JP4311424B2 - 横加速度検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スタビライザ装置を備えた車両に適用される横加速度検出装置に関する。
従来のスタビライザ装置としては、前輪用および後輪用の各スタビライザのトーションバー部分を中央でそれぞれ2分割し、これらの分割した部分の各一方をそれぞれ一対の油圧式ロータリアクチュエータの各ハウジング側にそれぞれ接続するとともに、各他方を同一対の油圧式ロータリアクチュエータの各ロータ側にそれぞれ接続し、検出された横加速度に応じて両油圧式ロータアクチュエータの作動油の給排を制御して、車両の旋回時に、両スタビライザのロール剛性力が高くなるようにしたものが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
特開平9−183306号公報
そして、この装置においては、前輪用の油圧式ロータリアクチュエータの作動油の給排路にオリフィスを介装して作動油の給排を遅延することにより、車両の旋回開始時には後輪用のスタビライザのロール剛性力が前輪用のスタビライザのロール剛性力よりも高くなるようにして車両をオーバーステアリング傾向にするとともに、車両の旋回終了時には前輪用のスタビライザのロール剛性力が後輪用のスタビライザのロール剛性力よりも高くなるようにして車両をアンダーステアリング傾向にして、車両の旋回性能および走行安定性の両面を向上させるようにしている。
本発明は、スタビライザ装置を備えた車両に適用されて、高精度で車両の横加速度を検出することが可能な車両の横加速度検出装置を提供することにある。
本発明の構成上の特徴は、前輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第1のロール剛性力可変手段と、後輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第2のロール剛性力可変手段と、第1および第2のロール剛性力可変手段をそれぞれ制御して前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザを所望状態に設定するロール剛性力制御手段とからなる車両のスタビライザ装置を備えた車両に適用されて、車速を検出する車速検出手段と、前輪操舵角θを検出する舵角検出手段と、車両の横加速度Gyを計算するための下記演算式3に利用される係数k 1 、k 2 を前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザの設定状態に応じてそれぞれ決定する係数決定手段と、前記決定された係数k 1 、k 2 、前記検出された車速Vおよび前記検出された前輪操舵角θを用いるとともに、前記検出された前輪操舵角θの時間微分値をdθ/dtとして、下記演算式3に基づいて車両の横加速度Gyを計算する横加速度計算手段とを備えたことにある。
Gy=k 1 ・θ・V+k 2 ・(dθ/dt)・V …式3
また、前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザの設定状態に応じて決定されるまたは予め決められた係数をk3として、前記式3に代えて、横加速度Gyの計算のために、下記式4も採用し得る。
Gy=k1・θ・V+k2・(dθ/dt)・V+k3・V …式4
これによれば、前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザの設定状態に応じて変化する車両の横加速度が、高精度で検出されるようになる。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の適用される車両の前輪用および後輪用のサスペンション装置を共通に概略的に示している。図2は、これらの前輪用および後輪用のサスペンション装置におけるスタビライザ16,16のロール剛性力を制御するための電気制御装置を示す。
このサスペンション装置は、サスペンションアーム11a,11b、ダンパシリンダ12a,12bおよびコイルスプリング13a,13bからなり、左右車輪14a,14bを車体15に懸架している。また、このサスペンション装置は、スタビライザ16を備えている。スタビライザ16の中央のトーションバー部16aは、車体15にボルトなどで固定された軸受け17a,17bにより、軸線回りに回転可能に支持されている。スタビライザ16の一端部16bは、リンクロッド18を介してダンパシリンダ12aのばね下部に接続されている。スタビライザ16の他端部16cとダンパシリンダ12bとの間には、シリンダユニット20が介装されている。
シリンダユニット20は、油圧シリンダ21、同シリンダ21を上下油室に区画するピストン22およびピストン22に上端を固定したピストンロッド23からなる。油圧シリンダ21の上端は、ダンパシリンダ12aのばね下部に接続されている。ピストンロッド23の下端部は、スタビライザ16の他端部16cに接続されている。
このシリンダユニット20は、図2に示す前輪用シリンダユニット20Aおよび後輪用シリンダユニット20Bのそれぞれに対応するものである。前輪用シリンダユニット20Aは、前記油圧シリンダ21、ピストン22およびピストンロッド23にそれぞれ対応した油圧シリンダ21a、ピストン22aおよびピストンロッド23aを含む。後輪用シリンダユニット20Bは、前記油圧シリンダ21、ピストン22およびピストンロッド23にそれぞれ対応した油圧シリンダ21b、ピストン22bおよびピストンロッド23bを含む。
前輪用シリンダユニット20Aは、電磁切り換えバルブ24aおよびアキュムレータ25aも含む。電磁切り換えバルブ24aは、非通電状態にて図示状態に保たれて、チェックバルブにより油圧シリンダ21aの上下油室の連通を禁止する。この状態では、ピストン22aは油圧シリンダ21a内を摺動し得ないので、スタビライザ16(ただし、前輪用スタビライザ)の他端部16cはピストンロッド23aを介して固定されて、そのロール剛性力は大きな値に保たれる。一方、電磁切り換えバルブ24aは、通電状態にて図示状態から切り換えられて、オリフィスを介して油圧シリンダ21aの上下油室の連通を許容する。この状態では、ピストン22aは油圧シリンダ21a内を摺動し得るので、スタビライザ16(ただし、前輪用スタビライザ)の他端部16cはピストンロッド23aを介して自由に変位して、そのロール剛性力は小さな値に保たれる。なお、オリフィスは前記ピストン22aおよびピストンロッド23aの変位に対してダンパ作用を発揮するが、本発明には直接関係しないので詳しい説明を省略する。アキュムレータ25aは、チェックバルブおよびオリフィスの共通接続部に接続されている。
