JP2009190083A - 真空ダイカスト鋳造法および真空ダイカスト鋳造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チップ潤滑剤の蒸発を招くことなく金型内から水分を簡単かつ確実に蒸発除去できるようにする。
【解決手段】金型1のキャビティ2内を真空吸引装置4により真空吸引しつつ、射出スリーブ14内のプランジャチップ15の前進により溶湯Mをキャビティ2に射出する真空ダイカスト鋳造において、金型1の表面温度を検出する型温度センサ20とプランジャチップ15の表面温度を検出するチップ温度センサ21とを設ける。キャビティ2への溶湯Mの射出前に、前記温度センサ20、21の検出信号をコントローラ5に取込んで、金型温度と水の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の上限を、チップ温度とこれに塗布した潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限をそれぞれ決定し、前記上・下限の真空度範囲に収まるように前記キャビティ2内を減圧して、チップ潤滑剤の蒸発を抑えつつ、型内に残留する水分を蒸発させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型のキャビティ内を真空吸引しつつ該キャビティに溶湯を射出する真空ダイカスト鋳造法および真空ダイカスト鋳造装置に関する。
ダイカスト鋳造プロセスにおいては、通常、鋳造の1ショットごとに外冷水(冷却水)による金型の強制冷却を行っている。この場合、金型に冷却水が付着することになるが、その多くは、金型がもつ保有熱又は温風吹付けによって容易に蒸発する。しかるに、金型には、主型と入子との合せ部や押出ピンの挿入部に隙間が存在することに加え、複雑形状の金型の場合は成形面に多くの狭隘部が存在し、これら隙間や狭隘部に浸入した水分は、蒸発せずにそのまま型内に残留することが多い。そして、型内に残留した水分は溶湯の熱で蒸発して溶湯中にガスとして巻き込まれ、鋳巣を発生させる原因となる。また、ダイカスト鋳造プロセスにおいては、通常、鋳造の1ショットごとに金型表面に離型剤を塗布するが、この離型剤が前記した隙間や狭隘部に浸入した場合にも、離型剤に含まれる水分が残留し、同様に鋳巣発生の原因になる。
ところで、真空ダイカスト鋳造においては、キャビティ内の真空吸引によって残留水の蒸発が進むが、上記した隙間や狭隘部の残留水を十分に蒸発除去させるには、キャビティ内を高真空まで減圧(真空吸引)する必要がある。しかし、キャビティ内を減圧しすぎると、プランジャチップに塗布していた潤滑剤(チップ潤滑剤)の成分も蒸発してしまい、プランジャチップの摺動性が低下してかじりが発生する危険がある。また、離型剤によっては、溶湯と接触する前に蒸発してしまうのを避けたいものがあるが、前記したようにキャビティ内を減圧しすぎると、離型剤の成分も蒸発してしまい、この場合は、離型剤の効果が失われることになる。
なお、金型の隙間内に浸入した離型剤中に含まれる水分の蒸発を促進するため、たとえば、特許文献1に記載のものでは、該隙間内に事前に熱風を吹き込む対策を採用し、また、特許文献2に記載のものでは、該隙間内を選択的に真空吸引する対策を採用している。しかし、前者の場合は、別途熱風吹き込み工程が必要なため、鋳造のサイクルタイムが延長し、また後者の場合は、金型に真空吸引のための通路を多数設けなければならないため、型構造が複雑となる。さらに、両者共に、成形面の狭隘部における残留水の蒸発除去には効果がなく、十分なる対策とはならない。
特開2002−239703号公報 特開2003−191059号公報
本発明は、上記した従来の技術的背景に鑑みてなされたもので、その第1の課題とするところは、チップ潤滑剤の蒸発を招くことなく金型内から水分を簡単かつ確実に蒸発除去できる真空ダイカスト鋳造法および装置を提供することにある。また、第2の課題とするところは、前記第1の課題に加え、離型剤の蒸発をも抑えることができる真空ダイカスト鋳造法および装置を提供することにある。
上記第1、第2の課題を解決するための本発明に係る真空ダイカスト鋳造法、装置は、キャビティに対する溶湯の射出前の金型の表面温度およびプランジャチップの表面温度に基いて、型内に残留する水分は蒸発するが、チップ潤滑剤またはチップ潤滑剤と離型剤との双方が蒸発しない条件を満足する真空度の制御範囲を決定し、該制御範囲の真空度となるようにキャビティ内を減圧することを特徴とする。
以下に、上記課題を解決するための本発明の態様をいくつか例示し、それらについて項分けして説明する。
