JP2009173060A - 軌陸作業車の鉄輪落下防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡単な構造で軌道走行用車輪を保持する鉄輪保持ブラケットを格納位置で固定保持することができる軌陸作業車の鉄輪落下防止装置を提供する。
【解決手段】車体2の前後に設けられた鉄輪15のうち少なくとも後側の鉄輪15bを保持する鉄輪保持ブラケット14に設けられたストッパ50と、車体2に上下に揺動自在に設けられて、鉄輪保持ブラケットを格納位置に位置させたときにストッパ50と係合するロックピン43とを備え、揺動シリンダ16により鉄輪保持ブラケット14を格納位置に揺動させたときには、ロックピン43が、ストッパ50から押動されてこのストッパ50に係合するように揺動され、揺動シリンダ16により鉄輪保持ブラケット14を張出位置に揺動させたときには、ロックピン43が、ロッドピン55によりストッパ50との係合を解除するように揺動されることにより、ストッパ50がロックピン43に係脱自在に構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路走行用車輪および軌道走行用車輪を備えて道路走行および軌道走行が可能であり、道路走行時に軌道走行用車輪の揺動降下を防止する鉄輪落下防止装置を備えた軌陸作業車に関する。
軌陸作業車は、タイヤ車輪等を有して陸上走行可能なトラック車体をベースとして構成されており、鉄道軌道(レール上)を走行するための軌道走行装置と、鉄道軌道に乗り入れる際に乗り入れ作業を容易化する転車装置とを備えて構成されている。軌道走行装置は、軌陸作業車に対して、下方に張り出して用いられる軌道走行用の鉄輪(軌道走行用車輪)を有して構成される。この鉄輪は車体に対して上下に揺動自在な鉄輪保持ブラケットに回転自在に支持されるが、この鉄輪保持ブラケットを揺動シリンダにより揺動移動させることにより、鉄輪を所定の格納位置および張出位置に位置させることができる。転車装置は、車体に対して、下方に張出しおよび上方に格納が自在な転車台を有しており、転車台を張り出させて車体を持ち上げ支持し、この状態で軌道走行装置の鉄輪を張り出しあるいは格納させ、または車体を軌道の方向や道路の方向にあわせて容易に旋回させることができるように構成されている。
軌道走行装置において、鉄輪の張出しおよび格納には、作動アクチュエータとして一般に油圧シリンダ(上記の揺動シリンダ)が用いられており、この油圧シリンダの伸縮作動を制御することによって鉄輪の張出しおよび格納の作動制御が行われている。このため軌陸作業車の走行中に鉄輪が張出すことのないように、エンジンの回転駆動力が軌道走行装置等の作業装置側に取り出されていないときには、油圧シリンダと、この油圧シリンダに油圧を供給する電磁制御弁との間に設けられるパイロットチェック弁により圧油の流出を防止するようにしている。しかし、軌陸作業車の道路走行時に、例えば、油圧配管中に異物が混入してシール面に付着したり、いわゆるスプールロックが生じたり等によって油路が完全に閉塞しなかったときには、油圧シリンダが徐々に伸長して鉄輪が揺動降下し、鉄輪が路面と接触するおそれがある。この場合において鉄輪の降下を防止する手段としては、例えば、鉄輪および転車台が格納された状態において鉄輪の踏面を転車台の上面部に当接可能に構成して鉄輪の降下を防ぐ鉄輪落下防止装置(例えば、特許文献1参照)や、ロック機構を鉄輪保持ブラケットに配設することにより、この鉄輪保持ブラケットを格納状態で車体側に自動ロック可能なように構成した鉄輪落下防止装置などが提案されている。
特許第3768066号公報
