JP2009175632A - トナーの製造方法 - Google Patents

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隆志 伊賀
Takuya Kaneda
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Abstract

【課題】噴霧乾燥・造粒工程において、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れるトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を、有機溶剤中に溶解又は分散させて油性原料液を調製する工程、並びに、当該調製された油性原料液を、当該油性原料液と圧縮不活性ガスとを混合ないしは衝突することで噴霧流とし、さらに当該噴霧流同士を衝突させる機構を備えたスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度が、当該結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成する噴霧乾燥・造粒工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、及び静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられるトナーの製造方法に関し、更に詳細には、粒径の形状、粒径、及び粒径分布を制御でき、生産性に優れるトナーの製造方法に関する。
従来のトナーの製造方法においては、粒径の形状、粒径、及び粒径分布を制御し易いことから、懸濁重合法、乳化凝集重合法、及び分散重合法等の重合法、並びに溶解懸濁法等の湿式法が採用されてきた。これらの湿式法の中でも、印刷時に高画質の画像形成を行なうことができることから、特に、懸濁重合法が好ましく採用されている。
湿式法の中でも代表的に挙げられる、懸濁重合法によるトナーの製造方法では、(1)重合性単量体組成物の調製工程、(2)液滴形成工程、(3)重合工程、及び(4)洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程等の多くの工程を経て製造されるため、生産性向上の観点から、工程数の省略、及び設備面の簡略化をはかる検討が行われ始めている。
従来、乾燥工程において、乾燥機に乾燥対象物を適用する際には、燃費効率の観点から、予め、乾燥対象物の水分量を十分に低下させておく必要があり、乾燥工程の前工程として脱水工程が設けられていたが、パルス衝撃波乾燥機を用いることにより、含水率が比較的高い状態の乾燥対象物を直接適用することが可能となり、脱水工程の省略をはかる検討が行われている。
また、乾燥工程において、留意すべきことは、トナーの構成成分の90%以上を占める樹脂のガラス転移温度(Tg)を考慮して乾燥機の温度設定をすることである。当該乾燥機の設定温度が、高過ぎると、乾燥対象物同士の凝集及び/又は融着や、乾燥対象物の乾燥機内への融着が生じ、着色樹脂粒子の粒径が肥大化すると共に、粒径分布がブロード化し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす等の問題があり、様々な検討が行われている。
特許文献1では、顔料粒子を高分子化合物でマイクロカプセル化し、当該マイクロカプセル化顔料を有機溶媒中に分散させて分散体組成物を調製し、当該調製された分散体組成物(固形分濃度:20重量%)をスプレードライヤー(ヤマト科学社製、商品名:GS−30)に供給して、100℃の温度下で噴霧乾燥を行ない、粉体化することにより、乾式トナーを製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の製造方法は、100℃の高温下で噴霧乾燥が行なっていることから、噴霧乾燥に多くのエネルギーを要し、噴霧乾燥燃費が悪いと推測されると共に、噴霧乾燥時に乾燥機内で高分子の融着等の不具合が引き起こされている虞があり、粒径の形状、粒径、及び粒径分布を高いレベルで制御するまでには至っていない。
特許文献2では、樹脂としてスチレン−アクリル酸エステル共重合体(ガラス転移温度:52℃)を分散媒中に微分散させて分散液を調製し、当該調製された分散液(固形分濃度:10重量%)を圧力押し出し方式により液滴状に40〜60℃の雰囲気下で吐出し、当該液滴状の分散液から分散媒を除去した後、50℃に加温した状態で含水率を低下させて、樹脂微粒子(トナー)を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2の製造方法は、比較的低い温度下で樹脂微粒子(トナー)が製造されているため、樹脂微粒子同士の凝集及び/又は融着や、樹脂微粒子の機内への融着等の不具合は生じなかったものと考えられるが、トナーの生産性を高めるための試みはなされていない。
特開2006−259511号公報 特開2006−152060号公報
本発明の目的は、噴霧乾燥・造粒工程において、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れるトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を用いて調製された油性原料液を、本発明で特定するスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度(出口温度)が、本発明で特定する温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行なうことにより、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を、有機溶剤中に溶解又は分散させて油性原料液を調製する工程、並びに、当該調製された油性原料液を、当該油性原料液と圧縮不活性ガスとを混合ないしは衝突することで噴霧流とし、さらに当該噴霧流同士を衝突させる機構を備えたスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度が、当該結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成する噴霧乾燥・造粒工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、噴霧乾燥・造粒工程において、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れたトナーの製造方法が提供される。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を、有機溶剤中に溶解又は分散させて油性原料液を調製する工程、並びに、当該調製された油性原料液を、当該油性原料液と圧縮不活性ガスとを混合ないしは衝突することで噴霧流とし、さらに当該噴霧流同士を衝突させる機構を備えたスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度が、当該結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成する噴霧乾燥・造粒工程を含むことを特徴とするものである。