(1)金型のキャビティ内を所定の真空度となるように真空吸引しつつ、プランジャチップの前進により射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティに射出する真空ダイカスト鋳造法において、前記キャビティに対する溶湯の射出前に、前記金型の表面温度と前記プランジャチップの表面温度とを検出し、前記金型の表面温度と水の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の上限を、前記プランジャチップの表面温度と該プランジャチップに塗布した潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限をそれぞれ決定し、前記上・下限の真空度範囲に収まるように前記キャビティ内を真空吸引することを特徴とする真空ダイカスト鋳造法。
本(1)項記載の真空ダイカスト鋳造法においては、金型の表面温度と水の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の上限を、前記プランジャチップの表面温度とチップ潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限をそれぞれ決定するので、水の蒸発が促進される一方で、チップ潤滑剤の蒸発は抑えられ、上記した第1の課題を解決できる。
(2)前記プランジャチップの表面温度に対応する潤滑剤の蒸発真空度が、前記金型の温度に対応する水の蒸発真空度と同程度かそれより高い場合には、前記プランジャチップの冷却を強化してその温度を下げ、この下げた温度と潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限を決定することを特徴とする(1)項に記載の真空ダイカスト鋳造法。
本(2)項記載の真空ダイカスト鋳造法においては、金型の表面温度に対してプランジャチップの表面温度が高くなりすぎて、チップ潤滑剤の蒸発真空度が水の蒸発真空度と同程度かそれより高くなる場合には、一旦プランジャチップの温度を下げて目標真空度の下限を決定し直すので、真空度の制御範囲が狭くなりすぎることはなく、上記した第1の課題を発展的に解決できる。
(3)金型の表面温度に対応する離型剤の蒸発真空度が、前記上下限の真空度範囲内に収まっている場合は、該離型剤の蒸発真空度を目標真空度の下限とすることを特徴とする(1)または(2)項に記載の真空ダイカスト鋳造法。
本(3)項記載の真空ダイカスト鋳造法においては、プランジャチップの表面温度とチップ潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて決定した目標真空度の下限が離型剤の蒸発真空度より低い場合に、該離型剤の蒸発真空度を下限とすることで、該離型剤の蒸発も抑えられ、上記した第2の課題を解決できる。
(4)金型と、該金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置と、前記キャビティ内を所定の真空度となるように真空吸引する真空吸引手段とを備えた真空ダイカスト鋳造装置において、前記金型の表面温度を検出する型温度センサと、前記プランジャチップの表面温度を検出するチップ温度センサと、前記型温度センサおよび前記チップ温度センサの検出結果に基いて目標真空度の上・下限を決定し、前記上・下限の真空度範囲に収まるように前記真空吸引手段を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする真空ダイカスト鋳造装置。
本(4)項記載の真空ダイカスト鋳造装置においては、金型の表面温度を検出する型温度センサと、前記プランジャチップの表面温度を検出するチップ温度センサとを追加設置するだけの簡単な対応で、上記した各項の真空ダイカスト鋳造法を実施できる。
本発明に係る真空ダイカスト鋳造法および装置によれば、真空度の制御方式を変更するだけの簡単な対策で、チップ潤滑剤を蒸発させずに金型内から水分のみを蒸発除去できる。また、状況によりチップ潤滑剤に加えて離型剤の蒸発をも抑えることができ、その利用価値は大なるものがある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて説明する。
図1は、本発明の一つの実施形態としての真空ダイカスト鋳造装置を示したもので、金型1と、金型1のキャビティ2に溶湯Mを射出するための射出装置3と、前記キャビティ2内を真空吸引するための真空吸引装置(真空吸引手段)4と、真空吸引装置4を制御するコントローラ(制御手段)5とから概略構成されている。
