JP2009169100A - トナーおよびその製造方法ならびに画像形成装置 - Google Patents

トナーおよびその製造方法ならびに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】現像剤中のキャリヤや感光体の表面にトナー中のワックスが付着してフィルミング現象が発生することを防止する。
【解決手段】少なくとも定着用樹脂21とワックス23と着色剤を含む画像形成装置用トナーにおいて、トナー粒子の固着を防止するための微粒子スペーサ25を表面に突出した前記ワックス23の粒子がトナー表面に露出していることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えばレーザープリンタなどの画像形成装置に用いるトナーに係り、特に現像剤中のキャリヤや感光体の表面にトナー中のワックスが付着してフィルミング現象が発生することを防止する技術に関するものである。
例えばレーザープリンタなどの画像形成装置は、感光体表面に静電潜像を形成する書き込みプロセスと、その静電潜像をトナーで可視化する現像プロセスと、そのプロセスで形成されたトナー像を転写器で用紙などの記録媒体表面に移行する転写プロセスと、用紙に移行させたトナーをヒートロール等で用紙上に固着する定着プロセスと、転写後も感光体表面に残留しているトナーを感光体表面から除去する清掃プロセスなどを実行する。
前記定着プロセスを実行する定着装置は、トナーを用紙に熱圧着させるためにヒートロールとバックアップロールを備えている。この定着装置ではトナーへの伝熱と合わせて、トナーとの離型性が要求されるため、表面エネルギーの低いフッ素系の樹脂が多用され、さらには表面にオイルを塗布して離型性を付与させている。
一方、トナーにも離型性の役目をするワックス粒子がトナー表面または内部に保持されて、温度の上昇と共に浸み出してくるように工夫されている。低速機では、ワックスがトナーの主成分のレジンに包まれているシェル構造のトナーも市販されているが、毎分100枚以上の印刷を実行する高速機では定着プロセスの時間は10数ミリ秒と短いため、短時間でヒートロール表面に溶けたワックスを行き渡らせるためにワックスは表面に露出させている。本発明は高速機対象であるため、ワックスがトナー表面に露出しているトナーを対象としている。
前述のように定着プロセスではワックスは表面に露出していることが必要不可欠であるが、融点が低い、軟らかい等特性の故に他のプロセスでは弊害となり重大な問題を引き起こす。その一つが現像機内での問題である。
現像機内部にはトナー及びキャリヤ等の粉体を搬送するために高速で回転する現像ローラが数本設置されており、前記粉体がローラ上を搬送される時にキャリヤとトナーとの衝突が繰り返される。そのためキャリヤ表面にワックスが移行して、キャリヤフィルミング現象を引き起こし、キャリヤの寿命を短くさせてしまう。
他には、ワックスの付着による感光体表面へのフィルミングという問題がある。この現象も根本は前記キャリヤフィルミングと同じである。転写されなかった僅かなトナーは清掃プロセスでクリーニングされるが、トナーはブラシ又はブレードで掻きとられる。その際、感光体表面のトナーは表面に押し付けられる。押し付けられたトナー面がレジンであれば良いが、ワックスだった場合、ワックスは一部感光体へ付着してフィルミング現象を引きおこし、感光体の寿命を短縮する。
このような現象を避ける目的で粒径が数10nm程度の種々の外添剤がスペーサ代わりに添加されるが、一般に多用される方式の所謂、“トナー粒子と微粒子を混合させる”外添剤方式はトナー表面全体に分散させるため、現像機内での攪拌中に前記微粒子がトナーに埋め込まれて用をなさなくなったり、トナー表面から離脱するなど、添加量の割りには効率が悪い。
それを避けるために、微粒子の増量、大粒径化が考えられるが、定着で紙に固着されたトナー中に微粒子が埋め込まれて、光の反射等の弊害、例えば本来の印刷色が出ない、光沢度が下がるなどの問題を生じる。この問題は特に高画質が要求される分野では弊害となるため、不必要な量の微粒子を含まないトナーが望まれている。
特開平4−86673号公報 高橋恭介監修;ディジタルハードコピー技術と材料、発行所シーエムシー、p142(1999.7)
表面にワックスが露出するトナーにおいて、少量でも高効率でワックスの相手材への付着が有効に防止できるトナーの出現が望まれている。
