JP2009180284A - クラッチレリーズ軸受およびこれを備えるクラッチレリーズ軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低トルクでありながら、高い密封性を具備するクラッチレリーズ軸受を低コストに提供する。
【解決手段】クラッチレリーズ軸受10は、ボール13を介して相対回転可能に設けられた内輪11および外輪12と、両輪11,12間に形成される環状空間を、ボール13の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1および第2シール部材15,16とを主要な構成部材として備える。第1シール部材15は、その外径端部15aが、外輪12の一端に設けられた鍔部12bに隣接して取付固定されると共に、その内径端部15bが、内輪11の第1鍔部11bの端面11b1に摺接してシール部S1を形成している。外輪11は、鋼板素材のプレス成形品である。
【選択図】図2
【解決手段】クラッチレリーズ軸受10は、ボール13を介して相対回転可能に設けられた内輪11および外輪12と、両輪11,12間に形成される環状空間を、ボール13の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1および第2シール部材15,16とを主要な構成部材として備える。第1シール部材15は、その外径端部15aが、外輪12の一端に設けられた鍔部12bに隣接して取付固定されると共に、その内径端部15bが、内輪11の第1鍔部11bの端面11b1に摺接してシール部S1を形成している。外輪11は、鋼板素材のプレス成形品である。
【選択図】図2
Description
本発明は自動車をはじめとする車両のクラッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受、およびこれを備えるクラッチレリーズ軸受装置に関する。
クラッチレリーズ軸受装置は、マニュアルトランスミッション車のエンジンとトランスミッションとの間に配設され、クラッチペダルの操作に伴って軸方向移動し、クラッチのON/OFFを切り替えるものである。この種のクラッチレリーズ軸受装置に組み込まれるクラッチレリーズ軸受として、例えば図5に示す構成のものが公知である。同図に示すクラッチレリーズ軸受100は、転動体(ボール)104を介して相対回転可能に設けられた内輪101および外輪102を備え、内輪101の一端には、径方向外側に延在して、図示しないクラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部103が設けられている。また、ボール104の軸方向一端側(フロント側。エンジン側とも称される)および他端側(リア側。トランスミッション側とも称される)には、両輪101,102間に形成される環状空間に充填したグリースの外部漏洩や、環状空間への異物侵入を可及的に防止すべく、それぞれ第1シール部材105および第2シール部材106が配設される。
この軸受100では、軸受運転時の内圧上昇等に伴い、両シール部材105,106が環状空間の開口部から抜脱等するのを防止すべく、外輪102の内径面両端に環状溝102a,102bを設け、該環状溝102a,102bに、それぞれ第1および第2シール部材105,106の外径端部を取付固定(嵌合)している。なお、図5に示す両シール部材105,106のうち、第1シール部材105は、その内径側一端が内輪101に摺接可能に設けられた接触型、より厳密に述べると、その内径側一端に設けたリップ105aが、内輪101の外径面に対して摺接可能に設けられたラジアル接触型である(以上、例えば特許文献1を参照)。
特開2001−280367号公報
しかしながら、上記軸受構造では、外輪102に環状溝102a,102bを形成しなければならない分、外輪102の形状が複雑化し、外輪102の製造コストが高騰するおそれがある。