JP4442092B2 - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の運動制御装置に関し、特に、少なくとも車両のステアリング特性を制御する手段を備えた車両の運動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両のステアリング特性の制御については、前輪操舵制御(例えば下記の特許文献2に記載)、後輪操舵制御(例えば下記の特許文献3に記載)、スタビライザ制御よるロール剛性配分制御(例えば下記の特許文献4に記載)、減衰力及びばね力制御(例えば下記の特許文献5に記載)、前後輪及び左右輪間での駆動力配分制御(例えば下記の特許文献6及び7に記載)、前後輪又は左右輪間での制動力配分制御(例えば下記の特許文献1及び8に記載)等、種々の態様が知られている。
【0003】
また、車両の安定性を維持する車両安定性制御については、例えば下記の特許文献9に開示されている。そして、車両の操縦安定性に関し、下記の非特許文献1にロールオーバが解説されている。更に、このようなロールオーバを抑制するロールオーバ抑制制御についても、下記の特許文献10に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−310725号公報
【特許文献2】
特許第2977277号
【特許文献3】
特開平11−59460号公報
【特許文献4】
特開2000−71737号公報
【特許文献5】
特開平9−11724号公報
【特許文献6】
特開平5−155264号公報
【特許文献7】
特開平5−77652号公報
【特許文献8】
特開昭63−13851号公報
【特許文献9】
特開平6−99800号公報
【特許文献10】
特開平10−81215号公報
【非特許文献1】
「自動車工学便覧〈第1分冊〉」(社団法人自動車技術会発行、昭和49年7月1日 初版発行、5−61頁乃至5−62頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前掲の非特許文献1には、図13に示すように、ロールオーバ限界横加速度acはac=t/(2H)となる旨解説されている。ここで、tは輪距、Hは重心地上高さを表わす。上記の式に基づき、ロールオーバ限界横加速度と重心高さHの関係を求めると図14のようになる。この図14から明らかなように、車輪(タイヤ)の限界摩擦が高く車両の限界横加速度がロールオーバ限界横加速度よりも大きい場合には、耐ロールオーバ性という観点では好ましくはない。然し乍ら、車両の操縦安定性という観点では好ましく、例えば、障害物を回避するような状況においては寧ろ好適ということになる。逆に、限界横加速度が低い車両は耐ロールオーバ性という点では有利であるが、車両の操縦安定性に対しては不利ということになる。
【0006】
そこで、本発明は、少なくとも車両のステアリング特性を制御する手段を備えた車両の運動制御装置において、車両の耐ロールオーバ性と操縦安定性を車両状態に応じて適切に調整し得るようにすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載のように、車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を制御して前記車両がニュートラルステア状態に対し少なくともオーバステア状態及びアンダステア状態の何れ側かを表す指標たる車両のステアリング特性を制御する車両ステア特性制御手段と、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときに前記車両の駆動力の低減及び前記車両の各車輪に対する制動力の付与の少なくとも一方によって前記車両の安定性を維持する車両安定性制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記車両のロールオーバを表す指標に基づき車両のロールオーバ傾向を検出するロールオーバ検出手段を備え、前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出しないときには通常ステア特性制御を行い、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには、前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を減少方向に制御し、前記通常ステア特性制御に比べてオーバステア又はアンダステアの度合いが増加する特定ステア特性制御を行うように構成し、前記車両安定性制御手段は、前記車両ステア特性制御手段による前記特定ステア特性制御を行った後に、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったか否かを判定するように構成したものである。尚、前記車両の駆動力の低減は、例えば、前記車両を駆動するエンジンの出力を抑制することによって達成することができる。
【0009】
前記請求項1記載の車両の運動制御装置において、請求項2記載のように、前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには前記車両安定性制御手段による制御が開始するまで前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力が減少する方向に調整して前記特定ステア特性制御を行うように構成するとよい。
【0010】
