JP2009184853A - ピペリジンが固定化されたシリカ粒子よりなるコロイダルシリカ - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷紙用のインク吸収性フィラーや塗料の展着性改善剤、各種材料表面の親水性コーティング材、高強度バインダー、さらに、高純度シリカゲル、高純度セラミックスの原料、触媒用バインダー、電子材料用研磨材等に有用なコロイダルシリカを提供する。
【解決手段】シリカ粒子の長径/短径比が1.5〜15であって、長径/短径比の平均値が2.5〜6である非球状の異形粒子群となっているコロイダルシリカである。これは、珪酸アルカリ水溶液とカチオン交換樹脂とを接触させて、活性珪酸水溶液を調製した後、この活性珪酸水溶液にピペリジンを加えて加熱し、ビルドアップの手法で粒子成長を行うことにより製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、印刷紙用のインク吸収性フィラーや塗料の展着性改善剤、各種材料表面の親水性コーティング材、高強度バインダー、さらに、高純度シリカゲル、高純度セラミックスの原料、触媒用バインダー、特に電子材料用研磨材等に有用なコロイダルシリカおよびその製造方法に関する。
アルカリ金属珪酸塩(主に珪酸ソーダ)を原料として製造されるコロイダルシリカに関して、アルカリ金属の含有量が少ないコロイダルシリカを得る方法は数多く提案されている。例えば、特許文献1には、水ガラス法の活性珪酸水溶液と水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用して、ナトリウムの少ないコロイダルシリカが得られることが記載されている。
水ガラス法の活性珪酸水溶液と水酸化ナトリウムを用いて製造される通常のコロイダルシリカから、カチオン交換によりナトリウムを除去しても、シリカ粒子内部に存在するナトリウムは徐々に液相に溶出してくることはよく知られている。そのため、特許文献2には、コロイダルシリカから、カチオン交換によりナトリウムを除去した後、アンモニアを加えてアルカリ性とし、オートクレーブで98〜150℃で処理して、シリカ粒子内部に存在するナトリウムを強制的に液相に溶出させ、カチオン交換で除去する方法が記載されている。
また、非球状のシリカ粒子からなるコロイダルシリカも、数多く提案されている。特許文献3には、電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなる安定なシリカゾルが記載されている。特許文献4には、珪酸液添加工程の前、添加工程中または添加工程後に、アルミニウム塩などの金属化合物を添加する製法によって得られる細長い形状のシリカ粒子から成るシリカゾルが記載されている。特許文献5には、アルコキシシランの加水分解による長径/短径比が1.4〜2.2の繭型のシリカ粒子から成るコロイダルシリカが記載されている。特許文献6には、水ガラス法の活性珪酸水溶液に代替して、アルコキシシランの加水分解液を使用し、アルカリには水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用して、非球状のシリカ粒子を含有するコロイダルシリカが得られることが記載されている。
特開2003−89786号公報 特開2004−189534号公報 特許請求の範囲 特開平1−317115号公報 特許請求の範囲 特開平4−187512号公報 特開平11−60232号公報 特許請求の範囲 特開平2001−48520号公報 特許請求の範囲と実施例
特許文献1に記載のコロイダルシリカは、ナトリウムの少ない点で好ましいが、工業的な製造においては、加熱による水酸化テトラアルキルアンモニウムの揮発が多く、臭気対策に問題がある。特許文献2に記載のコロイダルシリカの製造方法はアンモニアを必須成分とするため粒子内部にアンモニアを含有することになり、用途が限られるばかりでなく、
製造工程がながく、エネルギー使用も過大となり不利な一面がある。
特許文献3に記載のコロイダルシリカは、その製造において、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩またはこれらの混合物を添加する工程があり、製品にはそれらが不純物として残存している。特許文献4に記載のコロイダルシリカはその製造において、水溶性のアルミニウム塩を添加する工程があり、製品にはそれらが不純物として残存している。特許文献5及び特許文献6に記載のコロイダルシリカはアルコキシシランをシリカ源とするので高純度で好ましいが、副生するアルコールの除去や価格など不利な一面がある。
従って本発明の目的は、アルカリ金属含有量が少なく、珪素以外の金属化合物を用いることなく製造することができ、非球状の異形粒子群を含むコロイダルシリカおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、上記の課題を解決することができた。