しかしながら、軌陸作業車の車体全長を小型コンパクト化するために、軌道走行装置(鉄輪保持ブラケット)を小型化した場合には、鉄輪保持ブラケットに鉄輪落下防止機構を配設するスペースを確保することが困難である。特に、前鉄輪側の軌道走行装置においては、鉄輪保持ブラケットを小型化しても前鉄輪と転車台の配設位置を調整することで特許文献1に開示されるような鉄輪落下防止装置を備えることが可能となって鉄輪の落下を防止することができるが、後鉄輪側の軌道走行装置においては、転車台との間にタイヤ車輪(後輪)が介在し位置するため、特許文献1に開示された鉄輪落下防止装置を適用することができない。このため、後鉄輪側については、格納状態で挿通ピンを作業者が手動で鉄輪保持ブラケットから車体側に刺し込んで、鉄輪保持ブラケットを車体側に固定保持するような対応しかできず、作業性が悪いという問題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構造で軌道走行用車輪を保持する鉄輪保持ブラケットを格納位置で固定保持することができる軌陸作業車の鉄輪落下防止装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る軌陸作業車の鉄輪落下防止装置は、車体前後に設けられた道路走行用車輪と、車体前後に設けられ電車軌道用のレール上を走行する軌道走行用車輪(例えば、実施形態における鉄輪15)と、車体に上下方向に揺動自在に設けられ軌道走行用車輪を回転自在に保持する鉄輪保持部材と、一端部(例えば、実施形態におけるロッド部16b)が鉄輪保持部材に枢結されて鉄輪保持部材を上下方向に揺動させる伸縮自在な揺動シリンダとを備え、道路走行時は揺動シリンダにより鉄輪保持部材を上方に揺動させて軌道走行用車輪をレール上から離反させて車体に格納させる格納位置に位置させて道路走行用車輪により道路上を走行し、軌道走行時は揺動シリンダにより鉄輪保持部材を下方に揺動させて軌道走行車輪をレール上に張り出させる張出位置に位置させて軌道走行用車輪によりレール上を走行するように構成された軌陸作業車において、鉄輪保持部材を格納位置で固定保持する鉄輪落下防止装置であって、車体前後に設けられた軌道走行用車輪のうち少なくとも後側の軌道走行用車輪(例えば、実施形態における後鉄輪15b)を保持する鉄輪保持部材に設けられた係止部(例えば、実施形態におけるストッパ50)と、車体に上下に揺動自在に設けられて、鉄輪保持部材を格納位置に位置させたときに係止部と係合する被係止部(例えば、実施形態におけるロックピン43)とを備え、揺動シリンダにより鉄輪保持部材を格納位置に揺動させたときには、被係止部が、係止部から押動されて係止部に係合するように揺動され、揺動シリンダにより鉄輪保持部材を張出位置に揺動させたときには、被係止部が、鉄輪保持部材及び揺動シリンダの枢結部から押動されて係止部との係合を解除するように揺動されることにより、係止部が被係止部に係脱自在に構成される。
このように構成された軌陸作業車の鉄輪落下防止装置において、鉄輪保持部材が、鉄輪保持部材及び揺動シリンダの枢結部に形成された第1長孔(例えば、実施形態における長孔14f)を有し、枢結部が、第1長孔に挿通され、揺動シリンダの伸縮作動に応じて第1長孔内に沿って移動して、ドグ部材を押動可能なピン部材(例えば、実施形態におけるロッドピン43)を有し、被係止部が、車体に上下に揺動自在に設けられたアーム部材(例えば、実施形態におけるアーム33)と、第2長孔を有しアーム部材に上下に揺動自在に設けられたドグ部材(例えば、実施形態におけるドグ40)と、アーム部材に設けられて端部がドグ部材の第2長孔に挿通された状態で支持されたロックピンとを備え、係止部が、鉄輪保持部材に固設され、揺動シリンダの伸縮作動に応じて、ロックピンに係脱可能な鉤部およびロックピンに当接して押動するガイド部を有したストッパ部材(例えば、実施形態におけるストッパ50)を備えて構成されることが好ましい。
また、一端部がドグ部材に支持され、他端部が車体に支持されてドグ部材を車体側に引っ張るように付勢する付勢部材(例えば、実施形態におけるスプリング46)を備えて構成されることが好ましい。
