JP2009173488A - フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法 - Google Patents

フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009173488A
JP2009173488A JP2008014004A JP2008014004A JP2009173488A JP 2009173488 A JP2009173488 A JP 2009173488A JP 2008014004 A JP2008014004 A JP 2008014004A JP 2008014004 A JP2008014004 A JP 2008014004A JP 2009173488 A JP2009173488 A JP 2009173488A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
content
weight
paste
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008014004A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4462355B2 (ja
Inventor
Kunio Oda
邦夫 小田
Naoki Sudo
直樹 須藤
Yukio Takahashi
幸雄 高橋
Kunihiko Kawasaki
邦彦 川崎
Hiroshi Momoi
博 桃井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2008014004A priority Critical patent/JP4462355B2/ja
Priority to US12/114,960 priority patent/US20080283188A1/en
Priority to CN 200810107817 priority patent/CN101306947B/zh
Priority to KR1020080045525A priority patent/KR20080101771A/ko
Publication of JP2009173488A publication Critical patent/JP2009173488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4462355B2 publication Critical patent/JP4462355B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】フェライト層でのクラックの発生を抑制できるフェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るフェライトペーストは、フェライト粉末と有機ビヒクルとを含有し、有機ビヒクルは、ポリビニルアセタール系樹脂とエチルセルロースとからなるバインダと有機溶剤とを含有する。フェライトペーストに含まれるバインダの含有量は、フェライト粉末100重量部に対して3.0重量部〜5.0重量部であり、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量は、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満である。エチルセルロースの含有量は、バインダの含有量からポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部である。
【選択図】図4

Description

本発明は、フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法に関する。
一般に、チップインダクタ、チップビーズ、チップトランス、LC複合チップ部品等の積層型セラミック部品は、フェライトペーストから形成されるフェライト層と、導体ペーストから形成される導体パターンとを積層一体化した後に焼成し、これに外部電極を形成することにより製造される。
積層型セラミック部品の一例として、特許文献1に記載の積層型インダクタンス素子がある。この積層型インダクタンス素子では、バインダとしてエチルセルロース樹脂を含むフェライトペースト及び導体ペーストを印刷法によって交互に積層し、これを所定サイズに切断することによって、内部にコイル状の導電体を有する積層体を形成している。この積層体を焼成し、外部電極を形成することによって、積層型インダクタンス素子が製造される。
特許第3035479号公報
しかしながら、上述した従来の製造方法では、導体パターンを覆うようにフェライトペーストを印刷してフェライト層を形成する際、導体パターンの脇に位置するフェライト層の厚みが、導体パターンの直上に位置するフェライト層の厚みより厚くなる傾向がある。フェライト層が厚い部分では、薄い部分に比べて乾燥が遅れるため、クラックが生じる傾向がある。
このクラックの発生は、フェライトペーストにバインダとして含まれるエチルセルロース樹脂の堅くて脆い性質にも起因している。また、導体パターンが厚いほど、フェライト層の厚み差が大きくなるため、クラックが発生し易くなる傾向がある。
