JP2006089005A - 車両挙動制御装置 - Google Patents

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聡 鈴木
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Abstract

【課題】 走行フィーリングを低下させることなく車両の挙動を安定化させる車両挙動制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 前輪のロール剛性を調節する前輪ロール剛性調節手段30と、後輪のロール剛性を調節する後輪ロール剛性調節手段31と、前輪のロール剛性及び後輪のロール剛性を制御するロール剛性制御手段10と、車両のオーバステアの程度を示すスピン状態量を演算するスピン状態量演算手段11と、車両のアンダステアの程度を示すドリフト状態量を演算するドリフト状態量演算手段11とを備え、ロール剛性制御手段10は、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御又は後輪のロール剛性を減少制御し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御又は前輪のロール剛性を減少制御することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の挙動を安定化するためにロール剛性を制御する車両挙動制御装置に関する。
近年、車両の挙動を安定させるために、車両のヨーレートをブレーキ力や駆動力で制御するヨーコントロール装置が搭載された車両がある(特許文献1参照)。また、走行状況に応じて前輪及び後輪のロール剛性を制御するアクティブスタビライザ装置が搭載された車両もある(特許文献2、3参照)。
特開平8−318841号公報 特開平1−101215号公報 特開平9−156338号公報
しかしながら、ヨーコントロール装置では車両の挙動を安定化させるためにブレーキ力や駆動力を車両側で可変制御するので、車両ではドライバのアクセル操作に応じた加減速とならない場合がある。そのため、ドライバが受ける走行フィーリングが低下し、ドライバに不快感を与える可能性がある。
そこで、本発明は、走行フィーリングを低下させることなく車両の挙動を安定化させる車両挙動制御装置を提供することを課題とする。
本発明に係る車両挙動制御装置は、前輪のロール剛性を調節する前輪ロール剛性調節手段と、後輪のロール剛性を調節する後輪ロール剛性調節手段と、前輪のロール剛性及び後輪のロール剛性を制御するロール剛性制御手段と、車両のオーバステアの程度を示すスピン状態量を演算するスピン状態量演算手段と、車両のアンダステアの程度を示すドリフト状態量を演算するドリフト状態量演算手段とを備え、ロール剛性制御手段は、スピン状態量演算手段で演算したスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御又は後輪のロール剛性を減少制御し、ドリフト状態量演算手段で演算したドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御又は前輪のロール剛性を減少制御することを特徴とする。
この車両挙動制御装置では、スピン状態量演算手段によりスピン状態量を演算するとともに、ドリフト状態量演算手段によりドリフト状態量を演算する。そして、この制御装置では、ロール剛性制御手段によりスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上になったと判定すると前輪のロール剛性を増加制御又は後輪のロール剛性を減少制御し、前輪ロール剛性調節手段によりロール剛性を増加又は後輪ロール剛性調節手段によりロール剛性を減少させる。その結果、車両では、前後輪のロール剛性配分において前輪側が大きくなり、アンダステア特性が作用する。そのため、スピン状態量が大きくオーバステア状態であった車両がスピン側に移行することなく、ニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。また、この制御装置では、ロール剛性制御手段によりドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上になったと判定すると後輪のロール剛性を増加制御又は前輪のロール剛性を減少制御し、後輪ロール剛性調節手段によりロール剛性を増加又は前輪ロール剛性調節手段によりロール剛性を減少させる。その結果、車両では、前後輪のロール剛性配分において後輪側が大きくなり、オーバステア特性が作用する。そのため、ドリフト状態量が大きくアンダステア状態であった車両がドリフトアウト側に移行することなく、ニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。このように、この車両挙動制御装置が搭載された車両では、加減速制御ではなく、ロール剛性制御によって車両の挙動を安定化させるので、走行フィーリングが低下することなく、ドライバに不快感を与えない。つまり、車両の挙動を安定化させるためにブレーキ力や駆動力を変化させないので、ドライバのアクセル操作に反した加減速制御を行う必要がない。
本発明の上記車両挙動制御装置では、車両のヨーレートを制御するヨー制御手段と、ロール剛性制御手段とヨー制御手段との間の通信を行う通信手段とを備え、スピン状態量演算手段及びドリフト状態量演算手段はヨー制御手段に含まれ、通信手段によりヨー制御手段からスピン状態量及びドリフト状態量をロール剛性制御手段に送信する構成としてもよい。
この車両挙動制御装置では、ヨー制御手段でスピン状態量及びドリフト状態量を演算し、そのスピン状態量及びドリフト状態量を通信手段を介してロール剛性制御手段に送信する。このように、この制御装置では、ヨー制御手段でヨーレートを制御するために演算している各状態量を有効利用することができるので、ロール剛性制御手段側で各状態量を演算する必要がない。
また、本発明に係る車両挙動制御装置は、走行中の車両のステア状態を検知するステア状態検知手段と、ステア状態検知手段で検知したステア状態に基づいて車両のロール特性を制御するロール特性制御手段と、ロール特性制御手段による制御に応じて車両のロール特性を調節するロール特性調節手段とを備えることを特徴する。
この車両挙動制御装置では、ステア状態検知手段により走行中の車両のステア状態を検知する。ステア状態は、アンダステア状態やオーバステア状態等の車両の挙動を示す状態である。そして、この制御装置では、ロール特性制御手段により検知したステア状態に基づいて車両の挙動が安定化するように車両のロール特性を制御し、その制御に応じてロール特性調節手段により車両のロール特性を調節する。その結果、車両におけるロール特性が変化し、ステア状態がニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。このように、この車両挙動制御装置が搭載された車両では、加減速制御ではなく、ロール特性制御によって車両の挙動を安定化させるので、走行フィーリングが低下することなく、ドライバに不快感を与えない。
本発明の上記車両挙動制御装置では、ロール特性調節手段は、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性を各々調節可能であると好適である。
この車両挙動制御装置では、ロール特性調節手段により前輪のロール剛性と後輪のロール剛性を各々調節可能であり、前輪のロール剛性及び後輪のロール剛性を増減することによりロール特性を自在に調節することができる。
本発明の上記車両挙動制御装置では、ロール特性制御手段は、ステア状態検知手段で検知したステア状態がオーバステア状態の場合、前輪のロール剛性が後輪のロール剛性より相対的に大きくなるように制御するようにしてもよい。
この車両挙動制御装置では、検知したステア状態がオーバステア状態の場合、ロール特性制御手段により前輪のロール剛性が後輪のロール剛性より相対的に大きくなるように前輪のロール剛性を増加制御又は/及び後輪のロール剛性を減少制御し、ロール特性調節手段により前輪のロール剛性を増加又は/及び後輪のロール剛性を減少させる。その結果、前輪のロール剛性配分が大きくなり、オーバステア状態であった車両がスピン側に移行することなく、ニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
本発明の上記車両挙動制御装置では、ロール特性制御手段は、ステア状態検知手段で検知したステア状態がアンダステア状態の場合、後輪のロール剛性が前輪のロール剛性より相対的に大きくなるように制御するようにしてもよい。
この車両挙動制御装置では、検知したステア状態がアンダステア状態の場合、ロール特性制御手段により後輪のロール剛性が前輪のロール剛性より相対的に大きくなるように前輪のロール剛性を減少制御又は/及び後輪のロール剛性を増加制御し、ロール特性調節手段により前輪のロール剛性を減少又は/及び後輪のロール剛性を増加させる。その結果、後輪のロール剛性配分が大きくなり、アンダステア状態であった車両がドリフトアウト側に移行することなく、ニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