また、請求項3に記載のように、車両の操舵制御システムを制御することによって少なくとも一つの車輪に対する横力を制御して前記車両がニュートラルステア状態に対し少なくともオーバステア状態及びアンダステア状態の何れ側かを表す指標たる車両のステアリング特性を制御する車両ステア特性制御手段と、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときに少なくとも前記車両の各車輪に対する制動力を相対的に制御して前記車両の安定性を維持する車両安定性制御手段を備えた車両の運動制御装置において、前記車両のロールオーバを表す指標に基づき車両のロールオーバ傾向を検出するロールオーバ検出手段を備え、前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出しないときには前記操舵制御システムによる通常操舵制御を行い、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには、前記操舵制御システムにより前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を減少方向に制御し、前記通常操舵制御に比べてオーバステア又はアンダステアの度合いが増加する特定操舵制御を行うように構成し、前記車両安定性制御手段は、前記車両ステア特性制御手段による前記特定操舵制御を行った後に、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったか否かを判定するように構成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を説明する。先ず、本発明の一実施形態に係る車両の運動制御装置の基本構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、車両VHの少なくとも一つの車輪に対する横力を制御して車両VHのステアリング特性を制御する車両ステア特性制御手段SCと、車両VHの駆動力の低減及び車両の各車輪に対する制動力の付与の少なくとも一方によって車両VHの安定性を維持する車両安定性制御手段VSを備えている。車両VHは、そのロールオーバ傾向を検出するロールオーバ検出手段(図示せず)を備え、このロールオーバ傾向が検出されたときには、車両ステア特性制御手段SCにおいて、少なくとも一つの車輪に対する横力が減少するように制御される。
【0013】
この結果、車両安定性制御手段VSによる制御が開始すると、車両VHに駆動力を付与するエンジン出力が抑制され、及び/又は各車輪に対し制動力が付与され、更には制動力によるヨーモーメントの発生により車両VHが減速することにより、少なくとも一つの車輪に対する横力が減少し、ロールオーバ傾向が抑制される。更に、車両VHのロールオーバ傾向が検出された場合に、そのまま車両安定性制御手段VSの制御に移行するように、車両ステア特性制御手段SCにおいては、運転者操作DRへの介在及び/又は車両特性の変更によって少なくとも一つの車輪に対する横力を減少制御し、車両のステアリング特性を車両安定性制御手段VSの制御が開始する側に変更する構成としてもよい。以下、上記の各手段を含む車両VHの具体的構成を図2及び図3に示し、先ず、車両のステアリング特性を制御するシステムについて、以下に説明する。
【0014】
図3に示す前輪操舵制御システム(FSTR)においては、図2に示すようにステアリングホイールSWと車両前方の車輪(前輪)WHfr,WHfl間に操舵アクチュエータFSが介装され、運転者のステアリングホイールSW操作に対して、任意の車輪操舵角が付与される。即ち、前輪WHfr,WHflを切り増す側及び切り戻す側の何れの方向にも任意の車輪操舵角を付与し得るように構成されている。この車輪操舵角(前輪操舵角)は、車速(車体速度)、ステアリングホイール操舵角、及び車両挙動状態に基づいて設定される。そして、前輪操舵角を制御することにより前方の前輪WHfr,WHflに作用するサイドフォース(横力)が制御される。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献2に開示されているので詳細な説明は省略する。
【0015】
而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、前輪操舵角を切り戻す側に制御することにより前輪に作用するサイドフォースを低下させ、ロールオーバ傾向を抑制することができる。また、前輪横すべりが発生するまで車輪を切り増すことにより、ロールオーバ傾向を抑制することができる。このようにして、車両のステアリング特性を制御することができる。この場合、前輪横すべりにより、車両はアンダステア側となるが、これに対しては車両安定性制御により車両安定性が確保される。
【0016】
後輪操舵制御システム(RSTR)においては、車両後方の車輪(後輪)WHrr,WHrlが操舵アクチュエータRSにより操舵されるように構成されている。この車輪操舵角(後輪操舵角)も、車速、ステアリングホイール操舵角、及び車両挙動状態に基づいて設定される。そして、後輪操舵角を制御することにより後輪WHrr,WHrlに作用するサイドフォースが制御される。而して、車両のステアリング特性を制御することができる。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献3に開示されているが、後輪操舵制御システム(RSTR)の一実施形態について図8乃至図12を参照して後述する。
【0017】
スタビライザ制御システム(FTC、RTC)においては、左右車輪間のストローク差を拘束するため、アクチュエータFT、RTを備えたスタビライザが前輪WHfr,WHfl及び/又は後輪WHrr,WHrlに装着される。このアクチュエータFT、RTによってスタビライザのねじりばね定数が制御される。例えば、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、前輪側のスタビライザのねじり剛性を増加させ、あるいは後輪側のスタビライザのねじり剛性を低下させるように制御すれば、ロール剛性配分は前輪寄りに設定される。これにより、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。逆に、前輪側のスタビライザのねじり剛性を低下させ、あるいは後輪側のスタビライザのねじり剛性を増加させると、ロール剛性配分は後輪寄りに設定され、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御されるので、ロールオーバ傾向は抑制される。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献4に開示されているので詳細な説明は省略する。
