JP2006237042A - レーザーアニール装置、これを用いた半導体薄膜の製造方法、および薄膜トランジスター - Google Patents
レーザーアニール装置、これを用いた半導体薄膜の製造方法、および薄膜トランジスター Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 半導体薄膜を有する大型基板の面内結晶性の均一性を高めるため、アモルファス膜厚変動に応じた熱処理が可能なレーザーアニール装置と、これを用いた半導体薄膜の製造方法、および薄膜トランジスターを提供する。
【解決手段】 面内を2領域に分けて結晶化を行なうに当たり、レーザー光の強度分布を長手方向において非対称とする光学手段を用い、1度目の照射と2度目の照射において基板が載るステージを180°回転することにより、基板面内をその分割線を中心に対称となるレーザー強度で照射する。
【選択図】 図4
【解決手段】 面内を2領域に分けて結晶化を行なうに当たり、レーザー光の強度分布を長手方向において非対称とする光学手段を用い、1度目の照射と2度目の照射において基板が載るステージを180°回転することにより、基板面内をその分割線を中心に対称となるレーザー強度で照射する。
【選択図】 図4
Description
本発明は絶縁基板上に形成される薄膜トランジスター(以下、TFTという)回路の製造、および液晶表示装置や有機EL表示装置の表示画素またはその駆動回路構成素子として利用される薄膜トランジスターの製造に用いられるレーザーアニール装置に関するものである。また、このレーザーアニール装置を用いた半導体薄膜の製造方法、および薄膜トランジスターに関する。
液晶や有機EL(Electro Luminescence)といった表示装置における駆動回路、例えばアクティブマトリクス回路では、ガラス基板を用いることができるよう、プロセス最高温度が600℃程度の低温プロセスによってTFTを製造できることが必要となっている。ここで、TFTのチャネル領域等を形成するのに必要なシリコン膜のうち、アモルファスシリコンについては低温プロセスにより成膜可能であるが、得られるTFTの電気移動度が低いという欠点がある。
そこでガラス基板上に形成したアモルファスシリコン膜に対しレーザー光を照射し、アモルファスシリコン膜を溶融結晶化し、結晶性のシリコン膜(ポリシリコン膜)とすることによって、電気移動度の高いTFTを形成する方法が用いられている。
このレーザーアニールによる溶融結晶化の処理装置は、マルチチャンバーから構成される装置形態(たとえば特許文献1)が用いられており、これに用いられるレーザー光の形状はその断面形状が正規分布を有するものや、概ね台形を有する長尺ビームであり、その長手方向については均一であるように(たとえば特許文献2)形成されたものが用いられてきた。
しかしながら、基板となるガラス基板の大型化と、要求されるTFTのオフ電流特性の低下から半導体薄膜の更なる薄膜化を伴い、前記半導体薄膜の成膜時に生じる膜厚分布は、均一なレーザー光からなる長尺ビームにより照射を行ってしまうと逆に得られた結晶性半導体薄膜の結晶性にばらつきを生じ、特性の均一なTFT素子を作るという目的に対し、無視できない特性差を生じてしまうという問題がある。
図1は半導体薄膜としてアモルファスシリコン膜を用い、種々の膜厚に対し照射されるレーザー光のエネルギー密度を変えたときの膜の結晶性を評価した図である。なお、結晶性の評価にはラマン分光分析の結晶シリコン成分の半値幅を、単結晶のものと比較した時の比率を用いた。いずれの膜厚についてもエネルギー密度の増加に伴い、半値幅は段々と狭くなるため、単結晶シリコンの半値幅に近づいていく。つまり、1に近くなっていく。一方、アモルファスシリコン膜は、照射されたレーザー光により完全溶融し、微結晶化を生じると急激に半値幅が広くなるため、比率は大きくなっている。そのため良好な結晶性が得られるエネルギー密度帯域は非常に狭く、またエネルギー密度と膜厚に対しセンシティブであり、膜厚に応じた最適なエネルギー密度の設定が必要となる。