本発明の目的は、前述した従来技術の欠点を解消し、現像剤中のキャリヤや感光体の表面にトナー中のワックスが付着してフィルミング現象が発生することを有効に防止できるトナーおよびその製造方法ならびに画像形成装置を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、少なくとも定着用樹脂とワックスと着色剤を含む画像形成装置用トナーにおいて、トナー粒子の固着を防止するための微粒子スペーサを表面に突出した前記ワックスの粒子がトナー表面に露出していることを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記微粒子スペーサの平均粒径に対する前記ワックス表面からの微粒子スペーサの平均突出量の比である(平均突出量)/(平均粒径)が1/10〜1/4の範囲にあることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は、少なくとも定着用樹脂とワックスと着色剤を含む画像形成装置用トナーの製造方法において、
前記ワックスを加熱して溶融する溶融工程と、
前記溶融したワックス中にトナー粒子の固着を防止するための微粒子スペーサを添加して分散する分散工程と、
前記微粒子スペーサを分散したワックスを冷却する冷却工程と、
前記微粒子スペーサを分散・保持したワックスの凝固物を粉砕して微粒子スペーサが表面に突出したワックスの粒子を得る粉砕工程を有していることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は、感光体と、その感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面に静電潜像を形成する露光手段と、トナーを用いて前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を前記記録媒体上に定着する定着手段を備えた画像形成装置において、前記トナーが前記第1または第2の手段のトナーであることを特徴とするものである。
トナーの構成要素であるワックスがトナー表面に露出していると、定着プロセスでの離型性が効率よく実行できるが、他方ではフィルミングという弊害を現像機及び清掃機内で引き起こす。本発明は前述のような構成になっており、露出するワックス表面に選択的に“スペーサ”としての役目をする微粒子を突出・保持させるため、キャリヤや感光体に対するフィルミング現象を確実に防止することができる。
本発明は、レーザービームプリンタ、複写機等の画像形成装置に用いられるトナーの安定化において特に有効であり、外添剤となる微粒子を予めワックス中に分散・保持させることにより、微粒子をワックスに局在化できるためワックスのくっつきが少なくなり、フィルミングが抑制できる。次に本発明の実施例について図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るレーザープリンタの概略構成図である。同図に示すように、回転しているセレン感光体1に帯電器2で表面を700V程度帯電させ、次いで記録すべき画像情報に基づいて露光器3からレーザー光を照射して静電潜像を形成する。そして現像機4を用いて前記静電潜像を可視化してトナー像5を形成し、搬送されてくる長尺状の用紙(記録媒体)6上に転写器7でトナー像5を転写する。転写された用紙6上のトナー像5は定着器8で熱圧着され、排出部9内で折り畳まれる。感光体1上に残留した残留トナー10はクリーニングブラシ11で除去されて、次の画像形成に備えられる。
この一連の画像形成プロセスの中で、トナーの表面は現像機4内で、キャリヤから圧力を受けまたは現像機4の壁面に押し付けられる状態が発生する。
このレーザープリンタの筐体12内は密閉されているため、各部位からの放熱で時には40℃を越える温度になる。主要な熱源は定着装置8と現像機4である。また、両面印刷において表面印刷後の裏面印刷時、1台目のプリンタの定着器を通過した高温の用紙が2台目のプリンタの転写部で感光体と接するから、その感光体の表面温度が上昇して筐体内の昇温の一因となっており、また感光体表面に余分に付着したトナーへの入熱源にもなっている。
図2は、前記現像機4の拡大断面図である。現像機ケーシング13の上部に交換可能に取り付けられたトナーホッパー14内にはトナー15が装填され、トナーホッパー14から現像機ケーシング13へ補給されたトナー15は図示しないキャリヤと混合された現像剤となり、回転している搬送ローラ16によって複数本の現像ローラ17側に搬送される。搬送された現像剤は図示しないドクタブレードで搬送量が制限され、薄層となって感光体1の表面に送られてトナー像の形成に関与する。
現像剤の搬送は、ローラ内にセットされた図示しない磁石により形成される磁界によって行われる。この際、高速で回転する磁界を現像剤の成分である磁性をもつキャリヤが通過するため渦電流が発生し、この渦電流により現像剤が発熱する。この放熱対策として図示しない冷却ファンや冷却フィン18が現像機ケーシング13に取り付けられるが十分な放熱ができず、現像剤へ熱が伝達されてトナーの耐用寿命を短くしている。