【0018】
ばね定数制御システム(SCC)においては、各車輪に、ばね定数を変更し得る空気圧サスペンションSxx(xxは前方右左fr,fl及び後方右左rr,rlを代表する。以下、同様)が備えられている。各空気圧サスペンションSxxは、主チャンバ及び副チャンバ(図示せず)を備え、主チャンバと副チャンバは開閉バルブ(図示せず)を介して連結されている。そして、開閉バルブが開状態のときには主チャンバと副チャンバが連通し、空気圧サスペンションの車体を支えるチャンバの体積が大きくなり、ばね定数が低く設定されることになる。これに対し、開閉バルブが閉位置となる場合は、車体を支えるチャンバの体積が小さくなり、ばね定数は高くなる。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献5に開示されているので詳細な説明は省略する。
【0019】
而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、例えば前輪側のばね定数を高め、あるいは後輪側のばね定数を低めるように制御すれば、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。逆に、前輪側のばね定数を低め、あるいは後輪側のばね定数を高めるように制御すれば、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。
【0020】
減衰力制御システム(DPC)においては、上記のばね定数制御システム(SCC)と同様に、各車輪に、減衰力が制御可能なダンパDxxが備えられている。各ダンパDxxは、ピストン(図示せず)に設けられたオリフィス開口部の面積を変化させることにより減衰力を制御するように構成されている。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献5に開示されているので詳細な説明は省略する。而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、例えば、前輪減衰力を高め、あるいは後輪減衰力を低めるように制御すれば、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。逆に、前輪減衰力を低め、あるいは後輪減衰力を高めるように制御することによって、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。
【0021】
前後駆動力配分制御システム(DSTL)においては、車両の駆動時に、各車輪への駆動力の配分比率を制御することによって車両のステアリング特性を制御するように構成されている。例えば、4輪駆動の場合には、前輪と後輪への駆動力配分を制御する前後駆動力配分がある。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献6に開示されているので詳細な説明は省略する。而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、前輪側への駆動力配分を増加し後輪側への駆動力配分を減少させるように制御すれば、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。一方、前輪側への駆動力配分を減少し後輪側への駆動力配分を増加させるように制御すると、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。
【0022】
また、左右駆動力配分制御システム(DSTS)により、駆動力を左右に配分することによっても車両のステアリング特性を制御することが可能となる。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献7に開示されているので詳細な説明は省略する。而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、例えば、旋回内側車輪への駆動力配分比率を増加すると、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。逆に、旋回外側車輪への駆動力配分比率を増加すると、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。
【0023】
更に、制動力配分制御システム(DSTB)において、制動時に前後輪間への制動力配分比率を制御することによって車両のステアリング特性を制御することができる。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献1に開示されているので詳細な説明は省略する。而して、ロールオーバ傾向があらわれた場合には、例えば、前輪への制動力配分を増加し後輪への配分を減少させるように制御すると、車両のステアリング特性はアンダステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。逆に、前輪制動力配分を減少し後輪配分を増加させるように制御すると、車両のステアリング特性はオーバステア側に制御され、ロールオーバ傾向は抑制される。また、旋回時の荷重移動を考慮して、制動時に、旋回外側車輪の制動力を旋回内側車輪に対して大きくなるように配分する左右制動力配分制御を行い、車両ステア特性を制御し、ロールオーバ傾向を抑制することができる。この具体的構成は、例えば前掲の特許文献8に開示されているので詳細な説明は省略する。この場合、左右制動力配分制御によって車両のステアリング特性が変化する態様(変化方向)は、制動力の左右差、及び制動力増加に伴うサイドフォース低下に起因するヨーモーメントによって決定される。
【0024】
