JP2009190395A - 液体供給システム、液体供給源、及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプ駆動時に液体供給源側となる上流側からポンプ側となる下流側への液体の通過のみを許容する吸引用の一方向弁を高度な耐久性を要しない簡単な構成でも適用可能とすることにより、設計の自由度を高めることができる液体供給システム、液体供給源、及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクを収容するインク収容部及びインクを外部に導出するインク導出部を有したインクカートリッジ13と、インクカートリッジ13側となる上流側から下流側にインクを供給するインク流路16と、インク流路16の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプ31と、インク流路16におけるポンプ室よりも下流側に設けられ、上流側から下流側へのインクの通過のみを許容する第1の一方向弁38と、インクカートリッジ13内に設けられ、インク収容部側からインク導出部側へのインクの通過のみを許容する第2の一方向弁29とを備えた。
【選択図】図1
【解決手段】インクを収容するインク収容部及びインクを外部に導出するインク導出部を有したインクカートリッジ13と、インクカートリッジ13側となる上流側から下流側にインクを供給するインク流路16と、インク流路16の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプ31と、インク流路16におけるポンプ室よりも下流側に設けられ、上流側から下流側へのインクの通過のみを許容する第1の一方向弁38と、インクカートリッジ13内に設けられ、インク収容部側からインク導出部側へのインクの通過のみを許容する第2の一方向弁29とを備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側への液体の通過のみを許容する一方向弁を備えた液体供給システム、液体供給源、及び液体噴射装置に関する。
従来、液体噴射装置の一つとしてインクジェット式記録装置(以下、「プリンタ」という)が広く知られている。このプリンタは、インクカートリッジ(以下、「カートリッジ」という)内に収容されたインクパックなどの液体供給源から供給されるインクを液体噴射ヘッドからターゲットに噴射することにより印刷を行う。こうしたプリンタでは、カートリッジ内を加圧してインクを送り出す構成とした場合、カートリッジ側からインクを供給する際にインク供給路内から加圧されたインクが外部に漏出する虞があった。
そこで、特許文献1に示すプリンタでは、ダイアフラムにより仕切られたインク導入室(ポンプ室)及び作動流体導入室を有するポンプを備えると共に、インク導入室の上流側及び下流側には、それぞれ上流側から下流側へのインクの通過のみを許容する吸引用一方向弁及び排出用一方向弁を設けている。そして、ポンプは、作動流体供給源から作動流体導入室に供給される作動流体の圧力変化に基づき、インク導入室の容積を増加させるようにダイアフラムを変位させることによりカートリッジ側から吸引用一方向弁を介してインク導入室へインクを吸引した後、インク導入室の容積を減少させるようにダイアフラムを変位させることにより排出用一方向弁を介して液体噴射ヘッド側へインクを加圧供給する構成となっている。
特開2006−272661号公報
ところで、特許文献1のプリンタは、着脱可能に接続したカートリッジ側から液体噴射ヘッド側にインクを供給するインク供給装置の内部に、ポンプ室としてのインク導入室内への吸引用一方向弁を設けている。そして、この吸引用一方向弁をインク供給のためにインク供給装置のポンプが駆動する度毎に開閉動作させている。そのため、こうしたプリンタでは、吸引用一方向弁をインク供給装置におけるポンプの反復駆動にも必要十分に耐え得るように高度な耐久性を有する構成とする必要があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプ駆動時に液体供給源側となる上流側からポンプ側となる下流側への液体の通過のみを許容する吸引用の一方向弁を高度な耐久性を要しない簡単な構成でも適用可能とすることにより、設計の自由度を高めることができる液体供給システムを提供することにある。また、そのような液体供給システムに接続される液体供給源、及び、そのような液体供給システムを備えた液体噴射装置を提供することをも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の液体供給システムは、内部に液体を収容する液体収容部及び液体を外部に導出するための液体導出部を有した液体供給源と、該液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて液体を供給する液体供給流路と、該液体供給流路の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプと、前記液体供給流路における前記ポンプ室よりも下流側となる位置に設けられ、上流側から下流側への液体の通過のみを許容する第1の一方向弁と、前記液体供給源内に設けられ、前記液体収容部側となる上流側から前記液体導出部側となる下流側への液体の通過のみを許容する第2の一方向弁とを備えている。
上記構成によれば、ポンプが液体供給源側からポンプ室内に液体を吸引する吸引駆動時には開弁状態となると共に、ポンプがポンプ室内に吸引された液体を下流側へ加圧供給する吐出駆動時には閉弁状態となる吸引用の第2の一方向弁が液体供給源内に設けられている。そのため、例えば液体エンド状態となった場合など液体供給源が着脱交換される際には、吸引用の第2の一方向弁も同時に交換されることになり、かかる吸引用の第2の一方向弁には液体供給源が交換される時点までの耐久性があればよいことになる。すなわち、吸引用の第2の一方向弁を液体供給源内に設ける場合には、高度な耐久性を要しない簡単な構成でも液体供給システムの構成要素として適用可能となる。したがって、ポンプ駆動時に液体供給源側となる上流側からポンプ側となる下流側への液体の通過のみを許容する吸引用の一方向弁を高度な耐久性を要しない簡単な構成でも適用可能とすることにより、設計の自由度を高めることができる。
また、本発明の液体供給システムにおいて、前記液体供給源内の前記液体収容部と前記液体導出部との間には、前記液体供給源内における前記液体収容部側の液圧と前記液体導出部側の液圧との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁、又は、前記液体供給源内における前記液体導出部側に下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁が設けられ、前記第2の一方向弁は、前記差圧弁、又は、前記減圧弁が兼用されている。