(1)油性原料液の調製工程
本工程では、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤、並びに必要に応じてその他の添加物を含有するトナー用の原料を、有機溶剤中に均一に溶解又は分散させて、油性原料液の調製を行なう。
油性原料液を調製する際の溶解又は分散には、例えば、インライン型乳化分散機、メディア式分散機、高圧乳化分散機、及び超音波乳化分散機等を用いて行なうことができる。
結着樹脂としては、一般にトナー用の結着樹脂として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、及び水添石油樹脂等が挙げられる。
なお、これらの結着樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着樹脂のガラス転移温度は、次の噴霧乾燥・造粒工程において、効率良く噴霧乾燥を行なうことができることから、35〜80℃であることが好ましく、40〜75℃であることがより好ましく、45〜70℃であることがさらに好ましい。
なお、結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計によって測定される値であり、例えば、セイコー電子工業社製の示差走査熱量計(商品名:SSC5200)を用いて測定することができる。
なお、2種以上の結着樹脂を組み合わせて用いた際、ガラス転移温度が2つ以上存在する場合には、測定される最も低いガラス転移温度をその結着樹脂のガラス転移温度とする。
上記結着樹脂のガラス転移温度が、上記範囲未満である場合には、次の噴霧乾燥・造粒工程において、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着が生じ易くなり、着色樹脂粒子の粒径が肥大化すると共に、粒径分布がブロード化し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記結着樹脂のガラス転移温度が、上記範囲を超える場合には、トナーの定着性が低下し、印刷時には定着温度を高く設定しなければならず、ランニングコストが高くなると共に、トナーの印字性能にも悪影響を及ぼす場合がある。
有機溶剤としては、一般にトナー用の結着樹脂を溶解又は分散することができる有機溶剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、メタノール、及びブタノール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びイソブチルメチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、及びジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、及びミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジアルキルポリシロキサン、及び環状ポリジアルキルシロキサン等のシリコーンオイル;酢酸エチル、及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。
なお、これらの有機溶剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機溶剤の中でも、次の噴霧乾燥・造粒工程において、噴霧乾燥しながら造粒を行なう際に、効率良く有機溶剤を留去することができることから、70〜120℃の比較的低い沸点を有する有機溶剤が好ましく用いられ、具体的には、トルエン(沸点:110.6℃)、シクロペンチルメチルエーテル(沸点:106℃)、及びシクロヘキサン(沸点:81℃)等が好ましく用いられる。
本発明では、有機溶剤を、結着樹脂100重量部に対して、通常50〜400重量部、好ましくは100〜300重量部の割合で用いることが望ましい。
着色剤としては、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、及びマゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアンの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエローの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタの着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、着色剤を、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは3〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、トナーの定着ロールからの剥離性を向上させるために、離型剤を用いる。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。
なお、これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性または負帯電性を有する各種の帯電制御剤を用いる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、本発明においては、帯電制御剤の中でも、結着樹脂との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、帯電制御樹脂を用いることが好ましい。