また、図5に示す第1シール部材105は接触型であることから、一端側開口部の密封性を高める上で好適であるが、いわゆるラジアル接触で所望の密封性を安定的に確保するためには、リップ105aに十分な接触代を確保しなければならず、軸受トルクが増大し易いという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、低トルクでありながら高い密封性を具備するクラッチレリーズ軸受を低コストに提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、両輪間に形成される環状空間を転動体の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1シール部材および第2シール部材とを備え、内輪又は外輪の何れか一方が、その一端に、径方向に延在してクラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部を有するクラッチレリーズ軸受において、第1シール部材は、その径方向一端部が、前記一方の輪の鍔部に隣接して取付固定されると共に、その径方向他端部が、他方の輪の端面に摺接可能に設けられていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受を提供する。
上記のように、本発明では、第1シール部材の径方向一端部が、一方の輪に設けた鍔部に隣接して取付固定される。かかる構成とすれば、一方の輪に取付固定される第1シール部材の径方向一端部が、内圧上昇等に伴って軸受外方側(反転動体側)へ移動するのを鍔部で規制することができる。そのため、従来設けていた環状溝が不要となり、外輪又は内輪形状を簡略化して製造コストの高騰を抑制することができる。加えて、本発明では、第1シール部材の径方向他端部が、他方の輪の端面に摺接可能に設けられる。すなわち、本発明においては、第1シール部材の径方向他端部を、他方の輪に対してアキシャル接触させることとした。かかる構成とすれば、従来のラジアル接触に比べて軸受トルクを低減しつつも、高い密封性を確保することができる。
ところで、上記のように、第1シール部材を接触型とした場合、この第1シール部材を設けた側の開口部では密封性が高レベルに維持されるが、その反面、密封性が過剰に良好となって軸受内部が真空状態となり、第1シール部材の径方向他端部が他方の輪に吸着する場合がある。かかる吸着現象は、軸受トルクの増大や内圧の不当上昇を招く一因となるため、極力回避する必要がある。そこで、本発明では、第1シール部材の径方向他端部の他方の輪との摺接面に、径方向に延びる凹部を設け、この凹部を介して軸受内外を連通可能とした。かかる構成とすることで、密封性の低下を無視可能な程度の微小なものとしつつ、上記の吸着現象の発生を回避することができる。なお、凹部の形成態様(断面形状、形成箇所数等)は、所定の密封性を確保し得る限りにおいて適宜変更可能である。
また、上記課題を解決するための他の構成として、本発明では、転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、両輪間に形成される環状空間を転動体の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1シール部材および第2シール部材とを備え、内輪又は外輪の何れか一方が、その一端に、径方向に延在してクラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部を有するクラッチレリーズ軸受において、他方の輪の一端角部に、全周に亘って延びる切欠部が設けられ、第1シール部材は、その径方向一端部が、一方の輪の鍔部に隣接して取付固定されると共に、その径方向他端部が、切欠部との間にラビリンスシールを形成することを特徴とするクラッチレリーズ軸受を提供する。
上記のように、第1シール部材の径方向一端部を、一方の輪に設けた鍔部に隣接して取付固定することで、上記同様、第1シール部材の径方向一端部が、内圧上昇等に伴って軸受外方側(反転動体側)へ移動するのを鍔部で規制することができるため、従来設けていた環状溝が不要となり、外輪又は内輪形状を簡略化して製造コストの高騰を抑制することができる。加えて、第1シール部材は、その径方向他端部が、他方の輪の一端角部に設けた環状の切欠部との間にラビリンスシールを形成するものであるから、従来に比べて軸受トルクを低減しつつも、高い密封性を確保することができる。
以上に示す本発明の構成は、クラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部を有する一方の輪が、外輪又は内輪の何れであっても好適に採用可能である。
以上に示す本発明に係るクラッチレリーズ軸受は、例えば、固定体と、固定体との間に形成される容積可変チャンバの容積変動により固定体に沿って軸方向移動可能に設けられた可動体とを備え、該可動体にクラッチレリーズ軸受が設けられるタイプ、簡単に述べると油圧駆動式のクラッチレリーズ軸受装置に組み込んで好適に使用可能である。