上記構成によれば、液体供給源内に収容された液体を外部へ導出する際には差圧弁又は減圧弁が液体供給流路の開閉状態を切り替える。すなわち、差圧弁又は減圧弁は、ポンプの吸引駆動時にはポンプ側となる下流側からの負圧の作用に基づき開弁動作することにより、上流側から下流側への液体の通過を許容する。その一方、差圧弁又は減圧弁は、ポンプの吐出駆動時にはポンプ側となる下流側からの正圧の作用に基づき閉弁動作することにより、下流側から上流側への液体の逆流を規制する。換言すると、差圧弁又は減圧弁がポンプ駆動時における吸引用の第2の一方向弁として兼用されている。そのため、この差圧弁又は減圧弁とは別部品構成の第2の一方向弁を更に組み付けることが不要となる。したがって、液体供給源を構成する部品点数を少なくして組み立て効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
また、本発明の液体供給システムにおいて、前記液体供給源内の前記液体収容部と前記液体導出部との間には、前記液体供給源内における前記液体収容部側の液圧と前記液体導出部側の液圧との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁、又は、前記液体供給源内における前記液体導出部側に下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁が設けられ、前記第2の一方向弁は、前記液体供給源内の前記液体導出部と前記差圧弁との間、又は、前記液体供給源内の前記液体導出部と前記減圧弁との間に設けられている。
上記構成によれば、液体供給源内に収容された液体の導出圧を調整する差圧弁又は減圧弁は、液体供給源内の液体収容部側から液体導出部側への液体の通過のみを許容する第2の一方向弁よりも上流側となる位置に配置されている。そのため、第2の一方向弁が液体供給流路側から液体導出部を通じて液体が逆流することを規制することにより、液体供給流路側の液圧の変化が液体導出部を通じて差圧弁又は減圧弁の特性に対して干渉することを抑制できる。
また、本発明の液体供給システムにおいて、前記液体供給流路における前記ポンプ室と前記液体供給源の前記液体導出部との間には、該液体供給流路を開閉可能な流路開閉バルブが設けられている。
上記構成によれば、液体供給源が接続される液体供給装置に形成された液体供給流路の上流側となる位置に流路開閉バルブが配設されている。そのため、液体供給源を液体供給装置から取り外した場合であっても、流路開閉バルブを閉弁することにより液体供給装置における液体供給流路の上流側の開口部から液体が漏出することを抑制できる。
また、本発明の液体供給システムにおいて、前記液体供給源は、可撓性を有する液体収容袋であり、該液体収容袋の閉空間の内部が前記液体収容部とされている。
上記構成によれば、液体を収容する閉空間の液体収容部が液体残量に応じて容積が変化する液体供給源を簡単な構成で得ることができる。
上記構成によれば、液体を収容する閉空間の液体収容部が液体残量に応じて容積が変化する液体供給源を簡単な構成で得ることができる。
また、本発明の液体供給システムにおいて、前記液体供給源は、前記液体収容部を大気に連通する大気連通孔を有している。
上記構成によれば、液体を収容する閉空間の液体収容部に対して外部から一定の圧力を付与する液体供給源を簡単な構成で得ることができる。
上記構成によれば、液体を収容する閉空間の液体収容部に対して外部から一定の圧力を付与する液体供給源を簡単な構成で得ることができる。
また、本発明の液体供給源は、内部に液体を収容する液体収容部及び液体を外部に導出するための液体導出部を有し、該液体導出部が上記構成の液体供給システムにおける液体供給流路の上流側に接続される。
上記構成によれば、上記液体供給システムの発明と同様の効果が得られる。
また、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに液体を供給する上記構成の液体供給システムとを備えた。
また、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに液体を供給する上記構成の液体供給システムとを備えた。
上記構成によれば、上記液体供給システムの発明と同様の効果が得られる。
<第1の実施形態>
以下、本発明をインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と言う。)に具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下、本発明をインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と言う。)に具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態における液体噴射装置としてのプリンタ11は、ターゲット(図示略)に対してインク(液体)を噴射する液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド12と、この記録ヘッド12に液体供給源としてのインクカートリッジ13内に収容されているインクを供給する液体供給装置としてのインク供給装置14を備えている。そして、インクカートリッジ13とインク供給装置14とにより液体供給システムとしてのインク供給システム15が構成されている。インク供給装置14には、インクカートリッジ13に上流端が接続されると共に、記録ヘッド12に下流端が接続された状態で、インクカートリッジ13側となる上流側から記録ヘッド12側となる下流側に向けてインクを供給するインク流路16(液体供給流路)が設けられている。
なお、プリンタ11には、そのプリンタ11で使用するインクの色数(種類)に対応して複数のインク供給装置14が設けられている。但し、それらの構成は同じであるため、図1には何れか一色のインクを供給する一つのインク供給装置14を記録ヘッド12及び一つのインクカートリッジ13と共に図示している。そして、以下においては、この図1に示す一つのインク供給装置14のインク流路16を介して上流側のインクカートリッジ13から下流側の記録ヘッド12に向けてインクを供給する場合を例にして説明することにする。