帯電制御樹脂は、例えば、種々の市販品を用いることができ、正帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製として、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられ、負帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製として、FCA−626N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−748N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−1001N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
なお、これらの帯電制御剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、帯電制御剤を、結着樹脂100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.02〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、その他の添加物として、顔料分散剤、樹脂改質剤、及び酸化防止剤等を用いることもできる。
本工程において、調製された油性原料液の固形分濃度は、次の噴霧乾燥・造粒工程において、噴霧乾燥及び造粒を効率良く行なう観点から、10〜70重量%であることが好ましく、15〜65重量%であることがより好ましく、20〜60重量%であることがさらに好ましい。
ここで、「油性原料液の固形分濃度」とは、下記計算式1により求められる値である。
Figure 2009175632
上記油性原料液の固形分濃度が、上記範囲未満である場合には、油性原料液に含まれる有機溶剤の量が多過ぎるため、次の噴霧乾燥・造粒工程において、有機溶剤の気化及び留去に多くのエネルギーを要し、生産性が低下する場合がある。一方、上記油性原料液の固形分濃度が、上記範囲を超える場合には、油性原料液の粘度が高くなり過ぎるため、次の噴霧乾燥・造粒工程において、ノズルの閉塞が起り易くなり、生産性が低下する場合がある。
本工程において、調製された油性原料液を、スプレードライヤーに供給する送液手段としては、送液をスムーズに行なうことができるものであれば、特に限定されず、例えば、渦巻ポンプ、及び軸流ポンプ等の遠心式ポンプ;プランジャーポンプ、及びダイアフラムポンプ等の容積往復動式ポンプ;ギヤーポンプ、スクリューポンプ、ベーンポンプ、及びモーノポンプ等の容積回転式ポンプ;等を用いることができる。
これらの送液手段の中でも、油性原料液の固形分濃度が50重量%以上の比較的高い油性原料液を、スプレードライヤーに供給する際には、送液をスムーズに行なうことができることから、送液手段として容積回転式ポンプが好ましく用いられ、例えば、兵神装備社製のヘイシンモーノポンプ等が代表的に挙げられる。
(2)噴霧乾燥・造粒工程
本工程では、上記油性原料液の調製工程を経て得られる油性原料液を、本発明で特定するスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度(出口温度)が、本発明で特定する温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成する。
本発明で特定する「スプレードライヤー」とは、油性原料液と圧縮不活性ガスとを混合ないしは衝突することで噴霧流とし、さらに当該噴霧流同士を衝突させ、その衝撃によって造粒(微粒化)が行なわれ、所望の着色樹脂粒子が得られる噴霧乾燥機のことをいう。
上記のような噴霧機構を有するノズルとしては、一般に3流体又は4流体のノズルがある。
3流体又は4流体のノズルは、液流体が通過可能な液体路、及び気流体が通過可能な気体路から構成され、路の合計が3又は4であり、液体路を通して液流体(油性原料液)を噴霧流(液滴)とする際、気体路を通して噴出される気流体(圧縮不活性ガス)に、当該液流体(油性原料液)が混合ないしは衝突するのに適した位置にそれぞれの路を配置し、さらに噴霧流同士(液滴同士)が一点の焦点(衝突焦点)で衝突させることができるように設計されたノズルのことをいう。
以下、4流体のノズルについて、図1に示す模式的断面図を用いて説明する。
4流体ノズルは、ノズル中央部(1)の両側に、2つの液体路(2A,2B)、及び2つの気体路(3A,3B)の合計4つの路を有し、液体路及び気体路の先端部付近にて液流体と気流体とが接触するように、それぞれ噴霧させて液滴を形成し、当該液滴を瞬時に乾燥させて、さらに、ノズル中央部先端の衝突焦点(4)にて液滴同士を衝突させて、造粒が行なわれ、所望の着色樹脂粒子(5)を得ることができる構造を有する。
本発明で用いる圧縮不活性ガスは、その圧力が0.1〜2MPaであることが好ましく、0.2〜1.5MPaであることがより好ましく、0.3〜1MPaであることがさらに好ましい。また、圧縮不活性ガスの流量は、装置の大きさに応じてその適正流量が変化するので特に限定されない。
なお、不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、及びアルゴン等の希ガス、二酸化炭素、及び窒素等が挙げられるが、これらの中でも窒素が好ましい。
不活性ガスを圧縮する方法は、一般に気体の圧縮方法として用いられている方法であれば、特に限定されず、例えば、ターボ型圧縮機、及び容積型圧縮機を用いた圧縮方法が代表的に挙げられる。
具体的に、ターボ型圧縮機としては、遠心式圧縮機、及び軸流式圧縮機等が挙げられ、また、容積型圧縮機としては、ピストン式圧縮機、及びダイヤフラム式圧縮機等の往復式圧縮機;ねじ式圧縮機、可動翼式圧縮機、スクロール式圧縮機、及びツース式圧縮機等の回転式圧縮機;等が挙げられる。
上述した噴霧乾燥・造粒工程において、噴霧流(液滴)中の溶液分を気化(乾燥)させる過程で、本発明で特定するスプレードライヤーの排気温度(出口温度)は、急激に失われる気化熱の量(気化される溶液分の量)に伴って低下する。
「気化される溶液分の量」に依存する要因としては、「油性原料液の溶液分濃度」、「油性原料液の供給量」、及び「本発明で特定するスプレードライヤーの入口温度(熱風温度)」等が主に挙げられる。
ここで、「油性原料液の溶液分濃度」とは、下記計算式2により求められる値である。
Figure 2009175632
本発明において、スプレードライヤーの排気温度(出口温度)は、結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下となるように、「油性原料液の溶液分濃度」及び「油性原料液の供給量」を選定し、「スプレードライヤーの入口温度(熱風温度)」を適宜調節する。