また、上述した従来の製造方法では、積層体の加熱処理(脱バインダ、焼成等)における脱バインダによってフェライト層の強度が下がり、保形性が低くなりやすい。そのため、導体パターンの収縮に伴い、導体に密着しているフェライト層においてクラックを生じ易い傾向がある。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、フェライト層でのクラックの発生を抑制できるフェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係るフェライトペーストは、フェライト粉末と、有機ビヒクルと、を含有するフェライトペーストであって、有機ビヒクルが、ポリビニルアセタール系樹脂及びエチルセルロースからなるバインダと、有機溶剤とを含有し、バインダの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して3.0以上5.0重量部以下であり、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満であり、エチルセルロースの含有量が、バインダの含有量からポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部であることを特徴としている。
また、本発明に係る積層型セラミック部品の製造方法は、フェライトペーストからフェライトグリーン層を形成する工程と、フェライトグリーン層を乾燥させてフェライト乾燥層を形成する工程と、フェライト乾燥層上に導体ペーストを印刷し、当該導体ペーストを乾燥させて導体パターンを形成する工程と、導体パターンが形成されたフェライト乾燥層上に、更に別のフェライト乾燥層と導体パターンとを交互に重ねて積層体を形成する工程とを備え、焼成前の導体パターンの厚さが、7μm〜29μmであり、フェライトペーストが、フェライト粉末と、有機ビヒクルと、を含有し、有機ビヒクルが、ポリビニルアセタール系樹脂及びエチルセルロースからなるバインダと、有機溶剤とを含有し、バインダの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して3.0以上5.0重量部以下であり、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満であり、エチルセルロースの含有量が、バインダの含有量からポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部であることを特徴としている。
なお、以下では、フェライトグリーン層とフェライト乾燥層とを総称する場合、フェライト層と記す。
このフェライトペーストは、従来から用いられているエチルセルロースに加え、エチルセルロースよりも柔軟性の高いポリビニルアセタール系樹脂を含有している。そのため、フェライトグリーン層の柔軟性が向上し、乾燥工程においてフェライトグリーン層に収縮応力が発生しても、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。また、フェライトグリーン層の厚みの差によって乾燥の進行度にばらつきが生じても、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。
さらに、このフェライトペーストは、エチルセルロースよりも熱分解温度域が高いポリビニルアセタール系樹脂をバインダに含有している。そのため、脱バインダ工程や焼成工程といった積層体の熱処理工程では、同パイパターンが収縮する温度域においてポリビニルアセタール系樹脂が分解しにくく、フェライト層におけるバインダの残存率が高められる。したがって、フェライト層の保形性が向上し、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。
焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜29μmの範囲となっている場合において、上記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量がフェライト粉末100重量部に対して0.5重量部より少ないと、フェライト層の柔軟性が低くなるため、フェライトグリーン層の乾燥時にフェライト層にクラックが発生し易い傾向にある。また、積層体の焼成時に、導体パターンが収縮する温度域において、フェライト層におけるバインダの残存率が低下しやすくなる。そのため、フェライト層の強度が下がって保形性が低くなり、導体パターンの収縮に伴い、導体パターンに密着しているフェライト層が引っ張られるため、フェライト層にクラックが発生し易くなる。
一方、焼成前の導体パターンの厚さが上記範囲となっている場合において、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量がフェライト粉末100重量部に対して1.0重量部以上となると、積層体の焼成時に、導体パターンが収縮する温度域において、フェライト層におけるバインダの残存率が過剰となるため、脱バインダ後の焼成温度域でバインダが急激に燃焼することによって、導体パターンに密着したフェライト層にクラックが発生し易くなる。本発明では、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、フェライト層におけるクラックの発生を好適に抑制できる。
本発明によれば、フェライト層でのクラックの発生を抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るフェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型セラミック部品の製造方法を用いて作製された積層型インダクタの構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した積層型インダクタにおいて端子電極同士を結ぶ線に沿う方向の断面図であり、図3は、図2に直交する方向の断面図である。