本発明によれば、ロール特性を制御することによって車両の挙動を安定化させるので、走行フィーリングの低下を抑制できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る車両挙動制御装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る車両挙動制御装置を、ヨーコントロール装置及びアクティブスタビライザ装置を搭載した車両またはヨーコントロール装置、アクティブスタビライザ装置及び減衰力制御装置を搭載した車両に構成される車両挙動制御装置に適用する。本実施の形態に係る車両挙動制御装置は、ヨーコントロール装置のECU[Electronic Control Unit]とアクティブスタビライザ装置のECUを備え、この2つのECU間ではCAN[Controller Area Network](車内LANの標準インターフェース規格)通信で情報を送受信するか、さらに、減衰力制御装置のECUを備え、このECUとアクティブスタビライザ装置のECU間ではCAN通信で情報を送受信する。本実施の形態には、6つの形態があり、第1〜第3の実施の形態が減衰力制御装置を備えない車両挙動制御装置であり、第4〜第6の実施の形態が減衰力制御装置を備える車両挙動制御装置であり、第1の実施の形態がオーバステア状態及びアンダステア状態の場合にアクティブスタビライザ装置側で車両の挙動を安定化を行う形態であり、第2の実施の形態がオーバステア状態の場合だけアクティブスタビライザ装置側で車両の挙動の安定化を行う形態であり、第3の実施の形態がアンダステア状態の場合だけアクティブスタビライザ装置側で車両の挙動の安定化を行う形態であり、第4の実施の形態がオーバステア状態及びアンダステア状態の場合にアクティブスタビライザ装置側及び減衰力制御装置側で車両の挙動を安定化を行う形態であり、第5の実施の形態がオーバステア状態の場合だけアクティブスタビライザ装置側及び減衰力制御装置側で車両の挙動の安定化を行う形態であり、第6の実施の形態がアンダステア状態の場合だけアクティブスタビライザ装置側及び減衰力制御装置側で車両の挙動の安定化を行う形態である。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1について説明する。図1は、第1〜第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置の構成図である。図2は、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。図3は、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。
車両挙動制御装置1は、前後輪のロール剛性配分を調節することによって、強いオーバステア状態や強いアンダステア状態を抑え、車両の挙動を安定化させる。そのために、車両挙動制御装置1は、アクティブスタビライザECU10とヨーコントロールECU11を備え、2つのECU10,11間をCAN通信12で相互通信することによって構成される。さらに、アクティブスタビライザECU10は、入力側に横加速度センサ20を備え、出力側に前輪ロール剛性可変アクチュエータ30及び後輪ロール剛性可変アクチュエータ31を備える。また、ヨーコントロールECU11は、入力側に横加速度センサ20、車速センサ21、舵角センサ22及びヨーレートセンサ23を備え、出力側に左前輪ブレーキ力可変アクチュエータ32、右前輪ブレーキ力可変アクチュエータ33、左後輪ブレーキ力可変アクチュエータ34及び右後輪ブレーキ力可変アクチュエータ35を備える。したがって、車両に搭載されているアクティブコントロール装置、ヨーコントロール装置のECU10,11、センサ20〜23、アクチュエータ30,31及びCAN通信12を利用し、各ECU10,11のソフトウエアを追加することによって、車両挙動制御装置1を簡単に構成することができる。
なお、第1の実施の形態では、アクティブスタビライザECU10が特許請求の範囲に記載するロール剛性制御手段に相当し、ヨーコントロールECU11が特許請求の範囲に記載するヨー制御手段(スピン状態量演算手段、ドリフト状態量演算手段)に相当し、CAN通信12が特許請求の範囲に記載する通信手段に相当し、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30が特許請求の範囲に記載する前輪ロール剛性調節手段に相当し、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31が特許請求の範囲に記載する後輪ロール剛性調節手段に相当する。
横加速度センサ20は、車両の左右方向にかかる加速度を検出するセンサであり、その検出値を横加速度信号GSとしてアクティブスタビライザECU10及びヨーコントロールECU11に送信する。車速センサ21は、車両の速度を検出するセンサであり、その検出値を車速信号SSとしてヨーコントロールECU11に送信する。舵角センサ22は、ステアリングの操舵角を検出するセンサであり、その検出値を舵角信号ASとしてヨーコントロールECU11に送信する。ヨーレートセンサ23は、車両のヨーレート(回転角速度)を検出するセンサであり、その検出値をヨーレート信号YSとしてヨーコントロールECU11に送信する。
各ロール剛性可変アクチュエータ30,31は、前後輪の各スタビライザのトーションバーの捩れ量を各々変化させるアクチュエータである。各ロール剛性可変アクチュエータ30,31では、アクティブスタビライザECU10から前輪ロール剛性信号FRS、後輪ロール剛性信号RRSが送信され、各信号FRS,RRSに応じて前後輪の各スタビライザの捩れ量を変化させ、前後輪のロール剛性を各々調節する。各ブレーキ力可変アクチュエータ32〜35は、4輪の各ホイールシリンダの油圧を各々変化させるアクチュエータである。各ブレーキ力可変アクチュエータ32〜35では、ヨーコントロールECU11から左前輪ブレーキ力信号LFBS、右前輪ブレーキ力信号RFBS、左後輪ブレーキ力信号LRBS、右後輪ブレーキ力信号RRBSが送信され、各信号LFBS,RFBS,LRBS,RRBSに応じて4輪の各ホイールシリンダの油圧を変化させ、4輪のブレーキ力を各々調節する。
ヨーコントロールECU11は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなる電子制御ユニットであり、ヨーコントロール装置の制御装置として機能するとともに車両挙動制御装置1としても機能する。ヨーコントロールECU11では、横加速度センサ20、車速センサ21、舵角センサ22、ヨーレートセンサ23からの横加速度信号GS、車速信号SS、舵角信号AS、ヨーレート信号YSを各々取り入れ、車両の挙動を安定化させるための制御を行う。ちなみに、車両の挙動の安定化させるための制御としては、ヨーコントロールECU11によるブレーキ力制御を行う前に、アクティブスタビライザECU10によるロール剛性制御を行う。このロール剛性制御によって車両の挙動を安定化させることができなかった場合、スピンやドリフトアウトといった状態を回避するために、ブレーキ力制御を行う。
ヨーコントロールECU11では、検出した横加速度、車速、舵角に基づいて推定ヨーレートを演算する。オーバステアが強くなるほど、推定ヨーレートに比べて実際のヨーレートが大きくなるので、ヨーコントロールECU11では、実際のヨーレートから推定ヨーレートを減算し、その減算値をスピン状態量とする。スピン状態量は、オーバステアの程度を示す量であり、0のときがグリップ状態であり、量が大きくなるほどオーバステアが強くなり、ある量を超えるとスピン状態となる。また、アンダステア傾向が強くなるほど、推定ヨーレートに比べて実際のヨーレートが小さくなるので、ヨーコントロールECU11では、推定ヨーレートから実際のヨーレートを減算し、その減算値をドリフト状態量とする。ドリフト状態量は、アンダステアの程度を示す量であり、0のときがグリップ状態であり、量が大きくなるほどアンダステアが強くなり、ある量を超えるとドリフトアウト状態となる。そして、ヨーコントロールECU11では、この演算したスピン状態量、ドリフト状態量をスピン状態量信号SSS、ドリフト状態量信号DSSとしてCAN通信12を介してアクティブスタビライザECU10に送信する。
さらに、ヨーコントロールECU11では、スピン状態量とスピン側ブレーキ力閾値とを比較し、スピン状態量がスピン側ブレーキ力閾値以上になると、推定ヨーレートと検出した実際のヨーレートとの差を0にするための各輪のブレーキ力信号LFBS,RFBS,LRBS,RRBSを各々設定し、各輪のブレーキ力可変アクチュエータ32〜35に各々送信する。スピン側ブレーキ力閾値は、スピン状態になる前の非常に強いオーバステア状態を示すスピン状態量が設定される(図2参照)。
また、ヨーコントロールECU11では、ドリフト状態量とドリフト側ブレーキ力閾値とを比較し、ドリフト状態量がドリフト側ブレーキ力閾値以上になると、推定ヨーレートと検出した実際のヨーレートとの差を0にするための各輪のブレーキ力信号LFBS,RFBS,LRBS,RRBSを各々設定し、各輪のブレーキ力可変アクチュエータ32〜35に各々送信する。ドリフト側ブレーキ力閾値は、ドリフトアウト状態になる前の非常に強いアンダステア状態を示すドリフト状態量が設定される(図3参照)。
