JP2009187885A - 電池パック及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池パックは、電池素子をフィルム状の電池素子外装部材で包装して成る非水電解質二次電池と、上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、上記非水電解質二次電池及び上記保護回路基板を外装する電池外装部材と、を備え、上記電池外装部材が、形状維持ポリマーと難燃剤とを含有し、上記電池外装部材の示差走査熱量測定によるガラス転移点が、45℃以上130℃以下である。
【選択図】なし
Description
それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池パック、特に高いエネルギー密度を実現できるリチウムイオン二次電池を用いた電池パックについて、小型、軽量化の開発が活発に進められている。
図1は、本発明の電池パックの一実施形態を示す平面説明図(A)、縦断面説明図(B)及び横断面説明図(C)である。
同図に示すように、電池パック1は、電池素子をフィルム状の電池素子外装部材で包装して成る非水電解質二次電池10と、非水電解質二次電池10の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板20と、非水電解質二次電池10及び保護回路基板20を外装する電池外装部材30とを備える。
図2は、図1に示す非水電解質二次電池を説明する分解斜視図である。
同図に示すように、この非水電解質二次電池10は、電池素子11がフィルム状の電池素子外装部材12に包装されて作製されるものであり、電池素子11は電池素子外装部材12に形成された凹部12a(空所12a)に収容され、その周辺部を封止される。
なお、本実施形態において、空所12aは、矩形板状をなす電池素子11の形状に対応して矩形板状の空間を有している。
同図に示すように、この電池素子11は、帯状の正極111と、セパレータ113aと、正極111と対向して配された帯状の負極112と、セパレータ113bとを順に積層し、長手方向に巻回して形成されており、正極111及び負極112の両面にはゲル状非水電解質層114が形成されている。
[正極]
正極は、正極活物質を含有する正極活物質層が正極集電体の両面上に形成されたものである。正極集電体は、例えばアルミニウム(Al)箔などの金属箔により構成される。
正極活物質層は、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成される。ここで、正極活物質、導電剤、及び結着剤は、均一に分散していればよく、その混合比は問われない。
LixMO2…(1)
(式中のMは少なくとも1種の遷移金属を示し、xは電池の充放電状態によって異なるが、通常は0.05〜1.10である。)で表されるリチウムと遷移金属との複合酸化物を用いることができる。なお、リチウム複合酸化物を構成する遷移金属(M)としては、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)などを挙げることができる。
また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。LiNi0.5Co0.5O2やLiNi0.8Co0.2O2等がその例として挙げられる。
これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。更に、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを有しない金属硫化物又は酸化物を使用してもよい。これらの正極活物質は、単独で又は複数種を混合して用いてもよい。
負極は、負極活物質を含有する負極活物質層が、負極集電体の両面上に形成されたものである。負極集電体は、例えば銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
具体的にリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としては、グラファイト、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等がある。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである。)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。
更に、リチウムをドープ・脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。
また、正極端子115a及び負極端子115bの接続箇所は、電気的接触がとれているのであれば取り付ける場所、取り付ける方法は上記の例に限られない。
非水電解質としては、リチウムイオン二次電池に一般的に使用される電解質塩と非水溶媒が使用可能である。
リチウム塩を溶解する濃度は、上記非水溶媒に溶解することができる濃度であれば問題はないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg〜2.0mol/kgの範囲であることが好ましい。
マトリクスポリマは、上記非水溶媒に上記電解質塩が溶解されてなる非水電解液に相溶可能であり、ゲル化できるものであればよい。このようなマトリクスポリマとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、及びポリメタクリロニトリルを繰り返し単位に含むポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
かかるポリマーは、通常、数平均分子量が5.0×105〜7.0×105(50万〜70万)の範囲であるか、又は重量平均分子量が2.1×105〜3.1×105(21万〜31万)の範囲にあり、固有粘度が1.7〜2.1dl/gの範囲にある。
