(即ち、本発明に係る「車軸」の一例)と連結されている。
PCU12は、バッテリ13から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ13に供給することが可能に構成されたインバータ等を含み、バッテリ13と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ13を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御することが可能に構成された制御ユニットである。PCU12は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ13は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池である。
車速センサ14は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
アクセル開度センサ15は、ハイブリッド車両10の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出することが可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
温度センサ16は、対象物体の温度を検出することが可能に構成された、例えばサーミスタ等の温度検出手段である。温度センサ16は、温度検出用の端子を複数有しており、各端子が、ハイブリッド駆動機構20における後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に付設されている。従って、温度センサ16によって、モータジェネレータMG1の温度たるMG1温度Tmg1及びモータジェネレータMG2の温度たるMG2温度Tmg2が夫々検出される構成となっている。また、この検出端子は、温度解析用の処理ユニットに接続されており、検出された各温度は、各温度に対応する電気信号に変換され、温度センサ16と電気的に接続されたECU100に供給される構成となっている。
ハイブリッド駆動機構20は、ハイブリッド車両10のパワートレインとして機能する駆動力ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動機構20の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動機構20の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、ハイブリッド駆動機構20は、エンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、入力軸400及び出力軸500を備える。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図3を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、エンジン200の模式図である。尚、同図において、図1及び図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的又は機械的な伝達手段を適宜介して駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。
図3において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205(即ち、本発明に係る「内燃機関の出力軸」の一例である)の回転運動に変換することが可能に構成されている。
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。このクランクポジションセンサ206は、ECU100(不図示)と電気的に接続されており、ECU100では、このクランクポジションセンサ206から出力されるクランク角信号に基づいて、エンジン200の機関回転速度NEが算出される構成となっている。
尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。また、本発明に係る内燃機関における気筒数及び各気筒の配列形態は、上述した概念を満たす範囲でエンジン200のものに限定されず多様な態様を採り得、例えば、6気筒、8気筒或いは12気筒エンジンであってもよいし、V型、水平対向型等であってもよい。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210を介して吸気バルブ211の開弁時に気筒201内部へ導かれる。一方、吸気ポート210には、インジェクタ212の燃料噴射弁が露出しており、吸気ポート210に対し燃料を噴射することが可能な構成となっている。インジェクタ212から噴射された燃料は、吸気バルブ211の開弁時期に前後して吸入空気と混合され、上述した混合気となる。
燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に供給される構成となっている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり、吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、ECU100は、基本的には不図示のアクセルペダルの開度(即ち、上述したアクセル開度Ta)に応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータ209を制御するが、スロットルバルブモータ209の動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能に構成されている。尚、本発明に係る触媒装置の採り得る形態は、このような三元触媒に限定されず、例えば三元触媒に代えて或いは加えて、NSR触媒(NOx吸蔵還元触媒)或いは酸化触媒の各種触媒が設置されていてもよい。
排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。これら空燃比センサ217及び水温センサ218は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100により一定又は不定の検出周期で把握される構成となっている。
図2に戻り、モータジェネレータMG1は、本発明に係る「第1電動機」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMG2は、本発明に係る「第2電動機」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有していてもよいし、他の構成を有していてもよい。
動力分割機構300は、本発明に係る「動力分配手段」の一例たる駆動力伝達装置である。動力分割機構300は、第1遊星歯車機構310及び第2遊星歯車機構320を有する。
第1遊星歯車機構310は、シングルピニオン型の遊星歯車機構とダブルピニオン型の遊星歯車機構が連結された構成を有する。即ち、シングルピニオン型の遊星歯車機構は、モータジェネレータMG2の出力軸が連結されたサンギア311(即ち、サンギア311は、本発明に係る「第2の回転要素」の一例である)、ピニオンギア(符号省略)を自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つ動力分割機構300の外郭ケースに回転不能に物理的に固定されてなるキャリア312、及びリングギア313を備え、ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、後述するクラッチC3に連結されたサンギア314、サンギア314に噛合するインナーピニオンギア(符号省略)、エンジン200のクランクシャフト205に連結された入力軸400に連結されてなるリングギア316(即ち、リングギア316は、本発明に係る「第3の回転要素」の一例である)、リングギア316に噛合するアウターピニオンギア(符号省略)、並びにインナーピニオンギア及びアウターピニオンギアを自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つリングギア313と連結されると共に、中間軸600に連結されてなるキャリア315を有している。
第2遊星歯車機構320は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であり、動力分割機構300の外郭ケースに回転不能に物理的に固定されてなるサンギア321、出力軸500(即ち、本発明に係る「出力部材」の一例)に連結され、且つピニオンギア(符号省略)を自転可能且つ一体的に公転可能に支持するキャリア322及び後述するクラッチC1に連結されたリングギア323を有する。
ここで、動力分割機構300は、各々湿式多板摩擦係合式の係合手段であるクラッチC1、C2及びC3並びに湿式多板摩擦係合式の制動手段であるブレーキB1を備える。尚、各クラッチは、例えばドグクラッチ等の噛合式係合手段であってもよい。
クラッチC1は、一方のクラッチ板が第2遊星歯車機構320のリングギア323に連結され、他方のクラッチ板が中間軸600に連結されたクラッチ機構である。クラッチC2は、一方のクラッチ板が第2遊星歯車機構320のリングギア323に連結され、他方のクラッチ板がモータジェネレータMG1の回転軸に連結されたクラッチ機構である。クラッチC3は、一方のクラッチ板が第1遊星歯車機構310のサンギア314に連結され、他方のクラッチ板がモータジェネレータMG1の出力軸に連結されたクラッチ機構である。尚、このようにサンギア314は、クラッチC3の係合状態に応じて間接的にモータジェネレータMG1と接続可能に構成されており、本発明に係る「第1回転要素」の一例を構成している。またブレーキ機構B1は、一方のブレーキ板が第1遊星歯車のキャリア315(一義的にリングギア313)に連結され、他方のブレーキ板が物理的に固定された構成を有している。
ここで、これらクラッチC1、C2及びC3並びにブレーキB1のうち、クラッチC1、C2及びC3は、各々の係合状態に応じて、各々が対応する回転要素、即ちクラッチC1に対するキャリア315(即ち、一義的にリングギア313)、並びにクラッチC2及びC3に対するサンギア314と出力軸500との接続状態を可変とすることが可能であり、本発明に係る「変速手段」の一例を構成している。