一方、車両安定性制御手段としては、エンジン出力を低減するための手段として、図2のスロットルアクチュエータTHを制御する図3のスロットル制御システム(SLT)及び図2の燃料噴射装置FIを制御する図3の燃料噴射制御システム(FIS)が用いられる。また、図3に示すブレーキ制御システム(BRK)は上記の制動力配分制御システム(DSTB)として、制動力の配分制御を行うだけでなく、図2のブレーキアクチュエータBRを自動的に駆動して各車輪に制動力を付与し、この制動力によってヨーモーメントを発生させ得るようにアクティブに制動力制御を行うことができる。例えば、車両の状態量を検出、判定し、各車輪の制動力を独立に制御することにより車両安定性を維持する装置も知られている。尚、この具体的構成は、例えば前掲の特許文献9に開示されているので詳細な説明は省略する。この特許文献9においては、車速及び操舵角からヨーレイトの目標値を形成し、ヨーレイトの実際値との偏差の時間的導関数でオーバステア又はアンダステアを判定することとしている。オーバステアの場合には、旋回外側前輪の制動滑りを増大させ、つまり、旋回外側前輪の制動力を増大させ、アンダステアの場合には、旋回内側後輪の制動滑りを増大させることとしている。
【0025】
上記の前輪操舵制御システム(FSTR)、後輪操舵制御システム(RSTR)、ブレーキ制御システム(BRK)等は、図3に示すように、通信バスを介して接続されており、各システム間で互いのシステム情報を共有することができるように構成されている。そして、上記の各制御システムに供給する信号の検出手段として、図2に示すように、前輪WHfr,WHfl及び後輪WHrr,WHrlに車輪速センサWSfr,WSfl,WSrr,WSrlが配設され、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。
【0026】
更に、ステアリングホイールSWの操作量を検出する手段としてステアリングホイール操作角センサSA、アクセルペダルAPの操作量に応じた信号を出力するアクセル開度センサAS、ブレーキペダルBPの作量に応じた信号を出力するブレーキセンサBS、前輪WHfr,WHflの操舵角θfを検出する操舵角センサFD、後輪WHrr,WHrlの操舵角θrを検出する操舵角センサRD、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサXG、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサYG、車両のヨーレイトγを検出するヨーレイトセンサYR、車輪毎に設けられ車高を測定する車高センサSTxx、更に後述するロールレイトセンサRR等が電子制御装置ECUに接続されている。
【0027】
尚、例えば前輪操舵制御システム(FSTR)においては、図3に示すように、前輪操舵制御用のCPU、ROM及びRAMを備えた操舵制御ユニットECU4に、回転角センサ及び電流センサが接続されると共に、モータ駆動回路を介してモータが接続されている。而して、図2に示す操作角センサSAよって検出された運転者の操作量、前掲の各センサによって検出される車両の状態量(車両速度、ヨーレイト、前後加速度、横加速度等)、各車輪と路面との摩擦状態等に基づき、操舵制御ユニットECU4において各車輪の操舵角の目標値θftが決定され、この目標値θftに基づき前輪操舵用のモータが駆動され、前輪の舵角θfが制御される。
【0028】
次に、本実施形態のブレーキ制御システム(BRK)は所謂ブレーキ・バイ・ワイヤで構成されている。図3に示すように、各車輪WHfr,WHfl,WHrr,WHrlには、車輪速センサWSfr,WSfl,WSrr,WSrlのほか、ホイールシリンダ(図示せず)の液圧を検出する液圧センサが配設されており、ブレーキ制御用の制御ユニットECU1に上記液圧センサが接続されると共に、駆動回路を介してソレノイドが接続されている。
【0029】
而して、運転者によるブレーキペダルBPの操作は、ブレーキセンサBS、ブレーキペダルBPの操作量としてストロークを検出するストロークセンサ(図示せず)等のブレーキ操作検出手段によって検出される。各車輪のホイールシリンダの液圧は、運転者によるブレーキペダルBPの操作量、車両の走行運動状態、車輪と路面との摩擦状態等に基づき制御される。尚、このブレーキ制御には、ブレーキペダルBPの操作に応じた各車輪の液圧制御のみならず、前述の制動力配分制御をはじめ、ABS(アンチスキッド制御)、BA(ブレーキアシスト制御)、TRC(トラクション制御)、VSC(車両安定性制御)、ACC(アダプティブクルーズコントロール)等が含まれる。
【0030】
本実施形態においては、スロットルアクチュエータTH及び燃料噴射装置FIがエンジンEGに装着されており、スロットル制御システム(SLT)を構成するスロットルアクチュエータTHではアクセルペダルAPの操作に応じてスロットル開度の目標値が設定され、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットルアクチュエータTHが制御されると共に、燃料噴射装置FIが駆動され燃料噴射量が制御されるように構成されている。そして、図3に示すように、スロットル制御用の制御ユニットECU2に回転角センサが接続されると共に、駆動回路を介してスロットル制御用のモータが接続されている。本実施形態のエンジンEGは変速制御装置GSを介して各車輪に連結されており、所謂四輪駆動方式が構成されているが、本発明における駆動方式をこれに限定するものではない。
【0031】
尚、図3に示す制御ユニットECU1乃至10は、夫々、通信用のCPU、ROM及びRAMを備えた通信ユニットを介して通信バスに接続されている。而して、各制御システムに必要な情報を他の制御システムから送信することができる。
【0032】