セパレータは、例えばポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系の材料から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜により構成され、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンの多孔質フィルムが最も有効である。
上述のようにして作製したゲル状の非水電解質を正極111及び負極112に均一に塗布し、正極活物質層及び負極活物質層に含浸させた後、常温で保存するか、若しくは乾燥工程を経てゲル状非水電解質層114を形成する。
次いで、ゲル状非水電解質層114を形成した正極111及び負極112を用い、正極111、セパレータ113a、負極112,セパレータ113bの順に積層して巻回し、電池素子11とする。
次いで、この電池素子11を電池素子外装部材12の凹部(空所)12aに収容して包装し、非水電解質二次電池10を得る。
かかるアルミニウムラミネートフィルムとしては、絞り加工に適し、電池素子11を収容する凹部12aを形成するのに適したものがよい。
上記電池外装部材は、形状維持ポリマーと難燃剤とを含有し、当該電池外装部材の示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)によるガラス転移点が45℃以上130℃以下、好ましくは75℃以上110℃以下である。
電池外装部材は、平常時には、優れた耐衝撃性及び機械的強度を有するものであり、一方、異常時には、電池から発生するガスを容易に外部に放出できるように、壊れ易くなるものであることを要する。
この条件を満たすために、電池外装部材は、そのガラス転移点が、電池パックを平常使用する温度以上であり、且つ異常時における温度以下のものであることを要する。
電池外装部材のガラス転移点が、電池パックを平常使用する温度以上であると、電池外装部材を構成する高分子の熱運動が抑制されており、電池外装部材は硬いままであり、優れた機械的強度を発現することができる。
一方、電池外装部材のガラス転移点が、異常時における温度以下であると、電池外装部材を構成する鎖状高分子の熱運動の部分が激しくなって柔軟性を発現し、電池外装部材が破壊され易くなる。
このような硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて成形型枠内に流し込んでから硬化するまでの時間が長く、流動性に優れるため、成形型枠内の狭い周囲空間に充填することが可能となる。そのため、上記の樹脂を電池外装部材として用いることにより、電池外装部材の厚さを熱可塑性樹脂の場合と比較して薄くし(例えば、熱可塑性樹脂を用いた場合は、数百μmの厚さになるのに対して、硬化性樹脂を用いた場合は数十μm〜数μmの厚さになる。)、小型・軽量化することができる。また、上記の硬化性樹脂を電池外装部材として用いることにより、金属板よりも薄く生産性に優れた加工を施すことができる。
従って、上記硬化性樹脂を電池外装部材として用いることにより、電池パックの体積エネルギー密度を向上させることができ、電池パックの形成が容易であり、寸法精度が高くなって歩留まりを向上させ、多種多様な用途に応じてサイズや形状の設計自由度を高めることができる。
上記三価のリン化合物としては、例えばトリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記五価の有機リン酸エステルとしては、例えばトリイソブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、テトラエチルメチレンホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記化合物としては、例えば臭素化ジフェニルアルカン、エチレンビス臭素化フタルイミド、臭素化ジフェニルエーテル、臭素化フェニルベンジルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記臭素化ジフェニルアルカンとしては、例えばトリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、ブロモフェノキシビス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、ビス(ジブロモフェノキシ)トリブロモフェノキシトリアジン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化トリメチルフェニルインダン、デカブロモジフェニルメタン、ノナブロモジフェニルメタン、デカブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタンなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記エチレンビス臭素化フタルイミドとしては、例えばエチレンビステトラブロモフタルイミドなどを挙げることができる。
更に、上記臭素化ジフェニルエーテルとしては、例えばデカブロモジフェニルエーテル、ノナブロモジフェニルエーテルなどを挙げることができる。
更にまた、上記臭素化フェニルベンジルエーテルとしては、例えばペンタブロモフェニルペンタブロモベンジルエーテルなどを挙げることができる。
上記含臭素有機化合物としては、例えばクロル化又はブロム化単環フェノール類の2,3−ジブロモプロピルエーテル、クロル化又はブロム化双環フェノール類の2,3−ジブロモプロピルエーテル、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記含臭素有機化合物としては、例えば1−(2,3−ジブロモプロポキシ)−2,4,6−トリブロモベンゼン、1−(2,3−ジブロモプロポキシ)−2,4−ジブロモベンゼン、4,4’−ビス(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロモビフェニル、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]メタン、1,1−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]エタン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