後輪用シリンダユニット20Bも、前述した電磁切り換えバルブ24aおよびアキュムレータ25aと同様な機能を有する電磁切り換えバルブ24bおよびアキュムレータ25bを含む。これにより、電磁切り換えバルブ24bは、非通電状態にて図示状態に保たれて、スタビライザ16(ただし、後輪用スタビライザ)のロール剛性力を大きな値に制御する。また、電磁切り換えバルブ24bは、通電状態にて図示状態から切り換えられて、スタビライザ16(ただし、後輪用スタビライザ)のロール剛性力を小さな値に制御する。
次に、前輪用および後輪用のスタビライザのロール剛性力を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、電磁切り換えバルブ24a,24bに接続されたマイクロコンピュータ30を備えているとともに、同マイクロコンピュータ30に接続された車速センサ31および舵角センサ32を備えている。
マイクロコンピュータ30は、CPU,ROM,RAMなどからなり、図3、4のプログラムを実行することにより、電磁切り換えバルブ24a,24bの通電および非通電を制御する。車速センサ31は、変速機の出力軸の回転または車輪の回転に基づいて車速Vを検出して、マイクロコンピュータ30に供給する。舵角センサ32は、操舵ハンドルの回転角に基づいてハンドル回転角θを検出して、マイクロコンピュータ30に供給する。なお、ハンドル回転角θは、前輪の中立位置を「0」とし、左右方向をそれぞれ正負の値で表す。なお、本実施形態においては、前輪操舵角としてハンドル回転角を用いるようにしたが、これに限らず、例えば車輪の転舵角を直接検出して前輪操舵角としてもよく、また車輪を転舵する転舵軸の変位量から間接的に車輪の転舵角を演算して前輪操舵角としてもよい。
次に、上記のように構成した実施形態の動作について説明する。イグニッションスイッチ(図示しない)が投入されると、マイクロコンピュータ30は図3のステップ100にてプログラムの実行を開始する。なお、図3に破線で示したステップ160,162の処理は、後述する変形例に関するもので、本実施形態には関係のない処理である。
前記プログラムの実行開始後、マイクロコンピュータ30は、ステップ102にて電磁切り換えバルブ24a,24bを共に通電制御する。これにより、前輪用および後輪用の両油圧シリンダ21a,21bの各上下室はそれぞれ連通し、前輪用および後輪用の両スタビライザ16,16の他端部16c,16cは共にフリー状態に保たれ、両スタビライザ16,16のロール剛性力は共に小さな値に設定される。前記ステップ102の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ104にて状態値STを「3」に設定する。
ここで、状態値STについて、図5を用いて説明しておく。状態値STが「1」であることは、前輪用の油圧シリンダ21aの上下室を連通させるとともに後輪用の油圧シリンダ21bの上下室の連通を解除して、前輪用のスタビライザ16の他端部16cをフリー状態に保ってそのロール剛性力を小さな値に設定するとともに、後輪用のスタビライザ16の他端部16cをロック状態に保ってそのロール剛性力を大きな値に設定することを意味する。状態値STが「2」であることは、前輪用および後輪用の両油圧シリンダ21a,21bの各上下室の連通を共に解除して、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の各他端部16c,16cを共にロック状態に保ってそれらのロール剛性力を共に大きな値に設定することを意味する。
状態値STが「3」であることは、前輪用および後輪用の両油圧シリンダ21a,21bの各上下室を共に連通させて、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の他端部16c,16cを共にフリー状態に保ってそれらのロール剛性力を共に小さな値に設定することを意味する。状態値STが「4」であることは、前輪用の油圧シリンダ21aの上下室の連通を解除するとともに後輪用の油圧シリンダ21bの上下室を連通させて、前輪用のスタビライザ16の他端部16cをロック状態に保ってそのロール剛性力を大きな値に設定するとともに、後輪用のスタビライザ16の他端部16cをフリー状態に保ってそのロール剛性力を小さな値に設定することを意味する。
図5は、前記状態値STが「1」,「2」,「3」,「4」である各場合における車両の横加速度GyとスタビリティファクタKhの関係を示すものである。なお、このスタビリティファクタKhは、その値が大きくなるに従って車両の安定性が高くなる(車体のロール角度が小さくなる)ことを示す指標であり、逆にその値が小さくなると車両の旋回性が向上することを意味する。また、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の両他端部16c,16cがフリー状態になることは、車両の乗り心地が良好になる傾向を示す。
前記ステップ104の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ106にて横加速度推定ルーチンを実行する。この横加速度推定ルーチンの実行は、図4に詳細に示されているように、ステップ200にて開始される。そして、マイクロコンピュータ30は、ステップ202にて、横加速度演算係数テーブルを参照し、状態値STすなわち前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の各他端部16c,16cのフリーおよびロック状態の組合せに応じて、横加速度Gyを推定演算するための下記式5の演算に利用する係数k1、k2を決定する。
Gy=k1・θ・V+k2・(dθ/dt)・V …式5
前記横加速演算係数テーブルは、マイクロコンピュータ30に内蔵されていて状態値STごとに係数k1、k2をそれぞれ記憶しているもので、例えば下記表1に示す値に設定されている。なお、θはハンドル回転角であり、Vは車速である。
Figure 0004311424
