JP2009181854A - 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール - Google Patents

燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP2009181854A
JP2009181854A JP2008020868A JP2008020868A JP2009181854A JP 2009181854 A JP2009181854 A JP 2009181854A JP 2008020868 A JP2008020868 A JP 2008020868A JP 2008020868 A JP2008020868 A JP 2008020868A JP 2009181854 A JP2009181854 A JP 2009181854A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
cell
fuel cell
ysz
csz
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008020868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5173458B2 (ja
Inventor
Shigeru Okuma
滋 大隈
Hiroshi Tsukuda
洋 佃
Kazuo Tomita
和男 冨田
Toru Hojo
北條  透
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2008020868A priority Critical patent/JP5173458B2/ja
Publication of JP2009181854A publication Critical patent/JP2009181854A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5173458B2 publication Critical patent/JP5173458B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】接着性向上膜に要求される表面粗度や、温度の昇降の繰り返しによる割れ防止等を満足するような材料の配分割合や、さらに材料の粒径条件等を設定して、長時間にわたって充分なシール性を確保でき、信頼性の高い接着性向上膜を提供できる燃料電池用セルチューブのシール構造、および該シール構造を採用した燃料電池モジュールを提供すること。
【解決手段】燃料電池用セルチューブの基体管4の表面に形成される接着性向上膜12がカルシウムチタネート(CaTiO)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)からなり、CaTiOが20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%との混合物で構成され、さらに、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなり、粗粒成分が20〜50体積%含むことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、円筒型燃料電池のセルチューブのシール性を向上させ、燃料電池の発電特性の向上を図った燃料電池用セルチューブのシール構造、および該シール構造を採用した燃料電池モジュールに関する。
円筒型固体電解質燃料電池モジュールの概略構造を図4に示す。図5はそのセルチューブ部分の斜視概略図、図6はセルチューブ端部のシール構造の概略図である。
図4に示すように、断熱材で包囲されたモジュール本体01内には、天板02、上部管板03および下部管板04が配設され、下部管板04の下方には、電池室01aが形成されている。一方、モジュール本体01の天板02と上部管板03との間には、燃料供給室05が形成されている。また上部管板03と下部管板04との間には、燃料排出室06が形成されている。
前記燃料供給室05の天板02には、当該燃料供給室05とモジュール本体01の外部とを連通する外側管07が当該モジュール本体01を貫通して連結されている。この外側管07の内側には、前記燃料排出室06と当該モジュール本体01の外部とを連通するように上部管板03を貫通する内側管08が配設されている。
前記下部管板04には、外周面に単電池膜(図示せず)を成膜してなるセルチューブ010が、上端を燃料排出室06に位置させると共に、下方寄りをモジュール本体01の電池室01a内に位置させるようにして貫通支持されている。
セルチューブ010の内側には、当該セルチューブ010の内部下方側と燃料供給室05とを連通させるように上部管板03を貫通する燃料注入管011が配設されている。
前記燃料注入管011の内側には、上端を燃料供給室05に位置させると共に、下端をセルチューブ010の下端近傍に位置させた集電棒012が配設されている。該集電棒012の下端は、前記単電池膜と電気的に接続すると共に、セルチューブ010の下端を閉塞する集電部材013に連結している。該集電棒012の上端は、ニッケル製の集電部材013および導電棒014を介してモジュール本体010の外部へ電気的に接続されている。
一方、セルチューブ010の上端には、前記単電池膜と電気的に接続する集電コネクタ015が取り付けられており、当該集電コネクタ015は、他のセルチューブ010と当該集電コネクタ015を介して直列的に接続されている。