アクティブスタビライザECU10は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、アクティブスタビライザ装置の制御装置として機能するとともに車両挙動制御装置1としても機能する。
アクティブスタビライザECU10では、横加速度センサ20からの横加速度信号GSを取り入れ、車両に作用する横加速度によって車両に発生するロールを抑制するための制御を行う。つまり、アクティブスタビライザECU10では、検出した横加速度の大きさと方向に応じてその横加速度を抑えるために必要なスタビライザの捩れ剛性力を発生させる前輪ロール剛性信号FRS、後輪ロール剛性信号RRSを各々設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する。
さらに、アクティブスタビライザECU10では、ヨーコントロールECU11からCAN通信12を介してスピン状態量信号SSS、ドリフト状態量信号DSSを各々取り入れ、強オーバステア状態又は強アンダステア状態から車両の挙動を安定させるための車両挙動安定化制御を行う。この車両挙動安定化制御について、以下で詳細に説明する。
アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量とスピン側ロール剛性閾値とを比較し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上になると、前輪のロール剛性を増加させるための前輪ロール剛性信号FRSを設定し、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30に送信する。そして、アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量がスピン側ブレーキ力閾値を超えない範囲で前輪のロール剛性増加制御を行う。前輪のロール剛性の増加量としては、スピン状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。また、スピン側ロール剛性閾値は、強いオーバステア状態を示すスピン状態量であり、従来のヨーコントロール装置において強いオーバステア状態にあることを示す(ひいては、スピンを回避するための)警報を発する際の閾値より少し大きい程度の値に設定される(図2参照)。ちなみに、スピン側ロール剛性閾値を、その警報を発する際の閾値より少し小さい程度の値に設定してもよい。
アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量とドリフト側ロール剛性閾値とを比較し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上になると、後輪のロール剛性を増加させるための後輪ロール剛性信号RRSを設定し、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31に送信する。そして、アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量がドリフト側ブレーキ力閾値を超えない範囲で後輪のロール剛性増加制御を行う。後輪のロール剛性の増加量としては、ドリフト状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。また、ドリフト側ロール剛性閾値は、強いアンダステア状態を示すドリフト状態量であり、従来のヨーコントロール装置において強いアンダステア状態であることを示す(ひいては、ドリフトアウトを回避するための)警報を発する際の閾値より少し大きい程度の値に設定される(図3参照)。ちなみに、ドリフト側ロール剛性閾値を、その警報を発する際の閾値より少し小さい程度の値に設定してもよい。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU10における処理については図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。
ヨーコントロールECU11では、横加速度、車速、舵角から推定ヨーレートを演算し、この推定ヨーレートと実際のヨーレートからスピン状態量及びドリフト状態量を算出する。そして、ヨーコントロールECU11では、そのスピン状態量、ドリフト状態量をスピン状態量信号SSS、ドリフト状態量信号DSSとしてCAN通信12を介してアクティブスタビライザECU10に送信する。
アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量信号SSSを受信し、スピン状態量を読み込む(S1)。また、アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量信号DSSを受信し、ドリフト状態量を読み込む(S2)。
続いて、アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上か否かを判定する(S3)。そして、アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満と判定した場合、S5の処理に移行する。
一方、アクティブスタビライザECU10では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いオーバステア状態の場合)、前輪のロール剛性を増加させるための前輪ロール剛性信号FRSを設定し、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30に送信する(S4)。すると、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30では、前輪ロール剛性信号FRSに応じて前輪のスタビライザのロール剛性を増加させる。その結果、車両における前後輪のロール剛性配分において前輪側のロール剛性が大きくなる。この前輪側を強くしたロール剛性配分により、車両ではアンダステア特性となり、強いオーバステア状態にあった車両が徐々にニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
続いて、アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上か否かを判定する(S5)。そして、アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満と判定した場合、処理を終了する。
一方、アクティブスタビライザECU10では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いアンダステア状態の場合)、後輪のロール剛性を増加させるための後輪ロール剛性信号RRSを設定し、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31に送信する(S6)。すると、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31では、後輪ロール剛性信号RRSに応じて後輪のスタビライザのロール剛性を増加させる。その結果、車両における前後輪のロール剛性配分において後輪側のロール剛性が大きくなる。この後輪側を強くしたロール剛性配分により、車両ではオーバステア特性となり、強いアンダステア状態にあった車両が徐々にニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
ちなみに、この車両挙動制御装置1によるロール剛性制御によって強いオーバステア状態あるいは強いアンダステア状態が改善されずに非常に強いオーバステア状態あるいは非常に強いアンダステア状態に移行した場合でも、ヨーコントロール装置によるブレーキ力制御によってスピン状態あるいはドリフトアウト状態を回避することができる。
この車両挙動制御装置1によれば、前後輪のロール剛性を調節することによって車両にアンダステア特性やオーバステア特性を作用させ、車両の挙動を安定化させる。特に、車両挙動制御装置1によれば、ブレーキ力制御を行う前にロール剛性制御を行うので、車両の挙動を安定化させるための減速制御の頻度を抑えることができ、減速制御による走行フィーリングの低下を抑制する。また、車両挙動制御装置1は、車両に搭載されるヨーコントロール装置及びアクティブスタビライザ装置並びにCAN通信を利用することによって簡単に装置を構成することができ、ヨーコントロールECU11で演算したスピン状態量やドリフト状態量をアクティブスタビライザECU10でも有効利用できる。
次に、図1及び図5を参照して、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置41について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。車両挙動制御装置41では、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