以上の問題点に鑑みて、本発明は上記課題を解消し、被照射体である半導体薄膜の成膜分布に応じた最適な長手方向のビーム強度を有するビーム形状を形成し、均一な結晶性を有する結晶性半導体薄膜を得ることができるレーザーアニール装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のレーザーアニール装置はレーザー発振機と、前記レーザー発振機から照射されたレーザー光を概台形断面を有する長尺ビームへ変換する光学系と前記絶縁基板を保持するステージを有している。ここで前記概台形断面を有する長尺ビームの長手方向の長さは、前記半導体薄膜が形成された領域の一方の辺の1/2に相当すると共に、当該レーザー光の強度分布は長手方向において非対称である。また前記ステージは180°の回転機構を有することを特徴とする。
この発明において、絶縁基板上に形成された半導体薄膜はその全領域を半分づつ2度に別けレーザー光の走査処理により結晶化なされるものであり、前記2度の照射を行なうに当たり、1度目の照射の終了後基板を180°回転し、それぞれ前記半導体薄膜の半面ずつを前記長手方向において非対称な強度分布を有するビームにより照射することで、前記半導体薄膜上においてはその左右で対称な強度分布を有する照射が行なえる。
上記構成において、前記非対称であるレーザー光の強度分布は長手方向において単調な一次関数である傾斜を有していることが望ましい。
このような構成によれば、例えば前記半導体薄膜の成膜時における膜厚分布が基板の端面から中央にかけて単調に一次関数的に厚くなる傾向を有していたとすれば、少なくともその走査方向においては膜厚に応じたレーザー光の強度分布を与えることができる。
また、このような強度分布を有するビーム形状であれば、比較的容易に光学系を構成しやすい。
さらに上記構成において、前記レーザー光の強度分布は長手方向において、その強度分布の1/2は一定値であり、残りの1/2の強度分布は単調な一次関数である傾斜を有していることが望ましい。
このような構成によれば、例えば前記半導体薄膜の成膜時における膜厚分布が基板の中央付近において相対的に大きくなっている、いわゆる中凸型の傾向を有していたとすれば、少なくともその走査方向においては膜厚に応じたレーザー光の強度分布を与えることができる。
また、このような強度分布を有するビーム形状であれば、比較的容易に光学系を構成しやすい。
さらに上記構成において、前記レーザー光の強度分布は長手方向において、緩やかな2次曲線の傾斜を有していることが望ましい。
このような構成によれば、例えば前記半導体薄膜の成膜時における膜厚分布が不均一であるが、徐々に基板中央へ向かい厚くなっているような中凸型の傾向を有していた場合に、少なくともその走査方向においては膜厚に応じたレーザー光の強度分布を与えることができる。
また、本発明は上記レーザーアニール装置を用い、前記絶縁基板上に形成された半導体薄膜の結晶化を行なう工程において、前記レーザー装置のステージ上に保持された前記絶縁基板のおおよそ半分の面積の半導体薄膜にレーザー照射を行い、次に前記レーザーアニール装置のステージを180度回転させ、その後前記絶縁基板上の残りの半分の半導体薄膜に同様のレーザー照射を行なう。
このような半導体薄膜の結晶化処理によれば、絶縁基板上の半導体薄膜の膜厚分布に対応した適切なレーザーエネルギーの照射を行なうことが出来る。さらには、大面積の基板に対しても比較的小さなレーザーアニール装置によって結晶化の処理ができ、レーザー発振機、あるいは装置全体の大型化を抑制することが出来る。
また、上記レーザーアニール装置、および、半導体薄膜の製造方法を用い製造された薄膜トランジスターは、半導体薄膜の結晶化が均一に行われているため、トランジスター特性に優れた薄膜トランジスターを提供できる。
以上述べたように、本発明では膜厚分布を持つ半導体薄膜の結晶化プロセスにおいて、その膜厚分布に応じたビーム強度を有するレーザー光を用い、その膜厚に最適なエネルギー密度により光照射を行なうことが可能となるため、半導体薄膜が形成された基板面内においてばらつきの小さな結晶性半導体薄膜が得られる。
そのため、本発明によるレーザーアニール装置を用い作製された結晶性半導体薄膜を有するTFTは、均一性の高い、かつ高性能な特性を有し、これを液晶表示装置や有機EL表示装置の表示画素、またはその駆動回路構成素子として利用することにより高品位な表示装置を得ることが可能となる。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(レーザーアニール装置、半導体薄膜の製造方法)
図2は本発明に共通するレーザーアニール装置の装置構成である。
図2は本発明に共通するレーザーアニール装置の装置構成である。