前記モジュール本体01の電池室01aの下部には、多孔質のセラミック製の仕切板016が設けられている。該仕切板016の下方には、当該仕切板016を介して前記電池室01aと連通する空気予熱室017が設けられており、該空気予熱室017には、モジュール本体01の外部と連通する空気供給管018が接続している。
また、モジュール本体01の電池室01aの内部には、空気排出管019の一端側が位置している。この空気排出管019は、他端側がモジュール本体01の外側に位置し、中程部分が前記空気予熱室017の内部を通過するように配設されて、熱交換されている。
前記モジュール本体01の下部管板04に吊らされるようにセルチューブ010は、図5および図6に示すように、基体管031の表面に燃料極032c、電解質032b、空気極032aを順次積層し、さらに燃料極と空気極を接続するための緻密性の導電性接続材(インタコネクタ)033を積層して、単電池膜032を横縞状に複数形成している。つまり、基体管031上にそれぞれ積層された燃料極032c、固体電解質032b、空気極032aにより単電池膜032が構成され、インタコネクタ033により前記単電池膜間の基体管031の内側と外側との間がシールされると共に当該単電池膜032が直列に接続される。
前記セルチューブ010のシール部分の膜構造を図6、図7を参照して説明する。図6に示すように、基体管(15%CaO−ZrO)031の下端側の外周面上には、当該基体管031の最も他端側に位置する空気極032aにインタコネクタ033を介して接続するリード膜(Ni−Al)034が成膜されている。前記リード膜034には、端部集電部材013が設けられており、集電棒012により集電されている。
また、該リード膜034の上面には気密性の高い気密膜(Al)035が成膜され、図7に示すように無機系接着剤036を介してキャップ状のシール部材037が固着されている。
なお、前記基体管031の下部管板04側の上端近傍の外周面も同様のシール構造を有している。
前記気密膜035は、その気孔率が5〜10%程度とポーラスであるので、ガス抜けを防止すると共に下層のリード膜034の酸化を防止するために、膜厚を100〜150μm程度と厚くしている。
このような構造をなす円筒型固体電解質燃料電池モジュールの作用について次に説明する。モジュール本体01の電池室01a内を作動温度(約900〜1000℃)に加熱し、外側管07から水素などの燃料ガス020を供給すると共に、空気供給管018から酸化剤ガスである空気021を供給する。
外側管07を介して供給された燃料ガス020は、燃料供給管05から注入管011を介してセルチューブ010の下端側まで流入する。
一方、空気予熱室017を介して仕切016を通過した空気021が電池室01a内に流入する。
前記燃料ガス020が多孔質性の基体管031を透過して単電池膜032の燃料極032cに供給され、前記空気(酸素)021が空気極032aに接触すると、該単電池膜032が水素と空気(酸素)とを電気化学的にさせて電力を発生させ、当該電力が集電部材013、導電棒014を介して外部へ送り出されるようになっている。
なお、発電に供された後の残燃料ガス022は、セルチューブ010の上端から燃料出室06に流入し、内側管08を介して外部へ排出され、再利用される。一方、発電に供された後の残空気023は、空気排出管019を介して外部へ排出される。
一方、このような円筒型固体電解質燃料電池モジュールについては、特許文献1(特許第3495654号公報)が知られており、該特許文献1には、図8に示すようにセルチューブのシール部分の膜構造について示されている。
該特許文献1には、セルチューブ010の基体管031の表面に形成してなる導電性のリード膜034と、該リード膜034の表面に形成してなる機密性の高い気密膜035と、該気密膜035の表面に表面粗度の大きい接着性向上膜040を設け、該接着性向上膜040の表面に接着剤036を塗布してシール部材037を密着してなるセルチューブのシール構造が示されている。
そして、基体管031の表面に気密性膜035等を成膜する際に、焼結方法によって作成される気密性膜は、溶射法によって得られる気密性膜よりその焼結作用により表面粗度が極めて小さく、溶射法では表面粗度が10〜15μm程度であるのに対して、焼結法では2〜5μm程度と極めて小さい。
そのため接着剤036と気密性膜035との接着性不良が生じやすいが、前記接着性向上膜040を気密性膜035と接着剤036との間に介在させることによって、焼結方法により形成される気密性膜035の問題点を解消してシール部材037とのシール性の向上を図っている。
さらに、特許文献1には、前記接着性向上膜040が、カルシウムチタネート(CaTiO)、マグネシウムアルミニウム酸化物(MgAl)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)のいずれか一種またはこれらの混合物からなることが示されている。
特許第3495654号公報
しかし、前記特許文献1に示されているシール構造においては、前記したように接着性向上膜040が、カルシウムチタネート(CaTiO)、マグネシウムアルミニウム酸化物(MgAl)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)のいずれか一種またはこれらの混合物からなることが示されているだけであり、これら材料組成の好適な配分割合や粒径についてまでは具体的に示されてなく、シール性をさらに向上するには、材質の配合割合等を含めたさらなる改良が必要である。