上記金型1は、固定型10と可動型11とからなっており、固定型10に対して可動型11を合せた状態すなわち型締め状態で、両者の間には前記キャビティ2が画成される。また、この型締め状態において、固定型10と可動型11との間には、キャビティ2に開口するゲート12と、このゲート12を、固定型11に接続された前記射出装置3に連通させるランナー13とが画成される。
上記射出装置3は、前記ランナー13に連通して固定型10の背面に結合された射出スリーブ14と、この射出スリーブ14内に摺動可能に配設されたプランジャチップ15とを備えている。プランジャチップ15は、図示を略すプランジャ駆動手段とロッド16により連結されており、該プランジャ駆動手段の作動に応じて射出スリーブ14内を金型1側へ進退動する。射出スリーブ14の後端側上部には、溶湯Mを受けるための給湯口14aが設けられており、該給湯口14aから射出スリーブ14内に所定量の溶湯Mを供給した後、プランジャチップ15を前進させることで、射出スリーブ14内から前記ランナー13およびゲート12を経てキャビティ2内に溶湯Mが射出(加圧充填)される。
上記プランジャチップ15の表面(外周面)には、射出スリーブ14の内面との摺動を円滑にするための潤滑剤(チップ潤滑剤)が塗布されている。潤滑剤の成分としては、たとえば酸化ポリエチレン、植物油系ワックス、アルカミド、シリコンワックス等の一種または複数種が選択される。なお、図示しないが、プランジャチップ15の内部には冷却水が循環する冷却経路が設けられており、プランジャチップ15は内部から強制冷却されるようになっている。
上記真空吸引装置4には真空ポンプや真空タンク(図示略)等が内蔵されており、その真空タンクと前記金型1内のキャビティ2とは配管17により接続されている。配管17の途中には減圧弁18が介装されており、該減圧弁18の開放に応じて真空吸引装置4からキャビティ2へ負圧が供給される。真空吸引装置4の真空タンクに蓄える負圧および減圧弁18の開閉は前記コントローラ5によって制御されるようになっており、その制御に応じて、真空吸引装置4からキャビティ2に対して所定のタイミングで所定の負圧が要求される。
上記金型1を構成する可動型11には、キャビティ2を画成する成形面(金型表面)の温度を検出する型温度センサ(熱電対)20が埋設されると共に、上記プランジャチップ15には、その外周面(表面)の温度を検出するチップ温度センサ(熱電対)21が埋設されている。型温度センサ20は、ここでは水分(冷却水)が残留しやすい狭隘部であって、特に水分の残留を防止したい箇所に臨む部位に設置されている。これらセンサ20、21の信号は信号線22、23を介して前記コントローラ5へ送出されるようになっている。コントローラ5は、前記センサ20、21からの検出信号に基き、後述の手法に従って、型内に残留する水は蒸発するが、チップ潤滑剤が蒸発しない条件を満足する真空度の制御範囲を決定し、キャビティ2内が前記制御範囲の真空度となるように真空吸引装置4の真空タンク内の負圧(真空度)を制御する。
上記した真空ダイカスト鋳造装置により鋳造を行うには、前回の鋳造品を金型1から払い出した後、型開き状態で、固定型10および可動型11に冷却水を吹付けて金型1の冷却を行う。そして、金型1が所定の温度(一例として、50℃程度)まで下がったら、先ず、図2(A)に示されるように、スプレーノズル24を用いて金型1の成形面に離型剤を吹付け、続いて、同図(B)に示されるように、固定型10に対して可動型11を閉じて型締めする。このとき、射出スリーブ14内のプランジャチップ15は後退位置にあり、一方、真空吸引装置4側の減圧弁18は閉じた状態にあり、この状態のもと、ラドル25から給湯口14aを通じて射出スリーブ14内に所定量の溶湯Mが供給される。次に、図示を略すプランジャ駆動手段が作動してロッド16が直線移動し、同図(C)に示されるように、プランジャチップ15が前進する。
上記プランジャチップ15は、給湯口14aを越えた位置まで前進したタイミング{図2(C)の状態}で一旦停止される。この間、型温度センサ20により金型1(ここでは、可動型11)の表面温度が、チップ温度センサ21によりプランジャチップ15の表面温度がそれぞれ検出されており、それらの検出信号がコントローラ5へ連続して送出されている。コントローラ5は、前記プランジャチップ15が停止するタイミングで、各センサ20、21から取込んだ検出信号に基いて、上記したように型内に残留する水は蒸発するが、チップ潤滑剤が蒸発しない条件を満足する真空度の制御範囲を決定し、金型1のキャビティ2内が前記制御範囲の真空度となるように真空吸引装置4を制御すると共に、減圧弁18を開弁させる。これにより、キャビティ2内は前記制御範囲の真空度に減圧され、金型1の隙間や成形面の狭隘部に残留していた水が蒸発除去され、一方、プランジャチップ15の表面の潤滑剤は、蒸発することなくそのまま付着状態を維持する。