図1に示すように現像機4の近傍に温度センサ19を取り付けて筐体12内の温度を測定すると40℃まで上昇することがあり、トナー15は熱的に過酷な条件に晒されていることになる。トナー15のスティッキング(固着)を防止するためには、互いに接近するトナー・ワックス間で接触を避けるようにスペーサの作用をする物質をワックスまたはトナー表面に付与する必要があるが、ワックス表面に付与する方が効率が良いと考えられる。
スペーサの作用をする微粒子シリカとトナーの概要について、図3〜5を用いて説明する。
図3は、従来のシリカを内、表面に添加したトナーの概念図である。定着用樹脂を主成分とするトナー本体21には、カーボンブラック顔料からなる色剤粒子22が5mass%、カルナウバワックスからなるワックス23が4mass%、ニグロシンからなる帯電制御剤24が1.4mass%それぞれ添加、分散されている。前記ワックス23の1個の大きさは径が概略500nmである。
またシリカからなる微粒子スペーサ25は対トナー質量比で5mass%添加しており、これらは図に示すようにトナー本体21の表面近傍ならびに内部に全体的に分散している。この微粒子スペーサ25は、アトマイズ法や粉砕法−篩い分け法などで作製され、粒径は10〜200nm程度である。
図3に示すように、隣接するトナー26と接触しているワックス23もあり、隣接するトナー表面へのワックスの転写が生じる危険性(即ちフィルミング、スティッキング)を含んでいる。
これに対して図4は本発明の実施例に係るワックスの拡大概念図、図5はそのワックスを使用したトナーの概念図である。
本発明に係るトナーは図5に示すようにトナー本体21に、カーボンブラック顔料からなる色剤粒子22が5mass%、カルナウバワックスからなるワックス23が4mass%、ニグロシンからなる帯電制御剤24が1.4mass%それぞれ添加、分散されている。
前記ワックス23は図4に示すように、その表面近傍ならびに内部にシリカからなる微粒子スペーサ25を含んでおり、ワックス23の表面近傍に存在する微粒子スペーサ25はワックス23の表面から突出して表面が全体的に凹凸になっている。微粒子スペーサ25はアトマイズ法や粉砕法−篩い分け法などで作製され、粒径は10〜200nm程度であり、50nm以下が好ましく、本実施例では50nmのものを使用している。
微粒子スペーサ25が表面に突出したワックス23は図5に示すように、トナー本体21の内部ならびに表面近傍に分散しており、表面近傍に存在するワックス23は微粒子スペーサ25により隣接するトナー表面へのワックスの転写が防止できる。
本実施例では定着性に優れている樹脂として、下記の分子構造式を有するポリエステル樹脂を使用した。
Figure 2009169100
後述の実施例でもカルナウバワックスを用いた例を示すが、本発明の趣旨はワックスの表面から突出してスペーサの機能を果たす微粒子に関するもので、後述のワックスのいずれを選択しても本発明の趣旨は達成される。
本実施例の他にワックス、微粒子スペーサ、トナーベースレジン(定着用樹脂)、着色剤、正負帯電制御剤としては以下に挙げるものがあり、適宜目的に沿って自由に選択可能である。
代表的な離型剤ワックスとして、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成ワックス、ライスワックス、モンタンワックス、蜜蝋等の天然ワックスがあり、更にフィッシャートロピッシュワックス、パラフィンワックスなどが使用できる。
スペーサとして用いる微粒子として、アルミナ、チタニア、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等の無機微粒子、フッ化ビニルデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂微粒子、乳化重合性アクリル、スチレンアクリル樹脂微粒子等がある。必要に応じて表面を疎水化処理することもできる。処理剤としては、ジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、シリコーンオイル、アミノ基含有シランカップリング剤、アミノ変成シリコーンオイルがある。