すなわち本発明の第一の発明は、粒子の内部にピペリジンが固定化されたシリカ粒子よりなるコロイダルシリカである。
また、第二の発明は、ピペリジンを含むシリカを主成分とする被膜を表面に配することによりピペリジンが固定化されたシリカ粒子よりなるコロイダルシリカである。シリカ粒子内部および/またはシリカ粒子表面にピペリジンを含有している。
なお、粒子の内部にピペリジンが固定化されたシリカ粒子およびピペリジンを含むシリカを主成分とする被膜を表面に配することによりピペリジンが固定化されたシリカ粒子の双方を、以下で「ピペリジンが固定化されたシリカ粒子」と記載する。
また、第三の発明は、ピペリジンを含有し、透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の長径/短径比が1.5〜15であって、長径/短径比の平均値が2.5〜6である非球状の異形粒子群となっているコロイダルシリカである。アルカリ金属含有率は、シリカ当たり50ppm以下とすることが好ましい。
また、このコロイダルシリカのシリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均短径は5〜30nmであり、かつシリカの濃度が10〜50重量%であることが好ましい。
さらに、このコロイダルシリカはピペリジンを含有し、その適切な範囲は、シリカ/ピペリジンのモル比が20〜50である。
本発明の第四の発明は、珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて活性珪酸水溶液を調製し、次いでこの活性珪酸水溶液にピペリジンを添加してアルカリ性とした後、加熱してコロイド粒子を形成させ、続いて加熱下にアルカリ性を維持しつつ、活性珪酸水溶液とピペリジンを添加して粒子成長を行うコロイダルシリカの製造方法である。
なお、コロイド粒子を形成と粒子成長の双方をあわせて、以下で「粒子成長」あるいは「成長」と記載することがある。
上記コロイダルシリカの製造方法は、常法である水酸化アルカリ金属や珪酸アルカリをアルカリ剤に用いた製造方法と概略同一である。すなわち、珪酸ソーダより活性ゾルを製造する工程はまったく同一であり、粒子成長の工程ではアルカリ剤にピペリジンを使用する点だけが異なり、濃縮して製品とする工程でも方法は同一である。
本発明のコロイダルシリカを用いることにより、印刷紙用のインク吸収性フィラーや塗料の展着性改善剤、各種材料表面の親水性コーティング材、高強度バインダー、さらに、高純度シリカゲル、高純度セラミックスの原料、触媒用バインダー、電子材料用研磨材等に有用なアルカリ金属の含有量が少なく、非球状の異形粒子群を含むコロイダルシリを安価に提供することができる。
以下、本発明をさらに説明する。
本発明のコロイダルシリカは、活性珪酸をアルカリ剤を用いて粒子成長させる際に、アルカリ剤としてピペリジンを使用して得られるコロイダルシリカである。このためピペリジンは、(1)粒子成長の過程で粒子内部に固定された形態と、(2)粒子成長後には粒子表面に固定された形態と、(3)液相に溶解した形態との3形態で存在している。
また、本発明のコロイダルシリカは、透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の長径/短径比が1.5〜15であって、長径/短径比の平均値が2.5〜6である非球状の異形粒子群となっている。
コロイダルシリカはピペリジンを含有しており、その適切な範囲は、シリカ/ピペリジンのモル比が20〜50である。コロイド粒子の成長工程で使用したピペリジンを含有していることが好ましい。ピペリジンはコロイドを安定化させておくためのアルカリ剤としての役割のほか、重要な作用を有している。すなわち、セラミックや触媒用バインダーに用いたときには、コロイダルシリカは乾燥により固体のシリカ結合材となるのであるが、ピペリジンは乾燥によるクラックの発生を防ぐ作用を有している。したがって、上記範囲で存在することが望ましい。ピペリジンは水相に溶解しており限外濾過による濃縮工程で水とともに減少する。上記モル比より不足した場合には、濃縮後に添加補充することも好ましい。
ただし、有機物の存在は廃水処理などで二次的な弊害を発生することもある。そのような場合を配慮するとピペリジンを除去した製品も必要となる。限外濾過を有効に活用してピペリジンを極力減らす方法も本発明の製造方法のひとつとして範疇に含まれる。その場合でも、シリカ/ピペリジンのモル比が50を超えないことが好ましい。50を超えるとコロイドの安定性が低下する。ピペリジンは、25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が11.1の弱い塩基であり、pHを8より大きくするには比較的大量に使用せねばならない。より好ましくは、シリカ/ピペリジンのモル比が20〜40である。