図1に示すように、積層型インダクタ1は、直方体形状の素子2と、素子2の長手方向の両端部を覆うようにそれぞれ形成された一対の端子電極3,3とを備えている。素子2は、図2及び図3に示すように、磁性材料からなる磁性体積層部4と、磁性体積層部4内に形成されたコイル状導体5とによって構成されている。
コイル状導体5は、導電性材料からなり、略半円形状の断面を有している。また、図2に示すように、コイル状導体5の端部にあたる引出部5a,5bは、磁性体積層部4の両端部まで引き出され、端子電極3,3にそれぞれ接続されている。このようなコイル状導体5は、導体ペーストを印刷・積層した導体パターン7が複数連続することによって構成されている。
コイル状導体5のターン数は、得ようとする直流抵抗及びインダクタンス値に応じて決定される。例えば、直流抵抗1Ω以下かつインダクタンス値10μHとする場合には、ターン数は18.5ターンとされる。また、導体パターン7の厚さXは、積層方向に隣り合う導体パターン7,7間の距離Yに対して90%〜115%程度となっている。なお、焼成前の導体パターン7の厚さは、例えば7μm〜29μmとなっている。
次に、上述した積層型インダクタ1の製造方法について説明する。
積層型インダクタ1の製造にあたり、まず、フェライトペースト及び導体ペーストを作製する。フェライトペーストは、フェライト粉末(磁性粉末)、及び有機ビヒクルを配合、混練することによって作製する。有機ビヒクルは、ポリビニルアセタール系樹脂とエチルセルロースとからなるバインダと、有機溶剤とを含有する。
フェライトペーストに含まれるバインダの含有量は、フェライト粉末100重量部に対して3.0重量部以上5.0重量部以下である。また、フェライトペーストに含まれるポリビニルアセタール系樹脂の含有量は、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満である。また、フェライトペーストに含まれるエチルセルロースの含有量は、バインダの含有量からポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部である。
フェライト粉末としては、Ni-Cu-Zn系フェライト粉末、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト粉末、Ni-Cu系フェライト粉末等が用いられる。これらのフェライト粉末の作製においては、比表面積が1.0〜10m/gであり、かつイオウ成分の含有量がS換算で100〜1000ppmであるNi化合物を原料として用いることが好ましい。
また、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト粉末を用いる場合、その組成は、Fe=25〜52モル%、ZnO=0〜40モル%、CuO=0〜20モル%、NiO=1〜65モル%、MgOが残部であることが好ましい。このようなNi系フェライト粉末を用いることによって、高密度であるにもかかわらず温度特性に優れ、しかもAg(コイル状導体5の構成材料)の融点以下でも焼結可能な積層型インダクタ1を得ることができる。
有機ビヒクルに含まれるポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等を用いるが、好ましくはポリビニルブチラールを用いる。有機ビヒクルに含まれる有機溶剤としては、アルコール系(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ターピネオール等)、ケトン系(アセトン等)、セロソルブ系(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エステル系(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル系(エチルエーテル、ブチルカルビトール等)などを用いることができる。これらの有機溶剤のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上述したフェライトペーストは、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、グリコール誘導体系等の可塑剤、あるいは、脂肪酸アミド系、有機リン酸エステル系、カルボン酸系等の分散剤を更に含有してもよい。
導体ペーストは、例えば、導体粉末をバインダ及び有機溶剤と共に所定の比率で配合した後、混練することによって作製する。なお、混練には、三本ロール、ホモジナイザーやサンドミル等を用いる。導体粉末としては、通常、Ag、Ag合金、Cu、Cu合金等を用いるが、好ましくは、抵抗率の小さいAgを用いる。導体ペーストとしてAgペーストを用いることによって、積層型インダクタとして実用的なQを得ることができる。
次に、フェライトペーストを、印刷法により所定の厚さになるまで積層する。そして、この積層物の上に、更にフェライトペーストを成形してフェライトグリーン層を形成し、当該フェライトグリーン層を乾燥させて、厚さが90〜150μm程度のフェライト乾燥層を形成する。
次に、フェライト乾燥層上に上述の導体ペーストを印刷し、当該導体ペーストを乾燥させて、厚さが7〜29μm程度の導体パターンを形成する。そして、導体パターンが形成されたフェライト乾燥層上に、更に別のフェライト乾燥層と導体パターンとを交互に複数重ねて印刷積層する。更にその上に、フェライトペーストを印刷法により所定の厚さで積層することによって、焼成前の積層体を形成する。得られた積層体においては、フェライト磁性体(複数のフェライト層からなる磁性体積層部4)中に、所定のターン数(巻数)を有する螺旋状の積層巻線(コイル状導体5)が形成される。
次に、積層体を所定の寸法に切断する。積層体は、通常、複数個の素子ユニットが配列されたウェハの構造を有するため、ウェハ状の積層体を所定の寸法に切断することによって、それぞれ1個のコイル状導体5を内蔵する焼成前の積層体素子を複数形成する。