車両挙動制御装置41は、車両挙動制御装置1と同様の装置であるが、アクティブスタビライザECU50における制御が異なる。車両挙動制御装置41では前輪のロール剛性と後輪のロール剛性との合計値が一定であり、アクティブスタビライザECU50では、前後輪のロール剛性配分を変化させる制御を行う。また、アクティブスタビライザECU50では、ヨーコントロールECU11からCAN通信12を介してスピン状態量信号SSSを取り入れ、強いオーバステア状態の場合に車両の挙動を安定させるための車両挙動安定化制御を行う。
なお、第2の実施の形態では、アクティブスタビライザECU50が特許請求の範囲に記載するロール特性制御手段に相当し、ヨーコントロールECU11、横加速度センサ20、車速センサ21、舵角センサ22及びヨーレートセンサ23が特許請求の範囲に記載するステア状態検知手段に相当し、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30及び後輪ロール剛性可変アクチュエータ31が特許請求の範囲に記載するロール特性調節手段に相当する。
アクティブスタビライザECU50では、検出した横加速度の大きさと方向に応じてその横加速度を抑える前後輪のロール剛性配分を設定する。そして、アクティブスタビライザECU50では、設定したロール剛性配分と前後輪のロール剛性の一定値とに基づいて前輪ロール剛性信号FRS、後輪ロール剛性信号RRSを各々設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する。
アクティブスタビライザECU50では、スピン状態量とスピン側ロール剛性閾値とを比較し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上になると、前輪側を後輪側より大きくしたロール剛性配分を設定する。そして、アクティブスタビライザECU50では、その設定したロール剛性配分と前後輪のロール剛性の一定値とに基づいて前輪のロール剛性を増加させるための前輪ロール剛性信号FRS及びを後輪のロール剛性を減少させるための後輪ロール剛性信号RRSを設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する。アクティブスタビライザECU50では、この前輪ロール剛性配分アップ制御を、従来のヨーコントロール装置において強いオーバステア状態にあることを示す警報を開始するときより少し大きい程度のスピン状態量のときに開始し、スピン状態量がスピン側ブレーキ力閾値を超えない範囲で行う(図5参照)。前輪側のロール剛性配分のアップ量としては、スピン状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
図1及び図5を参照して、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置41の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU50における処理については図6のフローチャートに沿って説明する。図6は、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。
ヨーコントロールECU11では、スピン状態量を算出し、そのスピン状態量をスピン状態量信号SSSとしてCAN通信12を介してアクティブスタビライザECU50に送信する。
アクティブスタビライザECU50では、スピン状態量信号SSSを受信し、スピン状態量を読み込む(S11)。続いて、アクティブスタビライザECU50では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上か否かを判定する(S12)。そして、アクティブスタビライザECU50では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満と判定した場合、処理を終了する。
一方、アクティブスタビライザECU50では、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いオーバステア状態の場合)、前輪のロール剛性配分をアップさせるための前輪ロール剛性信号FRS及び後輪ロール剛性信号RRSを設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する(S13)。すると、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30では前輪ロール剛性信号FRSに応じて前輪のスタビライザのロール剛性を増加させ、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31では後輪ロール剛性信号RRSに応じて後輪のスタビライザのロール剛性を減少させる。その結果、前後輪のロール剛性の合計値が一定に保持されたまま、車両のロール剛性配分が後輪より前輪が大きくなる。この前輪側をアップさせたロール剛性配分により、車両ではアンダステア特性となり、強いオーバステア状態にあった車両が徐々にニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
この車両挙動制御装置41によれば、強いオーバステア状態の場合には前輪ロール剛性配分をアップ制御することによって車両にアンダステア特性を作用させ、車両の挙動を安定化させる。車両挙動制御装置41でも、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1と同様に、車両の挙動を安定化させるための減速制御による走行フィーリングの低下を抑制できるとともに、簡単に装置を構成することができ、ヨーコントロールECU11で演算したスピン状態量をアクティブスタビライザECU50でも有効利用できる。
次に、図1及び図7を参照して、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置61について説明する。図7は、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。車両挙動制御装置61では、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
車両挙動制御装置61は、車両挙動制御装置1と同様の装置であるが、アクティブスタビライザECU70における制御が異なる。車両挙動制御装置61でも前輪のロール剛性と後輪のロール剛性との合計値が一定であり、アクティブスタビライザECU70では、第2の実施の形態に係るアクティブスタビライザECU50と同様に、前後輪のロール剛性配分を変化させる制御を行う。また、アクティブスタビライザECU70では、ヨーコントロールECU11からCAN通信12を介してドリフト状態量信号DSSを取り入れ、強いアンダステア状態の場合に車両の挙動を安定させるための車両挙動安定化制御を行う。
なお、第3の実施の形態では、アクティブスタビライザECU70が特許請求の範囲に記載するロール特性制御手段に相当し、ヨーコントロールECU11、横加速度センサ20、車速センサ21、舵角センサ22及びヨーレートセンサ23が特許請求の範囲に記載するステア状態検知手段に相当し、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30及び後輪ロール剛性可変アクチュエータ31が特許請求の範囲に記載するロール特性調節手段に相当する。
アクティブスタビライザECU70では、ドリフト状態量とドリフト側ロール剛性閾値とを比較し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上になると、後輪側を前輪側より大きくしたロール剛性配分を設定する。そして、アクティブスタビライザECU70では、その設定したロール剛性配分と前後輪のロール剛性の一定値とに基づいて前輪のロール剛性を減少させるための前輪ロール剛性信号FRS及びを後輪のロール剛性を増加させるための後輪ロール剛性信号RRSを設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する。アクティブスタビライザECU70では、後輪ロール剛性配分アップ制御を、従来のヨーコントロール装置において強いアンダステア状態にあることを示す警報を開始するときより少し大きい程度のドリフト状態量のときに開始し、ドリフト状態量がドリフト側ブレーキ力閾値を超えない範囲で行う(図7参照)。後輪側のロール剛性配分のアップ量としては、ドリフト状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
図1及び図7を参照して、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置61の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU70における処理については図8のフローチャートに沿って説明する。図8は、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。
ヨーコントロールECU11では、ドリフト状態量を算出し、そのドリフト状態量をドリフト状態量信号DSSとしてCAN通信12を介してアクティブスタビライザECU70に送信する。