同じ理由から、ピペリジンと強塩基である水酸化テトラアルキルアンモニウムを併用する方法も好ましい。水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(別名、水酸化コリン)が好ましい。
シリカ当たりのアルカリ金属含有率は50ppm以下である。セラミックや触媒用バインダー、電子材料用研磨材などの用途ではこの程度のアルカリ金属含有率とすることが必要である。より好ましくは30ppm以下である。
非球状の異形粒子群となっているコロイダルシリカとは、屈曲した棒状の形であって、個々に異なる形をした粒子のコロイダルシリカを表し、具体的には図1に示されるような形状のシリカ粒子を含有するコロイダルシリカである。長径/短径比は1.5〜15の範囲にある。その粒子は、直線状に伸長していない粒子が大半を占めており、一部は伸長していない粒子も存在する。これは一例であって、製造条件によってその形状はさまざまとなるが、真球状でない粒子が大半を占めている。
本発明のコロイダルシリカのシリカ粒子はヒュームドシリカのシリカ粒子とよく似た形状である。ヒュームドシリカのシリカ粒子は、一般に長径/短径比が5〜15の細長い異形粒子群となっている。ヒュームドシリカの一次粒子径(単に粒子径とも記載されることがある)と言われるものは、一次粒子の短径(太さ)であって通常7〜40nmである。さらに、その粒子は凝集して二次粒子を形成しており、スラリーの外観は白色になっている。そのためスラリーを長時間放置すると粒子が沈降する不具合、透明なフィルムや塗膜にならないなどの欠点がある。
しかし、本発明のシリカ粒子は、ヒュームドシリカの一次粒子に似た形状をしているが、凝集による二次粒子の形成はなく、スラリーの外観は透明ないし半透明になっている。粒子が沈降する不具合はなく、透明なフィルムや塗膜を得ることもできる。
本発明のコロイダルシリカの製造方法は、水ガラス法の活性珪酸水溶液をシリカ源とし、ピペリジンをアルカリ剤に使用して得られ、且つコロイド粒子の成長工程では、常法の水酸化アルカリ金属は使用せず、ピペリジンを使用することを特徴とする。
まず、原料として用いる珪酸アルカリ水溶液としては、通常水ガラス(水ガラス1号〜4号等)と呼ばれる珪酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。このものは比較的安価であり、容易に手に入れることができる。また、Naイオンを嫌う半導体用途では珪酸カリウム水溶液は原料の対象にふさわしい。固体状のメタ珪酸アルカリを水に溶かして珪酸アルカリ水溶液を調製する方法もある。メタ珪酸アルカリは晶析工程を経て製造されるため、不純物の少ないものがある。珪酸アルカリ水溶液は、必要に応じて水で希釈して使用する。
本発明で使用するカチオン交換樹脂は、公知のものを適宜選択して使用することができ、とくに制限されない。珪酸アルカリ水溶液とカチオン交換樹脂との接触工程は、例えば珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3〜10重量%に水希釈し、次いでH型強酸性カチオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンすることによって行うことができる。この工程により、活性珪酸水溶液が調製される。前記接触条件の詳細は、従来から既に様々な提案があり、本発明ではそれら公知のいかなる条件も採用することができる。
次いで、コロイド粒子の成長工程を行う。この成長工程では、常法の水酸化アルカリ金属は使用せず、ピペリジンを使用する。
成長工程では、ピペリジン以外に、水酸化テトラメチルアンモニウムや水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化コリンを併用することもできる。それらの水酸化テトラアルキルアンモニウムはピペリジンより塩基性が強く、粒子成長を短時間で行うことができるので有利な製法となる。
この成長工程では、常法の操作が行われ、例えばコロイド粒子の成長のため、pHが8以上となるようピペリジンを添加し、60〜240℃に加熱することで5〜20nmの粒子とするができる。また、ビルドアップの方法をとり、pHが8以上の60〜240℃の種ゾルに、活性珪酸とピペリジンをpHが8〜11となるよう添加していく方法もある。このようにして、シリカの粒子径が10〜150nmの粒子とすることができる。
次に、シリカの濃縮を行うが、限外濾過による濃縮を行う。水分の蒸発濃縮でもよいが、エネルギー的には限外濾過の方が有利である。