車体が、アーム部材を上下に揺動自在に支持するブラケット部材(例えば、実施形態におけるアームブラケット31)を備え、アーム部材が、アーム部材を所定方向に揺動させたときにブラケット部材に当接する規制部材(例えば、実施形態におけるストッパボルト34)を有することにより、アーム部材の所定方向の揺動を規制するように構成されることが好ましい。
本発明に係る軌陸作業車の鉄輪落下防止装置によれば、車体全長を小型コンパクト化するために、鉄輪保持ブラケットを小型化して鉄輪落下防止装置の配設スペースが限定された小スペースとなった場合でも、比較的簡単な構造で揺動シリンダの伸縮作動に応じて格納位置で係脱可能に鉄輪保持ブラケットを固定保持することができる。このため、油圧制御回路中の不具合などによる意図しない軌道走行用車輪の揺動降下を防止することができるため、軌陸作業車の道路走行中に格納状態の軌道走行用車輪が揺動降下して路面と衝突することによって鉄輪が破損する事態を未然に防止することができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、図2を用いて、本発明に係る鉄輪落下防止装置が適用される軌陸作業車の構成について説明する。以下では、図に矢印Lで示す方向を左方として車幅方向を左右方向として説明し、図に矢印Fで示す方向を前方として車長方向を前後方向として説明する。
軌陸作業車1は、車体2に設けられた運転キャブ2aを有するトラック車両をベースとして構成されており、車体2の前後左右の4箇所に取り付けられたタイヤ車輪(道路走行用車輪)3によって道路上を走行することができる。さらに、車体2の前後左右の4箇所には、軌道を走行するための軌道走行装置10が取り付けられている。
軌道走行装置10は、図1(図1では、後鉄輪側の軌道走行装置10のみ示す)および図2に示すように、車体2に固設されたフレーム2bの下部に配設されたベースブラケット11と、ベースブラケット11の下部に配設された左右一対の支持プレート12と、左右の支持プレート12に挟まれて左右に延びる支持軸13を中心に車体2に対して上下に揺動自在に設けられた鉄輪保持ブラケット14と、鉄輪保持ブラケット14に保持されて左右に延びる回転軸(図示しない)を中心にして鉄輪駆動モータ(図示しない)により回転自在に設けられた円盤状の鉄輪(軌道走行用車輪)15(前鉄輪15aおよび後鉄輪15b)と、ボトム部16aがシリンダブラケット17に枢結されて、ロッド部16bが鉄輪保持ブラケット14に枢結され、鉄輪保持ブラケット14を上下に揺動させる揺動シリンダ16とを有して構成される。
鉄輪保持ブラケット14は、図1に示すように、左右の側板部14a,14bと、左右の側板部14a,14bの上部内側間を繋ぐように左右に延びた中空円筒状のスリーブ部14cと、左右の側板部14a,14bの前縁を繋ぐ前壁部14dと、左右の側板部14a,14b間に平行に配置されスリーブ部14cの外周部および前壁部14dに固着された補助板部14eとを有している。左側板部14aおよび補助板部14eには、左右方向に貫通した長孔14f(図1では、左側板部14aの長孔14fのみが示されている)がそれぞれ平行に対応位置して形成される。この鉄輪保持ブラケット14には、後述する鉄輪落下防止装置30の一部を構成するストッパ50およびロッドピン55が取り付けられる。
鉄輪15は、揺動シリンダ16の伸縮作動により支持プレート12および鉄輪保持ブラケット14を介して、車体2に対して下方に張り出したり、上方に格納したり、上下に揺動自在に設けられている。そして、軌陸作業車1は、鉄輪15を下方に張り出した状態で車体2をレール(軌道)上に載置し、鉄輪駆動モータにより鉄輪15を回転駆動してレール上を自走可能となっている。
車体2の下部中央には、軌陸作業車1を、レール上へ乗せ換え移動するための転車台6が取り付けられている。転車台6は、転車台張出格納シリンダ(図示しない)の伸縮作動により下方に張り出したり上方に格納したりできるようになっており、さらに車体旋回モータ(図示しない)により車体2を転車台6に対して水平旋回することができるようになっている。なお、手動(人力)により車体2を転車台6に対して水平旋回できるように構成してもよい。
