JP2009168198A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP2009168198A
JP2009168198A JP2008008733A JP2008008733A JP2009168198A JP 2009168198 A JP2009168198 A JP 2009168198A JP 2008008733 A JP2008008733 A JP 2008008733A JP 2008008733 A JP2008008733 A JP 2008008733A JP 2009168198 A JP2009168198 A JP 2009168198A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
disk
hydraulic cylinder
hydraulic
centrifugal
intermediate piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008008733A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4962328B2 (ja
Inventor
Norihisa Kobayashi
功久 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2008008733A priority Critical patent/JP4962328B2/ja
Publication of JP2009168198A publication Critical patent/JP2009168198A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4962328B2 publication Critical patent/JP4962328B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)

Abstract

【課題】高トルク入力時に十分な押し付け力を付与することができるとともに従来よりも小型化することが可能な油圧式押圧装置を有するトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】押圧装置300の油圧シリンダ310は傾斜部315を有し、油圧シリンダ310と中間ピストン330との間隔が、回転中心から半径方向外側に行くにしたがって狭くなる。油圧シリンダ310と中間ピストン330との間に複数の球340が配置されている。押圧装置300においては、油圧の他に、回転により球340に生じる遠心力を推力に変換し、中間ピストン330を介して入力側ディスク2に対して加えることができる。また、油圧による押圧力と遠心力による押圧力が入力側ディスクに並列に作用する。したがって、回転速度が大きくなるほど押し付け力を大きくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車および自動二輪車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図2および図3に示すように構成されている。図2に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁(中間壁)13に対しアンギュラ玉軸受107を介して支持されるとともに、この仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図3参照)が回転自在に挟持されている。
図2中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図2の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿バネ8が設けられており、この皿バネ8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図2のA−A線に沿う断面図である図3に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態で一対のヨーク23A,23Bが支持されている。これら一対のヨーク23A,23Bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン15の両端部に設けられた枢軸14を揺動自在に支持するため、ヨーク23A,23Bの四隅には、円形の支持孔18が設けられるとともに、ヨーク23A,23Bの幅方向の中央部には、円形の係止孔19が設けられている。
一対のヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト64,68により、支持ポスト64,68を支点として揺動できるように支持されている。これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1キャビティ221および第2キャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
したがって、ヨーク23A,23Bは、各支持ポスト64,68に支持された状態で、その一端部が第1キャビティ221の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ222の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1キャビティ221のみについて説明する。