限外濾過によりシリカを濃縮するときに使用される限外濾過膜について説明する。限外濾過膜が適用される分離は対象粒子が1nmから数ミクロンであるが、溶解した高分子物質をも対象とするため、ナノメータ域では濾過精度を分画分子量で表現している。本発明では、分画分子量15000以下の限外濾過膜を好適に使用することができる。この範囲の膜を使用すると1nm以上の粒子は分離することが出来る。更に好ましくは分画分子量3000〜15000の限外濾過膜を使用する。3000未満の膜では濾過抵抗が大きすぎて処理時間が長くなり不経済であり、15000を超えると、精製度が低くなる。膜の材質はポリスルホン、ポリアクリルニトリル、焼結金属、セラミック、カーボンなどあり、いずれも使用できるが、耐熱性や濾過速度などからポリスルホン製が使用しやすい。膜の形状はスパイラル型、チューブラー型、中空糸型などあり、どれでも使用できるが、中空糸型がコンパクトで使用しやすい。また、限外濾過工程が、余剰のピペリジンの洗い出し除去をかねている場合、必要に応じて、目標濃度に達した後も純水を加えるなどして、更に洗い出し除去を行って、除去率を高める作業を行うこともできる。この工程でシリカの濃度が10〜50重量%となるように濃縮するのがよい。
また、限外濾過工程の前後いずれかに、必要に応じてイオン交換樹脂による精製工程を加えることができる。例えば、H型強酸性カチオン交換樹脂に接触させて固定化されていないピペリジンを除去することができ、OH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンして精製することで、一層の高純度化を計ることができる。
以上のようにして、シリカ粒子内部および/またはシリカ粒子表面にピペリジンを含有しているコロイダルシリカが得られる。シリカ当たりのアルカリ金属含有率が50ppm以下であって、シリカ粒子の長径/短径比が1.5〜15の非球状の異形粒子群となっており、且つシリカの濃度が10〜50重量%である本発明のコロイダルシリカが得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例での測定は以下の装置を使用した。
(1)TEM観察:(株)日立製作所、透過型電子顕微鏡H−7500型を使用した。
(2)BET法比表面積:(株)島津製作所、フローソーブ2300型を使用した。
(3)全ピペリジン分析:(株)島津製作所、全有機体炭素計TOC−5000A、SSM−5000Aを使用した。炭素量よりピペリジンに換算した。具体的には、全有機体炭素量(TOC)は、全炭素量(TC)と無機体炭素量(IC)を測定後TOC=TC−ICにより求めた。TC測定の標準として炭素量1重量%のグルコース水溶液を用い、IC測定の標準として炭素量1重量%の炭酸ナトリウムを用いた。超純水を炭素量0重量%の標準とし、それぞれ先に示した標準を用い、TCは150μlと300μl、またICは250μlで検量線を作成した。サンプルのTC測定ではサンプルを約100mg採取し、900℃燃焼炉で燃焼させた。また、IC測定ではサンプルを約20mg採取し、(1+1)燐酸を約10ml添加し200℃燃焼炉で反応を促進した。
(4)液相ピペリジン分析:限外濾過によりサンプルから液相を取り出し、上記(3)と同じ方法で測定した。
(5)固定化されたピペリジンの算出:全ピペリジン量から液相ピペリジン量を減じて、固定化されたピペリジン量を算出した。
(6)金属元素分析:(株)堀場製作所、ICP発光分析計、ULTIMA2を使用した。
(実施例1)
脱イオン水28kgにJIS3号珪酸ソーダ(SiO:28.8重量%、NaO:9.7重量%、HO:61.5重量%)5.2kgを加えて均一に混合しシリカ濃度4.5重量%の希釈珪酸ソーダを作成した。この希釈珪酸ソーダを予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライトIR120B)20リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度3.7重量%でpH2.9の活性珪酸40kgを得た。
別途、ピペリジン(試薬)を純水に加えて10%ピペリジン水溶液を調製した。
次いで、ビルドアップの方法をとり、コロイド粒子を成長させた。すなわち、得られた活性珪酸の一部500gに攪拌下10%ピペリジン水溶液20gを加えてpHを8.5とし、100℃に1時間保ち、放冷した。得られた液は、水の蒸発で460gとなっており、シリカ濃度は4.0重量%となっていた。また、25℃でのpHが9.7であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約6nmで、長径/短径比が1.5〜15の非球状シリカの異形粒子群となっており、長径/短径比の平均値が6であった。
このコロイダルシリカは、活性珪酸およびピペリジンの使用量から、シリカ/ピペリジンのモル比は28と算出された。液相ピペリジンは0.23重量%であったので、固定化されているピペリジンは0.22重量%と算出された。ピペリジンがシリカに固定されていることが確認できた。
(実施例2)