そこで、本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、接着性向上膜に要求される表面粗度や、温度の昇降の繰り返しによる割れ防止等を満足するような材料の配分割合や、さらに材料の粒径条件等を設定して、長時間にわたって充分なシール性を確保でき、信頼性の高い接着性向上膜を提供できる燃料電池用セルチューブのシール構造、および該シール構造を採用した燃料電池モジュールを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、燃料電池用セルチューブのシール構造にかかる本発明は、燃料電池用基体管の表面に固体電解質を介在させて燃料極と空気極とを焼結法により成膜して単電池膜を構成してなるセルチューブであって、セルチューブの基体管の表面に形成してなる導電性のリード膜と、該リード膜の表面に形成してなる気密性の高い気密膜とからなり、該気密膜の表面に表面粗度の大きい接着性向上膜を設け、該接着性向上膜の表面に接着剤を塗布してシール部材を密着してなる燃料電池用セルチューブのシール構造において、前記接着性向上膜がカルシウムチタネート(CaTiO)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)からなり、CaTiOが20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%との混合物で構成され、さらに、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなり、粗粒成分が20〜50体積%含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、接着性向上膜を、カルシウムチタネート(CaTiO)を基体として、そこにカルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を添加すると共に、このCaTiOを20〜40体積%と、CSZまたはYSZを80〜60体積%との配合比率にすることによって、接着性向上膜の熱疲労(ヒートサイクル)に対する耐久性を向上し、信頼性の高いシール構造を得ることができる。
すなわち、CSZまたはYSZを多量に含むと基材に対する熱膨張率が小さくなり基材への充分な接着性が得られず、温度の昇降の繰り返しには耐えられずに割れを生じやすくなり、またCSZまたはYSZが少量でCaTiOを多量に含むと、熱膨張率が大きくなり、温度の昇降の繰り返しには耐えられずに割れを生じやすくなるため、熱サイクルに対する耐久性を考慮するとCaTiOを20〜40体積%と、CSZまたはYSZを80〜60体積%との配分比率に設定するとよい。
さらに、本発明によれば、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなるため、CSZまたはYSZの組成物の充填性を向上できる。
すなわち、微粒成分が多くなるに従って焼結の際に、固化しすぎて焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなり、また微粒成分が少なく粗粒成分が多くなるに従って、成分が粗くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して固まらなくなるので、粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物を適切な配分とすることでCSZまたはYSZの組成物の充填性を高めることができる。
さらに、本発明によれば、粗粒成分を20〜50体積%含むことで、前記したように接着性向上膜の焼結の際の割れを防止する。さらに、焼結時の固化の収縮性による基体管の表面への接着性、すなわち気密膜への接着性を確実にして、接着性向上膜の耐久性を向上する。
また、好ましくは、前記粗粒成分は平均粒径が20μmであり、前記微粒成分は平均粒径が数μmであるとよく、また、前記CSZまたはYSZの微粒成分と、前記CaTiOとの合計が60〜80体積%含むとよい。
かかる構成によれば、平均粒度20μmの粗粒成分のCSZまたはYSZが20〜50体積%、平均粒度数μmの微粒成分のCSZまたはYSZと、CaTiOとの合計が80〜60体積%含むことによって、接着性向上膜が焼結製法において割れを生じずに膜として焼き固まり気密膜への接着性を確実にすることができる。また、表面粗度が40μm以上となり、接着剤との接着性も充分得られるようになる。
その結果、燃料ガスのリークを確実に防止できる接着性向上膜を提供できると共に、接着性向上膜の耐久性を向上できる。
さらに、本発明は、酸化剤ガスと燃料ガスとを作動温度環境下の電池室内の外周面に単電池膜を成膜してなるセルチューブに供給することにより、前記酸化剤ガスと前記も燃料ガスとを電気化学的に反応させて電力を得るようにした円筒型固体電解質燃料電池モジュールにおいて、前記した接着性向上膜を備えた燃料電池用セルチューブのシール構造を用いることを特徴とする。
かかる発明によれば、前記したような接着性向上膜を備えた燃料電池用セルチューブのシール構造を用いることで、燃料ガスのリーク率が大幅に低減でき、さらに長期に亘ってシール性能が確保されるので、長期に亘って安定した燃料電池発電が可能となる。
