JP2009166743A - サスペンション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スタビライザのロール剛性を液圧により制御可能なサスペンション制御装置において、車両の旋回走行時における走行安定性を確保しつつ、キャビテーションの発生を防止または抑制する。
【解決手段】フロントスタビライザおよびリアスタビライザに加え、さらに両スタビライザのロール剛性を液圧により調整するフロント液圧シリンダおよびリア液圧シリンダを設けることで、車両旋回時の高いロール剛性が確保され、車両の安定した走行状態が維持される。一方、車両が旋回中であっても、横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として所定のロール剛性を確保するとともに、低い側にある電磁弁については開弁状態とする。
【選択図】図4
【解決手段】フロントスタビライザおよびリアスタビライザに加え、さらに両スタビライザのロール剛性を液圧により調整するフロント液圧シリンダおよびリア液圧シリンダを設けることで、車両旋回時の高いロール剛性が確保され、車両の安定した走行状態が維持される。一方、車両が旋回中であっても、横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として所定のロール剛性を確保するとともに、低い側にある電磁弁については開弁状態とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、スタビライザのロール剛性を制御可能なサスペンション制御装置に関する。
従来より、車両前後にスタビライザを設けるとともに、各スタビライザと車体との間にそれぞれ液圧シリンダを配置し、そのシリンダ内のピストン前後の圧力を制御することにより、スタビライザのロール剛性を制御するサスペンションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。両シリンダは、ピストンにて仕切られた2つの液圧室の互いに対応する液圧室同士がそれぞれ配管により接続されている。両シリンダのハウジングは車体に支持され、ピストンの一端はスタビライザに連結されている。各配管の途中には、調圧用のアキュムレータと、そのアキュムレータの導入口を開閉する電磁弁がそれぞれ配設されている。
車両旋回時には、双方の電磁弁が同時に閉じられることによりアキュムレータの機能を一時的に停止させ、両シリンダからアキュムレータへの作動液の流出入を阻止することでピストンを固定し、それにより高いロール剛性が得られるようにしている。これにより、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
特開2005−81913号公報
しかしながら、車両が旋回走行をするときには、2つの液圧室の一方が高圧になり、他方が低圧となる。その結果、低圧側の液圧回路にキャビテーションが発生し、振動や騒音を引き起こすことがあった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、スタビライザのロール剛性を液圧により制御可能なサスペンション制御装置において、車両の旋回走行時における走行安定性を確保しつつ、キャビテーションの発生を抑制可能な技術を提供することにある。
本発明のある態様のサスペンション制御装置は、車両の前輪側にフロントスタビライザ、後輪側にリアスタビライザをそれぞれ備える。このサスペンション制御装置は、フロントスタビライザと車体との間に介装され、その伸縮動作によりそのフロントスタビライザのロール剛性を調整するフロント液圧シリンダと、リアスタビライザと車体との間に介装され、その伸縮動作によりそのリアスタビライザのロール剛性を調整するリア液圧シリンダと、フロント液圧シリンダおよびリア液圧シリンダにおいて、ピストンにて仕切られた2つの液圧室の互いに対応する液圧室同士をそれぞれ接続する2つの液圧通路と、各液圧通路にそれぞれ設けられ、導入口に設けられた電磁弁が開弁されてその液圧通路の作動液の一部が導入されることによりピストンの変位を許容させるアキュムレータと、各電磁弁への通電制御を行ってこれを開閉させる制御部と、車両の横加速度を検出する横加速度検出部と、を備える。