上記実施例1で得られたコロイダルシリカを再度加熱して100℃とし、2500gの活性珪酸を4時間かけて添加した。活性珪酸の添加中は100℃を維持し、10%ピペリジン水溶液を同時添加しpH9〜10を維持した。同時添加で使用した10%ピペリジン水溶液は68gであった。添加中の水の蒸発により放冷後には2660gのコロイダルシリカを得た。このコロイダルシリカは25℃でのpHが9.58であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約12nmで、長径/短径比が1.5〜10の非球状シリカの異形粒子群よりなるコロイダルシリカであった。
続いて、分画分子量6000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザUFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度18重量%まで濃縮し、コロイダルシリカ約550gを回収した。このコロイダルシリカは25℃でのpHが9.14であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約12nmで、長径/短径比が1.5〜10の非球状の異形粒子群となっており、長径/短径比の平均値が3.5であった。また、BET法による粒子径は11.3nmであった。
ピペリジンの全含有量は0.96重量%であり、シリカ/ピペリジンのモル比は27であった。液相ピペリジンは0.25重量%であったので、固定化されているピペリジンは0.76重量%と算出された。ピペリジンがシリカに固定されていることが確認できた。また、シリカ当たりのNaとKの含有率はそれぞれ15ppmと0ppmであった。ピペリジンの使用によりアルカリ金属イオンの少ないコロイダルシリカが得られた。シリカ粒子のTEM写真を図1に示した。
(比較例1)
活性珪酸の一部580Kgに攪拌下20%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を加えてpHを8.7とし、95℃に1時間保ち、残部の活性珪酸3220Kgを6時間かけて添加した。添加中は20%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を加えてpHを10に保ち、温度も95℃を保った。添加終了後、95℃で1時間熟成を行い、放冷した。このコロイダルシリカは透過型電子顕微鏡(TEM)観察では短径が約15nmで、球状粒子が多く、長径/短径比が1〜4で、長径/短径比の平均値は1.3の粒子群となっていた。シリカ当たりのNaとKの含有率はそれぞれ13ppmと0ppmであった。水酸化テトラメチルアンモニウムの使用により金属イオンの少ないコロイダルシリカが得られたが、目標とする形状の粒子は得られなかった。シリカ粒子のTEM写真を図2に示した。
実施例2で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。 比較例1で得られたコロイダルシリカのTEM写真である。

Claims (8)

  1. 粒子の内部にピペリジンが固定化されたシリカ粒子よりなることを特徴とするコロイダルシリカ。
  2. ピペリジンを含むシリカを主成分とする被膜を表面に配することによりピペリジンが固定化されたシリカ粒子よりなるコロイダルシリカ。
  3. ピペリジンを含有し、透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の長径/短径比が1.5〜15であって、長径/短径比の平均値が2.5〜6である非球状の異形粒子群となっていることを特徴とするコロイダルシリカ。
  4. シリカ/ピペリジンのモル比が20〜50であることを特徴とする請求項1〜3に記載のコロイダルシリカ。
  5. シリカ当たりのアルカリ金属含有率が50ppm以下である、請求項1〜4に記載のコロイダルシリカ。
  6. 透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の平均短径が5〜30nmであり、かつシリカの濃度が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜5に記載のコロイダルシリカ。
  7. 以下の工程
    (a)珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて活性珪酸水溶液を調製する工程、
    (b)次いで前記活性珪酸水溶液にピペリジンを添加してアルカリ性とした後、加熱してコロイド粒子を形成させる工程、
    (c)加熱条件下で、前工程で形成したコロイド粒子に、アルカリ性を維持しながら前記活性珪酸水溶液とピペリジンを添加してコロイド粒子を成長させる工程、
    を有することを特徴とする、請求項1〜6に記載のコロイダルシリカの製造方法。
  8. (c)工程の後、
    (d)コロイダルシリカを濃縮する工程、
    を有することを特徴とする請求項7に記載のコロイダルシリカの製造方法。
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