本発明によれば、接着性向上膜に要求される表面粗度や、温度の昇降の繰り返しによる割れ防止等を満足するような材料の配分割合や、さらに材料の粒径条件等を設定して、長時間にわたって充分なシール性を確保でき、信頼性の高い接着性向上膜を提供できる燃料電池用セルチューブのシール構造、および該シール構造を採用した燃料電池モジュールを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1、図2を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるセルチューブ2のシール構造の一例を示す概略図である。該セルチューブ2が装着される燃料電池モジュールについては従来技術の図3において説明した構造と同様である。シール部分は基体管4の下端部分と、セルチューブ2を吊るす側部分とに設けられている。
燃料電池用基体管(基体管)4の表面に、固体電解質を介在させて燃料極と空気極とを成膜して単電池膜6を構成してなるセルチューブ2であって、該セルチューブ2のシール部分に表面粗の大きい接着性向上膜を設けてなるものである。
該接着性向上膜を含むシール部分の膜構成は、図2に示すように、基体管(例えば、15%CaO−ZrO等)4の表面に形成してなる導電性のリード膜(例えば、Ni−MgAl等)8と、該リード膜8の表面に形成してなる気密性の高い気密膜(例えば、8%Y2O3−ZrO2等)10とからなり、該気密膜10の表面に接着性向上膜12を設け、該接着性向上膜12の表面に無機系の接着剤14を塗布してシール部材16を密着して構成されている。
接着性向上膜12は、基体管4の表面に焼結法によって焼結されたリード膜8、気密膜10の上にさらに、原料焼結することによって行われる。
接着性向上膜12に要求される性能としては次の(1)〜(3)の点を備えていることが必要となる。
(1)酸化還元に対して強い膜となる材料であること。
これは、図1のセルチューブ2を吊るす上部側のシール部分においは、(図3の下部管板04参照)、酸化雰囲気と還元雰囲気との両方の雰囲気下に晒されるので、劣化するのを防止する必要があるからである。
(2)接着性向上膜12の下層の気密膜10に対して、反応することがない材料であること。
これは、下層の気密膜10と反応して劣化することを防止する必要があるからである。
(3)基体管4の熱膨張係数と接着性向上膜12の熱膨張係数とが近いこと。
これは、燃料電池の発電を繰り返す場合、発電時の温度は900℃前後と高温であり、温度の昇降の繰り返しによる割れを防止する必要があるからである。
前記性能を満足する材料として、カルシウムチタネート(CaTiO)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を選定する。
そして、カルシウムチタネート(CaTiO)を主体に、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を添加し、CaTiOが20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%とを含む混合物によって構成している。このような組成配分にすることによって接着性向上膜12の熱疲労に対する耐久性が向上する。
すなわち、CSZまたはYSZを多量に含むと基材に対する熱膨張率が小さくなり基材への充分な接着性が得られず、温度の昇降の繰り返しには耐えられずに割れを生じやすくなり、またCSZまたはYSZが少量でCaTiOを多量に含むと、熱膨張率が大きくなり、温度の昇降の繰り返しには耐えられずに割れを生じやすくなるため、熱サイクルに対する耐久性を考慮するとCaTiOを20〜40体積%と、CSZまたはYSZを80〜60体積%との配分比率に設定することで接着性向上膜の熱疲労に対する耐久性が向上する。
また、カルシウムチタネート(CaTiO)に添加するカルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を平均粒度20μmの粗粒成分と、平均粒度数μmの微粒成分との混合物から構成する。
粗粒成分(20μm)と微粒成分(数μm)とを混合することで、組成物の充填性を向上できる。
すなわち、微粒成分が多くなるに従って焼結の際に、固化しすぎて焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなり、また微粒成分が少なく粗粒成分が多くなるに従って、成分が粗くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して固まらなくなるので、粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物を適切な配分とすることでCSZ、YSZの組成物の充填性を高めることができる。
粗粒成分を20〜50体積%とすることで、接着性向上膜12の焼結の際の割れを防止するとともに、焼結時の固化の収縮性による基体管の表面への接着性、すなわち気密膜10への接着性を確実にして、接着性向上膜の耐久性を向上できる。
さらに、平均粒度20μmの粗粒成分のCSZまたはYSZを20〜50体積%含み、平均粒度数μmの微粒成分のCSZまたはYSZとCaTiO3を80〜60体積%含んで構成される。
平均粒度20μmの粗粒成分のCSZまたはYSZが20〜50体積%を超えると、粗粒成分が多くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して焼き固まらなくなる。
