JP2009170484A - 非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法及び装置並びに当該方法又は装置で製造されたフラットパネルディスプレイ - Google Patents

非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法及び装置並びに当該方法又は装置で製造されたフラットパネルディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 非晶質シリコン半導体膜例えばアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化を半導体レーザー光を使用して簡単且つ安定して行えるようにすることにより、半導体製品の生産性及び品質の向上と製造コストの引下げを図る。
【解決手段】 レーザー結晶化法を基板上に非晶質シリコン半導体膜を形成する工程と、非晶質半導体膜の表面に光吸収剤を塗布して光吸収剤膜を形成する工程と、光吸収剤膜に半導体発光素子からの線状のレーザー光を照射すると共に、当該線状レーザー光の走査により非晶質シリコン半導体膜を加熱してこれを結晶シリコン半導体膜とする結晶化工程とから構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、レーザー光の照射による非晶質シリコン半導体膜の結晶化方法及び装置並びに当該方法又は装置で製造されたフラットパネルディスプレイに関するものであり、特に、アモルファスシリコン膜の表面に光吸収剤の薄膜をスピンコート方式等により設けると共に、照射する半導体レーザー光のパワーを押え、アモルファスシリコン膜の相変化による熱伝導特性の大幅な変化を有効に活用して温度管理を自動的に行い、熱伝導性の低いアモルファスシリコン膜のみを主に加熱すると共に結晶シリコン膜の過加熱を防止することにより、レーザー結晶化を自動的に安定して、しかも簡便且つ安価に行えるようにした非晶質シリコン半導体膜、例えばアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化方法及び装置並びに当該方法又は装置で製造されたフラットパネルディスプレイに関するものである。
例えば、多結晶シリコン膜を能動層として用いた薄膜トランジスタ(以下、TFTと呼ぶ)は液晶表示装置等の分野で広く利用されており、従前からその高性能化、生産性の向上及び製造コスト引下げ等が強く要請されている。
而して、この種TFTの製造に於いては、従前から基板上に形成した非晶質半導体膜、例えばアモルファスシリコン膜にレーザー光を照射し、これを加熱することにより相変化を起して多結晶シリコン膜とするようにした所謂レーザー結晶化方法が広く用いられており、エキシマレーザー光をアモルファスシリコン膜にパルス照射するエキシマレーザー結晶化法やYAGレーザーの2倍高調波光を照射するYAGレーザー結晶化法等が広く知られている。
しかし、従前のエキシマレーザー光パルスを用いる結晶化方法にあっては、パルス間のエネルギーの安定性が低いためにTFT素子の品質に不揃いが生じたり、光源であるレーザー装置の設備費や維持コストが高騰する等の難点が存在する。また、後者のYAGレーザー光を用いる方法には、レーザー光源の出力の点からレーザー設備の大型化が不可避となり、結果として設備費の高騰によるTFTや液晶基板等の製造コストの引下げが図れないと云う問題があった。
一方、上述の如き問題を解決する方策として、非晶質半導体膜、例えばアモルファスシリコン膜の表面にレーザー光吸収剤や反射防止剤の薄膜を形成し、レーザー光のエネルギー利用率を高めてYAGレーザー光源の小型化を図ったり、或いは半導体レーザーの使用を可能にすることにより、製品品質の安定化及び生産性の向上を図るようにした技術が開発されている(特開2003−168646号、特開2004−134577号等)。
図3及び図4は、上記レーザー光吸収剤等の薄膜を利用したレーザー結晶化方法の一例を示すものであり、図3に於いて、11はガラス基板(無アルカリガラス)、12はアモルファスシリコン膜(50nm、プラズマCVD法により形成)、13はシリコン酸化膜(100μm、プラズマCVD法)、14はMo光吸収膜(200nm、プラズマCVD法)であり、連続発振型のYAGレーザー(0.5mm×40mmの帯状レーザービーム)20を光吸収膜14の表面に照射すると共に、YAGレーザービームでMo光吸収膜14を走査(50mm/s、雰囲気ガスAr、レーザー出力940w)することにより、アモルファスシリコン膜12の結晶化を行うようにしたものである(特開2003−168646号)。