前記ステップ202の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ204にて車速センサ31から車速Vを入力するとともに、舵角センサ32からハンドル回転角θを入力する。そして、ステップ206にて、前記決定した係数k1、k2、車速Vおよびハンドル回転角θを前記式5に代入して横加速度Gyを計算し、ステップ208にてこの横加速推定ルーチンの実行を終了する。これにより、極めて高価かつ高精度の横加速度センサを用いなくても、車両の横加速度Gyの推定が可能になる。なお、この横加速度Gyは左方向が正であり、右方向が負である。
なお、前記式5に、横加速度Gyの位相を進めるための第3項k3・Vを加えた下記式6を実行することにより、車両の横加速度Gyを計算することも可能である。なお、この式6における第3項k3・Vの係数k3は、状態値STに応じて異なる値を採用してもよいが、予め決められた定数を用いるようにしてもよい。
Gy=k1・θ・V+k2・(dθ/dt)・V+k3・V …式6
ふたたび、図3のメインプログラムの説明に戻ると、前記ステップ106の横加速度推定ルーチンの実行後、ステップ108にて前記計算した横加速度Gyの絶対値|Gy|が予め決められた正の小さな所定値Gy1以上であるか否かを判定する。車両が停止またはほぼ直進走行していて横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満であれば、ステップ108にて「No」と判定して、ステップ102に戻る。したがって、車両が停止またはほぼ直進走行している限り、ステップ102〜108からなる循環処理が実行され続けて、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力は共に小さく設定され続ける(状態値STが「3」に設定され続ける)。これにより、車両がほぼ直進走行している状態では、車両の乗り心地が重視される。
一方、車両のほぼ直進走行中に操舵ハンドルが回動されて、車両が旋回し始めると、前記ステップ106の処理によって計算される横加速度Gyの絶対値|Gy|は大きくなる。そして、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1以上になると、ステップ108にて「YES」と判定し、ステップ110に進む。ステップ110においては、横加速度Gyの絶対値|Gy|が、前記所定値Gy1よりも大きな予め決められた所定値Gy2未満であるか否かを判定する。
いま、車両が旋回初期にあって、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2未満であれば、ステップ110にて「Yes」と判定し、ステップ112に進む。ステップ112においては、前記入力したハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtを計算するとともに、この微分値d|θ|/dtが「0」よりも大きいか否かを判定する。なお、前記微分値d|θ|/dtの計算においては、今回のステップ106の処理時に入力したハンドル回転角θと、前回のステップ106の処理時に入力するとともにマイクロコンピュータ30内に記憶しておいたハンドル回転角θとが用いられる。
このステップ112の判定処理は、車両の旋回初期および旋回終了時を区別するため、すなわち車両の旋回状態を判別するための処理である。この場合、前述のように車両は旋回初期状態であるので、ハンドル回転角θの絶対値|θ|は増加傾向にある。したがって、前記微分値d|θ|/dtは正であり、ステップ112においては「Yes」すなわち微分値d|θ|/dtは「0」以上であると判定して、ステップ114に進む。
ステップ114においては、マイクロコンピュータ30は、電磁切り換えバルブ24aを通電制御するとともに、電磁切り換えバルブ24bを非通電制御する。これにより、前輪用の油圧シリンダ21aの上下室は連通し、前輪用のスタビライザ16の他端部16cはフリー状態に保たれ、同スタビライザ16のロール剛性力は小さな値に設定される。一方、後輪用の油圧シリンダ21bの上下室の連通は解除され、後輪用のスタビライザ16の他端部16cはロック状態に保たれ、同スタビライザ16のロール剛性力は大きな値に設定される。前記ステップ114の処理後、ステップ116にて状態値STを「1」に設定する。
前記ステップ116の処理後、ステップ106に戻り、前記ステップ106以降の処理を実行する。このときも、車両が旋回初期状態に相当して、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1以上かつ所定値Gy2未満であるとともに、ハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtが正であれば、ステップ108,110,112において共に「Yes」と判定されて、マイクロコンピュータ30はステップ106〜116からなる循環処理を繰返し実行し続ける。この循環処理中、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さく設定され続けるとともに、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きく設定され続ける(状態値STは「1」に設定され続ける)。したがって、この状態では、図5からも理解できるように、スタビリティファクタKhが小さな値に保たれて、車両の旋回初期の回頭性が良好となる。
一方、車両が旋回動作に入り、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2以上になると、ステップ110にて「No」と判定されるようになり、ステップ118に進む。ステップ118においては、前記絶対値|Gy|が、所定値Gy2よりも大きな予め決めた所定値Gy3未満であるかを判定する。なお、この所定値Gy3は、通常の車両旋回では発生することが稀な大きな横加速度に対応した値に設定されている。したがって、車両が通常の旋回をしている場合には、ステップ118にて「Yes」すなわち前記絶対値|Gy|は所定値Gy3未満であると判定して、ステップ120に進む。