図1に示すように、記録ヘッド12には、インク供給装置14の設置数と対応する複数(本実施形態では4つ)のノズル17がプラテン(図示略)と対向するノズル形成面12aに開口形成されている。そして、これらの各ノズル17に対して各々対応するインク供給装置14のインク流路16からバルブユニット18を介してインクが供給されるようになっている。すなわち、バルブユニット18には、インク流路16から流入したインクを一時貯留する圧力室(図示略)がノズル17と連通するように設けられ、その圧力室内には、ノズル17からインクを噴射した場合に、そのインク噴射により消費したインク量に相当する分量のインクが、図示しない弁の開閉動作に基づきインク流路16から適宜流入するようになっている。
また、プリンタ11において記録ヘッド12が非印刷時に位置するホームポジションには、記録ヘッド12のノズル17の目詰まり等を解消するべく記録ヘッド12のクリーニングを行うメンテナンスユニット19が設けられている。このメンテナンスユニット19は、記録ヘッド12のノズル形成面12aにノズル17を囲うように当接可能なキャップ20と、このキャップ20内からインクを吸引する際に駆動される吸引ポンプ21と、この吸引ポンプ21の駆動に伴いキャップ20内から吸引されたインクが廃インクとして排出される廃液タンク22を備えている。そして、クリーニング時には、キャップ20を移動させて記録ヘッド12のノズル形成面12aに当接させた状態で吸引ポンプ21を駆動し、キャップ20の内部空間に負圧を発生させることにより記録ヘッド12内から増粘したインクや気泡混じりのインクを廃液タンク22に向けて吸引排出する。
一方、インクカートリッジ13は、合成樹脂材にて略箱体形状に形成されたケース23を備えている。ケース23の側壁にはインクを外部に導出するための液体導出部としてのインク導出口24が形成されると共に、そのインク導出口24を基端としてケース23内に連通する連通部25がインク流路として機能するように貫通形成されている。また、ケース23の内部には、可撓性を有する液体収容袋からなり、液体収容部となる閉空間の内部にインクが封入(収容)されたインクパック26を収容している。また、インクパック26の一端には内部に封入されているインクを外部に導出するための筒状のインク導出部材27が設けられており、このインク導出部材27をケース23の連通部25に嵌合させることでインクパック26はインクカートリッジ13内の収容位置に固定される。そして、インクカートリッジ13をインク供給装置14に接続する際には、インク導出口24に対してインク供給装置14からインク流路16の上流端を構成するべく突設されたインク供給針28が挿入されるようになっている。このとき、インク導出口24内の図示していないシール部材によりインク供給針28の周囲はシールされる。なお、インク導出部材27の内部には、インクパック26側となる上流側からインク導出口24側となる下流側へのインクの通過のみを許容する吸引用の第2の一方向弁29が設けられている。第2の一方向弁29は、インク圧力の変化やインクの流動に伴って開弁位置と閉弁位置との間を左右方向に往復移動可能な弁体29aと、開弁方向に可動する弁体29aを係止する係止部29bにより構成されている。また、ケース23の上壁には、ケース23の内部を大気に連通させる大気連通孔30が貫通形成され、インクが収容されたインクパック26の外面に対して大気圧を作用させるようになっている。
次に、インク供給装置14の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、インク供給装置14は、インクカートリッジ13側からインク流路16を介して、吸引したインクを記録ヘッド12側に向けて加圧供給するポンプ31を備えている。ポンプ31は、略箱形状をなすポンプケース32を有しており、ポンプケース32内は、ダイアフラム33によって左右二室に仕切られている。また、ダイアフラム33は、ポンプケース32の右側壁面との間に挟持されたコイルスプリング34の付勢力によりポンプケース32の左側壁面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらのポンプケース32、ダイアフラム33、及びコイルスプリング34により脈動型のポンプ31が構成され、ダイアフラム33とポンプケース32の左側壁面とによって囲み形成された容積可変の空間域がポンプ31におけるポンプ室35として機能するようになっている。なお、インク流路16におけるポンプ室35の上流側となる位置には、インク流路16を開閉可能な流路開閉バルブ36が設けられている。
図1に示すように、インク供給装置14は、インクカートリッジ13側からインク流路16を介して、吸引したインクを記録ヘッド12側に向けて加圧供給するポンプ31を備えている。ポンプ31は、略箱形状をなすポンプケース32を有しており、ポンプケース32内は、ダイアフラム33によって左右二室に仕切られている。また、ダイアフラム33は、ポンプケース32の右側壁面との間に挟持されたコイルスプリング34の付勢力によりポンプケース32の左側壁面に向けて付勢されている。そして、本実施形態では、これらのポンプケース32、ダイアフラム33、及びコイルスプリング34により脈動型のポンプ31が構成され、ダイアフラム33とポンプケース32の左側壁面とによって囲み形成された容積可変の空間域がポンプ31におけるポンプ室35として機能するようになっている。なお、インク流路16におけるポンプ室35の上流側となる位置には、インク流路16を開閉可能な流路開閉バルブ36が設けられている。
また、ポンプ室35には、インク供給装置14におけるインク流路16の一部を構成するインク供給チューブ37の一端(上流端)が接続されており、このインク供給チューブ37の他端(下流端)が記録ヘッド12側のバルブユニット18に接続されている。そして、ポンプ31におけるインク供給チューブ37との接続部となる位置には、ポンプ室35側となる上流側から記録ヘッド12側となる下流側へのインクの通過のみを許容する吐出用の第1の一方向弁38が配設されている。第1の一方向弁38は、上記第2の一方向弁29の場合と同様に、インク圧力の変化やインクの流動に伴って開弁位置と閉弁位置との間を左右方向に往復移動可能な弁体38aと、開弁方向に可動する弁体38aを係止する係止部38bにより構成されている。
また、ポンプケース32の底壁には、空気流路39を介して減圧ポンプ40、圧力検出器41、及び大気開放弁42が接続されている。すなわち、減圧ポンプ40は、ダイアフラム33とポンプケース32の右側壁面とで囲み形成される容積可変の負圧室43として機能する空間域に空気流路39を介して接続されている。そして、減圧ポンプ40は、その駆動により負圧を発生し、空気流路39を介して接続された負圧室43内にも同様に負圧を発生させる。また、圧力検出器41は、空気流路39を介して接続された負圧室43内の圧力を検出し、その検出結果を制御装置44に対して出力する。そして、制御装置44は、負圧室43内の圧力が減圧ポンプ40の駆動により所定の閾値を下回った場合には、減圧ポンプ40の駆動を停止すると共に、大気開放弁42を開弁動作させることにより負圧室43内を大気開放して負圧状態を解消するようになっている。