上記したプランジャチップ15の停止時間はわずかであり、この停止時間経過後、真空吸引装置4による真空吸引が継続されたまま、プランジャチップ15が再び前進し、これにより射出スリーブ14内の溶湯Mが金型1のキャビティ2内に加圧充填される。キャビティ2内に充填された溶湯Mは、そのまま暫時放置することで冷却固化し、その後、型開き、鋳造品の離型を行うことで鋳造の1サイクルは終了する。しかして、型内に残留していた水分は、上記したキャビティ2内の事前の減圧で十分に蒸発除去されているので、水分の気化ガスが溶湯中に巻き込まれることはなく、鋳巣等のない健全な鋳造品が得られるようになる。また、キャビティ2内を事前に減圧しても、プランジャチップ15に塗布された潤滑剤が蒸発することがないので、プランジャチップ15の摺動性は良好に維持され、射出スリーブ14との間にかじりが発生することもなくなって、鋳造は安定する。なお、ここでは、プランジャチップ15を一旦停止させて真空吸引を行うようにしたが、プランジャチップ15を低速で前進させる場合は、その前進を継続したまま(停止させないで)真空吸引することも可能である。
ここで、上記コントローラ5による制御内容を具体的に説明すると、以下のとおりとなっている。
図3は、水、離型剤およびチップ潤滑剤の蒸発真空度と温度との相関を示したものである。この相関において、前記型温度センサ20により検出した金型1の表面温度をT(一例として、50℃程度)、チップ温度センサ21により検出したプランジャチップ15の表面温度をT(一例として、53℃程度)とすると、型内に残留する水分を蒸発させるには、キャビティ2内の真空度を金型温度Tに対応する水の蒸発真空度P以下とする必要がある。一方、潤滑剤の蒸発を防止するには、キャビティ2内の真空度をチップ温度Tに対応する潤滑剤の蒸発真空度P以上とする必要がある。本実施形態においては、これらの点に着目し、前記金型温度Tに対応する水の蒸発真空度Pを目標真空度の上限、前記チップ温度Tに対応する潤滑剤の蒸発真空度Pを目標真空度の下限として、この範囲(図3に斜線を付して示す)に収まるように前記キャビティ2内を真空吸引する。
ところで、金型1の表面温度Tに対してプランジャチップの表面温度Tが上がりすぎると(たとえば、57℃程度)、図4に示すように、チップ温度Tに対応する潤滑剤の蒸発真空度Pが、金型温度Tに対応する水の蒸発真空度Pと同等になるかそれより大きくなり、制御範囲がきわめて狭くなる。本実施形態においては、このような場合は、たとえばプランジャチップ15に対する冷却水の供給量を増加させて、プランジャチップ15の表面温度をT´(たとえば、52℃程度)まで下げる操作を行う。このような操作を行うことで、チップ温度T´に対応する潤滑剤の蒸発真空度はP´まで低下し、したがってこのP´を目標真空度の下限とすれば、制御範囲(図3に斜線を付して示す)は十分に広くなり、その分、制御は容易となる。
図5は、上記した一連の制御内容をフロー図として示したもので、ステップS1で、金型温度Tおよびチップ温度Tを取込んだら、ステップS2において、上記図3に示した相関図に基いて金型温度Tに対応する水の蒸発真空度Pとチップ温度Tに対応する潤滑剤の蒸発真空度Pとを求める。そして、次のステップS3でPとPとを比較し、P1がP3より大(P>P)であれば、処理をステップS4に移して、Pを目標真空度の上限Pmax、Pを目標真空度の下限Pminとする。一方、前記ステップS3で、PがP以下(P≦P)であれば、処理をステップS5に移し、チップ温度をTからT´に下げる処理を行い、次ぎのステップS6で、新たなチップ温度T´に対応する潤滑剤の蒸発真空度P´を求める。そして、次のステップS7でPとP´とを比較し、PがP´より大(P>P´)であれば、処理をステップS8に移して、水の蒸発真空度Pを目標真空度の上限Pmax、温度変更後の潤滑剤の蒸発真空度P´を目標真空度の下限Pminとする。
ここで、上記のように決定した制御範囲(Pmax〜Pmin)が十分に広く、かつこの制御範囲の間に離型剤の蒸発真空度P2(図4参照)が収まっている場合は、該離型剤の蒸発真空度Pを目標真空度の下限とすることができる。この場合は、チップ潤滑剤の蒸発が抑えられることに加え、離型剤の蒸発も抑えられるので、鋳造はより安定する。