ステップ120においては、エクストラフラグEXFが“0”であるかを判定する。このエクストラフラグEXFは、“1”により車両の旋回中に所定値Gy3以上の絶対値を有する横加速度Gyが車両に発生したことを表すとともに、“0”によりそれ以外の状態を表すもので、初期には“0”に設定されている。したがって、この場合には、エクストラフラグEXFは“0”に保たれているので、マイクロコンピュータ30は、ステップ120にて「Yes」と判定して、ステップ122,124に進む。ステップ122においては、電磁切り換えバルブ24a,24bを共に非通電制御する。これにより、前輪用および後輪用の両油圧シリンダ21a,21bの各上下室の連通は共に解除され、前輪用および後輪用の両スタビライザ16,16の両ロール剛性力は共に大きな値に設定される。前記ステップ122の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ124にて状態値STを「2」に設定する。
前記ステップ124の処理後、ステップ106に戻り、前記ステップ106以降の処理を実行する。このときも、車両が通常の旋回中であって、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2以上かつ所定値Gy3未満であるとともに、エクストラフラグEXFが“0”であれば、ステップ108,110,118,120において、それぞれ「Yes」、「No」、「Yes」、「Yes」と判定されて、マイクロコンピュータ30はステップ106〜110,118〜124からなる循環処理を繰返し実行し続ける。この循環処理中、前輪用および後輪用のスタビライザ16、16のロール剛性力は共に大きく設定され続ける(状態値STは「2」に設定され続ける)。したがって、この状態では、図5からも理解できるように、スタビリティファクタKhが中程度の値に保たれて、車両の旋回性能をあまり損なうことなく、車両の走行安定性のためにロール角度の低減が図られる。
一方、車両がカーブを抜け出して直進走行に向かう状態すなわち旋回終了時期になって、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2未満になると、同絶対値|Gy|が所定値Gy1以上であることを条件に、ステップ110にて「Yes」と判定して、前述したステップ112の判定処理を実行する。この場合、車両は旋回終了時期にあって、ハンドル回転角θの絶対値|θ|は減少傾向にある。したがって、前述したステップ112にて計算される微分値d|θ|/dtは負となり、同ステップ112にて「No」と判定され、ステップ126に進められる。
ステップ126においては、マイクロコンピュータ30は、電磁切り換えバルブ24aを非通電制御するとともに、電磁切り換えバルブ24bを通電制御する。これにより、前輪用の油圧シリンダ21aの上下室の連通は解除され、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きな値に設定される。一方、後輪用の油圧シリンダ21bの上下室は連通して、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さな値に設定される。前記ステップ126の処理後、ステップ128にて状態値STを「4」に設定し、ステップ130にてエクストラフラグEXFを“0”に設定する。なお、このステップ130の処理は、後述する処理によってエクストラフラグEXFが“1”に設定された場合に有効な処理であり、今回の処理では動作上に実質的な影響を及ぼさない。
前記ステップ130の処理後、ステップ106に戻り、前記ステップ106以降の処理を実行する。このときも、車両が旋回終了時期に相当して、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1以上かつ所定値Gy2未満であるとともに、ハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtが負であれば、ステップ108,110,112においてそれぞれ「Yes」、「Yes」、「No」と判定されて、マイクロコンピュータ30はステップ106〜112,126〜130からなる循環処理を繰返し実行し続ける。この循環処理中、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きく設定され続けるとともに、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さく設定され続ける(状態値STは「4」に設定され続ける)。したがって、この状態では、図5からも理解できるように、スタビリティファクタKhが大きな値に保たれて、車両の旋回終了時の収束性が良好となる。
その後、車両がほぼ直進状態に入り、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満になると、ステップ108にて「No」と判定されるようになり、ステップ102に戻る。そして、車両がほぼ直進走行していて、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満である限り、ステップ108にて「No」と判定され続けて、前述したステップ102〜108の循環処理を繰返し実行し続ける。
このような制御の結果、ほぼ直進走行中であった車両が旋回を開始し始めると,図5の一点鎖線Xで示すように、旋回初期にはスタビリティファクタKhが小さくなって初期回頭性が増し、旋回中に入るとスタビリティファクタKhが中程度に設定されて車体のロールが抑制される。そして、車両が旋回を終了して直進走行に移る場合には、図5の一点鎖線Yで示すように、旋回終了時期にスタビリティファクタKhが大きくなって車両の安定性が増すとともに収束性が増し、直進走行に戻るとスタビリティファクタKhが中程度に設定されるとともに、車両の乗り心地が良好になる。その結果、車両の直進走行時における車両の乗り心地が確保されるとともに、車両の旋回性能も向上する。
次に、車両旋回中に横加速度Gyの絶対値|Gy|が極めて大きくなって所定値Gy3以上になった場合について説明する。この場合、マイクロコンピュータ30は、ステップ118にて「No」と判定し、ステップ132に進む。ステップ132においては、前記ステップ126の処理と同様に、電磁切り換えバルブ24aを非通電制御するとともに、電磁切り換えバルブ24bを通電制御する。これにより、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きな値に設定されるとともに、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さな値に設定される。前記ステップ132の処理後、ステップ134にて状態値STを「4」に設定し、またステップ136にてエクストラフラグEXFを“1”に設定する。