尚、これらクラッチC1、C2及びC3並びにブレーキB1は、夫々不図示の油圧駆動装置と接続されており、当該油圧駆動装置からの油圧の供給により各々におけるクラッチ板同士或いはブレーキ板同士の係合状態が制御される構成となっている。これら各油圧駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が上位に制御される構成となっている。即ち、各クラッチ及びブレーキの作動状態は、ECU100により制御される構成となっている。
<実施形態の動作>
<変速モードの詳細>
本実施形態に係るハイブリッド駆動機構20によれば、上述したクラッチC1、C2及びC3並びにブレーキB1の係合状態に応じて、複数の走行モード及び変速モードが実現される。ここで、図4を参照し、これら各係合手段の係合状態とハイブリッド駆動機構20の走行モード及び変速モードの対応関係について説明する。ここに、図4は、係合手段の係合状態と走行モード及び変速モードとの対応表である。
<変速モードの詳細>
本実施形態に係るハイブリッド駆動機構20によれば、上述したクラッチC1、C2及びC3並びにブレーキB1の係合状態に応じて、複数の走行モード及び変速モードが実現される。ここで、図4を参照し、これら各係合手段の係合状態とハイブリッド駆動機構20の走行モード及び変速モードの対応関係について説明する。ここに、図4は、係合手段の係合状態と走行モード及び変速モードとの対応表である。
図4において、「走行モード」とは、ハイブリッド駆動機構20における動力源を規定するモードであり、図示の通り、HV(ハイブリッド)モード(図示HV)及びEV走行モード(図示EV)が存在する。一方、「変速モード」とは、入力軸400と出力軸500との回転速度比の変化態様を規定するモードである。尚、図中「○」が係合している状態を、「×」が解放されている状態を夫々表すものとする。
図4において、クラッチC1及びクラッチC3が係合し、クラッチC2及びブレーキB1が解放されている場合、走行モードはHVモードとなり、変速モードは1速CVTモードとなる。即ち、この場合、キャリア315とリングギア323とが連結されるが、サンギア321は元より固定されているので、リングギア323の回転速度は、出力軸500の回転速度と一義的な関係を有する。このため、キャリア315もまた出力軸500と同期して回転し、リングギア313もまた、出力軸500と同期回転する。ここで、キャリア312は物理的に固定されているため、結局サンギア311、即ちモータジェネレータMG2の回転速度も出力軸500の回転速度と一義的な関係を有する。即ち、1速CVTモードの場合、モータジェネレータMG2は、本発明に係る「出力要素」の一例となる。
一方、クラッチC2は解放されており、モータジェネレータMG1は出力軸500から独立しているが、クラッチC3が係合しているため、その回転はサンギア314に伝達される。ここで、キャリア315の回転は既に述べたように出力軸500と一義的であり、結局サンギア314の回転速度を決めれば、リングギア316の回転速度、即ち入力軸400の回転速度は一義的に決定される。即ち、1速CVTモードにおいて、モータジェネレータMG1は、エンジン200の出力トルクの反力トルクを受け持つ反力要素として機能し、モータジェネレータMG1の回転速度制御によりエンジン200の機関回転速度を実質的に自由に制御することが可能となって、一種のCVT(Continuously Variable Transmission:連続式無段変速装置)機能が実現される。これが1速CVTモードと称される所以である。このように、1速CVTモードは、本発明に係る「第1の変速段」の一例となる。
図4において、クラッチC1及びブレーキB1が解放され、クラッチC2及びC3が係合している場合、2速CVTモードが実現される。即ち、この場合、上述した1速CVTモードとは反対に、クラッチC1が解放されているため、モータジェネレータMG2は出力軸500の回転から独立している。一方クラッチC2が係合しているため、モータジェネレータMG1は出力軸500と連結された状態となり、1速CVTモードにおけるモータジェネレータMG2と同様に、本発明に係る「出力要素」の一例として機能する。
一方で、クラッチC3が係合しているため、このモータジェネレータMG1の回転は、サンギア314の回転となる。従って、2速CVTモードでは、モータジェネレータMG2の回転速度制御により、エンジン200の機関回転速度を実質的に自由に制御することが可能となり、モータジェネレータMG2が反力要素として機能することとなる。即ち、2速CVTモードは、本発明に係る「第2の変速段」の他の一例である。
図4において、ブレーキB1を除く、クラッチC1、C2及びC3のいずれもが係合している場合、先に述べた原理に従ってモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の双方が出力軸500に接続された状態となる。このため、第1遊星歯車機構310のリングギア316の回転は、車速に応じて一義的に規定され、入力軸400と出力軸500との回転速度の比たる変速比は、車速に応じて定まる一の値に固定される。これが、1−2固定モードである。1―2固定モードでは、車速と駆動力との関係が一義的に規定される。