このとき、コイル状導体5の引出部5a,5bの端面が積層体素子の対向する2つの側面からそれぞれ露出するように、ウェハ状の積層体を切断する。得られた積層体素子は、完成後の積層型インダクタ1における素子2に相当する(図1参照)。その後、得られた積層体素子に対して、例えば350〜500℃で、酸素存在下で脱バインダ処理を施す。そして、積層体素子を、例えば850〜900℃で1〜2時間、一体焼成することによって上記素子2を得る。
次に、焼成して得られた素子2において、コイル状導体5の引出部5a,5bの端面が露出している側面に、Agを主成分とした導電性ペーストを塗布し、例えば600℃程度で焼き付けて端子電極3,3を形成する。その後、通常、端子電極3,3に対して更に電気めっきを施す。電気めっきは、銅とニッケルと錫、ニッケルと錫、ニッケルと金、ニッケルと銀などを用いて行うのが好ましい。以上により、本実施形態に係る積層型インダクタ1が完成する。
上述した実施形態では、フェライトペーストが、バインダとして、従来から用いられているエチルセルロースのみならず、エチルセルロースより柔軟性が高いポリビニルアセタール系樹脂を含有する。そのため、フェライトグリーン層の柔軟性が従来よりも高められるので、フェライトグリーン層の乾燥工程においてフェライトグリーン層に収縮応力が発生しても、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。また、フェライトグリーン層の厚み差によって乾燥の進行度にバラツキが生じても、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。
また、フェライトペーストがバインダとして含有するポリビニルアセタール系樹脂は、エチルセルロースより熱分解温度域が高い。そのため、積層体の熱処理工程(脱バインダ工程、焼成工程)では、導体パターン7が収縮する温度域において、ポリビニルアセタール系樹脂が分解しにくくフェライト層(磁性体積層部4)におけるバインダの残存率が従来よりも高まるため、フェライト層の保形性が向上する。その結果、フェライト層(磁性体積層部4)におけるクラックの発生を抑制できる。このことから、積層型インダクタ1のインダクタンス値を容易に所望値にすることも可能となる。
焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜29μmの範囲となっている場合において、フェライトペーストに含まれるポリビニルアセタール系樹脂の含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部より少ないと、フェライト層の柔軟性が低くなるため、フェライトグリーン層の乾燥時にフェライト層にクラックが発生し易い傾向がある。
また、積層体の焼成時、導体パターン7が収縮する温度域において、フェライト層(磁性体積層部4)におけるバインダの残存率が低下し、フェライト層(磁性体積層部4)の強度が下がり保形性が低くなり、導体パターン7に密着したフェライト層(磁性体積層部4)が導体パターン7に引っ張られるため、導体パターン7に密着したフェライト層(磁性体積層部4)にクラックが発生し易い傾向がある。
一方、焼成前の導体パターンの厚さが上記範囲となっている場合において、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量がフェライト粉末100重量部に対して1.0重量部以上であると、積層体の焼成時、導体パターンが収縮する温度域において、フェライト層におけるバインダの残存率が過剰となり、脱バインダ後の焼成温度域でそのバインダの急激な燃焼によって、導体パターンに密着した部分においてクラックが発生し易い傾向がある。そこで、本実施形態では、ポリビニルアセタール系樹脂の含有量をフェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満とすることにより、フェライト層におけるクラックの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施例を説明する。
[試料の作製]
上述した製造方法に従い、以下のようにして、積層型インダクタの試料を1万個作製した。積層型インダクタの作製では、まず、フェライトペーストを作製した。フェライトペーストは、磁性粉末として平均粒径0.7μmのNi−Cu−Zn−Mg系フェライト粉末を、有機ビヒクル及び溶剤と共に所定の比率で配合した後、ボールミルで湿式混合することによって作製した。
フェライト粉末の具体的な組成は、Fe=49.0モル%、NiO=19.0モル%、CuO=11.0モル%、Zn=20.0モル%、残部をMgOとした。有機ビヒクルに含まれるバインダとしては、ポリビニルブチラール(ポリビニルアセタール系樹脂の一種)及びエチルセルロースを用いた。フェライトペーストに含まれるバインダの含有量は、フェライト粉末100重量部に対して3.0重量部〜5.00重量部の範囲で変化させた。
また、フェライトペーストに含まれるポリビニルブチラールの含有量は、フェライト粉末100重量部に対して0.00重量部〜5.00重量部の範囲で変化させた。フェライトペーストに含まれるエチルセルロースの含有量は、バインダの含有量からポリビニルブチラールの含有量を除いた残部とした。有機ビヒクルに含まれる有機溶剤としては、ターピネオールを用いた。
次に、導体ペーストを作製した。導体ペーストは、平均粒径0.6μmのAg粉末を、バインダ及び溶剤と共に所定の比率で配合した後、混練することによって作製し、上記のフェライトペーストを、印刷法により所定の厚さになるまで積層した。そして、この積層物の上に、更にフェライトペーストを成形してフェライトグリーン層を形成し、当該フェライトグリーン層を乾燥させて、厚さ100μmのフェライト乾燥層を形成した。