制御部は、車両が旋回中であると判定した場合、横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として、低い側にある電磁弁を開弁状態とする一方、横加速度が限界判定値を超えていれば、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行する。
ここで、「限界判定値」については、車両の走行安定性の確保およびキャビテーションの発生の抑制を両立可能な値を実験や解析を通じて適宜設定することができる。
この態様では、フロントスタビライザおよびリアスタビライザに加え、さらに両スタビライザのロール剛性を液圧により調整するフロント液圧シリンダおよびリア液圧シリンダを設けることで、車両旋回時の高いロール剛性が確保され、車両の安定した走行状態が維持される。一方、車両が旋回中であっても、横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として所定のロール剛性を確保するとともに、低い側にある電磁弁については開弁状態とする。これにより、液圧回路の低圧側でキャビテーションが発生するのを抑制することができる。一方、横加速度が限界判定値を超えていれば、双方の電磁弁とも閉弁状態とされ、車両の走行安定性が優先的に確保される。
当該サスペンション制御装置は、さらに車両のステアリングの切り増しを判定する切り増し判定部を備えてもよい。そして、制御部は、車両が旋回中であると判定された場合であっても、切り増しがなされたと判定されたときには、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行してもよい。あるいは、車両のステアリングの切り返しを判定する切り返し判定部を備えてもよい。そして、制御部は、車両が旋回中であると判定された場合であっても、切り返しがなされたと判定されたときには、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行してもよい。
すなわち、ステアリングの切り増しや切り返しがなされているときには、車両に加わる遠心力が大きく変化するため、車両の挙動が一時的に不安定になる。このような場合には、低圧側の電磁弁も閉弁状態としてロール剛性を確保し、車両の走行安定性を優先するのが好ましい。
本発明によれば、スタビライザのロール剛性を液圧により制御可能なサスペンション制御装置において、車両の旋回走行時における走行安定性を確保しつつ、キャビテーションの発生を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施の形態に係るスタビライザ制御装置の概略構成を表す図である。図2は、スタビライザ制御装置の液圧回路および制御部の構成を表す模式図である。
図1に示すように、本実施の形態の車両には、旋回走行中の車体のロールを抑制するために、前輪2側にフロントスタビライザ10、後輪4側にリアスタビライザ12がそれぞれ設けられている。各スタビライザは、概ねコ字状をなし、車幅方向に延びるロッド部14と、ロッド部14の両端から車両長手方向に延びる一対のアーム部16を有している。
フロントスタビライザ10の左右のアーム部16は、左右の前輪2をそれぞれ支持する図示しないロアアーム等のサスペンション部材にボールジョイント等を介して回動可能に取り付けられている。また、フロントスタビライザ10のロッド部14は、その左側部分においてフロント液圧シリンダ20を介して車体に支持され、右側部分において連結ロッド22を介して車体に支持されている。フロント液圧シリンダ20は、その伸縮動作によりそのフロントスタビライザ10のロール剛性を調整する。一方、リアスタビライザ12の左右のアーム部16は、左右の後輪4に駆動力を伝達する車軸を支持する図示しないリヤアクスルハウジングもしくはロアアーム等のサスペンション部材にボールジョイント等を介して回動可能に取り付けられている。また、リアスタビライザ12のロッド部14は、その左側部分においてリア液圧シリンダ30を介して車体に支持され、右側部分において連結ロッド32を介して車体に支持されている。リア液圧シリンダ30は、その伸縮動作によりそのリアスタビライザ12のロール剛性を調整する。