車体2の上部には、架装用フレーム7を介して、垂直昇降装置20が設けられている。垂直昇降装置20は、架装用フレーム7上に左右一対のシザースリンク機構21(図2では車体左側のシザースリンク機構21のみが示されている)を並設してなり、昇降シリンダ(図示しない)の伸縮作動によって、垂直昇降装置20の上部に設けられた作業台22を架装用フレーム7および車体2に対して上下に昇降させることができる。作業台22上には、垂直昇降装置20の昇降操作などを行うための操作装置22aが設けられている。
車体2の後方には、作業者が作業台22に乗降するための梯子23が、車体2の後方下部から作業台22の後部まで延びて設けられる。
このように構成された軌陸作業車1は、鉄輪保持ブラケット14を上方に揺動させて鉄輪15を格納し、タイヤ車輪3を接地させ道路走行を行うことができるとともに、鉄輪保持ブラケット14を下方に揺動させて鉄輪15をレール上に載置し、レール上を走行することもできる。この走行の切換、すなわち、道路走行から軌道走行への走行切換もしくは逆の走行切換を行うときに転車台6が用いられる。例えば、道路走行から軌道走行への移行は、軌陸作業車1を道路走行して作業現場最寄りの踏切へ移動させ、軌道を跨ぐようにして停止し、転車台張出格納シリンダを作動させて転車台6を下方へ張り出させ、車体2を転車台6により持ち上げ支持する。次に、車体旋回モータを作動させて転車台6を水平回転させて、車体2を約90度旋回させ、車体2の方向がレールの方向に一致したら鉄輪張出格納シリンダを作動させて鉄輪15を下方に張り出させ、転車台6を上方に格納しながら鉄輪15をレール上に位置させる。これにより、軌陸作業車1は道路上からレール上に載せ換え移動された状態となる。
なお、レール上への載せ換えが終わったら、鉄輪駆動モータにより鉄輪15を回転駆動させてレール上を走行移動できる。そして、作業現場に到着したら作業者は梯子23を用いて作業台22に搭乗し、操作装置22aを操作して垂直昇降装置20を伸縮作動させれば、作業台22を所望の高所位置に移動させて作業を行うことができる。作業が終わると再びレール上を走行して踏切上まで移動し、転車台6により車体2を支持・旋回する。このとき鉄輪15は車体2に対して上方に格納される。そして、転車台6を格納作動して車体2を道路上に降ろした後、タイヤ車輪3を駆動して道路上を走行し、別の場所へ移動する。
上述のように、軌陸作業車1の道路走行時などには鉄輪14は上方に格納された状態で保持されることとなるが、この鉄輪14を格納位置で確実に固定保持するために鉄輪落下防止装置30が設けられている。なお、この鉄輪落下防止装置30は、後鉄輪15b側の軌道走行装置10に適用され、前鉄輪15a側の軌道走行装置10には、図2に示すように、例えば鉄輪15および転車台6が格納状態のときに、前鉄輪15aの踏面が転車台6の転車台部材6aの上部に当接保持されて、道路走行中に前鉄輪15aを支持する鉄輪保持ブラケット14が揺動降下することがないようにした鉄輪落下防止装置(上記特許文献1参照)が備えられている。
それでは、本発明に係る鉄輪落下防止装置30の好ましい実施形態について、図3〜図5を参照して説明する。この鉄輪落下防止装置30は、道路走行中に後鉄輪15bを支持する鉄輪保持ブラケット14の揺動降下を防止するものであり、アームブラケット31、アーム33、ドグ40、ロックピン43、スプリング46、ストッパ50およびロッドピン55を備えて構成される。
アームブラケット31は、ベースブラケット11(図1参照)の前面側に固設された連結板11a(図1参照)の上端部に固設された左右一対の上板部31aと、上板部31aの下部に配設され前後方向に延びた左右一対の板状のアーム保持板部31bと、左右のアーム保持板31bの下端部を連結する下板部31cと、アーム保持板31bの外側壁から外方へ突出した左右一対のスプリング取付部31dを有する。アーム保持板31bの前方先端部には、後述するストッパボルト34のネジ端部と当接可能な平面状のボルト受け部31eが形成される。
