JP2009166150A - ウェハの製造方法 - Google Patents

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正武 長屋
Katsuhiro Nagata
勝裕 永田
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Abstract

【課題】カップ形の砥石を用いてウェハの一面を研削するに際し、ウェハの特定の外周部が多く削られてしまうことを防止する。
【解決手段】カップ形の砥石30を用いてウェハ40を研削するに際し、台座20の上であって砥石30の加工面31の軌道上に落ち込み防止基板50を配置する。これにより、台座20に対向する砥石30の加工面31がウェハ40とウェハ40との間の隙間に露出する台座20に対向したとしても、落ち込み防止基板50によって砥石30の加工面31がウェハ40の一面41よりも低い位置になることはない。このように、ウェハ40の特定の外周部に砥石30の荷重が局所的に高くかからないため、当該特定の外周部がウェハ40の一面41内で多く削られてしまうことを防止することができる。
【選択図】図3−1

Description

本発明は、カップ形の砥石で複数のウェハを研削する研削工程を含んだウェハの製造方法に関する。
従来より、ロータリー研削盤を用いて石英の板や半導体ウェハなどのワークを研削する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、以下のようにしてワークを研削する。
まず、ワークとして一枚のウェハをワーク取付台の上に設置する。続いて、カップ型の研削砥石の加工面とウェハの被加工面とが接触する位置まで研削砥石を移動する。そして、回転させた研削砥石を自転するウェハと研削砥石とが接触する方向に一定速度で送り、研削砥石をウェハに押し付けてウェハの被加工面を研削する。
特開平5−185372号公報
しかしながら、複数のウェハを同時にカップ型の砥石にて研削しようとすると問題が発生することが発明者らによって明らかとなった。以下、このことについて、図7および図8を参照して説明する。
図7は、ロータリー研削盤を用いてウェハを研削する工程を示した図である。この図に示されるように、円柱状の台座60の上に複数のウェハ61が配置されている。また、台座60の上方にカップ形の砥石62が配置されている。このカップ形の砥石62は容器の開口端に例えば、ダイヤモンド砥粒を含有する加工面63が設けられたものであり、砥石62の加工面63が台座60の中心軸を通過するように台座60の上方に配置されている。なお、カップ形の砥石62として、ストレートカップ形、テーパーカップ形、皿形等のものを採用することもできる。また、砥石62の開口端とは、側面および底面で構成される有底円筒(すなわちカップ)において、底面の反対側に開口した端面のうち開口部分を除いた端面のことである。
そして、ウェハ61の上に図示しない研削水を流しながら、砥石62を複数のウェハ61に押し付けて台座60と砥石62とを互いに逆方向に回転させる。この場合、複数枚のウェハ61が貼り付けられた台座60が回転し、中心軸が固定され台座中心を通って回転する砥石62にウェハ61が入ったり出たりの回転を繰り返す加工となる。これにより、砥石62の加工面63にてウェハ61の一面を研削する。砥石62にてウェハ61を所望の研削量だけ研削すると、複数のウェハ61の研削が同時に完了する。
この場合、台座60に複数のウェハ61を配置しているため、軸の固定された砥石62は台座中心を通って回転する。この砥石62の開口端が回転する台座60に貼り付けられた複数枚のウェハ61とウェハ61との間の隙間に落ち込んでしまうことで、ウェハ61のうちウェハ表面の外周面と側面とで構成される角部が多く削られてしまう研削ダレが発生してしまう。これは、複数枚固定されたウェハ61が1枚1枚砥石62を通過するたびに発生する。この様子を図8に示す。
図8(a)は砥石62がウェハの間に落ち込む様子を示した断面図、図8(b)は図7において、砥石62側から台座60側を見た平面図である。図8(b)では、砥石62のうち加工面63のみ示している。