トナーのベースレジンとしては、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリ―p―クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン―p―クロルスチレン共重合体、スチレン―ビニルトルエン共重合体、スチレン―ビニルナフタリン共重合体、スチレン―アクリル酸エステル共重合体、スチレン―メタクリル酸エステル共重合体、スチレン―α―クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン―アクリロニトリル共重合体、スチレン―ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン―ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン―ビニルメチルケトン共重合体、スチレン―ブタジエン共重合体、スチレン―イソプレン共重合体、スチレン―アクリロニトリル―インデン共重合体、ポリ塩化ビニール、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、テルペン樹脂、クロマン―インデン樹脂などが用いられる。
着色剤としては、任意の顔料または染料が挙げられる。顔料としては、例えばアニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーなどが用いられる。また染料としては、例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料などが用いられる。
正帯電制御剤としては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物;トリブ
チルベンジルアンモニウム―1―ヒドロキシ―4―ナフトスルフォン酸、テトラブチルア
ンモニウムテトラフルオロボレートのごとき四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体で
あるホスホニウム塩等のオニウム塩、及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料
及びこれらのレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルス
ズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブ
チルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオ
ルガノスズボレート類などが用いられる。
感光体をセレンから負帯電感光体(例えば有機感光体)に置き換えた場合には、負帯電抑制剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、例えばモノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体などがある。他には例えば芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
カルナウバワックスをそれの融点以上の100℃に加熱して溶融し、それにシリカ微粒子を所定量(本実施例では対ワックス比1重量%)添加し、攪拌して均一に分散させた後、急冷し固化した。シリカの平均粒径(粒度分布累積度数50%で定義したメディアン直径)は10nmで、シリカどうしの凝集を防止するために分散剤を添加した。
冷却して凝固したシリカ分散ワックスを粉砕機で1〜2μmの大きさに微粉化させた。破砕したワックスは図4に示すように、シリカからなる微粒子スペーサ25はワックス23の内部に均一に分散するとともに破砕面にも多数析出(突出)している。破砕面に析出(突出)する理由は、以下の通りである。
即ち、固化したシリカ分散ワックスを破砕する時に引張或いは圧縮応力がかかり、その応力はシリカとワックスの界面に集中して、ワックスがシリカの表面を通過するように破断するため、ワックスの破砕面に多数のシリカ粒子が析出(突出)する。
本実施例では上記のようにして作製したシリカ分散ワックスをベースレジンが90mass%、着色剤が4mass%、帯電制御剤が2mass%、ワックスが4mass%になるように秤量して溶融−混錬−破砕−分級工程を経て、平均粒径6μmのトナーを1kg作製した。完成したトナー中のワックスの平均粒径は約500nmである。
作製したトナーは図5に示すように、表面に微粒子スペーサ25を突出したワックス23がトナー本体22内に分散しており、ワックス23の一部はトナー本体22の表面に突出している。
本発明の有効性を確認するため、平均粒径が5nm、10nm、30nm、50nm、100nmの5種類のシリカ微粒子を用いて、前述の手順でそれぞれトナーを1kg作製し、ワックス表面からのシリカの突出量を測定した。突出量はnmオーダーの微小量のため、走査型プローブ顕微鏡(SPM;Scanning Probe Microscope)で測定し、シリカの平均粒径と平均突出量との関係を表1に示した。
Figure 2009169100