図4は上述の車両ステア特性制御及び車両安定性制御の一例を示すフローチャートである。先ず、ステップ101において初期化が行われ、ステップ102にて各センサの検出信号及び各制御システムの内部演算値が直接又は通信バスを介して読み込まれる。次に、ステップ103にて、これらの読み込まれた信号に基づき上述の車両ステア特性制御及び車両安定性制御に供される実車両挙動が演算される。この実車両挙動の演算では、ロールオーバ傾向を判定するためのロールレイトdφ、車両安定性制御に供される車体横すべり角、車体横すべり角速度、ヨーレイトが演算され、更に、ステップ104にて、目標とする車両挙動が設定される。
【0033】
そして、ステップ105において、車両のロールオーバ傾向が判定される。例えば、ロールレイトdφが所定値dφ0以上となった場合に、ロールオーバ傾向を検出したと判定される。また、急激な横方向の力が車両に作用した場合にロールオーバ傾向があらわれることから、横加速度Gyの時間変化量dGyが所定値dGy0以上となった場合をロールオーバ傾向の検出と判定するように構成してもよい。続いて、ステップ106に進み、車両安定性制御に必要なアンダステアとオーバステアの判別が行われる。この判別は、車体横すべり角、及び車体横すべり角速度もしくはヨーレイトに基づいて行われる。
【0034】
上記の判別結果に基づき以下の制御が行われる。先ずステップ200において、ロールオーバ傾向の判別結果に基づき、通常のステアリング特性制御(以下、通常ステア特性制御という)とするか、ロールオーバ傾向があらわれたときのステアリング特性制御(以下、特定ステア特性制御という)とするかが判定される。ステップ200の判定処理は図5に示すように行われる。即ち、図5に示すように、ステップ106からステップ201に進み、特定ステア特性制御中か否かが判定され、特定ステア特性制御中でなければ、ステップ202にて開始条件を充足しているか否かが判定される。特定ステア特性制御の開始条件を充足しておれば、ステップ211に進み特定ステア特性制御が行われ、開始条件を充足していなければ、ステップ212に進み通常ステア特性制御が行われる。一方、ステップ201にて特定ステア特性制御中と判定された場合には、ステップ203にて終了条件を充足しているか否かが判定される。特定ステア特性制御の終了条件を充足していなければ、ステップ211に進み特定ステア特性制御が行われ、終了条件を充足しておれば、ステップ212に進み通常ステア特性制御が行われる。
【0035】
上記ステップ212で行われる通常ステア特性制御においては、図6に示すように、車両のステアリング特性はニュートラルステア特性、又は弱アンダステア特性を目標に、所定の特性の範囲に収まるように制御される。この状態から、例えば、ロールオーバ傾向が判定された場合には、上述の操舵制御などにより、車両のステアリング特性がアンダステア側又はオーバステア側に向うように制御される。
【0036】
例えば、車両がニュートラルステア状態(図6のa)にある場合においてロールオーバ傾向と判定されたときには、図6の上段に示すように、特定ステア特性制御によりアンダステア側(矢印A方向)、又はオーバステア側(B方向)に制御される。同様に、車両がオーバステア状態(b)もしくはアンダステア状態(c)にある場合において、ロールオーバ傾向と判定されたときには、特定ステア特性制御によりアンダステア側(C方向もしくはE方向)又はオーバステア側(D方向もしくはF方向)に制御される。このように、アンダステア側又はオーバステア側に偏向するように制御することにより、意図的に車輪横すべりを発生させることになる。この結果、車両横方向に作用する力が低減され、車両のロールオーバ傾向を抑制することができる。
【0037】
更に、車輪の横すべりが発生し、車両のステアリング特性が過度のオーバステア又はアンダステアとなった場合には、車両安定性制御が開始するため、ヨー方向の車両安定性も確保できることとなる。この点に鑑み、ロールオーバ傾向と判定された場合には、特定ステア特性制御によって意図的に車両のステアリング特性を、車両安定性制御が開始する領域まで制御するようにしてもよい。この場合には、車両特性は図6中の矢印A’乃至F’に示すように、アンダステア側又はオーバステア側に制御されることになる。而して、ロールオーバ傾向が抑制され、且つ車両安定性が維持される。尚、図6では通常ステア特性制御の制御範囲がオーバステア領域にも跨るように設定されているが、車両安定性を考慮してオーバステア側の領域を制御範囲外とすることとしてもよい。
【0038】
上記の図6示す制御をまとめると下記の[表1]のようになる。尚、図6のa,b,c、A乃至F及びA’乃至F’は、[表1]のa,b,c、A乃至F及びA’乃至F’に夫々対応している。
【表1】
Figure 0004442092
【0039】
上述の特定ステア特性制御は、ロールオーバ抑制制御(例えば特許文献10に記載)を併せて行うように構成することができる。図7はこの場合の制御を示すフローチャートで、図4のフローチャートと同一の処理は同一のステップ番号を付して説明を省略する。尚、この場合には、特定ステア特性制御を実行するか否かを判定するステップ200においては、ロールオーバ抑制制御に対して、ロールオーバ傾向の指標に関し更に低いしきい値が設定される。そして、図7においてステップ211又は212の処理後、ステップ220に進み、ロールオーバ傾向があらわれ、特定ステア特性制御によりその傾向を抑制する制御が行われたが、依然としてロールオーバ傾向がみられると判定された場合には、ステップ221にてロールオーバ抑制制御が行なわれる。
【0040】
上記図2及び図3に記載の装置は、多数のシステムを含む装置に係るものであるが、基本構成を含む装置の具体的態様に関し、車両ステア特性制御手段として後輪操舵制御システムを具備する装置を、図8乃至図12を参照して説明する。即ち、本実施形態においては、図8及び図9に示すように、車両後方の車輪舵角を制御することによりステアリング特性を制御する後輪操舵制御システム(RSTR)を具備している。また、車両安定性制御手段として、スロットルアクチュエータTHもしくは燃料噴射装置FIの少なくとも何れかを運転者のアクセルペダルAP操作とは独立して制御し、エンジン出力を低減するエンジン出力低減手段と、各車輪の制動力を運転者のブレーキペダルBP操作とは独立して制御することにより車両を減速し、更には、車両のヨーモーメントを制動力によって制御するブレーキ制御システム(BRK)を有する。