図8(a)に示されるように、砥石62の加工面63がウェハ61の一面からウェハ61間の隙間に移動する際や、砥石62の加工面63がウェハ61間の隙間からウェハ61の一面に移動する際に、砥石62の加工面63の接触点がウェハ61から落ちたり、乗り上げたりすることでウェハ61の前記角部と称した特定の外周領域に砥石62から大きな荷重が掛かる。その際、台座60の中心を通過するように配置されたカップ型の砥石62に設けられたリング状の加工面63の台座60上に位置する領域で台座60の中心64から台座60の一方の端部65までの台座60上に位置する加工面63の領域において、少なくとも1点が台座60上に貼り付けられたウェハ61と接触するが、台座60の中心から台座60の他方の端部66までの台座60上に位置する加工面63の領域においては台座60上に貼り付けられたウェハ61と接触せず台座60の中心に対して片方のみが接触している場合、接触していない領域側の砥石62の加工面63がウェハ61の加工面より下に落ち込むことでウェハ61の特定の一部外周が異常に削れる研削ダレが発生する。
これにより、図8(b)の斜線に示されるように、ウェハ61に前述した研削ダレが発生してしまい、ウェハ61の一面における研削精度が悪化してしまう。そのデータを図9に示す。図9(a)は、台座60に設置されたウェハ61が回転する方向に対して砥石62が先にウェハ61へ入る側、すなわち、砥石の加工面がウェハ間の隙間に落ち込んだ後にウェハに乗り上げる側をIN側、ウェハからウェハ間の隙間に落ち込む側をOUT側として研削加工後のダレ量を測定した結果を示している。これによると、IN側のダレ量がOUT側のダレ量より大きいことがわかる。これは、落ち込む時より乗り上げる時の加工荷重がウエハの特定の外周領域に大きくかかることを示している。また、ダレの量は厚さバラツキで10μmを超えてダレの範囲も5mm以上ある。よって、図9(b)に示されるように、ダレている領域がデバイスを形成する領域にかかり、この領域のデバイス形成が困難となる。
例えば、ウェハ61として炭化珪素(SiC)等の超硬性材料で形成されたものを研削する場合、ウェハ61に対する砥石62の加工圧力が高いため、とくにウェハ61の特定外周領域に大きな加工圧力が掛かってしまい、上記研削ダレが顕著に生じてしまう。
本発明は、上記点に鑑み、カップ形の砥石を用いてウェハの一面を研削するに際し、ウェハの研削ダレを防止することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、台座(20)の上に複数のウェハ(40)を配置するとともに、台座(20)の上であって当該台座(20)の中心を通過するように設定されたカップ型の砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)の台座(20)上に位置する領域で、台座(20)の中心(64)から台座(20)の一方の端部(65)までの台座(20)上に位置する加工面(31)の領域において、少なくとも1点が台座(20)上に貼り付けられたウェハ(40)あるいは落ち込み防止基板(50、51)と接触するとともに、台座(20)の中心(64)から台座(20)の他方の端部(66)までの台座(20)上に位置する加工面(31)の領域においても少なくとも1点が台座(20)上に貼り付けられたウェハ(40)あるいは落ち込み防止基板(50、51、52)と接触するように配置した台座(20)上のウェハ(40)あるいは落ち込み防止基板(50、51)を研削する工程を含んでいることを特徴とする。
これによると、カップ形の砥石(30)の加工面(31)がウェハ(40)とウェハ(40)との間に位置したとしても、砥石(30)の加工面(31)が落ち込み防止基板(50、51、52)の高さに維持されている。これにより、砥石(30)の加工面(31)がウェハ(40)の一面(41)よりも台座(20)側に位置しないようにすることができる。
このように、砥石(30)の加工面(31)とウェハ(40)の一面(41)とをほぼ同じ面とすることができることから、砥石(30)に掛かる加工圧力によってウェハ(40)の特定の外周部に砥石(30)の荷重が局所的に高く掛からないようにすることができる。したがって、ウェハ(40)の特定の外周部が、この特定の外周部以外のウェハ(40)の一面(41)領域よりも多く削られてしまうことを防止することができる。