次に、フェライト乾燥層上に上述の導体ペーストを印刷し、当該導体ペーストを乾燥させて導体パターンを形成した。導体パターンの厚さは、5μm〜58μmの範囲で変化させた。そして、導体パターンが形成されたフェライト乾燥層上に、更に別のフェライト乾燥層と導体パターンとを交互に複数重ねて印刷積層した。
更に、その上にフェライトペーストを印刷法により所定の厚さで積層し、18.5ターンの積層巻線(コイル状導体5)を内蔵する焼成前の積層体を形成した。得られた積層体の厚さは、1.0mmであった。次いで、この積層体を切断して、長さ1.8mm、幅0.9mmの積層体素子を複数得た。
次に、この積層体素子に対して、500℃、酸素存在下で脱バインダ処理を行った。脱バインダ処理後、積層体素子を850℃で2時間焼成した。次いで、この焼成後の積層体素子においてコイル状導体5の引出部の端面が露出している側面に、Agを主成分とした導電性ペーストを塗布し、約600℃程度で焼き付けた。更に、焼き付けたAgの表面にCu、Ni、Snを電気メッキして、端子電極を形成した。以上により、1608形状の積層型インダクタの各試料を得た。
[評価]
上述の製造過程において、焼成前後の各積層体素子にクラックが発生しているか否かを検査した。次に、クラックの発生が確認された積層体素子の数を、得られた積層体素子の全数で除して、クラック発生率(単位:%)を求めた。同様に、焼成後の積層体素子についてもクラック発生率を求めた。
図4及び図5は、検査結果を示す図である。図4は、焼成前の導体パターンの厚さが実施例の範囲(7μm〜29μm)である場合について示し、図5は、焼成前の導体パターンの厚さが実施例よりも小さい範囲である場合(5μm〜6μm)、及び実施例よりも大きい範囲(30μm〜58μm)である場合について示している。同図において、クラック発生率が0%である場合、○と判定し、クラック発生率が0%より大きい場合、×と判定した。
図4に示すように、焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜29μmである場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満である場合、焼成前・焼成後のいずれについてもクラックの発生は認められなかった(領域A)。
焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜18μmである場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部未満である場合、焼成後にクラックの発生が認められた(領域B)。これは、積層体の焼成時、導体パターンが収縮する温度域において、フェライト層におけるバインダの残存率が低下し、フェライト層の強度が下がって保形性が低くなるため、導体パターンに密着したフェライト層にクラックが発生したものと考えられる。
また、焼成前の導体パターンの厚さが21μm〜29μmである場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部未満である場合、焼成前・焼成後のいずれについてもクラックの発生が認められた(領域C)。これは、上記の保形性の問題に加え、フェライト層の柔軟性が低くなるため、フェライトグリーン層の乾燥時にフェライト層にクラックが発生したものと考えられる。
さらに、焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜29μmである場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して1.0重量部以上である場合、焼成後にクラックの発生が認められた(領域D)。これは、積層体の焼成時、導体パターンが収縮する温度域において、フェライト層におけるバインダの残存率が過剰となり、脱バイ後の焼成温度域でそのバインダの急激な燃焼によって、導体パターンに密着した部分においてクラックが発生したものと考えられる。
一方、図5に示すように、焼成前の導体パターンの厚さが7μm未満である場合、ポリビニルブチラールの含有量がいずれの場合であっても、焼成後にクラックの発生が認められた(領域E)。これは、導体パターンの厚さに対するポリビニルブチラールの量がそもそも過剰となり、上記領域Dの場合と同様の理由でクラックが発生したものと考えられる。
また、焼成前の導体パターンの厚さが29μmよりも大きい場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して1.0重量部未満である場合、焼成前・焼成後のいずれについてもクラックの発生が認められた(領域F)。クラックの発生原因は、領域Cの場合と同様と考えられるが、導体パターンの厚さが厚い分、ポリビニルブチラールの含有量が多くても、フェライト層の柔軟性が不足するものと考えられる。
焼成前の導体パターンの厚さが29μmよりも大きい場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して1.0重量部以上2.00重量部以下である場合、焼成前・焼成後のいずれについてもクラックの発生は認められなかった(領域G)。この領域は、本発明の範囲とは異なるが、焼成前の導体パターンの厚さが本発明よりも厚い場合におけるポリビニルブチラールの最適含有量を示している。
焼成前の導体パターンの厚さが29μmよりも大きい場合において、ポリビニルブチラールの含有量が、フェライト粉末100重量部に対して2.00重量部を超えている場合、焼成後にクラックの発生が認められた(領域H)。クラックの発生原因は、領域Dの場合と同様と考えられる。