以上のように、本発明によれば、低トルクでありながら高い密封性を具備するクラッチレリーズ軸受を低コストに提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るクラッチレリーズ軸受を組み込んだクラッチレリーズ軸受装置、詳細には、プッシュタイプの油圧駆動式クラッチレリーズ軸受装置の一例を示す断面図であり、クラッチが係合している状態を示すものである。同図に示すクラッチレリーズ軸受装置1は、ギアボックスのケーシング50に取り付けられた固定体30と、固定体30に対して軸方向移動可能に設けられ、固定体30と協働して容積可変チャンバ40を形成する可動体20とで主要部が構成される。容積可変チャンバ40には図示しない制御用油圧発生器が接続され、チャンバ40内には制御流体としてのオイルが充満されている。なお、説明の便宜上、以下の説明では、図中左側をフロント側、図中右側をリア側という。
固定体30は、リア側一端に容積可変チャンバ40の底部を構成するラジアルエッジ34が設けられたガイドチューブ33と、内径面に設けた溝部32にラジアルエッジ34の外径側一端を嵌合した略円筒状の外側本体31とで主要部が構成される。
可動体20は、ピストン支持チューブ21を介してガイドチューブ33に外嵌されたピストン22と、ピストン22のフロント側一端に配設され、図示しないクラッチ装置の回転部材(以下、これをダイヤフラムスプリングという)との摺接部を有するクラッチレリーズ軸受10とを主要な構成部材として備える。ピストン22は、軸方向に延在する外側円筒部22aおよび内側円筒部22bと、両円筒部をフロント側一端で接続する環状部22cと、外側円筒部22aの基端から外径側に張り出した突起部22dとを有する。ピストン22のうち、内側円筒部22bは外側本体31の内周に挿入され、固定体30との間に容積可変チャンバ40を形成し、突起部22dは、外側円筒部22aの外周に配設された予圧スプリング24のフロント側一端を係止する役割を担う。ピストン支持チューブ21のフロント側一端はピストン22の環状部22cを若干越えて延設され、この延設部分の外径面に形成された環状溝21aに皿ばね23が嵌合される。皿ばね23は、ピストン22の環状部22cと協働してクラッチレリーズ軸受10(の内輪11)を弾性的に支持するためのばね力を有するものであり、クラッチレリーズ軸受10は、皿ばね23のばね力でピストン22側に押圧されることによって調心が許容されるようになっている。
以上の構成からなるクラッチレリーズ軸受装置1において、クラッチを解除状態にする際の各部材の挙動を簡単に説明する。まず、図示しない油圧発生器によって容積可変チャンバ40内のオイルが加圧されると、容積可変チャンバ40の容積が増大するよう、ピストン22がフロント側に移動する。ピストン22は移動中にクラッチレリーズ軸受10を作動させる。クラッチレリーズ軸受10が作動すると、図示しないダイヤフラムスプリングにはスラスト力が付加され、これによりクラッチが解除される。
以下、本発明の要旨であるクラッチレリーズ軸受10について詳述する。図示例のクラッチレリーズ軸受10はいわゆるアンギュラ玉軸受からなり、図2にも拡大して示すように、複数の転動体(ボール)13を介して相対回転可能に設けられた内輪11および外輪12と、両輪間に組み込まれ、ボール13を円周方向等間隔で保持する保持器14と、両輪間に形成される環状空間を、ボール13のフロント側およびリア側でそれぞれ封止する第1および第2シール部材15,16とを備える。両輪11,12間に形成される環状空間には潤滑材としてのグリースが充満される。なお、図示例のクラッチレリーズ軸受10は、内輪11が静止側、外輪12が回転側を構成する外輪回転タイプの軸受である。
内輪11は、鋼板のプレス成形品とされ、軸方向に延びる略円筒状をなし、外径面にボール13の転動面11a1が形成された筒状部11aと、筒状部11aの一端(フロント側一端)から径方向内側に延び、先端部がピストン22の環状部22cと皿ばね23との間に介在する第1鍔部11bと、筒状部11aの他端(リア側一端)から径方向外側に延び、第2シール部材16と軸方向の間隙を介して対峙する第2鍔部11cとを一体に有する。第1の鍔部11bのリア側端面11b2は、これが当接するピストン22の環状部22cの端面形状に対応する形で、軸線と直交する方向の平坦面に形成される。