図3に示すように、ケーシング50の内側において、第1キャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸(傾転軸)14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図3においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図3の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15は、パワーローラ11を収容するための凹状の収容空間であるポケット部Pを形成している。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には支軸としての変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、前述したように、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図3の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。前述したように、各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受(傾転軸受)30を介して揺動自在(傾転自在)に支持されている。また、前述したように、ヨーク23A,23Bの幅方向(図2の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、支持ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図3で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(転動体)26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図3の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位(オフセット)する。例えば、図3の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、動力は、入出力側ディスク2,3とパワーローラ11との間での油のせん断力によって伝達される。そのため、入出力側ディスク2,3とパワーローラ11との接触点に大きな荷重を与える必要がある。
前記荷重を与える方法としては、入力トルクに比例した荷重を機械的に発生させる前述したローディングカム式の押圧装置12を用いる場合と、油圧式の押圧装置を用いる場合とがある。
ローディングカム式の押圧装置12のみを用いた場合、簡単な構造で付属設備なしに入力トルクに比例した推力(押し付け力)が発生するというメリットがある。しかし、逆に言えばトルクに比例した押し付け力しか出せないため、変速域の全域で常に最適な押し付け力を発生させることはできず、変速比によっては過剰な押し付け力が発生する。これによりディスクとローラとの接触部に過剰な押し付け力が作用し、伝達効率の低下や耐久性の低下に繋がる虞がある。さらに、これらに対応するためにバリエーター部分などが大型化してしまうという問題がある。
また、例えば、高速走行時にギャップを乗り越える等で駆動輪が浮いた状態(駆動輪へのフリクションが抜けた状態)、高速道路の下り坂を走行する場合、あるいは高速走行時にエンジンブレーキをかける場合のように、入力軸1が低トルクで高速回転する場合は押し付け力が小さいため、パワーローラ11に加わるスラスト荷重を支承するスラスト玉軸受24の玉にジャイロモーメントを要因とするスピンが発生し、これを防ぐためには、過剰な予圧が必要である。この問題を解決するため、ローディングカムに加えて遠心力を利用して推力を補う機構を有する押圧装置が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
これら特許文献1および特許文献2においては、遠心力をディスクの推力に変換することで、高回転になればパワーローラに対する押圧力が高くなり、上述のように入力軸が低トルクで高速回転する場合のようにパワーローラのスピンを防止できる。
但し、これら特許文献1および特許文献2においては、入力トルクによりディスクの推力が変化するローディングカム方式の押圧装置と、遠心力をディスクの推力に変換する押圧装置とが直列に配置されているので、例えば、予圧を付与する皿バネが圧縮されて潰れきった状態や、皿バネが圧縮されることにより、皿バネを挟んで配置される部材が近づき、これら部材の少なくとも一方の部材の突出部分が他方の部材の突出部分に接触することでこれら部材同士が直接接触した状態などの皿バネがそれ以上圧縮できない状態となった後に、遠心力に基くディスク推力が、ローディングカムによる推力に対するディスク反力の内力となるため、遠心力に基く推力をさらに増加することができない。
このようなローディングカム方式の押圧装置に対し、油圧式の押圧装置を用いると、変速、オイル温度、回転数などに応じて全変速域にわたって最適な押し付け力を与えることができるため、バリエーター部分について伝達効率の向上や耐久性を確保するために大型化する必要はないし、低トルク高速回転時の問題なども生じない。
図4は、油圧式の押圧装置を用いたトロイダル型無段変速機の要部断面図を示している。図示のように、入力軸1の入力側に位置する入力側ディスク2の背面2d側には、入力側ディスク2を軸方向へ押圧する油圧式の押圧装置130が設けられている。この押圧装置130は、入力軸1の基端部(図4において左端部)1eに結合される第1のシリンダ部141と、入力側ディスク2に設けられた第2のシリンダ部159と、環状の第1のピストン部(油圧ピストン)161と、環状の第2のピストン部(油圧ピストン)160とを備えている。
第1のシリンダ部141は、概略有底円筒状に形成され、筒状部分が第2のシリンダ部159の外周外側に位置しており、底部分が入力側ディスク2の背面(外側面)2dと対向した状態で配されている。また、第1のシリンダ部141は、その底部分が入力軸1に外嵌されて固定されている。また、第2のシリンダ部159は、筒状に形成されており、入力側ディスク2の外周縁から第1のシリンダ部141に向けて延びている。