以上の結果から、焼成前の導体パターンの厚さが7μm〜29μmの範囲となっている場合において、フェライトペーストに含まれるポリビニルアセタール系樹脂の含有量をフェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満とし、エチルセルロースの含有量を、バインダの含有量からポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部とすることが、クラックの抑制に有効であることが確認された。
本発明の一実施形態に係る積層型インダクタを示す斜視図である。 図1に示す積層型インダクタの端子電極同士を結ぶ線に沿う断面図である。 図1に示す積層型インダクタの端子電極同士を結ぶ線に直交する方向の断面図である。 焼成前の導体パターンの厚さが実施例の範囲の場合において、フェライト中のポリビニルブチラールの含有量とクラックの発生の有無との関係を示す図である。 焼成前の導体パターンの厚さが実施例の範囲外の場合において、フェライト中のポリビニルブチラールの含有量とクラックの発生の有無との関係を示す図である。
符号の説明
1…積層型インダクタ、2…素子、3…端子電極、4…磁性体積層部、5…コイル状導体、5a,5b…引出部、5c,5d…縁部、6a,6b…間隙、7…導体パターン。

Claims (2)

  1. フェライト粉末と、有機ビヒクルと、を含有するフェライトペーストであって、
    前記有機ビヒクルが、ポリビニルアセタール系樹脂及びエチルセルロースからなるバインダと、有機溶剤とを含有し、
    前記バインダの含有量が、前記フェライト粉末100重量部に対して3.0以上5.0重量部以下であり、
    前記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が、前記フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満であり、
    前記エチルセルロースの含有量が、前記バインダの含有量から前記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部であることを特徴とするフェライトペースト。
  2. フェライトペーストからフェライトグリーン層を形成する工程と、
    前記フェライトグリーン層を乾燥させてフェライト乾燥層を形成する工程と、
    前記フェライト乾燥層上に導体ペーストを印刷し、当該導体ペーストを乾燥させて導体パターンを形成する工程と、
    前記導体パターンが形成された前記フェライト乾燥層上に、更に別のフェライト乾燥層と導体パターンとを交互に重ねて積層体を形成する工程とを備え、
    焼成前の前記導体パターンの厚さが、7μm〜29μmであり、
    前記フェライトペーストが、フェライト粉末と、有機ビヒクルと、を含有し、
    前記有機ビヒクルが、ポリビニルアセタール系樹脂及びエチルセルロースからなるバインダと、有機溶剤とを含有し、
    前記バインダの含有量が、前記フェライト粉末100重量部に対して3.0以上5.0重量部以下であり、
    前記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が、前記フェライト粉末100重量部に対して0.5重量部以上1.0重量部未満であり、
    前記エチルセルロースの含有量が、前記バインダの含有量から前記ポリビニルアセタール系樹脂の含有量を除いた残部であることを特徴とする積層型セラミック部品の製造方法。
JP2008014004A 2007-05-16 2008-01-24 フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法 Active JP4462355B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014004A JP4462355B2 (ja) 2008-01-24 2008-01-24 フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法
US12/114,960 US20080283188A1 (en) 2007-05-16 2008-05-05 Ferrite paste, and method for manufacturing laminated ceramic component
CN 200810107817 CN101306947B (zh) 2007-05-16 2008-05-14 铁氧体膏和层叠型陶瓷部件的制造方法
KR1020080045525A KR20080101771A (ko) 2007-05-16 2008-05-16 페라이트 페이스트, 및 적층형 세라믹 부품의 제조방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008014004A JP4462355B2 (ja) 2008-01-24 2008-01-24 フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009173488A true JP2009173488A (ja) 2009-08-06