請求項2に記載の発明のように、落ち込み防止基板(50)を配置する工程では落ち込み防止基板(50)を台座(20)の中心に配置することができる。
請求項3に記載の発明のように、落ち込み防止基板を配置する工程では落ち込み防止基板(52)を台座(20)の外周にリング状に配置することができる。
請求項4に記載の発明のように、落ち込み防止基板を配置する工程では台座(20)に配置されたウェハ(40)間の隙間に落ち込み防止基板(51)を配置することで台座(20)の中心を中心とした円周でウェハ(40)と落ち込み防止基板(51)の隙間の間隔が砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)の径方向の幅以下になる台座(20)の径以下の径をもつ円周があるように配置することもできる。
請求項5に記載の発明では、ウェハ(40)を複数用意する工程と、隣同士のウェハ(40)との間隔を近接させて台座(20)の中心を中心とした円周で隣り合って配置されたウェハ(40)の隙間の間隔が砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)の径方向の幅以下になる台座(20)の径以下の径をもつ円周があるように台座(20)の上に複数のウェハ(40)を配置する工程と、砥石(30)の加工面(31)にてウェハ(40)の一面(41)を研削する工程とを含んでいることを特徴とする。
これにより、カップ形の砥石(30)がウェハ(40)の間の隙間に落ち込んでしまうことを防止することができ、ウェハ(40)の特定の外周部に掛かる異常に大きな砥石(30)の加工圧力を緩和することができる。以上のように、台座(20)に落ち込み防止基板(50)を配置しなくても、ウェハ(40)の特定の外周部が多く削れてしまうことを抑制することができる。なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る研削工程に用いられるロータリー研削盤の概略断面図である。この図に示されるように、ロータリー研削盤は、チャックテーブル10と、台座20と、砥石30とを備えて構成されている。
チャックテーブル10は、台座20を真空吸着するテーブルであり、例えばφ150の円柱状の土台である。チャックテーブル10は水平に配置されている。また、このチャックテーブル10には図示しない回転機構が設けられており、中心軸を中心にして回転させられるようになっている。台座20は、ワックスやテープ等によってウェハ40が貼り付けられる円板状の貼り付け台座である。
図2は、ウェハ40が複数貼り付けられた台座20をチャックテーブル10に固定する様子を示した図である。この図に示されるように、チャックテーブル10には、当該チャックテーブル10の両端面を貫通する多数の吸着孔11が設けられている。この吸着孔11は図示しない真空ポンプ機構に接続されている。そして、ウェハ40が複数貼り付けられた台座20がチャックテーブル10の上に配置され、真空ポンプ機構にて真空引きされると、台座20がチャックテーブル10に真空吸着されて固定されるようになっている。
砥石30は、円板状の土台の端面にダイヤモンドの砥粒が砥石ボンド材等で固められた加工面31が貼り付けられたものであり、加工面31にて研削対象物を研削するものである。本実施形態では、カップ形のものが採用される。このカップ形の砥石30は、容器の開口端に加工面31が設けられたものである。このようなカップ形の砥石30として、ストレートカップ形、テーパーカップ形、皿形等のものを用いることができる。また、加工面31がリング状とされたものや、加工面31が容器の開口端に一定間隔で設けられたものなどを採用することもできる。本実施形態では、リング状の加工面31が設けられたストレートカップ形の砥石30を用いる。
このように、砥石30の加工面31がリング状のものを採用するため、砥石30の中心軸とチャックテーブル10の中心軸とが離れた位置関係になっている。本実施形態では、砥石30の加工面31がチャックテーブル10の中心軸を通過するように、チャックテーブル10と砥石30とが配置されている。