第2のピストン部160は、その内周面が入力軸1の外周面に嵌合されるとともに、その外周面が第2シリンダ部159の内周面に嵌合されており、入力側ディスク2の背面2dに対向した状態で配されている。また、第1のピストン部161は、その内周面が入力軸1の外周面に嵌合されるとともに、その外周面が第1シリンダ部141の内周面に嵌合されており、第2のピストン部160と第1のシリンダ部141との間に配されている。
第1のシリンダ部141の内面と、第1のピストン部161と、入力軸1の外周面の一部とによって囲まれた空間は、第1の油圧室(油室)170を構成している。この第1の油圧室170は、複数のシール部材171によって流体密に保たれている。また、第2のシリンダ部159の内周面と、第2のピストン部160と、入力側ディスク2の背面2dと、入力軸1の外周面の一部とによって囲まれた空間は、第2の油圧室(油室)167を構成している。この第2の油圧室167は、複数のシール部材168によって流体密に保たれている。また、第2のシリンダ部159の内周側において、第2のピストン部160と第1のピストン部161との間に位置する空間175は空気室となっている。この空気室175は、複数のシール部材168,171によって流体密に保たれている。また、第2のシリンダ部159は、空気室175を外部に連通させる連通溝としても機能する隙間Sを第1のピストン部161との間に有しており、この隙間Sを介して第1のピストン部161と当接可能となっている。そして、第1の油圧室170を一部利用して、第1のピストン部161と第1のシリンダ部141との間には、予圧を付与するための皿バネ200が介挿され、第1のシリンダ部141に対して、入力軸1に沿って移動自在な第1のピストン部161を入力側ディスク2に向かって付勢している。
各油圧室167,170に油を供給するため、エンジン側の駆動軸には油路が形成されている。具体的には、入力軸1の基端部1eには、軸線Oと同軸な内孔1fが長手方向に沿って形成されており、この内孔1fには入力軸1に結合される前記駆動軸22の延出部が嵌挿されるようになっている。そして、前記延出部には、その長手方向に沿って延びる油路が形成され、入力軸1には、この油路と接続される油路1g等とこの油路1g等と各油圧室167,170とを繋ぐ油孔180等が形成されている。
特開平9−144825号公報 特開2004−347071号公報
ところで、以上のような油圧式押圧装置の従来構造では、高圧の油圧を作り出す油圧ポンプや制御機構が必要になるため、複雑で大型になり、排気量の小さい小型の四輪車や二輪車への適用は難しいという問題があった。
そこで、上述の特許文献1および特許文献2に示すような遠心力をディスク推力に変換する押圧装置を油圧式押圧装置と組み合わせ、必要な押圧力の一部を遠心力を用いた押圧装置に負担させることで、油圧式押圧装置で必要とされる圧力を低減して小型化し、排気量の小さい二輪車や小型の乗用車に適用することが考えられるが、上述のように皿バネがそれ以上圧縮できなくなった後にディスク推力を増加させることが困難なので、例えば、高トルク高回転時に必要な押圧力を遠心力を用いた押圧装置に負担させることができず、必ずしも油圧式押圧装置の小型化を図ることができない。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、高トルク入力時に低い油圧で押し付け力を付与することができることにより、小型の四輪車や二輪車などにも適用できるよう従来よりも小型化することが可能である油圧式押圧装置を有するトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された少なくとも一対の入力側ディスクおよび出力側ディスクと、一対の前記ディスク間に挟持されるとともに入力側ディスクから出力側ディスクに回転速度比を変更可能に回転力を伝達する複数のパワーローラと、一対以上の前記ディスクが当該ディスクの回転中心軸方向に並んだ状態で、前記ディスクと前記パワーローラとの間に押圧力を付与するように前記ディスクのうちの少なくとも1つのディスクを前記回転中心軸方向に沿って前記パワーローラに向けて押圧する押圧装置とを備えたトロイダル型無段変速機において、
前記押圧装置には、前記一対以上のディスクの少なくとも1つのディスクの外側面に対向して設けられ、当該ディスクの外側面との間に、油圧により当該ディスクを前記パワーローラ側に押圧する油圧室を形成し、当該ディスクと一体に回転する油圧シリンダと、
前記油圧室内で、前記油圧シリンダと当該油圧シリンダに対向する前記ディスクとの間に配置され、当該油圧シリンダおよび当該ディスクとともに回転することによって生じる遠心力により回転中心側から半径方向外側へ移動可能な遠心移動部材とが設けられ、
前記油圧室内には、前記遠心移動部材に作用する遠心力を、前記油圧シリンダに対向する前記ディスクをパワーローラ側に押圧する押圧力に変換するために前記半径方向外側に移動する前記遠心移動部材に接触し、かつ、前記回転中心軸方向に対して斜めとなる斜面が形成されていることを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、油圧式の押圧装置を備えるとともに、その油圧室内には、回転によって生じる遠心力をディスク推力に変換する押圧装置が形成されているので、ディスクと油圧シリンダが高速で回転することにより遠心移動部材に遠心力が発生し、半径方向外側に移動していくと、前記斜面に接触し、当該斜面により遠心移動部材の前記半径方向外側に作用する遠心力が前記回転中心軸方向に変換され遠心移動部材はディスクを軸方向に直接または間接的に押すようになる。つまり、油圧力とは別に並列で、油圧室内の形状を利用して遠心力を推力に変換しディスクに対して加えることから、回転速度が大きくなるほど押し付け力を大きくすることができる。
すなわち、従来のように皿バネが圧縮できなくなった後の遠心力によるディスク推力の増加が行なえない状態となることがなく、高トルク入力時も遠心力によりディスク推力の増加が行なわれる。