また、図4は、レーザー光源として半導体レーザーを使用した例を示すものであり、ガラス基板11(300mm×300mm、無アルカリガラス)の上に下地保護薄膜15(200nm、SiO2、プラズマCVD法)、アモルファスシリコン薄膜12(50nm、低圧気相CVD法)、第1絶縁膜16(100nm、SiO2膜、プラズマCVD法)、光吸収膜14(50nm、TaN、スパツタリング法)、第二絶縁膜17(140nm、SiO2プラズマCVD法)を順に形成し、半導体レーザー19(強度ピーク808nm)を基板に対向させてレンズ18によりスポット形状のビームに集光させ(600μm×300μmの楕円形、1800w/cm2)、これを1mm/secの速さで矢印方向へ走行させることにより、幅20μm、長さ100μmの高品質な多結晶領域21を形成するようにしたものである(特開2004−134577号)。
前記図3のレーザー結晶化方法では、連続発振型のYAGレーザーを使用するための高速走査が行えるうえ、光吸収膜14を使用しているために反射レーザー光が減少してエネルギー利用率が高まり、TFTの品質やその生産性が大幅に向上する。
同様に、図4のレーザー結晶化方法では、前者の効用の他に、半導体レーザーを使用するため発光素子の発振波長を広範囲に亘って設定することができると共に、発光素子の組み合せにより容易にレーザー光出力を高めたり、レーザー光の集束形態を変えることができるため、結晶化が可能なアモルファスシリコン膜の厚さの範囲を大幅に拡大できるという利点がある。
しかし、従前の光吸収剤の薄膜を利用するレーザー結晶化方法にも解決すべき多くの問題が残されている。その中でも、光吸収剤膜の形成や除去及びレーザー結晶化の照射制御(結晶化温度制御)の点に、緊急に解決を必要とする問題が残されている。
即ち、従前のレーザー結晶化方法に於いては、光吸収剤膜をプラズマCVD法等により形成しているため、光吸収剤膜の形成やその厚み管理に手数が掛かるだけでなく、結晶化後の光吸収剤膜の除去にも手数がかかり、TFTの生産性や品質の向上、製造コストの削減を図る上で、光吸収剤膜の製膜やその除去が大きなネックになっている。
また、高品質のTFT等を得るためには、光吸収剤膜やアモルファスシリコン膜の高精度な厚み制御が必要なことは勿論であるが、仮に膜厚の制御が完全であったとしても、レーザー結晶化による結晶化を安定して行い、所定の結晶粒径の高品質な結晶シリコン膜を得るためには、レーザー光の強度や走査速度、加熱温度及び加熱範囲等を含むレーザー結晶化の処理制御をより高精度で、しかも安定して行うことが要求されることになる。
しかし、現実には、光吸収剤膜を利用した場合には、レーザー結晶化をアモルファスシリコン膜や結晶シリコン膜の部分的な過加熱等を生じることなしに安定して行うことは困難があり、結果として、TFTの品質に斑を生じたり、品質そのものが低下したりすることを防止することが出来ないと云う現状にある。
特開2003−168646号 特開2004−134577号
本発明は、従前のMoやTaN等の光吸収剤の薄膜を利用した非晶質シリコン半導体膜、例えばアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化に於ける上述の如き問題、即ち、イ.光吸収剤膜の形成や結晶化後の光吸収剤膜の除去に手数が掛かり、半導体製品の品質及び生産性の向上並びに製造コストの引き下げ等が図れないこと、及びロ.光吸収剤膜を用いることにより、レーザーの照射制御の一層の高精度化が要求されることになり、現実には安定したアモルファスシリコン膜の結晶化処理を行うことが困難なこと、等の問題を解決せんとするものであり、光吸収剤膜を真空製膜等の複雑な製膜方法を用いることなしに、スピンコート装置等を用いて簡単にしかも高精度で行うと共に、半導体レーザー光による加熱と、アモルファスシリコン膜の相変化時に生ずる大幅な熱伝導特性の変化を活用した自動温度調節作用とを組み合せることにより、複雑なレーザー照射制御(加熱温度制御)を必要とすることなしに安定した自動レーザー結晶化が行え、半導体製品の品質や生産性の向上、製造コストの引き下げ等を可能とした非晶質半導体膜、例えばアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化方法及び装置並びに当該方法又は装置で製造されたフラットパネルディスプレイを提供することを、発明の主目的とするものである。
本願発明者等は、永年に亘って非品質シリコン半導体膜のレーザー結晶化技術に関する研究、開発を行っており、その過程においてアモルファスシリコン膜と、これを結晶化した後の結晶シリコン膜との熱伝導特性に約100倍の差が生じていることを知得した。