なお、図1には、減圧ポンプ40、圧力検出器41、及び大気開放弁42が、各インク色に個別対応する複数のインク供給装置14毎に一つずつ設けられた構成を例示しているが、これは次のように構成してもよい。すなわち、インク供給装置14のポンプ31の負圧室43に接続される空気流路39の接続端側を各インク色に個別対応する複数のインク供給装置14の設置数に対応するように分岐し、その分岐した空気流路39の各接続端を各々対応するインク供給装置14のポンプ31の負圧室43に接続してもよい。このように構成すれば、複数のインク供給装置14に対して減圧ポンプ40、圧力検出器41、及び大気開放弁42を一つ設けるだけで、各色のインク供給装置14を駆動することができ、プリンタ11の小型化を図ることができる。
そこで次に、以上のように構成されたプリンタ11における作用について、特にインク供給装置14の作用に着目して以下説明する。
まず、前提として、図1に示す状態は、新しいインクカートリッジ13への交換直後であって、ポンプ31のダイアフラム33はコイルスプリング34の付勢力でポンプケース32の左側壁面側に変位した状態にあると共に、大気開放弁42は閉弁状態にあるものとする。
まず、前提として、図1に示す状態は、新しいインクカートリッジ13への交換直後であって、ポンプ31のダイアフラム33はコイルスプリング34の付勢力でポンプケース32の左側壁面側に変位した状態にあると共に、大気開放弁42は閉弁状態にあるものとする。
さて、このような図1に示す状態から、インク供給装置14がインクカートリッジ13から記録ヘッド12側へインクを供給する場合、まず、ポンプ31をポンプ駆動させるために減圧ポンプ40を駆動する。すると、減圧ポンプ40が負圧を発生し、この減圧ポンプ40と空気流路39を介して接続されたポンプ31の負圧室43が負圧状態になる。そのため、ダイアフラム33がコイルスプリング34の付勢力に抗して負圧室43側に弾性変形(変位)し、負圧室43の容積を減少させる。すると、この負圧室43の容積減少に伴い、ダイアフラム33を介して負圧室43と区画されたポンプ31のポンプ室35は逆に容積が増加する。
ポンプ室35の容積が増加するに伴い、ポンプ室35内が負圧状態になり、その負圧が供給針28を介して第2の一方向弁29を構成する弁体29aに対して下流側から作用する。そして、第2の一方向弁29の上流側となるインクパック26側から作用するインク圧力との圧力差に基づき弁体29aを右方(開弁方向)へ変位させる。その結果、インクパック26内とポンプ室35が連通状態となり、インクパック26内に収容されたインクが供給針28を介してポンプ室35内に吸引される。つまり、ポンプ31が吸引駆動することとなる。
一方、このポンプ31の吸引駆動時には、ポンプ室35の負圧が第1の一方向弁38の上流側にも作用する。ここで、ポンプ室35内はインク供給チューブ37内よりも低圧となり、一方向弁38は、弁体38aがポンプ室35内とインク供給チューブ37内との差圧に基づき右側へ移動して閉弁状態となる。
そして次には、図2に示す状態において、ポンプ31を吐出駆動に移行するか否かを判断するために、減圧ポンプ40の駆動により負圧室43内に蓄積された圧力を圧力検出器41により検出する。そして、制御装置44は、その検出結果が予め設定された閾値に達した時点でポンプ室35の容積が最大になった判断し、ポンプ31を吐出駆動に移行するべく減圧ポンプ40の駆動を停止すると共に、大気開放弁42を開弁動作することにより負圧状態にある負圧室43を大気開放する。すると、ポンプ31のダイアフラム33がコイルスプリング34によりポンプ室35側へ付勢される。
すなわち、ポンプ31がダイアフラム33をポンプ室35の容積を減少させる方向に付勢することになる。そのため、ポンプ室35内はインクが加圧された状態となり、その加圧がポンプ室35よりも上流側ではインク流路16を介して第2の一方向弁29を構成する弁体29aに対して下流側から作用することにより弁体29aを閉弁方向へ変位させる。その結果、インクパック26内とインク流路16が第2の一方向弁29の閉弁動作により非連通状態となり、インクカートリッジ13からポンプ室35への第2の一方向弁29を介したインクの吸入が停止されると共に、ポンプ31の吐出駆動に伴いポンプ室35から吐出されたインクが第2の一方向弁29を介してインクカートリッジ13側に逆流することが規制される。
一方、このポンプ31の加圧時には、ポンプ室35のインクの圧力が第1の一方向弁38の上流側にも作用する。そのため、このポンプ31の吐出圧が閉弁状態にある弁体38aを開弁動作させ、第1の一方向弁38を介してポンプ室35とインク供給チューブ37内が連通する。その結果、ポンプ室35からインクが、インク供給チューブ37を介してバルブユニット18に加圧状態で供給される。
そして、以後は、ダイアフラム33に加圧されてポンプ室35から吐出されるインクの吐出圧がインク流路16における第2の一方向弁29よりも下流側の各流路域に均衡する状態が維持される。その後において、記録ヘッド12からインクがターゲットに向けて噴射されると、そのインク噴射に伴うインクの消費量に相当する分量のインクがバルブユニット18を介してインク流路16内から記録ヘッド12側に供給される。そのため、この下流側(記録ヘッド12側)でのインク消費に伴い、その消費量に対応するインク量のインクが記録ヘッド12側となる下流側にコイルスプリング34の付勢力でポンプ室35の容積が減少する方向へ付勢されたダイアフラム33の押圧力に基づき加圧状態で供給される。なお、ポンプ室35内の加圧状態はコイルスプリング34の付勢力により発生しているため、ポンプ室35内を加圧するための装置を別途設けることなく加圧状態を維持することが可能となる。また、ポンプ31の駆動源として加圧発生装置及び負圧発生装置の機能を兼備した装置を適用した場合には、ポンプ室35内の加圧状態を維持するために複雑な制御構成が必要となるが、ポンプ31の駆動源としてコイルスプリング34を適用した場合にはポンプ室35内の加圧状態をより簡便に維持することが可能となる。