アーム33は、左右のアームブラケット31の内側間において支持ピン35を枢結軸としてアームブラケット31に対して上下に揺動自在に取り付けられる。このアーム33は、左右一対の上下方向に延びた板状のアーム本体33a、左右のアーム本体33aの上端部を繋ぐ平板状の上端結合板33b、左右のアーム本体の内側壁を繋ぐ平板状の内側結合板33cを有している。また、上端結合板33bの左右の端部には、ストッパボルト34がそれぞれ設けられている。
支持ピン35は、左右方向に延びる円筒状に形成され、アームブラケット31およびアーム本体33aに同軸で形成された貫通孔に挿通され、左右の端部に割りピン36がそれぞれ取り付けられて抜け止め状態で回転自在に支持されている。
ドグ40は、略五角形の板状に形成されており、アーム本体33aの外側壁にボルトピン41により枢結され、このボルトピン41を中心に回動自在に取り付けられている。ドグ40には、ボルトピン41を中心軸として円弧状に延びた長孔42が形成される。この長孔42およびアーム本体33aに形成された貫通孔には、左右方向に延びた円筒状のロックピン43が挿通され、このロックピン43の左右の端部に円板状の間座を挿入させたのち割りピン44が取り付けられることにより、ロックピン43が抜け止め状態で長孔42内において移動自在且つ回転自在に支持される。また、ドグ40の外側面には、上方に延びたのち外側に向かって略90度屈曲した板状のステー45が固着されている。そして、このステー45と、アームブラケット31のスプリング取付部31dとの間に跨ってスプリング46が前後方向に伸縮自在に支持されている。スプリング46は、ステー45を介してドグ40をスプリング取付部31d側に引っ張るように付勢しており、ドグ40は長孔42内の前端部がロックピン43に当接された状態で保持されている。
ストッパ50は、鉄輪保持ブラケット14の前壁部14dにボルト52により取り付けられ、左右一対の側板を形成する係止板51は、ロックピン43と係脱可能に形成された鉤部51aと、ロックピン43を傾斜に沿って押し上げながら摺接可能に形成された傾斜面状のガイド部51bを有している。
ロッドピン55は、略円筒状のピン頭部56aおよびこのピン頭部56aから左右方向に延び鉄輪保持ブラケット14の一対の長孔14fそれぞれに挿通されるピン軸部56bからなるピン本体56と、ピン軸部56bを挿通可能な中空円筒状に形成された左右一対の円環部材57と、ピン軸部56bの先端部を挿通可能な中空円筒状のカラー部材58と、ピン軸部56bの先端部に形成された雄ネジと螺合可能なナット59とから構成される。左右の円環部材57間には、揺動シリンダ16のロッド部16bが枢結され、この枢結部が左側板部14aおよび補助板部14e間で左右にずれるのを円環部材57が規制している。ピン頭部56aおよびカラー部材58は外径が同一径に形成されており、揺動シリンダ16の伸縮作動に応じて、ピン頭部56aおよびカラー部材58が左右のドグ40の下端部または後方傾斜部をそれぞれ押圧可能に構成される。
次に、このように構成された鉄輪落下防止装置30について、図3〜図4を用いて、鉄輪格納作動時の作動説明をする。このとき鉄輪15は下方に張り出されてレール上に載置された状態(鉄輪張出状態)にある。
鉄輪落下防止装置30においては、図3(A)に示すように、アーム33は、ストッパボルト34がアームブラケット31(ボルト受け部31e)に当接した位置(以降の説明では、この位置を「アーム定位置」と呼ぶ)で保持されており、ドグ40は、スプリング46の付勢力により後方側に引っ張られ、長孔42内の前端部がロックピン43に当接した位置(以降の説明では、この位置を「ドグ定位置」と呼ぶ)で保持されている。