前記ステップ136の処理後、ステップ106に戻り、前記ステップ106以降の処理を実行する。そして、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy3以上である限り、ステップ108,110,118においてそれぞれ「Yes」、「No」、「No」と判定されて、マイクロコンピュータ30はステップ106〜110,118,132〜136からなる循環処理を繰返し実行し続ける。この循環処理中、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きく設定され続けるとともに、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さく設定され続ける(状態値STは「4」に設定され続ける)。したがって、この状態では、図5からも理解できるように、スタビリティファクタKhが大きな値に保たれ、車両のアンダーステアリング特性が強まって車両の走行安定性が良好に保たれる。
一方、このような横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy3以上の状態から所定値Gy3未満の状態になると、マイクロコンピュータ30は、ステップ118にて「Yes」と判定して、ステップ120に進む。この場合、エクストラフラグEXFは“1”に設定されているので、ステップ120においては「No」と判定して、ステップ106に戻る。そして、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2以上かつ所定値Gy3未満である限り、ステップ108,110,118にて、それぞれ「Yes」、「No」、「Yes」と判定するので、ステップ106〜110,118,120からなる循環処理を繰返し実行する。したがって、この場合には、電磁切り換えバルブ24a,24bは、前述したステップ132の処理による設定状態に維持されて、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きく設定され続けるとともに、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さく設定され続ける(状態値STは「4」に設定され続ける)。
一方、この場合も、車両がカーブを抜け出して直進走行に向かう状態すなわち旋回終了時期になって、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2未満になると、同絶対値|Gy|が所定値Gy1以上であることを条件に、ステップ110にて「Yes」と判定して、前述したステップ112の判定処理を実行する。この場合、車両は旋回終了時期にあって、ハンドル回転角θの絶対値|θ|は減少傾向にある。したがって、前述したステップ112にて計算される微分値d|θ|/dtは負となり、同ステップ112にて「No」と判定して、前述したステップ126〜130の処理を実行する。
この場合、前記ステップ132,134の処理により、前輪用のスタビライザ16のロール剛性力は大きな値に設定され、後輪用のスタビライザ16のロール剛性力は小さな値に設定され、かつ状態値STは「4」に設定されたままであるので、前記ステップ126,128の処理は実質的には意味がない。これに対し、ステップ130においては、“1”に設定されていたエクストラフラグEXFが“0”に変更される。これにより、次の車両の旋回時には、ステップ120にて「Yes」と判定されて、前述したステップ122,124の処理が実行されるようになる。
その後、車両がほぼ直進状態に入り、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満になると、マイクロコンピュータ30は、前述した場合と同様に、ステップ108にて「No」と判定して、前述したステップ102〜108の循環処理を繰返し実行し続ける。その結果、車両旋回中に横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy3以上になった後に、車両が直進走行に戻る際には、図5の一点鎖線Zで示すように、旋回終了時期までスタビリティファクタKhが大きく保たれる。これにより、横加速度Gyの絶対値|Gy|が一旦極めて大きくなった場合には、同絶対値|Gy|が小さくなり始めても、同絶対値|Gy|が大きくなった際の車両の不安定さを確実に解消するために、スタビリティファクタKhは大きく保たれ続けて車両の走行安定性が確保される。
次に、上記実施形態の車両の旋回初期における前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力をタイヤ空気圧に応じて変更するようにした変形例について説明する。これは、前輪および後輪のタイヤ空気圧の変化によって車両の実スタビリティファクタが低下している状態で、車両の回頭性向上のための上記図3のステップ114の処理により、スタビリティファクタKhを小さくした結果、車両の走行安定性を悪化させてしまうことを防止するものである。
この変形例においては、上記実施形態の電気制御装置に加え、図2に破線で示すように、左右前輪および左右後輪のタイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrを検出するためのタイヤ空気圧センサ33a〜33dがマイクロコンピュータ30に接続されている。これらのタイヤ空気圧センサ33a〜33dは、各輪のタイヤ空気圧を検出して、同検出したタイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrを表す検出信号をマイクロコンピュータ30に接続された受信機に無線送信するものであるが、回路図の簡単化のために、タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrを表す検出信号が直接マイクロコンピュータ30に供給されるように示している。
また、マイクロコンピュータ30は、上述した図3のメインプログラムに破線で示すステップ160,162の処理を加えるとともに、同メインプログラムの破線で囲んだステップ112〜116,126〜130の処理を図6の示すように変形したメインプログラムを実行する。