また、砥石30には図示しない回転機構が設けられており、中心軸を中心にしてチャックテーブル10とは逆方向に回転させられるようになっている。以上が、本実施形態に係るロータリー研削盤の構成である。
次に、上記ロータリー研削盤を用いて、ウェハ40を研削する工程について説明する。まず、ワークとなるウェハ40として、例えば炭化珪素単結晶により構成される炭化珪素半導体ウェハを研削する場合について説明する。すなわち、ウェハ製造工程にて得られたウェハ40を研削する場合に、図1に示されるロータリー研削盤を用いて、ウェハ40を研削加工する。
まず、炭化珪素で形成されたウェハ40を複数用意し、台座20の上に配置する。図3−1は、台座20に複数のウェハ40を貼り付けた様子を示した平面図である。この図に示されるように、例えば4枚のウェハ40をチャックテーブル10の中心軸を中心とした円の円周上に配置する。また、台座20の上に落ち込み防止基板50を配置する。
落ち込み防止基板50は、ウェハ40とウェハ40との間に砥石30の加工面31が落ち込んでしまうことを防止するためのものであり、ウェハ40間に配置される。本実施形態では、落ち込み防止基板50はチャックテーブル10の中心軸上、すなわち砥石30が通過する台座20の中心に配置される。また、落ち込み防止基板50は、台座20と砥石30の加工面31との間に挟まれて配置される。
この落ち込み防止基板50は、ウェハ40と同じ炭化珪素で形成されている。また、砥石30の加工面31の幅よりも大きなサイズになっており、例えばφ15〜20のものが採用される。形状としては、丸形状でなくて多角形であってもよい。
落ち込み防止基板50は砥石30の加工面31以上の大きさかあるいは貼り付けられたウェハ40とウェハ40で最も近接している隙間以上の大きさである。例えばウェハ40とウェハ40が10mmの間隔で貼り付いている場合、10mm以上の落ち込み防止基板50を台座20の中心に貼り付けることが望ましい。
そして、台座20に落ち込み防止基板50を熱硬化性樹脂や接着剤で接着する。次にウェハ40を固定用ワックス等で接着する。そして、図示しない真空ポンプにて真空引きすることにより、落ち込み防止基板50とウェハ40が接着された台座20をチャックテーブル10に吸着する。
続いて、チャックテーブル10および砥石30をそれぞれ逆方向に回転させる。そして、ウェハ40に図示しない研削水を掛けながら、砥石30を台座20側に移動させ、砥石30の加工面31をウェハ40の一面41に押し付けて研削する。
ここで、「押し付ける」とは、砥石30の加工面31とウェハ40の一面41とを接触させる、あるいは密着させることを示す。
この場合、チャックテーブル10および砥石30がそれぞれ回転したとしても、落ち込み防止基板50が砥石30の加工面31の軌道上に配置されているため、砥石30が落ち込み防止基板50から外れてしまうことや、落ち込み防止基板50から落ちてしまうことはない。
ここで、軌道とは、砥石30の加工面31が台座20に投影される円弧を指す。すなわち、落ち込み防止基板50は当該円弧上に配置されていると言える。
そして、台座20に対向する砥石30の加工面31のうち落ち込み防止基板50の上に載っていない部分がウェハ40とウェハ40との間の隙間に露出する台座20に対向したとしても、砥石30の加工面31が落ち込み防止基板50よりも低い位置、つまりウェハ40の一面41よりも低い位置になることはない。
したがって、砥石30の加工面31がウェハ40の一面41からウェハ40間の隙間に移動する際や、砥石30の加工面31がウェハ40間の隙間からウェハ40の一面に移動する際に、ウェハ40の一面41と側面とで構成される特定の外周部に砥石30の荷重が局所的に高く掛かることはなく、当該特定の外周部がこの特定の外周部以外のウェハ40の一面41領域よりも多く研削されてしまう研削ダレは発生しない。