また、本願発明者等は、半導体レーザーを照射源として用い、このLD光の熱エネルギーの利用効率を高めるために熱吸収剤膜を用いる場合には、熱吸収剤膜とアモルファスシリコン膜との間の密着性が真空製膜をした場合の光吸収剤膜よりも低くても、両者の間に一定の熱伝導性が確保される限り真空製膜以外の方法による光吸収剤膜、例えばスピンコート装置による製膜やメニスカスコート装置等による製膜でも、十分に適用可能なことを着想した。
更に、本願発明者等は上記着想に基づいて、スピンコート装置により各種の光吸収剤膜をガラス基板に形成したアモルファスシリコン膜の表面に形成すると共に、半導体レーザー光を用いて、前記光吸収剤膜のレーザー結晶化試験を多数実施した。
本願発明は、本願発明者等の上記着想およびこれに基づく各種の試験結果を基にして創作されたものであり、請求項1の方法発明は、基板上に非晶質半導体膜を形成する工程と、非晶質半導体膜の表面に光吸収剤を塗布して光吸収剤膜を形成する工程と、光吸収剤膜に半導体発光素子からの線状のレーザー光を照射すると共に、当該線状レーザー光の走査により非晶質半導体膜を加熱してこれを結晶半導体膜とする結晶化工程とを発明の基本構成とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、基板をガラス基板とすると共に、非晶質半導体膜をアモルファスシリコン膜とし、光吸収剤を溶剤にカーボンを分散せしめて形成した赤外線光吸収剤とするようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、半導体レーザー光の発振波長を400〜1500nmとすると共に、線状レーザー光の長さを基板の短辺の長さよりも長くするようにしたものである。
請求項4の発明は、基板上に非晶質シリコン半導体膜を形成する手段と、非晶質シリコン半導体膜の表面に光吸収剤を塗布して光吸収剤膜を形成する手段と、光吸収剤膜に半導体発光素子からの線状のレーザー光を照射すると共に、当該線状レーザー光の走査により非晶質シリコン半導体膜を加熱してこれを結晶シリコン半導体膜とする結晶化手段とを発明の基本構成とするものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明に於いて、基板をガラス基板とすると共に、非晶質半導体膜をアモルファスシリコン膜とし、光吸収剤を溶剤にカーボンを分散せしめて形成した赤外線光吸収剤とするようにしたものである。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5の発明に於いて、半導体レーザー光の発振波長を400〜1500nmとすると共に、線状レーザー光の長さを基板の短辺の長さよりも長くするようにしたものである。
請求項7の発明は、請求項1に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法又は請求項4に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化装置で製造することを発明の基本構成とするものである。
請求項8の発明は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明に於いて、光吸収剤膜を形成する工程を、スピンコート装置又はメニスカスコート装置等により光吸収剤を塗布することにより光吸収剤膜を形成するようにしたものである。
請求項9の発明は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明に於いて、結晶半導体膜の外表面を洗浄することにより光吸収剤膜を除去する工程を付加するようにしたものである。
請求項10の発明は、請求項2又は請求項3の発明に於いて、アモルファスシリコン膜の相変化時の熱伝導特性の変化を利用して、アモルファスシリコン膜の過加熱を自動的に防止するようにしたものである。
請求項11の発明は、請求項2又は請求項3の発明に於いて、ガラス基板を用い、アモルファスシリコン膜の厚さを15〜200nm及び光吸収剤膜の厚さを0.1〜30μmとするようにしたものである。
本発明においては、レーザー光源として半導体レーザー光(以下LD光と呼ぶ)を使用するため、光源装置の設備費及びランニングコストの大幅な引下げが図れると共に、ピーク波長を適宜に選択することにより、50nm以下の極薄のアモルファスシリコン膜(以下a−Si膜と呼ぶ)から100nm以上の極厚のa−Si膜までの結晶化が可能となる。
また、半導体素子の発光領域は比較的小さいため、半導体素子を近接して配設すると共に光学系と有機的に組み合せすることにより、容易に線状のLD光を形成することが出来る。