この変形例においては、車両の旋回初期において、ステップ112において「Yes」と判定された後、マイクロコンピュータ30は、ステップ140にてアップフラグUPFが“1”であるか否かを判定する。言い換えれば、車両の旋回初期においてステップ112にて「Yes」すなわち横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1以上かつ所定値Gy2未満であるとともに、ハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtが「0」以上であるとき、マイクロコンピュータ30は、ステップ140にてアップフラグUPFが“1”であるか否かを判定する。なお、このアップフラグUPFは、“1”によりスタビリティファクタKhを大きくするために前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力の制御状態を第1状態から変更した状態(状態値STの値を増加させた状態)を表し、“0”によりそれ以外の状態を表すもので、初期には“0”に設定されている。
アップフラグUPFが“0”に設定されていれば、ステップ140にて「No」と判定して、上記実施形態の場合と同様なステップ114,116の処理を実行して、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力の制御状態を第1状態(状態値STが「1」である状態)に制御する。
これらのステップ114,116の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ142にてスタビリティファクタテーブルを参照して、状態値STおよび横加速度Gyに応じてスタビリティファクタKhを計算する。スタビリティファクタテーブルは、マイクロコンピュータ30内に予め用意されているもので、図5に示すように、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力の組合せ(すなわち、各状態値ST)ごとに、横加速度Gyに応じて変化するスタビリティファクタKhを記憶している。なお、このスタビリティファクタKhの計算においては、横加速度Gyに対応するスタビリティファクタKhが前記テーブルにない場合には、補間演算を用いてスタビリティファクタKhを計算するようにする。
前記ステップ142の処理後、マイクロコンピュータ30は、ステップ144にてタイヤ空気圧センサ33a〜33dからの検出タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrを入力する。そして、ステップ146にて、左右前輪のタイヤ空気圧Pfl,Pfrの平均値を前輪タイヤ空気圧Pf(=(Pfl+Pfr)/2)として決定するとともに、左右後輪のタイヤ空気圧Prl,Prrの平均値を後輪タイヤ空気圧Pr(=(Prl+Prr)/2)として決定する。
次に、ステップ148にて、空気圧補正係数テーブルを参照して、前記計算した前輪タイヤ空気圧Pfおよび後輪タイヤ空気圧Prに応じた補正係数αf,αrを決定する。なお、これらの補正係数αf,αrの決定においても、前記テーブルにない場合には、補間演算を用いて補正係数αf,αrを計算するようにする。この空気圧補正係数テーブルは予めマイクロコンピュータ30内に用意されていて、前輪タイヤ空気圧Pfおよび後輪タイヤ空気圧Prに応じた補正係数αf,αrを記憶している。補正係数αf,αrと値としては、例えば下記表2のような値を採用できる。
Figure 0004311424
また、補正係数αf,αrは、前記スタビリティファクタテーブルを用いて計算したスタビリティファクタKhを前輪タイヤ空気圧Pfおよび後輪タイヤ空気圧Prに応じて補正して、タイヤ空気圧に応じて変化する補正スタビリティファクタKh'を計算するためのものである。この場合、タイヤ空気圧を所定値に固定して算出した値であるスタビリティファクタKh(スタビリティファクタテーブル値)と、補正スタビリティファクタKh'との関係は、一般的な車両運動理論により、下記式7のように定義される。
Kh'=Kh{(Wf/αf)−(Wr/αr)}・{1/(Wf−Wr)} …式7
なお、上記式7中のWfは前輪に付与される前輪荷重であり、Wrは後輪に付与される後輪荷重である。この場合、前輪荷重Wfおよび後輪荷重Wrを車種などにより予め決められた定数として扱ってもよい。また、荷重センサを前輪側および後輪側にそれぞれ設けて、各荷重センサによって検出された前輪荷重Wfおよび後輪荷重Wrを用いるようにしてもよい。
前記ステップ148の処理後、ステップ150にて、前記計算したスタビリティファクタKhおよび補正係数αf,αrを用いて前記式7の演算を実行することにより、補正スタビリティファクタKh'を計算する。そして、ステップ152にて、この補正スタビリティファクタKh'が所定値Kho以下であるかを判定する。なお、この所定値Khoは、車両の走行安定性に支障を来たすおそれのある予め決められた小さな値である。
いま、補正スタビリティファクタKh'が所定値Khoよりも大きければ、ステップ152にて「No」と判定し、ステップ106に戻る。したがって、この場合には、上記実施形態におけるスタビライザ16,16のロール剛性制御動作と変わらない。
一方、補正スタビリティファクタKh'が所定値Kho以下であれば、ステップ152にて「Yes」と判定して、ステップ154にて状態値STに「1」を加算して、ステップ156に進む。ステップ156においては、前輪用および後輪用の両スタビライザ16,16のロール剛性力を状態値STに対応した第ST状態に制御する。
具体的には、最初、前記ステップ116の処理によって状態値STは「1」に設定されているので、ステップ154の処理によって状態値STは「2」に設定される。従って、ステップ156においては、上述した図3のステップ122の処理と同様にして、電磁切り換えバルブ24a,24bを共に非通電制御する。この非通電制御により、前輪用および後輪用の両スタビライザ16,16の各他端部16c、16cは共にロック状態に設定され(第2状態に設定され),両スタビライザ16,16のロール剛性力は共に大きな値に設定される。その結果、図5に示すように、スタビリティファクタKhは前記第1状態の場合よりも大きな値になる。