ここで、1速CVTモードと2速CVTモードとの間で変速モードを切り替える場合、この1−2固定モードを経由する必要があるが、逆に言えば、1速CVTモードと2速CVTとの間の変速モードの切り替えを、1−2固定モードに固有の動作線(即ち、車速と駆動力の一義的な関係を規定する動作線)上で行えば、変速モードの切り替え時、即ち変速時においてエンジン200の機関回転速度の変化は生じない。即ち、同期変速が可能となる。この同期変速では、エンジン200の動作点が変化しないため、ドライバビリティ、エミッション及び燃費を可及的に良好に維持することができる。
尚、ここでは、詳細な説明を省略するが、図4に示すように、クラッチC3が解放された場合、反力要素が無くなるため、エンジン200は出力軸500に動力を伝達できない。逆に言えば、この場合、エンジン200を停止させることができ、クラッチC1、C2及びC3の係合状態に応じてモータジェネレータMG1又はモータジェネレータMG2或いはその両方を使用したEV走行が実現される。尚、EV走行モードでは、変速比は固定される。また、2速CVTモードが実現されている状況においてブレーキB1を係合させた場合、キャリア315の回転が阻止され、且つサンギア314の回転が出力軸500と一義的な関係を保つため、入力軸400の回転速度は出力軸500の回転速度により一義的に決定され、2速固定モードが実現される。
一方、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の体格は、ハイブリッド車両10に対する搭載性やコスト等の経済性を考慮して決定されている。従って、上述した同期変速をハイブリッド車両10の広範な運転条件において常に実行することには困難が伴う。ここで、図5を参照し、このことについて説明する。ここに、図5は、ハイブリッド車両10の駆動力特性を例示する模式図である。
図5において、縦軸及び横軸には夫々駆動力及び車速が表される。ここで、図示破線で示される領域(総体的にみて低速領域)が1速CVTモードに相当する領域であり、図示鎖線で示される領域(総体的にみて低負荷領域)が2速CVTモードに相当する領域である。一方、上述した同期変速が可能となる1−2固定モードに相当するライン、即ち変速線が図示Lsync(実線参照)として表される。
ここで特に、図中左下の斜線領域は、1速CVTモード及び2速CVTモードのいずれにも該当するため、同期変速が可能となるが、変速線Lsyncがこの斜線領域から逸脱する領域において同期変速を実行するには、例えばモータジェネレータMG1を高トルク化して図示鎖線を上方に遷移させる(図示黒塗り矢線参照)、或いはモータジェネレータMG2を高回転化して図示破線を高回転側に遷移させる(図示白塗り矢線参照)等の措置を講じる必要があり、いずれもモータジェネレータの体格向上を伴う。従って、何らの措置も講じられることがなければ、この種の体格の向上に伴う搭載性の悪化やコストの増加を回避する観点から、同期変速可能な運転領域は限定されざるを得ない。
一方、本実施形態に係るハイブリッド車両10では、ECU100によりなされる変速制御によって、この種の問題による実践上の不利益が大幅に緩和されている。ここで、図6を参照し、変速制御の詳細について説明する。ここに、図6は、変速制御のフローチャートである。
図6において、ECU100は、車速V及びアクセル開度Taを取得する(ステップS101)。車速V及びアクセル開度Taを取得すると、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftを算出する(ステップS102)。ドライバ要求駆動力Ftは、予めROMに格納された、車速V及びアクセル開度Taをパラメータとする要求駆動力マップより選択的に取得される、本発明に係る「変速要求に対応する運転条件」の一例である。尚、本実施形態に係る「算出」とは、このように予め設定された対応関係に従って一の値を決定する態様を含む概念である。
ドライバ要求駆動力Ftを算出すると、ECU100は、温度センサ16から各モータジェネレータの温度に関する情報を取得し、更に、RAMに過去一定期間について更新可能に記憶されている、各モータジェネレータの動作履歴情報を取得する(ステップS103)。各モータジェネレータの温度及び動作履歴情報は、本発明に係る「熱負荷」の一例である。尚、動作履歴情報とは、即ち、各モータジェネレータに関する、過去一定期間の充電の度合い(充電量や充電時間を含む)及び放電の度合い(放電量や放電時間等を含む)等を含む情報である。
これら熱負荷に対応する各種指標値を取得すると、ECU100は、各モータジェネレータについて、短時間定格値を算出する(ステップS104)。ここで、短時間定格値とは、本発明に係る「変速後過渡運転条件」及び「変速前過渡運転条件」の一例であり、短時間に許容される過渡的な定格値である。本実施形態では、変速後過渡運転条件に相当する変速後許容駆動力Faftと、変速前過渡運転条件に相当する変速前許容駆動力Fbefが夫々算出される。尚、ここでは、便宜的に、現状の変速段が1速CVTモード(即ち、出力要素はMG2である)であり、2速CVTモード(即ち、出力要素はMG1である)への変速がなされるものとする。即ち、モータジェネレータMG2は本発明に係る「変速前電動機」の一例であり、モータジェネレータMG1は本発明に係る「変速後電動機」の一例である。