図2にも示すように、フロント液圧シリンダ20は、車体に支持されたハウジング24と、ハウジング24内に摺動可能に挿通されたピストン26とを含んで構成されている。ピストン26は、ハウジング24内を車体側の上室27とフロントスタビライザ10側の下室28との2つの液圧室に仕切っている。ピストン26の外周部にはシール部材としてのOリングが嵌合されており、上室27と下室28との間を液密に保持している。ピストン26の下室28側からはピストンロッド29が延出しており、ハウジング24を液密に貫通してボールジョイント等を介してフロントスタビライザ10に連結されている。ピストンロッド29は、ロッド部14の軸線回りに回動可能かつその軸線に対して傾き可能に取り付けられており、フロントスタビライザ10の揺動に伴ってピストン26が変位することにより、上室27および下室28の体積が変化する。連結ロッド22は、その一端部がロッド部14の軸線回りに回転可能かつその軸線に対して傾き可能に取り付けられ、他端部が車体に対して回動可能かつ傾き可能に取り付けられる。
一方、リア液圧シリンダ30も、車体に支持されたハウジング34と、ハウジング34内に摺動可能に挿通されたピストン36とを含んで構成されている。ピストン36は、ハウジング34内を車体側の上室37とリアスタビライザ12側の下室38との2つの液圧室に仕切っている。ピストン36の外周部には、シール部材としてのOリングが嵌合されており、上室37と下室38との間を液密に保持している。ピストン36の下室38側からはピストンロッド39が延出しており、ハウジング34を液密に貫通してボールジョイント等を介してリアスタビライザ12に連結されている。ピストンロッド39は、ロッド部14の軸線回りに回動可能かつその軸線に対して傾き可能に取り付けられており、リアスタビライザ12の揺動に伴ってピストン36が変位することにより、上室37および下室38の体積が変化する。連結ロッド32は、その一端部がロッド部14の軸線回りに回転可能かつその軸線に対して傾き可能に取り付けられ、他端部が車体に対して回動可能かつ傾き可能に取り付けられる。
そして、フロント液圧シリンダ20とリア液圧シリンダ30における互いに対応する液圧室同士が上下の液圧通路によってそれぞれ接続されている。すなわち、フロント液圧シリンダ20の上室27とリア液圧シリンダ30の上室37とが配管40によって連結され、その配管40内の液圧通路を介して連通し、下室28と下室38とが配管42によって連結され、その配管42内の液圧通路を介して連通している。
配管40の中間部には、アキュムレータ50と、そのアキュムレータ50の導入口を開閉するソレノイド式の電磁弁52とが設けられている。アキュムレータ50は、例えばハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含んで構成される。仕切部材の一方の側の開放空間は配管40の液圧通路に連通し、他方の側の密閉空間にはばね等の弾性体が配設されている。アキュムレータ50の構造には、ベローズ式、ダイヤフラム式、ピストン式などの周知の他の構造を採用することができる。このアキュムレータ50は、配管40内の液圧を調圧するものであり、液圧通路の液圧が過大になった場合には作動液を吸収して液圧の上昇を抑制し、逆に液圧通路の液圧が過小になった場合には作動液を補うように動作する。電磁弁52は、ソレノイドに電流が供給されない場合に開弁状態にある常開型の弁であり、通電がなされると閉弁してアキュムレータ50の導入口を閉じてその機能を一時的に停止させる。電磁弁52が開弁されると、液圧通路の作動液の一部がアキュムレータ50に導入されることにより、その液圧通路の液圧を一時的に降圧させることができ、各液圧シリンダにおいてピストンの上室側への変位を許容できる。
同様に、配管42の中間部にも、アキュムレータ60と、そのアキュムレータ60の導入口を開閉するソレノイド式の電磁弁62とが設けられている。アキュムレータ60は、アキュムレータ50と同様の構造を有する。アキュムレータ60は、配管42内の液圧を調圧するものであり、液圧通路の液圧が過大になった場合には作動液を吸収して液圧の上昇を抑制し、逆に液圧通路の液圧が過小になった場合には作動液を補うように動作する。電磁弁62は、ソレノイドに電流が供給されない場合に開弁状態にある常開型の弁であり、通電がなされると閉弁してアキュムレータ60の導入口を閉じてその機能を一時的に停止させる。電磁弁62が開弁されると、液圧通路の作動液の一部がアキュムレータ60に導入されることにより、その液圧通路の液圧を一時的に降圧させることができ、各液圧シリンダにおいて下室側へのピストンの変位を許容できる。