したがって、高トルク高回転時に、油圧ポンプのみで押し付け力を得る場合に比べて、遠心移動部材の推力が加わる分油圧を下げることができるので、小型の油圧ポンプを採用することができ、従来よりも小型化することが可能である。
また、一般的に小型乗用車や二輪車においては、高速回転型エンジンが用いられ、高いトルクを必要とする際にエンジンを高回転させるようになっているので、高トルク時に高回転となる。したがって、高トルク入力時の遠心力によるディスク推力が必然的に高くなる構成とすることが可能となり、油圧式押圧装置(油圧ポンプ等の油圧供給機構を含む)の小型化と合わせて、小型乗用車や二輪車に好適に用いられるトロイダル型無段変速機の押圧装置とすることができる。
ここで、遠心移動部材はディスクを直接押してもよいし、遠心移動部材とディスクとの間に1つあるいは複数の中間部材が設けられ、この中間部材を介して間接的に押してもよい。油圧室内の傾斜面を構成するものとしては、例えば油圧シリンダが半径方向外側に行くにしたがってディスクに向かって傾斜している形状であってもよいし、ディスクの背面を半径方向外側にいくほど張り出す形状にしてもよい。中間部材を設ける場合には、この中間部材自体を油圧シリンダ側に傾斜する形状に形成してもよい。
また、遠心移動部材としては、例えば、鋼製の球や円柱状のころなどが挙げられる。
また、請求項2に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載された発明において、前記油圧室内には、前記遠心移動部材と、外側面が前記油圧シリンダに対向する前記ディスクとの間に、当該ディスクと一体に回転するとともに当該ディスクの回転中心軸方向に沿って移動可能な中間ピストンが設けられ、
前記遠心移動部材は、当該遠心移動部材に作用する遠心力に基いて前記中間ピストンを介して前記油圧シリンダに対向する前記ディスクをパワーローラ側に押圧し、
当該ディスクの外側面と前記中間ピストンとの間に、当該ディスクをパワーローラ側へ押圧するバネ部材が設けられていることを特徴とする。
この請求項2に記載された発明においては、油圧室内の遠心移動部材とディスクの間には、入力軸に対して軸方向に移動可能な中間ピストンが設けられ、ディスクの外側面(背面)と中間ピストンとの間に、ディスクを軸方向へ押圧するバネ部材が設けられているので、遠心移動部材に遠心力が作用し半径方向外側に移動すると、中間ピストンを押し、これにより中間ピストンが皿バネを押すことで皿バネの弾性力が増し、入力側ディスクに加えられる押し付け力が増大する。また、皿バネがそれ以上圧縮されない状態となった後も、遠心移動部材の遠心力の増加に伴ない遠心力に基く押圧力(ディスク推力)が増加する。
なお、皿バネは、従来と同様に、例えば、前記ディスクが停止しているような場合に油圧を作用させなくても、1対のディスク間にパワーローラをがたつくことなく挟持した状態に保持するものであるが、前記ディスクの回転時には、油圧によるディスク推力と、遠心力から変換されたディスク推力とにより1対のディスクとパワーローラ間に十分な押圧力を付与可能であるので、皿バネによる押圧力は小さなものでよい。
また、遠心移動部材によって中間ピストンが押されるとき、皿バネが所定分だけ圧縮された後に中間ピストンが直接入力側ディスクを押すように構成されていてもよい。
また、請求項3に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項2に記載された発明において、前記中間ピストンおよび前記油圧シリンダのうちの少なくとも一方には、当該中間ピストンおよび当該油圧シリンダのうちの少なくとも一方の回転中心側から半径方向外側に向かって、前記遠心移動部材の移動をガイドするための移動ガイドが設けられていることを特徴とする。
この請求項3に記載された発明においては、中間ピストンもしくは油圧シリンダには、回転中心側から半径方向外側に向かって、遠心移動部材の移動をガイドするための移動ガイドが設けられているので、遠心移動部材が油圧室内で暴れまわることなく、半径方向にのみ移動することができる。
本発明によれば、油圧式の押圧装置を備え、その油圧室内には、回転によって生じる遠心力により移動することによりディスクをパワーローラ側に押圧する遠心移動部材が設けられているので、入力軸が高速で回転することにより、遠心移動部材に遠心力が発生し半径方向外側に移動していくと、やがて、さらに移動するために遠心移動部材は、入力側ディスクを軸方向に直接または間接的に押す。つまり、油圧力と並列に、遠心力を推力に変換しディスクに対して加えることができることから、回転速度が大きくなるほど押し付け力を大きくすることができる。
また、油圧ポンプのみで押し付け力を得る場合に比べて、遠心移動部材の推力が加わる分、油圧を下げることができるので、小型の油圧ポンプを採用して従来よりも小型化することが可能であり、小型の四輪車や二輪車などにも適用できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、油圧ローディング機構の構造形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図2ないし図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1に示すように、入力軸1の入力側に位置する入力側ディスク2の背面には、入力側ディスク2を軸方向へ押圧する油圧式の押圧装置300が設けられている。
この押圧装置300は、入力軸1の基端部1eに設けられた油圧シリンダ310と、回転中心側から半径方向外側へ移動する複数の球340と、複数の球340と入力側ディスク2との間に設けられている中間ピストン330と皿バネ350とを備えている。