アクティブスタビライザECU70では、ドリフト状態量信号DSSを受信し、ドリフト態量を読み込む(S21)。続いて、アクティブスタビライザECU70では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上か否かを判定する(S22)。そして、アクティブスタビライザECU70では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満と判定した場合、処理を終了する。
一方、アクティブスタビライザECU70では、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いアンダステア状態の場合)、後輪のロール剛性配分をアップさせるための前輪ロール剛性信号FRS及び後輪ロール剛性信号RRSを設定し、各ロール剛性可変アクチュエータ30,31に各々送信する(S23)。すると、前輪ロール剛性可変アクチュエータ30では前輪ロール剛性信号FRSに応じて前輪のスタビライザのロール剛性を減少させ、後輪ロール剛性可変アクチュエータ31では後輪ロール剛性信号RRSに応じて後輪のスタビライザのロール剛性を増加させる。その結果、前後輪のロール剛性の合計値が一定に保持されたまま、車両のロール剛性配分が前輪より後輪が大きくなる。この後輪側をアップさせたロール剛性配分により、車両ではオーバステア特性となり、強いアンダステア状態にあった車両が徐々にニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
この車両挙動制御装置61によれば、強いアンダステア状態の場合には後輪ロール剛性配分をアップ制御することによって車両にオーバステア特性を作用させ、車両の挙動を安定化させる。車両挙動制御装置61でも、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1と同様に、車両の挙動を安定化させるための減速制御による走行フィーリングの低下を抑制できるとともに、簡単に装置を構成することができ、ヨーコントロールECU11で演算したドリフト演算量をアクティブスタビライザECU70で有効利用できる。
次に、図9〜図11を参照して、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置81について説明する。図9は、第4〜第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置の構成図である。図10は、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。図11は、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。なお、車両挙動制御装置81では、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
車両挙動制御装置81は、車両挙動制御装置1に対して減衰力制御装置を更に備えており、前後輪のロール剛性配分の調節に加えて前後輪のサスペンションの減衰力を調節することによって、車両の挙動を安定化させる。そのために、車両挙動制御装置81は、車両挙動制御装置1の各構成を備える上に、アクティブスタビライザECU90と協働して制御を行う減衰力制御ECU91を備え、2つのECU90,91間をCAN通信12で相互通信することによって構成される。さらに、減衰力制御ECU91は、出力側に左前輪減衰力力可変アブソーバ36、右前輪減衰力可変アブソーバ37、左後輪減衰力可変アブソーバ38及び右後輪減衰力可変アブソーバ39を備える。なお、第4の実施の形態では、アクティブスタビライザECU90が特許請求の範囲に記載するロール剛性制御手段に相当する。
各減衰力可変アブソーバ36〜39は、4輪の各サスペンションに設けられ、減衰力を変化させることが可能なショックアブソーバである。各減衰力可変アブソーバ36〜39では、減衰力制御ECU91から左前輪減衰力信号LFDS、右前輪減衰力信号RFDS、左後輪減衰力信号LRDS、右後輪減衰力信号RRDSが送信され、各信号LFDS,RFDS,LRDS,RRDSに応じて4輪の各減衰力を変化させる。例えば、ショックアブソーバの構造としてオイルで満たされたシリンダ内を移動するピストンにオリフィスが設けられている場合、オリフィスの大きさを変化させる機構が備えられ、このオリフィスの大きさを調節することによって減衰力を変化させる。
減衰力制御ECU91は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、減衰力制御装置の制御装置として機能するとともに車両挙動制御装置81としても機能する。減衰力制御ECU91では、各種センサからの検出信号やドライバが入力したスイッチ信号等を取り入れ、サスペンションの減衰力の制御を行う。一般に、高速走行やスポーツ走行では減衰力を大きくして車体の姿勢の変化を抑えるほうが車両が安定し、市街地走行などの低速走行では減衰力を小さくしたほうが乗り心地が良くなる。
減衰力制御ECU91では、各種センサの検出値に基づいて走行状態を判断し、走行状態に応じて減衰力のモード(例えば、ノーマルモード、高速モード)を設定する。そして、減衰力制御ECU91では、その設定したモードに応じて各輪の減衰力信号LFDS,RFDS,LRDS,RRDSを各々設定し、各輪の減衰力可変アブソーバ36〜39に各々送信する。また、減衰力制御ECU91では、ドライバによって設定された減衰力のモード(例えば、ノーマルモード、ハードモード、ソフトモード)に応じて各輪の減衰力信号LFDS,RFDS,LRDS,RRDSを各々設定し、各輪の減衰力可変アブソーバ36〜39に各々送信する。ちなみに、ノーマルモードでは市街地走行などで通常使用される基準となる減衰力に調節され、ハードモードや高速モードではノーマルモードより減衰力を増加させた大きな減衰力に調節され、ソフトモードではノーマルモードより減衰力を減少させた小さな減衰力に調節される。
さらに、減衰力制御ECU91では、アクティブスタビライザECU90から減衰力モード信号を取り入れ、強オーバステア状態又は強アンダステア状態から車両の挙動を安定させるための車両挙動安定化制御を行う。減衰力制御ECU91では、減衰力モード信号が送信されると、その減衰力モード信号に示されるモードと減衰力の増減量に応じて各輪の減衰力信号LFDS,RFDS,LRDS,RRDSを各々設定し、各輪の減衰力可変アブソーバ36〜39に各々送信する。
具体的には、前輪減衰力ノーマルモードの場合、減衰力制御ECU91では、前輪のサスペンションがノーマルモードの減衰力になるように前輪の減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。後輪減衰力ノーマルモードの場合、減衰力制御ECU91では、後輪のサスペンションがノーマルモードの減衰力になるように後輪の減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。前輪減衰力増加モードの場合、減衰力制御ECU91では、減衰力モード信号に示される前輪減衰力の増加量に従って前輪のサスペンションの減衰力を増加させるために前輪の減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。後輪減衰力増加モードの場合、減衰力制御ECU91では、減衰力モード信号に示される後輪減衰力の増加量に従って後輪のサスペンションの減衰力を増加させるために後輪の減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。
アクティブスタビライザECU90は、第1の実施の形態に係るアクティブスタビライザECU10と同様の制御を行う上に、減衰力制御ECU91において車両挙動安定化制御を行わせるために減衰力モード信号を設定する。
具体的には、アクティブスタビライザECU90では、スピン状態量とスピン側ロール剛性閾値とを比較し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満の場合には前輪のサスペンションの減衰力をノーマルとするための前輪減衰力ノーマルモードを示す減衰力モード信号を設定し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上になると前輪のサスペンションの減衰力を増加させるための前輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU91に送信する。この際、アクティブスタビライザECU90では、スピン状態量がスピン側ブレーキ力閾値を超えない範囲で前輪減衰力増加モードを設定する。前輪の減衰力の増加量としては、スピン状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