これら電磁弁52,62は、車体側に搭載された制御部としての電子制御装置(「ECU」という)70によりその通電制御がなされる。ECU70は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えるものである。ECU70には、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ、車両の横方向すなわち車幅方向における加速度(横方向加速度)を検出する横Gセンサ(「横加速度検出部」として機能する)、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ等の各種センサが接続されている。
次に、スタビライザ制御装置による制御方法について説明する。図3は、スタビライザ制御装置の主要な動作を表す図である。(A)は車両が直進状態で障害物を乗り越えるようなときを表し、(B)は車両が旋回状態にあるときを表している。図中細い矢印は車両の進行方向を表し、太い矢印はスタビライザの変位を表している。
車両が直進状態にある場合、電磁弁52,62は非通電であり開弁状態に保持される。このとき、フロントスタビライザ10およびリアスタビライザ12がほぼ水平な状態を保持する。このため、フロント液圧シリンダ20のピストン26、リア液圧シリンダ30のピストン36はそれぞれ各ハウジング24,34の中央位置(中立位置)に保持される。アキュムレータ50,60により作動液の適度な調圧もなされるため、車両はほぼ水平に安定した姿勢で走行を継続することができる。
そして、車両が障害物を乗り越えるときなど悪路走破をするときには、例えば同図(A)に示すように、その障害物に乗り上げた左前輪のサスペンションが縮んでフロントスタビライザ10がねじれようとする。このとき、そのフロントスタビライザ10の変位によってピストン26がハウジング24内で押し上げられるため、その上室27内の作動液が配管40に導出される。それに伴い、配管40内の作動液はアキュムレータ50によって調圧されつつ、ハウジング34の上室37に導入されるため、その液圧によって後輪側のピストン36が押し下げられる。このようにして前後のピストン26およびピストン36には、互いに逆方向の圧力がかかるため、配管40,42内の作動液が流れるようになる。すなわち、図示のように左前輪および右後輪が上方に位置し、右前輪および左後輪が下方に位置する状態においては、フロント液圧シリンダ20の上室27の液圧が高くなり、下室28の液圧が低くなる。また、リア液圧シリンダ30の上室37の液圧が低くなり、下室38の液圧が高くなる。この結果、配管40、42の液圧通路における作動液の流通が許容され、各ピストンが上下してねじれを吸収する。その結果、フロントスタビライザ10およびリアスタビライザ12の効力が抑制されてその自由な傾きが許容され、大きなホイールストロークによる車輪の接地性が確保され、悪路走破性が向上される。
一方、車両が旋回走行をするときには、遠心力によって車両の旋回外側が下がる状態に傾く。同図(B)の例では車両が左旋回しており、図中太い矢印にて示すように、車両の右側が下がろうとしている。このとき、フロント液圧シリンダ20およびリア液圧シリンダ30において、各上室27,37の液圧が低くなり、各下室28,38の液圧が高くなる。この場合、配管40によって接続された上室同士の液圧がほぼ同じとなり、配管42によって接続された下室同士の液圧がほぼ同じとなるため、これらの間に作動液の流通はほとんど生じない。
本実施の形態では、このような車両の旋回時に上下の電磁弁52,62を同時に閉じることにより、高いロール剛性を実現するようにするが、液圧回路の低圧側にてキャビテーションが発生しないよう、車両に加わる横力が小さい範囲においては低圧側の電磁弁を開放する。図示の例では、上側の電磁弁52が開弁される。すなわち、ECU70は、車両が旋回中であると判定した場合、横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として、低い側にある電磁弁を開弁状態とする。ただし、横加速度が限界判定値を超えていれば、双方の電磁弁とも閉弁状態として安定走行に十分なロール剛性を確保する。
本実施の形態では、この「限界判定値」として、旋回時の遠心力により車両が横転する可能性のある横加速度に所定の安全率をかけた値が設定されている。すなわち、車両が旋回時の横力によって転覆することのない安全な範囲で低圧側の電磁弁を開弁させてロール剛性をやや低下させつつ、キャビテーションの防止を実現している。