そして、インクが消費された結果、ポンプ室35内の容積は次第に減少し、遂にはダイアフラム33がポンプ室35の容積を最小にするようなポンプケース32の左側壁面に対する当接位置近傍まで変位する(図3)。この状態になると記録ヘッド12側へインクを供給できなくなるため、制御装置44は、大気開放弁42を閉弁動作した後に減圧ポンプ40を再び駆動することにより、減圧ポンプ40が負圧を発生して負圧室43が負圧状態となり、ダイアフラム33がコイルスプリング34の付勢力に抗して負圧室43側に弾性変形(変位)する。すなわち、再び、ポンプ31が吸引駆動を開始する。
その結果、ダイアフラム33がポンプ室35の容積を増加する方向に変位することによりポンプ室35内が負圧状態になるため、その負圧の作用で第2の一方向弁29を構成する弁体29aが開弁方向へ移動する。したがって、インクパック26内とインク流路16が第2の一方向弁29を介して連通状態となり、インクパック26内からインクが再びポンプ室35内に吸引される。以後、上記と同様のポンプ31の吐出駆動が実行されて、ポンプ室35内からインクがインク供給チューブ37を介して記録ヘッド12へと加圧供給される。
ところで、プリンタ11においては、ポンプ室35の上流側及び下流側に設けられた一方向弁29,38は、ポンプ31の吸引駆動と吐出駆動のサイクルと連動して開閉状態が繰り返し切り替わる。すなわち、ポンプ31の反復駆動に伴い、各一方向弁29,38は開閉動作を繰り返すことになり、こうした頻繁な開閉動作を行うことにより破損もしくは劣化を生じることがあり得る。そこで、プリンタ11内のインク流路16に介装された吐出用の第1の一方向弁38は、プリンタ11におけるインク供給の性能を長期間維持するために、ポンプ31の反復駆動に長期間に亘って耐え得る高度な耐久性を有する構成とされている。
その一方、ポンプ室35の上流側に配置される吸引用の第2の一方向弁29は、インクエンド状態となった場合などにはプリンタ11に対して着脱交換されるインクカートリッジ13内に設けられている。そのため、この吸引用の第2の一方向弁29は、インクカートリッジ13の着脱交換に伴って同時に交換されることになり、かかる一方向弁29には、一つのインクカートリッジ13の使用期間内においてプリンタ11が正常に動作するための耐久性を有していればよい。したがって、プリンタ11内のインク供給装置14側に第2の一方向弁29を設けるとした場合と比較して、かかる第2の一方向弁29に対して要求される耐久性の基準は緩和されることになり、第2の一方向弁29に対しては、より簡素な構成を適用することが可能となる。そして、かかる第2の一方向弁29については、インクカートリッジ13を着脱交換する度毎に新品状態に交換される構成となるため、プリンタ11のインク供給の性能の信頼性を高めることが可能となる。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ポンプ31がインクカートリッジ13側からポンプ室35内にインクを吸引する吸引駆動時には開弁状態となると共に、ポンプ31がポンプ室35内に吸引されたインクを下流側へ加圧供給する吐出駆動時には閉弁状態となる吸引用の第2の一方向弁29がインクカートリッジ13内に設けられている。そのため、例えばインクエンド状態となった場合などインクカートリッジ13が着脱交換される際には、吸引用の第2の一方向弁29も同時に交換されることになり、かかる吸引用の第2の一方向弁29にはインクカートリッジ13が交換される時点までの耐久性があればよい。換言すると、こうした吸引用の第2の一方向弁29については、これをインクカートリッジ13内に設ける構成とした場合、高度な耐久性を要しない簡単な構成でもインク供給システムの構成要素として必要十分な機能を発揮することができる。したがって、第2の一方向弁29に関しての設計の自由度を高めることができる。
(1)ポンプ31がインクカートリッジ13側からポンプ室35内にインクを吸引する吸引駆動時には開弁状態となると共に、ポンプ31がポンプ室35内に吸引されたインクを下流側へ加圧供給する吐出駆動時には閉弁状態となる吸引用の第2の一方向弁29がインクカートリッジ13内に設けられている。そのため、例えばインクエンド状態となった場合などインクカートリッジ13が着脱交換される際には、吸引用の第2の一方向弁29も同時に交換されることになり、かかる吸引用の第2の一方向弁29にはインクカートリッジ13が交換される時点までの耐久性があればよい。換言すると、こうした吸引用の第2の一方向弁29については、これをインクカートリッジ13内に設ける構成とした場合、高度な耐久性を要しない簡単な構成でもインク供給システムの構成要素として必要十分な機能を発揮することができる。したがって、第2の一方向弁29に関しての設計の自由度を高めることができる。
(2)インクカートリッジ13が接続されるインク供給装置14に形成されたインク流路16の上流側となる位置には、インク流路16を開閉可能な流路開閉バルブ36が配設されている。そのため、インクカートリッジ13をインク供給装置14から取り外した場合であっても、流路開閉バルブ36を閉弁することによりインク供給装置14におけるインク流路16の上流側の開口部(すなわち、インク供給針28)からインクが漏出することを抑制できる。
(3)インクカートリッジ13は、その内部に可撓性を有するインクパック26が収納され、そのインクパック26の内部(閉空間の液体収容部)にインクを収容している。したがって、液体(インク)を収容する閉空間の液体収容部が液体(インク)残量に応じて容積が変化する液体供給源(インクカートリッジ13)を簡単な構成で得ることができる。
(4)上記実施形態において、インクカートリッジ13は、インクパック26を収納するケース23内を大気に連通する大気連通孔30を有している。したがって、インクを収容するインクパック26に対して外部から一定の圧力を付与するインクカートリッジ13を簡単な構成で得ることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を図4に従って説明する。なお、この第2の実施形態は第1の実施形態との対比において次の点で構成が相違している。すなわち、本実施形態のプリンタ11に対して着脱交換されるインクカートリッジ13内には、第1の実施形態における第2の一方向弁29が設けられていない。そして、そのインクカートリッジ13内には、インク流路として機能する連通部25におけるインクパック26側のインク圧(液圧)とインク導出口24側のインク圧(液圧)との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁46が設けられ、吸引用の第2の一方向弁としての機能を兼備している。したがって、かかる吸引用の第2の一方向弁として機能する差圧弁46以外の第1の実施形態と同一構成の部材については同一符号を付すことにし、それらについての重複した説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態を図4に従って説明する。