揺動シリンダ16が縮小作動を始めると、図3(B)に示すように、鉄輪保持ブラケット14が支持軸13を中心に上方に揺動される。鉄輪保持ブラケット14が上方に揺動されることにより、ロッドピン55がドグ40の下端部に当接し始め、ロッドピン55がドグ40を上方に押動することにより、ドグ40がボルトピン41を中心に回動される。このときドグ40には長孔42が形成されているため、この長孔42に沿ってロックピン43を通過させるようにしてドグ40が回動される。また、アーム33はスプリング46の付勢力により、アーム定位置で保持されている。
さらに、鉄輪保持ブラケット14が上方に揺動すると、図3(C)に示すように、ストッパ50のガイド部51bがロックピン43に当接し、ガイド部51bの傾斜面に沿ってロックピン43を上方に押し上げることによりアーム33が支持ピン35を中心に上方に揺動していき、ストッパボルト34がアームブラケット31(ボルト受け部31d)との当接を離れる。そして、ロッドピン55がドグ40をさらに押し上げながら上方に揺動していき、ドグ40がロックピン43をかわすようにして両者の当接が外れると、ドグ40はスプリング46により後方側に引っ張られるようにして戻される。
図3(D)及び図4に示すように、さらに鉄輪保持ブラケット14が上方に揺動していき、ロックピン43が、ストッパ50のガイド部51b先端を越えて両者の当接が外れると、スプリング46の付勢力によりドグ40が長孔42を介してロックピン43とともにドグ定位置まで揺動する。ロックピン43の移動に伴いアーム33も支持ピン35を中心として下方に揺動したのち、アーム定位置まで到達したところでストッパ50の鉤部51a下方にロックピン43が入り込んで位置し、揺動シリンダ16が全縮位置に達したところで鉄輪保持ブラケット14を介して鉄輪15が格納位置で保持された状態(鉄輪格納状態)となる。このように、揺動シリンダ16を縮小作動させて鉄輪保持ブラケット14を上方に揺動させて鉄輪格納位置まで到達すると、鉄輪ロック装置30において、ロックピン43がストッパ50の鉤部51a下方に位置することとなる。このため、意図しない鉄輪の揺動降下があっても、ストッパ50の鉤部51aが、この鉤部51a直下に位置するロックピン43と係合するため、鉄輪15を格納した状態を保持することができる。
したがって、このように鉄輪15が上方に格納された状態で、軌陸作業車1がタイヤ車輪3により道路走行をしている場合に、例えば、揺動シリンダ16の油圧回路中の不具合等により油圧のリークが発生し、揺動シリンダ16の油圧力のみで鉄輪保持ブラケット14を固定保持できない場合があっても、鉄輪ロック装置30が鉄輪保持ブラケット14を確実に固定保持するため、道路走行中に鉄輪15が降下して路面と接触するなどのおそれがない。
次に、鉄輪落下防止装置30について、図5を用いて、鉄輪張出作動時の作動説明をする。このとき鉄輪15は上方に格納された状態(鉄輪格納状態)にある。また、鉄輪落下防止装置30においては、アーム33はアーム定位置に保持され、ドグ40はドグ定位置に保持されている。
まず、揺動シリンダ16が伸長作動を始めると、図5(A)に示すように、鉄輪保持ブラケット14が下方に揺動していき、ストッパ50の鉤部51aがロックピン43に引っ掛かったところで、鉄輪保持ブラケット14の揺動が一時停止される。揺動シリンダ16の伸長作動が続けられると、鉄輪保持ブラケット14の長孔14fに沿ってロッドピン55が下方に移動してドグ40に当接する。そして、ロッドピン55がドグ40を下方に押動することにより、図5(B)に示すように、ドグ40がボルトピン41を中心に回動して、ドグ40の長孔42内の前端部がロックピン43を上方に押し上げていく。これによりアーム33も支持ピン35を中心に上方に揺動することとなり、ロックピン43はストッパ50(鉤部51a)から抜け出るようにして前方に摺動していく。そして、図5(C)に示すように、ロックピン43がストッパ50(鉤部51a)との当接を離れ係合が外れると、鉄輪保持ブラケット14が長孔14fの長手方向の長さ分だけ自重で降下する。