次に、スタビライザ制御装置による制御処理の主要部の流れについて説明する。図4は、スタビライザ制御処理の主要部の流れを表すフローチャートである。この処理は、車両の図示しないイグニッションスイッチがオンにされてから、ECU70により所定の周期にて繰り返し実行される。
ECU70は、まず、車両が旋回中であるか否かを判定する(S10)。本実施の形態では、横Gセンサにより検出される横加速度が予め設定した旋回判定しきい値以上であれば旋回中であると判定されるが、それ以外の公知の判定手法を用いることもできる。例えば、車輪速センサの検出値から得られる車速と、操舵角センサの検出値から得られる操舵角に基づき、車速が設定値以上であり、操舵角が判定しきい値以上であれば旋回中であると判定するようにしてもよい。
このとき、旋回中であると判定されると(S10のY)、ECU70は、続いて横加速度が通常領域にあるか、それよりも高い限界領域にあるかを判定する(S12)。ここでは、横加速度が上述した限界判定値を超えていれば限界領域にあると判定され、限界判定値以下であれば通常領域にあると判定される。限界領域にあると判定されると(S12のY)、ECU70は、上室側の電磁弁52および下室側の電磁弁62の双方に通電を行ってこれらをともに閉弁状態にする(S14)。これにより、フロントスタビライザ10およびリアスタビライザ12の双方のロール剛性が高く保持され、車両に負荷される横力が大きくても、安定した旋回走行を確保することができる。
一方、S12にて横加速度が通常領域にあると判定されると(S12のN)、ECU70は、液圧回路において上室側および下室側のいずれが高圧側となっているかを判定する(S18)。つまり、旋回時に必要なロール剛性を確保するために高圧側回路の電磁弁については閉弁状態とする一方、低圧側回路の電磁弁については開弁状態のままとしてキャビテーションの発生を抑制する。ここでは、車両の旋回方向と車両のロール方向から高圧側回路を判定する。旋回方向については、横Gセンサから得られる横加速度の向きと反対側の向きとして判定することができる。また、本実施の形態では、図1に示したようにフロント液圧シリンダ20およびリア液圧シリンダ30が車両の左側に設けられているため、車両の左旋回時にはピストンがストロークして各液圧シリンダが伸びる方向に動作し、下室側が高圧側回路となる。逆に、車両の右旋回時にはピストンがストロークして各液圧シリンダが縮む方向に動作し、上室側が高圧側回路となる。したがって、旋回方向が分かれば高圧側回路を判定することができる。
このとき、高圧側回路が下室側である場合には、下室側の電磁弁のみに通電を行ってこれを閉弁状態とする(S20)。一方、高圧側回路が上室側である場合には、上室側の電磁弁のみに通電を行ってこれを閉弁状態とする(S22)。なお、S10において旋回中でなければ(S10のN)、上室側および下室側の双方の電磁弁に通電は行わず、いずれも開弁状態とする(S24)。
以上に説明したように、本実施の形態のスタビライザ制御装置では、車両の旋回時に液圧回路内の2つの電磁弁の双方を常に閉じるのではなく、車両に負荷される横力が低い状態においては低圧側の電磁弁を開放する。これにより、必要なロール剛性を確保するとともに、キャビテーションの発生を抑制することができる。また、横力が大きい場合には双方の電磁弁を閉じることで高いロール剛性を確保する。その結果、車両の走行安定性を維持することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
図5は、変形例に係るスタビライザ制御処理の主要部の流れを表すフローチャートである。なお、同図において図4に示したステップと同様の処理部分については、同一のステップ番号を付している。
図示のように、S10とS12との間に、車両の操舵処理と連動するS212の処理を加えてもよい。すなわち、本変形例では、車両が旋回中であると判定されると(S10のY)、ECU70は、ステアリングの切り増しまたは切り返しが行われているか否かを判定する(S212)。この切り増しおよび切り返しの有無の判定は、操舵角センサの検出値からその操舵角の変化を取得して判定する。より具体的には、操舵角速度または操舵角加速度と操舵角とに基づいて切り増しおよび切り返しの判定を行うことができるが、これらの技術は公知であるため、その詳細については説明を省略する。