本発明で特定するスプレードライヤーの排気温度(出口温度)は、結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下、好ましくは結着樹脂のガラス転移温度より低い温度以下になるように制御する。また、スプレードライヤーの現実的な運転を考慮すると、スプレードライヤーの排気温度(出口温度)の下限は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。
上記スプレードライヤーの排気温度が、上記範囲を超える場合には、噴霧乾燥・造粒工程において、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のドライヤー内への融着が生じ易くなり、着色樹脂粒子の粒径が肥大化すると共に、粒径分布がブロード化し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の噴霧乾燥・造粒工程は、(A)前記スプレードライヤー内に圧縮不活性ガスを導入して、当該スプレードライヤー内を圧縮不活性ガスで置換する工程、(B)当該スプレードライヤーに接続した排気装置を用いて、当該導入された圧縮不活性ガスを排気しながら、前記油性原料液を当該スプレードライヤーに供給して、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成し、圧縮不活性ガスに同伴して排出される着色樹脂粒子を分離・回収する工程、(C)当該着色樹脂粒子を分離した後の圧縮不活性ガス中に含まれる有機溶剤を分離・回収する工程、及び(D)当該有機溶剤を分離した後の圧縮不活性ガスを当該スプレードライヤー内に循環する工程を含むことが環境に与える負荷が小さいことや安全性の面から好ましい。
本発明の噴霧乾燥・造粒工程において、本発明で特定するスプレードライヤー内には、粉塵爆発対策として圧縮不活性ガスを導入することが好ましい。
スプレードライヤー内に圧縮不活性ガスを導入して、当該スプレードライヤー内を圧縮不活性ガスで置換させた後の当該スプレードライヤー内の酸素濃度は、5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることがさらに好ましい。
本発明の噴霧乾燥・造粒工程において、形成された着色樹脂粒子は、本発明で特定するスプレードライヤーに接続された分離機、捕集機等を用いて分離・回収することができる。
分離機、捕集機としては、例えば、サイクロンセパレータ、及びバグフィルター等を用いることができる。
本発明の噴霧乾燥・造粒工程において、本発明で特定するスプレードライヤー内で蒸発した有機溶剤は、着色樹脂粒子を分離した後の圧縮不活性ガスから、凝縮機によって有機溶剤を凝縮させる方法、及び吸着剤、膜分離によって有機溶剤を分離する方法等を用いて分離・回収することができる。
本発明の噴霧乾燥・造粒工程において、有機溶剤を分離した後の圧縮不活性ガスは、再度、本発明で特定するスプレードライヤーに戻して循環利用することができる。
本発明のトナーの製造方法によれば、噴霧乾燥と造粒を同時に行なうことができるため、従来の懸濁重合法によるトナーの製造方法では必須とされてきた液滴形成工程、及び脱水工程の工程を省略することができると共に、重合工程や洗浄工程も不要であるため製造方法の工程数を大幅に削減でき、設備面でも簡略化がはかれ、経済性にも優れるトナーの製造方法を提供することができる。
(3)着色樹脂粒子
上記噴霧乾燥・造粒工程を経て得られる、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高く、印字性能にも優れる着色樹脂粒子について以下に述べる。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、印刷時に高画質の画像形成を行なうことができることから、3.5〜12μmであることが好ましく、4〜10μmであることがより好ましく、5〜9μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲を超える場合には、高精細な画像形成が難しくなり、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
着色樹脂粒子の個数平均粒径(Dn)は、印刷時に高画質の画像形成を行なうことができることから、3〜11μmであることが好ましく、3.5〜9μmであることがより好ましく、4〜8μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dn)が、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dn)が、上記範囲を超える場合には、高精細な画像形成が難しくなり、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比である粒径分布(Dv/Dn)は、印刷時に高画質の画像形成を行なうことができることから、1.3以下であることが好ましく、1.25以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒径測定機を用いて測定される値である。
着色樹脂粒子の平均円形度は、高画質の画像を形成する観点から、0.90〜0.99であることが好ましく、0.92〜0.99であることがより好ましく、0.94〜0.99であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、トナー印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明において、「円形度」とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.4μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式3よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式4より平均円形度(Ca)を求める。
計算式3:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2009175632
(4)トナー