また、平均粒度数μmの微粒成分のCSZまたはYSZとCaTiO3が80〜60体積%を超えると、微粒成分が多くなり焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなる。
そこで、粗粒成分が20〜50体積%、微粒成分が80〜60体積%とする配合によって、焼結製法において割れを生じずに膜として焼き固まり気密膜10への接着性を確実にすることができる。また、表面粗度が40μm以上となり、接着剤との接着性も充分得られるようになる。
その結果、燃料ガスのリークを確実に防止できる接着性向上膜を提供できると共に、耐久性を向上する接着性向上膜を得ることができる。
以上の材料成分の配合条件、さらに粒径の条件は実験結果に基づいて設定したものであり、その実験結果を次の実施例で説明する。
そして、実験結果をまとめたものを図3の図表に示す。なお、図3には、従来条件の成分割合、さらに比較例1〜10の成分割合も示す。
実験結果において、接着性向上膜の良否の評価は、スクラッチ試験(JIS H8305)による評価、表面粗度の計測結果による評価、ヒートサイクル試験による評価の3つの項目によって判定した。
スクラッチ試験は、基材に焼結した接着性向上膜12の表面にカッタによって複数の四角形を格子状に切り欠き、その四角形部分の膜が、所定の条件で剥がれ落ちないかを調べる。
JIS H8305に示されている試験は、鉄鋼製品に防食の目的で施した亜鉛、アルミニウム合金溶射皮膜の密着性を判定する方法であるが、この方法を今回の接着性向上膜12の密着性の判定に用いたものである。
また、表面粗度の計測は粗度計を用いて計測し、基準値として40μm以上の粗度があるかを測定した。40μm以上あれば接着剤との接着性が充分得られることが予め引き抜き試験で確認されている。なお、表面粗度の上限については限定されるものではないが過去の実験結果から700μm未満であることが好ましい。
また、ヒートサイクル試験は、常温と1000℃との間を上昇と下降の少なくとも1回を繰り返して、接着性向上膜12が、熱膨張率の差によって割れを生じないかを調べるものである。
(実施例1〜3)
YSZの粗粒を30%一定にして、CaTiOを20、30、40%と変化させるとともに、YSZの微粒を50、40、30%と変化させた場合について前記3つの評価項目を評価した。その結果何れも満足いく結果が得られた。
CaTiOが20〜40%の範囲を外れると、すなわち比較例3、4に示すように10%、50%となると、比較例3、4ともにヒートサイクル性が不適合となった。
これは、CaTiOと、CSZまたはYSZとの配合比率が熱膨張率に影響してヒートサイクル性が不適合となったと考える。
(実施例4〜6)
次に、CaTiOを30%一定にして、YSZの粗粒を20、40、50%と変化させるとともに、YSZの微粒を50、30、20%と変化させた場合について前記3つの評価項目を判定した。何れも満足いく結果が得られた。
YSZの粗粒が20〜50%の範囲を外れると、すなわち比較例5、6に示すように10、60%となると、スクラッチ試験およびヒートサイクル性が不適合となった。
これは、微粒と粗粒との配合割合が適切な範囲になく、微粒成分が多くなるに従って焼結の際に、固化しすぎて焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなり、また、微粒成分が少なく粗粒成分が多くなるに従って、成分が粗くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して固まり難くなったためと考える。
(実施例7〜9)
実施例1〜3がYSZの粗粒を30%一定にしていたのに対して、実施例7〜9はCSZの粗粒を30%一定にした例であり、前記実施例1〜3と同様のことがいえる。
すなわち、CaTiOが20〜40%の範囲を外れると、すなわち比較例9、10に示すように10%、50%となると、ヒートサイクル性が不適合となった。
これは、CaTiO3と、CSZまたはYSZとの配合比率が熱膨張率に影響してヒートサイクル性が不適合となったと考える。
本発明によれば、接着性向上膜に要求される表面粗度や、温度の昇降の繰り返しによる割れ防止等を満足するような材料の配分割合や、さらに材料の粒径条件等を設定して、長時間にわたって充分なシール性を確保でき、信頼性の高い接着性向上膜を得ることができるので、燃料電池用セルチューブのシール構造および該シール構造を採用した燃料電池モジュールへの適用に際して有益である。
本発明のセルチューブのシール構造の概略図である。 シール部分の膜構成を示す説明図である。 比較例1〜10および実施例1〜9の接着性向上膜の配合成分、及び評価試験結果である密着性、表面粗度を示す図表である。 円筒型固体電解質燃料電池モジュールの概略構造を示す説明図である。 セルチューブ部分の斜視概略図である。 セルチューブ端部のシール構造の概略図である。 従来技術を説明するシール部分の膜構成図である。 従来技術を説明するシール部分の膜構成図である。
符号の説明
2 セルチューブ
4 基体管
6 単電池膜
8 リード膜
10 気密膜
12 接着性向上膜
14 接着剤
16 シール部材

Claims (4)

  1. 燃料電池用基体管の表面に固体電解質を介在させて燃料極と空気極とを焼結法により成膜して単電池膜を構成してなるセルチューブであって、
    セルチューブの基体管の表面に形成してなる導電性のリード膜と、該リード膜の表面に形成してなる気密性の高い気密膜とからなり、該気密膜の表面に表面粗度の大きい接着性向上膜を設け、該接着性向上膜の表面に接着剤を塗布してシール部材を密着してなる燃料電池用セルチューブのシール構造において、
