JP2009181854A - 燃料電池用セルチューブのシール構造および燃料電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池用セルチューブの基体管4の表面に形成される接着性向上膜12がカルシウムチタネート(CaTiO3)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)からなり、CaTiO3が20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%との混合物で構成され、さらに、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなり、粗粒成分が20〜50体積%含むことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
セルチューブ010の内側には、当該セルチューブ010の内部下方側と燃料供給室05とを連通させるように上部管板03を貫通する燃料注入管011が配設されている。
また、モジュール本体01の電池室01aの内部には、空気排出管019の一端側が位置している。この空気排出管019は、他端側がモジュール本体01の外側に位置し、中程部分が前記空気予熱室017の内部を通過するように配設されて、熱交換されている。
また、該リード膜034の上面には気密性の高い気密膜(Al2O3)035が成膜され、図7に示すように無機系接着剤036を介してキャップ状のシール部材037が固着されている。
なお、前記基体管031の下部管板04側の上端近傍の外周面も同様のシール構造を有している。
外側管07を介して供給された燃料ガス020は、燃料供給管05から注入管011を介してセルチューブ010の下端側まで流入する。
一方、空気予熱室017を介して仕切016を通過した空気021が電池室01a内に流入する。
該特許文献1には、セルチューブ010の基体管031の表面に形成してなる導電性のリード膜034と、該リード膜034の表面に形成してなる機密性の高い気密膜035と、該気密膜035の表面に表面粗度の大きい接着性向上膜040を設け、該接着性向上膜040の表面に接着剤036を塗布してシール部材037を密着してなるセルチューブのシール構造が示されている。
そのため接着剤036と気密性膜035との接着性不良が生じやすいが、前記接着性向上膜040を気密性膜035と接着剤036との間に介在させることによって、焼結方法により形成される気密性膜035の問題点を解消してシール部材037とのシール性の向上を図っている。
すなわち、微粒成分が多くなるに従って焼結の際に、固化しすぎて焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなり、また微粒成分が少なく粗粒成分が多くなるに従って、成分が粗くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して固まらなくなるので、粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物を適切な配分とすることでCSZまたはYSZの組成物の充填性を高めることができる。
かかる構成によれば、平均粒度20μmの粗粒成分のCSZまたはYSZが20〜50体積%、平均粒度数μmの微粒成分のCSZまたはYSZと、CaTiO3との合計が80〜60体積%含むことによって、接着性向上膜が焼結製法において割れを生じずに膜として焼き固まり気密膜への接着性を確実にすることができる。また、表面粗度が40μm以上となり、接着剤との接着性も充分得られるようになる。
その結果、燃料ガスのリークを確実に防止できる接着性向上膜を提供できると共に、接着性向上膜の耐久性を向上できる。
燃料電池用基体管(基体管)4の表面に、固体電解質を介在させて燃料極と空気極とを成膜して単電池膜6を構成してなるセルチューブ2であって、該セルチューブ2のシール部分に表面粗の大きい接着性向上膜を設けてなるものである。
接着性向上膜12は、基体管4の表面に焼結法によって焼結されたリード膜8、気密膜10の上にさらに、原料焼結することによって行われる。
(1)酸化還元に対して強い膜となる材料であること。
これは、図1のセルチューブ2を吊るす上部側のシール部分においは、(図3の下部管板04参照)、酸化雰囲気と還元雰囲気との両方の雰囲気下に晒されるので、劣化するのを防止する必要があるからである。
(2)接着性向上膜12の下層の気密膜10に対して、反応することがない材料であること。
これは、下層の気密膜10と反応して劣化することを防止する必要があるからである。
(3)基体管4の熱膨張係数と接着性向上膜12の熱膨張係数とが近いこと。
これは、燃料電池の発電を繰り返す場合、発電時の温度は900℃前後と高温であり、温度の昇降の繰り返しによる割れを防止する必要があるからである。
そして、カルシウムチタネート(CaTiO3)を主体に、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)またはイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)を添加し、CaTiO3が20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%とを含む混合物によって構成している。このような組成配分にすることによって接着性向上膜12の熱疲労に対する耐久性が向上する。