外輪12は、内輪11同様に鋼板のプレス成形品とされ、軸方向に延びる略円筒状をなし、内径面にボール13の転動面12a1が形成された筒状部12aと、筒状部12aのフロント側一端から径方向内側に延び、図示しないダイヤフラムスプリングと摺接する鍔部12bとを一体に有する。筒状部12aの内径面のうち、両シール部材15,16が固定される領域は軸線と平行な円筒面12a2に形成される。鍔部12bは、外側本体31とピストン22のフランジ部22dとの間で作用する予圧スプリング24によってダイヤフラムスプリングに常時当接しており、その断面形状は、ダイヤフラムスプリングと線接触(断面図では点接触)するように、フロント側に突出した凸円弧状とされる。
内輪11および外輪12形成用の鋼板としては、例えば浸炭鋼板を使用することができる。使用可能な浸炭鋼として、ニッケルクロム鋼(SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、クロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)などが挙げられる。なお、内輪11および外輪12の何れか一方又は双方は、上記のような鋼板のプレス成形品とする他、鍛造成形品、あるいは切削等の機械加工品とすることも可能である。
第2シール部材16は、断面略L字形状を呈する芯金17と、この芯金17表面を被覆するように加硫接着されたゴム製の被覆部18とからなり、全体として、フロント側を開口させた断面略コの字形状を呈する。この第2シール部材16は、外径端部16aが外輪筒状部12aのリア側円筒面12a2に圧入固定され、この状態で内径端部16b(被覆部18で形成したリップ)が内輪筒状部11aの外径面に接触する。これにより、両輪11,12間に形成される環状空間のリア側開口部を封止するシール部S2が形成される。
一方、第1シール部材15は、断面略L字形状を呈する芯金17と、この芯金17表面を被覆するように加硫接着されたゴム製の被覆部18とからなり、全体として、断面略L字形状を呈する。この第1シール部材15は、外径端部15aが外輪筒状部12aのフロント側の円筒面12a2に圧入固定される。すなわち、第1シール部材15の外径端部15aは、ダイヤフラムスプリングに摺接する鍔部12bに隣接して(鍔部12bとボール13との間に介在する領域に対して)取付固定され、この状態で内径端部15b(被覆部18で形成されたリップ)が内輪11の第1鍔部11aのフロント側端面11b1に接触する。これにより、両輪11,12間に形成される環状空間のフロント側開口部を封止するシール部S1が形成される。
図2の拡大図中に示すように、第1シール部材15の内径端部15bの内輪端面11b1との摺接面には、径方向に延び、内径端部15bの内外に開口した凹部(スリット)15b1が周方向の一又は複数箇所(本実施形態では一箇所)設けられ、この凹部15b1が設けられた周方向領域において、第1シール部材15の内径端部15bと内輪11の第1鍔部11bとは非接触とされる。この凹部15b1は、被覆部18の成形と同時に型成形される。
両シール部材15,16を構成する被覆部18の形成に用いるゴム材料としては、耐摩耗性や耐水性(耐候性)に優れる公知のゴム材料、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、耐熱ニトリルゴム、ポリアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)等が使用可能である。
以上に示すように、本発明にかかるクラッチレリーズ軸受10では、第1シール部材15の外径端部15aが、外輪12の鍔部12bに隣接して取付固定されるので、軸受の運転等に伴って内圧が上昇した場合であっても、第1シール部材15の軸受外方側への移動が外輪12の鍔部12bで規制される。そのため、従来の軸受のように、外輪12の内径面にシール部材(の外径端部)抜脱防止用の環状溝を設ける必要がない。従って、本実施形態のように、外輪12を、筒状部12aの内径面が円筒面状に形成されたプレス成形品とすることができ、外輪12を容易かつ低コストに製造することができる。なお、本実施形態では、内輪11の筒状部11aのリア側一端に、径方向外側に延び、第2シール部材16と軸方向の間隙を介して対峙する第2の鍔部11cを一体的に設けているので、外輪12の円筒面12a2に外径端部16aが圧入固定された第2シール部材16の抜脱も効果的に防止することができる。
また、両輪間11,12間に形成される環状空間のフロント側開口部を封止するシール部S1が、第1シール部材15の内径端部15bを内輪11の端面(フロント側端面)11b1に接触させることによって形成される、いわゆるアキシャル接触タイプのシール構造であるから、従来のようなラジアル接触タイプに比べて軸受トルクを低減しつつも、所期の密封性を確保することができる。