なお、この第2の実施形態は第1の実施形態との対比において次の点で構成が相違している。すなわち、本実施形態のプリンタ11に対して着脱交換されるインクカートリッジ13内には、第1の実施形態における第2の一方向弁29が設けられていない。そして、そのインクカートリッジ13内には、インク流路として機能する連通部25におけるインクパック26側のインク圧(液圧)とインク導出口24側のインク圧(液圧)との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁46が設けられ、吸引用の第2の一方向弁としての機能を兼備している。したがって、かかる吸引用の第2の一方向弁として機能する差圧弁46以外の第1の実施形態と同一構成の部材については同一符号を付すことにし、それらについての重複した説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態のプリンタ11に着脱交換されるインクカートリッジ13内において、インク貯留室45側からインク導出口24側にインクを流通させるインク流路として機能する連通部25の途中には、連通部25の他の部位よりも広い容積となる収納室47が拡大形成され、この収納室47内に差圧弁46は収納されている。また、収納室47におけるインク導出口24側となる右側壁面と左右方向で相対向する左側壁面の下端とケース23の底壁との間には隙間47aが確保形成されており、この隙間47aを通じて収納室47の内部はインク貯留室45と連通している。
また、収納室47には、その内部を左右に仕切るようにダイアフラム48が介装されている。そして、ダイアフラム48と収納室47の右側壁面とによって収納室47内には圧力調整室49が囲み形成されている。また、ダイアフラム48には、収納室47内でのダイアフラム48の変位方向となる左右方向に延びる筒部50がダイアフラム48の中央部を貫通するように設けられている。さらに、圧力調整室49内には、ダイアフラム48を収納室47の左側壁面に向けて付勢するコイルスプリング51が介装されている。そして、このコイルスプリング51の付勢力により、ダイアフラム48は、常には、収納室47の左側壁面に対して筒部50の左側開口を当接させて封止するように変位することで、連通部25の一部である収納室47の圧力調整室49とインク貯留室45とを非連通状態とするように構成されている。
そのため、本実施形態では、ポンプ31の吸引駆動時に、インクカートリッジ13内において収納室47の圧力調整室49が負圧状態になると、ダイアフラム48がコイルスプリング51の付勢力に抗して収納室47の右側壁面側に弾性変形(変位)し、筒部50を収納室47の左側壁面から離間させるように右方(開弁方向)へ変位する。その結果、連通部25の一部である収納室47の圧力調整室49とインク貯留室45とが連通状態となり、インク貯留室45内のインクが開弁した差圧弁46を介してプリンタ11側のポンプ室35内に吸引される。
一方、ポンプ31の吐出駆動時には、ポンプ室35から吐出されるインクの吐出圧がインク導出口24を介して圧力調整室49に作用し、コイルスプリング51の付勢力と協働してダイアフラム48を閉弁方向へ変位させる。その結果、インク貯留室45と圧力調整室49とが非連通状態となり、インク貯留室45からポンプ室35への差圧弁46を介したインクの吸入が停止されると共に、ポンプ31の吐出駆動に伴いポンプ室35から吐出されたインクが差圧弁46を介してインク貯留室45側に逆流することが規制される。
上記第2の実施形態のプリンタ11によれば、更に以下のような効果を得ることができる。
(5)ポンプ31の吸引駆動に伴い、インクカートリッジ13内に収容されたインクを外部へ導出する際には、インクカートリッジ13内においてインク流路として機能する連通部25の途中に介装された差圧弁46のダイアフラム48が圧力調整室49の負圧に基づき開弁方向へ変位して、上流側から下流側へのインクの通過を許容する。その一方、ポンプ31の吐出駆動時には、圧力調整室49の負圧が解消されるため、差圧弁46はダイアフラム48が閉弁方向へ変位して、下流側から上流側へのインクの逆流を規制する。すなわち、差圧弁46が、ポンプ31の吸引駆動時における吸引用の一方向弁(第1の実施形態における第2の一方向弁29)として兼用されている。そのため、この差圧弁46とは別部品構成の吸引用の一方向弁を更に組み付けることが不要となる。したがって、インクカートリッジ13を構成する部品点数を少なくして組み立て効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
(5)ポンプ31の吸引駆動に伴い、インクカートリッジ13内に収容されたインクを外部へ導出する際には、インクカートリッジ13内においてインク流路として機能する連通部25の途中に介装された差圧弁46のダイアフラム48が圧力調整室49の負圧に基づき開弁方向へ変位して、上流側から下流側へのインクの通過を許容する。その一方、ポンプ31の吐出駆動時には、圧力調整室49の負圧が解消されるため、差圧弁46はダイアフラム48が閉弁方向へ変位して、下流側から上流側へのインクの逆流を規制する。すなわち、差圧弁46が、ポンプ31の吸引駆動時における吸引用の一方向弁(第1の実施形態における第2の一方向弁29)として兼用されている。そのため、この差圧弁46とは別部品構成の吸引用の一方向弁を更に組み付けることが不要となる。したがって、インクカートリッジ13を構成する部品点数を少なくして組み立て効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を図5に従って説明する。なお、この第3の実施形態は第1の実施形態との対比において次の点で構成が相違している。すなわち、本実施形態のプリンタ11に対して着脱されるインクカートリッジ13内には、第1の実施形態における第2の一方向弁29が設けられていない。そして、そのインクカートリッジ13内には、インク流路として機能する連通部25におけるインク導出口24側となる下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁52が設けられ、吸引用の第2の一方向弁としての機能を兼備している。したがって、かかる吸引用の第2の一方向弁として機能する減圧弁52以外の第1の実施形態と同一構成の部材については同一の符号を付すことにし、それらについての重複した説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施形態を図5に従って説明する。