図3−1(b)に示されるように、落ち込み防止基板50によって、砥石30がウェハ40に先に入るIN側のダレ量や砥石30が後でウェハ40を通過するOUT側のダレ量はそれぞれほとんど生じておらず、従来よりもウェハ40のダレ量が改善されていることがわかる。なお、図3−1(b)において「改善前」とは従来の場合を指し、「検討後」とは本発明の場合を指す。
このように、ウェハ40を研削する際に、砥石30の加工面31が必ず落ち込み防止基板50を削るように砥石30の加工面31の幅以上および、図3−2に示すように台座20上に貼り付けられたウェハ40とウェハ40の間隔以上の落ち込み防止基板50を台座中央部に配置して、ウェハ40と落ち込み防止基板50とを共に削ることにより、ウェハ40の特定の外周部に荷重が局所的に高くかからないようにして、研削ダレを防止する。
そして、所望の厚さになるまで、または所望の研削量になるまで砥石30でウェハ40を研削する。このようにして、研削工程が完了し、研削された炭化珪素のウェハ40が得られる。落ち込み防止基板50は熱硬化性樹脂等で台座20に貼り付けられ、ウェハ40はワックス等で貼り付けられているため研削加工が終了後ウェハ40のみを容易に取り外すことができる。例えば研削加工の厚み制御が同じ場合、砥石30の加工面31が同じ位置で終了できるため、落ち込み防止基板50は常に同じ高さで終了することになる。そのため、熱硬化性樹脂等で強固に固定された落ち込み防止基板50はウェハ40のワックス固定の際、はがれること無くウェハ40の着脱を繰り返しても落ち込み防止基板50を貼り直すことなく使用することができる。
この後、上記のようにして研削されたウェハ40は、加工変質層や歪のない原子レベルに平滑でダメージのない面にCMPまたはメカノケミカル研磨等で仕上げられ、半導体デバイス工程にて半導体デバイスが作り込まれる基板として用いられ、半導体デバイスが作り込まれたものがダイシングカットされてチップ状に分割されることで半導体装置が完成する。
以上説明したように、本実施形態では、カップ形の砥石30を用いてウェハ40を研削するに際し、台座20の上であって砥石30の加工面31の軌道上に落ち込み防止基板50を配置することが特徴となっている。
これによると、チャックテーブル10と砥石30とがそれぞれ回転することで、砥石30の加工面31の軌道上にウェハ40が配置されない状態、すなわち加工面31がウェハ40に接触しない状態があったとしても、砥石30の加工面31の一部が落ち込み防止基板50に接触した状態が維持される。
これにより、砥石30は落ち込み防止基板50に支えられているため、砥石30の加工面31がウェハ40の一面41よりも台座20側に位置する状態を回避することができ、ウェハ40の特定の外周部に砥石30の荷重が局所的に高く掛からないようにすることができる。したがって、ウェハ40の特定の外周部がこの特定の外周部以外のウェハ40の一面41領域よりも多く削られてしまうことを防止することができ、ウェハ40の一面41における研削精度が悪化しないようにすることができる。
また、1つの台座20に複数のウェハ40を配置して研削精度が悪化しないように研削を行うことができるので、ロータリー研削加工におけるウェハ量産が可能となる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、ウェハ40の一面41よりも台座20側に砥石30の加工面31が落ち込んでしまわないように台座20の中央部に落ち込み防止基板50を配置することが特徴となっていたが、本実施形態では当該落ち込み防止基板50と異なる落ち込み防止基板51について説明する。図3−3は、台座20に複数のウェハ40を貼り付けた様子を示した平面図である。この図に示されるように、例えば4枚のウェハ40をチャックテーブル10の中心軸を中心に配置する。また、台座20の上に落ち込み防止基板51を配置する。落ち込み防止基板51はウェハ40とウェハ40との貼り付け間隔をなくすようにウェハ40とウェハ40の間に配置される。具体的には、台座20の中心を中心とした円周でウェハ40と落ち込み防止基板51の隙間の間隔が砥石30に設けられたリング状の加工面31の径方向の幅以下になる台座20の径以下の径をもつ円周があるように配置する。ウェハ40とウェハ40の貼り付け間隔が砥石30の加工面31幅以上の時に適用する。