図2におけるレーザーアニール装置10は、レーザー発振機1、光学系2、ステージ3を有しており、ステージ3はアニールチャンバー4内に格納されており、このアニールチャンバー4を突き抜けステージ3に接続された垂直駆動軸5には回転機構6が備えられている。一方、同じくアニールチャンバー4を突き抜けステージ3に接続された水平駆動軸7を備えており、これにより走査によるレーザー光の照射が可能となる。
更にレーザーアニール装置10は、半導体薄膜が形成された絶縁基板20をアニールチャンバー4へ出し入れするためのロードロック室8と搬送ロボット9を有している。
図2のレーザー発振機1としては、たとえばXeClエキシマレーザーを用いる。パルスレーザーであるXeClエキシマレーザーの波長は308nmであり、670から1000mJ程度の発振エネルギーを出射することができる。またレーザー光の時間波形は半値幅で20ナノ秒程度であり、半導体薄膜が溶融を起こす温度にまで達したとしてもガラス基板にダメージを生じない。
図2の光学系2はレーザー発振機1が発生するレーザー光を所望の形状に変更する光学素子群と所望の強度へ変更する減衰器(アッテネーター21)からなる。
図3には光学系2の構成を示す。レーザー発振機1から出射されたレーザー光はまずアッテネーター21を通過し、必要なエネルギーまで減衰を受ける。続いてレーザー光を扱い易い適度な大きさに変更するため光学素子群の一つであるビームエキスパンダー22を通し拡大する。
そしてこのレーザー光は長手方向のホモジナイザー23および短軸方向のホモジナイザー24を通過し所望の形状に変更される。本来ホモジナイザーとはホモジナイズする、つまり均質化することを意味しており、短軸方向にも長手方向にも均一なレーザー光からなるエネルギービーム体を形成するためのものであるが、本発明においては後述するようにこの部分の調整によっても、エネルギービーム体の長手方向の強度分布を変化出来るように使用する。
ホモジナイザー群を通過したレーザー光はレンズ25とレンズ26とレンズ27を通過し絶縁基板20上に形成された半導体薄膜表面にて結像される。25と26と27で示されるレンズはレーザー光を所望の長尺ビームに形成する役割を担っている。つまりレンズ25と27はレーザー光を短軸方向に狭めるために機能する。またレンズ26は長手方向のホモジナイザー23と共同してレーザー光を長手方向に引き延ばすために機能する。
次に図2と図3を参照しながら、前記したレーザーアニール装置10を用いて、絶縁基板20上に形成された半導体薄膜に対して処理を行なう例について説明する。
ロードロック室8にセットされた絶縁基板20は搬送ロボット9によりアニールチャンバー4へ搬送され、ステージ3上に置かれる。レーザー発振機1の発振が始まり、レーザー光が出射され、アッテネーター21により必要なエネルギーまで減衰される。半導体薄膜がアモルファスシリコン膜からなる場合、その結晶化に必要とされるエネルギー密度はおよそ350mJ/cm2程度である。
絶縁基板20の大きさが500mmX400mmであれば、その上に形成された半導体膜の有効エリアを480mmX380mmとすると、これを長尺ビームによる2度の照射において処理を行おうとすると、長手方向のビーム長は最低190mm、できれば240mmあればより短時間にて処理が可能となる。
また短軸方向のビーム幅は、長手方向の長さと必要となるエネルギー密度、そしてレーザー発振機の出力より自ずと決定され、例えば出力が670mJであれば、ビーム幅は0.35mm程となる。その短軸方向の断面形状は、本構成のような短軸方向のホモジナイザー24を通過したことにより、その形状は概台形となる。
このような長尺ビームがレーザー発振機1の発振周波数で照射されるため、水平駆動軸7に牽引されステージ3が移動するのに従い絶縁基板20上に形成された半導体薄膜にはレーザー光が順次照射されていく。この移動速度(送りピッチ)であるが、パルスとして照射されるレーザー光を何回重ねて照射を行なうかによっても得られる結晶性半導体膜の結晶性が決まってくるため、短軸方向のビーム幅に対し、20回の重ねを想定し、17.5μm程度の送りピッチとすることが好ましい。
このような照射方法により、1度目の照射を行なった後、一旦照射を停止し、若しくはレーザー発振機1の安定性を維持するため、発振機内のシャッターによりレーザー光を遮った後、回転機構6が垂直駆動軸5共々ステージ3を180°回転する。
この後、発振を再開、若しくはシャッターを開き、1度目と同様な照射を行なうことにより、半導体膜の有効エリアは全て結晶性半導体膜となる。