さらに、第1シール部材15の内径端部15bの内輪端面11b1との摺接面には、内径端部15bと内輪11の第1鍔部11bとを周方向の所定領域で非接触とする凹部15b1が形成されていることから、この凹部15b1を介して軸受内外が連通可能となる。そのため、第1シール部材15の内径端部15bが内輪11の端面11b1に、また、第2シール部材16の内径端部16bが内輪11の外径面(円筒面)に吸着等して軸受内部が真空状態となり、軸受トルクが増大したり、内圧が不当に上昇したりするのを効果的に防止することができる。特に、両シール部材15,16を接触型とした本実施形態においては、高い密封性を確保することができる反面、前述の吸着現象が生じ易いため、好適である。なお、凹部15b1が内径端部15bに占める領域は微小であるから、これを設けたことによる密封性の低下は考慮せずとも足りる。
なお、上述したように、本実施形態では、内輪11に一体的に設けた第2鍔部11cで、第2シール部材16の抜脱を防止するようにしているが、第2鍔部11cは、内輪11の筒状部11aのリア側一端に別部材を固定することによって構成することも可能である。この場合、第2鍔部11cを樹脂やセラミックスで形成して、クラッチレリーズ軸受10の軽量化を図ることもできる。
以上、本発明の一実施形態に係るクラッチレリーズ軸受10について説明を行ったが、本発明はこれに限定適用されるものではない。以下、本発明に係るクラッチレリーズ軸受の他の実施形態について図3および図4に基づいて説明を行うが、図3および図4では、以上で説明したものと異なる部位を中心に図示することとし、その他の部材・部位についての重複説明は省略する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るクラッチレリーズ軸受10の要部を概念的に示すものである。同図に示すクラッチレリーズ軸受10が図2に示すものと異なる主な点は、内輪11の一端角部(筒状部11aのフロント側角部)に、全周に亘って延びる切欠部11dを設け、この切欠部11dと、第1シール部材15の内径端部15bとの間に、ラビリンスシール(厳密には、径方向および軸方向のラビリンスシールS11,S12)を形成した点にある。このように全体として屈曲したラビリンスシールを形成すれば、従来に比べ軸受トルクを低減しつつも、高い密封性を確保することができる。
図4は、本発明の第3実施形態に係るクラッチレリーズ軸受10の要部を概念的に示すものである。同図に示すクラッチレリーズ軸受10は、図3に示すものの変形例である。詳細には、第1シール部材15を、芯金17と、その表面を被覆する被覆部18とで構成するのではなく、芯金17のみで構成した(いわゆる、シールドとした)点で図3に示すクラッチレリーズ軸受10と構成を異にしている。
以上(図示は図2のみ)では、第2シール部材16を、いわゆる接触型としたクラッチレリーズ軸受10に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、第2シール部材16は、いわゆる非接触型とすることも可能である(図示は省略)。この場合、第2シール部材16を設けたリア側開口部において軸受内外が連通可能となるため、図2に示す第1実施形態で第1シール部材15に設けた凹部15b1は設けずとも足りる。
また、以上では、内輪11のフロント側一端に、径方向内側に延びる第1鍔部11bが設けられたクラッチレリーズ軸受10に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、この種の鍔部を有さない内輪11を構成部材とするクラッチレリーズ軸受10に上述した本発明の各構成を適用することも可能である(図示は省略)。
また、以上では、ダイヤフラムスプリングと摺接する鍔部が外輪12に設けられたクラッチレリーズ軸受10に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、ダイヤフラムスプリングと摺接する鍔部が内輪11に設けられたクラッチレリーズ軸受10、換言すると、内輪回転タイプのクラッチレリーズ軸受10に本発明の構成を適用することも可能である。図示は省略するが、具体的には、図5に示す従来品のように、内輪11のフロント側一端に径方向外側に延在する鍔部を設け、この鍔部に隣接して第1シール部材の内径端部を取付固定すると共に、第1シール部材の外径端部を外輪の端面に摺接させれば良い(図2に示す実施形態に対応)。またあるいは、外輪のフロント側一端に全周に亘って延びる切欠部を設け、この切欠部と第1シール部材の外径端部とで径方向および軸方向のラビリンスシールを形成することもできる(図3あるいは図4に示す実施形態に対応)。