【0041】
本実施形態における各制御を実行するために、図8に示すように、各車輪の回転速度を検出する車輪速度センサWSxx、ステアリングホイールSWの操作角を検出する操作角センサSA、運転者のアクセルペダル操作及びブレーキペダル操作を検出するアクセル開度センサAS及びブレーキセンサBS、車両の運動状態を表わすヨーレイト、前後加速度、横加速度を検出するヨーレイトセンサYR、前後加速度センサXG、横加速度センサYGを備えている。また、ロールオーバ傾向を検出するために、各車輪の車高センサSTxx、ロールレイトセンサRRを備えている。各センサ信号は電子制御装置ECUに送られ信号処理が行われる。電子制御装置ECUにおいては上記の後輪操舵制御システム(RSTR)用の制御ユニットECU4が通信バスを介して連結され、信号の共有及び演算処理値の共有がされている。後輪操舵制御システム(RSTR)においては、制御ユニットECU4での演算結果に基づき、スロットル開度、燃料噴射、制動力、後輪舵角を制御する各アクチュエータが駆動される。
【0042】
上記のように車両ステア特性制御として後輪操舵制御を行なう場合の処理を、図9のフローチャートに示す。先ず、ステップ401にて初期化が実行され、ステップ402にて各種センサ信号及び各制御ユニットの内部演算値が直接又は通信バスを介して読み込まれる。これらの読み込まれた情報に基づきステップ403にて車両の実際の挙動が演算される。この実車両挙動には、各車輪の回転速度、車両のヨーレイト、前後加速度、横加速度、車体横すべり角、車体横すべり角速度、ロールレイト、ロール角が含まれる。更に、ステップ404にて運転者のステアリングホイール操作、アクセルペダル及びブレーキペダル操作、並びに車両速度に基づき目標とする車両挙動が設定される。
【0043】
次に、ステップ405に進み、ロールオーバ状態量の演算処理が実行される。本実施形態においては、ロールオーバ傾向は車体のロール角φとロールレイトdφとの関係に基づいて演算される。即ち、ロールオーバ指標INDroが、INDro=K1・φ+K2・dφとして求められる。ここで、K1及びK2は係数であり、φは車体ロール角で各車輪の車高センサSTxxの値から求められ、dφはロールレイトである。尚、ロールオーバを表す指標としては、単純に前述のロールレイトRRを用いることとしてもよい。また、過度の横加速度がロールオーバ傾向を惹起させることに鑑み、横加速度の時間変化量が所定値以上になったときにロールオーバ傾向が生じたと判定するように構成してもよい。
【0044】
続いてステップ406に進み、アンダステア及びオーバステア状態量(以下、US/OSで表わす)が演算される。このUS/OSを表す指標はステップ405で求められた横すべり角の実値と目標値の偏差、及び、ヨーレイトの実値と目標値の偏差に基づいて演算される。つまり、US/OS指標のINDusosが、INDusos=K3・(βa−βd)+K4・(γa−γd)として演算される。ここで、K3及びK4は係数であり、βは横すべり角、γはヨーレイトを表す。添字のa及びdはそれぞれの「実値」及び「目標値」であることを表す。
【0045】
尚、上記のUS/OSを表す指標に代えて、アンダステア時とオーバステア時で別個に求めることも可能である。この場合には、アンダステア指標INDusが、INDus=K5・(γa−γd)として求められ、オーバステア指標INDosが、INDos=K6・(βa−βd)+K7・(dβa−dβd)として演算される。ここで、K5、K6、K7は係数であり、dβは車両横すべり角速度である。更に、アンダステアとオーバステアが同時に発生した場合を考慮して、アンダステア指標INDus及びオーバステア指標INDosにそれぞれ重み付けが行なわれ、US/OS指標のINDusosが、INDusos=W1・INDus+W2・INDosとされる。ここで、W1及びW2は重み付け係数である。
【0046】
而して、ステップ405において演算されたロールオーバ指標INDroに基づきロールオーバ傾向と判定されたときには、特定後輪操舵制御が実行される。即ち、ステップ407において特定後輪操舵制御の可否が判定され、ロールオーバ傾向と判定されたときにはステップ408に進み、特定後輪操舵制御が実行され、ロールオーバ傾向が現れていなければステップ409に進み、通常の後輪操舵制御が実行されるが、これらの後輪操舵制御については後述する。
【0047】
この後、更にステップ410に進み、ステップ406にて演算されたUS/OS指標INDusosに基づき車両安定性制御の実行可否が判定される。車両安定性制御の実行が必要ない場合にはそのままステップ402に戻され、次の演算周期となる。車両安定性制御の実行が必要と判定された場合には、ステップ411において、エンジン出力を低減するようにスロットルアクチュエータTH及び燃料噴射FIが制御されるとともに、各車輪の制動力が独立して、且つ、別個に制御され、車両が減速するとともに車両を安定化するヨーモーメントが生成される。
【0048】
ここで、前述の通常後輪操舵制御と特定後輪操舵制御との相違を、図10を参照して説明する。先ず、通常の後輪操舵制御では、図10の(a)に示すように、所定車速以上において後輪は前輪に対して同方向に操舵される。これにより、後輪操舵制御システムを具備しない車両に比較して車両の横すべり角が小さい状態で後輪に横すべり角が発生し、それに起因して後輪サイドフォースSFrが発生するので、車両安定性が維持される。一方、ロールオーバ傾向は車両に作用するサイドフォース(SFf+SFr)によって惹起されるため、ロールオーバ傾向が現れたときに行なわれる特定後輪操舵制御においては、後輪の舵角が切り戻されて後輪サイドフォースSFrが抑制される。この結果、サイドフォース(SFf+SFr)が低減され、これによってロールオーバ傾向が抑制される。
【0049】