揺動シリンダ16がさらに伸長作動すると、図5(D)に示すように、ロッドピン55はドグ40を押し退けるようにして当接を離れて降下していく。ドグ40は、ロッドピン55との当接を離れることにより、スプリング46により後方側に引っ張られてドグ定位置に戻る。アーム33は、ドグ40から長孔42を介してロックピン43が後方側に押動されることにより、支持ピン35を中心に下方へ揺動しアーム定位置まで戻る。
そして、揺動シリンダ16が全伸位置まで達してこの鉄輪保持ブラケット14の長手方向が地面に対して略垂直に延びる状態となったところで、後鉄輪15bが完全に張り出されることとなる。このように、揺動シリンダ16を伸長作動させて鉄輪保持ブラケット14を下方に揺動させると、自動的に鉄輪ロック装置30のロックピン43とストッパ50との係合が外れ、鉄輪15をレールに向かって張り出させることができる。そして、各鉄輪15がレール上に載置された後は、鉄輪駆動モータにより鉄輪15を回転駆動させてレール上を走行させることができる。
以上のように、本実施形態に係る鉄輪落下防止装置30によると、車体2の全長を小型コンパクト化するために、張出・格納作動をする鉄輪保持ブラケットの全長が短くされ、鉄輪落下防止装置の配設スペースが限定された小スペースであっても、比較的簡単な構造で自動ロック可能に構成することができる。また、油圧制御回路中の不具合等による意図しない鉄輪の揺動降下を防止することができ、これにより走行中に鉄輪が降下して路面と当接するような事態を未然に防止することができる。
なお、上記の実施形態では、鉄輪落下防止装置30は前後左右の鉄輪15のうち後鉄輪15b側の軌道走行装置10にのみ適用され、前鉄輪15a側の軌道走行装置10には異なる形態の落下防止機構を適用した場合を例示して説明したが、本発明の範囲はこれに限られるものではなく、鉄輪落下防止装置30を前後左右の各軌道走行装置に適用させて構成してもよい。また、上記実施形態では、鉄輪落下防止装置30が備えられた後鉄輪側の軌道走行装置10は、車体2に対して前方且つ上方に向かって鉄輪15を格納する構成としているが、これに限られるものではなく、車体2に対して後方且つ上方に向かって鉄輪15を格納する構成としてもよいものである。
また、上記の実施形態では、軌陸作業車の一例として垂直昇降装置20を架装した軌陸作業車1を例示したが、本発明に係る鉄輪落下防止装置が適用させる軌陸作業車はこれに限定されるものではなく、前後左右の鉄輪が車体に対して上下に揺動自在に設けられた鉄輪保持ブラケットに回転自在に保持される構成の軌道走行装置を有した軌陸作業車であれば本発明を同様に適用して同様の効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る鉄輪落下防止装置の構成を示す斜視図である。 上記鉄輪落下防止置が適用される軌陸作業車の側面図である。 上記鉄輪落下防止装置の作動を説明するための側面図であって、(A)は、鉄輪が張り出した状態を示し、(B)は、ロッドピンがドグを押動している状態を示し、(C)は、ストッパがロックピンを押動している状態を示し、(D)は、鉄輪が格納された状態を示す。 鉄輪が格納された状態を説明するための側面図である。 上記鉄輪落下防止装置の作動を説明するための側面図であって、(A)は、ロッドピンが鉄輪保持ブラケットの長孔内を移動する状態を示し、(B)は、ロッドピンがドグを押動している状態を示し、(C)は、ロックピンがストッパとの係合を離れた状態を示し、(D)は、鉄輪が張り出した状態を示す。
符号の説明
1 軌陸作業車
2 車体
3 タイヤ車輪(道路走行用車輪)
14 鉄輪保持ブラケット(鉄輪保持部材)
14f 長孔(第1長孔)
15 鉄輪(軌道走行用車輪)
15b 後鉄輪
16 揺動シリンダ
