JP2009168889A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)少なくとも電荷発生剤および電荷輸送剤を含有する感光層を備えた電子写真感光体であって、前記電荷輸送剤は下記一般式(1)で表されるジアミン誘導体からなることを特徴とする電子写真感光体。
本発明における式(1)に含まれるジアミン誘導体は、いずれも公知の製造方法によって合成することができる。例えば、HT−1は、Wittig反応およびカップリング反応を利用して、次に示す方法により得ることができる。即ち、まず、式(R−1)に示すように化合物(2)とアルデヒド誘導体である化合物(3)を混合し、トルエンなどの溶剤中で、温度100〜140℃で1〜3時間攪拌下で反応させる。得られた反応液を室温まで冷却し、溶剤を減圧除去して化合物(4)を得ることができる。
次に、本発明において使用される電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α−チタニルフタロシアニン、Y−チタニルフタロシアニン、V−ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミニウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送剤は、正孔輸送剤であり、前記式(1)に含まれる化合物からなる。本発明の電子写真感光体においては、上記化合物(1)と併せて、従来公知の種々の正孔輸送剤を感光層中に含有させてもよい。かかる他の正孔輸送剤としては、例えばビススチルベンジアミン誘導体、ビストリフェニルアミン誘導体、トリフェニルアミノスチリル誘導体およびスチルベンアミン−ヒドラゾン誘導体などが挙げられる。
電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの、電子受容性を有する化合物が挙げられる。
本発明の電子写真感光体において、電荷発生剤、電荷輸送剤等の各成分を含有する層を形成するためのバインダ樹脂には、従来公知の種々の樹脂を採用することができる。なかでも、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂をバインダ樹脂として使用するのが、本発明にかかる上記式(1)で表わされる化合物との相溶性や、感光層の強度や耐磨耗性等の特性をより一層良好なものにするという観点から好ましい。また、上記例示のバインダ樹脂は、電荷発生剤や電荷輸送剤との相溶性に優れており、しかも電荷輸送剤の電荷輸送性を妨害するような部位をその分子内に有しないものである。従って、かかるバインダ樹脂を用いることによって、より一層高感度な電子写真感光体を得ることができる。
上記例示の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダ樹脂等を分散・溶解させて感光層形成用の塗布液を調製するのに用いる分散媒としては、感光層形成用塗布液に従来用いられている種々の有機溶剤が使用可能である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
感光層形成用の塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
導電性基体としては、導電性を有する各種の材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、上記金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、さらにヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラスなどが挙げられる。導電性基体は、使用する画像形成装置の構造に合わせてドラム状、シート状などの形態で使用される。この導電性基体は充分な機械的強度を有しているのが好ましい。本発明に用いられる導電性基体は、これに限定されるものではないが、その表面に酸化被膜処理または樹脂被膜処理を施したものであってもよい。
単層型の電子写真感光体は、電荷発生剤と、本発明の化合物(1)(正孔輸送剤)と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤や上記添加剤とを、適当な分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
積層型感光体とする場合は、電荷発生剤および正孔輸送剤をそれぞれ適当なバインダ樹脂および溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の各層の厚さは、電荷発生層で0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μmであり、電荷輸送層で2〜100μm、好ましくは5〜50μmであるのがよい。
(1)式(R−1)に示す化合物(4)の合成
まず、式(4)で表される化合物を、上記反応式(R−1)に従って合成した。すなわち、500mLの2口フラスコ内に、化合物(2)15g(0.07mol)と化合物(3)13g(0.07mol)を加えた後、トルエン250mLを投入して、120℃で2時間攪拌した。そして室温まで冷却した。その後、反応液をイオン交換水に注いで有機層をイオン交換水で3回洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥および吸着処理して、トルエンを減圧除去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/へキサン)にて精製をして、式(4)で表される化合物27gを得た(収率95%)。
次いで、化合物(6)で表される化合物を、上記反応式(R−2)に従って合成した。すなわち、1Lの2口フラスコ内に、化合物(4)を10g(0.03mol)、(2−ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン0.0499g(0.00014mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)を0.0652g(0.00007mol)、t−ブトキシナトリウム(t−BuONa)4g(0.04mol)、化合物(5)(メタフェニレンジアミン)を1.5g(0.014mol)、精製o−キシレン500mLを加えた後、アルゴンガス置換を行い、120℃で5時間攪拌した。その後、室温まで冷却した後、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに活性白土で処理して、キシレンを減圧留去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/へキサン)にて精製をして、式(6)で表される化合物7.9gを得た(収率85%)。
最後に、HT−1を上記反応式(R−3)に従って合成した。すなわち、300mLの2口フラスコ内に、化合物(7)を3g(0.02158mol)、(2−ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン0.038g(0.0001079mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)を0.049g(0.0000539mol)、t−ブトキシナトリウム(t−BuONa)3.1g(0.03237mol)、化合物(6)を7g(0.0108mol)、精製o−キシレン500mLを加えた後、アルゴンガス置換を行い、120℃で3時間攪拌した。その後、室温まで冷却した後、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに活性白土で処理して、キシレンを減圧留去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/へキサン)にて精製をして、目的化合物(HT−1)6.2gを得た(収率75%)。
前記HT−1の合成において、化合物(5)に代えて下記式(8)で表わされる化合物(パラフェニレンジアミン)を、化合物(7)に代えて下記式(9)で表わされる化合物(1−ブロモ−2,2−ジメチルプロパン)をそれぞれ用いた以外は、HT−1と同様にしてHT−2を合成した。
〔電子写真感光体の製造〕
電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニン5重量部と、正孔輸送剤として前記HT−1を80重量部と、結着樹脂としてポリカーボネート100重量部とを、溶剤としてのテトラヒドロフラン800重量部とともにボールミルにて50時間混合分散させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をアルミニウム素管からなる導電性基体上にディップコート法によって塗布し、100℃で30分間熱風乾燥することにより、膜厚25μmの単層型感光体を作製した。
実施例1で作製した単層型感光層用塗布液中に、実施例2においては電子輸送剤としてET−1を50重量部、実施例3においては電子輸送剤としてET−2を50重量部、実施例4においては電子輸送剤としてET−3を50重量部添加した他は、実施例1と同様にして単層型感光体を作製した。
表1に示すように、正孔輸送剤としてHT−2〜5のいずれかを用いた他は、実施例1〜4と同様にして単層型感光体を作製した。
GENTEC社製ドラム感度試験機に、前記作製した実施例1〜16および比較例1〜4の電子写真感光体のいずれかを設置して、電気特性試験について評価を行った。電気特性試験では、まず、初期表面電位V0が+700Vとなるように帯電させた。次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nm(半値幅20nm)の単色光(光強度1.5μJ/cm2)を感光体の表面に照射(照射時間1.5秒)して、上記表面電位が1/2になるのに要した時間を測定し、半減露光量E1/2(μJ/cm2)を算出した。また、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を測定して、これを残留電位VL(V)とした。これらの結果を表1に示す。
HT−1〜5を溶質として、テトラヒドロフラン(THF)に25重量%の濃度で溶解させる。そして、目視によってこの作成した溶液の濁りの有無について確認し、その結果を表2に示す。
Claims (1)
- 少なくとも電荷発生剤および電荷輸送剤を含有する感光層を備えた電子写真感光体であって、前記電荷輸送剤は下記一般式(1)で表されるジアミン誘導体からなることを特徴とする電子写真感光体。
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