更に、本発明では、光吸収剤膜をスピンコート装置又はメニスカスコート装置等により製膜する構成としているため、従前のプラズマCVD法やその他の真空製膜法による場合に比較して製膜が簡単に行えるだけでなく、結晶化後の光吸収剤膜の除去も水洗浄等により極く簡単に行えることになり、半導体製品の製造コストの引下げや生産性の向上が可能となる。
加えて、本発明では、a−Si膜の相変化時の熱伝導特性の変化を結晶化の自動安定化機構として活用しているため、光吸収剤膜を利用した場合においても、特殊なレーザー照射制御装置を必要とすることなしに、安定した自動レーザー結晶化を行うことができ、過加熱等による半導体製品の品質低下の発生をほぼ完全に防止することができる。
本発明は上述の通り、結晶シリコン膜半導体等の生産性や品質の大幅な向上及び製造コストの引下げを可能とする優れた実用的効用を奏するものである。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明に係るレーザー結晶化方法に於ける光吸収剤膜の形成状態を示す説明図である。また、図2は本発明に係るレーザー結晶化方法に於ける結晶シリコン膜の形成状態を示す説明図である。
尚、図1及び図2に於いて1はガラス基板、2はアモルファスシリコン(a−Si)膜、3は光吸収剤膜、4は結晶シリコン膜、5は半導体レーザー装置、6は半導体レーザー光で7は半導体レーザー光の照射ポイントである。
前記ガラス基板1は所謂無アルカリガラスであって、その外形寸法は任意であり、通常は横幅2〜3m×縦幅2〜3mの外形寸法のものが使用される。尚、本実施形態に於いては、ガラス基板1として厚さ0.5mm、横幅50mm×縦幅50mmのものが使用されている。また、ガラス基板1に替えて熱伝導性の良い石英ガラスや金属セラミック、シリコウエハ等を基板として使用することも可能である。
前記a−Si膜2は、薄膜半導体の用途、機能に応じてその膜厚が10〜250nm間に適宜に選定される。本実施形態に於いては、a−Si膜2の膜厚が50nmに設定されている。
当該a−Si膜2は、プラズマCVD法や低真空CVD法、スパッター法、真空蒸着法等により形成され、その製膜方法は任意に選択可能である。
尚、本実施形態に於いては、プラズマCVD法により厚さ50nmのa−Si膜2がガラス基板1の上方全面に形成されている。
前記a−Si膜2の形成に際しては、ガラス基板1の外表面に有機溶剤や純水等による洗浄が行われる。また、必要に応じて、ガラス基板1からの不純物元素の侵入を防止するための適宜の厚さの保護膜(図示省略)を形成して良いことは勿論である。
また、アモルファスシリコンに替えて、ゲルマニウムやシリコン・ゲルマニウム等を膜材として利用することも可能なことは勿論である。
前記光吸収膜3は、図1に示すようにスピンコート方式のコーティング装置等を用いて、ガラス基板1上のa−Si膜2の表面に形成されており、その平均的な厚さは1〜50μm位が最適である。尚、光吸収剤膜3の厚さは、照射されるLD光の波長やエネルギー密度、光吸収剤の材質、光吸収剤膜3の形成方式、LD光の反射率等により適宜に決定されるが、本実施形態では水を含む溶剤にカーボンを分散して形成した赤外線光吸収剤をスピンコート装置等により、平均厚さ10〜20μmで一様にガラス基板1上に塗布するようにしている。
前記光吸収剤としては、溶剤にカーボンを分散せしめた形態の赤外線光吸収剤だけでなく、インクジェット装置やスピンコート装置等を用いて適宜の膜厚さに塗布可能な光吸収剤であれば、例えばダイヤモンド状カーボンやMoを含有する光吸収剤であってもよい。
前記図1の実施形態では、光吸収剤膜3の形成にスピンコート方式のコーティング装置を利用しているが、これに替えてメニスカスコート方式やインクジェット方式のコーティング装置等を利用することも可能である。
また、インクジェット方式のコーティング装置としては、例えば本願発明者等が先に出願をしている特願2007−57329号に開示の装置を利用することが可能である。
前記半導体レーザー装置5は公知のものであり、本発明では単体出力が2〜5w程度の半導体レーザーを用い、発振波長が400〜1500nmのLD光を出力している。
また、本実施形態に於いては、上記レーザー単体で形成した出力2wのレーザー光源を使用している。当該LD光の照射ポイント7における形態は線状であり、線状光源の長さは約1mmに設定されている。また、LD光の照射ポイント7における横幅(線幅)はシリンドリカルレンズ(図示省略)により細幅(約50μm)に絞られており、ポイント7におけるパワー密度は約4000w/cm2であった。更に、走査速度は約10mm/sであり、基板1の全面を一様に加熱して結晶化するようにしている。