30 鉄輪落下防止装置
31 アームブラケット(ブラケット部材)
33 アーム(被係止部、アーム部材)
34 ストッパボルト(規制部材)
40 ドグ(被係止部、ドグ部材)
42 長孔(第2長孔)
43 ロックピン(被係止部)
46 スプリング(付勢部材)
50 ストッパ(係止部、ストッパ部材)
55 ロッドピン(枢結部、ピン部材)

Claims (4)

  1. 車体前後に設けられた道路走行用車輪と、前記車体前後に設けられ電車軌道用のレール上を走行する軌道走行用車輪と、前記車体に上下方向に揺動自在に設けられ前記軌道走行用車輪を回転自在に保持する鉄輪保持部材と、一端部が前記鉄輪保持部材に枢結されて前記鉄輪保持部材を上下方向に揺動させる伸縮自在な揺動シリンダとを備え、道路走行時は前記揺動シリンダにより前記鉄輪保持部材を上方に揺動させて前記軌道走行用車輪を前記レール上から離反させて前記車体に格納させる格納位置に位置させて前記道路走行用車輪により道路上を走行し、軌道走行時は前記揺動シリンダにより前記鉄輪保持部材を下方に揺動させて前記軌道走行車輪を前記レール上に張り出させる張出位置に位置させて前記軌道走行用車輪によりレール上を走行するように構成された軌陸作業車において、前記鉄輪保持部材を前記格納位置で固定保持する鉄輪落下防止装置であって、
    前記車体前後に設けられた前記軌道走行用車輪のうち少なくとも後側の前記軌道走行用車輪を保持する前記鉄輪保持部材に設けられた係止部と、
    前記車体に上下に揺動自在に設けられて、前記鉄輪保持部材を前記格納位置に位置させたときに前記係止部と係合する被係止部とを備え、
    前記揺動シリンダにより前記鉄輪保持部材を前記格納位置に揺動させたときには、前記被係止部が、前記係止部から押動されて前記係止部に係合するように揺動され、
    前記揺動シリンダにより前記鉄輪保持部材を前記張出位置に揺動させたときには、前記被係止部が、前記鉄輪保持部材及び前記揺動シリンダの枢結部から押動されて前記係止部との係合を解除するように揺動されることにより、前記係止部が前記被係止部に係脱自在に構成されたことを特徴とする軌陸作業車の鉄輪落下防止装置。
  2. 前記鉄輪保持部材が、前記鉄輪保持部材及び前記揺動シリンダの前記枢結部に形成された第1長孔を有し、
    前記枢結部が、前記第1長孔に挿通され、前記揺動シリンダの伸縮作動に応じて前記第1長孔内に沿って移動して、ドグ部材を押動可能なピン部材を有し、
    前記被係止部が、前記車体に上下に揺動自在に設けられたアーム部材と、第2長孔を有し前記アーム部材に上下に揺動自在に設けられたドグ部材と、前記アーム部材に設けられて端部が前記ドグ部材の前記第2長孔に挿通された状態で支持されたロックピンとを備え、
    前記係止部が、前記鉄輪保持部材に固設され、前記揺動シリンダの伸縮作動に応じて、前記ロックピンに係脱可能な鉤部および前記ロックピンに当接して押動するガイド部を有したストッパ部材を備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の軌陸作業車の鉄輪落下防止装置。
  3. 一端部が前記ドグ部材に支持され、他端部が前記車体に支持されて前記ドグ部材を前記車体側に引っ張るように付勢する付勢部材を備えて構成されたことを特徴とする請求項2に記載の軌陸作業車の鉄輪落下防止装置。
  4. 前記車体が、前記アーム部材を上下に揺動自在に支持するブラケット部材を備え、
    前記アーム部材が、前記アーム部材を所定方向に揺動させたときに前記ブラケット部材に当接する規制部材を有することにより、前記アーム部材の前記所定方向の揺動を規制するように構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の軌陸作業車の鉄輪落下防止装置。
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