本発明で得られる着色樹脂粒子は、そのままで、あるいは着色樹脂粒子とキャリア粒子(フェライト、及び鉄粉等)により、トナーとしてもよいが、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、高速撹拌機(例えば、商品名:FMミキサー(三井鉱山社製)等)を用いて、着色樹脂粒子と外添剤を混合して、1成分トナーとしてもよく、着色樹脂粒子と外添剤を混合した後、さらにキャリア粒子を混合して2成分現像剤としてもよい。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び酸化チタンが好ましく、特にシリカが好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜6重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
上記(1)〜(4)の工程を経て製造されるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を用いて調製された油性原料液を、本発明で特定するスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度(出口温度)が、本発明で特定する温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行なうことにより、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(試験方法)
(1)ガラス転移温度
測定試料(結着樹脂)を約10mg精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名:SSC5200)を用いて、ASTMD3418−97に準じて、精秤した測定試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲:0〜150℃の間で、昇温速度:10℃/minの条件下で、結着樹脂のガラス転移温度を測定した。
(2)着色樹脂粒子
(2−1)体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒径分布(Dv/Dn)
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
(2−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式3に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式3:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(実施例1)
(油性原料液の調製工程)
有機溶剤としてトルエン460部中に、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂(三洋化成工業社、商品名:ST120、Tg=61℃)60部及びスチレンアクリル樹脂(三洋化成工業社、商品名:ST150、Tg=68℃)40部、イエロー着色剤としてイエロー顔料(クラリアント社製、商品名:Toner Yellow 3GP)6部、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−207P、スチレン/アクリル樹脂)4部、及び離型剤としてエステルワックス(日本油脂社製、商品名:WEP−7)5部を添加し、混合して、油性混合液を得た。
なお、結着樹脂のガラス転移温度は、結着樹脂として用いた2種のスチレンアクリル樹脂を、予め、所定の混合比に混合し、当該混合した2種のスチレンアクリル樹脂のガラス転移温度を測定した。その結果、結着樹脂のガラス転移温度は63.8℃であった。
上記により得られた油性混合液を、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダーMDN303V)を用いて、15,000rpmの回転数で、循環混合しながら高剪断攪拌して、油性混合液を分散し、循環混合回数が20回になった時点で運転を終了させ、固形分濃度が20重量%(溶液分濃度が80重量%)の油性原料液を得た。
(噴霧乾燥・造粒工程)
4流体ノズルを有するスプレードライヤー(藤崎電機社製、商品名:MDL−050M型)に、圧縮不活性ガスとして窒素ガスを導入し、当該スプレードライヤー内を窒素ガスで置換させると同時に、当該スプレードライヤーに接続した排気装置を用いて、当該導入した窒素ガス(排気ガス)を排気させながら、上記により得られた油性原料液を、送液手段としてモーノポンプ(兵神装備社製、商品名:ヘイシンモーノポンプ 2NBL06F)を用いて、当該スプレードライヤー内に供給し、表1に示したスプレードライヤーの運転条件下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成し、窒素ガス(排気ガス)に同伴して排出される着色樹脂粒子を分離・回収した。このとき、スプレードライヤー内の壁面への着色樹脂粒子の融着度合を目視にて判定した。
なお、スプレードライヤーに窒素ガスを導入して、当該スプレードライヤー内を窒素ガスで置換させた後の当該スプレードライヤー内の酸素濃度は0.2%であった。
着色樹脂粒子を分離した後の窒素ガス中に含まれる有機溶剤は、凝縮させることにより分離・回収し、さらに、有機溶剤を分離した後の窒素ガスは、再度、スプレードライヤー内に戻して循環利用した。
なお、噴霧乾燥・造粒工程後に得られた着色樹脂粒子の一部を採取し、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、粒径分布(Dv/Dn)、及び平均円形度を測定した。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、環状シラザンで疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、商品名:TG820F)0.5部、及びアミノ変性シリコーンオイルで疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:NEA50)1.5部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、5分間、周速35m/sで混合攪拌して外添処理を行ない、実施例1のトナーを作製した。
(実施例2)
実施例1のスプレードライヤーの運転条件において、油性原料液の供給量を、0.6kg/hrから1.5kg/hrに変更し、さらに、スプレードライヤーの入口温度を、70℃から80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを作製した。
(実施例3)