また、アクティブスタビライザECU90では、ドリフト状態量とドリフト側ロール剛性閾値とを比較し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満の場合には後輪のサスペンションの減衰力をノーマルとするための後輪減衰力ノーマルモードを示す減衰力モード信号を設定し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上になると後輪のサスペンションの減衰力を増加させるための後輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU91に送信する。この際、アクティブスタビライザECU90では、ドリフト状態量がドリフト側ブレーキ力閾値を超えない範囲で後輪減衰力増加モードを設定する。後輪の減衰力の増加量としては、ドリフト状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
図9〜図11を参照して、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置81の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU90における処理については図12のフローチャートに沿って説明する。図12は、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。なお、図12に示すフローチャートでは、第1の実施の形態に係る図4のフローチャートと同様の処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
アクティブスタビライザECU90では、S3の判定でスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満と判定した場合、減衰力モード信号に前輪減衰力ノーマルモードを設定し、減衰力制御ECU91に送信し(S31)、S5の処理に移行する。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU91では、前輪のサスペンションがノーマルの減衰力になるように減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。減衰力可変アブソーバ36,37では、減衰力をノーマルモードに調節する。
一方、アクティブスタビライザECU90では、S3の判定でスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いオーバステア状態の場合)、前輪ロール剛性増加制御を行うとともに(S4)、前輪のサスペンションの減衰力を増加させるための前輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU91に送信する(S32)。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU91では、前輪のサスペンションの減衰力を減衰力モード信号に示される増加量分増加させるために減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。減衰力可変アブソーバ36,37では、減衰力信号LFDS,RFDSに示される増加量に応じて減衰力を増加させる。その結果、前輪のサスペンションの減衰力の増加によって、前輪側のロール剛性を増加させる作用が働く(前輪側の過渡的なロール剛性を増加できる)。前輪のスタビライザのロール剛性の増加に加えて前輪のサスペンションの減衰力増加による作用により、車両ではアンダステア特性となり、強いオーバステア状態にあった車両がニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
続いて、アクティブスタビライザECU90では、S5の判定でドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満と判定した場合、減衰力モード信号に後輪減衰力ノーマルモードを設定し、減衰力制御ECU91に送信し(S33)、処理を終了する。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU91では、後輪のサスペンションがノーマルの減衰力になるように減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。減衰力可変アブソーバ38,39では、減衰力をノーマルモードに調節する。
一方、アクティブスタビライザECU90では、S5の判定でドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いアンダステア状態の場合)、後輪ロール剛性増加制御を行うとともに(S6)、後輪のサスペンションの減衰力を増加させるための後輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU91に送信する(S34)。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU91では、後輪のサスペンションの減衰力を減衰力モード信号に示される増加量分増加させるために減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。減衰力可変アブソーバ38,39では、減衰力信号LRDS,RRDSに示される増加量に応じて減衰力を増加させる。その結果、後輪のサスペンションの減衰力の増加によって、後輪側のロール剛性を増加させる作用が働く(後輪側の過渡的なロール剛性を増加できる)。後輪のスタビライザのロール剛性の増加に加えて後輪のサスペンションの減衰力増加による作用により、車両ではオーバステア特性となり、強いアンダステア状態にあった車両がニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
この車両挙動制御装置81によれば、第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置1による効果を有する上に、前後輪のサスペンションの減衰力を調節することによって車両にアンダステア特性やオーバステア特性をより作用させ、車両の挙動を迅速に安定化させる。
次に、図9及び図13を参照して、第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置101について説明する。図13は、第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。車両挙動制御装置101では、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置81と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
車両挙動制御装置101は、車両挙動制御装置81と同様の装置であるが、アクティブスタビライザECU110における制御が異なる。車両挙動制御装置101は、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置41と同様に、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性との合計値が一定であり、アクティブスタビライザECU110では、前後輪のロール剛性配分を変化させる制御を行い、ヨーコントロールECU11からCAN通信12を介してスピン状態量信号SSSを取り入れ、強いオーバステア状態の場合に車両の挙動を安定させるためのスタビライザのロール剛性配分制御を行う。さらに、車両挙動制御装置101では、強いオーバステア状態の場合にサスペンションの減衰力を調節することによっても、車両の挙動を安定化させる。そのために、車両挙動制御装置101は、アクティブスタビライザECU110と協働して制御を行う減衰力制御ECU111を備え、2つのECU110,111間をCAN通信12で相互通信することによって構成される。なお、第5の実施の形態では、アクティブスタビライザECU110が特許請求の範囲に記載するロール特性制御手段に相当する。
アクティブスタビライザECU110では、第2の実施の形態に係るアクティブスタビライザECU50における制御に加えて、減衰力制御ECU111に対する制御も行う。ここでは、アクティブスタビライザECU110における減衰力制御ECU111に対する制御についてのみ説明する。なお、減衰力制御ECU111では、第4の実施の形態に係る減衰力制御ECU91と同様の制御を行う。
アクティブスタビライザECU110では、スピン状態量とスピン側ロール剛性閾値とを比較し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満の場合には前輪のサスペンションの減衰力をノーマルとするための前輪減衰力ノーマルモードを示す減衰力モード信号を設定し、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上になると前輪のサスペンションの減衰力を増加させるための前輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU111に送信する。そして、アクティブスタビライザECU110では、スピン状態量がスピン側ブレーキ力閾値を超えない範囲で前輪減衰力増加モードを設定する。前輪の減衰力の増加量としては、スピン状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