また、ウェハ40とウェハ40の隙間には砥石30の加工面31の砥石幅以下で落ち込み防止基板51が配置されているため砥石30がウェハ40の加工面より下になることはない。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、ウェハ40の一面41よりも台座20側に砥石30の加工面31が落ち込んでしまわないように台座20上に落ち込み防止基板50を配置することが特徴となっていたが、本実施形態では当該落ち込み防止基板50と異なる落ち込み防止基板52について説明する。図3−4は、台座20に複数のウェハ40を貼り付けた様子を示した平面図である。この図に示されるように、例えば4枚のウェハ40をチャックテーブル10の中心軸を中心とした円の円周上に配置する。また、台座20の上に落ち込み防止基板52を配置する。落ち込み防止基板52はウェハ40とウェハ40との貼り付け間隔を気にすることなく常時接触面を確保できるように台座20上の外周に円筒型で配置される。また、落ち込み防止基板52は円筒型でなくともスリットの入った空間を設けても良い。ウェハ40とウェハ40の貼り付け間隔が一定でなくてもかまわない。また、円筒型に設置する落ち込み防止基板52にスリットの入った空間を設ける場合、スリットの間隔は、砥石30の加工面31の砥石幅以下で配置すれば砥石30がウェハ40の加工面より下になることはない。
なお、図3−5に示されるように、台座20の外周側において、ウェハ40とウェハ40との間に扇状の落ち込み防止基板51を配置しても良い。この場合、図3−2に示される場合と同様に、台座20の中心に落ち込み防止基板50を配置し、さらに扇状の落ち込み防止基板51の角部が台座20の中心を向くように当該落ち込み防止基板51を台座20の外周側に設置する。また、落ち込み防止基板51とウェハ40との間隔を砥石30の加工面31の砥石幅以下とする。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、ウェハ40の一面41よりも台座20側に砥石30の加工面31が落ち込んでしまわないように台座20上に落ち込み防止基板50を配置することが特徴となっていたが、本実施形態では当該落ち込み防止基板50を用いずにウェハ40の研削精度を悪化させないようにすることが特徴となっている。
図4は、本実施形態において、台座20に複数のウェハ40を配置させた様子を示した平面図である。本実施形態では、奇数枚、例えば3枚のウェハ40を台座20に配置する。この場合、各ウェハ40を近づけることで、台座の中心を中心とする円周上で隣り合うウェハ40の隙間の間隔を砥石31の加工面31幅以下にできる台座の径以下の径をもつ円周が存在する配置にする。
これによると、チャックテーブル10および砥石30がそれぞれ回転したとしても、ウェハ40が砥石30の加工面31の軌道上に配置されているため、加工面31がウェハ40にまったく接触しない場合があり得る第1実施形態よりも砥石30の加工面31とウェハ40との接触面積を増やすことができる。
以上のように、台座20に落ち込み防止基板50を配置しなくても、ウェハ40同士を近づけて配置することで、砥石30がウェハ40の間の隙間に落ち込んでしまうことを防止することができる。
また、3枚以上の奇数枚同様に4枚以上の偶数枚の加工においても各ウェハ40を近づけることで砥石30がウェハ40の間の隙間に落ち込むことを防止できる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、台座20の上に複数のウェハ40を配置させる場合について説明したが、本実施形態では、チャックテーブル10に各ウェハ40を直接固定する場合について説明する。
図5は、本実施形態において、ウェハ60をチャックテーブル10に固定する様子を示した図である。本実施形態では、チャックテーブル10として、ウェハ60が配置される場所および落ち込み防止基板50が配置される場所に吸着孔11が設けられたものが採用される。吸着孔11は、チャックテーブル10においてウェハ60が配置される場所についてはウェハ60のサイズ、落ち込み防止基板50が配置される場所については落ち込み防止基板50のサイズになっている。そして、図5に示されるように、チャックテーブル10のうち吸着孔11が設けられた場所に、各ウェハ60および落ち込み防止基板50が吸着固定されるようになっている。