この結果、結晶性半導体薄膜は照射別に2つの領域に別けられ、それぞれ長尺ビームがその境界線に対し対称となるように照射されている。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザービームの長手方向において単調な一次関数である傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
本発明の第1の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザービームの長手方向において単調な一次関数である傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
図4は本発明おける非対称レーザー光の長手方向のビーム強度分布と、このレーザー光が照射される半導体薄膜がアモルファスシリコン膜である場合の膜厚分布を示したものである。
絶縁基板20上に化学気相堆積(CVD)法により成膜されたアモルファスシリコン膜は、その成膜条件により基板中央が厚く、基板端に近づくにつれ薄くなる傾向を持つ。その厚さ分布はほぼ中央から端に向かって単調に薄くなっており、500mmX400mmの基板サイズの500mm方向においてその膜厚差は4nm程度である。これは図1を参照すると、レーザー光のエネルギー密度においておよそ15mJ/cm2の差に相当する。よって基板面内の長手方向において均一な結晶性を得るためには、レーザー光の長手方向においても同様なエネルギー密度の強度分布を設けておくことが望ましい。
そのため本実施例としては、長手方向のホモジナイザー23の素子群を均等に入射光を分配して均一化させるのではなく、長手方向の端の一方に向け、直線的な重み付けをつけた配置として、即ち図4に示すビーム両端において15mJ/cm2の直線的な傾きを有するビームとし、レーザー光の照射と結晶化を行った。
この結果、得られた結晶性半導体膜の結晶性評価(図4のA−A’線)は、図5(A)に示すような分布となり、従来の長手方向のビーム強度を一定としたレーザー光の照射によって得られた結晶性半導体薄膜の評価値(図5(D))に比べ、基板の長手方向の結晶性ばらつきが低減された。
もっともこのアモルファス膜厚の分布は基板中央から円周状に生じており、当然400mm方向においても分布は見られるが、本発明の効果はその基板走査方向には及んでいない。しかし、その膜厚分布の絶対値は小さいため、結晶性のばらつきを生じる程度も低くなる。そのため、本発明の適用の際は、半導体薄膜の結晶エリアの2分割については基板の長手方向を2領域に別けて処理を行なうことが好ましい。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザー光の長手方向においてその1/2は平坦であり、残りの1/2は単調な一次関数である傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
本発明の第2の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザー光の長手方向においてその1/2は平坦であり、残りの1/2は単調な一次関数である傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
図6は本発明おける非対称レーザー光の長手方向のビーム強度分布と、このレーザー光が照射される半導体薄膜がアモルファスシリコン膜である場合の膜厚分布を示したものである。
絶縁基板20上にCVD法により成膜されたアモルファスシリコン膜は、その成膜条件により基板中央が厚く、その周辺では比較的平坦である傾向を持ち、基板端では傾斜を有している。その厚さ分布は基板中央から端に向かい1/2までは平坦で、1/2を過ぎその端面まではほぼ単調に薄くなる。この様な傾向を有する500mmX400mmの基板の500mm方向において、その膜厚差は3nm程度である。これは図1を参照すると、レーザー光のエネルギー密度においておよそ10mJ/cm2の差に相当する。よって基板面内の長手方向において均一な結晶性を得るためには、レーザー光の長手方向においても同様なエネルギー密度の強度分布を設けておくことが望ましい。