粗粒成分(20μm)と微粒成分(数μm)とを混合することで、組成物の充填性を向上できる。
平均粒度20μmの粗粒成分のCSZまたはYSZが20〜50体積%を超えると、粗粒成分が多くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して焼き固まらなくなる。
また、平均粒度数μmの微粒成分のCSZまたはYSZとCaTiO3が80〜60体積%を超えると、微粒成分が多くなり焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなる。
その結果、燃料ガスのリークを確実に防止できる接着性向上膜を提供できると共に、耐久性を向上する接着性向上膜を得ることができる。
そして、実験結果をまとめたものを図3の図表に示す。なお、図3には、従来条件の成分割合、さらに比較例1〜10の成分割合も示す。
実験結果において、接着性向上膜の良否の評価は、スクラッチ試験(JIS H8305)による評価、表面粗度の計測結果による評価、ヒートサイクル試験による評価の3つの項目によって判定した。
JIS H8305に示されている試験は、鉄鋼製品に防食の目的で施した亜鉛、アルミニウム合金溶射皮膜の密着性を判定する方法であるが、この方法を今回の接着性向上膜12の密着性の判定に用いたものである。
また、ヒートサイクル試験は、常温と1000℃との間を上昇と下降の少なくとも1回を繰り返して、接着性向上膜12が、熱膨張率の差によって割れを生じないかを調べるものである。
YSZの粗粒を30%一定にして、CaTiO3を20、30、40%と変化させるとともに、YSZの微粒を50、40、30%と変化させた場合について前記3つの評価項目を評価した。その結果何れも満足いく結果が得られた。
CaTiO3が20〜40%の範囲を外れると、すなわち比較例3、4に示すように10%、50%となると、比較例3、4ともにヒートサイクル性が不適合となった。
これは、CaTiO3と、CSZまたはYSZとの配合比率が熱膨張率に影響してヒートサイクル性が不適合となったと考える。
次に、CaTiO3を30%一定にして、YSZの粗粒を20、40、50%と変化させるとともに、YSZの微粒を50、30、20%と変化させた場合について前記3つの評価項目を判定した。何れも満足いく結果が得られた。
YSZの粗粒が20〜50%の範囲を外れると、すなわち比較例5、6に示すように10、60%となると、スクラッチ試験およびヒートサイクル性が不適合となった。
これは、微粒と粗粒との配合割合が適切な範囲になく、微粒成分が多くなるに従って焼結の際に、固化しすぎて焼結固化の収縮によって割れを生じやすくなり、また、微粒成分が少なく粗粒成分が多くなるに従って、成分が粗くなって焼結しにくく脆くなり、膜として接着して固まり難くなったためと考える。
実施例1〜3がYSZの粗粒を30%一定にしていたのに対して、実施例7〜9はCSZの粗粒を30%一定にした例であり、前記実施例1〜3と同様のことがいえる。
すなわち、CaTiO3が20〜40%の範囲を外れると、すなわち比較例9、10に示すように10%、50%となると、ヒートサイクル性が不適合となった。
これは、CaTiO3と、CSZまたはYSZとの配合比率が熱膨張率に影響してヒートサイクル性が不適合となったと考える。
4 基体管
6 単電池膜
8 リード膜
10 気密膜
12 接着性向上膜
14 接着剤
16 シール部材
Claims (4)
- 燃料電池用基体管の表面に固体電解質を介在させて燃料極と空気極とを焼結法により成膜して単電池膜を構成してなるセルチューブであって、
セルチューブの基体管の表面に形成してなる導電性のリード膜と、該リード膜の表面に形成してなる気密性の高い気密膜とからなり、該気密膜の表面に表面粗度の大きい接着性向上膜を設け、該接着性向上膜の表面に接着剤を塗布してシール部材を密着してなる燃料電池用セルチューブのシール構造において、
前記接着性向上膜がカルシウムチタネート(CaTiO3)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)からなり、CaTiO3が20〜40体積%と、CSZまたはYSZが80〜60体積%との混合物で構成され、さらに、前記CSZまたはYSZは、それぞれ粒径が異なる粗粒成分と微粒成分との混合物からなり、粗粒成分が20〜50体積%含むことを特徴とする燃料電池用セルチューブのシール構造。 - 前記粗粒成分は平均粒径が20μmであり、前記微粒成分は平均粒径が数μmであことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セルチューブのシール構造。
- 前記CSZまたはYSZの微粒成分と、前記CaTiO3との合計が60〜80体積%含むことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セルチューブのシール構造。
- 酸化剤ガスと燃料ガスとを作動温度環境下の電池室内の外周面に単電池膜を成膜してなるセルチューブに供給することにより、前記酸化剤ガスと前記も燃料ガスとを電気化学的に反応させて電力を得るようにした円筒型固体電解質燃料電池モジュールにおいて、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池用セルチューブのシール構造を用いてなることを特徴とする燃料電池モジュール。
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