また、以上では、本発明に係るクラッチレリーズ軸受を、油圧駆動式のクラッチレリーズ軸受装置に組み込んだ場合について説明を行ったが、本発明に係るクラッチレリーズ軸受は、他の駆動形式(例えば、フォーク式)のクラッチレリーズ軸受装置に組み込んで使用することももちろん可能である。
以上、本発明について説明を行ったが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
1 クラッチレリーズ軸受装置
10 クラッチレリーズ軸受
11 内輪
11b 第1鍔部
12 外輪
12b 鍔部
13 ボール(転動体)
15 第1シール部材
15a 外径端部
15b 内径端部
15b1 凹部
16 第2シール部材
20 可動体
30 固定体
40 容積可変チャンバ
S1,S2 シール部
S11,S12 ラビリンスシール
10 クラッチレリーズ軸受
11 内輪
11b 第1鍔部
12 外輪
12b 鍔部
13 ボール(転動体)
15 第1シール部材
15a 外径端部
15b 内径端部
15b1 凹部
16 第2シール部材
20 可動体
30 固定体
40 容積可変チャンバ
S1,S2 シール部
S11,S12 ラビリンスシール
Claims (6)
- 転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、両輪間に形成される環状空間を前記転動体の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1シール部材および第2シール部材とを備え、内輪又は外輪の何れか一方が、その一端に、径方向に延在してクラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部を有するクラッチレリーズ軸受において、
前記第1シール部材は、その径方向一端部が、前記一方の輪の鍔部に隣接して取付固定されると共に、その径方向他端部が、他方の輪の端面に摺接可能に設けられていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受。 - 前記第1シール部材の径方向他端部の他方の輪との摺接面に、径方向に延びる凹部を設け、この凹部を介して軸受内外を連通可能とした請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受。
- 転動体を介して相対回転可能に設けられた内輪および外輪と、両輪間に形成される環状空間を前記転動体の軸方向一端側および他端側でそれぞれ封止する第1シール部材および第2シール部材とを備え、内輪又は外輪の何れか一方が、その一端に、径方向に延在してクラッチ装置の回転部材と摺接する鍔部を有するクラッチレリーズ軸受において、
他方の輪の一端角部に、全周に亘って延びる切欠部が設けられ、
前記第1シール部材は、その径方向一端部が、前記一方の輪の鍔部に隣接して取付固定されると共に、その径方向他端部が、前記切欠部との間に、ラビリンスシールを形成することを特徴とするクラッチレリーズ軸受。 - 前記鍔部を有する一方の輪が、外輪である請求項1又は3に記載のクラッチレリーズ軸受。
- 前記鍔部を有する一方の輪が、内輪である請求項1又は3に記載のクラッチレリーズ軸受。
- 固定体と、固定体との間に形成される容積可変チャンバの容積変動により固定体に沿って軸方向移動可能に設けられた可動体とを備え、可動体に、請求項1〜5の何れか一項に記載のクラッチレリーズ軸受が設けられたクラッチレリーズ軸受装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008019488A JP2009180284A (ja) | 2008-01-30 | 2008-01-30 | クラッチレリーズ軸受およびこれを備えるクラッチレリーズ軸受装置 |
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WO2011142217A1 (ja) * | 2010-05-11 | 2011-11-17 | Ntn株式会社 | 両シール付き玉軸受 |
JP2011236983A (ja) * | 2010-05-11 | 2011-11-24 | Ntn Corp | 両シール付き玉軸受 |
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