そのため本実施例は、長手方向のホモジナイザー23の素子群を均等に入射光を分配して均一化させるのではなく、長手方向の1/2から端の一方に向け、直線的な重み付けとなるような配置として、即ち図6に示すビーム強度分布において10mJ/cm2の直線的な傾きを有するビームとし、レーザー光の照射と結晶化を行った。
次に、得られた結晶性半導体膜の結晶性評価をラマン分光分析測定により評価を行った。その結果、半導体薄膜の結晶性(図6のA−A’線)は図5(B)に示すような分布となり、従来の長手方向のビーム強度を一定としたレーザー光の照射によって得られた結晶性半導体薄膜のもの(図5(D))に比べ、基板の長手方向の結晶性ばらつきが低減された。
また半導体薄膜の結晶エリアの2分割については、第1の実施の形態と同様に基板の長手方向を2領域に別けて処理を行なうことが好ましい。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザー光の長手方向において緩やかに一方へ向かい傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
本発明の第3の実施形態として、本発明のレーザーアニール装置の構成において、レンズ26と長手方向のホモジナイザー23によりレーザー光からなるエネルギービーム体の長手方向に強度分布を設ける手段を用い、レーザー光の長手方向において緩やかに一方へ向かい傾斜を有している非対称レーザー光を用いる場合について説明する。
図7は本発明おける非対称レーザー光の長手方向のビーム強度分布と、このレーザー光が照射される半導体薄膜がアモルファスシリコン膜である場合の膜厚分布を示したものである。
絶縁基板20上にCVD法により成膜されたアモルファスシリコン膜は、その成膜条件により基板中央が厚く、その周辺に向かい成層火山型に傾斜をなす傾向を持つ。その厚さ分布はほぼ中央から端に向かって二次曲線的に薄くなっており、サイズ500mmX400mmの基板の500mm方向においてその膜厚差は4nm程度である。これは図1を参照すると、レーザー光のエネルギー密度においておよそ15mJ/cm2の差に相当する。よって基板面内の長手方向において均一な結晶性を得るためには、レーザー光の長手方向においても同様なエネルギー密度の強度分布を設けておくことが望ましい。
そのため本実施例では、長手方向のホモジナイザー23の素子群を均等に入射光を分配して均一化させるのではなく、長手方向の端の一方に向け、緩やかに強度の重み付けがなされるような配置として、即ち図7に示すビーム両端において15mJ/cm2の直線的な傾きを有するビームとしレーザー光の照射と結晶化を行った。
次に、得られた結晶性半導体膜の結晶性評価をラマン分光分析測定により評価を行ったところ、その結果(図7のA−A’線)は図5(C)に示すような結晶性の評価分布となり、従来の長手方向のビーム強度を一定としたレーザー光の照射によって得られた結晶性半導体薄膜のもの(図5(D))に比べ、基板の長手方向の結晶性ばらつきが低減された。
また半導体薄膜の結晶エリアの2分割については、第1の実施の形態と同様に基板の長手方向を2領域に別けて処理を行なうことが好ましい。
(薄膜トランジスター、およびその製造方法)
次に、第8図から第10図を参照して本発明の上記レーザーアニール装置を用いて半導体薄膜を結晶化した薄膜トランジスター、および、その製造方法について述べる。
次に、第8図から第10図を参照して本発明の上記レーザーアニール装置を用いて半導体薄膜を結晶化した薄膜トランジスター、および、その製造方法について述べる。
この製造方法により形成される薄膜トランジスターは、多結晶シリコンTFTのスイッチング素子に相当するものである。
当該薄膜トランジスターの製造方法においては、本発明の特徴であるレーザーアニール装置10を用いることにより結晶化を施している。
まず、図8(a)に示すように、ガラス基板114としてOA−2(商品名、日本電気ガラス社製)、あるいはAN100(商品名、旭硝子社製)等を準備し、ガラス基板114上の全面に、シラン(SiH4)/N2Oを用いたPE−CVD法、あるいはTEOSを用いたPE−CVD法により、膜厚100〜500nm程度の下地絶縁膜115(SiO2膜)を形成する。
ここで、ガラス基板114は、先に記載したレーザーアニール装置10に載置される基板20に相当するものである。
次に、図8(b)に示すように、下地SiO2膜115上の全面に、SiH4を原料とした温度450℃のPE−CVD法を用いて、膜厚50nm程度のアモルファスシリコン層116を形成する。