図6は、この場合の制御フローを示したもので、同図には、図6に示したステップと同じステップには同一符号を付している。ここでは、ステップS3で、金型温度TKに対応する水の蒸発真空度Pがチップ温度TCに対応する潤滑剤の蒸発真空度P3より大(P1>P3)であれば、次のステップS11で、金型温度TKに対応する離型剤の蒸発真空度P2と前記P3とを比較する。そして、PがPより小(P<P)であれば、上記したと同様に処理をステップS4に移して、Pを目標真空度の上限Pmax、Pを目標真空度の下限Pminとする。
一方、ステップS11で、PがP以上(P≧P)であれば、処理をステップS12に移し、水の蒸発真空度P1を目標真空度の上限Pmax、離型剤の蒸発真空度Pを目標真空度の下限Pminとする。また、ステップS3で、PがP以下(P≦P)であれば、上記したと同様に処理をステップS5、S6、S7に順に移し、温度変更後の潤滑剤の蒸発真空度P´とPとを比較し、PがP´より大(P>P´)であれば、処理をステップS8に移して、水の蒸発真空度Pを目標真空度の上限Pmax、温度変更後の潤滑剤の蒸発真空度P´を目標真空度の下限Pminとする。一方、ステップS13で、P2がP´以上(P≧P´)であれば、処理を前記ステップS12に移して、水の蒸発真空度Pを目標真空度の上限Pmax、離型剤の蒸発真空度Pを目標真空度の下限Pminとする。
本発明に係る真空ダイカスト鋳造装置の1つの実施形態を一部断面として示す模式図である。 本真空ダイカスト鋳造法の実施状況を順を追って示す断面図である。 本真空ダイカスト鋳造法における真空度の制御範囲の決定要領を説明するグラフである。 本真空ダイカスト鋳造法における真空度の制御範囲の、他の決定要領を説明するグラフである。 本真空ダイカスト鋳造法における1つの制御フローを示すフローチャートである。 本真空ダイカスト鋳造法における他の制御フローを示すフローチャートである。
符号の説明
1 金型
2 キャビティ
3 射出装置
4 真空吸引装置(真空吸引手段)
5 コントローラ(制御手段)
14 射出スリーブ
15 プランジャチップ
18 減圧弁
20 型温度センサ
21 チップ温度センサ
M 溶湯

Claims (4)

  1. 金型のキャビティ内を所定の真空度となるように真空吸引しつつ、プランジャチップの前進により射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティに射出する真空ダイカスト鋳造法において、前記キャビティに対する溶湯の射出前に、前記金型の表面温度と前記プランジャチップの表面温度とを検出し、前記金型の表面温度と水の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の上限を、前記プランジャチップの表面温度と該プランジャチップに塗布した潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限をそれぞれ決定し、前記上・下限の真空度範囲に収まるように前記キャビティ内を真空吸引することを特徴とする真空ダイカスト鋳造法。
  2. 前記プランジャチップの表面温度に対応する潤滑剤の蒸発真空度が、前記金型の温度に対応する水の蒸発真空度と同程度かそれより高い場合には、前記プランジャチップの冷却を強化してその温度を下げ、この下げた温度と潤滑剤の蒸発真空度との相関に基いて目標真空度の下限を決定することを特徴とする請求項1に記載の真空ダイカスト鋳造法。
  3. 金型の表面温度に対応する離型剤の蒸発真空度が、前記上・下限の真空度範囲内に収まっている場合は、該離型剤の蒸発真空度を目標真空度の下限とすることを特徴とする請求項1または2に記載の真空ダイカスト鋳造法。
  4. 金型と、該金型のキャビティに溶湯を射出する射出装置と、前記キャビティ内を所定の真空度となるように真空吸引する真空吸引手段とを備えた真空ダイカスト鋳造装置において、前記金型の表面温度を検出する型温度センサと、前記プランジャチップの表面温度を検出するチップ温度センサと、前記型温度センサおよび前記チップ温度センサの検出結果に基いて目標真空度の上・下限を決定し、前記上・下限の真空度範囲に収まるように前記真空吸引手段を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする真空ダイカスト鋳造装置。
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