実施例1のスプレードライヤーの運転条件において、油性原料液の供給量を、0.6kg/hrから2.4kg/hrに変更し、さらに、スプレードライヤーの入口温度を、70℃から90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナーを作製した。
(実施例4)
実施例1の油性原料液の調製工程において、有機溶剤であるトルエンの添加量を、460部から76.7部に変更し、固形分濃度が60重量%の油性原料液を調製し、さらに、スプレードライヤーの運転条件において、油性原料液の供給量を、0.6kg/hrから4.8kg/hrに変更し、さらに、スプレードライヤーの入口温度を、70℃から90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナーを作製した。
(比較例1)
実施例1のスプレードライヤーの運転条件において、スプレードライヤーの入口温度を、70℃から90℃に変更したことに伴って、スプレードライヤーの排気温度が50℃から75℃に上昇したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを作製した。
(比較例2)
実施例1のスプレードライヤーの運転条件において、ノズル部分のみを噴霧流同士を衝突させる機構を有さない2流体ノズルに変更し、さらに、スプレードライヤーの入口温度を、70℃から75℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナーを作製した。
(比較例3)
実施例4のスプレードライヤーの運転条件において、ノズル部分のみを噴霧流同士を衝突させる機構を有さない2流体ノズルに変更したこと以外は、実施例4と同様にして比較例3のトナーを作製した。
(スプレードライヤーの運転条件)
各実施例及び比較例で用いたスプレードライヤーの運転条件を、表1に示す。
なお、表1中の注記は以下のとおりである。
*1:油性原料液の固形分量;(油性原料液の供給量)×(油性原料液の固形分濃度)
*2:油性原料の溶液分量;(油性原料液の供給量)×(油性原料液の溶液分濃度)
Figure 2009175632
(結果)
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表2に示す。
Figure 2009175632
(結果のまとめ)
表2に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1のトナーは、噴霧乾燥・造粒工程において、スプレードライヤーの排気温度が、本発明で特定した温度よりも高い温度下で噴霧乾燥しながら造粒を行なって製造されたことに起因し、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内の壁面への融着が多量に確認され、所望の着色樹脂粒子を作製することができなかった。
比較例2のトナーは、噴霧乾燥・造粒工程において、本発明で特定する以外のノズルを有するスプレードライヤーを用いて製造されたことに起因し、粒径分布がブロード化し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす虞のあるトナーであった。
比較例3のトナーは、噴霧乾燥・造粒工程において、比較例2と同様のスプレードライヤーを用い、実施例4と同様のスプレードライヤーの運転条件で製造されたことに起因し、着色樹脂粒子の粒径が肥大化すると共に、粒径分布がブロード化し、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす虞のあるトナーであった。
これに対して、実施例1〜4のトナーは、本発明で特定した油性原料液の調製工程、及び噴霧乾燥・造粒工程を経て製造されたことに起因し、着色樹脂粒子同士の凝集及び/又は融着や、着色樹脂粒子のスプレードライヤー内への融着を生じさせることなく、粒径分布がシャープで、且つ、小粒径で円形度が高い着色樹脂粒子を、効率良く生産することができ、印字性能にも優れるトナーであった。
図1は、4流体ノズルの一例を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 ノズル中央部
2A 液体路
2B 液体路
3A 気体路
3B 気体路
4 衝突焦点
5 着色樹脂粒子

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤を含有するトナー用の原料を、有機溶剤中に溶解又は分散させて油性原料液を調製する工程、並びに、当該調製された油性原料液を、当該油性原料液と圧縮不活性ガスとを混合ないしは衝突することで噴霧流とし、さらに当該噴霧流同士を衝突させる機構を備えたスプレードライヤーに供給して、当該スプレードライヤーの排気温度が、当該結着樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度以下で、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成する噴霧乾燥・造粒工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記噴霧乾燥・造粒工程が、(A)前記スプレードライヤー内に圧縮不活性ガスを導入して、当該スプレードライヤー内を圧縮不活性ガスで置換する工程、(B)当該スプレードライヤーに接続した排気装置を用いて、当該導入された圧縮不活性ガスを排気しながら、前記油性原料液を当該スプレードライヤーに供給して、噴霧乾燥しながら造粒を行ない、着色樹脂粒子を形成し、圧縮不活性ガスに同伴して排出される着色樹脂粒子を分離・回収する工程、(C)当該着色樹脂粒子を分離した後の圧縮不活性ガス中に含まれる有機溶剤を分離・回収する工程、及び(D)当該有機溶剤を分離した後の圧縮不活性ガスを当該スプレードライヤー内に循環する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記着色樹脂粒子の平均円形度が、0.90〜0.99であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比である粒径分布(Dv/Dn)が、1.3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記トナーが、少なくとも1種以上の外添剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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