次に、図8(c)に示すように上述してきたアモルファスシリコン層116上からレーザーアニールを施す。即ち、アモルファスシリコン層116が形成されたガラス基板114(20)がアニールチャンバー内のステージ上に置かれると、レーザー発振機の発振が始まり、レーザー光が出射され、アッテネーターにより必要なエネルギーまで減衰され、適当なエネルギー密度に調整された後にレーザー光の照射が行なわれ、多結晶シリコン層117へと変えられる。
結晶化に必要とされるエネルギー密度はおよそ350mJ/cm2程度である。
この具体的な照射方法については第一から第三の実施の形態において述べてきているため、ここでは割愛する。
次に、図8(d)に戻り、多結晶シリコン層117のパターニングを行った後、図8(e)に示すように、TEOS−PECVD法を用いて、多結晶シリコン層117を覆う膜厚120nm程度のゲート絶縁膜118(SiO2膜)を形成する。
次に、スパッタ法によりチタニウム(Ti)膜、アルミニウム(Al)膜、窒化チタニウム(TiN)膜を順次全面に堆積させて、図9(f)に示すように、これをパターニングすることにより、Ti膜119a、Al膜119b、及びTiN膜119cからなるゲート電極119を形成する。また、Ti膜119a、Al膜119b、及びTiN膜119cの各膜厚は、それぞれ100nm、400nm及び50nmであることが好ましい。
次に、図9(g)に示すように、このゲート電極119をマスクとしてPH3/H2を用いたイオンドーピング(不純物注入)を行なうことによってNch側の薄膜トランジスターのソース、ドレイン領域120、120を形成し、ついで、B2H6/H2を用いたイオンドーピングを行なうことによってPch側の薄膜トランジスターのソース、ドレイン領域(図示せず)を形成する。この際、ソース、ドレイン領域120、120の間の領域がチャネル領域となる。また、いずれのイオンドーピングについても、ドーズ量は例えば7×1015atoms/cm2程度とする。ついで、350℃、3時間のN2アニールを行ない不純物の活性化を施す。
次に、図9(h)に示すように、TEOS−PECVD法により膜厚500〜1000nm程度、好ましくは800nmの層間絶縁膜121(SiO2膜)を形成する。
次に、図10(i)に示すように、層間絶縁膜121を貫通して多結晶シリコン層上のソース、ドレイン領域120、120に通じるコンタクトホール122、122を開口する。当該コンタクトホール122、122の形成方法は、ドライエッチング法が用いられる。
更に、コンタクトホール122、122を埋設し、且つ、層間絶縁膜121の表面を被覆するように、Ti膜、Al−Cu(アルミニウム銅合金)膜、TiN膜を順次全面に堆積させる。更に、これをパターニングすることにより、Ti膜123a、Al−Cu膜123b、及びTiN膜123cからなるソース・ドレイン電極123、123を形成する。当該ソース・ドレイン電極123、123は、ソース、ドレイン領域120、120に電圧を印加するための電極である。また、Ti膜123a、Al−Cu膜123b、及びTiN膜123cの各膜厚は、それぞれ100nm、400nm及び50nmであることが好ましい。
ここで、Al−Cu膜123bに代わり、ゲート電極119と同様に高純度のAlの単金属材料を用いて形成した場合には、ゲート電極119、ソース・ドレイン電極123、123を同一の積層構造にすることで、同一の製造工程、製造ラインで形成することが可能となり、工程管理を容易にすることが可能となる。
次に、図10(j)に示すように、ソース・ドレイン電極123、123及び層間絶縁膜121を被覆するように、SiN膜124を膜厚200nmで形成する。
更に、窒素雰囲気において、300℃、60分間の熱処理を施す。これにより、多結晶シリコン層117内の不純物が更に活性化され、即ち、不純物の活性化が補完される。
以上述べたように、本発明の半導体薄膜の製造方法を用い製造された薄膜トランジスターは、半導体薄膜の結晶化が均一に行われているため、トランジスター特性に優れた薄膜トランジスターを提供できる。
そのため、これを液晶表示装置や有機EL表示装置の表示画素、またはその駆動回路構成素子として利用することにより高品位な表示装置を得ることが可能となる。
1 レーザー発振機
2 光学系
3 ステージ
4 アニールチャンバー
5 ステージの垂直駆動軸
6 ステージの回転機構