LD光が光吸収剤膜3へ吸収されると、先ずLD光を吸収した光吸収剤膜3が線状に加熱され、約1200〜1800℃以上に上昇する。これと同様に、光吸収剤膜3の下面側のa−Si膜2も線状に加熱され、約1200〜1800℃に達すると所謂相変化が起こり、その結晶化が進行することにより結晶シリコン膜4に変化して行く。
ところで、a−Si膜2そのものの伝熱特性は比較的悪く、(微)結晶シリコン膜4に変化した場合の約100倍の高い伝熱抵抗を有している。その結果、a−Si膜の相変成が完了すると、この部分に加えられていた熱(或いは、この部分に溜っている余分な熱)は、各種の(微)結晶シリコン部分を通過して自動的にガラス基板1内へ侵入し、ガラス基板1に吸収されたあと放熱されて行く。
換言すれば、光吸収剤膜3に与えられるLD光エネルギーに多少のバラツキが生じても、相変化によってa−Si膜2が微結晶シリコン膜4に変ることにより、余剰な熱は結晶シリコン膜4を通してガラス基板1内へ放散されて行く。このように、光吸収剤膜3に与えられたLD光エネルギー(熱)は、a−Si膜2の相変化が完了すれば自動的にガラス基板1内へ放散されるため、変成により形成された(微)結晶シリコン膜が過加熱されてその品質劣化を起したりすることが皆無となり、レーザー照射エネルギーや光吸収剤膜3の厚さ等に多少のバラツキがあることによって加熱温度が若干変動したとしても、所謂自動的に安定した相変化が円滑に行われることになる。
勿論、LD光源による照射パワー密度やその走査速度、a−Si膜の厚さ等の制御は、ある程度精度よく行われる必要があるものの、LD光の照射が強きにすぎてガラス基板1の破壊温度を越えない限り、光吸収剤膜3の膜厚等に多少のバラツキ等があってa−Si膜2の加熱状態が変動しても、a−Si膜2の結晶化は安定して自動的に達成されることになる。その結果、前記LD光源による照射パワー密度や走査速度、a−Si膜2の厚さ、光吸収剤膜3の厚さ等の所謂レーザー照射条件の制御は、半導体レーザー以外の高強度レーザーを使用した従前のレーザー結晶化方法の場合のように、特に高精度なものにする必要はない。
尚、本発明に於いては、前記光吸収剤を2次元パターンとしてスピンコート装置、メニスカスコート装置及びインクジェット装置等のコーティング装置により塗布することにより、パターン内に結晶粒界の特異点を持たない多結晶シリコン層(ポリシリコン層)を容易に形成することが出来、単結晶SiのMOSFETと略同等の性能を有する高性能TFTの製作が可能となる。
また、本発明に係る図1及び図2では図示してないが、光吸収膜3の上下面に適宜の保護剤膜(例えばSiO2膜)を形成し、これによって結晶化時の酸化等を防止するようにしてもよい。
更に、本発明に係る光吸収剤膜3は、スピンコート装置等によって塗布したものであるため、純水等の溶媒でもって洗浄することにより容易にこれを除去することができ、結晶化処理等の後における光吸収剤膜3の除去工程が簡単となる。
先ず、厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(50mm×50mm)1の上面に厚さ50nmのa−Si膜2を真空製膜した。その後、a−Si膜2の上にコーティング装置(スピンコート装置)8により溶剤にカーボンを分散せしめた光吸収剤(赤外線光吸収剤)を塗布し、平均厚さ10μm程度の光吸収剤膜3を形成した。
次に、半導体レーザー装置5から横幅長さ1mmの線状レーザー光を照射し(照射密度4000w/cm2)、10mm/secの走査速度でa−Si膜2の全面をレーザー結晶化した。
これにより、a−Si膜2を特別な制御を行うことなしに自動的に安定して相変化させ、微結晶シリコン膜4を得ることが出来た。
また、レーザー結晶化の完了後に基板1の表面を水洗することにより、塗布された光吸収剤膜3等は簡単に除去することができた。
更に、得られた(微)結晶シリコン膜4には亀裂等が全く見られず、またガラス基板1との密着性も従来品と変りないことが確認された。
本願方法発明及び本願装置発明により、大型ガラス基板の上面に結晶シリコン半導体膜を形成すると共に、これを用いて所謂フラットパネルディスプレイの製作製造を行った。
本発明は上述の通り、これまで非常に厳しい照射条件の管理が必要であった高強度レーザーを用いたレーザー結晶化を、簡単な印刷工程と半導体レーザーを組み合せることで容易に実現できるため、液晶基板などの製造コストが大幅に削減でき、優れた実用的効用を有するものである。
本願発明は、液晶表示パネルのみならず、フラットパネルディスプレイに用いられる薄膜シリコン半導体のレーザー結晶化に適用できるものである。