尚、「短時間」を規定する時間値は、許容される定格値(例えば、駆動力や回転速度)と相互に協調関係にあり、例えば短時間定格値を相対的に小さく(本来の定格値よりは無論大きい)すれば長くなり、短時間定格値を相対的に大きくすれば短くなり得る。従って、短時間定格値の算出態様は、特に限定されずともよく、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、過不足無い程度の時間(無論、本来の定格値は超えているので、総体的には短時間である)について継続的に実現可能な可及的に大きい値に設定されてもよい。
短時間定格値が算出されると、変速要求の有無が判別される(ステップS105)。変速要求が存在する場合(ステップS105:YES)、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftが変速後許容駆動力Faft(即ち、本実施形態では、モータジェネレータMG1について算出された短時間定格値である)以下であるか否かを判別する(ステップS106)。
ドライバ要求駆動力Ftが変速後許容駆動力Faft以下である場合(ステップS106:YES)、ECU100は、この変速後許容駆動力Faftの範囲内でモータジェネレータMG1の出力を許可し(即ち、駆動力の上限FmaxがFaftである)、同期切り替えを実行する(ステップS107)。
一方、ドライバ要求駆動力Ftが変速後許容駆動力Faftよりも大きい場合(ステップS106:NO)、ECU100は更に、ドライバ要求駆動力Ftが変速前要求駆動力Fbef以下であるか否かを判別する(ステップS108)。ドライバ要求駆動力Ftが変速前許容駆動力Fbef以下である場合(ステップS108:YES)、ECU100は、この変速前許容駆動力Fbefの範囲内でモータジェネレータMG2の出力を許可し(即ち、駆動力の上限FmaxがFbefである)、現状の変速段(即ち、ここでは、1速CVTモード)を維持する(ステップS109)。
ドライバ要求駆動力Ftが変速前要求駆動力Fbefよりも大きい場合(ステップS108:NO)、ECU100は更に、変速後許容駆動力Faftが変速前許容駆動力Fbef未満であるか否かを判別する(ステップS110)。即ち、両者の大小関係を判別する。変速後許容駆動力Faftが変速前許容駆動力Fbef未満である場合(ステップS110:YES)、即ち、変速前要求駆動力Fbefの方が大きい場合、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftを変速前許容駆動力Fbefに制限し(即ち、この場合、Ft=Fbefとなる)、現状の変速段を維持する(ステップS111)。
変速後許容駆動力Faftが変速前許容駆動力Fbef以上である場合(ステップS110:NO)、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftを変速後許容駆動力Faftに制限し(即ち、この場合、Ft=Faftとなる)、エンジン200の機関回転速度NEの変化を伴う非同期変速を実行する(ステップS112)。
遡って、変速要求がない場合(ステップS105:NO)、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftが変速前許容駆動力Fbef以下であるか否かを判別する(ステップS113)。ドライバ要求駆動力Ftが変速前許容駆動力Fbef以下である場合(ステップS113:YES)、ECU100は、変速前許容駆動力Fbefの範囲内でモータジェネレータMG2の出力を許可し(即ち、駆動力の上限FmaxがFbefである)、現状の変速段を維持する(ステップS114)。ドライバ要求駆動力Ftが変速前許容駆動力Fbefよりも大きい場合(ステップS113:NO)、ECU100は、ドライバ要求駆動力Ftを変速前許容駆動力Fbefに制限する(ステップS115)。ステップS107、ステップS109、ステップS111、ステップS112、ステップS114又はステップS115に係る処理が実行されると、処理はステップS101に戻され、一連の処理が繰り返される。変速制御はこのようにして実行される。
以上説明したように、本実施形態に係る変速制御によれば、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2の熱負荷に基づいて、変速時等の短時間に許容される常時定格値以上の短時間定格値(ここでは、変速前許容駆動力Fbef及び変速後許容駆動力Faft)が算出され、当該短時間定格値の範囲内であれば同期変速が実行される。従って、可及的に広範囲で同期変速による快適性能、経済性能及び環境性能の低下抑制に係る利益を享受することが可能となる。
また、この短時間定格値は、現状の変速段で出力要素として機能するモータジェネレータについても算出されており、同期変速が不可能である旨が判別された場合、現状の変速段に係る短時間定格値が変速条件(ここでは、駆動力)を満たす場合には変速が行われずに、ドライバビリティの向上が図られる。更には、変速要求がない場合であっても、この短時間定格が積極的に参照され、駆動力の落ち込みが防止される。また、変速制御はループ処理であり、短時間定格値の算出は、概ね一定の周期で繰り返し実行される。従って、変速制御の過程で刻々と変化し得るモータジェネレータの熱負荷をリアルタイムに反映して、最新の短時間定格値を算出することができる。このため、例えば、モータジェネレータの動作点が、何らかの理由で短時間定格値に相当する動作点で停滞した場合であっても、徐々に短時間定格値は減少し、例えばステップS115に係る変速前許容駆動力Fbefの値は、常時定格値に漸近する。従って、この変速制御によって、モータジェネレータの劣化が促進されることはない。また、これらの利益は、モータジェネレータの体格を何ら向上させることなく実現可能であり、ハイブリッド駆動装置20の搭載性及びコストに対し何らの影響を与えることなく実現される。即ち、極めて効率的且つ効果的である。