油圧シリンダ310は、概略有底円筒状に形成され、入力軸1と一体に回転するように、その底部313が入力軸1の外側に嵌合されて固定されており、入力軸1の軸方向(ディスク2,3の回転中心軸方向)に移動できないようになっている。また、油圧シリンダ310の筒部分にあたる外壁部311の内周面に、入力側ディスク2の径方向外端(外周面)が入力軸1の軸方向に移動可能に嵌合されている。油圧シリンダ310は、入力側ディスク2の背面2dと対向し、これにより油圧シリンダ310および入力側ディスク2の背面2dとに囲まれて油圧室320が形成されている。油圧室320は、入力側ディスク2の径方向外端にはめ込まれているシール部材401と、中間ピストン330にはめ込まれているシール部材400によって流体密に保たれている。
油圧シリンダ310の底部313には、屈曲部314を境にして、半径方向外側に行くにしたがって入力側ディスク2方向に傾斜している傾斜部315(傾斜面)が連続して形成されている。この傾斜部315の形状により、油圧室320は半径方向外側に行くにしたがって狭くなっている。
また、油圧シリンダ310は、入力軸1に対して当該入力軸方向に沿った移動を完全に規制された状態で入力軸1と一体的に回転可能に固定され、さらに、入力軸1の径が広くなった基端部1eの前側の段差により入力軸1に対して基端側への移動が強固に規制されている。
前記中間ピストン330は、入力側ディスク2の背面2dの隣に設けられ、入力軸1に対して垂直な面を有する円板状の円板部331と、その中央に形成された円筒部332とから構成されている。この中間ピストン330は、入力軸1と一体に回転するように、かつ、軸方向に移動(摺動)自在に、円筒部332の内周面が入力軸1の外周面に嵌合されている。但し、入力軸1の油圧シリンダ310と中間ピストン330との間は、それよりパワーローラ11側の部分に対して径が大きくされることにより、段差1jが形成され、中間ピストン330の円筒部332が段差1jより後方(入力軸1の基端側)へ移動するのが規制されている。
なお、入力側ディスク2の入力軸1側の内周面2fは、円筒部332の外周面に摺動自在に嵌合されている。また、入力側ディスク2は、上述のようにボールスプライン6により入力軸1と一体に回転可能で、かつ、入力軸方向に移動自在となっているが、中間ピストン330が段差1jに当接した状態で、入力側ディスク2の外側面(背面)の後方に突出する後述の内側周縁部2eが中間ピストン330に当接することで、入力軸1の基端側への入力側ディスク2の移動が規制される。
円板部331は、対向する油圧シリンダ310の底部313を超えて傾斜部315に向かい合う高さに形成されている。したがって、油圧シリンダ310と中間ピストン330との間隔は、半径方向外側にいくほど狭まり、傾斜部315と円板部331の外端336との間隔は、球340の半径方向外側への移動が妨げられるほど、狭くなっている。
また、入力側ディスク2の背面2dの回転中心寄りの内側周縁部2eは、中間ピストン330に向かって張り出している。このトロイダル無段変速機の動作前の初期状態において、内側周縁部2eに対して、中間ピストン330の円板部331は所定長さ離れた位置にある。そして動作時に、中間ピストン330の背面333が球340によって押されると、円板部331が入力側ディスク2の内側周縁部2eに当接し、入力側ディスク2を軸方向(図1の右方向)に押すようになっている。
なお、図1は、中間ピストン330の円板部331が入力側ディスク2の内側周縁部2eに当接した状態を示している。円板部331と内側周縁部2eとが当接したとき、内側周縁部2eが張り出している分に対応して、円板部331と背面2dとの間には隙間Aが形成される。なお、隙間Aの入力軸方向に沿った長さは、後述の皿バネ350が潰れきった状態の入力軸方向に沿った長さより長くされ、かつ、皿バネ350が延びきった長さより短くされている。
円板部331の背面333の球340と接触する部分には、回転中心側から半径方向外側に向かって長い溝からなるガイドスリット(移動ガイド)334が設けられている。ガイドスリット334は、球340の個数と配設位置に合わせて円板部331に放射状に複数個形成されている。これらガイドスリット334により、各球340は、半径方向のみに移動がガイドされるようになっている。
この中間ピストン330の外端336には、円周方向に沿って断面L字状に段差335が形成され、この段差335と入力側ディスク2の背面2dとの間に皿バネ(バネ部材)350が設けられている。この皿バネ350は、平面から見た形状が円環状をなし、中間ピストン330の段差335の外周に嵌められ、その外周縁が入力側ディスク2の背面2dに当接している。この皿バネ350により入力側ディスク2に対して予圧が付与されている。
また、前述したように中間ピストン330と入力側ディスク2との間には、両者が当接した状態で所定の隙間Aが形成される。この隙間Aが形成されていることにより、ここに介装されている皿バネ350がつぶれることはない。
油圧室320内において、油圧シリンダ310の底部313と、中間ピストン330の背面333と、それらの間の入力軸1の外周面とによって画成された空間には、前述の鋼製の球(遠心移動部材)340が入力軸1の周方向に沿って複数個配置されている。球340の直径は、油圧シリンダ310の底部313と中間ピストン330の背面333との間隔よりもわずかに大きく、その周面の一部が前記背面333のガイドスリット334に入り込んでいる。なお、中間ピストン330の油圧シリンダ310方向への移動は、入力軸の段差1jにより規制されているので、油圧シリンダ310の底部313と中間ピストン330の背面333との間隔は、中間ピストン330が段差1jに接触した状態より狭くなることがなく、前記間隔が最も狭い状態で、球340の一部がガイドスリット334に入り込んだ状態となるが、この状態でも、油圧シリンダ310の底部313と中間ピストン330のガイドスリット334部分との間に、球340のガイドスリット334に沿った方向への移動を容易に可能とする程度の長さが確保されている。