このとき、切り増しまたは切り返しが行われていれば(S212のY)、S12の処理をスキップしてS14へ移行し、上室側の電磁弁52および下室側の電磁弁62の双方に通電を行ってこれらをともに閉弁状態にする(S14)。すなわち、ステアリングホイールの切り増しまたは切り返しが行われるときには、車両に加わる横力が瞬間的に大きくなり、車両の姿勢が不安定になる可能性がある。そこで、このような場合には、上室側および下室側の双方の電磁弁を閉じてロール剛性を高く保持することにより、車両の走行安定性を確保する。本変形例においては、ECU70が、「切り増し判定部」および「切り返し判定部」として機能する。一方、S212において切り増しまたは切り返しが行われていなければ(S212のN)、S12の処理へ移行する。
上記実施の形態では、図3のS18の処理において、旋回方向から高圧側回路を判定した例を示したが、例えば配管40および配管42のそれぞれに液圧回路内の液圧を検出する液圧センサを設け、各液圧センサの出力値に基づいて高圧側回路を判定するようにしてもよい。あるいは、フロント液圧シリンダ20およびリア液圧シリンダ30の少なくとも一方にピストンのストロークを検出する変位センサを設け、そのピストンのストロークにより高圧側回路を判定するようにしてもよい。その場合、ピストンが基準位置より上室側にストロークしていれば上室側が高圧側回路として判定され、基準位置より下室側にストロークしていれば下室側が高圧側回路として判定される。
2 前輪、 4 後輪、 10 フロントスタビライザ、 12 リアスタビライザ、 14 ロッド部、 16 アーム部、 20 フロント液圧シリンダ、 22 連結ロッド、 24 ハウジング、 26 ピストン、 27 上室、 28 下室、 29 ピストンロッド、 30 リア液圧シリンダ、 32 連結ロッド、 34 ハウジング、 36 ピストン、 37 上室、 38 下室、 39 ピストンロッド、 40 配管、 42 配管、 50 アキュムレータ、 52 電磁弁、 60 アキュムレータ、 62 電磁弁、 70 ECU。
Claims (3)
- 車両の前輪側にフロントスタビライザ、後輪側にリアスタビライザをそれぞれ備えたサスペンション制御装置において、
前記フロントスタビライザと車体との間に介装され、その伸縮動作によりそのフロントスタビライザのロール剛性を調整するフロント液圧シリンダと、
前記リアスタビライザと車体との間に介装され、その伸縮動作によりそのリアスタビライザのロール剛性を調整するリア液圧シリンダと、
前記フロント液圧シリンダおよび前記リア液圧シリンダにおいて、ピストンにて仕切られた2つの液圧室の互いに対応する液圧室同士をそれぞれ接続する2つの液圧通路と、
各液圧通路にそれぞれ設けられ、導入口に設けられた電磁弁が開弁されてその液圧通路の作動液の一部が導入されることによりピストンの変位を許容させるアキュムレータと、
各電磁弁への通電制御を行ってこれを開閉させる制御部と、
車両の横加速度を検出する横加速度検出部と、を備え、
前記制御部は、車両が旋回中であると判定した場合、前記横加速度が予め定める限界判定値以下であれば、前記2つの液圧通路のうち液圧が高い側にある電磁弁を閉弁状態として、低い側にある電磁弁を開弁状態とする一方、前記横加速度が前記限界判定値を超えていれば、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行することを特徴とするサスペンション制御装置。 - 車両のステアリングの切り増しを判定する切り増し判定部を備え、
前記制御部は、車両が旋回中であると判定された場合であっても、前記切り増しがなされたと判定されたときには、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション制御装置。 - 車両のステアリングの切り返しを判定する切り返し判定部を備え、
前記制御部は、車両が旋回中であると判定された場合であっても、前記切り返しがなされたと判定されたときには、双方の電磁弁とも閉弁状態とするよう、各電磁弁への通電制御を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション制御装置。
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