尚、本実施形態では、ハイブリッド駆動機構20が有する無段変速モードは、1速CVTモードと2速CVTモードの2種類のみであるが、ハイブリッド駆動機構20の構成に応じて、より多種類の無段変速モードが実現されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、16…温度センサ、20…ハイブリッド駆動機構、100…ECU、200…エンジン、201…気筒、203…ピストン、205…クランクシャフト、300…動力分割機構、MG1…モータジェネレータ、MG2…モータジェネレータ、400…入力軸、500…出力軸、600…中間軸。
Claims (3)
- 内燃機関、第1電動機及び第2電動機を含む駆動力源と、
前記第1電動機の出力軸に接続可能な第1回転要素、前記第2電動機の出力軸に接続可能な第2回転要素及び前記内燃機関の出力軸に接続可能な第3回転要素を含む相互に差動回転可能な複数の回転要素を有する動力分配手段と、
車軸に連結された出力部材と前記複数の回転要素との接続状態を切り替えることにより、変速段を、前記第1電動機を前記内燃機関の出力に対する反力を負担する反力要素とし且つ前記第2電動機を前記出力部材に対し駆動力の入出力を行う出力要素とする第1の変速段及び前記第2電動機を前記反力要素とし且つ前記第1電動機を前記出力要素とする第2の変速段を含む複数の変速段の中で選択的に切り替え可能な変速手段と
を備え、前記内燃機関の機関回転速度を変動させることなく前記変速段を切り替える同期変速が可能に構成されてなるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記変速段の切り替え要求の有無を判別する第1判別手段と、
前記第1及び第2電動機のうち切り替え後の前記変速段において前記出力要素となる変速後電動機の熱負荷を特定する特定手段と、
前記特定された変速後電動機の熱負荷に基づいて前記変速後電動機に許容される過渡運転条件たる変速後過渡運転条件を算出する算出手段と、
前記切り替え要求が有る旨が判別された場合に、前記算出された変速後過渡運転条件の範囲内で前記同期変速を実行する変速制御手段と
を具備することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記変速要求に対応する前記ハイブリッド車両の運転条件に基づいて前記同期変速が可能であるか否かを判別する第2判別手段を更に具備し、
前記特定手段は、前記第1及び第2電動機のうち切り替え前の前記変速段において前記出力要素となる変速前電動機の熱負荷を特定し、
前記算出手段は、前記特定された変速前電動機の熱負荷に基づいて前記変速前電動機に許容される過渡運転条件たる変速前過渡運転条件を算出し、
前記変速制御手段は、前記同期変速が不可能である旨が判別された場合に、前記算出された変速前過渡運転条件の範囲内で前記切り替え前の変速段を維持する
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記算出された変速後過渡運転条件が前記算出された変速前過渡運転条件と比較して前記変速要求に対応する運転条件を満たすか否かを判別する第3判別手段を更に具備し、
前記変速制御手段は、前記同期変速が不可能である旨が判別され且つ前記算出された変速後過渡運転条件が前記算出された変速前過渡運転条件と比較して前記変速要求に対応する運転条件を満たす旨が判別された場合に、前記算出された変速後過渡運転条件の範囲内で前記変速段を切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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JP2008032185A JP2009190528A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2013193588A (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-30 | Toyota Motor Corp | 車両および車両の制御方法 |
JP2016037105A (ja) * | 2014-08-06 | 2016-03-22 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両の内燃機関始動制御装置 |
-
2008
- 2008-02-13 JP JP2008032185A patent/JP2009190528A/ja active Pending
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