]メタン、1,1−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]エタン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]スルホン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]サルファイド、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]スルホキシド、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]スルホン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上記無機化合物としては、例えば三酸化アンチモン、粘土、亜鉛華、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
上記金属水酸化物としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウムなどを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
上述した難燃剤は、任意の組合せで混合して用いてもよい。例えば、リン酸エステル(ホスフェート)と水酸化アルミニウムの組合せなどが好ましい。
上記フィラーとしては、例えば各種無機化合物、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)の酸化物、又はこれら酸化物の任意の混合物を挙げることができる。また、有機化合物を用いることもできる。
また、例えばポリウレタンやポリフェノールなどはフォーム状のものを用いることができる。
なお、本発明においては、上述したように、フィラーとして多孔質のものを用いることができる。
なお、用途や材質に応じて、平均粒径の異なるフィラーを混合して用いたり、形状の異なるフィラーを混合して用いたりすることが可能である。
電池外装部材のJIS K−7191による1.8MPa荷重時の測定における荷重たわみ温度が45℃未満であると、電池として保証する温度領域で軟化することとなり、外装として必要な強度を満足することができないことがある一方、電池外装部材のJIS K−7191による1.8MPa荷重時の測定における荷重たわみ温度が130℃を超えると、逆に非定常状態にもかかわらず、高温でさらに活性になった電池エネルギーを強度により無理に押さえ込むこととなって、電池熱暴走の原因となることがあるからである。
電池外装部材の60℃、相対湿度90%の条件下1日保存後の測定における吸水率が、1質量%を超える場合には、外装を水分が透過しやすく電池内に水をよびこみやすいこととなり、高湿下で長期保管した場合には電池素子内に水分が浸入した結果、容量が下がる、電池素子が膨れる、電解液が漏れ出すなどの不具合が生じる可能性がある。
上述の如く、本発明の電池パックの製造方法では、以上のようにして作製した非水電解質二次電池を、当該電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と一緒に、成型用型内の所定位置に配置する。
次に、上記形状維持ポリマー材料と難燃剤を含有する電池外装部材材料を上記成型用型内に注入して硬化させ、これにより、非水電解質二次電池及び保護回路基板を電池外装部材で外装した電池パックを得る。
なお、保護回路基板は、通常、正極端子及び負極端子の上方に配置される(図1参照。)。
例えば、絶縁性ポリウレタン樹脂を用いることができ、これはポリオールとポリイソシアネートとから製造される。
本発明において、絶縁性ポリウレタン樹脂とは、25±5℃、相対湿度65±5%で測定した体積固有抵抗値(Ω・cm)が、1010Ω・cm以上の硬化物を得ることができるものを言う。更に、誘電率が6以下(1MHz)、絶縁破壊電圧が15KV/mm以上であるものが好ましい。
なお、絶縁性ポリウレタン樹脂は、ポリオールの酸素含有率、溶出イオン濃度、溶出イオンの種類等を調整することによって、得られる絶縁性硬化物の体積固有抵抗値を、1010Ω・cm以上、好ましくは1011Ω・cm以上に調整して得ることができる。
特に、体積固有抵抗値が1011Ω・cm以上であると、硬化物の絶縁性が良好に保持され、非水電解質二次電池の保護回路基板と一括封止できる。
ここで、体積固有抵抗値の測定は、JIS C 2105に従って行う。具体的には、HIOKI社製SM−8220を用い、25±5℃、相対湿度65±5%で、サンプル(50mm×50mm、厚さ:3mm)に500Vの測定電圧を印加し、60秒後の数値を測定する。
また、脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等の3官能ポリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の4官能ポリオール、ソルビトール等の6官能ポリオール、シュガー等の8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物等が挙げられる。
中でも、リシノール酸グリセライド、リシノール酸と1,1,1−トリメチロールプロパンとのポリエステルポリオール等が好ましい。
これらの中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネートが好ましい。
また、触媒を添加してもよい。触媒はイソシアネートとポリオール化合物の反応やイソシアネートの二量化、三量化を進行させる役割で添加され、公知の触媒を使用することができる。
すなわち、触媒の配合量が0.01部未満のように少な過ぎると、ポリウレタン樹脂成形体の形成が遅く、樹脂状に硬化せず成形が困難となる。逆に、1部を超えると、樹脂の形成が極端に速くなり、形状維持ポリマーとして成形しにくいからである。
この場合には、圧力充填される電池外装部材材料によって非水電解質二次電池及び保護回路基板が成形空間内における所定位置から移動するのを抑えるために、種種の方策を取ることができる。