以上のように、台座20を用いずに、チャックテーブル10にウェハ60および落ち込み防止基板50を直接固定することもできる。直接チャックテーブル10にウェハ60および落ち込み防止基板を直接固定する方法については第2、第3実施形態のように他の形状にも適用できる。
(第6実施形態)
本実施形態では、第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第4実施形態では、台座20にウェハ60を固定していたが、落ち込み防止基板50を用いない場合にも、第3実施形態と同様に、ウェハ60をチャックテーブル10に直接固定することができる。
図6は、本実施形態において、ウェハ60をチャックテーブル10に固定する様子を示した図である。この図に示されるように、落ち込み防止基板50を用いない場合であっても、ウェハ60が配置される場所に吸着孔11が設けられたチャックテーブル10を用いることで、当該チャックテーブル10に各ウェハ60を直接固定することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、ウェハ40として炭化珪素半導体ウェハを例に説明したが、硬い物質、例えばサファイヤやダイヤモンド等のウェハを研削する場合に本発明の方法を採用することができる。
上記第1実施形態では、落ち込み防止基板50の材質として、ウェハ40と同じ材質、すなわち炭化珪素で形成されたものを用いているが、落ち込み防止基板50として他の材質のもので形成されたものを用いることもできる。例えば、ダイヤモンドやサファイヤ等で形成された落ち込み防止基板50を採用しても良い。また、落ち込み防止基板50のうち砥石30の加工面31と接触する部分のみが、炭化珪素やダイヤモンド、サファイヤ等で形成されたものでも良い。加工する材料にあわせて加工物と同じもの、あるいは加工物以上の硬度の材料を利用することが望ましい。
上記第1実施形態では、台座20の上に1つの落ち込み防止基板50を配置していたが、複数の落ち込み防止基板50を台座20上に配置しても良い。
上記落ち込み防止基板を配置する際、落ち込み防止基板50、51、52を組み合わせて台座上に配置して研削加工を行っても良い。
上記第2実施形態では、3枚のウェハ40を台座20に配置したが、例えば5枚のウェハ40を配置しても良い。3枚以上の複数枚加工であれば適用できる。
上記各実施形態では、図1に示されるように、チャックテーブル10および砥石30が水平に配置されたロータリー研削盤が用いられているが、チャックテーブル10および砥石30の姿勢は図1に限定されるものではない。例えば、図1に示されるチャックテーブル10および砥石30の中心軸が水平方向に平行になるように配置されたロータリー研削盤を用いることもできる。
上記ロータリー研削盤では、砥石30およびチャックテーブル10の両方もしくはいずれか一方を移動させながら研削を行っても良い。
本発明の第1実施形態に係る研削工程に用いられるロータリー研削盤の概略断面図である。 ウェハが貼り付けられた台座をチャックテーブルに固定する様子を示した図である。 (a)はテーブルに複数のウェハを配置させた様子を示した平面図、(b)はウェハのIN側およびOUT側のダレ量を示した図である。 台座の上のウェハと落ち込み防止基板との配置関係を示した平面図である。 第3実施形態において、台座に複数のウェハを貼り付けた様子を示した平面図である。 第4実施形態において、台座に複数のウェハを貼り付けた様子を示した平面図である。 第4実施形態において、台座に複数のウェハを貼り付けた様子を示した平面図である。 第4実施形態において、テーブルに複数のウェハを配置させた様子を示した平面図である。 第5実施形態において、ウェハをチャックテーブルに固定する様子を示した図である。 第6実施形態において、ウェハをチャックテーブルに固定する様子を示した図である。 従来において、ロータリー研削盤を用いてウェハを研削する工程を示した図である。 図7において、砥石側からテーブル側を見た平面図である。 (a)は、従来においてウェハのIN側およびOUT側のダレ量を示した図、(b)はダレがウェハのデバイスの形成領域にかかる様子を示した図である。