入力軸1が高速で回転すると、球340には遠心力が発生し、回転中心側から、油圧シリンダ310と中間ピストン330に沿って、半径方向外側に向かって移動するようになっている(図1の上方向)。球340が油圧シリンダ310の傾斜部315に接するようになると、傾斜部315と中間ピストン330との間隔は球340の移動を妨げるほど狭くなっているので、球340はさらに移動するため中間ピストン330の背面333を押すことになる。なお、油圧シリンダ310は、上述のように入力軸1の軸方向に沿った移動が規制されており、中間ピストン330がパワーローラ11側に押されることなる。
油圧室320に油を供給するため、入力軸1にはその軸方向に沿って油穴1hが形成されており、この油穴1hは径方向に延びる油通路1iに連通している。この油通路1iは、油圧室320内に通じている。
加えて、図示上は略しているが、このトロイダル無段変速機には、油穴1hを介して油圧室320に油を供給するために、油圧ポンプおよび制御弁が設けられている。油圧室320の油圧は、入力軸1(ディスク2,3)の回転トルク、変速比および回転速度などに応じて、所定の値になるように制御弁を介して制御されるようになっている。
押圧装置300において、動作前、予圧として、皿バネ350の弾性力が入力側ディスク2に付与されている。トロイダル無段変速機が動作すると、制御された油圧により入力側ディスク2が入力軸方向に沿ってパワーローラ11側に押圧されるとともに、入力軸1の回転速度の上昇に伴い、球340は遠心力で油圧シリンダ310内を半径方向外側に移動する。油圧シリンダ310と中間ピストン330の間隔が半径方向外側に行くほど狭く、傾斜部315(斜面)付近で球340の半径方向外側への移動が妨げられるほど狭くなっているので、それ以上移動するために球340は中間ピストン330の背面333を押す。押された中間ピストン330は軸方向において入力側ディスク2側に摺動する。これにより、皿バネ350が押されて弾性力が増し、入力側ディスク2をより強く押す。また、皿バネ350が圧縮した状態に変形すると円板部331も入力側ディスク2の内側周縁部2eに当接しこれを押す。そして、回転速度が大きくなるほど、球340に生じる遠心力は大きくなり、球340が中間ピストン330を介して入力側ディスク2を押す推力も増大する。この際には、油圧と球340による推力が並列に入力側ディスク2に作用している。
さらに、前記油圧ポンプと制御弁を制御することにより、必要に応じて、油圧の大きさも変える。
また、高速回転状態から急激に回転数が低下した場合には、球340に作用する遠心力は急激に減少するが、回転数に対応して油圧を下げるために前記制御弁を介して油圧室320から油が排出される。このときの排出抵抗があることから球340が中間ピストン330と油圧シリンダ310の傾斜部315との間に挟みこまれて動けなくなるといったことは起こらず、元の位置(図1の状態)に戻るようになっている。
以上のように、本実施の形態においては、油圧シリンダ310と中間ピストン330との間に球340が配置され、油圧シリンダ310が傾斜部315を有し、油圧シリンダ310と中間ピストン330との間隔が回転中心から半径方向外側に行くにしたがって狭くなっているので、球340は遠心力によって外側に移動するために中間ピストン330を押し、その結果、皿バネ350の入力側ディスク2に対する弾性力が大きくなるとともに、中間ピストン330も入力側ディスク2を押す。つまり、油圧シリンダ310内に、油圧力とは別で並列に遠心力を推力に変換する機構が設けられていることから、回転速度が大きくなるほど、押圧装置300としての押し付け力を大きくすることができる。この機構であれば、中間ピストン330が入力側ディスク2に突き当たった後(皿バネ350がそれ以上圧縮できない状態となって)も、さらに押し付け力を増大させることができる。
これにより、油圧ポンプのみで押し付け力を得る場合に比べて、球340の推力が加わる分、油圧を下げることができ、小型の油圧ポンプを採用することができ、従来よりも小型化することが可能であり、小型の四輪車や二輪車などにも適用できる。
さらに、大きな油圧が得られる油圧ポンプはロスも大きく、変速機全体としても効率が低下するが、本実施の形態では小型の油圧ポンプで済むことから、ポンプのロスの低減だけではなく変速機そのものの効率を上げることができる。
加えて、排気量の小さい小型の四輪車や二輪車は、エンジンの発生トルクが小さくローディングカム式の押圧装置(図2)を採用しても高い押圧力を発生させにくいが、高い押圧力を必要とするような場合とは、すなわち、小型の高速回転型エンジンにおいて、エンジンを高速回転で用いるときであり、本実施の形態であれば、高トルク入力時に高速回転に対応した押し付け力が得られるため、この点からも小型車や二輪車に有用である。
低トルク高速回転時にも、遠心力により十分な押し付け力が得られ、パワーローラ11のスラスト玉軸受24のジャイロモーメントに起因するスピンを防止できる。なお、球340の大きさなどを最適化することにより、油圧にほとんど頼ることなく球340の遠心力を利用した推力だけで、低トルク高速回転時などに十分な押し付け力を得ることも可能である。
さらに、中間ピストン330にガイドスリット334が半径方向に設けられているので、球340が油圧室320内で暴れまわることなく、半径方向のみに移動することができる。
また、動作時には、中間ピストン330によって皿バネ350が押され押圧力が増大するので、初期の皿バネ350の弾性力は、各部材のがたつきを防止する程度で済む。したがって、過剰な予圧によって生じる伝達効率の低下を防ぐことができる。また、過剰な予圧に対応するために各部材を大型化する必要もなく、その分小型化を図ることができる。
加えて、中間ピストン330と入力側ディスク2との間には隙間Aが設けられているので、皿バネ350がつぶれてしまうことを防ぎ、皿バネ350の寿命が長くなる。
なお、上記実施形態では、中間ピストン330にガイドスリット334を設けたが、油圧シリンダ310に設けてもよいし、あるいは中間ピストン330および油圧シリンダ310の双方に設けてもよい。
また、遠心移動部材としては、球340の代わりに円柱形状のころであってもよい。この場合に油圧シリンダ31および中間ピストン330の円柱が配置される部分の円柱の長さの範囲部分が円柱が線接触可能な形状となっている必要がある。