7 ステージの水平駆動軸
8 ロードロック室
9 基板搬送ロボット
10 レーザーアニール装置
20 基板
21 減衰器(アッテネーター)
22 ビームエキスパンダー
23 長手方向のホモジナイザー
24 短軸方向のホモジナイザー
2 光学系
3 ステージ
4 アニールチャンバー
5 ステージの垂直駆動軸
6 ステージの回転機構
7 ステージの水平駆動軸
8 ロードロック室
9 基板搬送ロボット
10 レーザーアニール装置
20 基板
21 減衰器(アッテネーター)
22 ビームエキスパンダー
23 長手方向のホモジナイザー
24 短軸方向のホモジナイザー
Claims (6)
- 絶縁基板上に形成された半導体薄膜の結晶化処理を行なうレーザーアニール装置であって、
レーザー発振機と、前記レーザー発振機から照射されたレーザー光を概台形断面を有する長尺ビームへ変換する光学系と、前記絶縁基板を保持するステージを有しており、
前記概台形断面を有する長尺ビームの長手方向の長さは、前記半導体薄膜が形成された領域の一方の辺の1/2に相当すると共に、当該レーザー光の強度分布は長手方向において非対称であり、
また前記ステージは180°の回転機構を有することを特徴とするレーザーアニール装置。 - 前記レーザー光の強度分布は長手方向において、単調な一次関数である傾斜を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザーアニール装置。
- 前記レーザー光の強度分布は長手方向において、その強度分布の1/2は一定値であり、残りの1/2の強度分布は単調な一次関数である傾斜を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザーアニール装置。
- 前記レーザー光の強度分布は長手方向において、緩やかに2次曲線の傾斜を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザーアニール装置。
- 請求項1ないし4に記載のレーザーアニール装置を用い、前記絶縁基板上に形成された半導体薄膜の結晶化を行なう工程において、
前記レーザー装置のステージ上に保持された前記絶縁基板のおおよそ半分の面積の半導体薄膜にレーザー照射を行い、次に前記レーザーアニール装置のステージを180度回転させ、その後前記絶縁基板上の残りの半分の半導体薄膜に同様のレーザー照射を行なうことを特徴とする半導体薄膜の製造方法。 - 請求項1ないし5に記載のレーザーアニール装置、および、半導体薄膜の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする薄膜トランジスター。
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JP2005045150A JP2006237042A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | レーザーアニール装置、これを用いた半導体薄膜の製造方法、および薄膜トランジスター |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102290342A (zh) * | 2011-09-05 | 2011-12-21 | 清华大学 | 一种采用六边形束斑的激光扫描退火方法 |
JP2013519224A (ja) * | 2010-02-03 | 2013-05-23 | リモ パテントフェルヴァルトゥング ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー | 太陽電池セル、特に結晶または多結晶シリコン太陽電池セルのディスク状基板材料を熱処理するための方法および装置 |
WO2014148182A1 (ja) * | 2013-03-21 | 2014-09-25 | 株式会社日本製鋼所 | アニール処理半導体基板の製造方法、走査装置およびレーザ処理装置 |
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2005
- 2005-02-22 JP JP2005045150A patent/JP2006237042A/ja not_active Withdrawn
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