JP4462355B2 JP4462355B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=41029022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008014004A Active JP4462355B2 (ja) 2007-05-16 2008-01-24 フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4462355B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008288332A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Tdk Corp フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法。
WO2015107811A1 (ja) * 2014-01-17 2015-07-23 昭栄化学工業株式会社 バインダー樹脂の製造方法および樹脂組成物の製造方法ならびにバインダー樹脂および樹脂組成物
JP2020119979A (ja) * 2019-01-23 2020-08-06 Tdk株式会社 積層コイル部品

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008288332A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Tdk Corp フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法。
WO2015107811A1 (ja) * 2014-01-17 2015-07-23 昭栄化学工業株式会社 バインダー樹脂の製造方法および樹脂組成物の製造方法ならびにバインダー樹脂および樹脂組成物
KR20160107185A (ko) * 2014-01-17 2016-09-13 소에이 가가쿠 고교 가부시키가이샤 바인더 수지의 제조방법, 수지 조성물의 제조방법, 바인더 수지 및 수지 조성물
JPWO2015107811A1 (ja) * 2014-01-17 2017-03-23 昭栄化学工業株式会社 バインダー樹脂の製造方法および樹脂組成物の製造方法ならびにバインダー樹脂および樹脂組成物
US9845397B2 (en) 2014-01-17 2017-12-19 Shoei Chemical Inc. Method for producing binder resin, method for producing resin composition, binder resin, and resin composition
KR102232508B1 (ko) 2014-01-17 2021-03-26 소에이 가가쿠 고교 가부시키가이샤 바인더 수지의 제조방법, 수지 조성물의 제조방법, 바인더 수지 및 수지 조성물
JP2020119979A (ja) * 2019-01-23 2020-08-06 Tdk株式会社 積層コイル部品
JP7371328B2 (ja) 2019-01-23 2023-10-31 Tdk株式会社 積層コイル部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4462355B2 (ja) 2010-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI733759B (zh) 積層電感器
JP4640377B2 (ja) 積層インダクタ部品
CN109119241B (zh) 层叠电感器的制造方法以及层叠电感器
JP5206440B2 (ja) セラミック電子部品
JP4737181B2 (ja) 積層型インダクタ及びその製造方法
JP5761609B2 (ja) セラミック電子部品、及びセラミック電子部品の製造方法
KR101935091B1 (ko) 전자 부품 및 그 제조 방법
JP2007091539A (ja) 非磁性Znフェライトおよびこれを用いた複合積層型電子部品
KR102015809B1 (ko) 전자부품 및 그 제조 방법
US20080283188A1 (en) Ferrite paste, and method for manufacturing laminated ceramic component
JP4596008B2 (ja) 積層コイル
CN111009394B (zh) 层叠型线圈阵列
KR101994734B1 (ko) 적층형 전자부품 및 그 제조 방법
JP2007195060A (ja) 積層型フィルタ
JP4462355B2 (ja) フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法
JP6303368B2 (ja) 電子部品及びその製造方法
JP2006253322A (ja) 電子部品
KR101408617B1 (ko) 적층형 코일 부품
US9667036B2 (en) ESD protection component
US8209849B2 (en) Method for producing multilayer inductor
JP2008288332A (ja) フェライトペースト、及び積層型セラミック部品の製造方法。
US9455079B2 (en) Multilayered power inductor and method for preparing the same
JP2005167029A (ja) 積層型インダクタ
JP6222215B2 (ja) 電子部品
US10319508B2 (en) Electronic component

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4462355

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4