また、例えばシングルキャビティ側のトロイダル型無段変速機等などにおいて、入力側ディスクの外側面側ではなく、出力側ディスクの外側面側に押圧装置300を配置するもものとしてもよいし、両端にそれぞれ入力側ディスクが配置されるダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機において、両方の入力側ディスクにそれぞれ押圧装置を配置してもよい。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機の他、トラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機にも適用することができる。
本発明の実施形態に係るトロイダル型無段変速機に設けられる押圧装置の断面図である。 従来のトロイダル型無段変速機における要部断面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 従来のトロイダル型無段変速機に設けられる油圧式の押圧装置の断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
300 押圧装置
310 油圧シリンダ
315 傾斜部
320 油圧室
330 中間ピストン
340 球
350 皿バネ

Claims (3)

  1. 互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された少なくとも一対の入力側ディスクおよび出力側ディスクと、一対の前記ディスク間に挟持されるとともに入力側ディスクから出力側ディスクに回転速度比を変更可能に回転力を伝達する複数のパワーローラと、一対以上の前記ディスクが当該ディスクの回転中心軸方向に並んだ状態で、前記ディスクと前記パワーローラとの間に押圧力を付与するように前記ディスクのうちの少なくとも1つのディスクを前記回転中心軸方向に沿って前記パワーローラに向けて押圧する押圧装置とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記押圧装置には、前記一対以上のディスクの少なくとも1つのディスクの外側面に対向して設けられ、当該ディスクの外側面との間に、油圧により当該ディスクを前記パワーローラ側に押圧する油圧室を形成し、当該ディスクと一体に回転する油圧シリンダと、
    前記油圧室内で、前記油圧シリンダと当該油圧シリンダに対向する前記ディスクとの間に配置され、当該油圧シリンダおよび当該ディスクとともに回転することによって生じる遠心力により回転中心側から半径方向外側へ移動可能な遠心移動部材とが設けられ、
    前記油圧室内には、前記遠心移動部材に作用する遠心力を、前記油圧シリンダに対向する前記ディスクをパワーローラ側に押圧する押圧力に変換するために前記半径方向外側に移動する前記遠心移動部材に接触し、かつ、前記回転中心軸方向に対して斜めとなる斜面が形成されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記油圧室内には、前記遠心移動部材と、外側面が前記油圧シリンダに対向する前記ディスクとの間に、当該ディスクと一体に回転するとともに当該ディスクの回転中心軸方向に沿って移動可能な中間ピストンが設けられ、
    前記遠心移動部材は、当該遠心移動部材に作用する遠心力に基いて前記中間ピストンを介して前記油圧シリンダに対向する前記ディスクをパワーローラ側に押圧し、
    当該ディスクの外側面と前記中間ピストンとの間に、当該ディスクをパワーローラ側へ押圧するバネ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記中間ピストンおよび前記油圧シリンダのうちの少なくとも一方には、当該中間ピストンおよび当該油圧シリンダのうちの少なくとも一方の回転中心側から半径方向外側に向かって、前記遠心移動部材の移動をガイドするための移動ガイドが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
JP2008008733A 2008-01-18 2008-01-18 トロイダル型無段変速機 Active JP4962328B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008008733A JP4962328B2 (ja) 2008-01-18 2008-01-18 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008008733A JP4962328B2 (ja) 2008-01-18 2008-01-18 トロイダル型無段変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009168198A true JP2009168198A (ja) 2009-07-30
JP4962328B2 JP4962328B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=40969596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008008733A Active JP4962328B2 (ja) 2008-01-18 2008-01-18 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4962328B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109083994A (zh) * 2017-12-15 2018-12-25 韩喜胜 一种碟形无级变速方法及装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50121932A (ja) * 1974-03-05 1975-09-25