例えば、成形型に位置決め用の突起を設けることができる。また、樹脂の注液を少なくとも2回以上に分け、注液しない部分によって非水電解質二次電池及び保護回路基板を成形空間内における所定位置に保持し得るようにしたうえで、電池外装部材材料が成形型の成形空間内の隅々にまで流れ込むようにすることができる。更には、同時に一体成型にされるテープやゴム片、メッシュ状部品をセルに一周巻くなど位置決め部品(スペーサ)を用いることもできる。また、アルミニウム、鉄、ステンレス(SUS)板などの金属片をセルの片面に配し、それ以外を一括封止することで位置決めをすることもできる。
また、例えば、一体成型樹脂以外の4辺をつなぐようなフレーム樹脂部品と、トップの基板を収容するようなトップカバー部品により、非水電解質二次電池を接着した後、前記フレーム樹脂部品と電池包装体を接着することにより、非水電解質二次電池及び保護回路基板を成形空間内における所定位置に保持し得るようにすることもできる。
また、本発明では、かかる余剰の成型材料をトリミングして削除するが、若干の樹脂注入痕が残る。
より具体的には、矩形板状をなす電池素子の周囲の3辺を溶着して封止した後、残りの1辺の開口部から液状の非水電解質を注液し、その後にこの1辺を溶着して封止すればよい。これにより、封止部の全体形状は矩形枠状になる。
まず、表1に示す各電池素子外装部材で包装した非水電解質二次電池を用意し、この非水電解質二次電池をその電圧及び電流を制御可能な保護回路基板に接続した状態で、成型用型内の所定位置に挿入し固定した。その後、成型用型の上部の三箇所に位置する孔径0.5mmの電池外装部材材料注入孔から表1に示す難燃剤を含む電池外装部材材料を注入して、成形用型内に充填し、成型用型の下部の三箇所に位置する電池外装部材材料排出孔から余分の材料が排出された時点で、表1に示す各温度の恒温槽内において各時間放置し、電池外装部材材料を硬化させて電池外装部材を形成し、排出口に残った余分な電池外装部材を切断して、各例の電池パックを作製した。
得られた各例の電池パックについて以下の性能評価を行った。得られた結果を表2に示す。
各例の電池パックについて、包埋樹脂を用いて電池パックごと包埋した後に切断機により電池パックの断面を出した。光学顕微鏡で断面観察を行い、電池パック部分の最大厚みを測定し、これを最大片面厚みとした。
23℃の温度下において、上限4.2Vで15時間の1Cの定電流定電圧充電と、終止電圧2.5Vまでの1Cの定電流放電を繰り返し行い、定格エネルギー密度を、1サイクル目の放電容量から求めた。
定格エネルギー密度(Wh/l)=(平均放電電圧(V)×定格容量(Ah))/電池パック体積(l)
なお、1Cは、電池の理論容量を1時間で放出可能な電流値を示す。
各例の電池パックの機械的強度のばらつきを観察するため、各例毎に電池パックを各々10個ずつ作製し、全ての電池パックを2mの高さからコンクリートの床に自由落下させた。1個の電池パックの6つの平面が全て床に当たるように、1個の電池パック当たり10回ずつ行い、ダメージが無い個数をOKとし、割れたり部品が外れたりした個数をNGとした。
各例の電池パックを1.2mの高さからコンクリートの床に50回自由落下させた後の寸法変化(Δt)を測定した。
UL−94に基づいて、難燃性を評価した。
各例の電池パックについて4.4Vの過充電状態とし、その電池パックを200℃に加熱して、燃焼時間を測定した。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、高温高圧の環境下で成型したにもかかわらず、最大片面厚みが厚いものしかできなかった。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、最大片面厚みが厚く、電池パック内の外装材の占める体積が多いので、同じ体積でも少ない電池容量を供給することしかできない。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、パック自体の体積は大きいものの日常生活での落下により破壊されるおそれがあることが分かった。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、落下試験(A)と同様、日常生活での落下により破壊されるおそれがあることが分かった。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、水平燃焼試験は満足するものの自己消火性に乏しく、垂直難燃性試験を満足できない。
一方、本発明外の比較例1及び2の電池パックは、2分以上燃え続ける結果となった。
Claims (22)
- 電池素子をフィルム状の電池素子外装部材で包装して成る非水電解質二次電池と、
上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、
上記非水電解質二次電池及び上記保護回路基板を外装する電池外装部材と、を備え、
上記電池外装部材が、形状維持ポリマーと難燃剤とを含有し、
上記電池外装部材の示差走査熱量測定によるガラス転移点が、45℃以上130℃以下である、ことを特徴とする電池パック。 - 上記形状維持ポリマーは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂から成る群より選ばれた少なくとも1種の硬化性樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、三価のリン化合物及び/又は五価の有機リン酸エステルを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン及びトリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼンから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、トリイソブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート及びテトラエチルメチレンホスフェートから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、全ての臭素