この表に示すようにシリカの平均粒径が5nmのトナーAでは平均突出量は0.5nm、平均粒径が10nmのトナーBでは平均突出量は2nm、平均粒径が30nmのトナーCでは平均突出量は5nm、平均粒径が50nmのトナーDでは平均突出量は10nm、平均粒径が100nmのトナーEでは平均突出量は25nmであった。各トナーのシリカ平均粒径に対する平均突出量の比、すなわち(平均突出量)/(シリカ平均粒径)を求めるとトナーAは1/10、トナーBは1/5、トナーCは1/6、トナーDは1/5、トナーEは1/4であり、比率は1/10〜1/4の範囲にあってワックスはその表面に微粒子スペーサを安定に保持している。
このようにシリカ粒子が表面から所定量突出したワックスをトナーに用いると、トナーどうしが接触しても、両者の間には微粒子スペーサが存在することになる。
この表面形状を持つトナーのワックスは使用時(保存時、現像時)にも他のトナーの表面とは微粒子スペーサを介して接触し、直接ワックスが接触することがないので、他のトナー表面へのワックスの移行(転写)が生じないため、フィルミングやスティッキングなどの不都合な現象が起こらない。
微粒子スペーサの平均粒径は、トナーへの埋め込み深さを加味した寸法設定とすると、微粒子スペーサの効果がさらに確実に発揮できる。
すなわちワックスの表面から突出した微粒子スペーサは、現像機内での攪拌によりキャリヤ、現像機ケーシングの壁面など硬い材料と衝突して押圧力を受ける。そのため微粒子スペーサはワックス内部に押し込まれ、ワックスを変形させる。変形したワックスは一部弾性変形し、他は塑性変形する。従って、少なくともトナーへの埋め込み深さを塑性変形量と等価として、その埋め込み深さを加味した寸法分だけ微粒子スペーサの平均粒径を大きくすると、フィルミング対策としてより効果が発揮できる。
塑性変形量を求めるには実際にワックスに付加される荷重の値が明らかにされないといけないが、1gfの荷重が作用した場合は以下のようにして埋め込み量を算出できる。押圧荷重による材料の機械的評価法として材料の硬さを計るインデンテーション法がある。本実施例では島津製作所製微小圧縮試験機(MCT500)を用いて、試料にカルナウバワックス(溶融凝固させ平板)の押し込み特性を測定し、その結果を図6に示した。インデンタとして直径100μmのダイヤモンド圧子を用い、試験は室温(25℃)で行った。
同図の縦軸にはインデンタ(ダイヤモンド圧子)に対する荷重をとり、横軸には最大深さに対する押し込み深さの比(押し込み深さ)/(最大深さ)をとっている。図中の曲線aは荷重を徐々に増やした場合の試料(カルナウバワックス)へのインデンタ(ダイヤモンド圧子)の侵入深さ(押し込み深さ)の変化を表し、最大荷重は1gfである。この負荷曲線aは弾性変形量と塑性変形量の和からなる。曲線bは最大荷重1gfから荷重を徐々に減らしたき(除荷)の変化を示す曲線で、荷重が0gfになるまでが弾性変形量となる。この2本の曲線a、bから弾性変形量(61%)と、塑性変形量(100−61=39%)が求まる。
前記実施例はこの試験の試料と同じ溶融凝固したカルナウバワックスを使用しており、その塑性変形量、すなわち埋め込み量は39%であるから、その埋め込み深さを加味した寸法分だけ微粒子スペーサの平均粒径を大きくすると(前記実施例では39%程度大きくすると)、より確実な効果が発揮できる。このようにワックスの適切な塑性変形量(埋め込み量)は現像機内でワックスが受ける押圧力の大きさに依存するので、どのような現像機を設計するかによって変わるが、押圧力の大きさが見積もれれば、適切な塑性変形量(埋め込み量)が算出できる。
本発明者の諸種の実験結果より、平均粒子径が500〜1000nmのワックスに対して平均粒子径が10〜50nmの微粒子スペーサを使用すれば、微粒子スペーサがワックス内部に押し込まれることなく、常にワックス表面から突出してスペーサ機能を確実に発揮することが判明した。
本実施例は、前記実施例で作製したトナーの効果を図1に示す高速レーザープリンタの実稼動状態で評価した。実際印刷している状態で測定した現像機内の最高温度は45℃である。この状態は通常の印刷環境より過酷で、トナーのテストとしては加速試験になる。
図3に示す従来のトナーを用いてテストすると、約20万ページ印刷するとトナーフィルミングが発生した。キャリヤにフィルミングが生じるとトナーの帯電量が低下し、トナーの飛び散りによる現象(印刷)不良が発生する。不具合が生じた時点でキャリヤの表面を観察してみると、キャリヤフィルミングが確認できた。
一方、前記実施例2で作製したトナーA〜Eの5種のトナーすべてで実験したところ、印字を繰り返して定期的な現像剤交換時期まで不都合は生じなかった。また、感光体へのトナーフィルミングを検証した。感光体表面をタイムオブフライト型質量分析(TOF-SIMS)法で分析し、脂肪族分子(C2m−12+)の存在の有無から、カルナウバワックスの付着状況を観察した。10万ページごとに100万ページまで観察した。その結果、前記5種のトナーの何れも、初期値と同様に感光体表面へのカルナウバワックスの付着は観察されなかった。また、印刷品質の面から背景かぶり状況を測定したが、印字品質の劣化も生じていない。