JPS6425559A (en) * 1987-07-22 1989-01-27 Matsushita Electronics Corp Manufacture of mis type semiconductor device
JPH05340452A (ja) * 1992-06-08 1993-12-21 Mitsuboshi Belting Ltd ベルト式無段変速装置
JP2002227953A (ja) * 1996-04-19 2002-08-14 Torotrak (Development) Ltd バリエータ制御システム
JP2006057649A (ja) * 2004-08-17 2006-03-02 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50121932A (ja) * 1974-03-05 1975-09-25
JPS6425559A (en) * 1987-07-22 1989-01-27 Matsushita Electronics Corp Manufacture of mis type semiconductor device
JPH05340452A (ja) * 1992-06-08 1993-12-21 Mitsuboshi Belting Ltd ベルト式無段変速装置
JP2002227953A (ja) * 1996-04-19 2002-08-14 Torotrak (Development) Ltd バリエータ制御システム
JP2006057649A (ja) * 2004-08-17 2006-03-02 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109083994A (zh) * 2017-12-15 2018-12-25 韩喜胜 一种碟形无级变速方法及装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4962328B2 (ja) 2012-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012111562A1 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4962328B2 (ja) トロイダル型無段変速機
WO2015122291A1 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4706920B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5051438B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6515693B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6427886B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6528358B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5817282B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4962326B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6492906B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2007205546A (ja) トロイダル型無段変速機
JP6458443B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6766382B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6364961B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6561554B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4706959B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4702602B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4815785B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4605497B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4623365B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4748370B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2009041628A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2006071028A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2017003097A (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111027

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120228

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4962328

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3