原子が芳香族環に結合した構造を有する化合物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、臭素化ジフェニルアルカン、エチレンビス臭素化フタルイミド、臭素化ジフェニルエーテル及び臭素化フェニルベンジルエーテルから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、ブロモフェノキシビス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、ビス(ジブロモフェノキシ)トリブロモフェノキシトリアジン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化トリメチルフェニルインダン、デカブロモジフェニルメタン、ノナブロモジフェニルメタン、デカブロモジフェニルエタン、ノナブロモジフェニルエタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、デカブロモジフェニルエーテル、ノナブロモジフェニルエーテル、及びペンタブロモフェニルペンタブロモベンジルエーテルから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、2,3−ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、クロル化又はブロム化単環フェノール類の2,3−ジブロモプロピルエーテル、クロル化又はブロム化双環フェノール類の2,3−ジブロモプロピルエーテル、及びトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、1−(2,3−ジブロモプロポキシ)−2,4,6−トリブロモベンゼン、1−(2,3−ジブロモプロポキシ)−2,4−ジブロモベンゼン、4,4’−ビス(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロモビフェニル、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]メタン、1,1−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]エタン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]メタン、1,1−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]エタン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]スルホン、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]サルファイド、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル]スルホキシド、ビス[4−(2,3−ジブロモプロピルオキシ)−3,5−ジクロロフェニル]スルホン、及びトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、無機化合物及び/又は金属水酸化物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記難燃剤は、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムから成る群より選ばれた少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記電池外装部材は、示差走査熱量測定によるガラス転移点が、75℃以上110℃以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記電池外装部材は、JIS K−7191による1.8MPa荷重時の測定における荷重たわみ温度が、45℃以上130℃以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記電池外装部材は、JIS K−7191による1.8MPa荷重時の測定における荷重たわみ温度が、60℃以上110℃以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記電池外装部材は、60℃、相対湿度90%の条件下1日保存後の測定における吸水率が、1質量%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記フィルム状の電池素子外装部材は、アルミニウムラミネートフィルムである、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記フィルム状の電池素子外装部材は、単層又は2層以上の構造を有し、少なくとも1層がポリエチレンフィルムから成る、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 上記電池外装部材は、フィラーを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- 電池素子をフィルム状の電池素子外装部材で包装して成る非水電解質二次電池と、
上記非水電解質二次電池の電圧及び電流を制御可能な保護回路基板と、
上記非水電解質二次電池及び上記保護回路基板を外装する電池外装部材と、を備え、
上記電池外装部材が、形状維持ポリマーと難燃剤とを含有し、
上記電池外装部材の示差走査熱量測定によるガラス転移点が、45℃以上130℃以下である、電池パックの製造方法であって、
上記非水電解質二次電池と上記保護回路基板を、成型用型内に配置し、
次いで、形状維持ポリマー材料と難燃剤とを含有する電池外装部材材料を、上記成型用型内に注入し、
しかる後、上記電池外装部材材料を硬化させて、上記電池外装部材を形成するに際し、
上記電池外装部材が、硬化後の示差走査熱量測定によるガラス転移点が、45℃以上130℃以下であるものを用いる、ことを特徴とする電池パックの製造方法。
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