前記ステップ156の処理後、ステップ158にてアップフラグUPFを“1”に設定して、ステップ142に戻る。そして、前述したステップ142〜152の処理により、前記第ST状態(この場合、第2状態)におけるスタビリティファクタKhのタイヤ空気圧Pf,Prによる補正値Kh'を計算して、同補正値Kh'が所定値Kho以下であるかを判定する。
そして、スタビリティファクタKhの補正値Kh'が所定値Khoよりも大きければ、ステップ152にて「No」と判定し、ステップ106に戻る。この場合、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1以上かつ所定値Gy2未満であれば、ハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtが「0」以上であることを条件に、ステップ108,110,112にて共に「Yes」と判定し、前記ステップ140の判定処理を実行する。この場合、アップフラグUPFは“1”に設定されているので、ステップ140にて「Yes」と判定して、ステップ106に戻る。その結果、この場合には、ステップ106〜112,140の循環処理が繰返し実行され、スタビライザ16,16のロール剛性力は第2状態すなわち共に大きな値に維持され続ける。
そして、この状態で、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満になって、ステップ108にて「No」と判定されれば、図3に破線で示したステップ160にてアップフラグUPFを“0”に戻して、ステップ108に戻る。また、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy2以上になって、ステップ110にて「No」と判定されれば、図3に破線で示したステップ162にてアップフラグUPFを“0”に戻して、ステップ118に進む。これにより、その後は上記実施形態と同様に動作する。
一方、前記変更した第ST状態(この場合、第2状態)におけるスタビリティファクタKhのタイヤ空気圧Pf,Prによる補正値Kh'が所定値Kho以下であれば、前記ステップ152にてふたたび「Yes」と判定して、ステップ154,156の処理により、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の状態のランクアップにより、スタビリティファクタKhは順次高められる。また、スタビリティファクタKhが高められた場合には、前記ステップ140の処理により、同高められたスタビリティファクタKhが維持されるように、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力が維持制御される。そして、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満になったり、所定値Gy2以上になった場合には、前述したステップ160,162にてアップフラグUPFを“0”に戻して、その後の動作を上記実施形態と同様にする。
このように動作する変形例においては、車両の旋回初期における回頭性を良好にするために、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16の特性を変更制御してスタビリティファクタKhを低く設定した際にも、この変更制御が是正されて車両の走行安定性が確保される。すなわち、左右前輪のタイヤ空気圧Pfl,Pfrおよび左右後輪のタイヤ空気圧Prl,Prrが適正でなくて、車両の実際のスタビリティファクタ(補正スタビリティファクタKh')が車両の走行安定性を損なう程度に小さくなった場合には、ステップ154,156の処理により、同スタビリティファクタが高められるので、車両の走行安定性が確保される。
なお、前記変形例においては、タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrから補正スタビリティファクタKh'を計算して、同補正スタビリティファクタKh'を用いて前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力を制御して車両の走行安定性を確保するようにした。しかし、前記補正スタビリティファクタKh'を計算しなくても、タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrに基づいて前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力を直接的に制御して車両の走行安定性を確保するようにしてもよい。この場合、タイヤ空気圧Pfl,Pfr,Prl,Prrが適正値からずれている程度に応じて、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力の組合せ状態を切り換え制御するようにすればよい。
次に、上記実施形態または変形例において、車両の低速走行時または悪路走行時に、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力を強制的に小さく保つように変形した変形例について説明する。
この変形例に係る車両においては、図2に破線で示すように、車高(車体の路面からの高さ)を検出するストロークセンサ41が設けられている。また、マイクロコンピュータ30は、図7に示すように図3の一部を変形したメインプログラムを実行する。この図7の変形したプログラムにおいては、上述したステップ104とステップ106の間にステップ170,172の判定処理が挿入されている。
ステップ170においては、車速センサ31から車速Vを入力して、同車速Vが低速を表す所定車速Vo(例えば、20Km/h)以下であるかを判定することにより、車両が低速走行中であるかを判定する。ステップ172においては、ストロークセンサ41によって検出された車高を入力して、同車高の変化状態に応じて車両が悪路を走行中であるかを判定する。なお、図2に破線で示すように、車体の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ42を設けておき、この加速度の変化状態に応じて車両が悪路を走行しているかを判定するようにしてもよい。