なお、この第3の実施形態は第1の実施形態との対比において次の点で構成が相違している。すなわち、本実施形態のプリンタ11に対して着脱されるインクカートリッジ13内には、第1の実施形態における第2の一方向弁29が設けられていない。そして、そのインクカートリッジ13内には、インク流路として機能する連通部25におけるインク導出口24側となる下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁52が設けられ、吸引用の第2の一方向弁としての機能を兼備している。したがって、かかる吸引用の第2の一方向弁として機能する減圧弁52以外の第1の実施形態と同一構成の部材については同一の符号を付すことにし、それらについての重複した説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態のプリンタ11に着脱されるインクカートリッジ13内において、インク貯留室45側からインク導出口24側にインクを流通させるインク流路として機能する連通部25の途中には、連通部25の他の部位よりも広い容積となる収納室47が拡大形成され、この収納室47内に減圧弁52は収納されている。また、収納室47におけるインク導出口24側となる右側壁面(ケース23の右側壁の壁面でもある)と左右方向で相対向する左側壁面の下端とケース23の底壁との間には隙間47aが確保形成されており、この隙間47aを通じて収納室47の内部はインク貯留室45と連通している。
また、収納室47内には、その内部を左側のインク貯留室45に連通する連通室45aと右側の圧力調整室53とに仕切る仕切り壁54が上下方向に沿うように設けられている。さらに、圧力調整室53には、その内部を左右に仕切るようにダイアフラム55が介装されている。また、ダイアフラム55には、収納室47の右側壁面を構成するケース23の右側壁に貫通形成された大気連通孔56を介して右方から大気圧が作用するようになっている。
図5に示すように、ダイアフラム55における圧力調整室53側となる面には減圧弁52の弁体57が固定されている。この弁体57は、ダイアフラム55に固定される板状のベース部57aと、ベース部57aから仕切り壁54の中央部に形成された連通孔58に挿通するように延設された棒状のロッド部57bと、ロッド部57bの先端に形成された環状のシール部57cとを備えている。なお、シール部57cの径は、連通孔58の径よりも大きくなるように設計されている。また、弁体57のベース部57aと仕切り壁54との間にはコイルスプリング59が介装されており、弁体57は、常には、コイルスプリング59により付勢されてシール部57cが仕切り壁54に連通室45a側から密着することにより連通孔58を閉塞(封止)した状態(閉弁状態)になっている。
そのため、本実施形態では、ポンプ31の吸引駆動時に、インクカートリッジ13内において収納室47の圧力調整室53が負圧状態になると、ダイアフラム55がコイルスプリング59の付勢力に抗して仕切り壁54側に弾性変形(変位)し、弁体57をシール部57cが仕切り壁54から離間するように左方(開弁方向)へ変位させる。その結果、連通部25の一部である収納室47の圧力調整室53とインク貯留室45とが連通状態となり、インク貯留室45内のインクが開弁した減圧弁52を介してプリンタ11側のポンプ室35内に吸引される。
一方、ポンプ31の吐出駆動時には、ポンプ室35から吐出されるインクの吐出圧がインク導出口24を介して圧力調整室53に作用し、コイルスプリング59の付勢力と協働してダイアフラム55を閉弁方向に変位させる。その結果、インク貯留室45と圧力調整室53とが非連通状態となり、インク貯留室45からポンプ室35への減圧弁52を介したインクの流入が停止されると共に、ポンプ31の吐出駆動に伴いポンプ室35から吐出されたインクが減圧弁52を介してインク貯留室45側に逆流することが規制される。
上記第3の実施形態のプリンタ11によれば、更に以下のような効果を得ることができる。
(6)ポンプ31の吸引駆動に伴い、インクカートリッジ13内に収容されたインクを外部へ導出する際には、インクカートリッジ13内においてインク流路として機能する連通部25の途中に介装された減圧弁52のダイアフラム55が圧力調整室53の負圧に基づき開弁方向へ変位して、上流側から下流側へのインクの通過を許容する。その一方、ポンプ31の吐出駆動時には、圧力調整室53の負圧が解消されるため、減圧弁52はダイアフラム55が閉弁方向へ変位して、下流側から上流側へのインクの逆流を規制する。すなわち、減圧弁52が、ポンプ31の吸引駆動時における吸引用の一方向弁(第1の実施形態における第2の一方向弁29)として兼用されている。そのため、この減圧弁52とは別部品構成の吸引用の一方向弁を更に組み付けることが不要となる。したがって、インクカートリッジ13を構成する部品点数を少なくして組み立て効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
(6)ポンプ31の吸引駆動に伴い、インクカートリッジ13内に収容されたインクを外部へ導出する際には、インクカートリッジ13内においてインク流路として機能する連通部25の途中に介装された減圧弁52のダイアフラム55が圧力調整室53の負圧に基づき開弁方向へ変位して、上流側から下流側へのインクの通過を許容する。その一方、ポンプ31の吐出駆動時には、圧力調整室53の負圧が解消されるため、減圧弁52はダイアフラム55が閉弁方向へ変位して、下流側から上流側へのインクの逆流を規制する。すなわち、減圧弁52が、ポンプ31の吸引駆動時における吸引用の一方向弁(第1の実施形態における第2の一方向弁29)として兼用されている。そのため、この減圧弁52とは別部品構成の吸引用の一方向弁を更に組み付けることが不要となる。したがって、インクカートリッジ13を構成する部品点数を少なくして組み立て効率の向上及び生産コストの低減を図ることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1〜第3の各実施形態において、流路開閉バルブ36は、インクカートリッジ13をインク供給装置14から取り外した場合にインク供給針28からインクが漏出することを抑制できる構成であれば、各実施形態以外の他の弁構造を有するバルブであってもよい。例えば、インク供給針28からインクが漏出する方向(すなわち、インク流路16の下流側から上流側に向かう方向)へのインクの流れは抑制する一方、インク供給針28からポンプ室35側(すなわち、インク流路16の上流側から下流側に向かう方向)へのインクの流れは許容する一方向弁により流路開閉バルブ36を構成してもよい。