次に、上記の通常後輪操舵制御及び特定後輪操舵制御を行なうための具体的な構成について図11及び図12を参照して説明する。図11は後輪の目標舵角を演算する制御ブロック図であり、以下、目標後輪舵角を設定する手順を説明する。通常後輪操舵制御においては、フィードフォワード制御部にて、ステアリングホイール舵角及び車両速度から、適切な車体横すべり角となる後輪舵角θffが演算される。フィードフォワード制御部では、車両諸元及びタイヤ特性が設定されたオブザーバに基づいて後輪舵角θffが演算される。尚、この後輪舵角は、ステアリングホイール角と車両速度のマップに基づいて求めることもできる。フィードフォワード制御部の処理と並行して、フィードバック制御部において、外乱に対する安定化制御が実行される。即ち、ステアリングホイール舵角及び車両速度から、規範モデルに基づき、目標とするヨーレイトが演算される。この目標ヨーレイトとヨーレイトセンサから得られる実ヨーレイトが比較され、比較結果のヨーレイト偏差に基づきフィードバック制御部において、目標とする後輪舵角θfbが設定される。最終的な目標後輪舵角は、フィードフォワード制御部で演算された目標値θffに、フィードバック制御部で演算された目標値θfbが加算されて求められる。
【0050】
一方、特定後輪舵角制御においては、上記のフィードフォワード制御部及びフィードバック制御部で演算される目標値だけではなく、ロールオーバ抑制制御部で演算される目標後輪舵角θroも考慮される。このときのロールオーバ傾向は、車高センサから求められるロール角とロールレイトに基づき、前述のロールオーバ指標INDroからロールオーバ傾向が判別される。ここで、目標後輪舵角θroは、ロールオーバ指標INDroに基づいて設定される。従って、ロールオーバ傾向があらわれていなければ、ロールオーバ指標INDroはゼロであるため、θro=0となり、通常の後輪操舵制御が実行される。ロールオーバ傾向があらわれた場合には、目標後輪舵角は(θff+θfb−θro)に設定される。
【0051】
上記のように設定された目標後輪舵角に基づき、図12に示すように後輪舵角制御が行なわれる。図12において、上記の目標後輪舵角が与えられると、フェイルセイフのために目標後輪舵角に対する制限が演算される。次に、後輪舵角の実値と目標値が比較され、後輪舵角の偏差θeが演算される。後輪舵角を駆動するモータは、この偏差θeに基づく比例・微分制御(PD制御)によって、図12に示すように制御される。このPD制御により舵角偏差に対するデューティ比が決定され、PWM制御によりモータMが駆動される。
【0052】
上記の実施態様では、ロールオーバ傾向があらわれた際に、後輪操舵制御により、後輪を切り戻して後輪サイドフォースを減少させ、ロールオーバ傾向を抑制することとしているが、後輪操舵制御により後輪サイドフォースを減少させるためには、車輪の横すべりが発生するまで後輪を操舵することとしてもよい。これにより、後輪の横すべりによって車両に作用するサイドフォースの総和が減少し、ロールオーバ傾向が抑制される。また、後輪の横すべりによって車両はオーバステア傾向となるが、この場合には図9のステップ411において車両安定性制御が行なわれ、車両安定性が維持される。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の運動制御装置においては、車両ステア特性制御手段、車両安定性制御手段及びロールオーバ検出手段を備え、車両のロールオーバ傾向を検出したときには、車両ステア特性制御手段によって特定ステア特性制御を行うように構成されており、ロールオーバ傾向があらわれたときには、ロールオーバ傾向にないときに比べ、オーバステア又はアンダステアの度合いが増加するように車両のステアリング特性が制御されることになるので、ロールオーバを確実に抑制することができる。しかも、上記特定ステア特性制御によって、車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときには、車両安定性制御手段によって車両安定性を維持し得るように制御することができるので、車両の耐ロールオーバ性と操縦安定性を適切に調整することができる。
【0054】
更に、請求項2に記載のように構成すれば、車両ステア特性制御手段による特定ステア特性制御に続いて自動的に、車両安定性制御手段によって車両安定性を維持し得るように制御することができるので、車両の耐ロールオーバ性と操縦安定性を適切に調整することができる。
【0055】
また、請求項3に記載の運動制御装置においては車両ステア特性制御手段は操舵制御システムを制御することによって少なくとも一つの車輪に対する横力制御するように構成されており、ロールオーバ傾向があらわれたときには特定操舵制御が行なわれ、ロールオーバ傾向にないときの通常操舵制御に比べ、オーバステア又はアンダステアの度合いが増加するように車両のステアリング特性が制御されるので、ロールオーバを確実に抑制することができる。しかも、上記特定操舵制御によって、車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときには、車両安定性制御手段によって車両安定性を維持し得るように制御することができるので、車両の耐ロールオーバ性と操縦安定性を車両状態に応じて適切に調整し、適切な運動制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の運動制御装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の車両の運動制御装置の一実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明の車両の運動制御装置の一実施形態に係るシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両の運動制御装置による車両ステア特性制御及び車両安定性制御を含む制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートにおける特定ステア特性制御中か否かの判定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る車両の運動制御装置による車両ステア特性制御及び車両安定性制御の制御領域の関係を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両の運動制御装置によって車両ステア特性制御、車両安定性制御及びロールオーバ抑制制御を行なうときの一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の運動制御装置の他の実施形態として、後輪操舵制御システムを備えた運動制御装置を示す構成図である。