本実施例は、本トナーの定着工程での課題について検討した。定着工程ではトナーの溶融(高温)粘度が重要で、高粘度では用紙への定着度が劣り、所謂コールドオフセットとなり、低粘度では定着ロール表面へ接着してしまうホットオフセットが生じる。本トナーはバルクのガラス転移温度を60℃である。本発明では離型機能を果たすワックスに微粒子が多く添加されているため、定着時にワックスがトナー表面に十分拡散してくるかが懸念される。
そこで定着ロールの表面温度を170℃、190℃、210℃、220℃、230℃の5水準で実験した。前記5種のトナーを用いて実験したが、全てのトナーでコールドオフセットならびにホットオフセットが共に発生しなかった。代表例として、平均粒径が10nmのシリカ微粒子を分散させたワックスを用いたトナーの試験結果を次の表2に示す。表中○印は、ホットオフセットが発生していないと評価したものを示している。この表からわかるように、230℃までホットオフセットは発生せず、良好な定着性が得られることが立証された。
Figure 2009169100
本発明の実施例に係るレーザープリンタの概略構成図である。 そのレーザープリンタの現像機の拡大断面図である。 従来のシリカ微粒子を内、表面に添加したトナーの概念図である。 本発明の実施例に係るワックスの拡大概念図である。 そのワックスを使用したトナーの概念図である。 インデンテーション法によるカルナウバワックスの負荷−除荷曲線を表した特性図である。
符号の説明
1:感光体、2:帯電器、3:露光器、4:現像機、5:トナー像、6:用紙、7:転写器、8:定着器、9:排出部、10:残留トナー、11:クリーニングブラシ、12:筐体、13:現像機ケーシング、14:トナーホッパー、15:トナー、16:搬送ローラ、17:現像ローラ、18:冷却フィン、19:温度センサ、21:トナー本体、22:色剤粒子、23:ワックス、24:帯電制御剤、25:微粒子スペーサ、26:隣接するトナー。

Claims (4)

  1. 少なくとも定着用樹脂とワックスと着色剤を含む画像形成装置用トナーにおいて、トナー粒子の固着を防止するための微粒子スペーサを表面に突出した前記ワックスの粒子がトナー表面に露出していることを特徴とする画像形成装置用トナー。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置用トナーにおいて、前記微粒子スペーサの平均粒径に対する前記ワックス表面からの微粒子スペーサの平均突出量の比である(平均突出量)/(平均粒径)が1/10〜1/4の範囲にあることを特徴とする画像形成装置用トナー。
  3. 少なくとも定着用樹脂とワックスと着色剤を含む画像形成装置用トナーの製造方法において、
    前記ワックスを加熱して溶融する溶融工程と、
    前記溶融したワックス中にトナー粒子の固着を防止するための微粒子スペーサを添加して分散する分散工程と、
    前記微粒子スペーサを分散したワックスを冷却する冷却工程と、
    前記微粒子スペーサを分散・保持したワックスの凝固物を粉砕して微粒子スペーサが表面に突出したワックスの粒子を得る粉砕工程を有していることを特徴とする画像形成装置用トナーの製造方法。
  4. 感光体と、その感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面に静電潜像を形成する露光手段と、トナーを用いて前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を前記記録媒体上に定着する定着手段を備えた画像形成装置において、前記トナーが請求項1または2に記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
JP2008007070A 2008-01-16 2008-01-16 トナーおよびその製造方法ならびに画像形成装置 Pending JP2009169100A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110998458A (zh) * 2017-08-04 2020-04-10 佳能株式会社 调色剂
JP2021165342A (ja) * 2020-04-07 2021-10-14 株式会社リコー 微粒子分散ワックス及びその製造方法

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