・上記第1〜第3の各実施形態において、流路開閉バルブ36は、インクカートリッジ13をインク供給装置14から取り外した場合にインク供給針28からインクが漏出することを抑制できる構成であれば、各実施形態以外の他の弁構造を有するバルブであってもよい。例えば、インク供給針28からインクが漏出する方向(すなわち、インク流路16の下流側から上流側に向かう方向)へのインクの流れは抑制する一方、インク供給針28からポンプ室35側(すなわち、インク流路16の上流側から下流側に向かう方向)へのインクの流れは許容する一方向弁により流路開閉バルブ36を構成してもよい。
・上記第1の実施形態において、液体供給源として、液体収容部がケース23内にインク(液体)を貯留可能に区画形成されたインク貯留室であって且つそのインク貯留室がケース23に貫通形成された大気開放孔を介して大気と連通した開放系のインクカートリッジ13(第2及び第3実施形態のインクカートリッジ13)を適用してもよい。
・上記第1の実施形態においてケース23に大気連通孔30が形成されているが、ケース23とインクパック26との間が大気状態となれば連通孔が無くても良い。
・上記第2の実施形態及び第3の実施形態において、液体供給源として、液体収容部が閉空間をなす密閉系のインクカートリッジ13(第1実施形態のインクカートリッジ13)を適用してもよい。
・上記第2の実施形態及び第3の実施形態において、液体供給源として、液体収容部が閉空間をなす密閉系のインクカートリッジ13(第1実施形態のインクカートリッジ13)を適用してもよい。
・上記第2の実施形態及び第3の実施形態において、インクカートリッジ13内の連通部25において圧力調整室49,53とインク導出口24との間の途中となる位置に、差圧弁46もしくは減圧弁52とは別部品構成の第2の一方向弁29を更に配置してもよい。この構成によれば、第2の一方向弁29がインク供給装置14のインク流路16からインク導出口24を通じてインクカートリッジ13内にインクが逆流することを規制することにより、インク流路16内のインク圧の変化がインク導出口24を通じて差圧弁46もしくは減圧弁52の特性に対して干渉することを抑制できる。
・なお、本明細書における「液体」には、インク以外の他の液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体も含むものとする。そして、こうした「液体」を噴射したり吐出したりする液体噴射装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。
13…液体供給源としてのインクカートリッジ、15…液体供給システムとしてのインク供給システム、16…液体供給流路としてのインク流路、24…液体導出部としてのインク導出口、26…液体収容部を構成する液体収容袋としてのインクパック、29…吸引用の第2の一方向弁、30…大気連通孔、31…ポンプ、35…ポンプ室、36…流路開閉バルブ、38…吐出用の第1の一方向弁、45…液体収容部としてのインク貯留部、46…差圧弁、52…減圧弁、56…大気連通孔。
Claims (8)
- 内部に液体を収容する液体収容部及び液体を外部に導出するための液体導出部を有した液体供給源と、
該液体供給源側となる上流側から液体が消費される下流側に向けて液体を供給する液体供給流路と、
該液体供給流路の一部をポンプ室としてポンプ駆動するポンプと、
前記液体供給流路における前記ポンプ室よりも下流側となる位置に設けられ、上流側から下流側への液体の通過のみを許容する第1の一方向弁と、
前記液体供給源内に設けられ、前記液体収容部側となる上流側から前記液体導出部側となる下流側への液体の通過のみを許容する第2の一方向弁と
を備えたことを特徴とする液体供給システム。 - 請求項1に記載の液体供給システムにおいて、
前記液体供給源内の前記液体収容部と前記液体導出部との間には、前記液体供給源内における前記液体収容部側の液圧と前記液体導出部側の液圧との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁、又は、前記液体供給源内における前記液体導出部側に下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁が設けられ、
前記第2の一方向弁は、前記差圧弁、又は、前記減圧弁が兼用されていることを特徴とする液体供給システム。 - 請求項1に記載の液体供給システムにおいて、
前記液体供給源内の前記液体収容部と前記液体導出部との間には、前記液体供給源内における前記液体収容部側の液圧と前記液体導出部側の液圧との差圧に基づいて開閉状態が切り替わる差圧弁、又は、前記液体供給源内における前記液体導出部側に下流側から作用する負圧に基づいて開閉状態が切り替わる減圧弁が設けられ、
前記第2の一方向弁は、前記液体供給源内の前記液体導出部と前記差圧弁との間、又は、前記液体供給源内の前記液体導出部と前記減圧弁との間に設けられたことを特徴とする液体供給システム。 - 請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体供給システムにおいて、
前記液体供給流路における前記ポンプ室と前記液体供給源の前記液体導出部との間には、該液体供給流路を開閉可能な流路開閉バルブが設けられていることを特徴とする液体供給システム。 - 請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体供給システムにおいて、
前記液体供給源は、可撓性を有する液体収容袋であり、該液体収容袋の閉空間の内部が前記液体収容部とされていることを特徴とする液体供給システム。 - 請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体供給システムにおいて、
前記液体供給源は、前記液体収容部を大気に連通する大気連通孔を有していることを特徴とする液体供給システム。 - 内部に液体を収容する液体収容部及び液体を外部に導出するための液体導出部を有し、該液体導出部が請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の液体供給システムにおける液体供給流路の上流側に接続されることを特徴とする液体供給源。
- 液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドに液体を供給する請求項1〜6のうち何れか一項に記載の液体供給システムとを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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