【図9】図8の運動制御装置による後輪操舵制御及び車両安定性制御を含む制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】図8の運動制御装置による通常後輪操舵制御(a)と特定後輪操舵制御(b)とを比較して示す説明図である。
【図11】図8の運動制御装置による後輪操舵制御における目標後輪舵角の設定を示すブロック図である。
【図12】図8の運動制御装置による後輪操舵制御を示すブロック図である。
【図13】従来の非特許文献に記載されたロールオーバ限界横加速度を求める際の車両状態を示す説明図である。
【図14】図13に基づいて演算したロールオーバ限界横加速度と重心高さの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
FSTR 前輪操舵制御システム, RSTR 後輪操舵制御システム,
BRK ブレーキ制御システム, SLT スロットル制御システム,
FIS 燃料噴射制御システム, SCC ばね定数制御システム,
FTC,RTC スタビライザ制御システム, ECU 電子制御装置,
SW ステアリングホイール, SA 操作角センサ,
YR ヨーレイトセンサ, XG 前後加速度センサ,
YG 横加速度センサ, AP アクセルペダル,
BP ブレーキペダル, WHfr, WHfl,WHrr, WHrl 車輪,
WSfr,WSfl,WSrr,WSrl 車輪速度センサ,
RR ロールレイトセンサ

Claims (3)

  1. 車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を制御して前記車両がニュートラルステア状態に対し少なくともオーバステア状態及びアンダステア状態の何れ側かを表す指標たる車両のステアリング特性を制御する車両ステア特性制御手段と、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときに前記車両の駆動力の低減及び前記車両の各車輪に対する制動力の付与の少なくとも一方によって前記車両の安定性を維持する車両安定性制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記車両のロールオーバを表す指標に基づき車両のロールオーバ傾向を検出するロールオーバ検出手段を備え、前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出しないときには通常ステア特性制御を行い、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには、前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を減少方向に制御し、前記通常ステア特性制御に比べてオーバステア又はアンダステアの度合いが増加する特定ステア特性制御を行うように構成し、前記車両安定性制御手段は、前記車両ステア特性制御手段による前記特定ステア特性制御を行った後に、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったか否かを判定するように構成したことを特徴とする車両の運動制御装置。
  2. 前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには前記車両安定性制御手段による制御が開始するまで、前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力が減少する方向に調整して前記特定ステア特性制御を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両の運動制御装置。
  3. 車両の操舵制御システムを制御することによって少なくとも一つの車輪に対する横力を制御して前記車両がニュートラルステア状態に対し少なくともオーバステア状態及びアンダステア状態の何れ側かを表す指標たる車両のステアリング特性を制御する車両ステア特性制御手段と、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったときに少なくとも前記車両の各車輪に対する制動力を相対的に制御して前記車両の安定性を維持する車両安定性制御手段を備えた車両の運動制御装置において、前記車両のロールオーバを表す指標に基づき車両のロールオーバ傾向を検出するロールオーバ検出手段を備え、前記車両ステア特性制御手段は、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出しないときには前記操舵制御システムによる通常操舵制御を行い、前記ロールオーバ検出手段が前記車両のロールオーバ傾向を検出したときには、前記操舵制御システムにより前記車両の少なくとも一つの車輪に対する横力を減少方向に制御し、前記通常操舵制御に比べてオーバステア又はアンダステアの度合いが増加する特定操舵制御を行うように構成し、前記車両安定性制御手段は、前記車両ステア特性制御手段による前記特定操舵制御を行った後に、前記車両が過度のオーバステア状態及び過度のアンダステア状態の何れか一方の状態となったか否かを判定するように構成したことを特徴とする車両の運動制御装置。
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