図9及び図13を参照して、第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置101の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU110における処理については図14のフローチャートに沿って説明する。図14は、第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。なお、図14に示すフローチャートでは、第2の実施の形態に係る図6のフローチャートと同様の処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
アクティブスタビライザECU110では、S12の判定でスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値未満と判定した場合、減衰力モード信号に前輪減衰力ノーマルモードを設定し、減衰力制御ECU111に送信し(S41)、処理を終了する。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU111では、前輪のサスペンションがノーマルの減衰力になるように減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。減衰力可変アブソーバ36,37では、減衰力をノーマルモードに調節する。
一方、アクティブスタビライザECU110では、S12の判定でスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いオーバステア状態の場合)、前輪ロール剛性配分アップ制御を行うとともに(S13)、前輪のサスペンションの減衰力を増加させるための前輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU111に送信する(S42)。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU111では、前輪のサスペンションの減衰力を減衰力モード信号に示される増加量分増加させるために減衰力信号LFDS,RFDSを各々設定し、前輪の減衰力可変アブソーバ36,37に各々送信する。減衰力可変アブソーバ36,37では、減衰力信号LFDS,RFDSに示される増加量に応じて減衰力を増加させる。その結果、前輪のサスペンションの減衰力の増加によって、前輪側のロール剛性を増加させる作用が働く。前輪側のスタビライザのロール剛性配分を後輪側より大きくするのに加えて前輪のサスペンションの減衰力増加による作用により、車両ではアンダステア特性となり、強いオーバステア状態にあった車両がニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
この車両挙動制御装置101によれば、第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置41による効果を有する上に、前輪のサスペンションの減衰力を調節することによって車両にアンダステア特性をより作用させ、車両の挙動を迅速に安定化させる。
次に、図9及び図15を参照して、第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置121について説明する。図15は、第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。車両挙動制御装置121では、第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置81と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
車両挙動制御装置121は、車両挙動制御装置81と同様の装置であるが、アクティブスタビライザECU130における制御が異なる。車両挙動制御装置121は、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置61と同様に、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性との合計値が一定であり、アクティブスタビライザECU130では、前後輪のロール剛性配分を変化させる制御を行い、ヨーコントロールECU11からCAN通信12を介してドリフト状態量信号DSSを取り入れ、強いアンダステア状態の場合に車両の挙動を安定させるためのスタビライザのロール剛性配分制御を行う。さらに、車両挙動制御装置121では、強いアンダステア状態の場合にサスペンションの減衰力を調節することによっても、車両の挙動を安定化させる。そのために、車両挙動制御装置121は、アクティブスタビライザECU130と協働して制御を行う減衰力制御ECU131を備え、2つのECU130,131間をCAN通信12で相互通信することによって構成される。なお、第6の実施の形態では、アクティブスタビライザECU130が特許請求の範囲に記載するロール特性制御手段に相当する。
アクティブスタビライザECU130では、第3の実施の形態に係るアクティブスタビライザECU70における制御に加えて、減衰力制御ECU131に対する制御も行う。ここでは、アクティブスタビライザECU130における減衰力制御ECU131に対する制御についてのみ説明する。なお、減衰力制御ECU131では、第4の実施の形態に係る減衰力制御ECU91と同様の制御を行う。
アクティブスタビライザECU130では、ドリフト状態量とドリフト側ロール剛性閾値とを比較し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満の場合には後輪のサスペンションの減衰力をノーマルとするための後輪減衰力ノーマルモードを示す減衰力モード信号を設定し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上になると後輪のサスペンションの減衰力を増加させるための後輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU131に送信する。そして、アクティブスタビライザECU130では、ドリフト状態量がドリフト側ブレーキ力閾値を超えない範囲で後輪減衰力増加モードを設定する。後輪の減衰力の増加量としては、ドリフト状態量が大きくなるほど多くの量が設定される。
図9及び図15を参照して、第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置121の動作について説明する。特に、アクティブスタビライザECU130における処理については図16のフローチャートに沿って説明する。図16は、第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。なお、図16に示すフローチャートでは、第3の実施の形態に係る図8のフローチャートと同様の処理については同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
アクティブスタビライザECU130では、S22の判定でドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値未満と判定した場合、減衰力モード信号に後輪減衰力ノーマルモードを設定し、減衰力制御ECU131に送信し(S51)、処理を終了する。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU131では、後輪のサスペンションがノーマルの減衰力になるように減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。減衰力可変アブソーバ38,39では、減衰力をノーマルモードに調節する。
一方、アクティブスタビライザECU130では、S22の判定でドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上と判定した場合(つまり、強いアンダステア状態の場合)、後輪ロール剛性配分アップ制御を行うとともに(S23)、後輪のサスペンションの減衰力を増加させるための後輪減衰力増加モードと減衰力の増加量を示す減衰力モード信号を設定し、減衰力制御ECU131に送信する(S52)。この減衰力モード信号を受信すると、減衰力制御ECU131では、後輪のサスペンションの減衰力を減衰力モード信号に示される増加量分増加させるために減衰力信号LRDS,RRDSを各々設定し、後輪の減衰力可変アブソーバ38,39に各々送信する。減衰力可変アブソーバ38,39では、減衰力信号LRDS,RRDSに示される増加量に応じて減衰力を増加させる。その結果、後輪のサスペンションの減衰力の増加によって、後輪側のロール剛性を増加させる作用が働く。後輪側のスタビライザのロール剛性配分を前輪側より大きくするのに加えて後輪のサスペンションの減衰力増加による作用により、車両ではオーバステア特性となり、強いアンダステア状態にあった車両がニュートラルステア側に移行し、車両の挙動が安定化する。