さらに、4輪駆動車などにおいては、図2に破線で示すように、変速機のシフトレンジを検出するレンジスイッチ43を設けておき、このレンジスイッチ43の信号により車両の悪路走行を検出するようにしてもよい。すなわち、4輪駆動車においては、通常走行のためのHレンジと、悪路走行のためのLレンジとのいずれかが選択されるレンジ切り換え装置が装着されているものがある。したがって、この場合には、Lレンジが選択されているときに車両が悪路走行中であると判定するようにするとよい。また、たとえHレンジが選択されている場合でも、低速ギヤが選択されている場合には、車両が悪路を走行していると判定してもよい。
車両が低速走行中または悪路走行中であって、ステップ170またはステップ172にて「Yes」と判定されると、ステップ102,104,170(およびステップ160)からなる循環処理またはステップ102,104,170、172(およびステップ160)からなる循環処理が繰返し実行される。その結果、上述した横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定値Gy1未満である場合と同様に、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力は共に小さく設定され続ける(状態値STが「3」に設定され続ける)。これにより、車両が低速走行または悪路走行している状態では、横加速度Gyおよび旋回状態に応じた不適切なロール剛性力の制御を回避して、車両の乗り心地が常に良好に保たれる。
また、車両が低速走行中または悪路走行中でなければ、ステップ170,172にて共に「No」と判定されて、ステップ106以降の上述した処理が実行される。したがって、この場合には、上記実施形態の場合と同様に、横加速度Gyおよび旋回状態に応じて、前輪用および後輪用のスタビライザ16,16のロール剛性力が制御される。
また、上記実施形態および変形例においては、ステップ112の判定処理により、ハンドル回転角θの絶対値|θ|の微分値d|θ|/dtの正負に応じて、車両の旋回初期および旋回終了時期すなわち車両の旋回状態を検出するようにしたが、横加速度Gy、ヨーレートの履歴などから車両の旋回状態を検出するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る車両の前輪用および後輪用のサスペンション装置を共通に示す概略図である。 前記前輪用および後輪用のサスペンション装置におけるスタビライザのロール剛性力を制御するための電気制御装置のブロック図である。 図2のマイクロコンピュータにより実行されるメインプログラムを示すフローチャートである。 図3の横加速度推定ルーチンの詳細を示すフローチャートである。 横加速度とスタビリティファクタとの関係を示すグラフである。 図3のメインプログラムの一部を変形した変形例に係るメインプログラムの一部を示すフローチャートである。 図3のメインプログラムの一部を変形した他の変形例に係るメインプログラムの一部を示すフローチャートである。
符号の説明
11a,11b…サスペンションアーム、12a,12b…ダンパシリンダ、13a,13b…コイルスプリング、14a,14b…車輪、15…車体、16…スタビライザ、20,20A,20B…シリンダユニット、21,21a,21b…油圧シリンダ、22,22a,22b…ピストン、23,23a,23b…ピストンロッド、24a,24b…電磁切り換えバルブ、30…マイクロコンピュータ、31…車速センサ、32…舵角センサ、33a〜33d…空気圧センサ、41…ストロークセンサ、42…上下加速度センサ、43…レンジスイッチ。

Claims (2)

  1. 前輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第1のロール剛性力可変手段と、後輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第2のロール剛性力可変手段と、前記第1および第2のロール剛性力可変手段をそれぞれ制御して前記前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザを所望状態に設定するロール剛性力制御手段とからなる車両のスタビライザ装置を備えた車両に適用されて、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前輪操舵角θを検出する舵角検出手段と、
    車両の横加速度Gyを計算するための下記演算式1に利用される係数k 1 、k 2 を前記前輪側スタビライザおよび前記後輪側スタビライザの設定状態に応じてそれぞれ決定する係数決定手段と、
    前記決定された係数k 1 、k 2 、前記検出された車速Vおよび前記検出された前輪操舵角θを用いるとともに、前記検出された前輪操舵角θの時間微分値をdθ/dtとして、下記演算式1に基づいて車両の横加速度Gyを計算する横加速度計算手段とを備えたことを特徴とする横加速度検出装置。
    Gy=k 1 ・θ・V+k 2 ・(dθ/dt)・V …式1
  2. 前輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第1のロール剛性力可変手段と、後輪側スタビライザのロール剛性力を変更可能な第2のロール剛性力可変手段と、前記第1および第2のロール剛性力可変手段をそれぞれ制御して前記前輪側スタビライザおよび後輪側スタビライザを所望状態に設定するロール剛性力制御手段とからなる車両のスタビライザ装置を備えた車両に適用されて、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前輪操舵角θを検出する舵角検出手段と、
    車両の横加速度Gyを計算するための下記演算式2に利用される係数k 1 、k 2 を前記前輪側スタビライザおよび前記後輪側スタビライザの設定状態に応じてそれぞれ決定する係数決定手段と、
    前記決定された係数k 1 、k 2 、前記検出された車速Vおよび前記検出された前輪操舵角θを用いるとともに、前記前輪側スタビライザおよび前記後輪側スタビライザの設定状態に応じて決定されるまたは予め決められた係数をk 3 とし、かつ前記検出された前輪操舵角θの時間微分値をdθ/dtとして、下記演算式2に基づいて車両の横加速度Gyを計算する横加速度計算手段とを備えたことを特徴とする横加速度検出装置。
    Gy=k 1 ・θ・V+k 2 ・(dθ/dt)・V+k 3 ・V …式2
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