本発明に係るレーザー結晶化方法における光吸収剤膜の形成状態を示す説明図である。 本発明に係るレーザー結晶化方法における(微)結晶シリコン膜の形成状態を示す説明図である。 従前の光吸収剤膜を利用したアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化方法の一例を示す説明図である。 従前の光吸収剤膜を利用したアモルファスシリコン膜のレーザー結晶化方法の他の例を示す説明図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 アモルファスシリコン膜
3 光吸収剤膜
4 (微)結晶シリコン膜
5 半導体レーザー装置
6 半導体レーザー光
7 半導体レーザー光の照射ポイント
8 コーティング装置
11 ガラス基板
12 アモルファスシリコン薄膜
13 シリコン酸化膜
14 光吸収膜(Mo又はTaN)
15 下地保護膜(SiO2
16 第1絶縁層(SiO2
17 第2絶縁層(SiO2
18 レンズ
19 半導体レーザー
20 YAGレーザー
21 多結晶領域

Claims (11)

  1. 基板上に非晶質シリコン半導体膜を形成する工程と、非晶質シリコン半導体膜の表面に光吸収剤を塗布して光吸収剤膜を形成する工程と、光吸収剤膜に半導体発光素子からの線状のレーザー光を照射すると共に、当該線状レーザー光の走査により非晶質シリコン半導体膜を加熱してこれを結晶シリコン半導体膜とする結晶化工程とから構成したことを特徴とする非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  2. 基板をガラス基板とすると共に、非晶質半導体膜をアモルファスシリコン膜とし、光吸収剤を溶剤にカーボンを分散せしめて形成した赤外線光吸収剤とするようにした請求項1記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  3. 半導体レーザー光の発振波長を400〜1500nmとすると共に、線状レーザー光の長さを基板の短辺の長さよりも長くするようにした請求項1又は請求項2に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  4. 基板上に非晶質シリコン半導体膜を形成する手段と、非晶質シリコン半導体膜の表面に光吸収剤を塗布して光吸収剤膜を形成する手段と、光吸収剤膜に半導体発光素子からの線状のレーザー光を照射すると共に、当該線状レーザー光の走査により非晶質シリコン半導体膜を加熱してこれを結晶シリコン半導体膜とする結晶化手段とから構成したことを特徴とする非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化装置。
  5. 基板をガラス基板とすると共に、非晶質半導体膜をアモルファスシリコン膜とし、光吸収剤を溶剤にカーボンを分散せしめて形成した赤外線光吸収剤とするようにした請求項4に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化装置。
  6. 半導体レーザー光の発振波長を400〜1500nmとすると共に、線状レーザー光の長さを基板の短辺の長さよりも長くするようにした請求項4又は請求項5に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化装置。
  7. 請求項1に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法又は請求項4に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化装置で製造されたフラットパネルディスプレイ。
  8. 光吸収剤膜を形成する工程を、スピンコート装置又はメニスカスコート装置等により光吸収剤を塗布することにより光吸収剤膜を形成するようにした請求項1、請求項2又は請求項3に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  9. 結晶シリコン半導体膜の外表面を洗浄することにより光吸収剤膜を除去する工程を付加するようにした請求項1、請求項2又は請求項3に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  10. アモルファスシリコン膜の相変化時の熱伝導特性の変化を利用して、アモルファスシリコン膜の過加熱を自動的に防止するようにした請求項2又は請求項3に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
  11. ガラス基板を用い、アモルファスシリコン膜の厚さを15〜200nm及び光吸収剤膜の厚さを0.1〜30μmとするようにした請求項2又は請求項3に記載の非晶質シリコン半導体膜のレーザー結晶化方法。
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