符号の説明
20 台座
30 砥石
31 加工面
40 ウェハ
41 ウェハの一面
50 落ち込み防止基板

Claims (6)

  1. カップ形の砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)を複数の板状のウェハ(40)の一面(41)にそれぞれ押し付けて前記各一面(41)をロータリー研削する研削工程を含んだウェハの製造方法であって、
    前記研削工程は、
    前記ウェハ(40)を複数用意する工程と、
    前記台座(20)の上に前記複数のウェハ(40)を配置するとともに、前記台座(20)の上であって当該台座(20)の中心を通過するように設定されたカップ型の砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)の前記台座(20)上に位置する領域で、前記台座(20)の中心(64)から前記台座(20)の一方の端部(65)までの前記台座(20)上に位置する前記加工面(31)の領域において、少なくとも1点が前記台座(20)上に貼り付けられた前記ウェハ(40)あるいは落ち込み防止基板(50、51)と接触するとともに、前記台座(20)の中心(64)から前記台座(20)の他方の端部(66)までの前記台座(20)上に位置する前記加工面(31)の領域においても少なくとも1点が前記台座(20)上に貼り付けられた前記ウェハ(40)あるいは落ち込み防止基板(50、51、52)と接触するように配置した前記台座(20)上の前記ウェハ(40)あるいは前記落ち込み防止基板(50、51)を研削する工程を含むことを特徴とするウェハの製造方法。
  2. 前記落ち込み防止基板(50)を配置する工程では前記落ち込み防止基板(50)を前記台座(20)の中心に配置することを特徴とする請求項1に記載の研削工程を含んだウェハの製造方法。
  3. 前記落ち込み防止基板を配置する工程では前記落ち込み防止基板(52)を前記台座(20)の外周にリング状に配置することを特徴とする請求項1に記載の研削工程を含んだウェハの製造方法。
  4. 前記落ち込み防止基板を配置する工程では前記台座(20)に配置された前記ウェハ(40)間の隙間に落ち込み防止基板(51)を配置することで前記台座(20)の中心を中心とした円周で前記ウェハ(40)と前記落ち込み防止基板(51)の隙間の間隔が前記砥石(30)に設けられたリング状の前記加工面(31)の径方向の幅以下になる前記台座(20)の径以下の径をもつ円周があるように配置することを特徴とする請求項1に記載の研削工程を含んだウェハの製造方法。
  5. 台座の中心を通過するように配置されたカップ形の砥石(30)に設けられたリング状の加工面(31)を台座(20)上に配置された複数の板状のウェハ(40)の一面(41)にそれぞれ押し付けて前記各一面(41)をロータリー研削する研削工程を含んだウェハの製造方法であって、
    前記研削工程は、
    前記ウェハ(40)を複数用意する工程と、
    隣同士の前記ウェハ(40)との間隔を近接させて前記台座(20)の中心を中心とした円周で隣り合って配置された前記ウェハ(40)の隙間の間隔が前記砥石(30)に設けられたリング状の前記加工面(31)の径方向の幅以下になる前記台座(20)の径以下の径をもつ円周があるように前記台座(20)の上に前記複数のウェハ(40)を配置する工程と、
    前記砥石(30)の加工面(31)にて前記ウェハ(40)の一面(41)を研削する工程とを含んでいることを特徴とするウェハの製造方法。
  6. 前記ウェハ(40)を複数用意する工程では、前記ウェハ(40)として炭化珪素で形成されたものを用意することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のウェハの製造方法。
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