    前記接着性向上膜がカルシウムチタネート(CaTiO)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)からなり、CaTiOが20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%との混合物で構成され、さらに、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなり、粗粒成分が20〜50体積%含むことを特徴とする燃料電池用セルチューブのシール構造。
  2. 前記粗粒成分は平均粒径が20μmであり、前記微粒成分は平均粒径が数μmであことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セルチューブのシール構造。
  3. 前記CSZまたはYSZの微粒成分と、前記CaTiO3との合計が60〜80体積%含むことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セルチューブのシール構造。
  4. 酸化剤ガスと燃料ガスとを作動温度環境下の電池室内の外周面に単電池膜を成膜してなるセルチューブに供給することにより、前記酸化剤ガスと前記も燃料ガスとを電気化学的に反応させて電力を得るようにした円筒型固体電解質燃料電池モジュールにおいて、
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池用セルチューブのシール構造を用いてなることを特徴とする燃料電池モジュール。
JP2008020868A 2008-01-31 2008-01-31 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール Active JP5173458B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008020868A JP5173458B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008020868A JP5173458B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009181854A true JP2009181854A (ja) 2009-08-13
JP5173458B2 JP5173458B2 (ja) 2013-04-03

Family

ID=41035652

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008020868A Active JP5173458B2 (ja) 2008-01-31 2008-01-31 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5173458B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181291A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池
JP2012129165A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Mitsubishi Heavy Ind Ltd シール構成部材を形成する方法及び固体電解質型燃料電池モジュールの製造方法
KR101230087B1 (ko) 2011-10-04 2013-02-05 삼성에스디아이 주식회사 고체산화물 연료전지 스택
EP2819229A1 (en) * 2013-06-27 2014-12-31 Toto Ltd. Solid oxide fuel cell system

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2822075A1 (en) 2013-07-03 2015-01-07 Toto Ltd. Solid oxide fuel cell unit
JP2016122545A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 三菱日立パワーシステムズ株式会社 固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形燃料電池の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001060462A (ja) * 1999-08-23 2001-03-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd セルチューブのシール構造
JP2002358984A (ja) * 2001-06-01 2002-12-13 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 燃料電池用基体管、燃料電池用基体管材料及び燃料電池セル管の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001060462A (ja) * 1999-08-23 2001-03-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd セルチューブのシール構造