この車両挙動制御装置121によれば、第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置61による効果を有する上に、後輪のサスペンションの減衰力を調節することによって車両にオーバステア特性をより作用させ、車両の挙動を迅速に安定化させる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では車両挙動制御装置をヨーコントロール装置のECUとアクティブスタビライザ装置のECUとをCAN通信を介して通信することによって構成したが、ロール剛性制御とスピン状態量及びロール剛性量の演算とを共に行う単一のECUで構成してもよいし、あるいは、アクティブスタビライザ装置のECUでもスピン状態量及びドリフト状態量を演算する構成としてもよい。また、本実施の形態では車両の挙動を安定化させるためにブレーキ力も制御する構成としたが、車両の挙動を安定化させるためにロール剛性のみを制御する構成としてもよい。
また、本実施の形態ではスピン状態量、ドリフト状態量を推定ヨーレートと実際のヨーレートから算出したが、オーバステアやアンダステアの程度を示すものであれば他のものから算出してもよい。
また、本実施の形態では前輪ロール剛性可変アクチュエータ及び後輪ロール剛性可変アクチュエータを備え、前後輪の各ロール剛性を各々調節することによりロール特性を調節する構成としたが、前後輪のどちらか一方のロール剛性を変化させるアクチュエータを備え、その一方のロール剛性を調節することによりロール特性を調節する構成としてもよい。
また、第1及び第4の実施の形態ではスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御する構成としたが、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を減少制御し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を減少制御する構成としてもよい。また、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性とを合わせた剛性を一定値とし、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御するとともに後輪のロール剛性を減少制御して前輪ロール剛性配分アップ制御し、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御するとともに前輪のロール剛性を減少制御して後輪ロール剛性配分アップ制御する構成としてもよい。
また、第2及び第5の実施の形態では前後輪のロール剛性の合計値を一定とし、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御するとともに後輪のロール剛性を減少制御して前輪ロール剛性配分アップ制御する構成としたが、前後輪のロール剛性の合計値を一定とせず、スピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御又は後輪のロール剛性を減少制御する構成としてもよい。
また、第3及び第6の実施の形態では前後輪のロール剛性の合計値を一定とし、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御するとともに前輪のロール剛性を減少制御して後輪ロール剛性配分アップ制御する構成としたが、前後輪のロール剛性の合計値を一定とせず、ドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御又は前輪のロール剛性を減少制御する構成としてもよい。
第1〜第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置の構成図である。 第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。 第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。 第1の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。 第2の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。 第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。 第3の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。 第4〜第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置の構成図である。 第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。 第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。 第4の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。 第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるオーバステア状態の場合の制御を示す図である。 第5の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。 第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置におけるアンダステア状態の場合の制御を示す図である。 第6の実施の形態に係る車両挙動制御装置のアクティブスタビライザECUにおける車両挙動安定化制御を示すフローチャートである。
符号の説明
1,41,61,81,101,121…車両挙動制御装置、10,50,70,90,110,130…アクティブスタビライザECU、11…ヨーコントロールECU、12…CAN通信、20…横加速度センサ、21…車速センサ、22…舵角センサ、23…ヨーレートセンサ、30…前輪ロール剛性可変アクチュエータ、31…後輪ロール剛性可変アクチュエータ、32…左前輪ブレーキ力可変アクチュエータ、33…右前輪ブレーキ力可変アクチュエータ、34…左後輪ブレーキ力可変アクチュエータ、35…右後輪ブレーキ力可変アクチュエータ、36…左前輪減衰力可変アブソーバ、37…右前輪減衰力可変アブソーバ、38…左後輪減衰力可変アブソーバ、39…右後輪減衰力可変アブソーバ、91,111,131…減衰力制御ECU

Claims (6)

  1. 前輪のロール剛性を調節する前輪ロール剛性調節手段と、
    後輪のロール剛性を調節する後輪ロール剛性調節手段と、
    前輪のロール剛性及び後輪のロール剛性を制御するロール剛性制御手段と、
    車両のオーバステアの程度を示すスピン状態量を演算するスピン状態量演算手段と、
    車両のアンダステアの程度を示すドリフト状態量を演算するドリフト状態量演算手段と
    を備え、
    前記ロール剛性制御手段は、前記スピン状態量演算手段で演算したスピン状態量がスピン側ロール剛性閾値以上の場合には前輪のロール剛性を増加制御又は後輪のロール剛性を減少制御し、前記ドリフト状態量演算手段で演算したドリフト状態量がドリフト側ロール剛性閾値以上の場合には後輪のロール剛性を増加制御又は前輪のロール剛性を減少制御することを特徴とする車両挙動制御装置。
  2. 車両のヨーレートを制御するヨー制御手段と、
    前記ロール剛性制御手段と前記ヨー制御手段との間の通信を行う通信手段と
    を備え、
    前記スピン状態量演算手段及び前記ドリフト状態量演算手段は前記ヨー制御手段に含まれ、前記通信手段により前記ヨー制御手段から前記スピン状態量及び前記ドリフト状態量を前記ロール剛性制御手段に送信することを特徴とする請求項1に記載する車両挙動制御装置。
  3. 走行中の車両のステア状態を検知するステア状態検知手段と、
    前記ステア状態検知手段で検知したステア状態に基づいて車両のロール特性を制御するロール特性制御手段と、
    前記ロール特性制御手段による制御に応じて車両のロール特性を調節するロール特性調節手段と
    を備えることを特徴する車両挙動制御装置。
  4. 前記ロール特性調節手段は、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性を各々調節可能であることを特徴とする請求項3に記載する車両挙動制御装置。
  5. 前記ロール特性制御手段は、前記ステア状態検知手段で検知したステア状態がオーバステア状態の場合、前輪のロール剛性が後輪のロール剛性より相対的に大きくなるように制御することを特徴とする請求項4に記載する車両挙動制御装置。
  6. 前記ロール特性制御手段は、前記ステア状態検知手段で検知したステア状態がアンダステア状態の場合、後輪のロール剛性が前輪のロール剛性より相対的に大きくなるように制御することを特徴とする請求項4に記載する車両挙動制御装置。
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