JP2002358984A (ja) * 2001-06-01 2002-12-13 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 燃料電池用基体管、燃料電池用基体管材料及び燃料電池セル管の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181291A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池
JP2012129165A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Mitsubishi Heavy Ind Ltd シール構成部材を形成する方法及び固体電解質型燃料電池モジュールの製造方法
KR101230087B1 (ko) 2011-10-04 2013-02-05 삼성에스디아이 주식회사 고체산화물 연료전지 스택
EP2819229A1 (en) * 2013-06-27 2014-12-31 Toto Ltd. Solid oxide fuel cell system
CN104253282A (zh) * 2013-06-27 2014-12-31 Toto株式会社 固体氧化物型燃料电池装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5173458B2 (ja) 2013-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105981207B (zh) 电化学能量转换装置、电池及其负极侧材料
JP5173458B2 (ja) 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール
CA2922876C (en) Process for forming a metal supported solid oxide fuel cell
US9065104B2 (en) Process for manufacturing elementary electrochemical cells for energy- or hydrogen-producing electrochemical systems, in particular of SOFC and HTE type
JP5839756B1 (ja) 燃料電池のスタック構造体
CN106688130B (zh) 电化学元件、固体氧化物型燃料电池单元、以及它们的制造方法
JP2001060462A (ja) セルチューブのシール構造
US20140291151A1 (en) Method for producing solid oxide fuel cells having a cathode-electrolyte-anode unit borne by a metal substrate, and use of said solid oxide fuel cells
JP3631923B2 (ja) 燃料電池用基体管及びその材料
JP7285117B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池の支持体形成用材料およびその利用
JP6134085B1 (ja) 電気化学セル
US7074255B2 (en) Noble metal gas barriers
JP7183104B2 (ja) 封止用グリーンシート
JP5449120B2 (ja) シール構成部材を形成する方法及び固体電解質型燃料電池モジュールの製造方法
JP5280963B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池用接合材およびその製造方法
JP5711093B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池のガスセパレート材及び固体酸化物形燃料電池
JP4145041B2 (ja) 電気化学装置
KR20190044546A (ko) 고체산화물 연료 전지용 연결재, 그 제조방법 및 고체산화물 연료 전지
JP5205543B1 (ja) 燃料電池セル
JP6488347B1 (ja) 固体酸化物形燃料電池の支持基板
JP6518554B2 (ja) 燃料電池単セル
JP2008204906A (ja) 燃料極用集電材料、固体酸化物形燃料電池単セルおよび固体酸化物形燃料電池
JP6134086B1 (ja) 電気化学セル
JP2009134982A (ja) 固体酸化物形燃料電池の製造方法および該方法に用いる焼成治具
JP2008066002A (ja) 発電膜およびその製造方法ならびに固体酸化物形燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20121009

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121227

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5173458

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160111

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350